著者
平野 義太郎
出版者
The Japanese Association of Sociology of Law
雑誌
法社会学 (ISSN:04376161)
巻号頁・発行日
vol.1974, no.27, pp.92-105, 1974-10-10 (Released:2009-01-15)
参考文献数
1
著者
平野 晋
出版者
中央大学国際情報学部
雑誌
国際情報学研究 (ISSN:2435855X)
巻号頁・発行日
vol.1, pp.131-152, 2021-03-25

R&D for artificial intelligence(“AI”)or usage thereof requires consideration on ethical, legal, and social implications (“ELSI”) because AI inherently contains dangerous characteristics such as uncontrollability, opacity, and unforeseeability. In this piece, the author tries to persuade readers to understand the necessity of ELSI through narratives and by focusing upon un-controllability of AI. He picks up some exemplary narratives from famous sci-fi films such as Robocop(Orion Pictures 1987)and 2001 Space Odyssey(MGM 1968). Also he shows some counter-measures against the un-controllability of AI.
著者
山内 秀雄 平野 悟 桜川 宣男 黒川 徹
出版者
THE JAPANESE SOCIETY OF CHILD NEUROLOGY
雑誌
脳と発達 (ISSN:00290831)
巻号頁・発行日
vol.24, no.3, pp.291-293, 1992

顔面および下肢の皮膚の単純性血管腫, 同側の頭皮動静脈凄, 対側の小脳動静脈奇形を同時に合併した7歳女児を報告した. 小脳出血で発症し, 発症までの精神運動発達および診察上神経学的所見は正常であった. 皮膚および頭蓋内病変の合併が偶然である可能性も否定できないが, 病因論的には胎芽期における血管形成期の錯誤現象の結果生じたものと考えた. これまで報告されている神経皮膚症候群中で本例に該当するものはない. しかし本例は, 神経皮膚症候群の基本的疾患概念を満足するものであり新しい神経皮膚症候群である可能性をもつものとして考慮すべきであると考えられた.
著者
鈴木 徹 平野 幹雄 北 洋輔 郷右近 歩 野口 和人 細川 徹
出版者
一般社団法人 日本特殊教育学会
雑誌
特殊教育学研究 (ISSN:03873374)
巻号頁・発行日
vol.51, no.2, pp.105-113, 2013 (Released:2015-02-18)
参考文献数
15
被引用文献数
1

従来、自閉症児の対人相互交渉の困難は、他者理解の困難が背景要因として指摘されてきた。しかしながら、心の理論課題の結果と日常生活の様相について実証的な研究は行われてこなかった。本研究では、高機能自閉症の一事例を対象に、心の理論課題の実施と実際の様相、とりわけ自身の言動と他者の言動の因果関係の理解の様相から対人相互交渉の困難の要因について検討を行った。その結果、心の理論課題を通過した対象児は、対人相互交渉において、過去の他者の言動と現在の状態との因果関係について適切な解釈を行っていた。一方、過去の自身の言動と現在の状態の因果関係について誤った解釈を行うことが多かった。このことから、対人相互交渉の困難を招く一因として、自己の言動の認識の困難という可能性について論じた。
著者
鈴木 徹 平野 幹雄
出版者
NPO法人 日本自閉症スペクトラム支援協会 日本自閉症スペクトラム学会
雑誌
自閉症スペクトラム研究 (ISSN:13475932)
巻号頁・発行日
vol.16, no.1, pp.67-72, 2018-09-30 (Released:2019-09-30)
参考文献数
11

