著者
安藤 敏夫 内橋 貴之 福森 義宏 福間 剛士 古寺 哲幸 紺野 宏記 ウオング リチャード 村上 聡 小椋 光 豊島 陽子 神取 秀樹
出版者
金沢大学
雑誌
基盤研究(S)
巻号頁・発行日
2012-05-31

三つの課題に取り組んだ。課題1では、既に確立した高速AFMを利用して多様な蛋白質系で起こる動的プロセスを観察し、機能メカニズムに迫るとともに、従来技術では困難な天然変性蛋白質の構造解析が高速AFMで可能であることを実証した。課題2では、振動を起こさずに広域を高速走査する技術やイメージング中に試料を操作可能なインターラクティブ高速AFMを開発し、その有効性を実証した。また、カンチレバー走査方式の高速AFMと蛍光顕微鏡との複合機を開発し、蛍光像と高速AFM像の同時取得を実現した。課題3では、非接触観察可能な走査型イオン伝導顕微鏡の高速化に向け要素技術を開発し、約100倍の高速化に成功した。
著者
村上 明
出版者
近畿大学
雑誌
奨励研究(A)
巻号頁・発行日
1997

マクロファージなどの白血球によるNOの過剰産生が発がんの危険因子であるとの考えのもとに、食用植物抽出物のNO産生抑制活性スクリーニングを行った。総計48種(60試料)のメタノール抽出物を試験した結果、200μg/mLの濃度において、アボカド、コマツナ、バジルなど17種(全体の28%)に70%以上の高いNO産生抑制活性が認められた。これらの抑制活性は、NO消去ではなく、iNOS誘導系の阻害と示唆された。ついで、タイ国産のコブミカン(Citrus hystrix DC)の果実より活性物質を検索し、クマリン関連物質のbergamottinが単離できた。bergamottinはRAW264.7細胞において高いNO産生抑制活性(IC_<50>=14μM)を示し、この活性は合成iNOS阻害剤のL-NIO(IC_<50>=7.9μM)に匹敵するものであった。さらにクマリン関連物質のNO産生抑制活性に関する構造活性相関を、23種のクマリン類を用いて検討した結果、これらの活性発現には、プレニル基、あるいはゲラゲラニル基といったテルペン系側鎖が必要であり、さらにこの側鎖に水酸基などによる修飾が入ると活性は消失するという興味深い研究結果を得た。そこで、細胞内への取り込み効率を検討した結果、不活性なクマリン類はほとんど細胞内へ取り込まれず、側鎖への水溶性の賦与が活性の低減化をもたらすことが示唆された。
著者
村上 恭子
出版者
富山大学
雑誌
高岡短期大学紀要 (ISSN:09157387)
巻号頁・発行日
vol.6, pp.51-63, 1995

情報とテクノロジーが主要な役割を占めている後期資本主義社会において,特に大きな影響力があるテレビというマスメデイアの様々な側面を,Thomas PynchonのVineland (1991)を中心に検討を行った。テレビによる疑似世界の蔓延は,シミュラークルの先行するハイパーリアルな世界を偏在させ,実像と虚像の区別を不可能にしてしまっている。またテレビが送る断片的映像は,互いに不調和な要素が渾然となった多元的世界を生み出し,見る人々の心を一種の分裂状態にさせた。さらにテレビ映像は,現実を透明に直接に再現しているようでありながら,出来事,カメラ・アングル,形式的構成などを通してイデオロギーを洗脳する媒体としても必ず機能する。こうしてテレビは,国家や大企業などの特定の権力機構や文化と結び付いた覇権的イデオロギーを人々に押しつけ,画一的な価値観や全体主義的傾向を生み出すのである。だがその一方では,テレビは真実を伝え,政治や経済的不正を暴いて,その社会的使命を果たしてもいる。 Pynchonのこうしたテレビの描き方を通し,読者は合理主義的西欧文化の功罪を知ることができるのである。
著者
石原 勲 村上 巧 南 秀一
出版者
一般社団法人日本機械学会
雑誌
日本機械学會論文集. B編 (ISSN:03875016)
巻号頁・発行日
vol.63, no.614, pp.3370-3374, 1997-10-25
被引用文献数
1

