著者
小林 盾
出版者
成蹊大学大学院文学研究科
雑誌
成蹊人文研究 (ISSN:09191488)
巻号頁・発行日
no.27, pp.57-79, 2019-03

この論文は、キャバクラにおける女性サービス提供者(キャバクラ嬢)が、仕事からなにを獲得しているのかを描く。先行研究では(収入にくわえ)承認感を得るとされるが、それ以外の可能性や多様性については未解明であった。そこで、合理的選択理論の立場にたって、キャバクラ嬢が仕事から人的資本や社会関係資本を獲得し、転職や収入増といったその後の地位達成に活用すると仮定する。データとして現役または元キャバクラ嬢8 人を対象に、インタビュー調査を実施した。語りを分析した結果、(1)対象者のすべてのキャバクラ嬢が、(コミュニケーション力、美意識、飲酒、忍耐力などの)人的資本と(情報、人脈、恋人などの)社会関係資本を得ていると語った。(2)ただし、承認感は獲得したと語る人とそうでないという人がいて、もともと自信のある人は承認感を必要とせず、自信のない人は必要としていた。したがって、キャバクラ嬢という仕事に、承認感といういわばロマンチックな報酬だけでなく、資本獲得というしたたかな合理性も潜むことが明らかになった。これらは、この研究ではじめて明らかにされた。先行研究では、あたかもキャバクラ嬢なら一様に承認感をもつように描かれてきたが、実際には多様なことがわかった。

35 0 0 0 OA 普救類方 7巻

著者
林良適
出版者
和泉屋儀兵衛[ほか6名]
巻号頁・発行日
vol.[7], 1729
著者
吉田 浩子 齋藤 順子 金上 孝 小林 育夫 平澤 典保
出版者
公益社団法人 日本アイソトープ協会
雑誌
RADIOISOTOPES (ISSN:00338303)
巻号頁・発行日
vol.64, no.5, pp.319-333, 2015-05-15 (Released:2015-05-28)
参考文献数
24
被引用文献数
1 2

東京電力福島第一原子力発電所事故発生から約半年後の平成23年9月1日から2年間の,宮城県南部地域の子どもを対象とした光刺激ルミネッセンス線量計による被ばく線量調査結果を報告する。宮城県では自治体による被ばく線量調査は実施されていないため,本報はこの地域での唯一のまとまった調査報告である。併せて,屋内外滞在時間の調査結果も報告する。いずれの年齢でも自宅屋内に14~15時間と一番長く滞在しており,自宅と学校の屋内滞在時間を合わせると屋内に約21時間滞在していた。この結果は,個人の被ばく線量を解釈するうえで,また,被ばく線量低減策を講じるうえでもきわめて重要な情報である。
著者
林 良純
出版者
社団法人 繊維学会
雑誌
繊維学会誌 (ISSN:00379875)
巻号頁・発行日
vol.65, no.11, pp.P_412-P_421, 2009-11-10 (Released:2009-12-10)
被引用文献数
1 3
著者
山本 勝仁 竹林 崇 高井 京子 徳田 和宏 細見 雅史
出版者
一般社団法人 日本作業療法士協会
雑誌
作業療法 (ISSN:02894920)
巻号頁・発行日
vol.39, no.4, pp.478-485, 2020-08-15 (Released:2020-08-15)
参考文献数
20

要旨:本試験は,脳卒中急性期脳卒中患者に対し,病棟での自主練習を含むmodified CI療法(以下,病棟実施型CI療法)が麻痺手の機能・行動に与える影響を調べることを目的に実施した.方法は,急性期脳卒中患者に対し,訓練室で行われる通常のmodified CI療法(以下,mCI療法)と病棟実施型CI療法が麻痺手の機能と使用行動に与える影響について,後ろ向きコホート試験で探索的に比較した.その結果,両群とも麻痺手の機能・行動は介入前後に有意に改善した.しかし,群間比較では,麻痺手の使用行動のみ,病棟実施型CI療法が,通常のmCI療法に比べ,有意に改善した.病棟実施型CI療法は,実生活の麻痺手の使用行動に影響を与える可能性がある.
著者
神林 崇 大森 佑貴 今西 彩 高木 学 佐川 洋平 筒井 幸 竹島 正浩 小野 太輔 塩見 利明 清水 徹男
出版者
日本神経治療学会
雑誌
神経治療学 (ISSN:09168443)
巻号頁・発行日
vol.34, no.4, pp.406-410, 2018 (Released:2018-02-20)
参考文献数
6

