著者
小椋 たみ子 窪薗 晴夫 板倉 昭二 稲葉 太一 末次 晃
出版者
神戸大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2005

第一に言語構造、養育環境(親の働きかけ、メディア環境、家族環境など)、個体要因(物理的世界の認知能力、社会的認知能力、気質、出産時情報など)の言語発達への影響を明らかにした。第二に親の報告から言語発達を測定するマッカーサー乳幼児言語発達質問紙の妥当性が実験と観察データから高いことを明らかにした。第三に言語構造の違い(複数の形態素の有無)が認知へ寄与するかどうか明らかにした。第四に大人の言語との比較を基調に、子供の言語を(i)非対称性、(ii)「幼児語」の音韻構造、(iii)アクセントの獲得、(iv)促音の出現、以上の4つの観点から明らかにした。
著者
板倉 理一
出版者
東京大学大学院 新領域創成科学研究科 基盤科学研究系 先端エネルギー工学専攻
巻号頁・発行日
2010-03-24

報告番号: ; 学位授与年月日: 2010-03-24 ; 学位の種別: 修士 ; 学位の種類: 修士(科学) ; 学位記番号: 修創域第3227号 ; 研究科・専攻: 新領域創成科学研究科先端エネルギー工学専攻
著者
板倉 光夫 井上 寛 森谷 眞紀 国香 清 棚橋 俊仁
出版者
徳島大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2007

多遺伝子性疾患の疾患感受性座位を探索する遺伝統計学手法として、患者/健常者を対象とした関連解析、および連鎖不平衡解析が多く用いられる。我々は、異なる人種で疾患感受性が報告されている候補座位に対し『遺伝子領域に配置した等間隔・高アレル頻度SNPsをマーカーとして用いる2段階絞り込み関連解析法』を独自に開発し、日本人の2型糖尿病(T2D)の疾患感受性遺伝子を探索し、遺伝統計学的に3番染色体上に新規疾患感受性候補遺伝子(ENDOGL1)を見出だした. 糖尿病発症に係わる機序を探索した結果、1)ENDOGL1遺伝子は膵β細胞に高発現し糖尿病の病態で発現が増加すること、2)ENDOGL1タンパクはミトコンドリアに局在すること、3)200mgの量ポリクローナル抗体精製に成功したこと、4)DNA/RNA nucleaseファミリーのEndo G遺伝子(アポトーシス刺激によりDNAの断片化を引き起こす)と約40%のホモロジーを持つ本遺伝子の発現が、アポトーシス誘導時に増加すること、さらに、5)ERストレスにより本遺伝子の発現量が増加することを見出だした。作製した抗体を用いて糖代謝、アポトーシスに及ぼす影響を継続して検討中である。
著者
石黒 浩 浅田 稔 板倉 昭二 細田 耕 宮下 敬宏 神田 嵩行 港 隆史 池田 徹志 MACDORMAN K.F.
出版者
大阪大学
雑誌
基盤研究(A)
巻号頁・発行日
2004

知的な情報システムを実現する方法には2つあり,人間のように,比較的数の少ないセンサと;脳が行うような高度な情報処理機能を組み合わせる方法と,ロボットだけでなく環境もセンサでくまなく覆い,目的達成のために必要な情報をより直接的に得る方法である.本研究では後者のアプローチにおいて,知的な情報処理システムを実現する研究に取り組んだ.具体的には,本研究とは独立に開発してきた知覚情報基盤プロトタイプ(多数のセンサからなる次世代のコンピュータネットワーク)を発展させ,これまでに開発してきた人間との対話を目的としたロボットを組み合わせることで,人間の行動に応じて知的に振舞う知的情報処理システムを実現した.研究期間における研究は,(a)行動に関する知的情報処理,(b)ロボットの行動支援のためのセンサネットワーク,(c)環境一体型ロボットの知的情報処理の主な3項目からなる.行動に関する知的情報処理では,ロボットの歩行や腕の制御,皮膚感覚の学習等,ロボットの基本機能と,ロボットやアンドロイドの見かけの問題をはじめとする人と関わるロボットに関する研究に取り組んだ.センサネットワークに関する研究では,基礎アルゴリズムに加え,床センサやカメラネットワークの利用法を研究した.環境一体型ロボットに関する研究では,センサネットワークと連動して活動するロボットを実装すると共に,遠隔操作等,それに関わる機能について研究を行った.
著者
板倉 敦夫 水谷 栄彦
出版者
名古屋大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
1999

