著者
中才 恵太朗 尾上 紗野 畑 秀明 松本 健一
雑誌
研究報告ソフトウェア工学(SE) (ISSN:21888825)
巻号頁・発行日
vol.2016-SE-194, no.5, pp.1-6, 2016-11-10

オープンソースソフトウェア (OSS) への一般的な貢献方法として開発活動 (パッチ投稿,バグ報告など) があるが,運営団体への寄付も重要な貢献方法である.OSS の開発プロジェクトによっては,寄付を促進させるため特典を用意するなど,運営資金の収集に積極的である.本研究は,効果的な寄付の収集方法を明らかにするため,著名な OSS プロジェクトである Eclipse を対象として調査を行った.寄付者のリストとリリース状況を分析した結果,(1) 特典が寄付への動機づけとなっていること,(2) 全体的な寄付者のうち開発者の割合は少ないが,開発者の寄付額は開発者でないものより大きかったこと (3) リリース日には寄付が増えるが,バグ数が多いと寄付が落ち込むようにみえた.
著者
清水 健太郎 小倉 裕司 中川 雄公 松本 直也 鍬方 安行 霜田 求 田中 裕 杉本 壽
出版者
一般社団法人 日本救急医学会
雑誌
日本救急医学会雑誌 (ISSN:0915924X)
巻号頁・発行日
vol.21, no.4, pp.185-190, 2010

生体肝移植のドナーとしての意思決定に対して家族間で軋轢が生じ,臨床倫理問題について検討が必要であった症例を経験したので報告する。症例は40代,女性。薬剤性肝障害で意識障害が進行するため当院へ転院となった。来院時,肝性脳症III度,PT 19%,総ビリルビン濃度26.6mg/dlであった。集中治療を行ったが患者の意識状態が悪化したため,家族に最後の治療手段として生体肝移植の選択肢を提示した。ドナー候補は離婚した父親だけであった。父親は移植ドナーを希望したが,内縁の妻は手術に反対であった。手術までの過程で家族関係は急激に悪化したが,最終的には医学倫理委員会でドナーの同意権の妥当性を確認した上で,父親の意思を尊重して手術が行われた。患者は,肝不全,敗血症を合併して数カ月後に死亡した。意識障害を伴う難治性の急性肝不全症例では,最後の治療手段として生体肝移植を患者家族に提示した時点で,ドナー候補は,「自由な意思決定」が望まれるが,「時間的制約」の中で心理的圧力を受ける。ドナー候補の意思決定のいかんに関わらず,ドナー候補・家族に対する心理的な支援体制が必要である。
著者
中西 航 小林 巴奈 都留 崇弘 松本 拓朗 田中 謙大 菅 芳樹 神谷 大介 福田 大輔
出版者
公益社団法人 土木学会
雑誌
土木学会論文集D3(土木計画学)
巻号頁・発行日
vol.74, no.5, pp.I_787-I_797, 2018
被引用文献数
4

観光施策の検討において,周遊行動の実態把握は重要である.アンケート調査やプローブデータの利用など様々な方法が存在するが,コストや普及率の問題から十分なサンプル数を得ることは容易ではない.本研究では,パッシブなデータ取得手段であるWi-Fiパケットセンサーを用いた周遊行動把握の可能性を検討する.沖縄本島・本部半島周辺の複数観光地にセンサーを設置し,観光客が所有するモバイル端末からのプローブリクエストデータを複数日にわたり計測した.計測データからプローブリクエストの特性を把握し,来場者数の推定可能性を確認したうえで,複数地点での同一端末の計測情報を用いて観光地間のOD表とトリップチェインの作成を行った.来場者数の時系列変動や地点間流動量の大小関係について妥当な結果を得るとともに,課題を整理した.
著者
松田 耕 二俣 直人 八田 洋 松本 卓也 上西 てつ子
出版者
北海道農事試驗場北農會
雑誌
北農 (ISSN:00183490)
巻号頁・発行日
vol.81, no.4, pp.341-348, 2014-10

蘭越町は,「らんこし米」として,道内の良食味米産地にある。水稲をメインとした農業の町であり,近年ではハウス野菜(トマト,メロン)等の経営の複合化も進んでいる。しかし,水稲育苗後のハウス内後作物栽培はポジティブリスト制度を受け,事実上,栽培は困難な状況であった。そこで普及センターはポリポットを利用した高糖度トマト栽培を提案し,平成23年度から産地育成へ向け,北海道では初となる塩トマト栽培の生産組織の設立,栽培基準の作成,商品のブランド化,そして販売促進と,産地形成に至る一連のブランディング(価値向上)活動を普及センターが主体となり,展開した。
著者
松浦 大輔 大下 智彦 永野 義人 大槻 俊輔 郡山 達男 松本 昌泰
出版者
日本神経学会
雑誌
臨床神経学 (ISSN:0009918X)
巻号頁・発行日
vol.48, no.3, pp.191-195, 2008 (Released:2008-04-15)
参考文献数
20
被引用文献数
7 9

