著者
藤田 茂 平尾 智広 北澤 健文 飯田 修平 永井 庸次 嶋森 好子 鮎澤 純子 瀬戸 加奈子 畠山 洋輔 大西 遼 松本 邦愛 長谷川 友紀
出版者
一般社団法人 日本医療・病院管理学会
雑誌
日本医療・病院管理学会誌 (ISSN:1882594X)
巻号頁・発行日
vol.57, no.3, pp.95-104, 2020-07-31 (Released:2020-11-11)
参考文献数
48

医療従事者の働き方改革は,医療従事者の健康や幸福だけでなく,医療安全の向上にも寄与すると推測される。本研究は,コメディカルの労働量と医療安全に関するアウトカムとの関係を明らかにすることを目的とした。1964年1月から2018年8月までに出版された医中誌Web収載の文献と,2008年8月から2018年8月までに出版されたPubMed収載の文献を対象に,システマティックレビューを行った。その結果,看護師の労働量に関する文献を26件,薬剤師の労働量に関する文献を2件,その他の文献を7件得た。それらの文献には,システマティックレビューが7件,対照群のある観察研究が28件含まれ,無作為化比較試験は無かった。コメディカルの労働量の多さが患者の死亡率に負の影響を与えるという明確なエビデンスは得られなかった。一方で,看護師の労働量が多いと,与薬エラーや集中治療室における院内感染症が増加する可能性が示唆された。
著者
高橋 有記 大西 雄一 松本 英夫
出版者
公益財団法人 パブリックヘルスリサーチセンター
雑誌
ストレス科学研究 (ISSN:13419986)
巻号頁・発行日
vol.30, pp.5-9, 2015 (Released:2016-01-15)
参考文献数
10
被引用文献数
1

Developmental Disorder includes, Pervasive Developmental Disorders, Attention-Deficit/Hyperactivity Disorder and Learning Disorders listed in DSM-IV-TR. Moreover, Intellectual Disabilities are thought to be included in this criteria. Although Developmental Disorder was classified into a big category of “Disorders Usually First Diagnosed in Infancy, Childhood, or Adolescence” in DSM-IV-TR, it is classified into a big category of “Neurodevelopmental Disorders” due to DSM-5 in May, 2013. In this article, we explain the outline of the “Neurodevelopmental Disorders”, and the clinical characteristics of Autism Spectrum Disorder, Attention-Deficit/Hyperactivity Disorder, and other disorders due to DSM-5.
著者
松本 珠希 後山 尚久 木村 哲也 林 達也 森谷 敏夫
出版者
一般社団法人 日本心身医学会
雑誌
心身医学 (ISSN:03850307)
巻号頁・発行日
vol.48, no.12, pp.1011-1024, 2008-12-01 (Released:2017-08-01)
参考文献数
50
被引用文献数
3