死産児、新生児死亡の病理解剖組織標本を神経病理学的、あるいは組織免疫学的に調べ、その児の臨床経過と対比させて、虚血-再還流による脳細胞障害の部位と程度について検討した。フリーラジカルによって産生される代表的な脂質過酸化物である4-hydroxy-2-noneal-protein(HNE)は、細胞内蛋白と結合し蛋白機能を障害することが明らかにされている。そこで死産児、新生児死亡の抗HNE-proteinおよびによる免疫組織染色を行い、発現を検討したところ、小脳、橋、海馬の神経細胞に発現が認められ、さらに脳虚血時に認められるpontosubicular neuron necrosisに陥っている細胞にその発現が強く認められた。またこの作用を生化学的に検討するために、胎児の血管内皮細胞を低酸素培養し、低酸素性脳障害の原因となりうる物質の変化を検討したところ、Angiotensin conuerting enzymeが、低酸素培養によって、血管内皮での産生が亢進していることが判明した。今後低酸素状態における血流調節におけるレニン-アンギオテンシン系の関与を検討する予定である。
著者
板倉 幸次
出版者
一般社団法人映像情報メディア学会
雑誌
映像情報メディア学会技術報告 (ISSN:13426893)
巻号頁・発行日
vol.22, no.56, pp.51-56, 1998-10-16

Until now high definition system was using in a part of program in movie, but now using many times high definition system for movie. There was consultation from one production in Italia, making cinema 「Un bel di vedremo」 by high definition system. We were research of convert to film from high definition system. Then decided the best adjusting data of high definition camera. This cinema won a prize "La Speranza" in VATICAN ACADEMY of science, Italia.
著者
坂毛 宏彰 深野 淳 板倉誠也 長谷川美和 辻田忠弘
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理学会研究報告人文科学とコンピュータ(CH) (ISSN:09196072)
巻号頁・発行日
vol.2005, no.105, pp.1-8, 2005-10-28

本論文は、謎の浮世絵師、東洲斎写楽が一体誰であるかを解明する一つの手法として、写楽の役者絵で特徴的な目に着目し、写楽と葛飾北斎、歌川豊国、喜多川歌麿の特徴をモレリアン・メソッド(顔の場合は目や鼻、口の様に画面を細かく解剖し、その細部の形や構図、技法、色使いなどから絵画を分析する方法)による判別分析を行った。また、SD法(Semantic Differential Method)を用いた心理的な分析を行い、結果を比較することで写楽の浮世絵における目の特徴の分析する事によって写楽のなぞについての研究を行った。This research focused on the characteristic eyes of Sharaku's pictures of actors as one technique for clarifying just who was this mysterious ukiyoe master Sharaku Toshusai. Eye features in works of Katsushika Hokusai, Toyokumi Utagawa, and Utamaro Kitagawa were analyzed by distinction analysis using the Morerian method, and the SD method. We researched Sharaku's pictures based on these results.
著者
豊田 雅士 梅澤 明弘 五條 理志 板倉 陽子 上 大介 三好 俊一郎 肥田 直子 井上 麻油
出版者
地方独立行政法人東京都健康長寿医療センター(東京都健康長寿医療センター研究所)
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2010

幹細胞移植医療における安全性や有効欧の検証として、前臨床研究としての中大動物実験が求められる。本研究ではヒトで心筋分化能が高いとして期待される羊膜細胞をブタ羊膜から樹立しヒト細胞と比較した。さらにブタの心不全モデルを作製し、そこに細胞を移植し評価した。その結果、ブタ羊膜細胞はヒトと同等な特性を有しており、移植により心機能が改善し、移植した細胞は生着後心筋への分化が認められた。
著者
板倉 安正 稲葉 宏幸 澤田 豊明
出版者
滋賀大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
1999

