著者
村上 勝三 宮崎 隆 小泉 義之 香川 知晶 西村 哲一 安藤 正人 佐々木 周 持田 辰郎
出版者
東洋大学
雑誌
基盤研究(A)
巻号頁・発行日
1995

本研究の目的は、デカルト研究の世界的な仕事の一部を担い、その新しい質を提示するとともに、すべての哲学研究に新たな基礎を提供すべく、『省察』の「反論と答弁」について共同研究を行うことであった。このことを遂行するために、平成7年度から9年度までの三年間の研究の総纏めとして、今年度は、すべての個別研究を完成させるとともに、研究成果報告書を作成した。その概要は以下の通りである。1.「第一反論・答弁」および「第二反論・答弁」の校訂版を作成した。1641年の初版、AT版との異同を明らかにしながら1642年第二版を再現したものであり、世界的に見ても始めての試みである。これらは、TOKORO Takefumi, Les textes des 《Meditationes》, Chuo University Press, 1994に準拠している。2.『省察』「反論・答弁」をめぐる諸問題のテクスト的典拠を挙げ、諸家の伝統になっている、あるいはなりつつある解釈について論じる問題論的研究を完成させた。その目次的概要は次の通りである。(1)「順序・論証方式・叙述様式」(2)「デカルトの懐疑について」(3)「『省察』「反論・答弁」と「永遠真理創造」説」(4)「『省察』「反論と答弁」における「意志」を巡る議論」(5)「神に至るもう一つの道」(6)「デカルトにおける神学と哲学」(7)「反論と答弁」における「観念」について3.「第七反論・答弁」の翻訳を完成させた。これは本邦初訳である。夏の合宿への他領域の研究者、若手研究者の参加は、本研究の成果のいっそうの充実に寄与するところ大であった。
著者
村上孝介著
出版者
雄山閣出版
巻号頁・発行日
1979
著者
馬場 正之 村上 千恵子 小川 吉司
出版者
一般社団法人 日本臨床神経生理学会
雑誌
臨床神経生理学 (ISSN:13457101)
巻号頁・発行日
vol.44, no.6, pp.497-501, 2016-12-01 (Released:2017-12-27)
参考文献数
13
被引用文献数
1

原因不明の突然死を来した糖尿病患者3例の神経伝導検査所見と突然死に至るまでの臨床経過を報告し, 糖尿病性神経障害が突然死の基盤となった可能性を論じる。いずれの患者も2007年~2009年に神経伝導検査によって重度~廃絶性神経障害と診断された41名中に属し, その後の足病変イベント発生の前向き調査中に突然死を来したもので, 死亡直前の血糖コントロールは安定し, 低血糖や致死的な心・脳血管障害を思わせる症状・徴候はなかった。同時期に神経障害なしあるいは軽度・中等度障害としてフォロー中の糖尿病患者189名に突然死は5年間全く出ていない。神経伝導検査による神経障害重症度の客観的評価法の有用性と, 神経伝導検査専門検査技師養成の意義についても述べた。
著者
村上 謙
出版者
日本語学会
雑誌
日本語の研究 (ISSN:13495119)
巻号頁・発行日
vol.2, no.4, pp.17-32, 2006-10-01

本稿では近世前期上方で生じた状態性を有する尊敬語表現「テ+指定辞」(ex.聞いてじゃ)の成立過程について論じる。これについてはこれまで、省略説、体言化説、状態化説、「ての事だ」の関与説、の四説が論じられているがいずれも採るべきではなく、本稿ではこれらに代わるものとして、「テゴザルからの変化」説を提出する。この説は、状態性を有する尊敬語表現形式テゴザルのゴザル部分をジャなどで代用することで新形態「テ+指定辞」が出現したと考えるものである。このように考えれば、「テ+指定辞」が敬意を有する語を含まない尊敬語表現であった事、近世前期に生じた事、状態性表現であった事を有機的に関連づけて説明できる。
著者
村上 香奈
出版者
日本心身健康科学会
雑誌
心身健康科学 (ISSN:18826881)
巻号頁・発行日
vol.10, no.2, pp.64-66, 2014-09-01 (Released:2014-09-13)
参考文献数
10
著者
金子 秀夫 村上 毅 池内 準
出版者
公益社団法人 日本金属学会
雑誌
日本金属学会誌 (ISSN:00214876)
巻号頁・発行日
vol.32, no.10, pp.982-987, 1968 (Released:2008-04-04)
参考文献数
3
被引用文献数
1 1

