著者
村上 昌弘
出版者
共立女子大学
雑誌
萌芽研究
巻号頁・発行日
2005

【目的】岩海苔(Porphyra pseudolynearis)は独特な香りと風味を有し、海苔類の中でも高級なものとされている。乾岩海苔を焙焼後、温水に浸漬すると海苔の旨味成分である5'-IMPが急激に増加し、旨味が増すことが知られており、これにはアデニリックデアミナーゼ(ADase)の関与が示唆されている。また、高温処理によっても乾岩海苔中のADase活性は消失せず、酵素学的にも興味深い。本研究では、ADaseの安定化機構の解明を最終目的とし、ADaseの単離・精製法、さらに酵素の大量抽出法について検討を加えた。【方法】試料の乾岩海苔は、西伊豆土肥産のものを使用した。トリス酢酸緩衝液で抽出した酵素液にADase活性が認められたので、以下の方法により精製を試みた,すなわち試料に、リン酸カリウム緩衝液を加えてホモジナイズし、遠心分離した。透析・脱塩後、弱陰イオン交換体であるCellulose phosphate樹脂で処理し、0.45M〜1.0M KClを含む緩衝液によるリニアグラジエント法により分画した。次に、5'-AMP agaroseによるアフィニティークロマトグラフイー、続いてButyl Toyopear1650Sによる疎水クロマトグラフィーを行った。【結果】Cellulose phosphateカラムクロマトグラフイーの結果、ADase活性はKCl濃度0.5M付近に回活性画分を限外濃縮し5'-AMP agaroseを用いるアフィニティーカラムクロマトグラフィーに付したとKCl濃度0.2M付近に回収された。さらに硫安濃度1.5M〜0MまでのButyl Toyopear1650Sを用いる疎グラフィーに付した結果、硫安濃度1.3M付近に活性があり、5'-AMPを基質とした酵素反応試験の結果にADase活性が認められた。ポリアクリルアミドゲル電気泳動を行い、銀染色をした結果、薄い複数のバされたが、その中でも濃かった6万付近のバンドがADaseであると推測された。
著者
村上 淳郎 工藤 賢司 平岩 徹夫 鎮西 信夫 苅田 丈士
出版者
宇宙航空研究開発機構
雑誌
宇宙航空研究開発機構研究開発報告 (ISSN:13491113)
巻号頁・発行日
vol.4, pp.1-18, 2005-03

水冷スクラムジェット燃焼器の自発着火燃焼性能を、空気総圧、空気総温、燃焼器長さ、壁温そして燃料噴射型式をパラメータとして調べた。水冷スクラムジェット燃焼器には、マッハ数2.5、空気総圧1.0, 1.5, 2.0 MPa、空気総温1200〜2600 K の高温模擬空気が流入する。高温模擬空気は水冷式の高温模擬空気発生装置(VAG)で生成した。水冷スクラムジェット燃焼器は、超音速ノズルを有する水冷スクラムジェット燃焼器試験装置に直結した。燃焼状態は燃焼器内の温度上昇により調べた。燃料垂直噴射時の自発着火性能は、空気総圧が増加すると着火限界空気総温が高くなる傾向にあった。この条件は第2限界付近であった。空気中のH_2O の存在は、高い空気総圧のときに更に着火を遅らせた。空気総温が高い状態では、圧力の上昇によって自発着火性能は改善された。燃焼器が長くなったときの自発着火性能は、垂直噴射では向上した。しかしその度合いは、空気総圧が高くなるほど小さくなった。平行噴射では、自発着火性能は低かった。水冷スクラムジェット燃焼器の着火限界空気総温は、無冷却スクラムジェット燃焼器より高かった。これより着火源は、剥離領域等の燃焼器壁面付近に存在すると考えられた。
著者
中尾 友香梨 日高 愛子 白石 良夫 大久保 順子 土屋 育子 沼尻 利通 亀井 森 三ツ松 誠 谷口 高志 田中 圭子 中尾 健一郎 村上 義明 二宮 愛理 脇山 真衣 河野 未弥 明石 麻里
出版者
佐賀大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2015-04-01

