1 0 0 0 積雪モデル

著者
山崎 剛 杉浦 幸之助
出版者
公益社団法人 日本雪氷学会
雑誌
雪氷 (ISSN:03731006)
巻号頁・発行日
vol.68, no.6, pp.607-612, 2006-11-15
参考文献数
29
被引用文献数
3 2

吹雪モデルを含む積雪モデルの現状と課題について概観した.積雪モデルは大きく分けて,少ない入力から積雪を評価する簡便なモデルと,可能な限り複雑な物理過程を考慮して積雪の層構造をも再現する多層モデルに分類される.また,吹雪モデルは個々の雪粒子の運動力学に基づくモデル,吹雪を空間濃度で表現し乱流拡散理論に基づくモデルが構築されている.それぞれに関して日本で開発されたモデルを中心に,代表的なモデルを紹介した.また,積雪モデルの国際相互比較Snow MIPについても紹介した.今後の課題として,雪の移動・再配分を含めた積雪分布モデル,森林地帯の扱い,気候予測に使える凍土を含めた長期積分可能なモデル,組織的な取り組みの必要性を指摘した.
著者
竹中 裕人 神谷 光広 杉浦 英志 西浜 かすり 鈴木 惇也 伊藤 敦貴 佐橋 魁 花村 俊太朗
出版者
医学書院
巻号頁・発行日
pp.929-936, 2021-07-25

背景:腰部脊柱管狭窄症(lumbar spinal stenosis:LSS)術後の下肢しびれ(lower leg numbness)と歩行能力の関連を明らかにすること. 対象と方法:LSS術後77例を後ろ向きに調査した.術後6分間歩行距離(6 minute walk distance:6MWD)に術後下肢しびれが関連するかを多変量解析で検討した. 結果:術後6MWDと有意な関連因子は,年齢,術式,術前硬膜管面積最小値,術前6MWDであったが,術後下肢しびれの残存は有意な関連因子ではなかった. まとめ:本研究の結果は,LSS術前に術後経過を説明する際や予後予測に役立ち,術前歩行能力向上の必要性を示唆している.
著者
横田 晋大 三船 恒裕 杉浦 仁美
出版者
広島修道大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2018-04-01

2019年度では、場面想定法を用いた質問紙実験を2度実施した。まず、申請内容にもある、外集団攻撃を行う人物への魅力度評価を行った(2019年7月)。結果は、男性戦士仮説を支持するものではなく、協力的な人物への評価が高いことが示されるのみであった。この結果を受け、本研究の仮説と方法を修正した。男性戦士仮説で述べられている、集団間葛藤により男性の繁殖成功度の向上は、内集団成員からもたらされるというよりもむしろ、外集団から資源を奪うことにある。そのため、質問紙実験において、集団間状況で外集団攻撃の生起を測定するIPD-MDにおいて、各集団の性比の教示を操作し、外集団攻撃が生起するか否かを検討した(2020年1月)。その結果、男性は、男性のみの集団間関係において外集団攻撃の傾向が見られた。しかし、外集団に異性が一人含まれているという教示は外集団攻撃に影響は与えていなかった。以上の結果は、2020年度の日本社会心理学会および日本人間進化行動学会にて発表予定である。
著者
杉浦 祥 清水 明
出版者
一般社団法人 日本物理学会
雑誌
日本物理学会誌 (ISSN:00290181)
巻号頁・発行日
vol.70, no.5, pp.368-373, 2015

