著者
吉田 徹 藤谷 茂樹 平 泰彦 堤 健 栗栖 美由希 岩井 俊介 三上 翔平 吉田 稔 若竹 春明 北野 夕佳 桝井 良裕
出版者
日本救急医学会関東地方会
雑誌
日本救急医学会関東地方会雑誌 (ISSN:0287301X)
巻号頁・発行日
vol.40, no.3, pp.221-225, 2019

<p>向精神薬によるARDS (acute respiratory distress syndrome) の報告は限られており, また, ARDSや薬物中毒に対してECMO (extracorporeal membrane oxygenation) の有用性が指摘されている。【症例】20歳代女性。うつ病等で精神科通院中。フェノチアジン系抗精神病薬, ベンゾジアゼピン系催眠鎮静薬, オレキシン受容体拮抗薬, ノルアドレナリン再取り込み阻害薬の過量服薬を行い, 服用後約5時間で救急搬送された。来院時意識レベルE3V5M6, その他バイタルサインに大きな所見はなかった。入院後に低酸素血症出現, 胸部単純X線で肺水腫の所見を認めた。人工呼吸管理を施行するも心停止し, VA-ECMOを導入した。頭部・上肢の酸素化不良に対しVVA-ECMOとした。第6病日にVVA-ECMOを離脱, 第32病日に転院した。【考察・結語】本症例は, ARDSから心停止, VVA-ECMOを必要とした。過量服薬した原因薬剤のうち, フェノチアジン系抗精神病薬以外は今までARDSの報告はなく, 注意が必要と考えられた。</p>
著者
小口 悟寛 袖山 健 清澤 研道 古田 精市 野村 洋 小口 寿夫 宮坂 誠 矢崎 国彦 笠原 寛 床尾 万寿雄 小岩井 俊彦 徳永 真一 田中 栄司
出版者
社団法人 日本透析医学会
雑誌
日本透析療法学会雑誌 (ISSN:09115889)
巻号頁・発行日
vol.26, no.5, pp.689-693, 1993

透析業務中の針刺傷事故で, HCV抗体陽性の透析患者血に暴露した後, C型急性肝炎を発症し, その後慢性肝炎へ進展したの2症例を経験した. 2例とも, HCV抗体陽性で肝機能が正常の透析患者に使用した注射針を誤って手掌に穿刺した. 1例は針事故後1か月後より全身倦怠感の出現とともにトランスアミナーゼの上昇を認め, 6か月後にはHCV抗体が陽性となった. 他の1例は特に自覚症状の出現はなく, 針事故後4か月目にトランスアミナーゼの上昇を認め, 6か月後にHCV抗体が陽性となった. 2例とも, 肝機能の悪化と改善を繰り返し, 針事故後, 9か月目と15か月目の肝生検による肝組織学的検査では, chronic persistent hepatitisの所見を示した. 2例ともにβ-インターフェロンの投与によりトランスアミナーゼは正常化した.
著者
黒木 開 川上 孝介 岩井 大志 石塚 湖太 中田 和秀
出版者
一般社団法人 人工知能学会
雑誌
人工知能学会全国大会論文集 第35回 (2021)
巻号頁・発行日
pp.2D3OS7a02, 2021 (Released:2021-06-14)

リスティング広告における広告文の品質向上は、消費者をランディングページ(LP)へ誘導し、購買へと繋げるために大変重要である。 品質向上手法には一般的に知られた手法がいくつかあり、例えば検索キーワードを広告文内に含めることで、クリック率など各種指標が改善することが知られている。そこで本論文ではより優れた広告文を生成するために、特定のキーワードを高確率で含む文生成手法を提案する。ベースとなる自然言語処理モデルには事前学習済みBERTをEnc-Dec構造にしたBERT2BERTを採用し、学習データはgoogle広告において配信されていた約69万件の広告データを用いた。また、生成時に「ドア」と「扉」といった類語の生成を防止するため、キーワードをマスクした形で学習を行なった。加えて文生成時にはキーワードを優先出力する手法を検討した。実際に配信された広告データを用いてその精度を評価した結果、提案手法は最大約80%の確率で広告文内にキーワードを挿入できることを確認し、既存モデル(BERT2BERTを学習データでfine-tuningしたのみのモデル)の挿入率を有意に上回ることができた。
著者
澤 俊二 南雲 直二 嶋本 喬 磯 博康 伊佐地 隆 大仲 功一 安岡 利一 上岡 裕美子 岩井 浩一 大田 仁史 園田 茂
出版者
日本公衆衛生学会
雑誌
日本公衆衛生雑誌 (ISSN:05461766)
巻号頁・発行日
vol.50, no.4, pp.325-338, 2003