Delayed sleep phase disorder (DSPD) comprises a persistent or recurrent pattern of sleep disturbances, sleep disruption that leads to insomnia and/or excessive daytime sleepiness, and impaired functioning in social, occupational, or other spheres. Three techniques are typically used to treat DSPD : chronotherapy, phototherapy, and exogenous melatonin administration. Antipsychotics have not been reported in the treatment of DSPD, aripiprazole (APZ), which is a second generation antipsychotic, manifests a novel mechanism of action by serving as a partial agonist of D2 receptors. Depression is reported to be the most common psychopathology associated with DSPD, and APZ is reported to be effective in major depressive disorder as adjunctive therapy. Therefore, we speculated that APZ might be effective to treat DSPD, and we observed how APZ works for the treatment of DSPD.Methods : 18 subjects (including 7 women) who are 14–48–year–old (the average is 31.6) were included. The patients were prescribed 0.75–4.5mg APZ at once a day.Results : We prescribed 1.5–3.0mg/day of APZ, all subject reduced total sleep time (9.6 +/− 2.3h → 7.8 +/− 2.0h, p=0.03), many cases got up earlier (9.1 +/− 1.9h → 6.7 +/− 1.4h, p=0.005) in the morning and advanced their sleep phase within one week. The sleep onset was not significantly changed (23.5 +/− 2.0h → 22.9 +/− 1.9h, n.s.).Conclusion : Low dose of APZ would reduce nocturnal sleep time in the subjects who had prolonged sleep time and DSPD symptoms. The mechanism of action would be dopaminergic up regulation due to dopamine D3 agonistic activity. Since it is difficult for physicians to treat prolonged sleep time and DSPD symptoms, this medication would become a new therapeutic tool for these patients.
著者
川島 眞 林 伸和 乃木田 俊辰 柳澤 恭子 水野 惇子
出版者
公益社団法人 日本皮膚科学会
雑誌
日本皮膚科学会雑誌 (ISSN:0021499X)
巻号頁・発行日
vol.117, no.7, pp.1139-1145, 2007-06-20 (Released:2014-12-03)
被引用文献数
2

アトピー性皮膚炎(atopic dermatitis:AD)患者において,ステロイド外用剤等によりADの炎症が鎮静化した乾燥症状を主体とする部位を対象とし,保湿剤(ヘパリン類似物質含有製剤,以下HS)の有用性を,無処置を対照としたランダム化比較試験(randomized controlled trial:RCT)により検討した.炎症が鎮静化した後にHSを1日2回2週間塗布し,寛解が維持された部位を有するAD患者65名をHS継続塗布群あるいは無処置群に無作為割付けし,主要評価項目を炎症の再燃までの期間とし最大6週間観察した.また,皮膚所見(乾燥・落屑)及び痒みの程度の推移を副次的評価項目とした.その結果,6週後における炎症の再燃率はHS継続塗布群で12.5%,無処置群で39.4%であり,HS継続塗布群において有意に炎症の再燃が抑制された(χ2=6.0841,p=0.0136).また,主要評価項目である炎症の再燃までの期間は,両群間に有意な差異が認められ(log rank検定,p=0.0117),HSの継続塗布により炎症の再燃までの期間が延長されることが明らかとなった.また,副次的評価項目についてもHS継続塗布群において,有意に症状の悪化が抑制された.以上より,保湿剤の使用はADの寛解維持に有用であることが示された.
著者
林 里奈 加藤 昇平
出版者
公益社団法人 計測自動制御学会
雑誌
計測自動制御学会論文集 (ISSN:04534654)
巻号頁・発行日
vol.55, no.1, pp.2-7, 2019 (Released:2019-01-19)
参考文献数
21
被引用文献数
2