マクスウェルやボルツマンにより創始された統計力学は,ギブズにより「アンサンブル形式」の統計力学として完成し,物理学の礎の一つとなった.しかし,その基本原理については,未解明な部分も残され,教科書の記述も様々である.アンサンブル形式では,等重率の原理に基づき,「(統計)アンサンブル」と呼ばれる確率集団を導入する.そして磁化や相関関数といった力学のみで定義できる物理量(力学変数)の平衡値は,この確率集団での平均値(アンサンブル平均)として求めることができる.しかし,熱力学で登場する,温度やエントロピーといった量(純熱力学変数)は,力学変数として表すことができない.そこで,純熱力学変数は,von Neumannエントロピー(古典系の場合Shannon entropy)や分配関数から求める.しかし,統計力学の基本原理である等重率の原理の本質は,アンサンブル平均ではなく,「ほとんどのミクロ状態がマクロには同じだ」ということである.即ち,温度や体積といったパラメーターを指定した時にあり得るミクロ状態の個数は組み合わせ論的に増大し,すぐに天文学的な数になる.このミクロ状態達のうち,圧倒的多数が平衡状態とみなせる状態であり,マクロ物理量を測った時に同じ測定値を返す.それとは異なる測定値を取るような非平衡状態はずっと少ない.その結果,平衡状態も非平衡状態もひっくるめたアンサンブルを作ってアンサンブル平均を求めれば,その値はほぼ100%を占める平衡状態での値になる.この「典型性」こそが,等重率の本質なのである.それならば,天文学的な数のミクロ状態についてアンサンブル平均を計算する必要は必ずしもない.我々は最近,マクロな量子系における典型性に着目し,熱力学的平衡状態を代表する,熱的な量子純粋状態(Thermal Pure Quantum state,略してTPQ state)をたった一つ用意するだけで統計力学の全ての結果が得られることを示した.つまり,磁化や相関関数といった力学変数がTPQ stateの期待値により計算されるだけでなく,熱力学関数のような純熱力学変数すらも適切なTPQ stateの規格化定数から得られる.TPQ stateは,アンサンブルの持つエネルギーの確率分布と非常に近いエネルギー分布を持つ量子純粋状態の中から,一つをランダムに選び出した状態であり,物理量のゆらぎまでも再現する状態となっている.アンサンブル形式では,熱ゆらぎの効果はアンサンブルを導入した結果生じる古典混合によって取り込まれると見なすことができた.しかし,TPQ stateを用いた定式化では,量子純粋状態の内部に量子エンタングルメントを作ることで,熱ゆらぎも量子ゆらぎの一部として取り込んでいる.その結果,たった一つのTPQ stateが統計力学で興味ある全ての物理量を正確に与えるのである.たった一つの量子純粋状態で熱力学的平衡状態が記述できるという事実は,理論的な興味のみならず,応用上もメリットをもたらしている.その例として,本記事では代表的なフラストレーション系である,カゴメ格子系上のハイゼンベルグ模型の数値計算結果を示す.
著者
杉浦 芳夫
出版者
公益社団法人 日本地理学会
雑誌
地理学評論 (ISSN:13479555)
巻号頁・発行日
vol.79, no.11, pp.566-587, 2006-10-01
参考文献数
84
被引用文献数
1 3

本稿では,オランダのアイセル湖ポルダ-における集落配置計画と中心地理論との関係を,文献研究を通して考察した.四つの干拓地のうち,当初の集落配置プランに中心地理論がヒントを与えた可能性があるのは北東ポルダーであり,その場合,形態論的側面にだけ限定すれば, Howard(1898)の田園都市論を媒介にしている可能性がある.東フレーフォラントと南フレーフォラントについては,上位ランクの集落配置は,考え方の点で,明らかに中心地理論の影響を受けているTakes(1948)の研究『本土と干拓地の人ロ中心』に基づいてなされた.東フレーフォラントの下位ランクの集落配置については,都市的生活を指向し,車社会に移行しつつあった当時のオランダ農村事情に通じていた社会地理学者らめ意見に基づき,中心地理論が厳密に応用されることなく行われた.ポルダー関連事業で活躍したこれらオランダの社会地耀学者の調査研究成果は,中心地理論研究史の中でも評価されて然るべき内容のものである.
著者
高岡 詠子 杉浦 学 小宮 仁志
雑誌
研究報告コンピュータと教育(CE)
巻号頁・発行日
vol.2014-CE-125, no.9, pp.1-14, 2014-05-31

本研究ではタッチタイピングのできるタイピング中級者に焦点を当てて実験を行い,タッチタイピング初心者の打鍵特性と比較や分析を行った.その結果,中級者も初心者も同じような文字を得意とし,同じような文字を苦手としている,中級者は初心者に比べ誤打鍵のミスの割合が減り,入れ替えや挿入のミスの割合が増える,中級者は左右の交互打鍵が速く,初心者は一つの指による連続打鍵のほうが左右の交互打鍵より速い,中級者は左手より右手による打鍵のほうが打鍵間隔が短い,多く打鍵すれば速く打鍵できるようになるが,正解率が高くなるとは限らない,正解率をあげるためにはある程度の速度を保ったまま多く打鍵する必要があるなどの結果が導かれた.これをもとに,有効なタッチタイピング学習方法や問題文を検討することが可能となる.
著者
杉浦 欣一 大橋 淑宏 江崎 裕介 古谷 博之 大野 義春 中井 義明
出版者
The Oto-Rhino-Laryngological Society of Japan, Inc.
雑誌
日本耳鼻咽喉科学会会報 (ISSN:00306622)
巻号頁・発行日
vol.94, no.4, pp.506-515, 1991-04-20 (Released:2008-03-19)
参考文献数
19