本研究では、知的障害特別支援学校中学部および高等部に通うASD児と知的障害児を対象とした自己/他者理解課題の実施と教員を対象とした社会的相互作用場面に関する半構造化面接の実施から、ASD児における自己/他者理解の程度と社会的相互作用との関連について検討した。結果として、ASD群は自己/他者理解課題の通過率が知的障害群よりも低かった。また、ASD群では自己/他者理解の程度が低い(高い)と社会的相互作用の自己/他者理解の問題が多い(少ない)傾向を示したが、知的障害群ではそのような傾向は認められなかった。これらのことから、ASD児においては、自己/他者理解の程度と社会的相互作用の様子に関連があり、自己/他者理解の程度が社会的相互作用における自己/他者理解の問題の頻度に反映されていることが示唆された。
著者
江木 盛時 小倉 裕司 矢田部 智昭 安宅 一晃 井上 茂亮 射場 敏明 垣花 泰之 川崎 達也 久志本 成樹 黒田 泰弘 小谷 穣治 志馬 伸朗 谷口 巧 鶴田 良介 土井 研人 土井 松幸 中田 孝明 中根 正樹 藤島 清太郎 細川 直登 升田 好樹 松嶋 麻子 松田 直之 山川 一馬 原 嘉孝 大下 慎一郎 青木 善孝 稲田 麻衣 梅村 穣 河合 佑亮 近藤 豊 斎藤 浩輝 櫻谷 正明 對東 俊介 武田 親宗 寺山 毅郎 東平 日出夫 橋本 英樹 林田 敬 一二三 亨 廣瀬 智也 福田 龍将 藤井 智子 三浦 慎也 安田 英人 阿部 智一 安藤 幸吉 飯田 有輝 石原 唯史 井手 健太郎 伊藤 健太 伊藤 雄介 稲田 雄 宇都宮 明美 卯野木 健 遠藤 功二 大内 玲 尾崎 将之 小野 聡 桂 守弘 川口 敦 川村 雄介 工藤 大介 久保 健児 倉橋 清泰 櫻本 秀明 下山 哲 鈴木 武志 関根 秀介 関野 元裕 高橋 希 高橋 世 高橋 弘 田上 隆 田島 吾郎 巽 博臣 谷 昌憲 土谷 飛鳥 堤 悠介 内藤 貴基 長江 正晴 長澤 俊郎 中村 謙介 西村 哲郎 布宮 伸 則末 泰博 橋本 悟 長谷川 大祐 畠山 淳司 原 直己 東別府 直紀 古島 夏奈 古薗 弘隆 松石 雄二朗 松山 匡 峰松 佑輔 宮下 亮一 宮武 祐士 森安 恵実 山田 亨 山田 博之 山元 良 吉田 健史 吉田 悠平 吉村 旬平 四本 竜一 米倉 寛 和田 剛志 渡邉 栄三 青木 誠 浅井 英樹 安部 隆国 五十嵐 豊 井口 直也 石川 雅巳 石丸 剛 磯川 修太郎 板倉 隆太 今長谷 尚史 井村 春樹 入野田 崇 上原 健司 生塩 典敬 梅垣 岳志 江川 裕子 榎本 有希 太田 浩平 大地 嘉史 大野 孝則 大邉 寛幸 岡 和幸 岡田 信長 岡田 遥平 岡野 弘 岡本 潤 奥田 拓史 小倉 崇以 小野寺 悠 小山 雄太 貝沼 関志 加古 英介 柏浦 正広 加藤 弘美 金谷 明浩 金子 唯 金畑 圭太 狩野 謙一 河野 浩幸 菊谷 知也 菊地 斉 城戸 崇裕 木村 翔 小網 博之 小橋 大輔 齊木 巌 堺 正仁 坂本 彩香 佐藤 哲哉 志賀 康浩 下戸 学 下山 伸哉 庄古 知久 菅原 陽 杉田 篤紀 鈴木 聡 鈴木 祐二 壽原 朋宏 其田 健司 高氏 修平 高島 光平 高橋 生 高橋 洋子 竹下 淳 田中 裕記 丹保 亜希仁 角山 泰一朗 鉄原 健一 徳永 健太郎 富岡 義裕 冨田 健太朗 富永 直樹 豊﨑 光信 豊田 幸樹年 内藤 宏道 永田 功 長門 直 中村 嘉 中森 裕毅 名原 功 奈良場 啓 成田 知大 西岡 典宏 西村 朋也 西山 慶 野村 智久 芳賀 大樹 萩原 祥弘 橋本 克彦 旗智 武志 浜崎 俊明 林 拓也 林 実 速水 宏樹 原口 剛 平野 洋平 藤井 遼 藤田 基 藤村 直幸 舩越 拓 堀口 真仁 牧 盾 増永 直久 松村 洋輔 真弓 卓也 南 啓介 宮崎 裕也 宮本 和幸 村田 哲平 柳井 真知 矢野 隆郎 山田 浩平 山田 直樹 山本 朋納 吉廣 尚大 田中 裕 西田 修 日本版敗血症診療ガイドライン2020特別委員会
出版者
一般社団法人 日本集中治療医学会
雑誌
日本集中治療医学会雑誌 (ISSN:13407988)
巻号頁・発行日
vol.28, no.Supplement, pp.27S0001, 2020 (Released:2021-02-25)
被引用文献数
2

