著者
吉田 あゆみ 北爪 浩三 松本 尚子
出版者
群馬県畜産試験場
雑誌
群馬県畜産試験場研究報告 (ISSN:13409514)
巻号頁・発行日
no.8, pp.27-35, 2002-03
被引用文献数
1

餌が豚に与える影響を調べるため、桑の葉粉末を無添加、1%、3%添加した飼料を当場で生産したランドレース種系統造成豚「グンマL」とデュロック種の二元交雑種(LD)に給与したところ、以下の結果を得た。1.一日平均増体重は、桑の葉粉末添加量の違いによる差は認められなかった。2.糞尿からのアンモニア発生量は桑の葉粉末添加による明確な差は認められなかった。3.豚ロース肉の加塩保水性及びコレステロール値は桑の葉粉末添加により低下する傾向が見られた。4.豚ロース肉を用いた官能検査では桑の葉粉末3%添加飼料を与えた豚肉の方が、桑の葉粉末無添加飼料を与えた豚肉より色合いが好ましいという評価が得られた。しかし、鶏肉で差の認められた軟らかさ、美味、総合の各項目では差は認められなかった。
著者
松本 雅行
出版者
日本信頼性学会
雑誌
日本信頼性学会誌 : 信頼性 (ISSN:09192697)
巻号頁・発行日
vol.22, no.8, pp.664-671, 2000-11-25
被引用文献数
3

首都圏の高密度線区である山手・京浜東北線の保安装置として, 1982年に導入されたATC(自動列車制御装置)の老朽取り替えに際し, 従来のATCと抜本的に異なるデジタル信号を用いた新しい列車制御システムを開発した.本システムは, 現行のATCが持つ課題であった輸送密度の向上, 車両性能向上への追随, 運転操縦性の改善, 地上設備のコストダウンなどを実現したシステムである.さらに, システム境界箇所における切換やシステム使用開始時などにいくつかのアシュアランス技術を用いて, 施工数の軽減, システム改修の極小化、コストダウンなどを図っている.本稿では, 新しい列車制御システムにおけるアシュアランス技術を紹介する.
著者
山田 一郎 中田 洋平 松井 淳 松本 隆 三浦 菊佳 住吉 英樹 八木 伸行
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理学会研究報告自然言語処理(NL) (ISSN:09196072)
巻号頁・発行日
vol.2007, no.76, pp.127-132, 2007-07-25
参考文献数
13

テレビ番組のナレーションでは、「場所紹介」や「人物紹介」など特定の事柄を表現するために同じような言い回しが多用される。このような言い回しを含む文章区間が抽出できれば、対応する番組映像区間の場所紹介や人物紹介といったメタデータを付与することができる。本稿では、番組のクローズドキャプションから特定の事柄を表現する文章に類似した文章を抽出するために、文章間の類似性を評価する手法を提案する。提案手法では文章を構文解析した結果、得られる木構造中の部分木を特徴とし、この特徴をサンプリングして学習する GibbsBoost アルゴリズムを用いて文章間の類似性を評価する。紀行番組のクローズドキャプションを対象として、場所を映像とともに説明する定型表現文章区間にある文章との類似性を評価する実験を行い、提案手法の有効性を確認した。In the closed captions, there are a lot of typical expressions to express specific things, for example, first introduction of a guest in a talk show or explanation of a place in travel program. Such information helps us to put metadata to the corresponding scenes. This paper proposes a method to evaluate the similarity between multiple sentences in order to extract a section in which sentences are similar to the typical expressions expressing specific things. The first step generates tree structures from input section of sentences and extracts subtrees from these tree structures. We use Gibbsboost algorithm which samples these subtrees for features and learns the features to evaluate the similarity. In the experiment of judging whether a section of sentences is similar to the section which explains a place with video targeting closed captions of TV programs concerned with travel, we show the effectiveness of our method.
著者
田尻 尚士 松本 能市 原 和子
出版者
近畿大学農学部
雑誌
近畿大学農学部紀要 (ISSN:04538889)
巻号頁・発行日
no.6, pp.87-91, 1973-03

