著者
杉原 数美
出版者
公益社団法人 日本薬学会
雑誌
YAKUGAKU ZASSHI (ISSN:00316903)
巻号頁・発行日
vol.138, no.3, pp.277-280, 2018 (Released:2018-03-01)
参考文献数
10
被引用文献数
6

In recent years, pharmaceuticals and personal care products (PPCPs) have emerged as significant pollutants of aquatic environments and have been detected at levels in the range of ng/L to μg/L. The source of PPCPs is humans and livestock that have been administered pharmaceuticals and subsequently excreted them via urine and feces. Unlike agricultural chemicals, the environmental dynamics of PPCPs is not examined and they would undergo structural transformation by environmental factors, e.g., sunlight, microorganisms and treatments in sewage treatment plants (STPs). Processing at STPs can remove various PPCPs; however, they are not removed completely and some persist in the effluents. In this study, we examined the degradation of 9 pharmaceuticals (acetaminophen, amiodarone, dapsone, dexamethasone, indomethacin, raloxifene, phenytoin, naproxen, and sulindac) by sunlight or UV, and investigated the ecotoxicological variation of degradation products. Sunlight (UVA and UVB) degraded most pharmaceuticals, except acetaminophen and phenytoin. Similar results were obtained with UVB and UVA. All the pharmaceuticals were photodegraded by UVC, which is used for sterilization in STPs. Ecotoxicity assay using the luminescent bacteria test (ISO11348) indicated that UVC irradiation increased the toxicity of acetaminophen and phenytoin significantly. The photodegraded product of acetaminophen was identified as 1-(2-amino-5-hydroxyphenyl)ethanone and that of phenytoin as benzophenone, and the authentic compounds showed high toxicity. Photodegraded products of PPCPs are a concern in ecotoxicology.
著者
杉原 桂太
出版者
名古屋工業大学技術倫理研究会
雑誌
技術倫理研究 (ISSN:13494805)
巻号頁・発行日
vol.13, pp.37-57, 2016

今日,自動走行車が社会的期待を集めている。本稿では,自動走行技術を社会的に望ましいものとするために,アクターネットワーク理論(Actor-Network Theory:ANT)による構築的テクノロジー・アセスメント(Constructive Technology Assessment:CTA)を自動走行車に適用する必要性について技術者倫理(Engineering Ethics)の視点を踏まえて考察する。自動走行技術については正の側面だけではなく負の側面も指摘されている。社会的に望ましい自動走行車像を描き出すには、技術者と行政,市民が議論する場が必要である。
著者
福田 隆文 深澤 秀司 杉原 英和 渡辺 幸夫 小山 富士雄 稲垣 健二 甲斐 雅行 加藤 洋 松岡 俊介 小島 直樹
出版者
Sociotechnology Research Network
雑誌
社会技術研究論文集 (ISSN:13490184)
巻号頁・発行日
vol.3, pp.146-154, 2005

化学工場は外部に影響を及ぼす事故の可能性があるので,住民に不安感があることは事実である.したがって,安全・安心な工業社会の確立に向け,工場のリスクに関するコミュニケーションが重要であり,そこでは住民が望んでいる情報の提供が必要である.本研究では,工場と住民の間のリスクコミュニケーションを円滑に進めるため,住民が望んでいる情報,提供の方法などを,化学産業が比較的多く立地している都府県の1,500人を対象としたweb方式アンケート調査によりまとめた.その結果,住民は化学的・技術的情報より,事故防止策や発災時の行動に関する情報を求めていること,被害としては後遺症となるものを懸念していることがわかった.また,情報は工場から直接入手したいと考えていることもわかった.
著者
杉原 薫
出版者
大阪大学大学院経済学研究科資料室
雑誌
大阪大学経済学 (ISSN:04734548)
巻号頁・発行日
vol.54, no.3, pp.336-361, 2004-12
被引用文献数
1
著者
小林 江里香 深谷 太郎 杉原 陽子 秋山 弘子 Jersey LIANG
出版者
日本社会心理学会
雑誌
社会心理学研究 (ISSN:09161503)
巻号頁・発行日
vol.29, no.3, pp.133-145, 2014-03-17 (Released:2017-02-28)

