著者
澤邉 京子 佐々木 年則 星野 啓太 伊澤 晴彦 倉橋 弘 主藤 千枝子 棚林 清 堀田 昭豊 山田 章雄 小林 睦生
出版者
日本衛生動物学会
雑誌
日本衛生動物学会全国大会要旨抄録集 第58回日本衛生動物学会大会
巻号頁・発行日
pp.18, 2006 (Released:2006-06-07)

2004年京都府丹波町での鳥インフルエンザ発生時に採集されたクロバエ類の消化管から高率にH5N1亜型高病原性鳥インフルエンザウイルスを検出、分離したことを昨年の本大会で報告した。その後、人為的にウイルスをクロバエに摂食させ、ハエ体内でどの程度の期間ウイルスが維持されるかを検討したので報告する。オオクロバエの羽化後14日の雌成虫に、H5N1亜型低病原性インフルエンザウイルス(A/duck/Hyogo/35/01)培養液を脱脂綿に滲み込ませ3時間摂食させた。その後、餌用寒天培地の入った三角フラスコ内に個別にクロバエを入れ一定期間維持した。経時的にクロバエを冷凍殺虫し、表面をMEM培養液で洗浄後、消化管(そ嚢、腸管)を摘出した。フラスコ内壁に付着した排泄物ならびに吐出物をMEM培養液で洗い回収し、虫体洗浄液と混和した。ウイルス液を滲み込ませた脱脂綿も同様に一定期間保管した。1 そ嚢、2 腸管、3 フラスコ内壁・虫体洗浄液、4 脱脂綿のそれぞれをMEM培養液で破砕、あるいは攪拌してウイルス乳剤を調整し、ウイルス遺伝子検出とウイルス分離に供した。ウイルス遺伝子はRT-PCRおよびnested PCRで確認し、感染性ウイルスは発育鶏卵接種後HA試験およびFluA+B(BD社)で分離の成否を判定した。同時にMDCK細胞培養を用いてウイルス力価を測定した。その結果、オオクロバエ摂食後14日までのほとんどの検体からウイルス遺伝子は検出され、感染性ウイルスはオオクロバエの体内で少なくとも24時間生存することが示唆された。オオクロバエは1日に数kmは容易に移動することから、その距離内にある近隣の鶏舎などにウイルス活性が保持された状態のウイルスがオオクロバエによって運ばれる可能性は高く、本ウイルスの伝播、拡散にオオクロバエなどのハエ類が貢献することは十分に考えられる。
著者
飯田 健 上田 路子 松林 哲也
出版者
日本選挙学会
雑誌
選挙研究 (ISSN:09123512)
巻号頁・発行日
vol.26, no.2, pp.139-153, 2011 (Released:2017-06-12)
参考文献数
25

昨今の日本政治において「世襲議員」は国会議員の最大で3分の1を占めるなど顕著な存在となっている。これまでマスコミ,評論家,政治学者などが世襲議員について再三論じてきたが,そもそも印象論的な議論も少なくなく,厳密な実証分析を行ったものは多くは存在しない。そこでわれわれは新たに構築した包括的なデータセットを用いて世襲議員の属性や政策に対する影響力を実証的に分析し,世襲議員をめぐる今後の議論に一つの材料を提供したい。本論文では,まず世襲議員の特徴を非世襲議員との比較において明らかにする。そして政策に対する影響力の一例として,世襲議員の補助金分配過程への影響を検証する。分析の結果,世襲議員は選挙における地盤や資源に恵まれており,選挙に強く,当選回数が多いということ,さらに世襲議員は自分が代表する地域により多くの補助金をもたらすということが示された。
著者
林谷 秀樹 近江 佳郎 小川 益男 福富 和夫
出版者
社団法人日本獣医学会
雑誌
日本獸醫學雜誌(The Japanese Journal of Veterinary Science) (ISSN:00215295)
巻号頁・発行日
vol.50, no.5, pp.1003-1008, 1988
被引用文献数
2 27

