著者
岩井 宜子
出版者
日本犯罪社会学会
雑誌
犯罪社会学研究 (ISSN:0386460X)
巻号頁・発行日
vol.20, pp.115-132, 1995

The sexual offences may be grouped into three types with their protecting interests. Those in the first type consist of rape and sexual assault etc., which protect freedom to consent to sexual intercourse or other indecent acts. Those in the second type consist of the article forbidding obscene acts to juveniles in Ordinance for eliminating harmful circumstances surrounding juveniles, Child Welfare Act and Anti-Prostitution Act etc., which protect the youth who have the immature capacity to concent to sexual activities, from sexual abuse by the adults. Those in the third type consist of the crime of indececent behavior in public, and the crime of distributing the pornographic books etc., which protect social sexual morality or sexual sense. Looking the history of the regulation on the sexual offences, it declares clearly the changes of the women's social and marital status. Those in the first type were considered as the offences which invade sexual morality in the past, but recently, the existance of consent at the sexual intercourse had been regarded as important, so the necessity of the protection from the injury by the sexual assault in the familiar terms were recognized gradually. Those in the second type aim to regulate the activities of sexual abuse to the juveniles whether or not the victim consents. In those field, ambiguity of the word "Inkou" (obscene act) and the rationality of paternalistic intrusion by the penal sanction are called in question. Those in the third type were gradually decriminalized with the progress of the sence of liberation of sex. In this paper, it is aimed to consider what is the better method to protect the interests being invaded by those in the first and the second types of sexual offences.
著者
山田 岳史 菅 隼人 松本 智司 小泉 岐博 進士 誠一 松田 明久 山岸 杏彌 横山 康行 高橋 吾郎 岩井 琢磨 青木 悠人 町田 幹 内田 英二
出版者
日本腹部救急医学会
雑誌
日本腹部救急医学会雑誌 (ISSN:13402242)
巻号頁・発行日
vol.35, no.4, pp.403-407, 2015-05-31 (Released:2015-09-08)
参考文献数
11

【背景】絞扼性イレウスの本態は消化管の虚血であるため,診断には造影CTが重要であるが,どのような所見が有用であるか明らかではない。【方法】術前に造影CTが施行された壊死性絞扼性イレウス15例と非壊死性絞扼性イレウス25例を対象に造影CT所見を検討した。【結果】70%以上の頻度で認められたものは腸間膜血管の拡張(70.0%),腸管壁の肥厚(72.5%),腸間膜浮腫(80.0%)であった。腹水,腸管壁の造影欠損,Kerckringの不明瞭化,腸間膜混濁は壊死群で有意に高率に認めた。【考察】絞扼性イレウスを造影CTで早期に診断するには,壊死性絞扼性イレウスで多く認められる,腹水や造影欠損よりも腸間膜血管の拡張,腸管壁の肥厚,腸間膜浮腫等の変化を見逃さないことが重要である。
著者
岩井 千明
出版者
一般社団法人 経営情報学会
雑誌
経営情報学会 全国研究発表大会要旨集
巻号頁・発行日
vol.2008, pp.64, 2008

小論では岩井(2007)で提示したコンフリクトのあるビジネスゲームを用いた実験結果の報告を行う.実験aでは異なる大学の学部生をペアにした4チームでチームの累積利益を目的にした場合(チーム内コンフリクト無)と個人のボーナスを目的にした場合(チーム内コンフリクト有)でそれぞれ集団意思決定の効果を被験者への質問状により測定し比較分析を行った.実験仮説はコンフリクト有のゲームのほうがより集団意思決定の効率化が促進するというものであったが,両者の結果に有意な差は認められなかった.実験bで同じ内容のゲームを業務経験の豊富な社会人を対象に行ったところ,実験結果には統計的に有意な差は見られなかったが,コンフリクトの有るシナリオのほうが意見の対立を醸成する傾向が見られた.
著者
松成 圭悟 岩井 将行
雑誌
研究報告ヒューマンコンピュータインタラクション(HCI) (ISSN:21888760)
巻号頁・発行日
vol.2022-HCI-196, no.25, pp.1-5, 2022-01-04