There is amount of epidemiologic, clinical and laboratory evidence to document that viral infection is involved in otitis media with effusion(OME).However, few studies have demonstrat- ed the direct influence of viruses on the tubotympanum.The purpose of this study is to establish the effect of influenza A virus invaded in the tubotympanum, in an attempt to elucidate the possible mechanism by which the virus contributes to the pathogenesis of OME.80 guinea pigs with normal otoscopic findings were inoculated with 0.2m1 suspension of influenza A(3.3 x 108PFU/ml)into their tympanic cavities through their tympanic membranes.To serve as controls, the same number of guinea pigs were injected with 0.2ml of physiologic saline solution into their tympanic cavities.At 3, 7, 14, and 28 days postinoculation, they were used for examination of the mucociliary function.Middle ear effusions were observed only in the animals inoculated with the virus.Mucociliary dysfunction was observed only in the animals inoculated with the virus.The ciliary activity in the bulla was declined at any time examined.On the other hand, the ciliary activity in the eustachian tube and the tympanic orifice was slightly lowered between 7 and 14 days, but the level was not different from that of the control.However, the number of active ciliated cells(showing more than 500 beats/min)was significantly smaller than that of the control.The mucociliary clearance time of the tubotympanum was more prolonged than that of the control at 3, 7, and 14 days, and returned to the control level at 28 days.A variety of morphologic changes were observed in the tubotympanum treated with the virus. Major pathologies observed included a general inflammatory cell infiltration, vacuolation and other degeneration of ciliated cells, and vascular damage and increased vascular permeability.Regener- ation of cilia or ciliated cells followed the degeneration, which included an increased number of basal cells and new formed centrioles.However, the viral infection had an influence on the epithelial cells with new centrioles.Our study has demonstrated that viral infection could evoke mucociliary dysfunction of the tubotympanum and create an increased susceptibility to bacteria.Therefore, viral infection could enhance bacterial infectious process in the tubotympanum.Through the failure viruses could contribute to the occurrence of OME.
著者
篠原 治征 杉浦 正
出版者
社団法人 日本口腔外科学会
雑誌
日本口腔外科学会雑誌 (ISSN:00215163)
巻号頁・発行日
vol.62, no.2, pp.100-104, 2016-02-20 (Released:2016-04-20)
参考文献数
17

A 34-year-old woman was referred to our department because of trismus. Physical examination showed severe trismus and stiffness of the masseter muscles. She had a miscarriage in the Philippines a few days ago, received treatment, and went back to Japan. Maternal tetanus( MT) was diagnosed on the basis of the clinical course and symptoms. The patient was immediately admitted to the intensive care unit. She was given anti-tetanus human immunoglobulin and antibiotics. The patient recovered without undergoing a tracheotomy or tracheal intubation. The World Health Organization( WHO) has reported that maternal and neonatal tetanus( MNT) has decreased in developing countries. However, delivery and miscarriage in an insanitary environment remain a problem. Tetanus is a fatal infectious disease if early treatment is not appropriately performed. An early warning symptom of tetanus is trismus. Patients with this disease may therefore initially consult a dentist or an oral surgeon. We should consider the possibility of tetanus when examining patients with trismus and observe them carefully.
著者
杉浦 賢吉 上坂 浩之
出版者
日本計量生物学会
雑誌
計量生物学 (ISSN:09184430)
巻号頁・発行日
vol.29, pp.33-52, 2008-07-01
参考文献数
13

Adaptive design is one of the most active research areas in clinical statistics for the last decade. This paper will give an introduction to the theory of two stage adaptive designs based on the pioneering articles by Bauer and Kohne (1994) and Proschan and Hunsberger (1995). As an application of Bauer and Kohne method, Bauer and Kiser method for two stage adaptive dose selection procedure in a dose response study is illustrated. Two actual examples of a confirmatory two treatments trial and a dose response study are briefly given.
著者
杉浦 千登勢 呉 博子 田辺 文子 汐田 まどか 前垣 義弘 大野 耕策
出版者
一般社団法人 日本小児神経学会
雑誌
脳と発達 (ISSN:00290831)
巻号頁・発行日
vol.45, no.4, pp.294-298, 2013 (Released:2014-10-11)
参考文献数
20