1981年6月から1982年5月までの1年間に関東地方で死亡し, 1動物霊園に埋葬された犬4915頭の死亡データを用いて, Chiangの生命表作成法に従って, 犬の生命表を作成した. これは家庭飼育犬について作成された最初の生命表と思われる. 生命表作成の基礎となる犬の死亡確率の姿は人のものと基本的パターンがよく類似しており, 今回作成した犬の生命表は犬の集団の死亡秩序をかなり正確に表しているものと思われた. 生命表から算出された犬の平均余命は, 0才で8.3才, 1才で8.6才, 5才で6.1才, 10才で3.5才, 15才で1.6才であった. また, 犬の健康水準の指標としては飼い主の人為的な影響を受けやすい0才の平均余命(e<SUB>0</SUB>)より1才の平均余命(e<SUB>1</SUB>)のほうが望ましいと思われた. 犬種別(雑種, 純血種に大別), 地域別(人口密度1万人以上のA地域と1万人未満のB地域に大別)にも生命表を作成し, 得られたe<SUB>1</SUB>を比較した結果, 犬種間では雑種は純血種に比べ, また地域問ではA地域はB地域に比べe<SUB>1</SUB>は有意に長かった. 以上のことから, これらの犬種間, および地域間においては平均余命の長さを規制している要因になんらかの違いのあることがうかがわれた.
著者
佐藤 翔 上田 真緒 木原 絢 成宮 詩織 林 さやか 森田 眞実
出版者
国立研究開発法人 科学技術振興機構
雑誌
情報管理 (ISSN:00217298)
巻号頁・発行日
vol.58, no.12, pp.908-918, 2016-03-01 (Released:2016-03-01)
参考文献数
10

2002~2013年に日本の学協会誌に掲載された論文120万9,674本を対象に,どの程度オンラインで入手できるのかを調査した。調査にあたっては1)CiNii Articlesを用いた調査,2)J-STAGE・メディカルオンラインへの収録状況調査,3)サーチエンジンを用いたサンプリング調査,という3つの方法を採用した。結果から,日本の学協会誌掲載論文のうち,7割以上は何らかの形でオンラインで入手可能であると見積もられた。特に英語論文や自然科学分野の論文は,オンラインで入手可能なものが多い。一方で,人文学分野ではオンラインで入手できる論文が43.7%,社会科学分野でも51.5%にとどまっていた。
著者
若林 明子 菊地 幹夫 井上 亙 川原 浩 古井戸 良雄
出版者
Japanese Society for Aquaculture Science
雑誌
水産増殖 (ISSN:03714217)
巻号頁・発行日
vol.23, no.3, pp.119-124, 1975-12-25 (Released:2010-03-10)
参考文献数
10

界面活性剤の水棲生物に対する影響をヒメダカに対する半数致死濃度測定で調べた。界面活性剤はn-ラウリル硫酸ナトリウム (C12-AS), n-ミリスチル硫酸ナトリウム (C14-AS), n-セチル酸ナトリウム (C16-AS), 直鎖型アルキルベンゼンスルホン酸ナトリウム (LAS) および脂肪酸ナトリウム塩 (セッケン) を用いた。ASは蒸留水中でLASとセッケンについては蒸留水および人工軟水中で試験を行なった。これらの界面活性剤の蒸留水中の毒性はC16-AS>セッケン=C14-AS>LAS>C12-ASの順であり, ASはアルキル基の長短により毒性が大きく異なった。LASは人工軟水中で共存塩の影響を強く受けて毒性が増大するが, セッケンは反対に毒性が急激に減少し, LASに比較して毒性はずっと小さくなる。したがって実際の河川水中の毒性はC16-AS>C14-AS>LAS>C12-AS>セッケンの順となる。
著者
若林 秀隆
出版者
一般社団法人 日本呼吸ケア・リハビリテーション学会
雑誌
日本呼吸ケア・リハビリテーション学会誌 (ISSN:18817319)
巻号頁・発行日
vol.29, no.1, pp.81-86, 2020-08-31 (Released:2020-09-02)
参考文献数
16

誤嚥性肺炎患者には,発症前からサルコペニアや低栄養を認めることが多い.また,誤嚥性肺炎の発症でサルコペニアや低栄養がさらに悪化して,摂食嚥下機能や呼吸機能が低下しやすい.そのため,誤嚥性肺炎とサルコペニアの悪循環を断つことが,誤嚥性肺炎予防に重要である.それには,リハビリテーション栄養の視点による医原性サルコペニアの予防や,攻めのリハビリテーション栄養管理によるサルコペニアの改善が求められる.全身のサルコペニア予防が,摂食嚥下障害や誤嚥性肺炎の予防につながる.また,誤嚥性肺炎入院時の「とりあえず安静」「とりあえず禁食」「とりあえず水電解質輸液」の指示が,医原性サルコペニアやサルコペニアの摂食嚥下障害の原因であり,誤嚥性肺炎の再発につながる.サルコペニアとリハビリテーション栄養を視野に入れたチーム医療を臨床現場で実施して,医原性サルコペニアと誤嚥性肺炎を予防してほしい.
著者
藤原 智 宇根 寛 中埜 貴元 矢来 博司 小林 知勝 森下 遊
出版者
日本地球惑星科学連合
雑誌
日本地球惑星科学連合2019年大会
巻号頁・発行日
2019-03-14