月経前症候群(premenstrual syndrome; PMS)は,身体・精神症状から社会・行動上の変化に至るまで広範囲にわたる症状が,黄体期後半に繰り返し出現し,月経開始後数日以内に軽快するという特徴をもつ.種類や程度,継続する期間を問わなければ,性成熟期女性の大半が何らかのPMS症状を自覚しているといわれているが,その成因はいまだ明らかにされていない.本研究では,PMS症状のレベルが異なる女性を対象に,"体内環境の恒常性維持に寄与し,心の状態にも影響を及ぼす"とされる自律神経活動の観点から月経前の心身不調の発症機序について探求することを試みた.正常月経周期を有する20〜40代の女性62名を対象とした.実験は卵胞期と黄体後期に各1回行った.月経周期は,月経開始日,基礎体温および早朝第一尿中の卵巣ホルモン・クレアチニン補正値を基準に決定した.自律神経活動は,心拍変動パワースペクトル解析により評価した.月経周期に伴う身体的・精神的不定愁訴および行動変化は,Menstrual Distress Questionnaire (MDQ)により判定した.MDQスコアの増加率に応じて,被験者をControl群,PMS群,premenstrual dysphoric disorder (PMDD)群の3群に分け,卵胞期から黄体後期への不快症状増加率と自律神経活動動態との関連を詳細に検討した.PMS症状がないあるいは軽度のControl群では,自律神経活動が月経周期に応じて変化しないことが認められた.一方,PMS群では,卵胞期と比較し,黄体後期の総自律神経活動指標(Total power)と副交感神経活動指標(High-frequency成分)が有意に低下していた.PMDD群では,黄体後期の不快症状がPMS群よりもいっそう強く,自律神経活動に関しては,他の2群と比較すると卵胞期・黄体後期の両期において心拍変動が減衰,併せて,すべての周波数領域のパワー値が顕著に低下していた.PMSは,生物学的要因と・心理社会的要因が混在する多因子性症状群であり,その病態像を説明するさまざまな仮説が提唱されてはいるが,統一した見解が得られていないのが現状である.本研究からPMSの全貌を明らかにすることはできないが,得られた知見を考慮すると,黄体後期特有の複雑多岐な心身不快症状の発現に自律神経活動動態が関与することが明らかとなった.また,PMDDのようなPMSの重症例では,月経周期に関係なく総自律神経活動が著しく低下しており,黄体後期にいっそう強い心身不調を経験するとともに,月経発来後も症状が持続するのではないかと推察された.
著者
吉田 翔太 桐本 光 松本 卓也 小島 翔 鈴木 誠 大西 秀明 田巻 弘之
出版者
一般社団法人 日本臨床神経生理学会
雑誌
臨床神経生理学 (ISSN:13457101)
巻号頁・発行日
vol.41, no.4, pp.202-208, 2013-08-01 (Released:2013-11-01)
参考文献数
15
被引用文献数
2

主動作筋の活動に先行して姿勢調節筋群が放電開始する現象は, 先行随伴性姿勢調節 (APAs) と呼ばれ, 補足運動野 (SMA) がその生成に関与すると考えられている。本研究では, SMAに対する経頭蓋直流電流陰極刺激 (陰極tDCS) が, APAsの機能に影響を及ぼすか否かを検討した。健常被験者11名が, 自己ペースで右上肢を急速拳上する課題を重心動揺計上で行い, この時の右三角筋と右大腿二頭筋の活動を表面筋電図で記録した。左側M1 (Cz上) とSMAに陰極tDCS (2 mAで15分間) 及び疑似刺激を行い, 刺激前後における両筋の放電開始時間差 (ΔEMG onset) の変化を比較した。陰極tDCS後におけるΔEMG onsetの有意な短縮はSMA刺激時にのみ認められた。APAsの生成にはSMAが重要な役割を果たし, また陰極tDCSはSMAの予測的姿勢調節機能を抑制し得ることが示唆された。
著者
松本 良
出版者
公益社団法人 東京地学協会
雑誌
地学雑誌 (ISSN:0022135X)
巻号頁・発行日
vol.118, no.1, pp.7-42, 2009-02-25 (Released:2010-04-05)
参考文献数
94
被引用文献数
14 21