症例は63歳男性である.47歳時に関節炎と皮膚潰瘍を発症し,血管炎をともなう慢性関節リウマチ(悪性関節リウマチ)と診断され,プレドニゾロンとシクロスポリンAの内服治療を受けていた.今回,頭痛,痙攣を主訴に来院し,リンパ球優位の髄液細胞数増多,頭部MRIで左大脳半球の脳表に限局した病変をみとめた.病変部位はFLAIR画像にて高信号を呈し,病変の一部は拡散強調画像でも高信号を呈した.ステロイドパルス療法をおこない,症候,検査所見とも改善した.リウマチ性髄膜炎はまれな疾患であるが,一側テント上に限局する軟膜病変を呈しやすく,本例ではFLAIR画像と拡散強調画像の併用が病変の経時的な評価に有用であった.
著者
三宅 敢 淺木 大明 清水 雅宏 松本 一人 西原 雄祐 橋本 義人 松下 友久 島田 伸二 伊藤 康尚
出版者
一般社団法人 日本液晶学会
雑誌
日本液晶学会討論会講演予稿集 (ISSN:18803490)
巻号頁・発行日
vol.2016, 2016

<p>We achieved a super low power consuming LCD panel with an n-FFS mode driven by IGZO-TFTs at low frequency. In this paper, we report the development of a new photo-alignment process for n-FFS, which prevents light-leakage and mura caused by conventional rubbing processes. In addition, we also developed high reliable liquid crystal and photo-alignment materials, which reduce flicker in low refresh rate driving. These technologies have already been applied to the Generation Eight factory, and are being adopted to small/middle sized LCDs for smartphones, tablet PCs, notebook PCs and so on.</p>
著者
三村 富雄 松本 公治 飯島 正樹 光岡 薫明
出版者
公益社団法人 化学工学会
雑誌
化学工学論文集 (ISSN:0386216X)
巻号頁・発行日
vol.26, no.1, pp.6-10, 2000-01-10
参考文献数
10
被引用文献数
1 6

石炭焚き火力発電所排ガス条件下の炭酸ガス分離について化学吸収法の適合性を試験した.<BR>新吸収剤KS-3による排ガス量450m3/hのパイロット試験結果から, SOx濃度50ppmの条件で約200時間の運転では熱安定性塩の蓄積は少なく問題なく運転できることが確認できた.<BR>更に, 吸収再生性能については低下傾向が見えないことと, LNG焚き条件のケースと同等の高い良い耐腐食性が得られたことから, 充分長時間運転できることが推定できる.
著者
松本 敬 遠藤 伶 高木 健士 重野 寛
出版者
情報処理学会
雑誌
研究報告マルチメディア通信と分散処理(DPS) (ISSN:09196072)
巻号頁・発行日
vol.2009, no.10, pp.1-6, 2009-09-03
参考文献数
8

P2P ファイル共有において,レアリティが高く入手の難しいブロックが発生し,ブロック収集効率が下がるブロックのレアリティ問題が存在する.ブロックとは,共有するファイルを予め決められたサイズに分割した断片のことである.そこで,本稿ではブロック収集効率を上げるためにブロックのレアリティを考慮した P2P ファイル共有手法 CAS の提案を行う.CAS ではレアリティ問題の原因であるブロックの初期分散速度とピア離脱の2点に対処することで,ブロック収集効率を上げる.さらに,シミュレーション評価を行い CAS のブロック収集効率における有用性及び悪意あるピアがネットワークに存在する場合の対応性を示す.This paper discusses a rarity problem of blocks in P2P file sharing that degenerates the blocks collection efficiency of peer by the blocks that have high rarity and thus difficult to obtain it. Blocks are the divided fragments of shared files as which size is decided previously. The aim of this proposal is to improve the blocks collection efficiency of peer in P2P. We propose CAS that considers the rarities of blocks. In the proposal, CAS deals both the initial dispersion speed of blocks and the peer departure to improve the blocks collection efficiency. In addition, we evaluated the proposal by simulation and showed the availability of CAS for blocks collection efficiency of peer and the correspondence analysis of CAS when malicious peers exist in P2P Network.
著者
佐藤 潤也 松本 裕行 松原 洋 吉信 康夫 松本 耕二 谷川 好男
出版者
名古屋大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2003

