著者
坂井 進一郎 山中 悦二 横溝 理 松本 緑
出版者
公益社団法人 日本薬学会
雑誌
YAKUGAKU ZASSHI (ISSN:00316903)
巻号頁・発行日
vol.95, no.12, pp.1511-1516, 1975-12-25 (Released:2008-05-30)
参考文献数
10
被引用文献数
1 2

It has been found that a reaction of the cyclic imino ether in gardneramine (I) with MeI afforded N-methylated oxindole (III). Synthesis of a compound (XIV)) having a cyclic imino ether system and its reaction with MeI are described. An alcohol (X) was prepared by the Michael reaction of N-acetyl-3-ethyloxindole (VII) with ethyl acrylate, followed by LiA1H4 reduction. On treatment with p-toluenesulfonyl chloride in pyridine, X afforded a tosylate (XI) and a chloride (XII). The imino ether (XIV), synthesised by the reaction of XII with potassium t-butoxide in dimethyl sulfoxide-benzene (1 : 1), reacted with MeI to afford N-methyl-3-(3-iodopropyl)oxindole (XX). The reductive dehalogenation of XX with NaBH4/Me2SO gave N-methyl-3-ethyl-3-propyloxindole (XXI), which was identical with the authentic sample prepared from XII by a different route.
著者
一ノ瀬 嘉明 松本 純一 船曵 知弘 松村 洋輔 桑原 秀次 森本 公平 西巻 博 中島 康雄 久志本 成樹 横田 順一朗
出版者
一般社団法人 日本外傷学会
雑誌
日本外傷学会雑誌 (ISSN:13406264)
巻号頁・発行日
vol.28, no.1, pp.21-31, 2014-01-20 (Released:2014-01-20)
参考文献数
28

時間を意識した効率的な外傷全身CT評価法として外傷初期診療ガイドライン(JATEC)改訂にて取り入れられた3段階読影について解説する.第1段階では緊急の治療方針決定に重要な影響を与える損傷や病態の検出に焦点を絞った評価法(FACT)により,緊急開頭術を要する頭蓋内血腫,大動脈損傷,広範な肺挫傷,血気胸,心嚢血腫,腹腔内出血,骨盤骨折や後腹膜・傍椎体領域の血腫,上腹部実質臓器や腸間膜損傷の有無を速やかに評価する.引き続き行う第2段階では,FACTで拾い上げていない迅速な処置を要する損傷や活動性出血の検索を行う.第3段階では,患者のバイタルサインが安定した後に細かな異常所見を見落とさないよう詳細な評価を行う.これら3段階の読影により得られた画像情報と共にABCDEFGS(年齢,出血部位や性状,凝固異常,服薬歴や既往歴,経過時間,臓器損傷形態,受傷機転,意識障害の有無,循環動態)を総合的に検討して緊急性を判断し適切な治療に結びつける.
著者
鎌田泰毅 竹内 義則 松本 哲也 工藤 博章 大西昇
雑誌
研究報告コンピュータビジョンとイメージメディア(CVIM)
巻号頁・発行日
vol.2012-CVIM-181, no.16, pp.1-8, 2012-03-08

卓球競技では,ボールの回転はボールの軌道やボールのインパクト後の反射角に大きな影響を与えるため,非常に重要な要素である.そこで我々は,卓球ボールの回転軸・回転数を自動で定量的に評価することを目的とし,高速度カメラ画像を入力とした回転推定システムを考案する.提案したシステムは,ボールの検出モジュールと回転推定モジュールの2つに大きく分けられる.ボールの検出モジュールでは,ソーベルフィルタを利用して得られたエッジ点に対して,円に対するHough変換を利用することで,ボールの候補となり得るエッジ点を探索する.その後,探索された円内の輝度値や中心点座標の軌跡情報を利用して,ボール候補の絞り込み検出を行う.回転推定モジュールは,ICPアルゴリズムを利用して隣接フレーム間の対応点を探索し,変換座標を特異値分解を利用して導出する.3DCGアニメーションに対して実験を行い,本システムの精度を測定した.回転軸の精度は平均誤差が約3°であり,選手に提示するのに十分な精度であった.回転数の精度は平均誤差が約6%であり,目視で計測したときの誤差3%には及ばなかった.練習を対象とした実測実験では,回転数の精度は誤差約6%であった.
著者
保科 静香 黒澤 景一 高橋 翔太 加藤 浩太 吉村 公佑 奥村 幸弘 松本 尚貴 横山 雅彦 中田 正文 日比谷 孟俊 神原 陽一
出版者
公益社団法人 日本アイソトープ協会
雑誌
RADIOISOTOPES (ISSN:00338303)
巻号頁・発行日
vol.67, no.11, pp.537-549, 2018-11-15 (Released:2018-11-15)
参考文献数
13
被引用文献数
1