[Author abstract]Ethylene gas treatment of early ripening green mandarin oranges (Miyagawa variety), which were havested early or middle of October, resulted in rapid coloration. This method, however, was not successful when the oranges were treated in non-aerated place such as polyvinyl (vinyl chloride) bag. It may be that insufficinet aeration suppresses respiration of the oranges, thus hindering their ripening. On the other hand, the treatment performed in well aerated place, for instance in cartone bag, gave a satisfactory result. The acility of the fruit thus treated was lowered with concomitant increase, through slight of sugar content. This treatment rendered the fruit skin tight and caused no fruit soffening, as the result, giving attractive appearance. Therefore they were expected to be very suitable for commercial shipment at early season. Suitable coloration can be achieved within 9 days by performing the treatment at 25℃ in a room provided with appropriate aeration system with constant supply of ethylene gas. This treatment may be practiced in a large for early shipment of well colored mandrain oranges.[著者抄録]宮川早生温州をやや早めに、すなわち、未だ果皮が黄変せぬ前に(9月上、中旬)採取し、エチレンガス処理を行なえば、着色は促進され、また、品質も改善される。しかし通気性のほとんどない包装材、すなわち、塩化ビニール袋中で処理すると、果実の呼吸などの生理的現象がさまたげられるためか、ほとんど効果は認めがたい。他方、通気性のかなりあるダンボール箱のような、包装材中での処理効果は著しく、熟成が促進され、酸味が減少し、糖分の蓄積増加などが見られ、果実の浮皮化、軟化現象などもなく外観は、きわめて美麗なオレンヂ色となり、早期出荷などの経済的観点からも大きな期待がもたれる。処理中、および、その後の貯蔵温度は25℃位が良い。もし、包装せず、恒温で通気性のある室内にエチレンガスを一定量噴霧させ、かなり大規模に熟成促進に利用することが可能であるように思われる。特に、25℃の貯蔵温度で9日目位で充分酸味が減少、甘味も増加し、着色効果もあり、極めて良質のみかんとなることが明白となった。
著者
久門 良明 渡邉 英昭 松本 洋明 井上 明宏 岩田 真治 大上 史朗 大西 丘倫
出版者
一般社団法人 日本脳卒中の外科学会
雑誌
脳卒中の外科 (ISSN:09145508)
巻号頁・発行日
vol.37, no.1, pp.18-25, 2009 (Released:2009-09-29)
参考文献数
22

We evaluated the effectiveness of assist-systems such as endoscopy, navigation, and motor evoked potential (MEP) monitoring in terms of improving the safety and accuracy of surgery for cerebrovascular diseases. Since January 2000, the following devices have been used at our institution to assist in surgical procedures: an endoscope (diameter, 2.7 or 4.0 mm; tip angle, 30° or 70°) in 69 surgical procedures to treat cerebral aneurysms, a navigation system (Stealth Station) in 22 operations for cerebral aneurysms and arteriovenous or cavernous malformations, and MEP monitoring (bipolar or mono-polar electrical stimulation of the motor cortex and EMG recording of the face, trunk and upper extremity contralateral to the stimulated side) in 11 operations for cerebral aneurysms or arteriovenous malformations. Endoscopy allowed visualization of the anatomical relationship between the aneurysm neck and the parent or perforated artery before clipping, and the location of the clip tip, occlusion of the perforated artery, or stenosis of the parent artery could be evaluated after clipping. Postoperative MR and/or CT images revealed an asymptomatic infarction of perforated artery in 4 patients. Navigation allowed prediction of the sites of aneurysms, cavernous malformations, or of the feeding arteries of arteriovenous malformations. This resulted in accurate approaches to these structures, although a brain shift in some patients was recognized by ultrasound imaging linked to the navigation system. Although MEP monitoring should have predicted postoperative motor function, MEP findings after clipping the neck of aneurysms or obliterating the arteriovenous malformation of a feeding artery were normal in all of the analyzed patients. Postoperative convulsive seizures developed in patients as a result of 20 mA of bipolar electrical stimulation. Endoscopy, navigation, and MEP monitoring are considered helpful for safe and accurate surgical treatment of cerebrovascular diseases, although the disadvantages of these systems should also be considered.
著者
星野 寛登 杉村 博 松本 一教
雑誌
研究報告グループウェアとネットワークサービス(GN)
巻号頁・発行日
vol.2013-GN-86, no.29, pp.1-5, 2013-01-09

この論文では従来からのアンケート調査によるデータ収集に加えて,人間の潜在的な特徴データを収集できるシステムを提案する.潜在的なデータを利用することで,従来のアンケート調査からは知ることのできなかった特徴を分析することが可能となる.本論文ではシステムの概要提案と小規模な実験結果を示す.
著者
松本 和也
出版者
[出版者不明]
巻号頁・発行日
2009 (Released:2016-11-23)