Although animal-assisted activity is attracting attention as one of mental health measures, it has many problems in its implementation. We compared stress relief effects in short-term interaction of robot-assisted activity and stuffed animal-assisted activity, which are complementing activities for animal-assisted activity. We confirmed that psychological stress relief effects, especially reducing tension, depression, and confusion and improving vigor, obtained by robot-assisted activity are significantly higher than that obtained by stuffed animal-assisted activity. On the other hand, no significant difference could be confirmed in physiological stress relief effects. Although negative feelings of unsatisfactory due to lack of reactions decreased psychological stress relief effects, some kind of interaction caused by softness were suppressed decreasing physiological stress relief effects combination with physiological stress relief effects by contact with soft things. These are assumed to be factors that results of psychological and physiological evaluations are different.
著者
久留戸 真奈美 河野 弘美 塩原 みゆき 池田 祐子 竹内 直人 林 洋雄
出版者
日本化粧品技術者会
雑誌
日本化粧品技術者会誌 (ISSN:03875253)
巻号頁・発行日
vol.45, no.4, pp.329-333, 2011-12-20 (Released:2013-12-20)
参考文献数
1
被引用文献数
1 1

化粧用コットンは,主に化粧水のパッティングやメイク落としなどに使われている。昨今は,さまざまな化粧用コットンがみられ,その使用方法もパッティングのみならず,パックにも広がり,スキンケアにおける重要なアイテムとなっている。本実験では,化粧用コットンによるパッティングのスキンケア効果を一般女性30名で調査した。「パッティング」により,肌の水分保持能を高める効果が認められ,被験者自身による有意なスキンケア効果実感が確認された。
著者
林 文男 増永 元
出版者
日本ダニ学会
雑誌
日本ダニ学会誌 (ISSN:09181067)
巻号頁・発行日
vol.10, no.1, pp.1-17, 2001-05-25
被引用文献数
6

沖縄県において, ウミヘビ亜科3種(イイジマウミヘビ, クロガシラウミヘビ, クロボシウミヘビ)およびエラブウミヘビ亜科3種(エラブウミヘビ, ヒロオウミヘビ, アオマダラウミヘビ)の外部寄生性ダニ類の調査を行なった.前者のウミヘビ類からダニ類は採集されなかったが, 後者からはウミヘビキララマダニと3種のツツガムシ類を得た.ウミヘビキララマダニは1年を通して採集され, 幼虫および若虫はとくに夏期に寄生率や寄生数が高い傾向を認め, 野外では集中分布をしている傾向が強く示された.夜間に採餌(魚食)のため遊泳するエラブウミヘビ類では, 飽血個体(幼虫のみ観察)が昼間に離脱するという観察結果を得たが, これは海水中での離脱を避けることと関係があると推測される.人工海水中に24時間浸漬した実験では, 死亡個体は皆無であったが, これは未吸血個体の待機場所や飽血個体の生息する岩礁間隙が満潮で一時的に没した場合でも強い海水耐性によって生存可能であることを示している.3種のツツガムシ類については, マダニと同様の寄生習性(1年を通して寄生, 集中分布, 昼間に飽血離脱)が部分的ながら確かめられた.これらツツガムシ類の分類学的検討と宿主特異性の詳細は今後の課題である.
著者
河本 薫 細川 嘉則 河村 真一 野波 成 岡村 智仁 大西 道隆 津崎 賢治 小林 宏樹 三上 彩
出版者
日本情報経営学会
雑誌
日本情報経営学会誌 (ISSN:18822614)
巻号頁・発行日
vol.31, no.3, pp.32-40, 2011
参考文献数
3

In this paper, we focused on the process of creating information through data in a company. In most companies, such processes are conducted under business units. However, business units are lack in the motivation and the ability of innovating this process. For solving these problems, we proposed an in-company mission for empowering the function of creating information through data. Furthermore, we presented a guideline for establishing this mission in a company, including the positioning in an organization, the relationship with business units, and human resources suited for conducting above mission.
著者
國仲 寛人 小林 奈央樹 松下 貢
出版者
一般社団法人 日本物理学会
雑誌
日本物理学会誌 (ISSN:00290181)
巻号頁・発行日
vol.66, no.9, pp.658-665, 2011-09-05 (Released:2019-10-22)
参考文献数
44
被引用文献数
1

