著者
村上 佳恵
出版者
学習院大学大学院
巻号頁・発行日
2015

日本語日本文学
著者
村上 元彦
出版者
日本高圧力学会
雑誌
高圧力の科学と技術 (ISSN:0917639X)
巻号頁・発行日
vol.18, no.1, pp.21-30, 2008-02-20 (Released:2008-03-18)
参考文献数
36
被引用文献数
1 1

Brillouin scattering measurements of the aggregate shear wave velocities in MgSiO3 perovskite and post-perovskite phase were conducted at high-pressure conditions relevant to the Earth’s lowermost mantle. Infrared laser annealing of samples in a diamond anvil cell enabled to obtain high quality Brillouin spectra and to extend the upper limit of pressure of Brillouin measurements. The large pressure range over which acoustic measurements of MgSiO3 perovskite and post-perovskite phase were performed has thereby allowed us to put tighter constraints on compositional models of the Earth’s lower mantle and enigmatic seismic observations in the lowermost mantle.
著者
高橋 恒夫 村上 雄 岡田 千里 藤井 則久
出版者
一般社団法人 日本鉄鋼協会
雑誌
鉄と鋼 (ISSN:00211575)
巻号頁・発行日
vol.71, no.15, pp.1818-1824, 1985-11-01 (Released:2010-01-18)
参考文献数
15
被引用文献数
4

14世紀,17世紀に作られた日本刀四振を切断し調査する機会に恵まれた.その結果を総括しながら注目された事項を述べると以下のとおりである.1)組成的には炭素以外の元素が極たて少ない高純度炭素鋼である.このことは既に知られていることではあるが,高純度であることが,刃金,芯金,皮金,あるいは棟金それぞれの鍛接性を良くしているのであろう.また,これが耐食性を高たているという報告もある.高純度化はあるいは靱性向上への寄与もあるのかもしれない.現代工業的に生産される鋼とオーダーの違う純度とみなせるもので,現代の工業材料を高純度化することで何か画期的特性が期待できるのではなかろうか.2)非金属介在物の量が極めて多いことに驚かされた.この量は現代の工業用鋼の1~2桁多い量といえよう.このような多量の介在物が存在するにもかかわらず日本刀独特の強靱性を有するということは,すべての介在物を皆無にする必要はなく,ポイントを抑えた生産技術を採用することの重要性を教えられる気がする.3)SHERBYはダマスカス刀,日本刀を範として超高炭素鋼(例えば1.6%C鋼)と極低炭素鋼の複合材を現代工業材料として用いることを提案している,まさに同感である。今回調査した刀のうち,政光,忠廣は明らかに低炭素成分の芯金を高炭素の刃金,皮金で覆つたマクロ的複合材である.一方,忠重の作法はダマスカス刀に似た.高炭素,低炭素材を折り返し折り返し鍛造したものと推定される.高炭素,低炭素組成のそれぞれの特徴を生かした複合材として刀としての特性は似かよつたものであろうが,製法は全くちがつたものと思われる.このような推論も現代の材料技術へ反映させうるひとつのヒントとならないかと考える.
著者
吉野 純 村上 智一 林 雅典 安田 孝志
出版者
Japan Society of Civil Engineers
雑誌
海岸工学論文集 (ISSN:09167897)
巻号頁・発行日
vol.53, pp.1276-1280, 2006
被引用文献数
3

本研究では, 台風0416号によって瀬戸内海に発生した広域高潮の再現実験を行い, 高潮計算精度に及ぼす入力気象場の再現性の影響について検討した. パラメトリックな2次元台風モデルを入力値として海洋モデルを駆動させる従来型の手法と比較して, 近年急速に発展しているメソ気象モデルを入力値とする手法は, 極めて高い精度で潮位変動を予測できることが明らかとなった. 日本に接近・上陸する台風の多くは, 中心から遠く離れた場所であっても発達したアウターレインバンド (外縁部降雨帯) を伴うことがあり, 中心付近の壁雲に匹敵するほどの強風ピークを形成することがある. このような複雑な台風気象場を再現できるメソ気象モデルの適用は, 高精度な高潮予測を行う上で不可欠となる.
著者
村上 和人 輿水 大和 中山 晶 福村 晃夫
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理学会論文誌 (ISSN:18827764)
巻号頁・発行日
vol.34, no.10, pp.2106-2116, 1993-10-15
被引用文献数
21