福島第一原子力発電所事故由来の134Csの分布を,南東北,北関東,南関東,及び甲信越などの山岳地域において,シンチレーションスペクトロメータを用いて測定した。吾妻山及び八溝山では,高度が低くなると放射線強度が増し,一方,御前山,及び大山では高度が高くなると放射線強度が増すことがわかった。このことは,特定の高度にその中心を有する放射性物質雲(プルーム)が存在し移動したことを示唆している。
著者
篠原 一彰 駒場 智美 橋本 克彦 伊藤 文人 岡田 恵 石田 時也 横山 秀之 松本 昭憲
出版者
公益社団法人 自動車技術会
雑誌
自動車技術会論文集 (ISSN:02878321)
巻号頁・発行日
vol.45, no.6, pp.1105-1110, 2014 (Released:2018-01-25)
参考文献数
24

過去17.5年間に,運転中に意識障害発作を発症し当院に救急搬送された203例について検討した.車両の内訳は四輪車165例(四輪車運転手の3.6%),二輪車38例(二輪車運転手の1.1%)で,発作の原因としてはてんかん発作77例,脳血管障害62例などであった.運転中の意識障害発作は稀ではなく,自動運転技術開発の意義は大きい.
著者
松本 義之 和多田 淳三
出版者
公益社団法人 日本経営工学会
雑誌
日本経営工学会論文誌 (ISSN:13422618)
巻号頁・発行日
vol.49, no.4, pp.209-217, 1998-10-15 (Released:2017-11-01)
参考文献数
13
被引用文献数
1

規則性を見出しにくいデータを予測する方法に, カオス理論に基づく時系列データの短期予測がある.これは, 従来ランダムに推移すると思われていた時系列データをTakensの埋め込み定理を用いてアトラクタを多次元空間に再構成することにより, 短期予測を可能としている.しかし, ランダムプロセスと異なる幾何学的性質を持つ時系列データでも, 低次元のカオス性を示さない時系列データをカオスで予測することは困難である.そこで, 本研究では, それに関連する別の時系列データを同時に埋め込むことにより, 予測を行いたい時系列データのカオス性を抽出し, 予測精度を向上させることを目的としている.また, 本手法の有用性を示すため, 東京証券株式市場の日経平均株価の短期予測についてシミュレーションを行っている.
著者
後藤 真孝 日高 伊佐夫 松本 英明 黒田 洋介 村岡 洋一
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理学会研究報告音楽情報科学(MUS) (ISSN:09196072)
巻号頁・発行日
vol.1996, no.19, pp.21-28, 1996-02-24
被引用文献数
15

本稿では,すべてのプレーヤーが対等な立場でインタラクションし,即興演奏するジャズセッションシステムについて述べる.従来の多くのシステムでは,人間のソロ演奏に対して計算機が他のプレーヤー全員の演奏を伴奏としてまとめて生成していたため,ソロに追従する域を出なかった.我々は,計算機内のプレーヤー同士も人間同様にお互いの演奏を聞き合い反応することができ,さらにジェスチャーも視覚的に交換することができるシステムを提案する.対象はジャズのピアノトリオとし,人間がピアニスト,計算機がベーシストとドラマーを担当する.両計算機プレーヤーは独立したプロセスとして複数の計算機上に実装され,実際にプレーヤーが対等な立場で演奏できた.This paper presents a jazz session system where each player is independent and can interplay with other players. Most previous systems reacted to only human player's performance with the fixed master-and-servant relationship. Our system enables computer players to listen to other computer player's performance as well as human performance, and to interact each other. Moreover, all players can communicate not only by listening other's performance, but by looking at other's bodies and gestures. In our current implementation, the system deals with jazz piano trio consisting of a human pianist, a computer bassist and a computer drummer. These computer players have been implemented as independent processes on several distributed workstations.
著者
山口 晴保 中島 智子 内田 成香 松本 美江 甘利 雅邦 池田 将樹 山口 智晴 高玉 真光
出版者
社会福祉法人 認知症介護研究・研修東京センター
雑誌
認知症ケア研究誌 (ISSN:24334995)
巻号頁・発行日
vol.1, pp.3-10, 2017 (Released:2018-11-06)
参考文献数
17