正規分布は,数学や物理学において最も基本的で,重要な分布関数と考えられている.例えば,実験観測の測定誤差が正規分布に従うというのは,よく知られた事実である.だが実際には,自然界や人間社会に見られる「複雑系」とも称される系においては,べき分布や対数正規分布などの裾の長い分布関数が観測されることが多い.本稿では,対数正規分布が出現する数理的なメカニズムを紹介し,対数正規分布を基本としてべき分布や正規分布が出現し得るということを紹介する.また,自然現象や社会現象に見られる対数正規分布と,その出現メカニズムについて考察する.
著者
小林 昭博
出版者
関西学院大学
雑誌
神学研究 (ISSN:05598478)
巻号頁・発行日
no.54, pp.15-29, 2007-03

この論文は、この社会が、そしてキリスト教が、現在同性愛者たちから問われている同性愛者差別の問題にたいする応答を意図して書いたものである。新約聖書学の論文のおよそ半分弱をこの課題に関する記述に費やしていることに批判を持たれる読者もいるかもしれない。しかし、新約聖書学に携わる者として、またささやかながら同性愛者差別問題に取り組んできた者として、この社会が、そしてキリスト教が抱えつづけている同性愛者差別の問題に真剣に応答するには、現在問われている課題に向き合いつつ、新約聖書テクストに取り組むことが最適だと思い、敢えてこのような論述にしたことを予めお断りしておく。

33 0 0 0 OA 清親畫帖

著者
小林清親 畫
出版者
[製作者不明]
巻号頁・発行日
vol.[1], 1800
著者
賈 露茜 平田 康 小林 明子 和気 裕之 木野 孔司 天笠 光雄
出版者
口腔病学会
雑誌
口腔病学会雑誌 (ISSN:03009149)
巻号頁・発行日
vol.73, no.1, pp.40-46, 2006-03-31 (Released:2010-10-08)
参考文献数
12
被引用文献数
13 15

The effect of acupuncture in sensory paralysis was evaluated in 43 patients. Thiry-two cases in the study group were after mandibular third molar extraction and 11 cases by postoperative injury of orthognathic surgery. Treatment was performed in four forms : needles only (A), A with moxibustion (AK), electrical needle stimulation (ESA) using LEP 4000 OhmPulser Ra direct current 6 V 5-100 Hz, and ESA+A : exercise therapy was also given 1 or 2 times weekly. There were, however, some variations depending on the patient's conditions.Visual analog scale (VAS) measurement was carried out in addition to the estimation of effectiveness.The group receiving ESA+A seemed to improve better than those receiving other forms of treatment.The results indicated that young patients less than 40 years old tend to improve with fewer treatment times of shorter duration.With respect to the relationship between the effect and the time of starting treatment, we noticed that the earlier the treatment is started, the better the improvement.In summary, the study indicated that acupuncture is useful in treating sensory paralysis.
著者
高田 崚介 林 威 安藤 宗孝 志築 文太郎 高橋 伸
雑誌
研究報告ヒューマンコンピュータインタラクション(HCI) (ISSN:21888760)
巻号頁・発行日
vol.2016-HCI-169, no.10, pp.1-7, 2016-08-22

防水機能を有するタッチパネル端末 (以下,防水端末) において,画面タッチ時の圧力を取得する手法を示す.本手法は気密性を有する防水端末にタッチした際に端末内部の気圧が上昇し,端末に内蔵された気圧センサの出力値が変化する現象を利用する.同じ圧力にてタッチした際の防水端末の気圧の変化量は,タッチ位置によって異なる.我々は実験により,タッチ位置ごとの気圧の変化量,ならびにタッチ圧力と気圧の変化量の関係を調査した.本稿にてその調査結果および考察を示す.