著者
小黒 友美 平野 裕子
出版者
長崎大学大学院医歯薬学総合研究科保健学専攻
雑誌
保健学研究 = Health Science Research (ISSN:18814441)
巻号頁・発行日
vol.26, pp.15-21, 2014-02

本研究の目的は,月経の状況や症状,女性性受容度,自己効力感,ストレス対処能力などの要因が,女子大学生の精神的健康にどのような影響を与えているのかを明らかにすることである.九州地方の大学に通う女子学生397名を対象とし,属性,月経に関する項目,月経随伴症状,女性性受容度,ソーシャルサポートの有無,自己効力感,ストレス対処能力SOC,精神的健康等の項目を含む配票調査を行った.重回帰分析の結果,精神的健康は,SOC,月経随伴症状,自己効力感,女性性受容度,月経期間の異常の有無の順で強く規定されていた.この結果から,女子学生の精神的健康度は,月経に伴う精神的身体的現象よりも,月経のとらえ方によって左右されるところが大きいことが考えられた.
著者
三田 誠一 平野 裕弘 泉田 守司 長原 脩策
出版者
一般社団法人映像情報メディア学会
雑誌
テレビジョン学会誌 (ISSN:03866831)
巻号頁・発行日
vol.39, no.2, pp.163-169, 1985

ディジタルVTRの小型化を図るため, 以下の基本技術を検討した. (1) 画像の相関の活用とDSVの制御によりNRZ符号のDC成分を抑圧した8-9変換変調方式, (2) 誤り検出符号をデータ中に分散配置し, ランダム誤り訂正能力を2桁向上した符号構成, (3) 面積記録密度10μm<SUP>2</SUP>/ビット前後のメタルテープの記録再生特性, などである.さらに, 家庭用VTRをべースにして8-6Mb/sのデータを1/2インチカセットに30分録画できるディジタルVTRを試作し, 上記技術の基本性能および小型化の可能性を明確にした.
著者
丹羽 宏介 間瀬 健二 東海 彰吾 川本 哲也 藤井 俊彰 梶田 将司 平野 靖
出版者
一般社団法人 人工知能学会
雑誌
人工知能学会全国大会論文集
巻号頁・発行日
vol.2010, pp.3C41, 2010

<p>ものづくり技術の過程の訓練映像や、スポーツ映像において、多視点映像技術は有力視されているが、視聴者は 自由な視点から興味深い映像を探す事が困難である。本稿では、多視点視聴が可能なツール(Peg-Scope Viewer)上での利用者の視聴ログから、重要映像を抽出する手法を提案し、抽出した重要映像を繋いでビデオを作成した。それを、他の方法で抽出したビデオと比較し、評価する方法を検討する。</p>
著者
米田 歩 平野 大輔 谷口 敬道 下泉 秀夫
出版者
日本重症心身障害学会
雑誌
日本重症心身障害学会誌 (ISSN:13431439)
巻号頁・発行日
vol.42, no.2, pp.262, 2017 (Released:2019-06-01)

目的 重症心身障害児(者)は、四肢に重度の障害があり既存の認知機能評価では発達段階を評価することは困難であり、客観的な評価方法が確立されていない。そこで、視線入力装置を使用することによる追視と物の永続性課題の評価方法の可能性を検討した。 方法 対象者は20歳代前半の女性、横地の分類ではA1、遠城寺式・乳幼児分析的発達検査法では2〜6カ月の発達段階である。本研究では視線入力装置(Tobii Pro X-2-30)を用いて、視線を測定し、Tobii studioソフトにて解析を行った。測定課題は「乳幼児の精神発達と評価」(I・C・ウズギリス/ハント)の認知発達課題を参考にして、カップで犬が隠れる課題を作成し、パソコン画面上に提示した。なお、5分間の課題を10日間、同じ課題を提示して視線の動きを計測した。スライド画面の注視時間から注視率を解析し、さらにカップを見ていた時間から課題注視率も解析した。課題注視率より、対象者の追視と物の永続性について乳幼児の発達課題通過率と比較し発達段階を検討した。 結果 注視率は初回時46%、最終時59%とスライドを見る時間が増加した。犬が1/2隠された場面の課題注視率は初回および最終時ともに100%となった。また、完全にカップに隠された場面でも課題注視率は100%となった。このことから、対象者の追視と物の永続性課題は8〜12カ月前後の発達段階であることが示唆された。 考察 対象児のように既存の評価バッテリーでは、発達段階の評価が難しい方であっても視線を用いることでより詳細な評価の可能性が示唆された。客観的な指標として発達段階が示されたことで、対象者の発達段階に合わせた玩具の選択や関わり方の一助となると考える。
著者
池脇 義弘 牧野 賢治 西岡 智哉 平野 匠 上田 幸男
出版者
公益社団法人 日本水産学会
雑誌
日本水産学会誌 (ISSN:00215392)
巻号頁・発行日
vol.82, no.6, pp.917-922, 2016 (Released:2016-11-22)
参考文献数
23
被引用文献数
2 1