制度:新 ; 報告番号:甲2713号 ; 学位の種類:博士(学術) ; 授与年月日:2009/1/20 ; 早大学位記番号:新4902
著者
松本 博之
出版者
公益社団法人 日本地理学会
雑誌
日本地理学会発表要旨集
巻号頁・発行日
vol.2009, pp.184, 2009

ジュゴンは熱帯・亜熱帯の浅海域に生息する草食性の哺乳類である。潮の満ち干にともなって、アマモ類を索餌するために満ち潮で浅瀬に接近し、引き潮で沖合へと移動する。肺呼吸をおこなう生き物であるから、索餌中も2,3分に1度は海面に浮上し呼吸する。その瞬間がハンターたちの銛を打つ唯一の機会である。<br>オーストラリア、トレス海峡諸島は太平洋およびインド洋の沿岸域に生息するジュゴンの分布域の中でも最も周密に生息する海域である。トレス海峡の先住民は、考古学的な史料によると、少なくとも2000年前からこの生き物を狩猟してきたようであり、今日でも単なる食料としてのタンパク源・脂肪源の意味をこえてトレス海峡諸島民の文化の核に位置している。<br>狩猟行動によって意識化される海底地形と植生、潮、風、それにジュゴンの生態行動など、今日「文化遺産」ともよばれる生きた自然に関する知識は膨大なものである。たとえば、その他の漁労活動や海上交通の理由にもよるが、サンゴ礁地形の発達する海域において、 日常的な行動海域に120以上もの海底地名を付けており、それ以上に、その地名の意味内容をこえて、周辺の海底に関する知識は詳細をきわめている。アマモ類の藻場の分布はいうまでもなく、ジュゴンの行動をとらえた「ジュゴンが背中を掻く岩」の所在や潮の満ち干にともなった移動路となるサンゴ礁内の澪筋ないし入り江にもその観察はおよんでいる。<br>また、ジュゴンは内耳神経の発達した生き物であり、音にきわめて敏感である。先住民たちもそのことを熟知しており、もう1つの狩猟対象であるウミガメのプルカライグ(目の良い奴)に対比して、カウラライグ(耳の良い奴)というニックネームを与えており、そのことが彼らの狩猟行動の多くを説明する。つまり、1970年代から導入された船外機のついたアルミニウム合金製の小型ボートで狩猟場の風上まで疾走するが、そこからはエンジンを止め、海面の乱反射を避けるために太陽を背後に受け、話し声もふくめ一切物音を立てず、風向と潮流にまかせて、船を風下・潮下に流すのである。その際、船体はかならず潮流と平行に保つように舵を操作しなければならない。わずかでも潮流が船体に当たり、波音を立てることさえ避けようとするのである。いわば、自分たちの存在を風の音と波の音にかき消すのである。しかし、彼らは単に風と波に身をまかせているわけではない。水面下で索餌するジュゴンの行動も考慮のうちに入っている。ジュゴンは潮上にむけて直線的に索餌し、かつ呼吸のために浮上する際も潮上にむかって泳ぐのである。したがって、ハンターたちの行動はジュゴンとの遭遇の機会を増大させているのである。<br>しかしながら、こうした先住民のジュゴン猟も現代世界にあっては、さまざまな問題を抱えている。ジュゴンは言うまでもなく国際自然保護連合(IUCN)によって絶滅危惧種に指定されている生物だからである。目下オーストラリアという国民国家の中の先住民として暮らす彼らには、少数民族として多数(主流)派社会の法や世論を無視しえない。彼らのジュゴン猟も、その伝統的な食料資源としてのみならず、肉の分配にともなった社会的凝集力や彼らのアイデンティティにつながる墓碑建立祭の折の不可欠の食べ物、さらにはハンターに与えられる社会的威信などに配慮して、自給目的の狩猟のみを認められているにすぎない。しかし、主流派の規範となっている「生物多様性」、「環境保全」、「持続しうる開発」は動物保護団体による全面狩猟禁止や船外機付きボートという狩猟手段の問題視を引き起こしている。政府から派遣された「持続しうる開発」のために基礎調査を行う海洋生物学者たちも、ジュゴンの再生産率の低さゆえに、目下の捕獲頭数を政府への答申や学術雑誌の中で危険視している。一方先住民の間では、ジュゴン猟がみずからの民族性を示す特徴の一つとしてシンボル化し、民族自治を願う彼らにとって、ジュゴン猟への干渉は政治問題に展開する可能性を秘めている。こうした問題はトレス海峡諸島民のみならず、たとえば、カナダ極北のイヌイットの人々の生存捕鯨、カナダ北西部海岸先住民のサケ漁、カナダ北東部クリーの人々のシロイルカ猟など、現代の海と関わる先住民の社会が共通して抱える問題なのである。
著者
松本 哲一 水垣 桂子 玉生 志郎 小野 晃司 北原 哲郎 品田 正一 笹田 政克
出版者
特定非営利活動法人 日本火山学会
雑誌
火山 (ISSN:04534360)
巻号頁・発行日
vol.38, no.1, pp.1-13, 1993-04-01 (Released:2017-03-20)
参考文献数
21
被引用文献数
1