似顔絵生成は、似顔絵の対象とする人物から受けた印象を物理的に再現する問題である。印象の分析は、顔の認識や識別の問題と同様に、顔の特徴抽出問題に帰着されるが、似顔絵生成の場合は、再現された似顔絵の良否判定、あるいは、評価の問題が生じる、すなわち、単に特徴の抽出と誇張のメカニズムを示しただけでは十分ではなく、評価メカニズムをどこかに組み入れなげれば、問題は解決しない。筆者らは、一般に人手によって描かれる似顔絵を、コンピュータに描かせようと試み、そのシステムをPICASSOと名付けて開発している。PICASSO開発では、まず、誇張メカニズムとして、中割り法(in-betweening method)を基本とした特徴抽出と誇張プロセスを構築し、誇張法による似顔絵生成方法の特徴と問題点を整理した、次に、評価メカニズムとして、人の目の知覚・認知的現象の一つである錯視現象が似顔絵の評価に剰用できる可能性について検討した。そして、錯視量(錯覚の起こる程度)を基本にした誇張率の制御方法を定式化し、評価プロセスを構築した。具体的こは、ヴント・フィック図形錯視、ポンゾ図形錯視、およびミュラー・リヤー図形錯視を顔部品パターンに想定し、また、実験心理学で求められている錯視量を誇張プロセスの終了条件の閥値として利用した。ほとんぎの適用例で良好な似顔絵が生成できた。本諭文では、具体的な錯視量の定義と誇張率の制御の方法を、種々の似顔絵作品例とともに示す。
著者
村上 真基 大石 恵子 綿貫 成明 飯野 京子
出版者
日本緩和医療学会
雑誌
Palliative Care Research (ISSN:18805302)
巻号頁・発行日
vol.13, no.3, pp.219-227, 2018 (Released:2018-07-19)
参考文献数
21

【目的】療養病棟スタッフへの意識調査を通して,療養病棟緩和ケアの課題について調査した.【方法】介護職等を含むスタッフを対象に無記名自記式質問紙調査を行い,WHO緩和ケア定義の認知度,療養病棟緩和ケアの必要性と実現性,課題等について数字評価スケール(0:まったくそう思わない〜10:非常にそう思う)で尋ねた.【結果】30施設541名(医療職387名,その他154名)から回答を得た.緩和ケア定義を「知っている」は医療職56%,他職種45%,がん緩和ケアの必要性がある8.5±2.1(平均値),実現性がある6.8±2.5,非がん緩和ケアの必要性がある8.4±2.0,実現性がある7.0±2.2であった.がん・非がんともに,苦痛緩和・家族ケアは重要である,人員不足である,時間のゆとりがない等が8点以上であった.【結論】緩和ケアの必要性や重要性を高く認めつつも,多くの課題と困難感の存在が明らかとなった.
著者
錦織 圭史 村上 元良 内田 清 尾留川 正博 宮武 範夫
出版者
公益社団法人日本磁気学会
雑誌
日本応用磁気学会誌 (ISSN:18804004)
巻号頁・発行日
vol.21, no.4, pp.321-324, 1997-04-15
被引用文献数
1

The potential advantages of magnetically induced super-resolution (MSR) for high-density recording in magneto-optical disks have spurred the study of various related technology. MSR systems can read signals from a smaller area than the laser spot area by using magnetic films with different temperature characteristics. Most MSR systems require an external magnetic field in the readout. We have developed a new type of MSR (S-RAD) that does not require an external magnetic field. The front masking area of the S-RAD is formed by shrinking the recording mark in the readout layer. This paper describes the readout principle and readout characteristics of S-RAD. A C/N of 49 dB was obtained at the 0.5μm recording mark. A crosstalk level of less than -40 dB was obtained at a track pitch of 0.8 μm.We believe that S-RAD has sufficient potential to allow practical use of high-density magneto-optical recording.
著者
村上 悟 濱谷 義弘 長渕 裕 神谷 茂保 田中 敏
出版者
岡山理科大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2010