瀬戸内海をはじめ各地の藻類養殖漁場で不足しているDINを補うための新しいタイプの施肥剤(硝酸アンモニウム溶液をゼラチンで固めたのもの)を開発した。ケースに入れない2タイプと穴の開いたケースに充填したもの2タイプを作製し,実験水槽内への溶出量を硝酸塩センサーで測定した。その結果,肥料成分60-70%の溶出に,ケースに入れないタイプはおよそ5日,ケース入りのタイプはおよそ20日を要した。このことから,施肥剤を入れるケースの穴の径と数を変えることにより肥料成分の溶出速度を調整できることが示唆された。
著者
清水 寛太 山田 義智 古賀 志門 平野 修也
出版者
一般社団法人 セメント協会
雑誌
セメント・コンクリート論文集 (ISSN:09163182)
巻号頁・発行日
vol.74, no.1, pp.265-272, 2021

<p>本研究は高流動コンクリートのスランプフロー試験を対象として、機械学習の一種であるランダムフォレストによりフレッシュ性状(スランプフロー値、500mmフロー到達時間、空気量等)の推定を試みた。ここでの学習は、使用材料、混和剤の成分、調合、練混ぜ条件、経過時間などの特徴量(説明変数)を60項目からスタートして、その重要度を評価した。その結果、重要度の高い10項目の特徴量(説明変数)でフレッシュ性状の各値が推定できることを示した。また、推定したスランプフロー値、500mmフロー到達時間より既往の研究成果を基にレオロジー定数を推定し、目視材料分離判定や数値解析による高流動コンクリートの充填シミュレーションに用いることが期待できる。</p>
著者
平野 誉
出版者
公益社団法人 日本化学会
雑誌
化学と教育 (ISSN:03862151)
巻号頁・発行日
vol.64, no.8, pp.376-379, 2016-08-20 (Released:2017-02-01)
参考文献数
8

化学発光と生物発光は化学反応で光子を生成する。この魅力的な発光反応は分析技術から化学教育まで重要な役割を担っている。様々な分野での発光反応の利用・応用を拡げるには反応機構の理解が不可欠である。本稿では,励起分子を与える化学励起過程を含め,発光反応の特色につながる反応の仕組みについて解説する。
著者
浅井 玲央 辰村 正紀 小川 健 万本 健生 平野 篤 山崎 正志
出版者
一般社団法人 日本整形外科スポーツ医学会
雑誌
日本整形外科スポーツ医学会雑誌 (ISSN:13408577)
巻号頁・発行日
vol.41, no.1, pp.55-60, 2021 (Released:2021-04-03)
参考文献数
19

腰椎分離症症例の男女における相違点を見出すことを目的とし,当院で腰椎分離症と診断された高校生以下の症例60例104ヵ所について解析した.性別の内訳は男性44例,女性16例で,罹患高位は男性でL5分離が多く(p=0.060),治療自己中断率は男性で高かった(p=0.095).保存療法が完遂できない男性症例を減らすための対策を検討する必要がある.平均受診年齢や骨年齢,SBO保有率,第5腰椎前弯角,初診時罹患部の末期例割合,骨癒合率,治療期間などは男女で相違がなかった.今後,調査項目を追加し前向き研究を行なうなどして,より詳細に男女の相違点やその原因を明らかにしていく必要がある.
著者
辰村 正紀 奥脇 駿 蒲田 久典 平野 篤 山崎 正志
出版者
一般社団法人 日本整形外科スポーツ医学会
雑誌
日本整形外科スポーツ医学会雑誌 (ISSN:13408577)
巻号頁・発行日
vol.41, no.1, pp.61-65, 2021 (Released:2021-04-03)
参考文献数
11