Taga Volcano, in northern part of the Izu Peninsula, central Japan, is a large Quaternary strato volcano made of andesite and basalt. The Hata Basalts underlying the Taga volcanic rocks is a pile of pyroclastics with some lava flows mainly of basalts which include the most mafic basalt in the late Tertiary to Quaternary volcanic rocks of north Izu and Hakone region. This Basalts has been treated as the late Tertiary product by previous workers. In order to clarify the volcano-stratigraphic relationship between the Hata Basalts and the Taga volcanic rocks, geologic investigations were carried out in and around the Tanna Basin, and the core and cuttings samples from three 500-600 m drill holes in the Tanna Basin were examined. The Hata Basalts is lithologically characterized by dominant pyroclastics, especially high-temperature oxidized, reddish-brown agglutinate, whereas the products of Taga Volcano are characterized by dominant lava flows. The Hata Basalts is overlain by the Taga volcanic rocks (TV4 and TV5) unconformably at the eastward of the Tanna Basin, and overlain by the Shimo-Tanna Shales and the Taga volcanic rocks unconformably at the westward. Petrography and major elements chemistry suggest that both the Hata Basalts and the Taga volcanic rocks are petrologically very similar to each other. K-Ar dating of two rock samples of the Hata Basalts and one sample of Taga Volcano revealed that they were products of almost the same age, around 600-700 ka. All the samples dated can be correlated to the Brunhes normal polarity epoch. We conclude that the Hata Basalts is the early stage products of Taga Volcano.
著者
間宮 貴代子 小出 あつみ 阪野 朋子 松本 貴志子 山内 知子
出版者
一般社団法人 日本調理科学会
雑誌
日本調理科学会誌 (ISSN:13411535)
巻号頁・発行日
vol.49, no.1, pp.58-64, 2016

本研究では愛知県の雑煮を構成する食材について検討した。愛知県の雑煮の食材構成では,東日本で多く使用された角餅に,醤油とかつおだしの清まし仕立てが多かったが,これは味噌仕立を嫌った武家社会の歴史的影響である。具は古くからの形式が現在も維持され,縁起担ぎから,尾張地域在来の餅菜が使用され,かまぼこ・なるとを加え,かつお削り節を添えていた。しかし,尾張地域と三河地域には相違点がみられた。和風風味調味料の使用が,女性の労働力率が高い三河地域で有意に多かった。また,三河地域の雑煮の具は,収穫量が多い白菜,豆腐・油揚げ(大豆),人参を使用する地産地消の傾向が伺え,尾張地域より多彩な具であった。
著者
松本 信廣
出版者
三田史学会
雑誌
史学 (ISSN:03869334)
巻号頁・発行日
vol.18, no.1, pp.164, 1939-09

餘白錄
著者
龍野 玄樹 鈴木 昌八 落合 秀人 犬塚 和徳 神藤 修 宇野 彰晋 松本 圭五 齋田 康彦 谷岡 書彦 北村 宏
出版者
The Japanese Society of Gastroenterological Surgery
雑誌
日本消化器外科学会雑誌 (ISSN:03869768)
巻号頁・発行日
vol.44, no.6, pp.699-705, 2011
被引用文献数
1 1