本研究の目的は、毎年多くの被害を出している土砂災害を軽減・防止するために音響法と映像法を組み合わせた新しい監視システムの開発を目指して、その可能性を検討し実用化への見通しを着けることである。3年間の研究を通して次の点を明らかにすることができた。(1)音響法としては、土砂移動に伴って発生する地中振動をマイクロフォン型音響センサによって捉える方式を提案し、これが他の振動センサに比べてS/N比が優れていることを明らかにした。さらに、これをオイル浸タイプにすると検知範囲が約2倍向上することを示し、その改良に努めた。(2)映像法としては、土石流のビデオ映像から市販のMPEGソフトを用いて画像の動ベクトルを抽出し、その変化の大きさから土石流の近接を知る方式を提案した。同じビデオ映像に計算機対話型空間フィルタ速度計測法を適用して土石流の流下速度を計測することに成功した。また、他の画像処理法として時空間勾配空間法や相関法を適用して、土石流表面速度の2次元速度ベクトルの推定にも成功し、精度の点で相関法の方が優れていることを示した。(3)音響法と映像法を組み合わせることによって、濃霧や豪雨で見えにくくなった映像法を音響法が補い、また、音響法では実体が明確でない点を映像法が補うという利点を生かすことができると期待される。実際の土石流によってこの利点を確認するまでには至らなかったが、具体的なシステムを提案することによって次の研究を展望することができた。(4)これらの成果を、海外調査結果と併せて、2001年11月スイスベルン市郊外のスイス国立水理・地理調査所で開催された土石流モニタリング技術のワークショップで発表して評価を得るとともに、これからの研究の見通しを得ることができた。
著者
梶田 将司 小林 大祐 武田 一哉 板倉 文忠
出版者
一般社団法人日本音響学会
雑誌
日本音響学会誌 (ISSN:03694232)
巻号頁・発行日
vol.53, no.5, pp.337-345, 1997-05-01
被引用文献数
31

人間が音声として知覚する音がその他の音とどのように異なるのかを探求するため, 本研究では, ヒューマンスピーチライク(HSL)雑音を導入し, HSL雑音に含まれる音声的特徴を分析する。HSL雑音は, 複数の音声を加算的に重畳して作られるバブル雑音の一種で, その重畳回数に応じて音声的な信号から音声の長時間スペクトルを反映した定常雑音へと聴感は変化する。まず, この聴感上の変化を主観評価実験により定量化する。そして, HSL雑音に含まれる音声的特徴を振幅分布のガウス性, スペクトル微細構造の時間的変動性, スペクトル包絡の時間的変動性の三つの観点で分析した。その結果, HSL雑音の差分信号のガウス性及び, HSL雑音のスペクトル包絡の時間的変動が音声的特徴に大きく寄与していることが分かった。
著者
岩本 珠美 平原 文子 金山 功 板倉 弘重
出版者
県立広島大学
雑誌
県立広島大学人間文化学部紀要 (ISSN:13467816)
巻号頁・発行日
vol.2, pp.17-25, 2007