Optical interferometers, such as the Mach-Zehnder interferometer, have often been used to measure the temperature of transparent fluids. In this paper, we utilize a Moire interferometer in which a conventional interferometer is combined with the Moire technique. By applying a fringe scanning technique to this Moire interferometer, a new fringe analytical system is obtained and the fringe analysis is automated with the aid of a personal computer. The temperature field of the air around a vertical heated plate under natural convection is measured and compared with the theoretical solution. The temperature measured using this system is in good agreement with the theoretical one. It is verified that this optical system is applicable for measuring the temperature of transparent fluids.
著者
村上 治 礒部 真志 西脇 剛史
出版者
Japan Society of Sports Industry
雑誌
スポーツ産業学研究 (ISSN:13430688)
巻号頁・発行日
vol.9, no.1, pp.9-16, 1999
被引用文献数
7 2

Flexibility is one of the important properties of running shoes. This function has been evaluated by the bending stiffness of the shoe sole. However, this evaluation method seems to be insufficient because it cannot consider the deformation behaviors of the human foot and the shoe sole. The human foot can flex at the metatarsophalangeal joint only. This indicates that deformation of shoe sole must be considered. In this study, a new evaluation method for the flexibility of running shoes based on shoe sole deformation is proposed. In this method, curvature distributions of the plantar surface and shoe soles were measured at heel 100 mm up. The proposed flexibility is evaluated from the comparison. The influences of groove position and depth upon the sole curvature distribution were measured by both the experiment and the finite element method. Then, based on the analytical results, several shoes were made and these were evaluated by sensory evaluation test. From these results, it is suggested that matching the maximum flexion point of the shoe sole with that of plantar surface is important.
著者
長瀬 文昭 田中 靖郎 石田 学 高橋 忠幸 満田 和久 井上 一 宇野 伸一郎 HOLT S. 伊藤 真之 SERLEMITSOS P. 松岡 勝 北本 俊二 WHITE N.E. 林田 清 MADJSKI G. 田原 譲 CANIZARES C. 大橋 隆哉 MUSHOTZKY R. 紀伊 恒男 PETER R. 国枝 秀世 山内 茂雄 堂谷 忠靖 村上 敏夫 常深 博 牧島 一夫 小山 勝二 山下 広順 三原 建弘 小川原 嘉明 吉田 篤正 槙野 文命 HUGHES J. 宮田 恵美 鶴 剛 粟木 久光 石崎 欣尚 藤本 龍一 上田 佳宏 根来 均 田代 信 河合 誠之 RICKER G. HELFAND D. MCCAMMON D.
出版者
宇宙科学研究所
雑誌
国際学術研究
巻号頁・発行日
1996

「あすか」は、日米共同で製作されたX線天文衛星であり、1993年2月に打ち上げられた。そして、その後の観測運用も両国の緊密な協力によって遂行されている。これまで衛星は順調に運用され、装置は正常に稼し、所期の性能を発揮しており、試験観測・公募観測とも順調に行われてきた。本研究の目的はこの衛星の観測・運営を日米協力の下で行い、中性子星やブラックホールを含むX線連星や、超新星残骸、活動的銀河核、銀河団等からのX線放射、宇宙X線背景放射等の研究を行うことであった。この目的に沿って研究を進め次の各項目に述べる成果を挙げた。(1) 専門科学者グループの会合を定期的に開催し、観測計画の評価・ターゲットの選択、衛星の運用、適切な検出器較正等の衛星観測運営上の基本方針について討議をおこなった。(2) X線望遠鏡および各測定装置の精密な較正を行うとともに、各検出器の諸特性・応答関数の時間変化を明らかにし、すべての観測に対し正確な解析を可能とした。(3) データ解析ソフトウエアーの改良・拡充、科学データの編集、管理を両国研究者が協力し且つ継続的におこなった。(4) 観測から得られたデータを共同で解析、討議を行って、その科学的成果をまとめた。さらにこれらの得られた成果を各種国際学会・研究集会において発表し、また学術専門誌に公表した。(5) 観測者の占有期間を過ぎたデータを統一的に編集・管理し、またその観測記録を整備して、これらの観測記録、アーカイブデータを広く公開し、世界中の研究者の使用の便に供した。特に、「あすか」によるX線観測では、その高感度、高帯域、高分光撮像特性により、宇宙論研究に重大な寄与をするX線背景放射の解明、遠方のクエーサーや原始銀河からのX線放射の発見、銀河団の進化および暗黒物質の解明、活動銀河核、ブラックホール天体、ジェット天体、強磁場中性子星等の特異天体の解明、激変星、高温白色わい星、超新星残骸等における高温プラズマ状態の研究等において重要な成果を得ることが出来た。これら「あすか」の成果は国際的にも高く評価されている。以上、本研究課題に対する科学研究費補助金により、国際協力の下での「あすか」衛星の観測・運営が円滑に行われ、また十分な科学的成果を挙げることが出来た。
著者
興梠 征典 掛田 伸吾 中村 純 森谷 淳二 香月 あすか 吉村 玲児 小笠原 篤 村上 優 宮田 真里 阿部 修 渡邉 啓太 上田 一生 井形 亮平 杉本 康一郎
出版者
産業医科大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2013-04-01

