著者
武地 一 山田 裕子 杉原 百合子 北 徹
出版者
一般社団法人 日本老年医学会
雑誌
日本老年医学会雑誌 (ISSN:03009173)
巻号頁・発行日
vol.43, no.2, pp.207-216, 2006-03-25 (Released:2011-03-02)
参考文献数
42
被引用文献数
5 5

目的: もの忘れ外来通院中のアルツハイマー型痴呆症 (AD) 患者における行動・心理学的症候 (BPSD) として捉えられる周辺症状と中核症状である認知機能障害, および介護負担感との関連を明らかにする. 方法: もの忘れ外来通院中の46組のAD患者・家族介護者を対象とした. BPSDの調査には Cummings らにより開発された Neuropsychiatry Inventory (NPI) を用い, Teri らの研究を参考に下位領域として記憶に関する症候を加えた. 認知機能の評価にはMMSE, word fluency, 時計描画テスト等を, 介護負担感の測定には Zarit 介護負担尺度および抑うつ尺度CES-Dを用いた. 結果: BPSDとして記憶に関する症候, 無為, うつ, 妄想, 興奮, 不安が多く見られ, 特に記憶と無為に関しては幅広い症状が高頻度に見られた. BPSDは介護負担感に強い影響を与えており, 中でも不安, 興奮, 異常行動が介護負担感に強い相関を示すことが明らかとなった. MMSE以外の認知機能得点の低下およびADL低下も Zarit 介護負担尺度と有意な相関を示したが, 多変量解析ではNPIのみが有意に関連していた. 一方, 介護者の抑うつ度は患者の近時記憶低下と関連が深い可能性が示唆された. BPSDと認知機能との関連では妄想, 無為がMMSEの低下と関連すること等, 認知機能の低下とBPSD悪化に関連が示されたが, 質問項目ごとの詳細な検討により記憶, うつに関する症候についてはむしろ認知機能が高い患者に多い項目もあることが示された. 結論: もの忘れ外来通院中のAD患者のBPSDや認知機能障害の詳細な項目まで検討することにより, 介護家族負担感や抑うつとの間や患者要因相互の間に様々な関係があることが明らかになった. このような関係を把握することにより, 効果的な病態評価と援助が行えるものと思われる.
著者
中川 純子 杉原 保史
出版者
京都大学学生総合支援センター
雑誌
京都大学学生総合支援センター紀要 = ARCHIVES OF STUDENT SUPPORT IN KYOTO UNIVERSITY GENERAL STUDENT SUPPORT CENTER
巻号頁・発行日
no.48, pp.19-32, 2019-08-31

現在, 情報通信技術を活用したさまざまな形態の遠隔の心理支援があらたに登場し, この社会に普及しつつある。本学の学生総合支援センターでは, 2017年度より外部業者への委託事業によるオンラインカウンセリングを導入した。本小論においてはその2年間の運用の概要を報告し, 学生相談におけるオンラインカウンセリングの可能性と今後の課題を考察する。
著者
宮川 歩夢 名和 一成 山谷 祐介 大滝 壽樹 杉原 光彦 奥田 隆 住田 達哉
出版者
国立研究開発法人 産業技術総合研究所 地質調査総合センター
雑誌
地質調査研究報告 (ISSN:13464272)
巻号頁・発行日
vol.71, no.2, pp.63-76, 2020-04-27 (Released:2020-05-07)
参考文献数
17
被引用文献数
1

国立天文台VERA石垣島観測局を中心とした名蔵川流域において,地下の地質構造を反映すると考えられる重力異常を明らかにするために重力測定を実施した.この重力測定では絶対重力測定及び周辺での相対重力測定を組み合わせている.絶対重力測定は国立天文台VERA石垣島観測局の重力計基台において,また相対重力測定は周辺域の62地点において実施した.得られた重力測定結果に既存の重力データを加え,重力異常図を作成した.おもとこれにより,名蔵湾から於茂登岳だけに向かって,負の重力 異常が大きくなる傾向がみられた.これは,於茂登岳を構成する漸新世の珪長質深成岩が周囲のジュラ紀付加体に比べて密度が低いことによると考えられる.さらに於茂登岳麓から名蔵湾にかけて負の重力異常の帯が確認された.このことは,名蔵湾から於茂登岳に向かう局所的な基盤形状を反映し,密度の低い堆積層が埋める埋没谷の存在を示唆する.
著者
堀川 雅人 野見 武男 杉原 誠一 中辻 直之 高山 智燮 丸山 博司
出版者
Japan Surgical Association
雑誌
日本臨床外科学会雑誌 (ISSN:13452843)
巻号頁・発行日
vol.64, no.11, pp.2727-2730, 2003-11-25 (Released:2009-03-31)
参考文献数
16
被引用文献数
1