日本集中治療医学会と日本救急医学会は,合同の特別委員会を組織し,2016 年に発表した日本版敗血症診療ガイドライン(J-SSCG) 2016 の改訂を行った。本ガイドライン(J-SSCG 2020)の目的は,J-SSCG 2016 と同様に,敗血症・敗血症性ショックの診療において,医療従事者が患者の予後改善のために適切な判断を下す支援を行うことである。改訂に際し,一般臨床家だけでなく多職種医療者にも理解しやすく,かつ質の高いガイドラインとすることによって,広い普及を目指した。J-SSCG 2016 ではSSCG 2016 にない新しい領域[ICU-acquired weakness( ICU-AW)と post-intensive care syndrome(PICS),体温管理など]を取り上げたが,J-SSCG 2020 では新たに注目すべき4 領域(Patient-and Family-Centered Care,sepsis treatment system,神経集中治療,ストレス潰瘍)を追加し,計22 領域とした。重要な118 の臨床課題(clinical question:CQ)をエビデンスの有無にかかわらず抽出した。これらのCQ には,本邦で特に注目されているCQ も含まれる。多領域にわたる大規模ガイドラインであることから,委員25 名を中心に,多職種(看護師,理学療法士,臨床工学技士,薬剤師)および患者経験者も含めたワーキンググループメンバー,両学会の公募によるシステマティックレビューメンバーによる総勢226 名の参加・協力を得た。また,中立的な立場で横断的に活躍するアカデミックガイドライン推進班をJ-SSCG 2016 に引き続き組織した。将来への橋渡しとなることを企図して,多くの若手医師をシステマティックレビューチーム・ワーキンググループに登用し,学会や施設の垣根を越えたネットワーク構築も進めた。作成工程においては,質の担保と作業過程の透明化を図るために様々な工夫を行い,パブリックコメント募集は計2 回行った。推奨作成にはGRADE方式を取り入れ,修正Delphi 法を用いて全委員の投票により推奨を決定した。結果,118CQ に対する回答として,79 個のGRADE による推奨,5 個のGPS(good practice statement),18 個のエキスパートコンセンサス,27 個のBQ(background question)の解説,および敗血症の定義と診断を示した。新たな試みとして,CQ ごとに診療フローなど時間軸に沿った視覚的情報を取り入れた。J-SSCG 2020 は,多職種が関わる国内外の敗血症診療の現場において,ベッドサイドで役立つガイドラインとして広く活用されることが期待される。なお,本ガイドラインは,日本集中治療医学会と日本救急医学会の両機関誌のガイドライン増刊号として同時掲載するものである。
著者
兎澤 良輔 源 裕介 浅田 菜穂 荒井 沙織 平野 正広 川崎 翼 赤木 龍一郎 加藤 宗規
出版者
理学療法科学学会
雑誌
理学療法科学 (ISSN:13411667)
巻号頁・発行日
vol.36, no.4, pp.543-546, 2021 (Released:2021-08-20)
参考文献数
16