近年,コロナ渦の影響でアウトドアレジャーが注目を集めている.2021 年の東京オリンピックではサーフィンにて日本の五十嵐カノア選手が銀メダルを取り,盛り上がりを見せた.海ではサーファが増えてきて,混雑が目立ってきている.サーファー同士の衝突事故の原因は波を見るのに夢中になり他の人の存在を認知できなくなることや,日の出や日没間近の暗い時間帯に他の人が見えなくなってしまい衝突してしまうことが挙げられる.そこで本研究ではサーフボードに M5Stack Core2 と NeoPixel LED 防水テープを付け加えることでサーフボードのパフォーミング性を拡張しつつ,事故防止のために自分の存在を周りに認知してもらうことで海での衝突事故を未然に防ぐことを目的とした機能を付与する.つまり,サーフボードの角速度,加速度を 6 軸 IMU で検知し,姿勢角度を算出して,ユーザの状態に応じた光を提示することで周囲に対して危険度に応じた色の可視化を行う.
著者
林 真二 岩井 謙仁 安本 亮二 松田 淳 河野 学 大町 哲史 甲野 拓郎 山本 晋史 阪倉 民浩 南 英利
出版者
泌尿器科紀要刊行会
雑誌
泌尿器科紀要 (ISSN:00181994)
巻号頁・発行日
vol.40, no.1, pp.37-41, 1994-01

1)9例のインポテンス患者に塩酸パパベリンを第一選択として陰茎海綿体内自己注射法を指導したところ, 自己注射が技術的に困難であった1例を除いた8例全例で挿入可能な完全勃起を認め, 性交可能となり本人およびパートナーの満足がえられた。2)1例で勃起機能が回復し治癒し, 射精は3例に認められた。なお, 観察期間中自己注射484回施行で副作用は認めなかった
著者
岩井 宏治
出版者
一般社団法人 日本呼吸ケア・リハビリテーション学会
雑誌
日本呼吸ケア・リハビリテーション学会誌 (ISSN:18817319)
巻号頁・発行日
vol.29, no.2, pp.186-190, 2020-12-25 (Released:2020-12-25)
参考文献数
13

慢性呼吸器疾患患者における身体活動は予後に影響するため,いかにして身体活動を維持・改善させるかは重要な臨床課題である.我々は,身体活動量と運動耐容能,30秒椅子立ち上がりテスト(CS-30テスト)には相互的な関係性が成立すると考え,運動耐容能に見合った身体活動量推定の可能性について検討した.結果,3つの因子にはそれぞれ関連があり,椅子1つあれば簡便に評価可能なCS-30テストから身体活動量が推定できる重回帰式(2.760-1.387×mMRC息切れスケール+288×CS-30テスト)が得られた.次に心機能に着目し,慢性閉塞性肺疾患患者(COPD)患者の運動耐容能と左室拡張障害,右室収縮期圧との関連性を検討した.結果,左室拡張障害の有無で運動耐容能に有意差は認めなかったが,心負荷を示唆する所見とは有意差を認めた.また,右室収縮期圧の上昇は,労作時酸素飽和度の減少,心拍数の上昇を惹起し,運動耐容能に関連する可能性が示唆された.
著者
龍 家圭 小口 勝司 三邉 武彦 天野 均 亀井 大輔 岩井 信市
出版者
昭和大学学士会
雑誌
昭和学士会雑誌 (ISSN:2187719X)
巻号頁・発行日
vol.74, no.3, pp.333-339, 2014 (Released:2014-11-21)
参考文献数
25

炎症性サイトカインや機械的刺激により誘導されるプロスタグランジン合成酵素であるシクロオキシゲナーゼ-2(COX-2)は,骨代謝に重要な役割を持つことが報告されている.COX-2により生成されるプロスタグランジンE2(PGE2)は,骨芽細胞を介して間接的に破骨細胞形成に作用するばかりでなく,その受容体を介して破骨細胞分化に直接影響するとされる.本研究は,選択的COX-2阻害薬であるセレコキシブのin vitroでの破骨細胞分化抑制過程の機序を明らかにすることを目的として行った.マクロファージ株細胞であるRAW264.7細胞に,可溶型NF-κBリガンド(sRANKL;100ng/ml)を添加し6日間培養することによって,破骨細胞へ分化誘導する実験系を使用した.酒石酸抵抗性酸性ホスファターゼ(TRAP)染色陽性の核が3個以上の多核細胞を破骨細胞として,形成された破骨細胞数を測定した.セレコキシブ添加群(2.5~10µM)は,濃度依存的に破骨細胞形成数が減少した.活性化破骨細胞の指標となるアクチンリングを持つ破骨細胞数も顕著に濃度依存的に減少した.ハイドロキシアパタイトコーティングした培養皿を用いた実験系においても,セレコキシブは濃度依存的にマウス骨髄細胞由来破骨細胞による吸収窩形成を抑制した.本研究により,COX-2活性阻害を介して,マクロファージ系株細胞から破骨細胞への分化を抑制する経路が明らかにされた.
著者
岩井 彌 坂井 忍 神農 悠聖
出版者
一般社団法人 照明学会
雑誌
照明学会 全国大会講演論文集
巻号頁・発行日
vol.41, pp.50, 2008