<b>目的</b>&emsp;慢性期脳血管障害者における種々の障害の長期間にわたる変化の実態を明らかにする目的で,心身の評価を入院から発病 5 年までの定期的追跡調査として実施した。調査は継続中であり,今回,慢性脳血管障害者における入院時(発病後平均2.5か月目)および退院時(発病後平均 6 か月目)の心身の障害特性について述べる。<br/><b>対象および方法</b>&emsp;対象は,リハビリテーション専門病院である茨城県立医療大学附属病院に,平成11年 9 月から平成12年11月までに初発の脳血管障害で入院した障害が比較的軽度な87人である。その内訳は,男64人,女性23人であり,年齢は42歳から79歳,平均59歳であった。方法は,入院時を起点とした,退院時,発病 1 年時,2 年時,3 年時,4 年時,5 年時の発病 5 年間の前向きコホート調査である。<br/><b>結果</b>&emsp;入院から退院にかけて運動麻痺機能,一般的知能,痴呆が有意に改善した。また,ADL(日常生活活動)と作業遂行度・作業満足度が有意に改善した。一方,明らかな変化を認めなかったのは,うつ状態であり入退院時とも40%と高かった。また,麻痺手の障害受容度も変化がなく,QOL は低いままであった。逆に,対象者を精神的に支える情緒的支援ネットワークが有意に低下していた。<br/><b>考察</b>&emsp;発病後平均 6 か月目である退院時における慢性脳血管障害者の特徴として,機能障害,能力低下の改善が認められたものの,うつ状態,QOL は変化がみられず推移し,また,情緒的支援ネットワークは低下したことが挙げられる。したがって,退院後に閉じこもりにつながる可能性が高く,閉じこもりに対する入院中の予防的対策の重要性が示唆された。
著者
藤井 保和 久須美 俊一 福谷 隆宏 岩井中 篤史
出版者
一般社団法人 電気学会
雑誌
電気学会論文誌D(産業応用部門誌) (ISSN:09136339)
巻号頁・発行日
vol.124, no.10, pp.1073-1079, 2004 (Released:2005-01-01)
参考文献数
22

This paper proposes an arc contact loss rate estimating method for Shinkansen trains with pantographs connected to bus cables. For the speedup of Shinkansen, it is necessary to judge whether the contact loss rate exceeds its standard value. As the standard of contact loss rate is provided from the viewpoint of contact strip wear caused by arcs, it is important to measure the amount of arc. The optical type contact loss measuring method which detects the contact loss by arcs is suitable for this purpose. It is difficult, however, to measure contact loss by this method in the daytime, because of the influence of outdoor light. To solve the above problem, we have developed an arc contact loss rate estimating method by using a contact loss simulation program on the basis of the complete contact loss rate measured by the current type contact loss measuring method which is effective in the daytime. Furthermore, we measured the contact loss rate simultaneously by the current and optical type contact loss measuring methods in the running tests of Shinkansen trains, and confirmed the validity of this estimation through a comparison of measured and simulated results.
著者
紙谷 雄志 岩井 和也 福永 泰司 木村 良太郎 中桐 理
出版者
日本食品科学工学会
雑誌
日本食品科学工学会誌 : Nippon shokuhin kagaku kogaku kaishi = Journal of the Japanese Society for Food Science and Technology (ISSN:1341027X)
巻号頁・発行日
vol.56, no.6, pp.336-342, 2009-06-15
参考文献数
25
被引用文献数
2 12