This research examines how the linkages between different types of social networks and subjective wellbeing(SWB)vary across gender and age through structural equation modeling. Data came from a nationwide survey for older adults conducted in 1999 (N=3,482). SWB was measured by life satisfaction and depressive symptoms. A three-factors model for social networks showed a good fit, consisting of child contact, informal contact with friends and neighbors, and social participation related to groups/volunteer activities. The effects of four types of networks (i.e., spouse and the three factors) on SWB were compared among the 4 gender×age groups. Gender differences were more prominent among the young-old (63-74 years old) than the old-old (75 and over), namely, the effects of being married and social participation on life satisfaction were greater for males than females, whereas informal contact was more important for female life satisfaction and depression. Among the old-old, the association between child contact and SWB was stronger than among the young-old. Further research is needed to ascertain whether the age differences result from aging and/or cohort variations.
著者
山西 良典 杉原 健一郎 井上 林太郎 松下 光範
出版者
日本感性工学会
雑誌
日本感性工学会論文誌 (ISSN:18840833)
巻号頁・発行日
vol.14, no.1, pp.155-162, 2015 (Released:2015-02-20)
参考文献数
16
被引用文献数
2

Comic has, recently, been known as one of the most beloved entertainment and affective medium in the world. This paper describes about extraction of Kansei highlight from comic using social data. There seems to be Kansei highlight that most people approve in comic, because several related books where impressive scenes and captions for a comic are gathered are published. Through the experiments on impressions, we obtained social data for comics. We used the social data to extract Kansei highlight from comic. Through the three types of experiments, we confirmed that social data was available for extracting Kansei highlight from comic. Moreover, we designed the interface of social reading system for comic considering interaction on existing social service. We believe that the extraction of Kansei highlight from comic using social data increases attraction of digital comic.
著者
杉原 真晃
出版者
山形大学
雑誌
山形大学高等教育研究年報 : 山形大学高等教育研究企画センター紀要
巻号頁・発行日
vol.3, pp.13-17, 2009-03-31

はじめに このたび,私は平成20年度「山形大学教養教育ベストティーチャ一新人賞」をいただいた。山形大学に着任して2年の私がこのような名誉ある賞をいただき,喜びと恐縮とが合わさった気持ちになると同時に,私の授業を一緒に作ってきた受講学生 そして私を推薦してくださった山形大学の先生方に心より感謝申し上げたい気持ちでいっぱいである。山形大学教養教育ベストティーチャー賞および新人賞は,大変優れたシステムである。それは,ファカルテイ・ディベロップメント(FD)の一環として授賞制度を設けており,受賞者にはその教員の持つ優れた実践のノウハウを「公開」して学内に「還元」することがセットとなっていることである。もちろん,学内に限らず,学外の人たちが公開されたものにふれることも可能となっている。そして,この賞は非常勤講師も含めたすべての教養教育授業担当教員に開かれている。つまり,このシステムは自由,競争,機会の平等,そして知的格差(不平等)への再分配を実現しているのである。ロールズ(RawIs,J.)が見れば,これを何と評価したであろう。さて,以上のようなシステムのため,私は受賞に際し,自身の授業を公開した。公開した授業は春学期の「春からのキョウヨウ教育必勝法A」(学際・総合領域)と秋学期の「秋からのキョウヨウ教育必勝法A」(教養セミナー)である。本稿では,主として「春からのキョウヨウ教育必勝法A」(以下,「春キョウ」)について紹介する。
著者
杉原 俊一 田中 敏明 宮坂 智哉 前田 佑輔 泉 隆 伊福 部達
出版者
公益社団法人日本理学療法士協会
雑誌
理学療法学 (ISSN:02893770)
巻号頁・発行日
vol.35, no.2, 2008-04-20