今回われわれは,苛性ソーダによる腐食性食道炎後の食道狭窄の1例を経験した.症例は31歳,男性.泥酔後に苛性ソーダを誤飲し,近医に入院した.腐食性食道炎の急性期治療および瘢痕狭窄に対して拡張術などの保存的療法を施行されるも,嚥下困難症状の改善は認めず,手術目的にて当科紹介となった.上部消化管造影検査,内視鏡検査において胸部上部食道から食道胃接合部までの著明な全周性狭窄と壁硬化像を認め,内視鏡の通過も不能であった.胸部MRI検査にても同様の所見であった.以上,食道の広範囲におよぶ全周性の瘢痕狭窄に対し,食道亜全摘術を施行し,再建臓器としては胃管を用いた.術後,嚥下困難は改善したが,晩期合併症としての残存食道の発癌の問題が残されており今後長期的な経過観察が必要と思われる.
著者
杉原 重夫
出版者
公益社団法人 日本地理学会
雑誌
日本地理学会発表要旨集 2011年度日本地理学会春季学術大会
巻号頁・発行日
pp.83, 2011 (Released:2011-05-24)

日本各地で産出する黒曜石(黒曜岩)は、石器時代における石材資源として貴重な存在であった。これらの黒曜石製遺物の産地推定は、顕微鏡による晶子形態の観察、フィッション・トラック年代測定、機器中性子放射化分析(INAA)、蛍光X線装置(WDX・EDX)やエレクトロンプルーブX線マイクロアナライザー(EPMA)による元素分析など、さまざまな方法が用いられている。なかでもエネルギー分散型蛍光X線分析装置(EDX)を用いた産地分析は、多数の試料を非破壊且つ短時間内に処理できることから、現在では主流な方法である。 明治大学文化財研究施設では、日本全国の黒曜石原産地の調査成果を基に、各地の石器時代遺跡から出土した黒曜石製遺物の原産地推定を行ってきた。これまでに原産地推定の対象にしたのは250遺跡、遺物数は約30、000点に上る。その結果、北海道白滝・置戸産の黒曜石が樺太の遺跡から、霧ヶ峰産黒曜石が青森県山内丸山遺跡から、神津島産黒曜石が三重県や能登半島の遺跡で利用された例など、広域にわたる黒曜石の原産地―消費地の関係が明らかになってきた。今回は関東各地の旧石器時代~縄文時代遺跡の黒曜石原産地推定データを基に、海洋運搬の手法を効果的に利用したと想定される伊豆諸島・神津島産黒曜石の流通経路や流通範囲の変遷について、海洋環境の変化との関係から考察する。 1) 日本列島に人類が渡来した酸素同位体ステージ3(MIS3)の当初から、神津島産黒曜石は石器石材として使用された。MIS2~1の低海面期の東京湾は陸化しており、神津島産黒曜石については相模湾を北上し相模野台地から武蔵野台地へ至る流通ルートが推定される。 2) 縄文時代早期~前期~中期初頭は縄文海進最盛期と前後し、伊豆大島を中継地とする相模湾北上ルート・東京湾北上ルート・太平洋沿岸ルートが海上経路として開拓されたと推定できる。神津島の南方にある御蔵島や八丈島も神津島産黒曜石の流通圏に含まれる。 3) 縄文時代中期は神津島産黒曜石の流通が最も活発になり、伊豆半島・南関東地方の遺跡では高い比率で利用される。また、古鬼怒湾周辺地域の遺跡からも、太平洋沿岸ルートより搬入したと推定される神津島産黒曜石の利用が卓越する。伊豆半島東部の見高段間遺跡は伊豆半島を縦断して駿河湾東部沿岸地方に至る黒曜石の流通ルートとして重要な中継地であったと推察できる。 4) 縄文時代後期~晩期になると、伊豆諸島では依然として神津島産の利用比率が高い状態が維持されるものの、その他の地域では利用比率が低下し、相模湾北上ルート・東京湾北上ルートに限定される。このことは伊豆大島・下高洞遺跡における神津島産黒曜石の時期別利用比率の変化からも認められる。 神津島産黒曜石の利用を考えた場合、伊豆大島が神津島産黒曜石の流通ルート上において重要な位置を占めていたと推定できる。このような黒曜石の流通には海洋環境に適応した運搬手段(舟・筏等)が利用されたと考えられる。今後は全黒曜石製遺物を対象とした分析や新たな遺跡発掘調査により、神津島産黒曜石の流通圏について議論を深めたい。
著者
甲田 茂樹 安田 誠史 杉原 由紀 大原 啓志 宇土 博 大谷 透 久繁 哲徳 小河 孝則 青山 英康
出版者
公益社団法人 日本産業衛生学会
雑誌
産業衛生学雑誌 (ISSN:13410725)
巻号頁・発行日
vol.42, no.1, pp.6-16, 2000-01-20 (Released:2017-08-04)
参考文献数
34
被引用文献数
6 23