The process of carburization is the oldest and has been most extensively employed in industry as a method of case hardening of steels. The progress in the carburization technique, however, has not been extremely rapid. Therefore a new method with higher rate of penetration and better quality of case is extensively craved for. To find a solution of this problem, electrodischarge carburization has been conducted by the present authors to combine electrodischarge heating and the carburizing action in a special electrolyte. This is a method of case hardening of steels in a electrolyte that contains the chemicals required to produce a case comparable with one resulting from liquid carburization. This provides a convenient method of carburization, with low distortion and with considerable high rate of penetration and uniformity of control of the case.The best carburizing conditions obtained in the present study are as follows:electrolyte: ethleneglycol saturated with sodiumchlorideapplied voltage: 150 V DCcarburizing time: 1∼5 mincase depth: 0.2∼0.3 mmhardness of the case: >Hv 850
著者
弓指 恵一 福原 志東 赤星 正二郎 有田 忍 馬場 賢治 村上 忠誌 沖本 信和
出版者
西日本整形・災害外科学会
雑誌
整形外科と災害外科 (ISSN:00371033)
巻号頁・発行日
vol.64, no.2, pp.325-327, 2015-03-25 (Released:2015-05-22)
参考文献数
7

偽痛風発作により発熱を伴う急性腰痛を生じた1例を経験したので報告する.症例は70歳男性,3日前より誘因なく腰痛が出現し,徐々に悪化し発熱を伴ったため当科初診.単純X線像で変形性腰椎症を認めた.CTでは椎間関節包の石灰化,MRIではL4/5の両側椎間関節の液体貯留,傍脊柱筋内の異常信号を認めた.採血結果では炎症データ高値を認めた.椎間関節液1.5ml穿刺吸引した後,1日後に解熱し3日後に腰痛は改善した.穿刺液からピロリン酸カルシウム結晶と考えられる結晶が証明され,培養検査は陰性であった.発熱を伴う急性腰痛症に対してはまず化膿性脊椎疾患を疑うべきだが,偽痛風発作によるものも念頭に置く必要があると考えられた.
著者
鈴間 潔 赤木 忠道 村上 智昭 宇治 彰人 北岡 隆 藤川 亜月茶 築城 英子 松本 牧子 木下 博文 前川 有紀 劉 美智 高見 由美子 浜崎 幸子 高橋 政代
出版者
京都大学
雑誌
挑戦的萌芽研究
巻号頁・発行日
2015-04-01

2011年に故笹井芳樹先生らのグループよりマウスES細胞から網膜を組織として3次元的に再生できることが報告された(Eiraku M, Nature 2011:472:51)。我々は再生された網膜の周辺部に形態学的に毛様体組織と類似した構造があることを発見し、故笹井先生らのグループと共同で毛様体組織を効率的に再生する方法を開発することに成功した。本研究は再生毛様体を眼内に移植することにより眼球癆の治療法開発、同時に房水にサイトカインや細胞生存因子を分泌させるという新しいドラッグデリバリーの方法を応用した眼疾患の治療法開発を目指す。今後は動物モデルへの移植研究を行う予定である。
著者
佐野 和生 荒木 正弘 小川 晶子 簔田 雄二 寺崎 宏 村上 秀樹 二宮 秀則 弘中 亮治 伊東 弦 北村 晃 井口 次夫
出版者
Japanese Society of Oral and Maxillofacial Surgeons
雑誌
日本口腔外科学会雑誌 (ISSN:00215163)
巻号頁・発行日
vol.33, no.8, pp.1684-1690, 1987-08-20 (Released:2011-07-25)
参考文献数
17

Thirty patients with the temporomandibular disorders were treated with “Kakkonto”, one of the most famous traditional drugs for chronic diseases with pain.“Kakkon-to” was given orally in a dosage of 7.5g 3 times daily before meals for two weeks. Clinical evaluation was carried out at seventh and fourteenth day after administration about spontaneous pain, pain with jaw movement, muscular tenderness, complications, and side effects. These symptoms were rated on a scale of 0 to 3 (0=no symptom and 3=severe). Two cases were dropped because of further administration of another analgesic for severe temporomandibular joint pain. 22 of 28 (78.6%) patients were improved at the therapy completion. 6 cases (21.4%) showed significant improvement, most of those had complications such as stiff shoulder and headache. Side effects were observed in 5 cases, such as slight nausea, vomiting and so on. It is suggested that “Kakkon-to” is a useful drug for temporomandibular disorders.
著者
村上 好央
出版者
東京動物學會
雑誌
動物学雑誌
巻号頁・発行日
vol.71, no.8, pp.245-249, 1962
被引用文献数
2