大阪地下鉄御堂筋線の9駅のホームの視環境に対し,大学生6名による心理評価実験を実施すると共に,照度分布ならびに輝度分布を測定した.ホーム床面平均水平面照度は,全ての駅がJIS照度基準を満たしていたが,満足度の低い駅がほとんどであった.床面平均照度よりも評価時の視野内平均輝度のほうがホーム全体の明るさ感との相関が高く,特に算術平均輝度よりも幾何平均輝度のほうが高い相関が得られた.評価結果に順序効果の影響が見られた.
著者
岡本 喜之 石川 好美 山本 学 宮本 政幸 矢島 康治 中島 英行 馬場 隼一 大橋 伸英 岩井 俊憲 藤内 祝
出版者
日本口腔診断学会
雑誌
日本口腔診断学会雑誌 (ISSN:09149694)
巻号頁・発行日
vol.30, no.1, pp.60-64, 2017
被引用文献数
2

Granular cell tumors are rare soft tissue tumors, derived from Schwann cells. About half of them occur in the head and neck, but a case with tumor arising in the zygomatic region has not been reported to our knowledge. We report a case of granular cell tumor arising in the zygomatic region. A 57-year-old woman was referred to our hospital because of cheek swelling. MRI findings showed a benign tumor, so the patient wished follow-up. However, the tumor gradually grew in size for 11 months, as was confirmed by MRI. Since the patient desired removal of the tumor, the operation was performed by the intraoral and subcilial approach. The histopathological diagnosis was granular cell tumor. Judging from the operative finding, we supposed the origin of the tumor to be the zygomaticofacial nerve which is a branch of the maxillary nerve. Twenty-six months after the operation, there was no sign of recurrence.
著者
櫻井 芳亘 岩井 義夫 山口 久典 関目 智明 大谷 俊哉 小川 鉄
出版者
一般社団法人 映像情報メディア学会
雑誌
映像情報メディア学会技術報告 23.2 (ISSN:13426893)
巻号頁・発行日
pp.115-120, 1998-01-22 (Released:2017-06-23)

反射型カラー液晶ディスプレイ(以下反射型カラーLCD)は、携帯モバイル用途のディスプレイとして、低電力、薄型、軽量そして屋外視認性に優れている。しかし、現在の反射型カラーLCDは、透過型に比べると画質、性能面で不十分なレベルである。今回我々は、1枚偏光板TNセルのノーマリーホワイトモードでの光学構成の最適設計と低温p-SiTFTを用いた高開口率設計により、15:1の高コントラスト、無彩色化、3.3Vの低電圧駆動の1枚偏光板低温p-SiTFT反射型カラーLCDを実現したので報告する。
著者
近藤 史崇 岩井 俊治 三浦 智恵美 坂田 潤弥 太田 史 井戸 篤史 入江 奨 岡松 一樹 角正 浩一 三浦 猛
出版者
公益社団法人 日本水産学会
雑誌
日本水産学会誌 (ISSN:00215392)
巻号頁・発行日
pp.16-00030, (Released:2016-11-01)
参考文献数
41
被引用文献数
5 7

養殖クロマグロに最適な飼料の開発を目指して,EP給餌と生餌給餌の体成長と消化関連因子の比較を行った。EP給餌のクロマグロの体成長は胃のペプシン活性が減少した後に一旦停滞したが,その後,幽門垂の肥大化に伴うプロテアーゼ活性の増加により生餌給餌と同程度に回復した。EPは生餌に比べて難消化であるため胃での滞留時間が長く,消化関連因子(cck, pyy)は生餌より遅れて発現した。成長関連因子(ghrelin)は餌の消化管内での移動に伴って発現が変動し,EP飼料では有意に増加する事が明らかとなった。
著者
岩井 経男
出版者
日本西洋古典学会
雑誌
西洋古典學研究 (ISSN:04479114)
巻号頁・発行日
vol.33, pp.58-70, 1985-03-29