運輸労働者の健康問題に影響を与える職業要因を評価するために, 1997年に541名の運輸労働者を対象に労働・勤務条件, 運転労働に係わる職業性要因, 身体の自覚症状や疾病罹患の状況について質問紙法で調査を実施した.有効回答率は85.7%, 134名の集配業務に従事する運転労働者(集配群)と199名の長距離輸送に従事する運転労働者(長距離群), 71名の事務職員を分析対象とした.まず, 三つの群での職業性要因と健康問題を検討するために, 労働・勤務条件や身体の自覚症状や疾病罹患の状況を比較検討した.ついで, 集配群と長距離群における職業要因が健康問題に与える労働関連性を検討するために, ロジステック回帰分析を実施し, オッズ比と95%CIを計算した.健康問題に影響を与える職業要因, すなわち, 不規則交代制勤務, 労働環境, 作業姿勢, 重量物取り扱い, 多い仕事量や長時間労働への不満, 休憩時間の取得困難の要因で, トラック運転労働者の訴え率が事務職に比べて有意に高かった.耳鳴り, 頚の痛み, 腰痛の自覚症状と高血圧, 胃十二指腸潰瘍, 腰背部打撲, むち打ち症, 痔疾の疾患でトラック運転労働者の訴え率が事務職に比べて有意に高かった.ロジスティック回帰分析の結果では, 年齢やBMI, 喫煙習慣を以外の多くの労働関連要因で, 身体の自覚症状や疾病罹患に関する有意に高いオッズ比を認めた.集配群の循環器疾患及び関連した自覚症状に関するオッズ比は, 経験年数, 腰の捻転動作, 振動, 運転労働に伴うストレスで有意に上昇していた.消化器系疾患及び関連した自覚症状に関するオッズ比は, 狭い作業空間, 車中泊, 長い走向距離, しゃがみ姿勢, 運転労働に伴うストレスで有意に上昇していた.集配群の自覚症状の耳鳴りに関するオッズ比は, 経験年数, 長時間労働, 狭い作業空間, 車中泊, 運転労働に伴うストレスで有意に上昇していた.腰痛や頚部痛等の筋骨格系疾患及び関連したに自覚症状に関するオッズ比は, 残業, 振動, 狭い作業空間, 座り姿勢, 少ない休憩時間で有意に上昇していた.疲労症状に関するオッズ比は, 少ない休憩時間, 振動, 運転労働に伴うストレスで有意に上昇していた.運輸労働者の健康問題を解決するためには, 上記の労働・勤務条件や運転労働に関連した課題を改善する必要がある.
著者
上敷領 淳 竹谷 翔太 江本 基樹 杉原 成美
出版者
一般社団法人日本医療薬学会
雑誌
医療薬学 (ISSN:1346342X)
巻号頁・発行日
vol.40, no.10, pp.609-617, 2014-10-10 (Released:2015-10-10)
参考文献数
30