【目的】けいれん重積型急性脳症に伴う神経心理学的後遺症の臨床的特徴を明らかにする.  【方法】本症8例の臨床経過を後方視的に検討した.  【結果】全例に運動麻痺はなかった. 亜急性期に5例で不随意運動が出現し, 4例は一過性であった. 5例で口唇傾向, 6例で左半側空間無視が一過性に出現した. 慢性期以降では, 独歩可能となった7例中6例で歩容の不安定性, 7例で注意障害, 7例で対人技能面の問題, 2例で感情失禁が持続していた. 頭部画像所見では, 一過性症状の出現期に皮質下病変, 慢性期持続症状の出現期に大脳皮質萎縮所見を認めた.  【結論】これらの臨床的特徴を把握することは, 適切なリハビリテーションを行ううえで有用である.
著者
杉浦 啓二 杉浦 真理子
出版者
日本皮膚科学会大阪地方会・日本皮膚科学会京滋地方会
雑誌
皮膚の科学 (ISSN:13471813)
巻号頁・発行日
vol.7, no.2, pp.120-125, 2008

17歳,高校生。アトピー性皮膚炎で通院加療中,皮疹の悪化を繰り返していた。昼食に唐揚げを摂取した後の体育授業中に蕁麻疹を生じ,痒みのため掻破し,アトピー性皮膚炎が悪化していた。血液検査,経過,誘発試験より,唐揚げ粉による食物依存性運動誘発アナフイラキシー(FDEIA)と診断した。唐揚げ摂取後2時間は運動しないよう指導したところ,蕁麻疹は消失し皮疹は軽快した。その後,調理実習の際,両手の皮疹とアトピー性皮膚炎の悪化を生じていた。パッチテスト結果より遅延型ラテックスアレルギーと診断した。調理の際,ゴム手袋の使用を中止するよう指導し,両手の皮疹及びアトピー性皮膚炎は軽快した。
著者
杉浦 悦子
出版者
慶應義塾大学日吉紀要刊行委員会
雑誌
慶応義塾大学日吉紀要 英語英米文学 (ISSN:09117180)
巻号頁・発行日
no.43, pp.1-33, 2003