1.はじめに 2016年熊本地震(M7.3)について「だいち2号」(ALOS-2)のSARデータを用いてその変位を面的に検出している。これらの地表変位の大部分は震源断層の断層運動で説明できるものの、震源断層から離れた場所で断層運動を示唆する線状の変位(リニアメント)が数多く見つかっている(Fujiwara et al., 2016)。 こうした特徴的な変位は、2018年6月の大阪府北部の地震(M6.1)や2018年北海道胆振東部地震(M6.7)でも捉えられており、それぞれの地震で現れた変位の数や変位量等は異なるものの、周辺状況から大地震に付随して発生した「お付き合い地震断層」と呼ぶべきものとなっている。 本講演では、これらのお付き合い地震断層の特徴について報告する。2.お付き合い地震断層に共通する特徴 お付き合い地震断層は、寒川他(1985)が駿河湾西岸南部地域の活断層について示したもので、単独に活動して大きな地震を引き起こしたものではなく、他の大きな地震の結果として断層が動いたもの、という考え方である。 これらのお付き合い地震断層に共通な特徴には下記が挙げられる。(1) 標準的な長さは数kmで、直線もしくはゆるやかな曲線状の変位が連続しており、断層を挟む変位量は数cmから数10cm程度である。(2) 震源断層から離れており、震源断層そのものや直接の分岐断層である可能性は低い。(3) 大きな地震動を出したとする証拠は確認されていない。(4) 自ら動かずに、受動的に動かされたと考えられ、大きな地震の原因ではなく結果としての断層変位が生じたと考えられる。(5) 地形と変位分布に相関があり、その地形的特徴から「活断層」と認識されていたものもあるため、過去から類似の運動が蓄積している可能性がある。(6) 走向や変位の向きは周辺の応力場と整合的である。3.地震毎の特徴3-1)2016年熊本地震(1) 全体で約230本のお付き合い地震断層が確認されており、検出された数が桁違いに多い。(2) 変位の形態は正断層が大部分を占める。(3) 場所ごとに、複数の断層の走向・間隔・深度・変位の向き・変位量等がほぼ一定で揃った「群」を形成している。(4) 九州中部の別府湾から雲仙にかけて、類似した形状の正断層群がいくつか存在しており、九州中部では、類似したお付き合い地震断層が発生してきている可能性がある。(5) 熊本地震の震源断層となった布田川断層帯・日奈久断層帯の断層モデルによるΔCFFでは、お付き合い地震断層の変位の成因を説明できない。3-2)2018年6月18日大阪府北部の地震(1) 有馬-高槻断層帯の真上断層と一致する場所でお付き合い地震断層が認められた。真上断層は1596年慶長伏見地震(M7.5)での変位が確認されている。(2) 右ずれ成分が卓越しているが、地表までずれが到達しているのではなく、ずれ成分の変位は数百mほどの幅をもって広がっている。(3) お付き合い地震断層直上では、南落ちの縦ずれ成分が見られる。(4) 地震前の長期の観測によれば、お付き合い地震断層を含むやや広い範囲が継続的に沈降している。(5) 大阪府北部の地震の本震による地殻変動はお付き合い地震断層以外でも小さく、最大でも数cm程度である。3-3)2018年北海道胆振東部地震(1) お付き合い地震断層を挟んで東西短縮の変位を示し、上下成分はほとんどない。このことから、低角逆断層を形成していることが推定される。(2) 地表面でのトレースが直線ではなく、地形に沿うようなやや複雑な曲線となっており、上記の低角逆断層の性質と整合的である。(3) 現時点で、お付き合い地震断層付近は活断層とは認定されていない。(4) 地震波探査(横倉他,2014)でお付き合い地震断層直下にずれが認められており、伏在断層として存在している可能性がある。
著者
西森 栄太 尾形 哲 小林 聡 尾下 雄紀 依田 淳 仲 元司 田中 直樹
出版者
一般社団法人 日本糖尿病学会
雑誌
糖尿病 (ISSN:0021437X)
巻号頁・発行日
vol.65, no.7, pp.369-376, 2022-07-30 (Released:2022-07-30)
参考文献数
28

