著者
森 星豪 岩井 彌 篠田 博之 森村 潔 芝池 正子
出版者
一般社団法人 照明学会
雑誌
照明学会 全国大会講演論文集
巻号頁・発行日
vol.38, pp.57, 2005

オフィス照明において作業者の集中力を高めかつ省エネルキ゛ー化が期待できる照明方法にタスク&アンヒ゛エント(以下、T&A)照明があるが、単に周辺のアンヒ゛エント照明の照度を下げただけでは室内の印象が暗く陰鬱に感じられ、明るさ感が低下するという問題があった。省エネルキ゛ーに貢献するT&A照明の普及には省エネルキ゛ーだけではなく快適性との両立が必要であり、そのためには明るさ感の低下を必要最小限に抑える技術の開発が不可欠となる。本稿では本照明方法を実現する照明機器の試作機を開発し、オフィス空間を想定した実験室に設置し(スハ゜ークル照明とタスク照明に関してはLEDを使用)、視環境評価実験を実施した。<BR>実験結果よりLED利用T&A照明にて従来アンヒ゛エント照明と同等レヘ゛ルの視環境を実現できることが分かったが、今回の実験条件では両者の総消費電力がほぼ同等であった。しかし、今回用いたLEDの発光効率は約30lm/Wであり、発光効率が4倍になると20%の消費電力を削減できることより、今回開発したT&A照明は近い将来(2011年にLEDの発光効率が120lm/Wになると予測)、省エネルキ゛ーと快適性との両立が図れる照明方法として期待することができる。今後はよりサイス゛の大きなオフィス空間にてさらなる実用化検討を行う。
著者
岩井 琢磨 牧口 松二
出版者
日本マーケティング学会
雑誌
マーケティングジャーナル (ISSN:03897265)
巻号頁・発行日
vol.40, no.1, pp.107-117, 2020

<p>このケースでは,年間4億本という売上本数を誇る氷菓「ガリガリ君」に注目する。「ガリガリ君」は,赤城乳業から1981年に発売されたロングセラーブランドである。赤城乳業は2004年から,同商品のパッケージ・キャラクター「ガリガリ君」のマーケティング活用を積極化している。以降,新味追加などの契機に話題を発信し,氷菓「ガリガリ君」の売上本数を,2004年の1億本台から2013年の4億本台へと成長させている。この間の「ガリガリ君」のマーケティングを担当したのが,現在は赤城乳業株式会社 執行役員 開発本部本部長代行である萩原史雄である。荻原は1995年に赤城乳業に入社,営業として販売現場に立ち,販売企画課を経て2004年に営業統括部(マーケティング担当)を設立した。さらに2006年にはキャラクター「ガリガリ君」をマネジメントする「ガリガリ君プロダクション」を設立し,2013年にはマーケティング部を設立した。正に「ガリガリ君」を核とした取り組みによって多くの生活者による語りを生み出してきた人物である。このケースでは,萩原に対する2018年の取材および2020年の講演に基づき,赤城乳業が氷菓「ガリガリ君」を成長させたマーケティング活動のプロセスについて見る。</p>
著者
林 芙美 坂口 景子 小岩井 馨 武見 ゆかり
出版者
日本健康教育学会
雑誌
日本健康教育学会誌 (ISSN:13402560)
巻号頁・発行日
vol.28, no.4, pp.245-258, 2020-11-30 (Released:2020-12-08)
参考文献数
34

目的:児童を対象に食に関する主観的QOL(subjective diet-related quality of life: SDQOL)を用いて食生活の満足度を総合的に評価し,食行動・食態度や児童の食事中に本人や家族がスマートフォン等(以下,スマホ等とする)を使用することがSDQOLとどう関連するかを検討する.方法:研究デザインは横断研究である.2019年3月,埼玉県S市内の公立小学校3校に在籍する5年生全員を対象に自記式質問紙調査を集合法により実施した.当日欠席者等を除く255名(男子114名,女子141名)を解析対象者とした.食行動・食態度およびスマホ等の使用状況別に対象者を4群に分け,クラスカル・ウォリス検定を用いてSDQOLの合計得点を比較した.結果:食行動・食態度が良好で且つ食事中に児童本人や家族のスマホ等の使用がまったくないと回答した児童でSDQOLは高かった.しかし,食行動・食態度が良好であっても,家族がスマホ等を使用することがある児童のSDQOLは低かった.また,児童本人や家族が食事中にスマホ等を使用していても,夕食時に自発的な会話があるなどの食行動が良好な児童のSDQOLは高かった.結論:SDQOLの向上においては,児童の食事中に家族がスマホ等を使用しないこと,また,スマホ等を使用することがあってもコミュニケーションが活発になる環境を整えることが重要であると示唆された.
著者
大前 麻理子 岩井 大 池田 耕士 八木 正夫 馬場 奨 金子 敏彦 島野 卓史 山下 敏夫
出版者
日本口腔・咽頭科学会
雑誌
口腔・咽頭科 (ISSN:09175105)
巻号頁・発行日
vol.17, no.3, pp.393-398, 2005-06-01 (Released:2010-06-28)
参考文献数
20
被引用文献数
1