The purpose of this study was to investigate the influence of cigarette smoking on the risk of illegal drug abuse and self-medication, such as the proper use of pharmaceutical products, among high school students.An anonymous, self-administered survey was conducted before and after a lecture on the prevention of drug abuse in a high school located in eastern Hiroshima Prefecture in November 2011. The subjects were classified into three groups according to smoking behavior; non-smokers, former smokers, and current smokers. Significant differences were observed between groups.The rate of recognizing health damage caused by the abuse of stimulant drugs, narcotic drugs or solvents was significantly decreased in the cigarette smoking group. In addition, the rate of intent to use drugs that were considered to be “medications that enable them to stay up all night for days”, “medications that would allow them complete recovery from fatigue” or “medications that would improve their appearance” was significantly increased in the cigarette smoking group. The rate of prescription medication compliance, such as confirming their correct usage or following their prescribed usage was significantly decreased in the cigarette smoking group.An influence against illegal drugs and the awareness of the risks of self-medication were observed in non- and former smokers according to the questionnaire performed after the lecture, but the influence on the cigarette smoking group was minimal. Education promoting medication compliance may be necessary for high school students, especially students who abuse cigarettes.
著者
伊藤 博崇 田中 新亮 山田 稔 吉村 禎二 河野 通盛 三浦 将彦 村脇 義之 谷村 隆志 杉原 誉明 小西 龍也
出版者
松江市立病院
雑誌
松江市立病院医学雑誌 (ISSN:13430866)
巻号頁・発行日
vol.16, no.1, pp.83-88, 2012 (Released:2019-07-22)
参考文献数
14

症例は66 歳の女性で、黄疸、肝機能障害、高血糖を近医で指摘され入院した。膵癌が疑われたが、精査の結果自己免疫性膵炎と診断し、プレドニゾロン35 mg を投与開始した。膵・胆管病変の明らかな改善を認めたが、ステロイド漸減中に呼吸困難・低酸素血症をきたし、間質性肺炎が疑われ再入院した。ステロイドパルス療法に反応せず、人工呼吸器管理としたが、間質性陰影増悪、両側気胸を合併し、第110 病日後に呼吸不全増悪により死亡した。病理学的検討はなされておらず不明な点が多いが、IgG4 関連間質性肺炎を強く疑った。
著者
杉原 厚吉
出版者
心理学評論刊行会
雑誌
心理学評論 (ISSN:03861058)
巻号頁・発行日
vol.55, no.3, pp.296-306, 2012 (Released:2018-08-18)
著者
天野 要 岡野 大 土屋 卓也 緒方 秀教 杉原 正顕 遠藤 慶一
出版者
愛媛大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2007

代用電荷法を適用し,非有界な多重連結領域から,(a)平行/共線スリット領域,(b)直線スリット領域,(c)円弧放射スリット領域,という正準スリット領域への数値等角写像の方法を提案し,その有効性を数値実験的に検証した.また,代用電荷法の性質を調べ,周期Stokes方程式に対する基本解法を提案した.これらの研究は理工学への応用上も重要である.本研究の主題に関連の深い特異積分方程式,悪条件連立1次方程式の数値解法についての基礎的研究も進められた.
著者
Flache Ursula 杉原 早紀
出版者
国立歴史民俗博物館
雑誌
国立歴史民俗博物館研究報告 (ISSN:02867400)
巻号頁・発行日
vol.148, pp.587-621, 2008-12