はじめに:腰椎分離症の多くが下位腰椎に発生するため,上位腰椎に関するまとまった報告はない.L1からL3が罹患高位となった腰椎分離症の患者背景の解析を目的とし本報告を行なった.方法:対象をL1からL3に腰椎分離症を有する高校生以下の患者42例67分離とした.男女比,平均年齢,病期,潜在性二分脊椎(SBO),癒合率を調査した.結果:男性30例,女性12例で,平均年齢は15.5歳であった.初診時の偽関節は26%で,進行期病変が6%,2期病変が7%.同一高位にSBOは存在しなかった.癒合率は86%であった.考察:上位腰椎の分離症は保存治療で高い癒合率を示した.進行した病変が少なく,同一高位にSBOが存在しないことが影響していると考える.
著者
倉渕 隆 鳥海 吉弘 平野 剛 遠藤 智行 栗林 知広 小峯 裕己
出版者
公益社団法人 空気調和・衛生工学会
雑誌
空気調和・衛生工学会 論文集 (ISSN:0385275X)
巻号頁・発行日
vol.31, no.117, pp.1-10, 2006-12-05 (Released:2017-09-05)
参考文献数
19

建築基準法の改正に伴い,居室には原則として機械換気設備の設置が義務付けられることとなったが,現状では地域性や建物性能に対応した換気システムの適切な選択方法が整備されていない状況にある。本研究では,住宅に設置される各種常時換気設備について,外界気象条件や建物気密性能による問題点と改善対策を解明することを目的とし,戸建住宅を対象とした年間に渡る換気シミュレーションによる検討を実施した。その結果,第1種換気設備-本体給排気では建物気密性能によらず良好な換気充足度の評価を得ることができるが,第1種換気設備-居室給排気および第2種換気設備-居室給気では2階居室の空気汚染が問題になること,第3種換気設備-水周り排気では2階の新鮮外気の給気量不足が問題になることなどを明らかにし,考えられる改善対策の効果について検討した。
著者
平野 真子 野村 一俊
出版者
Japan Shoulder Society
雑誌
肩関節 (ISSN:09104461)
巻号頁・発行日
vol.24, no.3, pp.387-393, 2000

We examined the relationship between effusion of MRI findings and the clinical symptoms. Materials and methods: We examined MRI findings in patients with periarthritis scapulohumeralis. We excluded cuff tears, calcified tendinitis, instability of the shoulder fractures and impingement syndrome in young patients. The subjects comprised 75 cases 77 shoulders (45 men and 30 women), with an average age of 58.3 years (range 40-78). Scanning was performed on a Gyroscan T5- II 0.5-T (Philips). T1-weighted and T2-Weighted sequences in the coronal oblique plane, T2-weighted sequences in the coronal sagittal plane and horizontal plane were taken.<BR>Results: Degeneration of the rotator cuff was observed in 34 shoulders. Joint effusion was observed in 68.8% of glenohumeral joints, and 23.4% of subacromial bursa.69.4% had effusion in the sheath of the long head of the biceps long tendon. We studied the relationship between the MRI findings and the clinical symptoms.<BR>Conclusion: Glenohumeral joint effusion was observed in 68.8%. This suggested that there was arthritis in cases of periarthritis scapulohumeralis. We could not find a clear relationship between the effusion the clinical symptoms.
著者
伊藤 康樹 平野 勉 芳野 原
出版者
一般社団法人 日本臨床化学会
雑誌
臨床化学 (ISSN:03705633)
巻号頁・発行日
vol.34, no.3, pp.240-247, 2005-09-15 (Released:2012-11-27)
参考文献数
9

我々はLow-density lipoprotein (LDL) の中でも動脈硬化惹起性の高いsmall, dense LDLの簡便な測定法を開発した。まず、ポリアニオンと二価陽イオンからなる分離剤を用いて通常サイズのLDLを含む比重d<1.044g/mlのリポ蛋白を凝集させ、small, dense LDLを分離し、次いで、 small, dense LDLコレステロールを測定する。本測定法はフィルター遠心チューブを用いることにより高カイロミクロン検体でも正確にsmall, dense LDLを分離、測定することができる。本測定法では再現性、直線性も良好で、共存物質に影響されない結果が得られた。既報の測定法である超遠心分離法、電気泳動法、NMR法、HPLC法との比較ではすべて良好な相関性を示し、中でも超遠心法と最も高い相関係数を示した (r=0.927)。本測定法は、簡便であり特別な測定機器も必要としないことから、small, dense LDL測定法として広く普及することが期待される。
著者
中山 裕司 高橋 浩二 宇山 理紗 平野 薫 深澤 美樹 南雲 正男
出版者
昭和大学・昭和歯学会
雑誌
昭和歯学会雑誌 (ISSN:0285922X)
巻号頁・発行日
vol.26, no.2, pp.163-174, 2006-06-30 (Released:2012-08-27)
参考文献数
23
被引用文献数
2