症例は62歳女性で,検診での超音波検査で肝腫瘍を指摘され,当院を受診した.B型・C型肝炎ウィルスマーカーは陰性であり,血清CA19-9値が281.6U/mlに上昇していた.腹部CTで肝左葉の肝内胆管拡張と肝外側区域に境界不明瞭で辺縁が軽度造影される5cm大の腫瘍を認めた.門脈左枝内は腫瘍栓で充満していた.門脈腫瘍栓合併肝内胆管癌あるいは混合型肝癌を考え,5-FUによる肝動注化学療法を先行させた.治療開始後にCA19-9値の低下,肝腫瘍の縮小と門脈腫瘍栓の退縮を認めた.化学療法終了から1か月,後肝拡大左葉切除,肝外胆管切除・胆道再建,リンパ節郭清,門脈再建を施行した.病理組織学的には乳頭状の増殖を示す高分化型腺癌から成る腫瘍であり,門脈腫瘍栓を伴った肝内胆管癌と診断された.術後22か月の現在,再発なく社会復帰している.門脈腫瘍栓合併肝内胆管癌に関する文献的考察を加え報告する.

1 0 0 0 OA 12.筋無力症

著者
松本 英之 宇川 義一
出版者
一般社団法人 日本内科学会
雑誌
日本内科学会雑誌 (ISSN:00215384)
巻号頁・発行日
vol.102, no.8, pp.1994-2000, 2013-08-10 (Released:2014-08-10)
参考文献数
10
被引用文献数
3 3

重症筋無力症では抗アセチルコリン受容体(AChR)抗体の他に,筋特異的チロシンキナーゼ(MuSK)抗体が発見され,その抗体の種類により臨床像が異なることが判明した.また胸腺摘出術のメタ解析で有効性が証明されず,また治療の選択肢が増加しており,治療方針が大きく変化している.Lambert-Eaton筋無力症候群は,肺小細胞癌などの悪性腫瘍の治療の進歩により,症状の改善が期待されるようになっている.
著者
松本 英里 姥浦 道生
出版者
公益社団法人 日本都市計画学会
雑誌
都市計画論文集 (ISSN:09160647)
巻号頁・発行日
vol.48, no.3, pp.627-632, 2013-10-25 (Released:2013-10-25)
参考文献数
4
被引用文献数
3 2

本研究は郊外立地型の新幹線駅周辺における市街地形成過程、及び駅周辺の土地利用問題を立地特性や土地利用コントロール手法等に着目して、明らかにすることを目的としている。新幹線駅の立地に関しては、速達性が最優先され、既存の都市構造への配慮が不十分であると考えられるものもある。そのため新幹線開業にともなって駅周辺の区画整理事業を行っても、市街地が形成されなかったり、形成されても区画整理周辺部の幹線道路沿いに開発が集中したりと、計画的な市街地形成が図られていないのが現状である。駅周辺地区の都市の中での位置付けを明確にし、中心市街地と適切な機能分担のもと、いかに両市街地のバランスをとっていくかが今後の課題である。
著者
森田 信一 松本
出版者
富山大学
雑誌
富山大学人間発達科学部紀要 (ISSN:1881316X)
巻号頁・発行日
vol.1, no.1, pp.247-260, 2006-12-14

大正期の童謡運動は、鈴木三重吉が子どものための質の良い読み物を考慮し、「子供の純性を保全開発するために、現代第一流の藝術家の真摯なる努力を集め、兼て、若き子供のための創作家の出現を迎ふる、」(鈴木 1917)ことを目指して大正7年に創刊した「赤い鳥」に代表され、続いて「金の鈴」「童謡」などの雑誌も刊行された。これらの雑誌を中心とした童謡作品については、主に物語や詩などの言葉の面から多くの研究が行なわれている(藤田 1971,童謡詩人會 1997)。音楽面からは童謡運動に参加した作曲家について、小島(2004)が「赤い鳥」と「金の鈴」を中心にとりあげ、成田為三、草川信、弘田龍太郎、本居長世、中山晋平、藤井清水、山田耕筰、河村光陽の童謡作品について、特に旋律の音階構造を詳しく分類、分析している。これらの作曲家は、日本近代の洋楽作曲家として、大正期から昭和期にかけて活躍した人々である。それらの作曲家のうち草川信については、現在でも「ゆりかごの歌」「春の歌」「どこかで春が」「風」「夕焼け小焼け」「汽車ポッポ」「みどりのそよ風」などの童謡作品がよく聴かれ、演奏されている。草川は童謡の作曲家と捉えられることが多いが、実際には童謡以外にも、歌曲、合唱曲、器楽曲などを残している。しかしこれらについては、現在ほとんど知られていない。そこで本稿では、まずいくつかの資料とご子息(次男)草川誠氏へのインタビューから草川信の生涯と仕事を概観する。次に、和声学を中心とした当時の日本の作曲理論の状況を調査し、彼の音楽技法上の背景を知る。そしてそれらに基づいて、草川信の作品のいくつかを分析して、この作曲家の、和声構造を中心とした音楽上の特徴を明らかにする。これによって、これが草川信の作曲法の特徴をつかむとともに、大正から昭和期へかけての日本の洋楽の作曲様式の状況を知る、ひとつの手掛りにもなると考えられる。
著者
金井 文宏 庄田 祐樹 吉岡 克成 松本 勉
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
研究報告コンピュータセキュリティ(CSEC) (ISSN:09196072)
巻号頁・発行日
vol.2014, no.46, pp.1-7, 2014-06-26