〔目的〕小学校高学年児童におけるmodified Star Excursion Balance Test(mSEBT)の信頼性を検討することを目的とした.〔対象と方法〕健常な小学校高学年児童9名にmSEBT を2回連続で実施し,その際の検者内信頼性およびBland-Altman分析(BAA),誤差範囲を算出した.〔結果〕3つの方向の級内相関係数(ICC)(1,1)は0.797–0.875であった.BAAの結果,前方リーチ,同側後方リーチに固定誤差が認められた.測定の誤差は最大で16 cmであった.〔結語〕小学校高学年児童においてmSEBTのICCは高値を示したが,測定の誤差は測定値から比較して許容できないほど高値となったため,小学校高学年児童に対するmSEBTは慎重に利用すべきである.
著者
関 智行 新井 冨生 山口 雅庸 石川 文隆 齊藤 美香 大平 真理子 平野 浩彦 石山 直欣
出版者
一般社団法人 日本老年歯科医学会
雑誌
老年歯科医学 (ISSN:09143866)
巻号頁・発行日
vol.25, no.3, pp.315-321, 2010

ビスフォスフォネート (以下BPs) 製剤は骨代謝異常疾患に対して有効であり, その使用症例が近年増加しているが, それにともないBPs製剤に関連した顎骨壊死 (Bisphosphonate-related osteonecrosis of the jaw, 以下BRONJ) の報告も増加している。今回, われわれは多発性骨髄腫に対してBPs静注剤の投与を受けた患者で, 上下顎骨壊死をきたした剖検例を経験し, 口腔露出部顎骨と骨が露出していない下顎骨を病理組織学的に比較検討を行ったので報告する。<BR>症例は77歳男性。初診時, 上顎右側第二小臼歯部に骨露出を認めた。多発性骨髄腫に対してBPs静注剤の長期投与の既往があることからBPs関連顎骨壊死を考慮し, 抗菌薬投与と局所洗浄を行った。また, 多発性骨髄腫による骨症状がないことからBPsを中止した。初診3カ月後, 下顎右側犬歯から第二小臼歯部に新たな骨露出を認めた。初診6カ月後には上顎右側第一小臼歯が自然脱落した。初診8カ月後に間質性肺炎悪化にともなう呼吸不全で死亡した。剖検が行われ, 口腔に露出していた上下顎骨は病理組織学的に骨壊死を呈していた。また, 粘膜に被覆され骨が露出していない右側第三大臼歯頬側の下顎骨を検体として採取し病理組織学的に検索した結果, 骨小腔には骨細胞が散見され, 骨髄組織に慢性炎症像が認められた。<BR>BRONJにおいては, 顎骨壊死が露出領域を超えて顎骨未露出領域まで拡大している可能性が示唆された。
著者
窪田 正利 平野 雄大 長谷川 博
出版者
日経BP社
雑誌
日経ニューメディア (ISSN:02885026)
巻号頁・発行日
no.1502, pp.13-14, 2016-02-29

フジテレビジョンは、有料放送の番組をインターネットを通じて提供するライブストリーミングサービスを強化する。既に展開中の「フジテレビNEXTsmart」に加えて、CS放送「フジテレビONE スポーツ・バラエティ」と「フジテレビTWO ドラマ・アニメ」の編成内容を…
著者
片山 夕香 吉池 信男 政安 静子 平野 孝則 佐藤 明子 稲山 貴代
出版者
公益社団法人 日本栄養士会
雑誌
日本栄養士会雑誌 (ISSN:00136492)
巻号頁・発行日
vol.54, no.1, pp.25-35, 2011 (Released:2011-12-27)
参考文献数
21
被引用文献数
1

本研究は、知的障害者施設成人入所者の栄養アセスメントに活用できる、性・年齢階級別のパーセンタイル値を含む身体計測値の基準データを提示することを目的とした。調査時点で正式登録のあった全国の知的障害者入所全施設(1,950施設)に対し、年齢階級(30歳代から50歳代)、性、原疾患、日常生活自立度、身長、調査時点の体重、1年前の体重、5年前の体重のカルテ調査を依頼した。最終的に188施設から5,371名分の回答が得られ、調査内容に欠損のない4,903名(男性2,643名、女性2,260名)を解析対象とした。日常生活自立度は、約88%が「自立」から「A1」のおおむね1人で活動できる者であった。調査時点での身長、体重データから、男性では、過体重(BMI≧25kg/m2)16%、低体重(同<18.5)13%、女性では過体重27%、低体重12%であった。てんかん、精神遅滞・発達障害を原疾患に持つサブグループのBMI分布は、全体のBMI分布と比べ大きな差は見られなかった。5年前の体重を用いた後ろ向きデータから、中年期において男女いずれも体重が5年間で3%前後減少する傾向が見られ、健常者中年期の年齢変化による体重推移とは対照的であった。これらの結果から、知的障害者に対する栄養支援の重要性が示唆された。
著者
平野 旭 辻 敏夫 滝口 昇 大竹 久夫
出版者
The Society of Instrument and Control Engineers
雑誌
計測自動制御学会論文集 (ISSN:04534654)
巻号頁・発行日
vol.41, no.4, pp.351-357, 2005-04-30 (Released:2009-03-27)
参考文献数
21
被引用文献数
2 4