耳下腺多形腺腫症例60例についてMRIT2強調画像の信号強度と病理像とを比較し, 検討を行った.MRIT2強調画像の信号強度を3タイプに分類したとき, 正常耳下腺組織より著明に高い信号を示すタイプは, 45例75%に認められた.軽度高信号から等信号を示すタイプは9例15%, 低信号のタイプは6例10%であった.これらの症例それぞれの病理像を見ると, 粘液腫様・軟骨腫様間質は高信号領域に相当し, 一方, 細胞の密な領域は軽度高信号から等信号領域に, 線維性結合織は低信号領域に一致した.耳下腺多形腺腫はMRIT2強調画像で一般に高信号を示すとされるが, 今回の検討では, 等信号からそれより信号の低いタイプが全体の25%に認められたことになる.耳下腺腫瘍で多数を占める本腫瘍の, MR所見における特徴の把握が, この腫瘍の診断と他の耳下腺腫瘍との鑑別に有用であると考える.
著者
内海 新 岩井 信彦 青柳 陽一郎
出版者
社団法人 日本理学療法士協会近畿ブロック
雑誌
近畿理学療法学術大会
巻号頁・発行日
vol.2009, pp.101, 2009

【はじめに】片麻痺患者の基本動作を障害し、リハビリテーションを阻害する症候の一つに、Pusher症候群(以下、PS)がある。PSを呈する症例に対して、端坐位などの姿勢保持能力の向上に対する介入方法の報告は多いが、立ち上がりや移乗などの動作能力の改善に向けた介入方法の報告は少ない。今回、PSを呈する片麻痺患者に対して、端坐位保持能力を再獲得した後に移乗動作能力の向上を目的にアプローチを行い、改善を認めたので若干の考察を加え報告する。<BR>【症例紹介】70代男性。診断名は右中大脳動脈出血性梗塞。障害名は左片麻痺。現病歴は2008年9月下旬発症。10月中旬リハビリテーション目的にて当院入院。2009年2月下旬退院した。既往歴は1994年心原性脳梗塞による左片麻痺。発症前ADLは独居・独歩可能レベルであった。<BR>【初期評価】指示理解良好も、自発語は少ない。HDS-R10点。Br.stage上肢手指I、下肢II。感覚は精査困難。左半側空間無視、構成失行、左右失認を認めた。PS重症度(網本の分類)は最重度 (坐位1点、立位・歩行2点)。寝返り起き上がりは全介助。移乗動作は麻痺側からは中程度介助、非麻痺側ではPushingが強く全介助でも困難であった。<BR>【治療と経過】端坐位保持能力が実用レベルに向上した後、平行棒内での立ち上がり及び立位保持練習を実施した。しかしPSの影響により非麻痺側への重心偏椅が強く立位保持困難であった。そこで、昇降機能のある治療台での端坐位姿勢から治療台を上昇させて殿部のみが治療台に接触している状態を経て、最終的に立位姿勢になるように操作を行った。これにより重心線が比較的正中位と一致した状態で立位保持が可能となり、連続して非麻痺側への重心移動練習を行うことができた。結果、随意的な非麻痺側への重心移動、さらに立ち上がり動作時の麻痺側への重心偏椅が軽減し、非麻痺側からの移乗動作が、軽介助で可能となった。退院時のPS重症度は軽度 (坐位・立位0点、歩行1点)であった。<BR>【考察】近年、PSの要因の一つとして重力認知システムの障害の可能性が報告されている。また坐位よりは立位・歩行など抗重力筋の活性化が必要となる姿勢や動作でPushingがより強く出現することも知られている。本症例では平行棒内の立位保持が困難であった時期に、昇降機能付き治療台を利用することで立位保持が可能となった。その要因として、坐位から立位姿勢への移行に際し、機械的に座面を上昇させることで立ち上がり動作に伴う反射的で過剰な抗重力筋群の筋収縮を抑制できた事がPushingの軽減に寄与したためと考える。さらに、比較的容易に垂直立位保持が可能になったことで、移乗動作に必要な非麻痺側への重心移動を効果的に学習できたと考える。このような重心移動練習を繰り返す事で重力認知システムに何らかの変化が生じたか、反復練習により習熟化がなされた可能性がある。結果、PSが軽減し、立ち上がりや、非麻痺側からの移乗動作能力が向上したと考える。今後は症例を増やし、今回の介入方法の効果を検討したい。
著者
町井 研士 岩井 浤 大塚 佑子 上田 雄幹 平野 紀夫
出版者
公益社団法人 日本実験動物学会
雑誌
Experimental Animals
巻号頁・発行日
vol.37, no.3, pp.251-255, 1988