うつ病患者と健常者におけるCOMT遺伝子多型とNET遺伝子多型が、脳微細構造に及ぼす影響を、MR統計画像解析を用いて検討した。3次元高分解能MR画像による脳容積解析では、COMT遺伝子多型のMet carrier群において、健常群に比し患者群では尾状核の体積が有意に小さかった。Valine/ Valine型においては差がなかった。NETではG1287A多型において有意な関連が見られ、G/A型やA/A型に比べG/G型では左前頭前皮質の容積減少の程度が、健常群よりも患者群において有意に大きかった。これらの所見が、MDD患者の症状に関連している可能性が示唆された。
著者
村上 純 田所 嘉昭
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理学会論文誌 (ISSN:18827764)
巻号頁・発行日
vol.34, no.8, pp.1675-1681, 1993-08-15
被引用文献数
1

入力信号系列がいくつかの正弦波と付加的な白色雑音により構成されている場合に、雑音成分を低減する処理は、ディジタル信号処理の主要な目的の一つである。その手法の一つに、対象とする系のテプリッツ形線形予測モデルを構成して、より低いランクのテプリッツ形近似行列を計算する手法がある。近似行列が求まれば、雑音成分を低減した信号が再現される。具体的な計算方法は、特異値分解(SVD)を利用したWilkesらの方法が一般的に用いられている。しかし、この方法は、SVDを何度も計算するので、かなり計算時間がかかる。そこで我々は、同様な近似行列を計算する、より高速なアルゴリズムを開発した、本手法は、周波数艦定でよく用いられる相関行列を、離散フーリエ変換の回転因子から成るベクトルの積で近似する事法を応用したものである。計算の高速化のためには、固有値計算の一手法であるブロックベき乗法を利用して、すべての特異値を近似的に一度で求めるようにした。
著者
村上桂秋 著
出版者
堀田航盛館
巻号頁・発行日
vol.松の廊下, 1913
著者
岡田 忠司 杉下 朋子 村上 太郎 村井 弘道 三枝 貴代 堀野 俊郎 小野田 明彦 梶本 修身 高橋 励 高橋 丈夫
出版者
Japanese Society for Food Science and Technology
雑誌
日本食品科学工学会誌 : Nippon shokuhin kagaku kogaku kaishi = Journal of the Japanese Society for Food Science and Technology (ISSN:1341027X)
巻号頁・発行日
vol.47, no.8, pp.596-603, 2000-08-15
被引用文献数
29 194 25