音響特性による嚥下障害診断の重要な手掛かりとなる嚥下音について, その産生部位や部位に対応した音響特性は明らかとされていない.そこで嚥下音の産生部位と音響特性を明らかにする目的で, 画像・音響分析プログラムを新たに構築し, 健常者を対象として嚥下音産生時の造影画像と嚥下音音響信号データの同期解析を行った.対象は健常成人12名で, 各被験者8嚥下ずっ計96嚥下にっいて食塊通過時間の測定, 食塊通過音の識別と出現頻度の解析, および最大ピーク周波数の評価を行った.食塊通過時間は喉頭蓋通過時間 (121.7±92.4msec), 舌根部通過時間 (184.8±70.6msec), 食道入口部通過時間 (342.9±61.1msec) の順で長くなり, 舌根部通過音, 喉頭蓋通過音, 食道入口部通過開始音, 食道入口部通過途中音および食道入口部通過終了音が識別された.このうち喉頭蓋通過音が最も出現頻度が高く (96嚥下中94嚥下), 嚥下ごとの通過音の出現状況では舌根部通過音, 喉頭蓋通過音, 食道入口部通過開始音, 食道入口部通過途中音の4音が出現するパターンが96嚥下中22嚥下 (22.9%) と最も多くみられた.また最大ピーク周波数の平均値の比較では食道入口部通過開始音 (370.7±222.2Hz) が最も高く, 続いて食道入口部通過途中音 (349.1±205.4Hz), 舌根部通過音 (341.2±191.3Hz), 喉頭蓋通過音 (258.6±208.2Hz), 食道入口部通過終了音 (231.2±149.8Hz) の順であった.本研究により嚥下音の産生部位と産生喜附に対応した音響特性が明らかとなった.
著者
平野 裕之
出版者
慶應義塾大学大学院法務研究科
雑誌
慶應法学 (ISSN:18800750)
巻号頁・発行日
no.1, pp.325-376, 2004-12

1 はじめに2 在学契約の法的性質など3 在学契約の成立時期及びそのメカニズム4 入学金の法的位置づけ5 学生からの入学辞退以外の契約の終了と入学金6 おわりに民事実務フォーラム
著者
佐藤 宏之 鈴木 保宏 奥野 員敏 平野 博之 井辺 時雄
出版者
日本育種学会
雑誌
育種学研究 (ISSN:13447629)
巻号頁・発行日
vol.3, no.1, pp.13-19, 2001-03-01 (Released:2012-01-20)
参考文献数
21
被引用文献数
9 11

イネ (Oryza sativa L..) 品種コシヒカリの受精卵に, メチルニトロソウレア (MNU) 突然変異原処理を行って育成された品種ミルキークイーンの低アミロース性の遺伝子分析を行った. ミルキークイーンとその野生型であるコシヒカリを正逆交雑したF1種子のアミロース含量は両親の中間値を示したが, ミルキークイーン/コシヒカリ由来のF1種子よりも, コシヒカリ/ミルキークイーン由来F1種子の方が高いアミロース含量を示した. 従って, ミルキークイーンの低アミロース性を支配する遺伝子には量的効果があることが分かった. また, ミルキークイーン/コシヒカリ由来のF2集団のアミロース含量は, コシヒカリ型とミルキークイーン型が3: 1に分離し, さらにミルキークイーン/コシヒカリ//ミルキークイーン由来の戻し交雑集団のアミロース含量が, 野生型と低アミロース型が1: 1に分離したことから, ミルキークイーンの低アミロース性を支配する遺伝子は単因子劣性であると考えられた. 次に, イネのアミロース合成に関与する既知の遺伝子, wx並びにdu 1, 2, 3, 4及び5との対立性を検定した結果, ミルキークイーンにおいて突然変異を生じた遺伝子は, wxの対立遺伝子であることが示唆された.