積分方程式の解に対する定性的性質を中心に研究を行った.実際、線形方程式に付随する解作用素の生成素に対してスペクトル解析を行い、本質的スペクトルの半径に関する評価を得た.さらに、非同次方程式に対して相空間における解の表現公式を確立した.これらの結果を融合して応用することにより、有界解や周期解などの存在に関するマッセラ型の定理を確立し、さらに、非線形方程式に対し線形化原理を導いて解の安定性解析への有効な手法を確立した.
著者
石田 愛 永井 世里 小山 新一郎 江崎 伸一 濱島 有喜 村上 信五
出版者
日本喉頭科学会
雑誌
喉頭 (ISSN:09156127)
巻号頁・発行日
vol.29, no.1, pp.14-16, 2017-06-01 (Released:2017-10-27)
参考文献数
10

Vocal cord paralysis often occurs due to unknown reasons. Since bilateral paralysis can cause dyspnea,we have to carefully watch the state of the patient while investigating the causes of paralysis. We herein report a case of bilateral vocal cord paralysis in a patient who was a vegetarian. The patient’ paralysis was improved by the administration of mecobalamin.
著者
伊木 亜子 菊地 和美 田中 ゆかり 土屋 律子 木下 教子 坂本 恵 佐藤 恵 菅原 久美子 畑井 朝子 藤本 真奈美 宮崎 早花 村上 知子 山口 敦子
出版者
日本調理科学会
雑誌
日本調理科学会大会研究発表要旨集
巻号頁・発行日
vol.29, 2017

【目的】日本調理科学会特別研究(平成24~25年度「次世代に伝え継ぐ 日本の家庭料理」)の資料とすることを目的として,昭和30~40年頃までに北海道に定着した家庭・郷土料理に関する書誌情報の調査および聞き書き調査を実施した。これらの調査から得られたおやつ・間食について,主材料や調理操作を分析し地域性を検討したので報告する。<br />【方法】調査は,北海道を道央・道南・道北・道東の4地域に区分し,平成25年4月~26年12月に実施した。<br />【結果】北海道全域で特産のじゃがいもを使った「いも団子」「いも餅」が多く,調理法や食べ方も多様である。また各地にデンプン工場があったため,「でんぷん焼き」や煮豆を加えた「でんぷん団子」もみられる。かぼちゃも各地でつくられ,「かぼちゃ団子」など利用が多い。穀類の利用も各地にみられるが,道南には特に古くから伝わる伝統の菓子が多く,米粉を利用した「こうれん」や「べこ餅」がある。その他では,雑穀のそば・キビなども,まんじゅうや餅に利用されている。全般的に,いもやかぼちゃ・豆類などの農産物,穀類の利用が多く,調理法は,煮る・蒸す・焼くなどが多い。<br />また北海道らしく,干した鱈・鮭(トバ)・かすべ・鰊・数の子など海産物が道北海岸やその他内陸においてもおやつになっている。自家栽培の果物ばかりでなく自生していた桑・野イチゴ・こくわ,胆振地方特産のハスカップも生や加工して利用している。牛乳を用いたおやつは,酪農が盛んな帯広を中心とする道東で,自家製の「牛乳豆腐」や「ヨーグルト」などあるが他での利用は少なく,酪農品を早くからとりいれた札幌で若干みられる。以上より,北海道のおやつ・間食は,各地の産物をうまく利用した地域性があることを確認した。
著者
村上 幸史
出版者
日本社会心理学会
雑誌
社会心理学研究 (ISSN:09161503)
巻号頁・発行日
vol.18, no.1, pp.11-24, 2002