【目的】適切な医療を提供するため、認知症疾患医療センター外来受診者のBPSDの特性 をNeuropsychiatric inventory (NPI)を用いて検討した。 【方法】対象はMCI群16例と認知症群163例の計179例(80.2±6.9歳)。NPIと認知機能 (HDS-R)や年齢、病型との関係や各質問項目の出現頻度などを検討した。 【結果】MCI群ではNPI 13.3±20.6点、認知症群ではNPI 22.7±22.8点で、MCI群が低かっ た(有意差無し)。介護負担(distress)を表すNPI-DはMCI群10.5±10.9点、認知症群 10.1±9.8点で同等だった。病型別ではDLB群20例がADD群75例よりも有意に高かった (p=0.005)。相関を調べると、全体ではNPIがHDS-Rと有意な負の相関を示した(r=0.188, p=0.021)。認知症群では、NPI-DがHDS-Rと有意な負の相関を示した(r=-0.212, p=0.037)。NPIとNPI-Dは高い相関を示した(r=0.800, p<0.001)。出現頻度が高い項目 は無関心57.5%、興奮54.2%、易刺激性44.7%、不安39.7%、妄想36.9%の順であった。平 均点が高い項目は、興奮3.51、無関心3.12、易刺激性3.0、妄想2.63の順だった。NPI-Dを NPIで割って負担率を検討すると、興奮(0.6)や妄想(0.56)が負担になりやすく、多幸 (0.12)や無関心(0.3)は負担になりにくかった。 【考察】BPSDはMCIの段階からみられ、進行とともにBPSDが強まり、介護負担が増大 する傾向が示された。興奮や妄想は介護者の負担になりやすく、認知症疾患医療センター ではこれらのBPSDへの適切な対応を用意する必要がある。
著者
松本 信廣
出版者
慶應義塾大学
雑誌
史学 (ISSN:03869334)
巻号頁・発行日
vol.10, no.1, pp.47-79, 1931-03
著者
田中 一成 西園 祥子 加瀬 綾子 巨椋 澄子 栗田 翠 村上 智子 久木野 憲司 松本 仁 池田 郁男
出版者
公益社団法人 日本栄養・食糧学会
雑誌
日本栄養・食糧学会誌 (ISSN:02873516)
巻号頁・発行日
vol.56, no.3, pp.175-179, 2003-06-10 (Released:2009-12-10)
参考文献数
21
被引用文献数
9 10

一般に食用とされていないクロナマコの有効利用を図ることを目的として, クロナマコ摂取がラットの脂質代謝に及ぼす影響を検討した。生のクロナマコの可食部をフードカッターで粉砕し, 凍結乾燥後粉末状にしたものを試料としてラットの餌を調製した。タンパク質レベルを20%とし, クロナマコを用いた食餌ではタンパク質源としてカゼインとクロナマコを窒素含量で3:1の割合にした。対照として, タンパク質源にカゼインのみを用いたコントロール群を設けた。コレステロール (Chol) を0.2%添加したこれら飼料をSD系雄ラットに4週間自由摂食させた。クロナマコは血清および肝臓Chol濃度をコントロール群より有意に低下させ, HDL-Chol/総Chol比を上昇させた。クロナマコ摂取ラットで糞中への中性および酸性ステロイド排泄は促進した。これらの結果より, クロナマコは糞中へのステロイド排泄促進によりChol低下作用を発現することが明らかとなった。
著者
佐々木 嘉光 影山 昌利 吉村 由加里 松浦 康治郎 土屋 愛美 小澤 太貴 松本 博
出版者
公益社団法人 日本理学療法士協会
雑誌
理学療法学Supplement Vol.39 Suppl. No.2 (第47回日本理学療法学術大会 抄録集)
巻号頁・発行日
pp.Cc0376, 2012 (Released:2012-08-10)