Gas hydrate, an ice-like solid compound composed of methane and water molecules, was “re-discovered” from ocean sediments in the mid-20th century, while it had been known as a chemical material to chemists and chemical engineers even in the early 19th century. Since the re-discovery of natural gas hydrate it has been attracting growing interest among geoscientists from the viewpoint of potential natural gas resources, possible impact on global environmental changes, and trigger of geo-hazards such as landslides and coastal erosion. The development of gas hydrate science has been marked by a rapid increase of studies in publications from 1991 to 1999, reflecting ODP expeditions to the mid-America Trench and Blake Ridge, where deep corings recovered solid gas hydrate samples. The number of papers in international journals has increased to 500 to 600 annually in the last few years. Recent development of marine geology and geophysics, in particular of the Ocean Drilling Program (ODP), has dramatically increased our knowledge of gas hydrate and related phenomena. Bottom simulating reflector (BSR) on seismic profiles corresponds to the base of the gas hydrate zone in sediments, and is considered to be a useful tool to identify the distribution of marine gas hydrates. The base of gas hydrate stability (BGHS) is determined from P-T conditions of sediments and water depth, and BSR is expected to occur at the depth of BGHS. However, BSR is not always consistent with BGHS; and, in some cases, even two BSRs are identified at around the depth of BGHS. These observations seem to imply that marine gas hydrate is not necessarily stable at the present position but represents ephemeral and transient conditions.  Integrated research activities of scientific projects and industry exploration efforts have identified two types of gas hydrate in marine sediments. These are deep-seated, stratigraphic-type deposits and shallow/structural accumulation. Japan's long-term exploration project led by Ministry of Economy, Trade and Industry (METI) has been targeting the stratigraphic type in the Nankai Trough, where 40 tcf of methane has been estimated to occur as concentrated gas hydrate deposits. Shallow accumulations are usually associated with gas chimney structures, and are common throughout the marginal seas of the western Pacific. Massive accumulation of the shallow type seems to be promising for gas production from gas hydrate as well.  Sudden and major changes to the earth's environment and mass extinctions are characterized by sharp negative excursions of carbon isotopic composition. Massive dissociation of C-13 depleted gas hydrate with δ13C of -40 to -100‰, is believed to have caused such global changes. The Paleocene-Eocene boundary event (PETM event) is the best-explained case of gas hydrate-induced biotic overturn. However, serious problems have recently emerged from considerations of thermal propagation through sediments. A sudden increase of methane concentration at the Last Glacial Maximum has also been considered to result from gas hydrate dissociation, but the response of gas hydrate was not so simple during the Quaternary, when low sea level during glacial periods possibly de-stabilized subsurface gas hydrate, unlike the PETM of ice-free ocean.
著者
宮﨑 甲 三枝 一将 松本 隆
出版者
千葉大学教育学部
雑誌
千葉大学教育学部研究紀要 = Bulletin of the Faculty of Education, Chiba University (ISSN:13482084)
巻号頁・発行日
no.68, pp.401-410, 2020-03-01

[要約]平安時代後期から鎌倉時代の仏像の造像法研究は,木造仏においては修復事業などによりその成果が蓄積されてきた一方で,鋳造仏(金銅仏/鉄仏)については未だに途上であると言える。平安時代後期から鎌倉時代の鋳造仏の原型および鋳造技法に関しては,現在では木造原型(木型)による割込め型(合わせ鋳型)法が定説となっている。本研究チームは現在,千葉県館山市の那古寺銅造千手観音菩薩立像の科学調査等を準備しており,その過程で類型の多臂仏の調査を行った。本稿は千葉県・長柄町銅造准胝観音菩薩立像,滋賀県・園城寺銅造千手観音菩薩立像,兵庫県・常勝寺銅造十一面千手観音菩薩立像の3軀の調査報告とし,特に腕部の形状や構造に着目して原型および鋳造法について若干の推論を試みた。報告をまとめる過程で,蝋型鋳造法や木造原型焼失鋳造法等,またはその混合技法の可能性について言及することとなった。
著者
松本 斉 井上 奈津美 鷲谷 いづみ
出版者
一般社団法人 日本生態学会
雑誌
保全生態学研究 (ISSN:13424327)
巻号頁・発行日
vol.25, no.1, pp.1902, 2020-05-15 (Released:2020-06-28)
参考文献数
59