本研究では糖尿病専門医の脂肪肝・肝癌の診療の現状および課題を明らかにするため,長野県の糖尿病専門医に対してアンケート調査を行った.特に,糖尿病との関連が大きい非アルコール性脂肪性肝疾患(NAFLD)を対象とした.専門医69名中44名(64 %)から回答を得た.肝逸脱酵素および血小板の測定頻度は回答者の約90 %が6ヶ月以内としていたが,FIB-4 index算出は64 %にとどまっており,エビデンスと診療のギャップが認められた.画像検査は73 %が自施設で実施しており,その割合は病院勤務医で有意に高かった.糖尿病からの肝癌は半数以上が経験し,消化器病専門医との連携の提案があった.本研究から,糖尿病専門医へのNAFLD線維化スクリーニングの周知と実施,画像検査を含めた評価システムおよび消化器病専門医との連携の必要性が明らかとなった.糖尿病専門医がNAFLDを診療する意義・役割は大きいと考えられた.
著者
中林 敏郎
出版者
Japanese Society for Food Science and Technology
雑誌
日本食品工業学会誌 (ISSN:00290394)
巻号頁・発行日
vol.25, no.3, pp.142-146, 1978-03-15 (Released:2010-01-20)
参考文献数
10
被引用文献数
5 13 3

焙煎によるコーヒー豆の有機酸とpHの変化を検討した結果。(1) コーヒーの有機酸のブチルエステルをガスクロマトグラフィーで分析して,ギ酸,酢酸,乳酸,グライコール酸,レヴリン酸,シュウ酸,マロン酸,コハク酸,リンゴ酸およびクエン酸を同定した。(2) 焙煎により有機酸はそれぞれ変動するが,特にギ酸と酢酸の増減が著しい。(3) 焙煎中,遊離酸量はメディアムで最高となった後減少し,pHもこれに応じて変動するが,総酸量はほとんど最後まで増加を続ける。(4) メディアム以降,かなりの量の有機酸が黒褐色多孔性のコーヒー豆組織に吸着される。
著者
高田 宜武 伊藤 祐子 林 育夫
出版者
日本貝類学会
雑誌
Venus (Journal of the Malacological Society of Japan) (ISSN:13482955)
巻号頁・発行日
vol.71, no.3, pp.199-207, 2013

バカガイMactra chinensis幼貝の遊泳行動を実験室内で観察した。殻長7~15 mmの小型のバカガイは底面から跳躍後に,足を左右に振って遊泳した。遊泳速度は殻長7~9 mm の個体で毎秒平均6.0 cm,9~15 mmの個体で毎秒平均7.8 cmであった。遊泳距離は平均17.4 cmであった。殻長31~35 mmのやや大きい個体は,跳躍はするものの遊泳行動は認められなかった。水塊中でのバカガイの移動距離は,足を振って遊泳することにより,単なる跳躍よりも4.1倍増加した。したがって野外での遊泳行動は,捕食のリスクを低減するとともにより良い生息場所に潜砂できる可能性を増加させる適応的行動だと思われる。
著者
竹林 征三 貴堂 巌
出版者
Japan Society of Civil Engineers
雑誌
土木史研究 (ISSN:09167293)
巻号頁・発行日
vol.15, pp.425-435, 1995-06-09 (Released:2010-06-15)
参考文献数
55
被引用文献数
1

A 64m high, elevator-type fishway was constructed at the Komaki Dam on the Sho River in Toyama Prefecture which was completed in 1929. Although highly effective in the early years after construction, the influence of the Soyama Dam which was built upstream and the development of the fish breeding industry led to the decline of dependence on the fishway and in 1943 it was converted into harbor equipment. This paper studies the evaluation of the Komaki Dam fishway and the social and technical background against which it was judged to be inflective and was removed.
著者
小林 廉
出版者
公益社団法人 日本数学教育学会
雑誌
日本数学教育学会誌 (ISSN:0021471X)
巻号頁・発行日
vol.104, no.5, pp.16-25, 2022-05-01 (Released:2023-05-01)
参考文献数
11