医薬品として販売されているγ-アミノ酪酸製剤(合成GABA製剤)は,脳代謝促進作用があり,脳梗塞・脳出血後遺症等,脳血管障害の諸症状の改善や血圧上昇抑制効果が認められている.また最近の医学分野の研究では,更年期障害や初老期の自律神経障害にみられる精神的症状の緩和にも効果があると報告されている.<br>本試験では,コメぬかから分別製造した「GABA蓄積脱脂コメ胚芽」を用いて,更年期及び初老期の被験者20名に対する効果をプラセボとの比較にて検討した.<br>その結果,更年期及び初老期に見られる抑うつ,不眠,イライラ,不定愁訴の自律神経障害の改善に,GABA蓄積脱脂コメ胚芽が高い効果を示すことが明らかになった.またこのほかに,高血圧症や肝機能の改善作用も示され,服用に伴う副作用も全く見られなかったことから,毎日摂取できる機能性食品素材として高い利用価値を有していることも明らかになった.
著者
安藤 研 布施 秀樹 島崎 淳 村上 信乃 松嵜 理
出版者
社団法人日本泌尿器科学会
雑誌
日本泌尿器科學會雜誌 (ISSN:00215287)
巻号頁・発行日
vol.79, no.8, pp.1399-1405, 1988-08-20
被引用文献数
3 8

前立腺癌は経過中に組織学的分化度を変化し,再燃後には,低分化傾向がみられることを既に報告した(日泌尿会誌,74:989,1983).今回さらに症例を追加し,生検時と剖検時の病理組織像の比較を行なった.用いた37例は,全例癌死であり,いずれも内分泌療法が施行された.生検剖検問に取扱い規約による分化度の変化をみたものが9例,不変のものは28例であり,前者はすべて中分化型が低分化型となったもので,後者は中分化型12例,低分化型16例であった.低分化型で分化度の不変のものに内分泌療法無効例が多かった.生検剖検問で取扱い規約により不変とされた28例でもGleason scoreでみると,その40%は剖検時scoreが大となっていた.したがって内分泌療法後に再燃したものは,治療前に比べて,低分化傾向になるとみなせた.剖検時,転移部位の分化度は,多くは,原発巣と同じ分化度であった.
著者
平沢 純一 村上 久幸 田中 幸 木伏 祐治
出版者
情報処理学会
雑誌
研究報告音声言語情報処理(SLP) (ISSN:18840930)
巻号頁・発行日
vol.2010, no.10, pp.1-4, 2010-10-22
被引用文献数
1

音声認識エンジンを用いて音声認識 HMI の製品・サービスを開発するカスタマは,品質 (認識精度) について何をどのようにリクエストしてくるのか?を紹介しながら,音声認識エンジンのベンダはどのような技術サポートを提供することが可能なのか?を議論する.議論のポイントは,「カスタマからの期待」 と 「現在の音声認識技術で可能な技術サポートの現実レベル」 との間に存在する溝を,どのようにして埋めたらよいのか?である.This article describes how customers developing products and services with speech HMI would question and request for speech recognition engine vendors in terms of speech recognition accuracy requirement. It also discusses what types of support speech vendors can provide in response to their requests. The key issue here is to fill the gaps between customers' expectations and what speech vendors could actually provide.
著者
児矢野 マリ 高村 ゆかり 久保 はるか 増沢 陽子 島村 健 鶴田 順 堀口 健夫 北村 喜宣 遠井 朗子 山下 竜一 佐古田 彰 藤谷 武史 坂田 雅夫 亘理 格 城山 英明 加藤 信行 郭 舜 小林 友彦 藤谷 武史 坂田 雅夫 及川 敬貴 梅村 悠 村上 裕一 伊藤 一頼
出版者
北海道大学
雑誌
基盤研究(A)
巻号頁・発行日
2010-04-01

地球温暖化、海洋汚染、生物多様性の減少等、グローバル化した現代社会の環境問題に対処するためには、環境条約と各国の国内法・政策との連結と相互浸透が不可欠だが、その適正な確保は必ずしも容易ではない。本研究はこの問題に対処するため、国際法学、行政法学、行政学、環境法政策論を含む学際的研究として、地球温暖化、オゾン層の破壊、廃棄物・化学物質の規制、海洋汚染、生物多様性・自然保護、原子力安全規制を含む主要問題領域について、日本における多国間環境条約の国内実施及び環境条約の定立と発展に対する国内法・政策の作用の動態を実証分析し、その結果を統合して日本の特徴を解明するとともに、その課題と将来展望を探った。