Sigrid Nunez, the author of three books, A Feather on the Breath of God(1995), A Naked Sleeper (1996), and Mitz: A Marmoset of Bloobsbury(1998), published her fourth book For Rounenna (2001), which she beginswith a reference to her first book.After my first book was published, I received some letters.Thus referring to her first book, Nunez tells us that the narrator of herfourth book is the same person with that of her first book. Though Nunezleft Staten Island in her second and third books and took Manhattan orLondon as her terrains, She returns in this book to Staten Island, where shehad begun her narrative in A Feather on the Breath of God.The first section of my essay will focus on the descriptions of thehousing project in Staten Island in both books. It is a residential area forthose who are not yet accepted into the States for several reasonsrespectively, including immigrants who have just arrived. Almost all thepeople who live there share one feeling, a feeling that they do not belongwhere they exist. They feel that they are not in the right place, and that theyare on their way from somewhere else to somewhere else, in short, afeeling of moving, of homelessness, of diaspora.On the other hand, for people outside the project, it is also a mistake.They never tread into it, let alone go across it. They will go around ithowever long it might take. They, the people outside, can somehowdistinguish the residents of the project from other Americans. By whatbrand, by what mark can they tell the people of the project from the otherAmericans? People of the project are strangers, outsiders, aliens for them.They live in the States, some might have a green card, some might have anAmerican citizenship, but they are still foreigners in America and thusStaten Island is symbolically a foreign country inside, or rather, at the heartof, America.Out of Staten Island, 'I' the narrator tries to escape into Manhattan. Thesecond section of this essay will focus on "A Feather on the Breath ofGod", the third chapter of the first book, in which 'I' is dedicated to aballet. This chapter can be read as a memory of a phase in the process ofgrowth in which 'I', the girl who has an American citizenship as abirthright and speaks American English as her mother tongue, has to cut offand cast off her foreignness rootwd in her existence in order to be anAmerican.What 'I' find in the world symbolized by a ballet is a way by which togo out of the world of reality and to be accepted into another world. Theformer world is associated with her parents, foreignness and Staten Island,and the latter with art, America and Manhattan. While the former isassociated with order, beauty and purity, the latter with a chaos, a squalor,and impurity.It is suggested that what she is trying to discard is something vital to her,something closely connected to the core of her life by the fact that herdedication to ballet includes abhorrence to eating. She persuades herselfnot to eat by emphasizing the repulsiveness of food imagining what foodturns into once eaten and digested. And the very state of chaos, ambiguityand impurity of food once in our body is precisely the metaphor offoreigners with their ambiguous identities, belonging to plural or nocountries, with languages imperfect and scattered with so many loan wordsand imperfect grammar, the foreignness woven into the texture of her life.As she consciously hates and refuses food, so she abominates and rejectsthe foreigner in herself, in order to be an American, in order to leave thehousing project in Staten Island which symbolizes a foreign country insideAmerica.However, when she grows up to be an English teacher for immigrants,that other self, that foreign self, which is supposed to have been cast off inher puberty, still abides in the depth of her heart, though oppressed, hiddeneven to herself. That is why 'I' is so ravished by a Russian immigrant, whois not only married but also a villain, almost a criminal, once suspected of amurder in his old country. If it had not been for that other self, she wouldnot have been so attracted by him or by his language. A Feather on theBreath of God depicts the process in which 'I' meets her other self, whichleads her to write lives for those who cannot write themselves. The thirdsection of my essay will explicate how through her love for a foreignerwho reminds her of her own father she gets awakened to her instinct fortranslation as an act of mediation between foreigners and other people.For Rouenna, Nunez's fourth book, is a short biography of a daughter ofPolish immigrants with whom 'I' share some period of childhood in thehousing project in Staten Island, but at the same time, it is a story of StatenIsland itself. Or rather a story of leaving and returning Staten Island.'I' is now writing in Manhattan. She hasn't been to Staten Island for along time. Though it is a home she had discarded many years before andwhich she has to abhor and reject, she, strangely enough, shares withRouenna a mixture of shame and love for that place. The fourth section ofthis essay will follow the process how Rouenna enables 'I', who has beenleading a lonely and sterile life, revives as a narrator.The vague uneasiness and fear and irresistible attraction 'I' feel towardRouenna derives from the memory of her past revived at her advent, theforeignness she once cut off and threw away in order to be an American.Rouenna appeals to the foreigner who lurks inside 'I'. This is suggested bythe Rouenna's connection with food. Rouenna urges the foreigner to writeher story because she cannot write it herself, to carry it out of her body andconvey it into the world. It is not until after Rouenna's sudden death that'I' realized the significance of their relationship, when her love forRouenna makes her to return to Staten Island and thus enables her to reviveas a narrator after a long sterile period.
著者
杉浦 晋
出版者
埼玉大学教養学部
雑誌
埼玉大学紀要. 教養学部 (ISSN:1349824X)
巻号頁・発行日
vol.55, no.2, pp.259-273, 2020

石川淳の短篇「山桜」(一九三六)に死んだ女性の幻影があらわれるのは、「わたし」が「ネルヴァルのマント」を想起したことをきっかけ=入口としている。それはテオフィル・ゴーチェらの回想や、唯物史観に照応したアーサー・シモンズの文学史から石川が受け取った、ジェラール・ド・ネルヴァルの「文学的形象」に基づく。それは自殺、狂気、夢というロマン的なシニフィエをはらみ、象徴主義につらなる一九世紀の文学を表象し、フランス革命後の小市民共和主義者によるロマン主義文学運動を想起させるものであり、長篇「普賢」(一九三六)にも投影され、小林秀雄、坂口安吾なども共有していた。そして、物語の最後で幻影は消滅し、あとに立ちすくむ「わたし」が残される。その姿は、こうした「文学的形象」を克服し、二〇世紀の新しい文学にむかう決意のあらわれとみなされる。石川は、そのためのきっかけ=出口を、まずポール・ヴァレリーに、また近世文学史の見取図をふまえて上田秋成に認めていた。
著者
塩見 敏樹 杉浦 巳代治
出版者
The Phytopathological Society of Japan
雑誌
日本植物病理学会報 (ISSN:00319473)
巻号頁・発行日
vol.49, no.5, pp.727-730, 1983-12-25 (Released:2009-02-19)
参考文献数
14
被引用文献数
4 5