【はじめに】半側空間無視(USN)の空間認知には複数の座標系の関与が考えられ,我々はHMD(Head Mounted Display)による視覚呈示方法を用い,身体を中心に対象物の方向を位置づける身体中心座標と身体以外の対象物,または参照枠を中心に位置づける物体中心座標を人工的に作り,机上検査と動作分析より空間認知の障害として捉えたUSN障害像について検討を進めている.先行研究ではHMDを用いて座標系の違いにおける無視状況の変動を報告した.本研究は異なる座標条件でのより詳細な検討を試みるため,HMDの評価に加え,眼球運動および頭部・体幹運動の同期計測を含めた新しい検査システムを開発した.そこで本システムを用いた症例検討として左USNに対する評価・治療へのHMD応用について報告する.<BR>【症例紹介】被験者は研究内容を理解し同意を得られ,右脳梗塞後遺症により左USNを有する62歳男性である.石合らによる日常生活動作・訓練場面におけるUSN評価では10項目中7全項目で無視症状を認めた.<BR>【方法】机上検査には行動性無視検査(BIT日本語版)の線分抹消試験を用いた.被験者は椅座位を基本測定肢位とし,1)通常の机上検査,2)上方に固定した小型CCDカメラで机上の検査用紙のみを撮影しHMDの眼鏡状液晶ディスプレーに投影する物体中心条件,3)小型CCDカメラ内蔵のHMDで机上の検査用紙を投影する身体中心条件,の3条件で検査を実施した.更に2)・3)に関して,(A)HMDに投影する映像を画面の両端を基準に左右方向に75%および60 %に縮小した条件,(B)映像の左側に点滅する矢印を表示する条件の画像修正で検査を実施した.分析方法は線分抹消試験の中央列4本を除き紙面を左と右に2分割し,抹消した線分の抹消率を求め,各条件について比較検討した.また,検査前には超小型CMOSカメラを搭載した重量85gのヘッドユニットで両眼球運動を撮影し,検査中はデジタルビデオカメラを用い体幹・頭部の運動を同時記録した.<BR>【結果】通常検査と物体中心の抹消率は共に左紙面は0%,右紙面は各々100%で,身体中心は左紙面抹消率89%,右紙面抹消率94%であった.物体中心(A)の右縮小60 %は同様の傾向を示し,更に(B)により左紙面の末梢率が上昇した.身体中心でも(A)に(B)を加えると左紙面の末梢率が上昇した.通常検査時の眼球運動では左側への眼球運動を認めず,物体中心条件の(A)では頭部は縮小方向への回旋位で保持し,身体中心では縮小方向に係わらず左回旋位での保持を認めた.<BR>【考察】HMD使用に加え眼球・頭部・体幹運動分析により,通常検査に比べよりUSN障害度を統合的に評価できるシステムを構築した.また,画面縮小,注意喚起用矢印などを加工してHMDによる視覚情報呈示を行うことにより無視環境を改善させ得る可能性が示唆された.<BR><BR><BR>
著者
森本 喬 小林 良太郎 杉原 真
雑誌
組込みシステムシンポジウム2011論文集
巻号頁・発行日
vol.2011, pp.12-1-12-10, 2011-10-12

近年の集積回路の微細化に伴い,ソフトエラーと呼ばれる現象の発生が増加している.特に SRAM であるキャッシュはソフトエラーに対して脆弱であり,ソフトエラー耐性の向上が必要となる.メモリ回路のソフトエラー耐性向上手法として,誤り訂正符号 (ECC) 技術がしばしば用いられる.ECC の使用はメモリ回路においてアクセスレイテンシの増加を伴う.アクセスレイテンシの増加は,キャッシュを搭載した高い性能が要求される組込みシステムでは許容できない.本研究では,キャッシュのアクセスレイテンシを増加せずに,ECC 技術を適用したスクラッチパッドメモリ (SPM) を用いるソフトエラー耐性向上手法を提案する.計算機実験により,SPM 未実装時と比較して最大 72% のソフトエラー耐性向上を確認した.
著者
三宅 貫太郎 福森 聡 杉原 太郎 五福 明夫 佐藤 健治
出版者
一般社団法人 人工知能学会
雑誌
人工知能学会論文誌 (ISSN:13460714)
巻号頁・発行日
vol.30, no.1, pp.148-151, 2015-01-05 (Released:2015-01-06)
参考文献数
7
被引用文献数
1