In Japan, the term "strength of luck" (as directly translated from Japanese) commonly refers to a fixed dispositional trait. In order to gain a more concrete understanding of the usage of the term "strength of luck," a questionnaire was designed and survey conducted of subjects to study the belief that some people have "strong luck" and others have "weak luck." The results showed that people who see themselves as having "strong luck" differ from those who see themselves as having "weak luck" in that : 1. They believe that they have many "lucky" experiences and few "unlucky" experiences. 2. Most of these "lucky" experiences occurred in "important situations." There was no difference between people who see themselves as having "strong luck" and those who see themselves as having "weak luck" when the occurrence probability of the event was considered low from the start. 3. They think that their "strength of luck" is correlated with their amount of effort. 4. It wasquite rare for them to make social comparisons. On the other hand, according to these results, people who see themselves as having "weak luck" don't necessarily feel they have few successful experiences in daily life, nor did they feel helpless. It was concluded that how one interprets one's own "strength of luck" is based on particular "lucky" and/or "unlucky" experiences.
著者
渡辺 篤 尾関 謙 齊藤 仁十 村上 雅紀 大澤 朋史 泉 直人
出版者
公益社団法人 日本理学療法士協会
雑誌
理学療法学Supplement
巻号頁・発行日
vol.2016, 2017

<p>【はじめに,目的】</p><p></p><p>近年はMRI拡散テンソル画像(DTI)を用いて,神経線維を可視化したTractgraphyや拡散異方性を定量化したFractional anisotrophy(FA)が予後予測に用いられている。脳梗塞後の急性期理学療法において運動麻痺の予後予測は重要ではあるものの,理学療法士が行う運動麻痺の評価のみで予後予測を行う事は難しいのが現状である。本研究ではFA値とFugl-Meyer Assessmentの運動項目(FM-motor)を比較し,FA値を用いた早期における運動麻痺の予後予測の可能性について検討した。</p><p></p><p></p><p>【方法】</p><p></p><p>対象は平成27年4月~平成28年6月に入院した脳梗塞患者であった。取り込み基準はテント上脳卒中であり,年齢が80歳未満,MRI画像上で梗塞巣の著明な増大を認めなかったものとした。退院時FM-motorスコアから重症度別に分類した後,対応のないt検定を実施した。なお,有意水準は5%未満とした。</p><p></p><p>DTI撮像にはPhilips社製Achieva 3.0T R2.6のMRI装置を用いて,Extended MR WorkSpace 2.6.3.5にて解析処理した。また,FA値の定量的評価は放射線技師1名で行った。関心領域(ROI)は,起点を橋レベルの中脳大脳脚とし,終点を頭頂部皮質レベルの中心前回から中心後回にかけて設定した。損傷側と非損傷側にROIを設定し錐体路線維のトラッキング解析した。その後,作成した左右のTractgraphyからFAを自動算出した。</p><p></p><p></p><p>【結果】</p><p></p><p>1.対象者について</p><p></p><p>14名の対象者のうち,発症から1週目以内と4週目にDTIの解析とFM-motorの測定が可能であった9名が対象となった。4週目FM-motorスコアから軽症群5名,重症群4名に分類した。年齢67.8±9.2歳,性別 男性4名/女性5名,麻痺側 右片麻痺4名/左片麻痺4名/麻痺なし1名であった。</p><p></p><p>2.FA値について</p><p></p><p>解析までの日数 初回2.3±1.2日/4週目21.5±9.0日,初回FA値は軽症群1.01±0.03/重症群 0.95±0.01(p<0.05)となり,軽症群の初回FA値が有意に高かった。4週目FA値は軽症群0.97±0.01/重症群0.84±0.02(p<0.01)となり重症群のFA値は低値だった。</p><p></p><p>3.運動麻痺について</p><p></p><p>初回FM-motorスコア 軽症群96.2±3.5/重症群13.6±2.8(p<0.01),4週目FM-motorスコア 軽症群99.5±1.0/重症群19.3±7.0(p<0.01)となり,評価期間中に両群間の移行はみられなかった。また,軽症群の運動麻痺はほぼ完全に回復した。</p><p></p><p></p><p>【結論】</p><p></p><p>DTI撮像の課題としてはROI設定で終点を中心前回にする必要があった。FA値の定値を求めるには症例数を増やしカットオフ値を算出する必要があると考えられる。今回の結果から発症から1週間以内のFA値が運動麻痺の重症群を予測できる可能性が示唆された。DTIによる情報は脳梗塞急性期に関わる理学療法士にとって積極的に活用すべきツールであり,今後は理学療法の有効性を検証するために有用になると考える。</p>
著者
武富 芳隆 村上 誠
出版者
公益社団法人 日本薬学会
雑誌
YAKUGAKU ZASSHI (ISSN:00316903)
巻号頁・発行日
vol.131, no.1, pp.73-84, 2011 (Released:2011-01-01)
参考文献数
71
被引用文献数
2 3