本研究は,超臨界抽出により脱カフェイン処理したコーヒー豆抽出物の糖質分解酵素阻害と,その主成分であるクロロゲン酸異性体の寄与,さらにラットによる糖質負荷後の血糖値上昇抑制作用について検討した.<BR>(1) コーヒー豆抽出物のクロロゲン酸類含有量は38.8%であり,8種のクロロゲン酸異性体はコーヒー豆抽出物の糖質分解酵素の阻害活性に63.1-85.8%寄与することが確認された.<BR>(2) クロロゲン酸異性体の阻害活性はジカフェオイルキナ酸が最も強く,順にカフェオイルキナ酸,フェルロイルキナ酸であった.その阻害活性にはカフェオイル基がフェルロイル基より強く作用し,カフェオイル基数と共にキナ酸への結合部位も重要であることが推察された.<BR>(3) コーヒー豆抽出物は&alpha;-GI剤(アカルボース,ボグリボース)と類似した作用機序を示し,効果量より低い&alpha;-GI剤量に対して,相加的な併用効果があることが推測された.また,&alpha;-グルコシダーゼ阻害を介した血糖値の上昇抑制作用を示し,糖尿病予防効果のある健康食品素材としての可能性が示唆された.
著者
紙谷 雄志 岩井 和也 福永 泰司 木村 良太郎 中桐 理
出版者
日本食品科学工学会
巻号頁・発行日
vol.56, no.6, pp.336-342, 2009 (Released:2011-04-05)

本研究は、超臨界抽出により脱カフェイン処理したコーヒー豆抽出物の糖質分解酵素阻害と、その主成分であるクロロゲン酸異性体の寄与、さらにラットによる糖質負荷後の血糖値上昇抑制作用について検討した。(1)コーヒー豆抽出物のクロロゲン酸類含有量は38.8%であり、8種のクロロゲン酸異性体はコーヒー豆抽出物の糖質分解酵素の阻害活性に63.1-85.8%寄与することが確認された。(2)クロロゲン酸異性体の阻害活性はジカフェオイルキナ酸が最も強く、順にカフェオイルキナ酸、フェルロイルキナ酸であった。その阻害活性にはカフェオイル基がフェルロイル基より強く作用し、カフェオイル基数と共にキナ酸への結合部位も重要であることが推察された。(3)コーヒー豆抽出物はα-GI剤(アカルボース、ボグリボース)と類似した作用機序を示し、効果量より低いα-GI剤量に対して、相加的な併用効果があることが推測された。また、α-グルコシダーゼ阻害を介した血糖値の上昇抑制作用を示し、糖尿病予防効果のある健康食品素材としての可能性が示唆された。
著者
岩井 詠美 辻本 朋美 井上 智子
出版者
公益社団法人 日本看護科学学会
雑誌
日本看護科学会誌 (ISSN:02875330)
巻号頁・発行日
vol.35, pp.111-117, 2015-07-28 (Released:2015-08-01)
参考文献数
14
被引用文献数
1

目的:病院に勤務する看護師による組織市民行動の実態を調査し,看護師に特徴的な組織市民行動を明らかにする.方法:2013年2月,近隣に位置する4つの公的病院の看護師1,003名を対象に自記式質問調査を行った.結果:有効回答数は763名(76.1%)であった.『スタッフ支援』について,4項目中2項目において「時々した」「よくした」を合わせて90%を超えた.一方,『ロイヤリティへの貢献』の全3項目において「全くしなかった」「あまりしなかった」を合わせて50%以上を占めた.組織市民行動の実施の程度の因子分析(n=409)では,質向上に関する行動,環境整備,指導,協力,ケアの提供に関する行動の5因子が抽出された.抽出された因子の実施状況の差をみたところ,5因子で有意差が見られ,質向上に関する行動が最も低く,協力が最も高かった.結論:看護師は,スタッフなど個人に向けた組織市民行動をよく行い,組織に向けた組織市民行動をあまり行っていない.看護師の組織市民行動において,協力など,一般的に組織市民行動とみなされている行動のほか,質向上に関する行動や指導など,看護師に特徴的な組織市民行動がみられた.
著者
奥田 紫乃 福本 陽子 原 直也 岩井 彌
出版者
日本建築学会
雑誌
日本建築学会環境系論文集 (ISSN:13480685)
巻号頁・発行日
vol.75, no.649, pp.255-260, 2010
被引用文献数
2 1