本研究では、キュウリエソを原料として麹菌で発酵させて作成した魚醤がラットの脂質代謝に及ぼす効果を検討した。Fisher-344系雄ラット7週齢、1群6匹ずつ4群を設けた。AIN-93G飼料組成を基本とした飼料を与えた群を対照(Cont)群とし、基本飼料+コレステロールを飼料とした群をChol-Cont群、基本飼料+コレステロール+粉末化した魚醤(FSPF)1%を飼料とした群をChol-F1群、基本飼料+コレステロール+FSPF3%を飼料とした群をChol-F3群とした。これらの飼料でラットを4週間飼育し、血清成分、肝臓中の脂質、トコフェロールについて検討した。その結果、体重増加量は、4群間で有意な差はみられなかった。血清脂質についてChol-Cont群とChol-F1群およびChol-F3群を比較検討したところ、血清総コレステロール(TC)値はChol-F1群、Chol-F3群で有意に高値を示し、魚醤の添加効果は認められなかった。血清トリグリセリド(TG)値はChol-F1群では、Chol-Cont群に比べ、有意の低い値であった。また、血清α-Toc値は、Chol-Cont群よりもChol-F1群、Chol-F3群で高い値を示した。さらに、肝臓中の脂質では、TG値はChol-Cont群、Chol-F1群、Chol-F3群の3群間で有意な差は認められなかった。今回の検討では、粉末化した魚醤の摂取により血清TG値の低下が認められたことから、キュウリエソを有効活用できる可能性のあることが示唆された。
著者
松島 文子 板倉 一枝 横山 弥枝
出版者
鳥取短期大学
雑誌
鳥取短期大学研究紀要 (ISSN:13463365)
巻号頁・発行日
vol.47, pp.61-72, 2003-06-01
被引用文献数
1

鳥取県内で食されている豆類について, 調理および豆加工品の利用状況, 食事での位置づけ, 伝統的料理の特徴と地域特性などに関するアンケート調査および聞き取り調査を行った. 調査の結果, 豆類ではだいず, あずき, グリンピース, さやいんげん, 豆加工品では木綿豆腐, 油揚げ, おから, 凍り豆腐などが日常食や行事食によく用いられていた. 自家栽培の豆の利用率が高く, 大豆は豆腐・味噌など伝統的な加工利用もみられた. 鳥取県の特色ある伝承料理, 郷土料理として, あずき雑煮, そらまめの粉ふき, そらまめの皮取り, 豆ようかん, こも豆腐, いただきなど地域に特有の調理文化が受け継がれていることが確認された.
著者
嶋田 容子 板倉 昭二
出版者
日本母性衛生学会
雑誌
母性衛生 (ISSN:03881512)
巻号頁・発行日
vol.48, no.2, pp.337-339, 2007-07

母親による乳児の泣きの音声の擬音語でのとらえ方,また擬音語表現と解釈との関連を質問紙によって調査した。比較的単純な擬音語が欲求として解釈され,この解釈には共通性が高かった。多様な変化を含む擬音語表現は,感情と解釈され,さらに乳児の手足の動きを伴うことが高い頻度で記述された。
著者
見上 彪 内貴 正治 松田 治男 板倉 智敏 平井 莞二 加藤 四郎 森口 良三
出版者
北海道大学
雑誌
試験研究
巻号頁・発行日
1985

本研究はマレック病(MD)のワクチンブレイクに対抗しうる有効なワクチンの開発を最終目標としている. 以下に3年間で得られた成績の概要を述べる.1)MDウイルス(MDV)・七面鳥ヘルペスウイルス(HVT)のウイルス群は血清型として3型に分類されている. それぞれの血清型あるいは免疫原として用いたウイルス株に特異的な単クローン性抗体が班員により, 多数樹立され, これら抗体を用いることにより野外分離ウイルスの同定が容易になった. また, MD腫瘍細胞を免疫原として用いて, MDに特異的な単クローン抗体も作出され腫瘍細胞の同定に有用と思われた.2)ニホンウズラにおけるMDの浸潤状況とHVTによるワクチン予防効果を検討したところ, 実質臓器のリンパ腫瘍を主病変としたMDがウズラの間で多数発生していること, リンパ腫病変とMDV羽包抗原との間に正の相関が, またリンパ腫病変とHVT血清抗体との間に負の相関があることが明らかとなった. MDワクチンブレイクの発生をみたウズラ群から4種のMDVが分離され, これらウイルスは単クローン性抗体により血清型1に属し, 鶏に対しても強い腫瘍原性が示された. 同様にニワトリ群からも5種のウイルスが分離された.3)MDに対するワクチン候補株として, 非腫瘍原性MDVの分離が急がれている. 我々はニワトリ及びキジ類それぞれ13羽, 10羽からウイルス分離を試みたところ, 調べたすべてのニワトリからウイルスが分離され, 単クローン性抗体により血清型2に属していることが明らかとなった. 今後, これらウイルスを用いてワクチンブレイクに対抗しうるワクチンが開発されることが期待される.
著者
柳沢 良三 井上 滋彦 板倉 宏尚 岸 洋一 藤丸 純一 和田 順子
出版者
社団法人日本泌尿器科学会
雑誌
日本泌尿器科學會雜誌 (ISSN:00215287)
巻号頁・発行日
vol.83, no.5, pp.690-693, 1992-05-20