Tissue-resident mast cells are derived from circulating committed progenitors, which are originated from pluripotential hematopoietic stem cells in bone marrow. These progenitors migrate into extravascular tissues, where they undergo differentiation and maturation into tissue-specific mature phenotypes. When activated by IgE/antigen, stem cell factor, neuropeptides, or other stimuli, mature mast cells release three classes of biologically active products, including pre-formed mediators stored in secretory granules, newly transcribed cytokines and chemokines, and de novo synthesized lipid mediators. Therefore, these cells have been implicated as major effector cells in acute and chronic inflammatory diseases. In recent years, it has become clear that lipid mediators including arachidonic acid metabolites (prostaglandins and leukotrienes) and lysophospholipid-derived products play crucial roles in mast cell-associated pathology. In this article, we will provide an overview of the roles of various lipid mediators in allergic diseases fueled by studies of their biosynthetic enzymes or receptors. In the latter part, we will make a particular focus on phospholipase A2 enzymes, which are placed at the bottleneck (rate-limiting) step of the lipid mediator-biosynthetic pathways.
著者
村上 大造 松吉 秀武 蓑田 涼生 鮫島 靖浩 湯本 英二
出版者
特定非営利活動法人 日本頭頸部外科学会
雑誌
頭頸部外科 (ISSN:1349581X)
巻号頁・発行日
vol.19, no.1, pp.73-78, 2009-06-30 (Released:2010-02-10)
参考文献数
15
被引用文献数
1

今回われわれは3例の小児・若年者(19歳以下)甲状腺乳頭癌症例を経験し,主に治療方針について文献的考察を加えて報告する。3症例とも広範な両側頸部リンパ節転移を有し,1例に多発性肺転移,また,残りの2例にも肺野に小結節陰影を認めた。全例に甲状腺全摘出術,両側頸部郭清術を行い,1例は患側の反回神経浸潤を認めたため,神経切除のうえ神経再建術を行った。また,全例,術後にI131大量療法を施行した。多発性肺転移例は現在も肺野に結節陰影を認めているが,治療後16年経過し明らかな増大傾向はない。また,1例に術後鎖骨下リンパ節にI131の集積を認めたが,リンパ節径の増大傾向やサイログロブリン値の上昇がないため,現在は外来にて厳重経過観察を行っている。全例生存し,日常生活に支障を来す合併症は認めていない。小児・若年者甲状腺乳頭癌の場合,腺内転移,リンパ節転移,肺転移の頻度が成人症例よりも高いという特徴がある。そのため,甲状腺全摘出,徹底した頸部郭清術を行い,必要に応じてI131大量療法を施行する必要があると考えられる。
著者
熊代 功児 村上 弘
出版者
公益社団法人 日本理学療法士協会
雑誌
理学療法学Supplement Vol.44 Suppl. No.2 (第52回日本理学療法学術大会 抄録集)
巻号頁・発行日
pp.0007, 2017 (Released:2017-04-24)