This study finally aims to clear the appropriate lighting conditions for kitchen work. In this report, we conducted the experiment on the subjective evaluation for cutting and peeling, under a variety of conditions of light source, illuminance, light color, and light direction. Subjects evaluated &ldquo;Brightness&rdquo;, &ldquo;Visibility&rdquo;, &ldquo;Task Performance&rdquo; and &ldquo;Satisfaction&rdquo;.<br>As the results, it was cleared that the evaluation for &ldquo;Task Performance&rdquo; is high, under conditions that task light is diffused light and high color temperature light, and that the evaluation of&lsquo;the satisfaction of lighting environment for kitchen work&rsquo;was different by the light direction under the same conditions of illuminance on the work table.
著者
紙谷 雄志 岩井 和也 福永 泰司 木村 良太郎 中桐 理
出版者
公益社団法人 日本食品科学工学会
雑誌
日本食品科学工学会誌 (ISSN:1341027X)
巻号頁・発行日
vol.56, no.6, pp.336-342, 2009-06-15 (Released:2009-07-31)
参考文献数
25
被引用文献数
8 12

本研究は,超臨界抽出により脱カフェイン処理したコーヒー豆抽出物の糖質分解酵素阻害と,その主成分であるクロロゲン酸異性体の寄与,さらにラットによる糖質負荷後の血糖値上昇抑制作用について検討した.(1) コーヒー豆抽出物のクロロゲン酸類含有量は38.8%であり,8種のクロロゲン酸異性体はコーヒー豆抽出物の糖質分解酵素の阻害活性に63.1-85.8%寄与することが確認された.(2) クロロゲン酸異性体の阻害活性はジカフェオイルキナ酸が最も強く,順にカフェオイルキナ酸,フェルロイルキナ酸であった.その阻害活性にはカフェオイル基がフェルロイル基より強く作用し,カフェオイル基数と共にキナ酸への結合部位も重要であることが推察された.(3) コーヒー豆抽出物はα-GI剤(アカルボース,ボグリボース)と類似した作用機序を示し,効果量より低いα-GI剤量に対して,相加的な併用効果があることが推測された.また,α-グルコシダーゼ阻害を介した血糖値の上昇抑制作用を示し,糖尿病予防効果のある健康食品素材としての可能性が示唆された.
著者
岩井 宏実
出版者
国立歴史民俗博物館
雑誌
国立歴史民俗博物館研究報告 (ISSN:02867400)
巻号頁・発行日
no.36, pp.p333-352, 1991-11