世界自然遺産候補地である奄美大島の亜熱帯照葉樹林において、生物多様性保全上重要な森林域の指標のひとつである樹冠サイズの 1960年代以降の変遷を地図化することを試みた。 3つの時期(1965年度、 1984年度、 2008年度)に撮影された 1 / 20,000空中写真(解像度 0.4 m)に対してモルフォロジー解析による粒度分析を施し、優占する樹冠サイズを指標する「樹冠サイズ指数」を算出した。 3つの時期を通じて成熟林が維持されていた地域を基準として撮影年代や撮影日ごとの差異を修正した 1 haメッシュスケールの「補正樹冠サイズ指数」の変遷は、現存植生図および森林への人為干渉の履歴と合理的な対応が認められた。補正樹冠サイズ指数の変遷により、主に伐採などの人間活動に起因する 3タイプの森林パッチを認識した。すなわち、 1)1960年代から継続して大きい補正樹冠サイズ指数を保っている大径照葉樹優占域のパッチ、 2)1960年代には補正樹冠サイズ指数の大きい照葉樹林が存在していたものの、近年は伐採後に成立した補正樹冠サイズ指数の小さい二次林となっている小径照葉樹二次林パッチ、 3)かつては小径木林であったが、先駆樹種が樹冠を広げて補正樹冠サイズ指数が大きな値をとるようになった先駆樹種優占域パッチである。 2017年に指定された奄美群島国立公園の地種区分とこれらパッチタイプの分布を空間的に照合すると、内陸の山地域に分布するまとまった面積の大径照葉樹優占域パッチが概ね特別保護地区および特別地域に指定されており、特別保護地区はいずれの空中写真撮影年度にも補正樹冠サイズ指数の平均値が 3.60を上回っていた。そのような森林域の樹木相には、他ではみられないイスノキを含む多様な樹種の亜大径木(胸高直径 30 cm以上 50 cm未満)も高頻度で含まれており、将来にわたって林冠構成樹種の多様性が維持されて周囲への種の供給源としての役割を果たすことが期待される。撮影年代の異なる空中写真から補正樹冠サイズ指数を算出して森林のモザイク動態を把握することは生物多様性上重要な森林域を見出す上で有効な手法であること、奄美群島国立公園の公園計画は、森林モザイク動態を鑑みても生物多様性保全上重要性が高い亜熱帯照葉樹林を将来にわたって保全する上で有効なものとなっていることが示唆された。
著者
松本 行弘 縄手 雅彦
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理学会論文誌 (ISSN:18827764)
巻号頁・発行日
vol.46, no.11, pp.2633-2642, 2005-11-15
被引用文献数
2

テキスト処理において文字集合間の変換は,さまざまな問題を引き起こす可能性がある.そのような問題を回避するため,スクリプト言語Rubyに対して,複数の文字集合とそのエンコーディングを変換を行うことなく直接扱うことができる多言語テキスト処理の枠組みを実装した.この多言語テキスト処理の枠組みを利用することでEBCDIC,UTF-16,UTF-32,GB18030をはじめとする各種CESに比較的容易に対応できる.この多言語化により,Rubyを用いたテキスト処理の可能性が大きく広がる.また,この多言語テキスト処理のための枠組みはRubyに依存しないため,ライブラリとして他のプログラムにも応用できる.The character conversion between character code sets can cause various problems. To avoid these problems, we developed a multilingual text manipulation framework for the Ruby language, which the author designed. Users can easily add support for the new character encoding scheme (CES), such as EBCDIC, UTF-16, UTF-32, and GB18030. The multilingual text manipulation will broaden the application domain of the Ruby language. In addition, the framework for the multilingual text manipulation can be used for other programs, since they are idependent from the Ruby interpreter.
著者
津崎 善晴 松本 亮介 小谷 大祐 宮崎 修一 岡部 寿男
雑誌
研究報告インターネットと運用技術(IOT)
巻号頁・発行日
vol.2014-IOT-24, no.11, pp.1-6, 2014-02-20