This article discusses the potential of Captology, a concept of the persuasive technologies, for long-term rehabilitation. Continuous rehabilitations to patients with chronic regional pain syndrome are an essential way to ameliorate the pain. Although the effects on a patient diminish when suspending the rehabilitation, he/she often feels resigned to keep it. Interference factors against the rehabilitation consist of difficulties to recognize the effects from the rehabilitation, interminable and repetitive rehabilitation, and complicated processes involving data collection for providing quality amelioration. Captology is one of promising concepts to solve these problems. We developed a set of functions with four principles from Captology, that is, Praise, Reduction, Tunneling and Self-Monitoring, into the system named VR/MVF for the sake of maintaining patient's motivation. One of the significant functions was developed to apply the principle of Praise. The system displays messages of praising/scolding to notice appropriate/inappropriate behaviors to him/her. The principles of Reduction and Tunneling were applied to reduce the burden of the system use. Tracking medical records by the principle of Self-Monitoring was employed to indicate the effects of rehabilitation to the patient.
著者
沈 振江 川上 光彦 杉原 健一 黄 光偉 馬 妍 鈴木 克徳
出版者
金沢大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2011-04-01

本研究では、2007 年から国土主体機能区計画における中国の環境問題の取り込みを明らかにした上、2009 年5 月から国家戦略として発足した海西経済区を取り上げ、発展計画の段階にCO2の排出量削減を計画し、地域開発の事業地区のエネルギ評価指標を事業評価にしていることを明らかにした。低炭素都市づくりの実現には、持続可能な開発モデル地区として選ばれた平タン実験区、アモイ市では、地域開発のフレームワークの検討には、国の21Agendaによって作成された持続可能な開発の評価指標を適用していること、都市空間戦略レベルでは、新材料、グリーン建築、公共交通などの面で計画基準を設けていることを明らかにした。
著者
杉原 康正 伊藤 富夫 洞口 祐
出版者
一般社団法人映像情報メディア学会
雑誌
テレビジョン (ISSN:03743470)
巻号頁・発行日
vol.19, no.4, pp.270-279, 1965

色切換格子つきの単電子銃カラー受像管カラーネトロンを開発し, 色再生方式に線順次式のカラーネットシステムを用いた新しいカラー受像機を実用化した.回路はすべてトランジスタ化し, ポータブルカラーテレビとしてまとめた.ここにその動作原理, 各回路の設計概要, 構造, 特長について紹介する.
著者
園部 哲史 戸堂 康之 白石 隆 大塚 啓二郎 佐藤 寛 杉原 薫 恒川 惠市 鬼丸 武士 松本 朋哉 高木 佑輔 本名 純
出版者
政策研究大学院大学
雑誌
新学術領域研究(研究領域提案型)
巻号頁・発行日
2013-06-28

研究期間全体を通じて、経済学者、政治学者と歴史学者が協力しながら、現在の新興国の政治と経済についての実証分析を行った。総括班は、各計画研究班の共同研究を行う場を提供し、分野融合マインドを持った若手研究者の育成にも力を入れた。その結果、新興国に独自の発展経路の在り方や、それに基づく新興国の課題の存在が解明された。領域全体の活動成果として、世界的な学術書の出版社であるSpringer Nature社のシリーズEmerging-Economy State and International Policy Studiesを新たに作り出し、本領域の成果を4巻からなる英文書籍として出版することになった。
著者
杉原 太郎
出版者
ヒューマンインタフェース学会
雑誌
ヒューマンインタフェース学会誌 (ISSN:13447254)
巻号頁・発行日
vol.15, no.1, pp.31-42, 2013

本シリーズは、HI研究の評価において、最も基礎となる考え方についての稿である。初回は、初学者のためのリサーチデザインの導入として、実験・定量的調査・定性的調査(質的調査とも言う)の考え方、基本的なプロセスを、第2回目は定量的・定性的調査の特性、そのプロセス、各々で得られるデータの特性を、第3回は定量的調査および心理学的実験を概観した。本稿は、4回シリーズの最終回として、定性的調査の思想的基盤を説明した後に、調査的面接法と観察法を取り上げる。 HI研究では、人とのインタラクションを志向した技術開発を目指すため、人を対象にした評価を行うことが求められる。しかし、新しい技術をユーザがどのように用いるのかが、開発時にはっきりしない場合も珍しくない。特殊な状況下や、実際の現場の中での技術適用範囲を模索することもある。障害者を対象とした研究では、テイラーメイド的な技術開発になる場合もある。多様な形態の情報機器と人とのインタラクションが研究の主対象であることは、両者の関係性がダイナミックに変化する問題を扱うことを意味する。このように様々な事情で、HI分野の研究は数値でユーザあるいは技術の特性を表現する事が難しい、あるいは数値表現が不適切な場合に採用される方法が、定性的な手法である。本稿では、この手法について概説する。