スマートフォン向け OS として Android が広く用いられている一方で,それを狙ったマルウェアの数も増加している.Android マルウェアの中には,リパッケージと呼ばれる手法を用いて,正規アプリの中に悪性コードを追加することで作成されたものが多く存在する.攻撃者がリパッケージマルウェアを大量に作成する際には,リパッケージ処理の自動化が必須であると考えられるが,自動リパッケージの実態や対策については,十分な調査・検討が行われていない.そこで我々は,既存の正規アプリが自動リパッケージに対して,どの程度の耐性を有するかを検証する.まず,実際のリパッケージマルウェアの解析を行うことで,リパッケージの方法を特定し,自動リパッケージを再現するスクリプトを作成する.次に,このスクリプトによって,複数の正規アプリに対して,外部と通信を行う機能だけを持つ検証用コードを挿入する.作成したリパッケージ済みアプリを動的解析して,挿入した検証用コードが正常に動作するかどうかを検証する.その結果,評価対象としたアプリの約 75% において,挿入した検証用コードと元の正規アプリのコードの両方が正常に動作することを示す.この実験において挿入した検証用コードを,悪性のコードに変更した場合でも,同様の方法で自動リパッケージが可能であることが予想される.以上より,現状の Android アプリの多くは自動リパッケージヘの耐性が不十分であり,耐ダンパー技術等を用いたリパッケージ対策が必要であることがわかる.Android is widely used as a smartphone OS. On the other hand, malware targeting the Android devices is increasing. Sometimes, attackers insert malicious code to benign application to create malware. It is called repackage malware. Attackers may automate the process of repackaging when they create a large amount of repackage malware. However, difficulty and cost of automated repackage have not been well-investigated. In this paper, we evaluate resistance of Android apps to automated repackaging. For reproduction of automated repackage, we insert a test code to benign apps by methods which have been used in actual repackage malware. After repackaging, we check whether the inserted code properly works or not by dynamic analysis. As a result of the experiment, we successfully insert the test code into 75% of all tested popular apps without influencing the functionalities of the original apps. As there is no technical difficulty to replace the test code to malicious code, we conclude that many Android apps are lack of resistance to automated repackage and must consider measures such as Tamper resistant software technology.
著者
酒井 厚 江川 伊織 菅原 ますみ 松本 聡子 相澤 仁
出版者
公益社団法人 日本心理学会
雑誌
心理学研究 (ISSN:00215236)
巻号頁・発行日
pp.90.17053, (Released:2018-12-25)
参考文献数
54
被引用文献数
2

This study investigated the moderating effects of children’s conflicting relationships with their best friends on how positive parent-child relationships buffer against children’s externalizing problem behaviors directly or through their self-esteem. It also examined whether this moderating effect was conditional on children’s age. Nine hundred and twenty-six elementary and junior high school students completed the questionnaire, which covered their sense of trust in parents, self-esteem, conflicting relationships with best friends, and externalizing problem behaviors. The results of a mediation analysis revealed that children’s high sense of trust in parents buffered against externalizing problem behaviors by enhancing their self-esteem. However, moderated mediation analyses indicated that children with highly conflicting relationships with their best friends reduced the buffering effects of children’s sense of trust in parents on externalizing behaviors both directly and through their self-esteem. These findings were discussed in terms of the children’s conflicting relationships with their best friends and the children’s perception of ego-threat.