This paper proposes a new model of the membrane potential change of Paramecium for environmental stimuli. The proposed model calculates not only the membrane potential based on the Hodgkin-Huxley equation, but also the internal Ca2+ concentration in cilia that cannot be measured with the actual organism. This will be helpful to reproduce the behavior of Paramecium based on the mechanism of the actual organism. Simulation experiments demonstrate that the proposed computer model can reproduce the characteristics of the actual organism.
著者
平野 真 林 恒明
出版者
日本スポーツ教育学会
雑誌
スポーツ教育学研究 (ISSN:09118845)
巻号頁・発行日
vol.26, no.1, pp.41-51, 2006

The purpose of this paper was to throw lights upon the perceptive changes that children show and the assistance teachers provide in the process of acquiring double dutch techniques through peer study activities.<br>This class aimed at solving &ldquo;small steps&rdquo; to master the duble dutch techniques. This study is an attempt to how we can produce teaching materials on double dutch, stressing the peer study such as &ldquo;what are the most important points?&rdquo; &ldquo;What do they observe?&rdquo; &ldquo;what are their good points&rdquo; six graders perform. Focusing on the role of the teacher, in two class hours, good coaching and effective demonstration is successful support for achievement. They are able to making inspection without strong teachers assistance.<br>As the results, the followings were found:<br>1) Effective communication plays an important role in peer study activities.<br>2) Duble dutch techniques can be achieved by setting up &ldquo;Small steps&rdquo; and excellent teaching techniques.<br>3) We can understand the psychological changes that children show by giving an interview after class, which were not identified by video recorders or questionnaires only.
著者
岡井 仁志 岩崎 長 吉田 輝久 平野 正史
出版者
Japanese Society of Tea Science and Technology
雑誌
茶業研究報告 (ISSN:03666190)
巻号頁・発行日
vol.1985, no.62, pp.9-13, 1985-12-01 (Released:2009-07-31)
参考文献数
4

京都府下の多くの玉露,てん茶園では,施肥の際に元出し,元寄せと呼ばれる伝統的な作業が行われている。しかし,この作業の実施時期は秋の根の生長期にあたっており,根系を傷めるおそれがあると考えられるため,元出し,元寄せが枝条の生育に及ぼす影響について検討した。(1)慣行の深さ(約10cm)で元出しが実施された場合,元出し時期が早いほど,その年の枝条の生長,および翌年の枝条発生数が強く抑制される傾向があった。従って,伝統的な元出しの実施時期は,枝条の生育を抑制することの少ない時期であると考えられた。(2)深層(約30cm)まで元出しを行うと,その実施時期に関係なく,個々の枝条の生長,および枝条の発生数が強く抑制された。(3)総括的にみると,元出し,元寄せが連年実施されると,「少数大枝条型」の生育となる傾向があった。また,枝条数の方が一枝新芽重よりも,生葉収量を大きく左右する要因であったために,元出し,元寄せを連年実施した区の生葉収量は,対照区に比べて少なかったものと考えられた。一方,荒茶品質は,元出し,元寄せを行うとやや向上する傾向が認められた。以上のことから,伝統的な元出し,元寄せは,枝条数の確保よりも個々の枝条の生長を重視した施肥慣行であり,この作業によって,生葉収量は減少するが,荒茶品質は向上すると考えられた。なお,本論文のとりまとめにあたっては,農林水産省茶業試験場茶樹第3研究室長青野英也博士から懇切なる助言と指導を賜った。ここに深謝の意を表したい。