症例は70歳女で,1990年1月26日,排尿困難と頻尿を主訴に当院を受診.コリン作動薬を投与するも効果なく,4月6日に尿閉をきたした.膀胱鏡にて尿道および膀胱頚部の挙上を認め,導尿後も下腹部に小児頭大の腫瘤を触知した.排泄性尿路撮影では膀胱後部腫瘤を認め,鎖尿道膀胱造影で膀胱頚部と近位尿道の前方への偏位を示した.CTスキャンとMRIにて膣上方に位置し,膀胱を前方に圧排する内容液状の骨盤内腫瘤を認めた.1990年8月6日,子宮全摘除術を施行.病理診断は結核性子宮内膜炎であった.術後は排尿障害は消失し,鎖尿道膀胱造影上,膀胱頚部と尿道の偏位は消失した.本邦34例,欧米110例の婦人科疾患による尿閉を集計し,婦人科疾患による尿閉の機序を検討した.妊娠後屈子宮,子宮脱,子宮筋腫,卵巣嚢腫,処女膜閉鎖,膣閉鎖等の頻度が高かった.結核性子宮留膿腫による尿閉症例は,これまでに報告をみない.
著者
木村 伸吾 北川 貴士 銭本 慧 板倉 光 宮崎 幸恵
出版者
東京大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2009

ニホンウナギの回遊生態と生息環境の解明を目的として、産卵域が位置する北赤道海流域および代表的な生息水域である利根川水系での調査を中心に研究を実施したものである。その結果、レプトセファルス幼生は表層で懸濁態有機物を摂餌し、同じ形態を有していても種によって摂餌する水深が異なっていること、幼生の輸送過程は大西洋と大きく異なること、成魚は餌生物が多様な自然堤防域を好んで生息することなどを明らかにした。
著者
板倉 智敏 山極 三郎
出版者
社団法人日本獣医学会
雑誌
日本獸醫學雜誌 (ISSN:00215295)
巻号頁・発行日
vol.33, no.1, pp.11-PLATE II, 1971-02-25

著者らは, 鶏骨の Dysplasia とみなすべき症例に, 再び遭遇した. それは, 本研究の第I報におけると同様に, 一養鶏農家に集団的に発生したものであるが, 骨組織所見に注目すべき差異が存在したので報告する. 検索材料は3例よりなる. それらはすべて32日令, 肉用種(White Cornish×White Rock), 殺処分例である. 全症例について, 第I報におけると同様に, ほぼ全身骨の縦断および横断組織片が組織学的に検索された. 今回の例は, 2週令から4週令にわたって発生した. 臨床症状の特徴としては, O字脚 (Genu varum) が共通的であった. 飼料は市販のものが使用されたが, そのほかに, ストレス緩解の目的で抗生物質およびビタミン製剤が与えられた. 発生数は, 同日令群1,200羽中192羽(16%)に達した. 検索した3症例に共通した組織変化として, 骨体性骨組織の完熟遅延と局所性異常増殖が指摘された. このような変化を示す部位として, 管状骨の後面骨, 特にその骨幹中位および骨端よりの骨化点に相当すると思われる部位が, 多く選ばれていた. 他方,骨端性骨組織の異常増殖像には遭遇しなかった. このことは, 第I報において記載した所見とは異なったものとして注目された. 以上の組織変化を基礎として, 本例の症状の特徴であるO字脚の成因を考えてみた. また, 原因発生について, 集団的に発生したこと, 飼料のほかに抗生物質およぴビタミン製剤などが与えられたことは, 看過し得ない事実として, 若干の考察が行なわれた.