本研究では、肥前小城藩の藩主家と藩校に伝わっていた蔵書群である小城鍋島文庫の典籍を調査し、具体例として当文庫所蔵の『十帖源氏』を輪読・翻字し、分析を加えた。主要なる成果物として、2017年5月に『小城鍋島文庫蔵書解題集(試行版)』を刊行し、また2018年3月に笠間書院より『佐賀大学附属図書館小城鍋島文庫蔵「十帖源氏」立圃自筆書入本 翻刻と解説』を出版した。
著者
濱田 良樹 飯野 光喜 近藤 壽郎 石井 宏昭 高田 典彦 佐藤 淳一 中島 敏文 村上 夏帆 清水 一 渡邊 英継 黒田 祐子 中村 百々子 瀬戸 皖一
出版者
一般社団法人 日本口蓋裂学会
雑誌
日本口蓋裂学会雑誌 (ISSN:03865185)
巻号頁・発行日
vol.25, no.3, pp.286-291, 2000

1994年~1999年の6年間に,鶴見大学歯学部付属病院第一口腔外科ならびに関連施設で施行された顎裂部骨移植に関して臨床統計的観察を行った。その結果,以下のような結論が得られた。<BR>1)総患者数は86例で,11歳以下の症例が22例25.6%,12~17歳が32例37.2%,18歳以上の成人症例が32例37.2%を占めていた。<BR>2)生着率は97.7%で,早期経過不良の2例はいずれも成人症例であった。成人症例への対応として,骨移植後の感染源となり得る歯と歯周病の管理が重要と考えられた。<BR>3)受診の動機としては,顎裂に関する他科からの紹介が86例中80例93.0%で,そのうち矯正歯科からの紹介が最も多く72.5%であった。一方,当初他疾患を主訴に来院したものが6例あり,いずれも顎裂部骨移植に関する知識は皆無であった。今後,関連各科との連携強化と患者への積極的な情報提供が必要と考えられた。<BR>4)顎裂部骨移植に関連する併用手術としては,顎矯正手術のほか,デンタルインプラントの埋入,口唇外鼻修正術などが,主に成人症例に対して施行されており,成人症例における顎裂部骨移植の臨床的意義が示唆された。
著者
村上 暁信
出版者
農村計画学会
雑誌
農村計画学会誌 (ISSN:09129731)
巻号頁・発行日
vol.24, no.3, pp.169-176, 2005 (Released:2007-03-01)
参考文献数
13

The symbiosis of town and country has learnt to be an important issue in Japanese planning. Thus, it is needed to reexamine the history of Japanese planning system from the viewpoint of town-country relationship. In this study, regional improvement movement and the journal entitled “Shi-min” were taken up to be studied in the context. When scrutinized the visions on town, country and town-country relationships expressed in the articles of the journals, the following findings were obtained. The town was neglected at first, and then it was seen with aggression. On the other hand, a concrete image on a model country was created and remained with little change in the image.
著者
村上 誉 石津 健太郎 伊深 和雄 松村 武 児島 史秀 矢野 博之 長谷川 幹雄 原田 博司 森川 博之
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. RCS, 無線通信システム (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.114, no.490, pp.237-242, 2015-02-25

ホワイトスペースLTE方式において,実トラフィック量に応じて動的に基地局と端末の双方の通信方式やパラメータを変更することでネットワークのキャパシティを向上させる手法を提案してきた.しかし,本手法は各ユーザへのリソースの分配までは考慮していないため,十分な性能を引き出すためにはLTE基地局のスケジューラが整合したリソース配分を行う必要がある.そこで本稿では,既存のProportional Fair方式をもとに各ユーザの実トラフィック量に合わせたリソースブロックの割り当てを行う改良方式を提案し,計算機シミュレーションによりその有効性を示す.
著者
玉木 輝幸 村上 健一 潮田 浩作
出版者
一般社団法人 日本鉄鋼協会
雑誌
鉄と鋼 (ISSN:00211575)
巻号頁・発行日
vol.101, no.3, pp.211-220, 2015 (Released:2015-02-28)
参考文献数
13
被引用文献数
1

A local curvature multi-vertex model was developed. This model is a straightforward two-dimensional topological network model based on physical principles that consider the local curvatures of grain boundaries and the grain boundary tensions at triple junctions. Virtual vertices are set on the grain boundaries in order to calculate the driving forces of grain boundary and triple junction migration. Therefore, the accuracy of the developed model is higher than that of the conventional curvature model and the vertex model. In the proposed model, the generation and annihilation of virtual vertices maintained a proper configuration of virtual vertices, and high accuracy is expected with a suitable set of simulation parameters. The proposed model was verified by the grain growth simulation using adequately determined parameters for the artificially generated specimens with 5040 grains.