(1)形式群に付随するBernoulli多項式に対してdistribution relationを与えることが出来た.(2)自然数kを固定したとき,1,2,・・・,kに対するk乗剰余が全て異なるような素イデアルの存在を考えることは,符号理論への応用の観点から重要であることが知られている.本来,この問題は,初等整数論で述べられた有理素数に関する問題であったが,べき剰余記号を用いて言い換えることにより,問題の本質が浮き彫りとなり,有理数体のアーベル拡大における素イデアルの問題に帰着され,本研究において,部分的な解決がなされた.すなわち,k【less than or equal】7に対して,(I)上記の素イデアルは存在する.さらに,(II)正の密度が存在し,クロネッカー式密度を計算することができる.以上から,条件を満たす素イデアルが無限に多く存在することが分かった.証明には,類体論とチェボタレフの密度定理を用いる.また,k=3の場合には,イデアル群として特徴づけられることを示した.k【less than or equal】7と言う条件は,本質的な条件ではなく,kを具体的に一つ与えれば,同様の結果を導くことができる.(3)符号理論における未解決問題の一つ:『法3pの乗法群において,位数p-1をもち,(p-1)/2乗が-1と合同であるが,2を生成しない整数が存在するか?』が,本質的に平方剰余記号の第2補充法則と同値であることを証明し,肯定的に解決した.
著者
松本 和夫 近泉 惣次郎 許 仁玉 渡部 潤一郎
出版者
園藝學會
雑誌
園芸学会雑誌 (ISSN:00137626)
巻号頁・発行日
vol.41, no.2, pp.171-178, 1972
被引用文献数
6

温州ミカンの可溶性固形物と遊離酸含量に影響する樹令および立地要因の寄与度を, 現象数量化の手法を用いて推定した。果汁の糖度計示度と滴定酸度のいずれに対しても, 地域を表わす要因の寄与度が最大であつた。また, 糖度については, 傾斜方位の寄与度が2位, 樹令の寄与度が3位であつた。一般に, 樹令が増すほど少しずつではあるが着実に糖度が高まつている。標高と海岸からの距離が糖度に及ぼす影響は, 他の要因に比べてかなり低かつた。<br>いつぱう, 果汁の滴定酸度のほうは, 海岸からの距離が遠くなるにつれてかなり増加した。標高と酸度の関係は, 海抜200m以上のところで酸度の増加が著しく, それ以下のところでは標高差の影響をほとんど受けていない。傾斜方位の影響については, 糖度, 酸度のいずれに対しても, 部分的に常識と一致しない傾向が認められた。
著者
小坂 光男 山根 基 松本 実 小粥 隆司 中野 匡隆 塚中 敦子 加藤 貴英 大西 範和 Mitsuo KOSAKA Motoi YAMANE Minoru MATSUMOTO Ryuji OGAI Masataka NAKANO Atsuko TSUKANAKA Takahide KATO Norikazu OHNISHI
雑誌
中京大学体育学論叢 = Research journal of physical education Chukyo University (ISSN:02887339)
巻号頁・発行日
vol.46, no.1, pp.1-15, 2004-11-20

Biological responses due to thermal stimuli were categorized based on the areas of the human body as well as on the modalities of thermal stresses such as icing, cooling and heating applications. These biological responses reported in previous papers were analyzed based on the concepts of Selective Brain Cooling (SBC) and long-term fever range (FR)-mild hyperthermia. Although no thermophysiological problems occurred in the case reports of biological responses induced by SBC, the effects of those induced by cooling of the body trunk and extremities were not so thoroughly evaluated. On the other hand, the idea of long-term fever range (FR)-mild hyperthermia (39.5-41.0℃) proved to be helpful in therapies enhancing the immune defenses against virulent bacterial diseases through the proliferation of Langerhans cells (LCs) and, under these conditions, it might even be beneficially combined with Selective Brain Cooling (SBC) and body heating to enhance human health and physical performance.
著者
吉田 直浩 浅川 徹也 林 拓世 水野 (松本) 由子
出版者
公益社団法人 日本生体医工学会
雑誌
生体医工学 (ISSN:1347443X)
巻号頁・発行日
vol.49, no.1, pp.91-99, 2011-02-10 (Released:2011-12-13)
参考文献数
30
被引用文献数
4