電子メールが広く普及し,メールが宛先に遅延なく配送されることが望まれてきている.意図しない大量メールが短時間にメール中継システムに送信されることは珍しくない.これらのメールはしばしば,システムの負荷を超過させ,ネットワーク帯域を占有する原因となり,このような状況ではメール配送に重大な遅延をもたらす.本稿ではハシシュテーブルで管理されたエンベロープ From アドレスとエンベロープ To アドレスの組を用いて効率的に大量のメールを検知するメール中継システムを提案する.提案システムではエンベロープ From アドレスとエンベロープ To アドレスの組数を数え,もし,ある短い期間で特定の組の配送数が事前に設定した閾値を超えた場合,これらのペアが大量メールの原因とみなす.エンベロープ From アドレスとエンベロープ To アドレスを管理するハッシュテーブルの肥大化を低減するために複数のハッシュテーブルを使用し,これらのハッシュテーブルを時間毎に分け,ある決まった間隔でエントリーを空にする.また,事前に大量のメールの判断するためにブロックリストも準備する.最終的にシステムを実装し評価する.
著者
日暮 美奈子 浅田 進史 鈴木 楠緒子 松本 彰 伊東 直美 大井 知範
出版者
専修大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2012-04-01

本共同研究は、トランスナショナル史とジェンダー史の視点から帝政期ドイツの人的移動とその管理体制について分析したものである。たとえば、研究代表者は「婦女売買」に関わるドイツ国内の警察ネットワークの形成を検証した。また、共同研究者は植民地都市青島における売春業者によって斡旋された日本人女性の事例を扱った。これらの研究を通じて、本研究プロジェクトは帝政期ドイツのトランスナショナルな人的移動と国際秩序の形成が密接に関連する過程を示した。
著者
松本 亜沙香 林 春男 立木 茂雄
出版者
一般社団法人 地域安全学会
雑誌
地域安全学会論文集 (ISSN:13452088)
巻号頁・発行日
vol.15, pp.463-472, 2011-11-11 (Released:2019-09-12)
参考文献数
9

The authors conducted an internet survey regarding the March 2011 Great Eastern Japan Earthquake Disaster. The sample was taken from the nationwide internet monitor, an internet-based survey, living outside the disaster areas Optimal scaling and cross tabulation were used to analyze behaviors such as "panic buying,” “giving monetary donation,” and “sending supplies.” The result showed the following: a) social capital affect the behavior of cash donation and sending/offering of supplies; b) people who donate or send goods tend to reduce their expenses, and c) people living near the disaster area feel a strong sense of insecurity which leads to panic buying.
著者
松本 光隆
出版者
日本語学会
雑誌
日本語の研究 (ISSN:13495119)
巻号頁・発行日
vol.5, no.3, pp.79-64, 2009-07-01

本稿は、院政期末から鎌倉時代初頭に仁和寺を中心として、多くの撰述書を今に残し、文化的な活動が著しかった守覚法親王の著作の内、随心院蔵野決鈔を主たる資料として取り上げて論じたものである。野決鈔は、醍醐寺勝賢との諸尊法に関する問答を記した資料で、当時の他の現存資料からは、一般的であるとは思えない漢字・片仮名・平仮名・万葉仮名交じり文で書記された文章を持つ。勝賢の「答」の言語を視野に入れつつ、主として守覚の「問」を対象に、野決鈔に書記された日本語の特性を検討した。検討の結果、守覚の「問」の文章は、厳密には書記言語ではあるが、守覚の意識としては、自身の口頭語を記したと認められる資料で、そのために採用した表記体であったと考えられる。言語の内実も、当時の口頭語を書記した資料と見て矛盾がなく、当時の口頭語の範疇の再検討、個々人による言語体系差など、極めて重要な課題を提供する資料であることが判明した。
著者
松本 浩実 大坂 裕 井上 和興 朴 大昊 萩野 浩
出版者
日本理学療法士学会
雑誌
理学療法学 (ISSN:02893770)
巻号頁・発行日
pp.11657, (Released:2019-11-29)
参考文献数
22