【はじめに、目的】 体外衝撃波療法(ESWT)は、1988年にドイツで初めて偽関節に対する治療が行われてから、1990年代には石灰沈着性腱板炎、上腕骨外上顆炎、足底筋膜炎などの難治性腱付着部症に対する除痛治療として、欧州を中心に整形外科分野で普及してきた。その後2000年に米国 FDA で ESWT が認可され、本邦では難治性足底筋膜炎を適応症として2008年に厚生労働省の認可がおりて臨床使用が可能となり、当院では2011年10月に国内9台目となる整形外科用体外衝撃波疼痛治療装置を設置した。今回当院において体外衝撃波疼痛治療装置設置後に部位の異なる4例の ESWT を経験したので、疼痛に対する即時効果を中心に報告する。【方法】 体外衝撃波疼痛治療装置は、本邦で認可されているドルニエ社製 Epos Ultra を使用した。本装置は電磁誘導方式で照射エネルギー流速密度は0.03~0.36 mj/mm2 と7段階に可変式である。照射方法は基本的に超音波ガイド下に正確に病変部(腱付着部)への照射を行う。Low energy より始めて徐々に出力を上げ、痛みの耐えられる最大エネルギーで照射を行う。当院における ESWT の照射は、整形外科医師の指示と指導のもと、業者による機器の取り扱いの説明を受けた理学療法士が実施している。<症例>症例1は49歳女性で、4年前に右アキレス腱断裂に対して保存的治療を実施している。現在はソフトバレーをしており、2か月ほど前から鈍痛が出現した。鈍痛は以前から時々生じることがあった。ESWT は照射レベル3、総衝撃波数5000発、総照射エネルギー396 mj/mm2 で実施した。症例2は49歳女性で診断名は右足底筋膜炎であった。半年前にジョギングを始め、5日ほど前から足底部の疼痛が出現した。ESWT は照射レベル7、総衝撃波数2970発、総照射エネルギー1000 mj/mm2 で実施した。症例3は75歳男性。診断名は右上腕二頭筋腱炎で、照射の6か月前に右肩を打撲。当院整形外科で保存的治療を実施し、疼痛は改善したものの、4割ほど残存していた。ESWT は照射レベル7、総衝撃波数2486発、総照射エネルギー800 mj/mm2 で実施した。症例4は14歳女性で剣道部に所属している。以前より左手関節の疼痛があって照射の2か月前に当院を受診し、三角線維軟骨複合体(TFCC)損傷と診断された。ギプス固定による保存的治療を実施後、3日前に矯正装具が完成して装具下に稽古の再開が許可されている。ESWT は照射レベル2、総衝撃波数5000発、総照射エネルギー300 mj/mm2 で実施した。疼痛の評価は、照射前と照射後に Visual Analogue Scale (VAS)を用いて行った。また再評価が可能であった症例については翌日と1週後に再評価を行った。【倫理的配慮、説明と同意】 ESWT 実施前に治療効果と副作用について説明し、本人の同意を得て実施した。報告にあたっては口頭および書面で説明し、本人と家族の同意を得た。【結果】 症例1(アキレス腱断裂後)の歩行時痛 VAS は、治療前58 mm、治療後44 mm、翌日7 mm 、1週間後5 mm で、最大(1週間後)53 mm 改善した。症例2(足底筋膜炎)の歩行時痛 VAS は、治療前46 mm、治療後0 mm、1週間後30 mm で、最大(治療後)46 mm 改善した。症例3(上腕二頭筋腱炎)の圧痛 VAS は、治療前29 mm、治療後15 mm、翌日0 mm で、最大(翌日)29 mm 改善した。症例4(TFCC損傷)の圧痛 VAS は、治療前42 mm、治療後0 mm、1週間後14 mm で、最大(治療後)42 mm 改善した。【考察】 今回、4症例に対して ESWT を実施し疼痛に対する即時効果が得られた。靭帯および筋腱付着部に対する ESWT の作用機序は、神経終末に対する変性誘導、脊髄後根神経節において疼痛にかかわる神経伝達ペプチドの減少に由来する疼痛の抑制、腱細胞や血管新生を介した組織修復効果、各種炎症サイトカイン抑制に伴う抗炎症効果などが報告されている。除痛効果持続時間は数週間におよび、時に完全寛解に改善する症例もあると報告されている。今回の4症例においても、治療直後または翌日の除痛効果が高く、3例では1週間後まで除痛効果が持続していた。Ohtori らは除痛メカニズムとしてラット足底に体外衝撃波を照射することにより、自由神経終末の破壊が起こると報告し、照射後3週間でコントロール群と差がなくなっており、この自由神経終末の破壊が初期の除痛に関与していると考えられている。今回は ESWT 照射後1週間の即時効果を報告したが、今後は症例数を増やして除痛の長期的な効果を検討するとともに、運動機能とパフォーマンスの変化を含めて治療効果の検討を行っていきたい。【理学療法学研究としての意義】 本邦の理学療法分野において ESWT に関する報告はない。運動器に対する超音波画像診断の理学療法と合わせて、ESWT は理学療法領域における新たな物理療法機器としての多くの可能性が期待される。
著者
中下 幸江 大久保 芳伸 堀之内 彰 松本 朱美 北崎 直 佐藤 恵一朗
出版者
日本毒性学会
雑誌
日本トキシコロジー学会学術年会 第33回日本トキシコロジー学会学術年会
巻号頁・発行日
pp.215, 2006 (Released:2006-06-23)