The aim of this research was to evaluate the autonomic nervous reaction using photoploethysmography under the emotional stimuli. Twenty healthy adults (11 males and 9 females) with a mean age of 25.0±5.0 were assessed for their psychosomatic states using Cornell Medical Index (CMI) and classified into two groups: group I (healthy) and II-IV (neurotic tendency). The photoplethysmography under emotional stimuli using the audiovisual video footages for 40 seconds and during recalling the contents of the footages soon after the stimuli for 180 seconds was measured. These series were repeated three times. The emotional stimuli consisted of "positive stimuli" and "negative stimuli". The "positive stimuli" such as relaxed and pleasant stimuli could evoke a positive feeling, while the "negative stimuli" such as unpleasants #1 (human-relation problem) and #2 (fear) stimuli could evoke a negative feeling. Pulse waves from photoplethysmography were analyzed for estimating the pulse wave amplitude, reflection index (RI). and pulse wave length, and these values of two groups were compared using analysis of variance (ANOVA). The results showed that the pulse wave amplitudes of group I under and after the positive simuli were significantly larger than the amplitudes under and after the negative stimuli, respectively. On the other hand, there was no obvious difference of the pulse wave amplitudes of group II-IV between the positive and negative stimuli. RI of group I during and before the stimuli was smaller than the base line, and RI under the unpleasant #2 stimuli was smallest in all the stimuli. However, RI of group II-IV under the unpleasant #2 stimuli was largest in all the stimuli. The pulse wave length under the unpleasant #1 stimuli was significantly larger than the other stimuli, and the pulse wave length after the stimuli was significantly smaller than the base line. These results suggested that the autonomic nervous reaction under emotional stimuli would be regulated based on the psychosomatic states.
著者
坂本 光弘 松本 理器 十川 純平 端 祐一郎 武山 博文 小林 勝哉 下竹 昭寛 近藤 誉之 髙橋 良輔 池田 昭夫
出版者
日本神経学会
雑誌
臨床神経学 (ISSN:0009918X)
巻号頁・発行日
pp.cn-001180, (Released:2018-09-29)
参考文献数
26
被引用文献数
4 2

自己免疫性てんかんが近年注目されているが,抗神経抗体以外の特異的な診断法は確立していない.今回我々は最初に病歴・臨床症候,次に検査成績と2段階で自己免疫性てんかんを診断するアルゴリズムを作成し,臨床的有用性を予備的に検討した.自己免疫性てんかんが疑われた70名に後方視的にアルゴリズムを適応した.MRI,髄液,FDG-PET検査のうち,2項目以上異常所見があれば診断に近づく可能性が示された.一方で抗体陽性13名のうち2名は,第一段階の臨床症候で自己免疫性てんかんの可能性は低いと判断された.包括的抗体検査のもと診断アルゴリズムの更なる検証,改訂が望まれる.
著者
有坂 宣彦 平尾 雅郎 西尾 綾子 友澤 寛 松本 清司 武藤 信一 奥原 裕次 松見 繁 筒井 康貴 酒井 里美 竹澤 英利 山田 寛臣 三上 博史
出版者
日本毒性学会
雑誌
日本トキシコロジー学会学術年会
巻号頁・発行日
vol.36, pp.4164, 2009

【目的】Wistar Hannover(WH)ラットは欧州での毒性試験における頻用系統であるが,本邦での使用実績は少ない。近年,WHラットはSprague Dawley(SD)ラットに比して小型,温順な性質,優れた長期生存性等の理由で毒性試験における有用性が期待されている。しかし,WHラットと頻用系統であるSDラットとの比較例は少ない。今回,亜急性毒性試験を想定した週齢でWH及びSDラット間の系統差を検討したので報告する。【方法】無制限給餌で飼育した雌雄のWH(Crl:Wl(Han))及びSD(Crl:CD)ラットについて,8及び10週齢で血液生化学(Hitachi 7180),血球計測(Sysmex XT-2000),血液凝固(Sysmex CA530)及び骨髄検査,臓器重量測定を実施した。また,9~11週齢で回転かご付ケージ内での体重,摂餌量及び摂水量測定,自発行動解析を実施した。【結果及び考察】WHラットはSDラットに比して以下の特徴を示した。血液生化学検査では,雌雄でAST,ALT及びALPの低値が,10週齢のみでUNの高値がみられた。血球計測検査では,雌雄で赤血球及び網赤血球数の高値,好中球及びリンパ球数の低値に基づく白血球数の低値,MCV及びMCHの低値がみられた。末梢血と同様に骨髄でも赤芽球系細胞数の高値及び骨髄系細胞数の低値がみられ,両系統間で造血能又は造血ステージが異なる可能性が考えられた。凝固系項目には両系統間の差はみられなかった。臓器重量測定では,雌雄とも脾臓体重比重量の高値を示した。体重,摂餌量及び摂水量は雌雄とも低値を示し,自発運動量は雄で少なかった。以上,WH及びSDラット間でWHラットの小型かつ温順な性質という特徴と一致する差異に加え,血液パラメータを中心とした差異がみられた。これらはWHラットを理解する上での一助になるものと考えられた。