【目的】地域高齢者におけるフレイルの進行度と運動および運動自己効力感の関連性を調査すること。【方法】地域の集団健診に参加した239 名中,1)65 歳以上,2)日常生活が自立しているもので,要介護認定者を除外した男性85 名,女性127 名,平均年齢76 歳を対象とした。自己記入式アンケートにて運動および運動自己効力感を評価し,日本版Cardiovascular Health Study Index 基準を用いたフレイル判別にてロバスト,プレフレイル,フレイルに群分けした。【結果】多項ロジスティック回帰分析を実施した結果,プレフレイルと散歩やウォーキングなし(Odds:11.521),筋力トレーニングなし(Odds:6.526),集団体操なし(Odds:10.089)が,フレイルと運動自己効力感(Odds:0.826)が関連した。【結論】フレイル予防には運動習慣とともに運動自己効力感を高める心理的,教育的なサポートが重要である。
著者
岩井 宜子 内山 絢子 後藤 弘子 長谷川 眞理子 松本 良枝 宮園 久枝 安部 哲夫
出版者
専修大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2002

本研究においては、平成になってからの日本における殺人・傷害致死の第1審の判決例を収集し、その加害者・被害者関係をジェンダーの視点で分析し、おもに、家庭内暴力(DV)が原因として働くものがどの程度存在し、どのような形で殺害というような結果をもたらしたかを詳察することにより、今後の対策を考察することを意図した。昭和年間の殺人の発生状況との比較において、まず、注目されるのは、えい児殺の減少であるが、昭和年間にかなりの数のえい児殺が存在したのは、女性の意思によらない妊娠が非常に多かったことに基づくと考えられ、平成になり、少子化の背景事情とともに、女性の意思によらない妊娠も減少したことが推察される。しかし、年長の実子を殺害するケースは、増加しており、その背景には、被害者の精神障害、家庭内暴力、非行などが、多く存在している。夫・愛人殺の増加の背景にも、長期間にわたる家庭内暴力の存在が観察される。「保護命令」制度などが、うまく機能し、家庭内暴力から脱出し、平穏に暮らせる社会への早期の移行が待たれる。女性が殺人の被害者となり、また加害者となるケースは、多くは家庭内で発生しており、その背景には、種々の形の暴力が存在している。児童虐待の事案も顕在化が進んでいるものと考えられるが、徴表に対し、より迅速に対応し、救済するシステムがいまだ確立していないことが伺える。家庭内の悲劇を社会に救済を求めうる実効的なシステムの構築が必要である。
著者
須藤 茉衣子 笹川 恵美 吉朝 加奈 松崎 良美 松本 亜紀 三砂 ちづる
出版者
日本民族衛生学会
雑誌
民族衛生 (ISSN:03689395)
巻号頁・発行日
vol.82, no.4, pp.156-165, 2016-07-31 (Released:2016-08-29)
参考文献数
13

Objective:We investigated at which age children who started caregiver-assisted toilet training (diaperless child care) under age 1 stopped needing diapers.Methods:We conducted a cross-sectional study using a self-administered mailed questionnaire in Tokyo be tween April and May 2012. The participants were mothers who started toilet training their children under age 1. At the time of the study, the children had to be ≥2 years old. Questionnaires were dis tributed to 175 mothers, and data from 125 were analyzed.Results:A total of 116 (92.8%) children stopped needing diapers during the day, and the mean age of the chil dren who did not rely on diapers was 21 months. Mean age did not significantly differ by characteris tics such as childʼs or the motherʼs age, family structure, or employment situation. However, it tend ed to be related to the frequency of using paper diapers and age of starting diaperless childcare.Discussion:An increase in the number of children using diapers at 3 years of age has been reported in recent years. However, the mean age at which children in this study did not rely on diapers during the day was <2 years. Our findings suggest that early caregiver-assisted toilet training can facilitate indepen dent toileting in children.