【目的】ラットはヒトと比べて体重あたりのエネルギー消費量が多く、消灯時の活動期に断続的な摂食活動を継続しなければ正常な発育を維持することができない。一方、ラットの毒性試験では、血液検査条件の標準化や肝臓の病理組織学的検査の精度向上などを目的として剖検前夜の消灯前から絶食処置を施すことが多い。しかし、絶食開始から剖検までのエネルギー代謝の変動を経時的に調べた報告は少ない。本報告では、ラットにおける絶食条件下のエネルギー代謝の経時変動を調べた。【方法】消灯1時間前から絶食を開始し、25時間後までの肝臓や血液などにおける糖新生酵素PEPCK、β酸化、蛋白分解酵素をはじめとするエネルギー代謝関連項目を測定し、絶食処置を施さなかった場合と比較した。【結果及び考察】絶食処置を施したラットでは、絶食後5時間以内に肝グリコーゲンが急速に枯渇する一方、速やかに肝臓及び腎臓のPEPCKの活性が亢進した。また、糖新生の活性化と関連して、肝臓の細胞質あるいはミトコンドリア画分及び血中においてAST/ALTの高値が確認された。しかし、血糖値の低下を止めるには至らず、糖新生による血糖維持には限界があることが示唆された。これらの変動とほぼ並行して、代替エネルギー源である遊離脂肪酸やケトン体の血中濃度の増加がみられ、特に、ケトン体は絶食3時間後より増加し、その後著しく上昇した。ラットにおけるこれらの変化は、ヒトの絶食時の変動と比較して、非常に短時間で生じることが特徴的であった。以上の結果から、ラットではヒトと異なり、短時間の絶食がエネルギー代謝に著しい影響を及ぼすことが示唆された。エネルギー代謝系に何らかの影響を及ぼす被験物質では、げっ歯類の非絶食時やヒトの絶食時には発現しない、げっ歯類の絶食時に特有の変化が投薬によって顕在化する可能性があると考えられた。
著者
羽間 稔 中野 正則 篠崎 雅史 藤澤 正人 岡本 恭行 柯 昭仁 岡 伸俊 浜口 毅樹 岡田 弘 松本 修 守殿 貞夫
出版者
泌尿器科紀要刊行会
雑誌
泌尿器科紀要 (ISSN:00181994)
巻号頁・発行日
vol.34, no.6, pp.1047-1050, 1988-06