ELISAによるラット血清中の抗コロナウイルス抗体検出のために, 唾液腺涙腺炎ウイルス (SDAV) TG株, パーカーのラットコロナウイルス (PCV) 8190株, 及びマウス肝炎ウイルス (MHV) S及びNuU株で作製した抗原の, 免疫血清及び自然感染血清との反応性を比較検討した。免疫血清についての検討では, SDAV及びPCV抗原は, 同種抗原に対する抗血清と最も高い反応性を示した。一方, MHV抗原はすべての抗血清と同程度の反応性を示し, また, MHV-Sの方がMHV-NuUより高い反応性を示した。数ヵ所のラット飼育集団由来の自然感染血清と各抗原との反応性は, SDAV, MHV-S, MHV-NuU, PCVという順に高い傾向を示し, SDAV陰性の血清で他の抗原に陽性のものは認められなかった。また, SDAV陽性の血清は, MHV-S, MHV-NuU, PCVの順に陽性率が低下する傾向がみられた。これらの結果より, ELISAによるラットのコロナウイルス抗体の検出にはSDAVおよびPCV抗原の使用が最適であるが, ウイルス株によってはMHV抗原も利用し得ることが示唆された。
著者
水谷 信夫 守屋 成一 山口 卓宏 伊藤 健二 田渕 研 角田 隆 岩井 秀樹
出版者
JAPANESE SOCIETY OF APPLIED ENTOMOLOGY AND ZOOLOGY
雑誌
日本応用動物昆虫学会誌 (ISSN:00214914)
巻号頁・発行日
vol.55, no.3, pp.163-170, 2011
被引用文献数
15

マメ科植物を寄主とするホソヘリカメムシのレンゲ,アカクローバ,ダイズでの発生消長を調査し,周年の発生生態を明らかにした.レンゲでは,4月下旬以降成虫が認められ,幼虫の発生は5月中旬~6月中旬から認められた.レンゲにおける成・幼虫の密度は,年次および場所間で大きく異なった.アカクローバでは,成虫の飛来時期が年次によって異なり,5月下旬~7月上旬から成虫が認められた.幼虫の発生は6月下旬~7月上旬から認められ,その後8月下旬~10月中旬まで成・幼虫が認められた.ダイズでは成・幼虫の発生量の年次間差は小さく,7月下旬~8月上旬に成虫に引き続いて幼虫が確認された.その後,幼虫が10月中旬まで,成虫が11月中旬まで認められた.各々の植物上で幼虫および次世代成虫の発生が認められたことから,ホソヘリカメムシは,レンゲ,アカクローバ,ダイズを寄主植物として順次利用することにより,周年の生活史を完結することができると考えられた.
著者
西 泰信 岩井 圭司
出版者
一般社団法人 日本体育学会
雑誌
体育学研究 (ISSN:04846710)
巻号頁・発行日
vol.57, no.2, pp.483-499, 2012 (Released:2012-12-05)
参考文献数
29
被引用文献数
1

The purpose of this study was to identify psychological factors that contribute to the development of sub-clinical primary exercise dependence among Japanese exercisers. Most studies of exercise dependence follow a top-down, quantitative, hypothesis-verification approach. The present study, in contrast, used a qualitative method, the Grounded Theory Approach. Dialogue data were collected from 14 exercisers who were evaluated for sub-clinical primary exercise dependence in semi-structured interviews and analyzed by classifying them into categories. Through these steps, seven types as psychological factors were identified as leading to sub-clinical primary exercise dependence among Japanese exercisers: dependence, obsessive-compulsiveness, conflict avoidance, maintenance of a positive self-concept, perceieved benefit of exercise, limited stress-coping resource, and typical increase in exercise volume. It was also found that dependence and obsessive-compulsiveness play a crucial and direct role in the development of sub-clinical primary exercise dependence, and that conflict avoidance and maintenance of a positive self-concept can precipitate obsessive-compulsiveness. Finally, a perceived benefit of exercise was shown to be an integral component of dependence.
著者
岩井 大慧
出版者
慶應義塾大学
雑誌
史学 (ISSN:03869334)
巻号頁・発行日
vol.14, no.2, pp.283-291, 1935-08
著者
宮田 一弘 小泉 雅樹 岩井 優香 小林 正和 臼田 滋
出版者
日本理学療法士学会
雑誌
理学療法学 (ISSN:02893770)
巻号頁・発行日
vol.43, no.2, pp.118-126, 2016 (Released:2016-04-20)
参考文献数
33

【目的】Balance Evaluation Systems Test(以下,BESTest),Mini-BESTest,Brief-BESTest およびBerg Balance Scale(以下,BBS)の得点分布の特性と転倒予測精度を比較することである。【方法】57名の入院患者(脳卒中者と骨折者)を対象とした。退院時に3 つのBESTest とBBS を測定し,退院後6 ヵ月間の転倒の有無を調査した。評価指標の得点分布と転倒予測精度を検討した。【結果】BBS のみに天井効果を認め,歪度からBBS の分布に偏りを認めた。転倒予測精度について,Area under the curve と感度でMini-BESTest が最も高く,特異度ではBBS が最も高かった。【結論】Mini-BESTest は,その得点分布が比較的均一で,中等度の転倒予測精度を有し,動作課題項目も少ないことから有用性の高い評価であることが示唆された。