本論文ではドイツ語圏の神仏分離研究の三つの側面を扱う。序論として「神仏分離」の独訳に関する問題点を述べる。第1ポイントとして,ドイツおよび欧米の日本研究におけるこれまでの神仏分離の扱いについて概略を記す。神仏分離が一般の歴史著作や参考図書で取り上げられるようになったのは最近の動きである。明治時代における神道研究では二つの傾向が見られる。一つは客観的批評する研究者(シュピナー,チェンバレン),もう一つは国家神道の視点を引き取る研究者(アストン,フロレンツ)。第二次大戦前の指導的な神道研究者(グンデルト,ボーネル,ハミッチュ)がナチスのイデオロギーに近い視点から研究結果を発表したため,戦後には神道についての研究がタブー視され,当分の間完全に中止となった。1970年代に出版されたロコバントの研究に続いて,1980・90年代にいくつかの神仏分離に関する研究文献(グラパード,ハーディカ,ケテラー,アントーニ)が発行された。最近の研究(ブリーン,サール,アンブロス,関守)ではケーススタディーや地方史が注目される傾向にある。ドイツには宗教改革時代の偶像破壊という,明治時代の日本の神仏分離と非常によく似た出来事があったために,ドイツの研究者は神仏分離に特別な関心を寄せている。そこで,第2のポイントとして,ヨーロッパにおける宗教改革と絡めて偶像破壊運動を詳しく取り上げ,ヨーロッパの宗教改革と日本の廃仏毀釈の比較を行う。共通点として両者が宗教的美術に大きな障害をもたらした改革運動であることが挙げられる。相違点としてヨーロッパにおける宗教改革が宗教的な動機をもった運動で,神仏分離が政治的な動機をもった政策であった。終わりに第3ポイントとして,簡単に筆者の個人的な意見をまとめ,神仏分離が実際どの程度「成功」したのか,そして神仏分離の今日の日本における意味を考察する。In this paper three aspects will be discussed. After an introductory remark concerning the various German translations of the term shinbutsu bunri, firstly an overview will be given on how the separation of Shintô and Buddhism has been treated in German research literature. As Anglo- American research is also widely received in Germany, selected works in English are included. It is a very recent development that the topic of shinbutsu bunri is taken up in general works on Japanese history as well as in reference works. Among the intellectuals of the Meiji period, some scholars such as Spinner or Chamberlain take a very critical position, whereas other scholars such as Aston or Florenz are closer to the official doctrine of State Shintô at the time. The point of view of State Shintô is also adopted in pre-war studies by Rosenkranz and Gundert. Because of the close relationship of Germany and Japan before and during World War II, studies on Shintô in post-war German Japanology are regarded as being related to Nazi ideology. Therefore the topic of Shintô becomes a taboo after the war. In the 1960s and 70s the topic is finally taken up again and Lokowandt publishes a detailed study of State Shintô that also deals with the separation of Shintô and Buddhism. During the 1980s and 90s several works (Grapard, Hardacre, Colcutt, Ketelaar, Antoni) on shinbutsu bunri appear. In recent studies on the separation of Shintô and Buddhism there is a tendency to focus on case studies and local histories (Breen, Thal, Ambros, Sekimori). To a German scholar of Japanology the events occurring during the separation of Shintô and Buddhism are of special interest because they have much in common with the iconoclastic movement of the Reformation in 16th-century Europe. Therefore, secondly, shinbutsu bunri will be compared to reformatory iconoclasm. Both have in common that they were reform movements that led to the destruction of countless works of religious art. However, the Reformation was fuelled by religious motives whereas shinbutsu bunri was carried out for political reasons. Thirdly, as a personal comment, the question of how successful the separation of Shintô and Buddhism ultimately was will be discussed. Although temples and shrines are separately organised even today, coexistent worship of both Shintô deities and Buddhas by the Japanese people continues.
著者
杉原 弘恭 松島 耕太 大口 遼太郎 鬼崎 衛 雜賀 順己 花井 聖仁 小田 幸子
出版者
学校法人 自由学園最高学部
雑誌
生活大学研究 (ISSN:21896933)
巻号頁・発行日
vol.2, no.1, pp.71-90, 2016 (Released:2017-04-21)
参考文献数
16

江戸期の上名栗が林業主体,下名栗が薪炭業主体という地域経済の違いは,地域の政治体制にも影響を及ぼしているが(上名栗世襲制・下名栗輪番(年番)制),その違いは地域の基盤の地質の違いが植生の違いに影響している可能性があることを指摘した.その上名栗の名主の町田家と組頭の柏木家の地域経済への取り組みの特色を分析した.町田家は林業を主軸に江戸に進出し名栗との両輪経営を行って名栗の繁栄に寄与し,柏木家は江戸・東京より名栗に回帰する形で名栗の各種産業発展に寄与した.町田家は,林業から筏輸送,材木卸までの川上(名栗)から川下(江戸)へのサプライチェーンを形成したものの,当時の制度的制約から仲買以降の江戸の消費者までを取り込むことはほとんどできなかった.一方,柏木家は,各種事業を行って,大正期には筏の代わりに公共交通機関を整備し,温泉旅館を核とし東京の消費者の名栗への来訪を促進するという川下(東京)から川上(名栗)への流れのバリューチェーン形成を指向した.町田家は林業のキャピタルゲイン指向かつ「規模の経済性」を求め,柏木家はキャッシュフロー重視のインカムゲイン指向かつ「範囲の経済性」を求めたといえる.林業からいち早く離脱した柏木家であったが,柏木家の山づくりで見られた生態学的な「範囲の経済性」の考え方が反映されたといえる.一貫経営は資金の内部留保となることから私的な蓄財ともなるが,当時資金を負担して公共事業を行うのは名主・庄屋層であったことから,名主としての雇用や公共事業等の原資を獲得するための面があったと思料される.
著者
窪田 薫 白井 厚太朗 杉原 奈央子 清家 弘治 棚部 一成 南 雅代 中村 俊夫 Kubota Kaoru Shirai Kotaro Sugihara-Murakami Naoko Seike Koji Tanabe Kazushige Minami Masayo Nakamura Toshio
出版者
名古屋大学宇宙地球環境研究所
雑誌
名古屋大学年代測定研究
巻号頁・発行日
vol.2, pp.1-6, 2018-03-31