曲物は,刳物・挽物・指物(組物)・結物などとともに木製容器の一種類であるが,その用途はきわめて広く,衣・食・住から生業・運搬はもちろんのこと,人生儀礼から信仰生活にまでおよび,生活全般にわたって多用されてきた。そして,円形曲物・楕円形曲物は,飛鳥・藤原の時代にすでに大小さまざまのものが多く用いられ,奈良時代には方形・長方形のものがあらわれ,古代において広くその使用例を見ることができる。今日広く普及している桶・樽などの結物は,鎌倉時代後期から室町時代初期にその姿を見せるが,実際に庶民の日常生活に広く用いられるようになったのは,近世になってからである。したがって,それ以前は桶といえばすべて曲物であった。こうした曲物は神事・仏事にも多く用いられており,神具でいえば御樋代・奉納鏡筥・火桶・忌桶・三方・折敷・折櫃・行器その他さまざまな形状の神饌容器がある。また仏具では経筒内容器・布薩盥・閼伽桶・浄菜盆あるいは各種仏具容器として用いられている。神事や仏事は古風を尊び,できるだけ原初の姿を伝承しようとする風があるゆえ,それに用いる神具・祭具や仏具も古い用法や形状を伝えているものが多い。そこでそうした現行顕在曲物を検討していくとともに,出土遺物や文献資料あるいは絵巻物などの絵画資料をあわせて考察すると,曲物の様式的変遷も明らかになってくる。その結果,曲物のはじめは底板が固定されたものではなく,平らな板の上に側板を載せただけのもので,つぎに底板を側板の口径より大きく切り,随所に孔をあけて紐や樹皮で側板を底板に綴じつけたものになり,さらに底板に側の内径にあたる部分を厚くし,側板の接する部分から外側を薄くし,底板に側板がよく納まるようにしたカキイレゾコに似た仕様のものへとかわり,そこから漸次進歩して今日見るかたちになる過程を知ることができる。The round chip vessel is a type of wooden receptacle, together with the hollowed vessel, turned vessel, sectional vessel, tied vessel, and so on. Its wide range of applications extends from clothing, food, housing, industry, and transportation, to ceremonies in daily life and religious life; in other words, it has been widely used in all aspects of human life. Various sizes of round or oval chip receptacles were used as early as the Asuka and Fujiwara periods. In the Nara period, square or rectangular receptacles appeared. Thus, there are many examples of its usage in the Ancient times.Tied vessels such as pails or barrels, which are wide-spread today, appeared from the later Kamakura to the early Muromachi periods; but it was in the Early Modern period that they actually became widely used in the everyday life of the common people. Therefore, pails before the Early Modern Period can all be considered as round chip vessels.These round chip vessels were much used in Shinto and Buddhist ceremonies as well. Shinto ritualistic implements include Mihishiro, Honō Kagami Bako (mirror boxes), Hioke (fire pails), Imioke, Sanbō (offeratory stands), Oshiki (plates), Oribitsu (boxes), Hokai, and other various types of receptacles for food and wine offered to the gods. Buddhist ritualistic implements include Kyōzutsunaiyōki (cylindrical cases for sutras), Fusatsu Tarai Akaoke (water pails), Jyōsaibov (trays for vegetables), and other various cases for Buddhist implements. Since there is a tendency in Shinto or Buddhist rites to respect the ancient manner and to hand down the original styles, many of the Shinto or Buddhist implements used for these rites retain their ancient usages and shapes.Therefore, while studying the existing round chip receptables, excavated articles and materials seen in philological documents or picture scrolls were investigated to clarify the stylistic transition of round chip receptables, as a result of which, the following process came to light. 1) At first, the bottom board was not fixed, but the side board was put on a flat bottom board. 2) Then, the bottom board was cut larger than the side board, and holes were pierced at appropriate positions for stitching the side board together with the bottom board, using a cord or bark string. 3) The bottom board was made thicker in the part where it touched the inner diameter of the side board, and the outside of the side board was thinned starting from where it touched the bottom board, so that the bottom board would fit well to the side board. This is similar to the specification for Kakiirezoko. 4) Finally, the round chip receptables were improved into the form we see today.
著者
岩井 八郎
出版者
京都大学大学院教育学研究科
雑誌
京都大学大学院教育学研究科紀要
巻号頁・発行日
vol.67, pp.99-121, 2021-03-25

戦時体制下において, 女性の教育機会は拡大し労働力需要も著しく高まったが, その一方で出産力と家族を維持するための政策も次々と打ち出された.本稿は, 「職業移動と経歴調査(女子調査), 1983」の再分析によって, 戦時体制が女性のライフコースに与えた影響を明らかにしている.分析では, 1913-20年出生, 1921-25年出生, 1926-30年出生の3つの出生コーホートについて, 学歴別に人生パターンを比較している.分析結果として, 1921-25年出生の10代後半から20代前半に戦時体制の影響が強くあらわれていた.とりわけ中等教育卒の中で, 20歳までに事務職が急増し, それが25歳までに急減している点が重要である.高度成長期以降, M字型就業パターンは日本人女性のライフコースの特徴とされてきた.本稿は, 20代半ばまでのパターンの原型が戦時体制下で中等教育を終え就業した若い女性層に登場したと論じている.# ja
著者
佐藤 三佳子 岩井 浩二 鬼塚 英一郎 高畑 能久 森松 文毅 佐藤 雄二
出版者
公益社団法人 日本食品科学工学会
雑誌
日本食品科学工学会誌 (ISSN:1341027X)
巻号頁・発行日
vol.58, no.4, pp.159-163, 2011-04-15 (Released:2011-05-31)
参考文献数
18
被引用文献数
1 1