E. T.サノレモンの『共和政期ローマの植民市建設』は,共和政ローマが,いつ,どこに,どんな目的で植民市を建設していったかを詳細に検討し概観した,この分野ではほとんど唯一の貫重な労作である.彼はそこで,ローマ植民市建設の第一義的目的は,イタリア支配とローマ防衛の戦略のため,と主張している.そして,前133年に始まるグラックスの改革になってはしめて性格を変え,経済的社会的意図の下に建設されることになった,と言う.一般に,ローマの植民市建設は軍事的意義とといこ社会経済的側面もあわせもつと理解されるが,軍事面を一貫して強調する彼の説は極端と思われ,その結果,グラックス以前の植民の社会政栄的考察が欠落し,グラックスが突然出現することになろう.しかし,ウェーバーが『ローマ農業史』で行っている問題設定が示すように,またサルモン自身認めるように,ローマの植民政策は植民市建設deductio coloniaeと,都市建設をともなわない個人的土地分配adsignatio viritimからなっていた.伝える史料が少ないこともあり,個人的土地分配は本格的に論じられていない.そこで以下においては,ローマの固有領域の飛躍的拡大をもたらしたウェイイの併合からグラックスの改革前までの植民政策を,主として社会政策的観点から,個人的土地分配政策を含んで再構成し,検討してみることにする.方法としては,我々が今問題としている時期を便宜的に前268年(ラテン植民市アリーミヌムAriminum建設)を境に二つに分け,前期と後期を対比させて述べることにしたい.というのは,後に述べることになるが,筆者は前三世紀前半を境としてローマの植民政策が大きく転換すると考えるからである.
著者
杉原 創 本田 武義 藤井 一至 舟川 晋也 岩井 香泳子 小﨑 隆
出版者
首都大学東京 大学院 都市環境科学研究科 観光科学域
雑誌
観光科学研究 (ISSN:18824498)
巻号頁・発行日
no.9, pp.125-129, 2016-01-31

本論文では,日本有数の酒米生産地である兵庫県を対象に,地質が異なる地域で栽培された酒米を比較することで,酒米と栽培土壌の化学的性質がどのように関係するか,生産地域の土壌特性が酒米の品質にどの程度影響を与えるかに関して検討を行った。土壌試料は,堆積物地帯,玄武岩地帯,蛇紋岩地帯の地域から土壌(計20地点)を採取し,土壌中の全塩基含量,無機成分含量,および可給態窒素含量と全リン含量を分析した。酒米に関しては,堆積物地帯,玄武岩地帯の玄米の試料(計16地点)を採取し,土壌試料と同じ項目を分析した。その結果,堆積物地帯の土壌と比べ,玄武岩地帯,蛇紋岩地帯の土壌はマグネシウム,マンガン,亜鉛,鉄含量が多く存在し,その影響を受け,酒米も同様の成分が高い傾向にあることが判明した。このことは,酒米栽培土壌の地質の違いが,酒米の化学的性質の違い,ひいては日本酒の地域性を生み出す重要な要因の1つであることを示唆している。
著者
岩井 大 島野 卓史 馬場 奨 金田 直子 岡崎 はるか 完山 理咲 小西 将矢 宇都宮 敏生 友田 幸一 福森 崇之
出版者
日本口腔・咽頭科学会
雑誌
口腔・咽頭科 (ISSN:09175105)
巻号頁・発行日
vol.25, no.2, pp.157-163, 2012 (Released:2012-08-25)
参考文献数
17
被引用文献数
1

Forestier病は全身の靱帯・腱付着部の硬直・骨化を示す強直性脊椎骨増殖症 (diffuse idiopathic skeletal hyperosteosis) の1つである. 頸椎で生じたものでは喉頭や咽頭・食道を圧迫して咽喉頭違和感や呼吸障害・嚥下障害をきたす. 進行例には切除術が選択されるが, 十分な病変切除がされたにもかかわらず, 手術効果が即座に出ない例も認められ, 症状発生には, 病変の物理的な喉頭・食道圧迫だけでなく, 局所での浮腫や繊維化を含めた炎症の機序が考えられている.我々は今回, 本疾患の5例に対し手術的治療を行った. 病変部の正確な切除と上・下喉頭神経などの温存を図ったが, 症例1・2では不十分な手術成績であった. そこで, 手術に際し骨病変切除で生じる椎骨と骨膜間の死腔を減少させるため骨膜を寄せて縫合する処置を追加し良好な成績を得た. こうしたことから, Forestier病の手術に際し, 椎前部の死腔縮小処置が局所の炎症を低下させ, 術後の症状回復を早めるのではないかと考える.