Mercenaria stimpsoni (Stimpson's hard clam), found in shallow sandy seafloor of northeast Japan, has been proved to have longevity of more than 100 years, which is the longest record in Japan. The present study established nuclear bomb testing induced bomb-14C records from M. stimpsoni shells, for the first time in high latitude western North Pacific, in which chronology is robustly constrained from a synchronized annual growth width pattern among individuals. The record revealed a strong influence of Tsugaru Warm Current on shallow water of northeast Japan. Furthermore, age-determination of dead shells collected from the seafloor of the study region by utilizing the established bomb-14C records suggests that past tsunamis are one of the most important reasons of death of M. stimpsoni.東北日本(岩手県大槌)から見つかった二枚貝の一種ビノスガイ(Mercenaria stimpsoni)は100歳を超す寿命を持ち,日本産の二枚貝としては最長寿であることが最近明らかになった.本研究では,ビノスガイの殻を用いて,複数個体間で同期した年間成長パターンをもとに厳密な年代モデルを構築し,東北地域としては初となる核実験起源の放射性炭素曲線を復元した.その結果,三陸沖の浅海域においては,津軽暖流(対馬海流を起源とする)の影響が強く見られることがわかった.さらに,得られた放射性炭素曲線を大槌の海底から得られた死殻の死亡年代の推定に用いることで,過去の津波イベントがビノスガイの死を招く重要な要因になっている可能性が示された.
著者
杉原 敏道 有馬 慶美 郷 貴大 三島 誠一 武田 貴好
出版者
理学療法科学学会
雑誌
理学療法科学 (ISSN:13411667)
巻号頁・発行日
vol.18, no.3, pp.159-162, 2003 (Released:2003-08-13)
参考文献数
13
被引用文献数
1 1 1

適切なメタ認知能力を兼ね備えた学生は問題を適切に感知することが可能となるため学力は高いと予想される。本研究では,理学療法における学生教育の一助とすべく,メタ認知能力と学力の関係について検討を行った。その結果,両項の間に有意な相関関係が認められた(r=0.95,p<0.01)。このことは,学力へのメタ認知の関与を明らかにするとともに,教授方略としてのメタ認知能力獲得の重要性を示唆するものと考えられた。したがって,学内教育においては,単に知識を伝授するような教授方略を用いるのではなく,メタ認知能力を促すような教授方略を用いることが重要であると考察された。
著者
松原 貴史 五福 明夫 杉原 太郎
出版者
日本プラント・ヒューマンファクター学会
雑誌
ヒューマンファクターズ (ISSN:13494910)
巻号頁・発行日
vol.20, no.2, pp.45-62, 2016 (Released:2016-04-25)
参考文献数
18

In recent years, the number of younger operators increases in the Japanese industrial plants because of the alternation of generations. The operation manual becomes more important for the safe and stable operations. We analyzed the reported trouble cases happened in the petroleum and nuclear industries due to the problems of operation manuals. The analyses revealed that most of the trouble cases were caused by insufficient information in the part of remarks in operation manuals. This study investigates experimentally the influence of insufficient information in the part of remarks in operation manuals on the performance of novice plant operators using a semi-scale boiler type power generation plant. Two types of operation manuals are prepared for the experiment. The first one is the set of original operation manuals. That is, this type includes all information described in the original operation manuals. The other type of operation manuals has some missing information in the part. The experimental results show that the usage of the operation manuals describing all information has much effect to decrease the operation risk and the rate of omitting operation actions although the operation time to complete the task becomes longer. The sufficient description of the information has little effect on the understanding of operations.
著者
杉原 尚示
出版者
一般社団法人映像情報メディア学会
雑誌
テレビジョン学会誌 (ISSN:03866831)
巻号頁・発行日
vol.45, no.8, pp.964-965, 1991-08-20

報道記者が簡単に操作できる, 報道速報システムと, LAN接続されたパソコンによる電子テロップを開発し, ニュース報道における速報性やニュース項目の柔軟性に効果をあげている.