A case of a 32-year-old paraplegic male who fathered a girl following artificial insemination after an intrathecal neostigmine injection is described. The patient became a complete paraplegic after injury to the spinal cord caused by a traffic accident in 1971, resulting in ejaculatory disturbance. In June, 1984 the first intrathecal neostigmine injection was tried and 2.7 ml of semen was collected and offered to artificial insemination. However, the first to ninth attempt did not result in fertilization. The tenth attempt was made in March 7, 1986, and 3 ml of semen presenting 240 X 10(6) spermatozoa per ml with 5% of motile sperms was collected. This resulted in pregnancy, and the patient's wife delivered a healthy girl weighing 2552 g by cesarean section on November 19, 1986. This is the fourth case of a paraplegic who fathered a child following artificial insemination after an intrathecal neostigmine injection in the Japanese literature.
著者
内田 智也 松本 晋太朗 小松 稔 野田 優希 石田 美弥 佃 美智留 中山 良太 武田 雄大 平川 理映子 武藤 貢平 大久保 吏司 古川 裕之 藤田 健司
出版者
The Japanese Society of Physical Fitness and Sports Medicine
雑誌
体力科学 (ISSN:0039906X)
巻号頁・発行日
vol.65, no.2, pp.237-242, 2016-04-01 (Released:2016-03-18)
参考文献数
32
被引用文献数
1

Recently, the problem of the high incidence of throwing injuries in young people has been gaining attention. Identifying high-risk players before the onset of the throwing injury is important for prevention. One of the most widely used screening tests for sports-related injuries is the Functional Movement Screen (FMS), which assesses the quality of movement; however, its correlation with throwing injuries has not been established. The purpose of this study was to investigate the correlation between the FMS score and throwing injuries. The FMS was used during the medical check for two hundred and thirty junior high school baseball players. We allotted those who had experienced throwing injuries multiple times to the injury group and those who had never experienced throwing injury to the control group. We then calculated the FMS cutoff value using the receiver operating characteristic curve. In addition, we investigated differences in the incidence of throwing injury between above and below the cutoff value using chi-square test. The FMS cutoff score was 17. Players who scored ≤17 had a significantly higher incidence of throwing injuries than those who scored ≥18. Conclusion: We believe that FMS score is correlated to throwing injuries. In addition, the results suggest that throwing injuries might be prevented in junior high school baseball players who scored ≤17 on the FMS if they undergo training in the correct movement patterns.
著者
松本卯一郎編
出版者
普及堂
巻号頁・発行日
1903
著者
橋本 明憲 高橋 俊樹 松本 健作 鵜崎 賢一
出版者
一般社団法人 室内環境学会
雑誌
室内環境 (ISSN:18820395)
巻号頁・発行日
vol.15, no.2, pp.147-161, 2012 (Released:2012-12-01)
参考文献数
17
被引用文献数
1 1

家庭に於ける花粉除去手法として最も普及しているのは空気清浄機である。SubGrid-ScaleモデルとしてCoherent Structure Modelを用いたLES,粒子挙動シミュレーション,及びその解析や可視化を行う自作ソフトウェア群Computational fluid dynamics and Aerosol Motion Property Analysis Suite(CAMPAS)を開発し,縦5 m横5 m高さ2.5 mの室内床面中央に配置した前面吸気上面排気型の空気清浄機による,スギ花粉挙動を解析した。その結果,このモデルの空気清浄機は,室内に一様分布させた花粉の4割程度しか吸入できず,5割強の花粉を落下させてしまうことが分かった。また,空気清浄機の吸気面以外の面である側背面や,部屋壁面に花粉が衝突し,落下しやすいことが明らかになった。空気清浄機の吸気面前方領域に存在する花粉は吸入しやすく,また,後方領域の花粉も排気により再度上昇させることで吸入できることが判明した。空気清浄機が吸入しやすい,吸気面からの方位角θや仰角φが存在する。この角度の値は吸排気モデルに依存すると考えられる。従って,空気清浄機の吸排気仕様を変化させ,花粉を吸入できる領域を拡大することで,花粉除去率のさらなる向上が期待できる。