The life history of Oxidus gracilis was observed at Niihama district (Ehime Prefecture, Japan) during the year 1959 and 1961. The results were as follows: 1. The animals pass through seven larval stadia and sexual maturity occurs in the eighth stadium. Sex differentiation takes place in the larvae of the fourth stadium. Male animals develop a pair of very minute gonopod-bud appears at the position where the eighth legs had grown in the former stadia. The gonopod-bud scarcely grows during the stadia from the fifth to the seventh. However, it changes abruptly to a pair of complete gonopods at the eighth stadium. 2. The animals may be divided into two strains according to their breeding season. a) Strain breeding in Spring: The adults begin to crawl out of hibernation in early spring, and lay eggs from April to May. The larvae of this strain become adult at the end of November and then hibernate. b) Strain breeding in Autumn: The animals hibernate at various larval stadia as the fifth, the sixth or the seventh, and become mature in the early summer of the nest year, and lay eggs in autumn.
著者
高井 逸史 山地 純子 田中 麻美 周藤 浩 宮野 道雄 中井 伸夫 山口 武彦 吉村 知倫 白濱 晴美 村上 将典 井上 健太郎 柄崎 隆治
出版者
日本生理人類学会
雑誌
日本生理人類学会誌 (ISSN:13423215)
巻号頁・発行日
vol.8, no.4, pp.191-198, 2003
参考文献数
14

The purpose of this paper is to describe a posture and motion for the elderly with disabilities from the viewpoint of ecological concept based on affordance theory by James J. Gibson. As their action is limited by disabilities, they can't perceive enough information which exists in environment. Therefore, they must accomplish through the thinking based on insufficient and wrong information. As a result, their posture and motion can't adapt to surrounding situation, it makes them to feel anxious and fearful. Further more, emotion such leads to limit spontaneous motion with searching. We should be related with the elderly with disabilities to woik on environment spontaneously for perceiving the relation between themselves and environment. We think that it is important for them to acquire flexible motion corresponding to environmental change.
著者
村上 正人 松野 俊夫 金 外淑 小池 一喜 井上 幹紀親 三浦 勝浩 花岡 啓子 江花 昭一 橋本 修
出版者
一般社団法人 日本心身医学会
雑誌
心身医学 (ISSN:03850307)
巻号頁・発行日
vol.49, no.8, pp.893-902, 2009
参考文献数
24
被引用文献数
5

近年わが国でも注目されてきた線維筋痛症候群(fibromyalgia syndrome;FMS)は,長期間持続する全身の結合織における疼痛と多彩な愁訴を呈する慢性疼痛のモデルともいえる病態であるが,心身症としての側面を濃厚に有している疾患でもある.発症の背景には何らかの遺伝的,生理学的要因に加え,女性の内分泌的な内的環境の変化やライフサイクル上の多彩な心理社会的ストレス要因も大きく関係する.患者の90%以上に発症の時期に一致して手術・事故・外傷・出産・肉体的過労・過剰な運動などのエピソードがあり,天候,環境変化や不安・抑うつ・怒り・強迫・過緊張・焦燥などの心理的ストレスと連動して病態が変動する,強迫,完全性,執着などの性格特性がみられる,など強い心身相関が認められる.患者の尿中セロトニン,ノルアドレナリンの代謝産物である5HIAAやMHPG,骨格筋の解糖系に関与するアシルカルニチンはうつ病患者と同等に低値であり,FMSの痛みや倦怠感,多彩な身体症状,精神症状の背景にモノアミンやカルニチン代謝が関与していることが示唆される.FMSの治療には通常の対症療法が奏効しないため,的確な薬物療法が重要でSSRIやSNRIなどの抗うつ薬,抗けいれん薬,漢方薬などが併用される.さらにストレス緩和のための生活指導や心身医学的な視点からのカウンセリング,認知行動療法など全人的治療が必須である.この考え方はFMSのみならず他の慢性疼痛にも共通しており,薬物や理学的治療法などの「医療モデル」に加え「成長モデル」からアプローチする重要性は変わらないものである.
著者
村上 健太郎 前中 久行 森本 幸裕
出版者
日本緑化工学会
雑誌
日本緑化工学会誌 (ISSN:09167439)
巻号頁・発行日
vol.29, no.1, pp.15-20, 2003 (Released:2005-09-16)
参考文献数
21
被引用文献数
4 4

京都市内の孤立林22箇所および京都盆地周辺にある山林内において, 生殖様式や受精様式,染色体の倍数性の異なるシダ植物の種数,優占度を調べた。山林と孤立林における二倍体種,高倍数体種の種数および被度を比較した場合,孤立林において二倍体種の種数,被度は減少した。孤立林の林床では,山林に比べて,高倍数体無配生殖種の割合が高かった。これは無配生殖種が,必ずしも水分を必要としない,より簡便な生殖法を持っていることが影響していると考えられた。自家受精ができない二倍体種は,十分な湿度と他の個体から生じた複数の胞子がある場所でしか更新することができないので,孤立距離の増大や林床の乾燥化とともに移入率が低下すると考えられ,高倍数体無配生殖種や林床性の二倍体種の割合は都市化の指標となりえることが考察された。