In 1982, a disease of strawberry plant, showing the symptoms of stunting and witches' broom, was observed in Shizuoka city. Electron microscopy revealed the presence of mycoplasmalike organisms (MLOs) in the sieve tubes of the diseased plants. Macrosteles orientalis, and Macrosteles fascifrons were found to transmit the disease to healthy plants. Of 29 species plants in 14 families, which were inoculated by the infectious M. orientalis, 26 species plants in 12 families were infected with the MLO. The strawberry witches' broom had a wide host range similar to those of sickle hare's ear yellows.
著者
熊井 郁哉 金澤 秀明 鈴木 竹雅 安藤 亮一 杉浦 孝直
出版者
一般社団法人 映像情報メディア学会
雑誌
映像情報メディア学会年次大会講演予稿集 (ISSN:13431846)
巻号頁・発行日
vol.2016, pp.14D-4, 2016

In June 2016, all local stations of NHK began operating File-Based News Production System. In this system, all users are able to share video files via IP network and use meta data of contents effectively. This file-based system realizes dramatic improvements in speed and efficiency for the workflow of news production.
著者
明星 聖子 高畑 悠介 井出 新 松原 良輔 松田 隆美 中谷 崇 納富 信留 矢羽々 崇 伊藤 博明 Pekar Thomas 黒田 彰 近藤 成一 宗像 和重 杉浦 晋 武井 和人 北島 玲子
出版者
埼玉大学
雑誌
基盤研究(A)
巻号頁・発行日
2016-04-01

昨年度の検討を受けて、今年度は昨年度のテーマに若干変更を加えた以下のAからEの5つのテーマについて、さらに今年度からは総合的なFのテーマも加えて研究を進めた。A.ドイツ文献学の成立の事情とその日本における受容および明治/大正期の文学研究の確立をめぐる検討、B.日本文学における現在の文献学的状況を探るケーススタディ、C.再評価の機運が高まっているイタリアの文献学者S.Timpanaroの代表著作の 読解と翻訳、D.英文学研究および教育における編集文献学的方法論の実践、E.独文学研究および教育における編集文献学的方法論の実践、F.人文学テクスト全般における「信頼性」および「正統性」をめぐる総合的な編集文献学的考察。テーマごとの班活動以外に、全体としての研究会も3回、2019年6月16日に慶應義塾大学で、7月31日に放送大学で、また2020年1月26日に慶應義塾大学で開催した。第1回での研究発表は、「編集文献学の可能性」(明星聖子)、第2回は、「古典文献学の可能性」(納富信留)、「注釈の編集文献学」(松田隆美)、第3回は、「南朝公卿補任の真贋判断をめぐって」(武井和人)、「偽書という虚構ー近代日本の小説3つをめぐって」(杉浦晋)。なお、こうした活動が実を結び、2019年9月に刊行された雑誌『書物学』(勉誠出版)で、特集「編集文献学への誘い」が組まれ、そこでプロジェクトメンバーの論考6本がまとめて掲載されたことは、特筆に値するだろう。
著者
杉浦 直
出版者
東北地理学会
雑誌
季刊地理学 (ISSN:09167889)
巻号頁・発行日
vol.69, no.4, pp.207-222, 2018

<p>レブンワースは,カスケード山中に位置する資源依存型の山間小都市であったが,戦後1950年代には,産業基盤の弱化により衰退した。1960年代から市の再活性化が模索され始め,その過程でドイツ(ババリア)風に街並みを改造する「ババリア化」のアイデアが浮かび上った。その後さまざまな紆余曲折を経て,1970年代には建物改装のためのデザイン評価ガイドラインも制定され,2001年のガイドライン厳格化を経て,今日ではダウンタウンの建物のほとんどがババリア的建築要素をもつユニークなエスニックテーマ型のツーリストタウンが実現している。こうした「場所の構築」の文化的本質に関して以下の普遍的な意味が指摘できる。1)レブンワースでは他のテーマ性の強い観光空間と同様,ツーリスト向けの特殊な買い物空間が創出され,ビジュアルに特異な建造環境とともに様々なアイテムが消費されている。2)そこで見られるエスニシティは「発明されたエスニシティ」(Hoelscher, 1998)の性質が強いものであり,そこで謳われた真正性は所与のものではなく交渉され演出されたものであった。3)そこにおけるまちづくりの過程は,「空間的ストレス-シンボル化」モデル(Rowntree and Conkey, 1980)にきわめてよく適合する。</p>