ブタ大動脈を原料としてエラスチン加水分解ペプチド(エラスチンペプチド)を調製し,その摂取がヒトの皮膚弾力性にもたらす影響について検討した.はじめに,エラスチンペプチド経口摂取後のヒト血液中のアミノ酸濃度の変化を観察した.成人男性5名を被験者として,12時間絶食後にエラスチンペプチドを摂取させた.その結果,エラスチンペプチド経口摂取後に血中の総アミノ酸量が増加し,増加したアミノ酸の組成は,摂取したエラスチンペプチドのアミノ酸組成に類似していた.また,ハイドロキシプロリンおよびアルギニンがそれぞれペプチド態として血中に検出され,エラスチンペプチドの少なくとも一部はペプチド態として血中に移行していると考えられた.次に,39名の中高齢者を3群にわけ1日量0, 100, 200mgのエラスチンペプチドを8週間継続摂取させ皮膚弾力性を測定した.100mg, 200mg摂取群において摂取開始8週目に摂取前と比較して有意に皮膚弾力性が上昇した.またその変化率は0mgと比較して200mg群で有意に高値を示した.以上より,エラスチンペプチドの経口摂取はヒトの皮膚弾力性を向上させることが示唆された.
著者
岩井 敏
出版者
Japan Health Physics Society
雑誌
保健物理 (ISSN:03676110)
巻号頁・発行日
vol.43, no.3, pp.211-225, 2008 (Released:2010-08-05)
参考文献数
40

In the field of radiation protection, quality factor Q (L) and radiation weighting factor wR are important coefficients for estimating both radiation protection and operational quantities to the mixed types of radiation exposure. However, some inconsistencies might be found between Q (L) and wR for estimating effective dose, for example. Some inconsistencies are attributed to incomplete definition of terms Q (L) and wR. This report presents the root and evolution of quality factor Q (L) and radiation weighting factor wR for the years 1931-2007, to clarify the current issues of inconsistencies to be solved.
著者
井上 義和 岩井 洋 広沢 俊宗 イノウエ ヨシカズ イワイ ヒロシ ヒロサワ トシムネ Yoshikazu INOUE Hiroshi IWAI Toshimune HIROSAWA
雑誌
関西国際大学地域研究所叢書
巻号頁・発行日
vol.3, pp.49-54, 2006-03

日本のプロ野球の現状や制度に対するファンの態度は、どのような要因に規定されているのか。個別の態度表明の背後にある業績主義と娯楽主義および適正規模へのスリム化という3つの評価基準を抽出したうえで、それぞれを重視する要因として、性別・年齢・学歴・年収といった社会的な属性と応援する球団の所属リーグの効果を分析した。その結果、業績主義的な傾向は男性パリーグファンに、娯楽主義的な傾向は女性・若者・低学歴層・セリーグファンに、それぞれ認められた。適正規模をめぐる批判的な視点は、スリム化を肯定する傾向は高学歴層に、セーフティネットを要求する傾向は男性パリーグファンに、それぞれ認められた。
著者
林国興 岩井祐太 西山裕之
雑誌
第73回全国大会講演論文集
巻号頁・発行日
vol.2011, no.1, pp.283-284, 2011-03-02

近年,携帯端末の高機能化,無線通信の向上などに伴い,これを用いた様々なサービスが普及しており,中でも,位置情報サービスにおいては,携帯電話へのGPS搭載義務化を受けより一層注目を集めている.しかしながら,屋内環境においてはGPSの取得が困難であるため,アクセスポイントや発信機といったインフラを利用した位置推定を行うシステムが多く提案されている一方,設置や初期設定などからユーザが容易に利用できるとは言い難い.本研究では,インフラを利用することなく,携帯端末によるアドホックネットワークを形成することにより相対的な位置を推定する手法を提案する.また,位置推定精度の評価実験を行い,システムの有効性を示す.