【はじめに,目的】人工膝関節全置換術(以下,TKA)後の膝関節屈曲角度(以下,膝屈曲角度)は大きな膝屈曲角度を必要とする若年患者はもちろん,和式の生活様式を要する日本人にとって重要とされている。TKA後の膝屈曲角度に影響する要因について海外では様々な報告が散見されるが,本邦において術後早期の膝屈曲角度を検討した報告は少ない。本研究の目的は,TKA後2週時の膝屈曲角度を術前因子から予測することである。【方法】2013年9月から2016年6月までの間に当院整形外科にて変形性膝関節症と診断され初回TKAを施行した190例212膝(男性43例,女性147例,平均年齢75.5±7.6歳)を対象とした。術後2週時膝屈曲角度をアウトカムとし,患者因子として,性別,年齢,Body Mass Index(以下,BMI),術前因子として,術側膝関節伸展・屈曲角度(以下,膝伸展・屈曲角度),術側膝関節伸展・屈曲筋力(以下,膝伸展・屈曲筋力),Timed Up and Go test(以下,TUG),術側大腿脛骨角(以下,FTA),術側膝関節前後・側方動揺(以下,前後・側方動揺)を調査した。統計解析は,術後2週時膝屈曲角度と患者因子,術前因子の各変数間について2変量解析を行った。次に,術後2週時膝屈曲角度を従属変数,2変量解析にてp<0.2の変数を独立変数とした決定木分析を行い,術後2週時膝屈曲角度を予測する回帰木を作成した。【結果】術後2週時膝屈曲角度は平均109.2±13.9°であった。術後2週時膝屈曲角度とp<0.2の相関を認めた変数は,年齢,膝伸展角度,膝屈曲角度,膝伸展筋力,膝屈曲筋力,TUG,前後動揺,側方動揺であった。また性別による術後2週時膝屈曲角度の比較の結果,p<0.2であった。これらの変数を独立変数,術後2週時膝屈曲角度を従属変数とした決定木分析によって作成された回帰木より,最上位の分岐は膝屈曲角度(cut off値117.5°)であり,117.5°より大きい群では術後2週時膝屈曲角度が最大(113.5±11.7°)と予測された。117.5°以下の群ではさらに膝屈曲角度(cut off値107.5°)で分岐し,107.5°以下の群では術後2週時膝屈曲角度が最小(93.8±12.3°)と予測された。107.5°より大きい群ではさらに膝伸展筋力(cut off値1.004Nm/kg)で分岐した。【結論】TKA後2週時の膝屈曲角度を予測する術前因子として,膝屈曲角度と術伸展筋力が選択され,これらの要因は先行研究と同様の結果であった。しかし,術後膝屈曲角度に影響すると報告されている年齢,性別,BMIなどの患者因子は本研究では選択されなかった。また,有意な予測因子と報告されている術前のFTAに加えて,術前の膝関節動揺の程度についても検討したが,本研究ではFTA,膝前後・側方動揺ともに有意な予測因子にはならなかった。本研究の結果より,術後2週時という比較的早期においては,術前の膝関節の変形の程度よりも膝屈曲角度や膝伸展筋力などの運動機能の影響が高いことが示唆された。
著者
村上 祐 駒林 邦男(訳・編)
出版者
岩手大学
雑誌
岩手大学教育学部附属教育実践研究指導センター研究紀要 (ISSN:09172874)
巻号頁・発行日
vol.3, pp.257-263, 1993

以下は,"Journal of Chemical Education",Vol.9,No.5,1990.の「挑発的な提言」(〔provocative opinion〕)の欄に掲載されたH.C.Friedmann教授(シカゴ大学,生化学・分子生物学科)の"Fifty-Six Laws of Good Teaching"の翻訳,および岩手大学教育学部・人文社会科学部学生が作った「良い授業のための法則」である。Friedmannの「握言」は短めて示唆に富むものであると同時に,諧謔・逆説・アイロニーをまじえた「挑発的」なものである。この「提言」は,最初,村上によって抄訳され,『鬼胡桃』(岩大教職員組合教育分会機関誌),NO. 68, 1991.に掲載された。駒林は,この訳を下敷きにして完訳した。この試訳を村上が校閲した。訳出にあたって,本学部教官の橋本二郎氏の教示をいただいた。Friedmannの"Laws of Good Teaching"は56の法則であった。駒林は,「法則」をラウンドナンバーの60法則にするように,学生諸君に「法則」を作らせた。それが,「学生が作った,良い授業のための60法則」である。人文社会科学部の「教育課程・方法」受講学生(84人),教育学部の「教育方法」受講学生(108人)に,Friedmannnの「56法則」の翻訳を配付し,若干の説明を加えた上で,次のインストラクションをあたえた。「この56法則は,大学教員のための法則です。ラウンドナンバー60の法則にするために,四つ以内の法則を,学生の立場から作って下さい。来週,集めます。宿題ではありません。出したい人だけが出してくれればよいです。」提出者は,人文社会科学部の39人(延べ,125法則),教育学部学生が37人(延べ,98法則)であった。学生諸君が作った延べ223の「法則」の中から,代表的なものを取り上げた。語句,文体には駒林が大幅に手をいれた。学生が作った「法則」の枠内で補足したところもある。