本研究の目的は,「仮説検定の考え方」の創出を図るための教材と手立てを提案し,それらに対する生徒の実態の一端を明らかにすることを通して,「仮説検定の考え方」の創出を図る学習指導について示唆を得ることである.そのために,高校生の課題研究を文脈とする教材を用いた授業実践と,そこで観測事象だけでなくそれ以上に極端な事象が起こる確率を自力で求めた生徒へのインタビュー調査を実施した.主な成果として,次の2 点の示唆を得た.第1に,課題研究を文脈とする教材は,研究結果に疑いをかける「指導教員の問い」によって必要性を伴った批判的な考察を生じさせ,主張の妥当性について批判的に考察していこうとする態度への変容を促すことである.第2 に,観測事象だけでなくそれ以上に極端な事象が起こる確率を用いることには困難が生じるが,それができるためには,何を主張したいのかという目的意識が明確であり,その主張にとっての「より良い結果」を想定でき,それが偶然に起きては主張できなくなるという認識が必要になるということである.
著者
若林 二郎 森 寿久 住田 侑 石井 一典 川太 徳夫 飯島 隆
出版者
一般社団法人 日本原子力学会
雑誌
日本原子力学会誌 (ISSN:00047120)
巻号頁・発行日
vol.28, no.10, pp.913-923, 1986-10-30 (Released:2010-01-08)
参考文献数
12
被引用文献数
1 2

原子力発電所の運転形態を従来の基底負荷運転から負荷追従運転も含んだ形に拡大していく必要が高まりつつある。電力系統の負荷は季節変化,日変化,さらにより小さな時間スケールの変動成分よりなる複雑な変化を示し,それに対応して原子力発電所を運転するには新しい制御方策の導入と複数種の制御手段の有機的な統合利用が必要となる。本稿では,現在盛んに開発が進められているこの種技術の実情について、BWR,PWR,ATRの各炉型ごとに要約して紹介する
著者
林 采成
出版者
政治経済学・経済史学会
雑誌
歴史と経済 (ISSN:13479660)
巻号頁・発行日
vol.53, no.1, pp.46-62, 2010-10-30 (Released:2017-08-30)
参考文献数
62

The purpose of this paper is to analyze the personnel management of Japanese National Railways (JNR) during the wartime period and clarify the postwar implications of that policy. When the Sino-Japanese War broke out, JNR faced great instability of railroad labor and a concomitant attenuation of skills. In response, JNR reinforced its internal training system and adjusted the disposition of its limited human resources. Through the expansion of incentives including allowances, bonuses and fringe benefits, the decline of real wages was halted. Programs for the ideological reinforcement of laborers' spirit and lifestyle were implemented as well. However, as the war escalated to become the Pacific War, labor supply was further restricted, finally running short, and the quality of labor consequently deteriorated. As a countermeasure, JNR implemented administrative streamlining and established a personnel maintenance committee, focusing human resources allocation within the organization according to importance. Female workers and students were employed as a new source of labor. In particular, to compensate for a marked decline in living standards, chances of promotion were expanded. Railroad operational efficiency was achieved through this personnel management style and in 1943 JNR reached the highest level of productivity since its foundation. Nonetheless, in the face of a transportation crisis and with a mainland battle seeming imminent, JNR could not avoid conversion to a military organization. For this conversion, a new rank of Vice Associate Railroad Officer was established as a temporary measure and more than 100,000 personnel were promoted to this rank and the existing Associate Railroad Officer. At the same time, the lowest rank of employee was abolished. These wartime measures and the military organization of JNR were reformed during the radical postwar reorganization of Japanese National Railways under the Allied occupation of Japan.
著者
小林亮太 池内 淳
雑誌
研究報告ヒューマンコンピュータインタラクション(HCI)
巻号頁・発行日
vol.2012, no.29, pp.1-7, 2012
被引用文献数
2

本稿は,表示媒体と表示内容の相違が学習能率にもたらす影響を把握することを目的とする.36 名の被験者に対して,タブレット端末と紙媒体のそれぞれを用いて,文学的文章と説明的文章からなる 2 タイプの文章を読ませ,主観評価および読み速度,記憶テスト,理解テストの結果を比較した.その結果,第一に,主観的な読みやすさの面では,iPad はすでに紙と同等の性能を実現していることがわかった.iPad を支持する理由としては,文字表示の鮮明さやページめくりのしやすさが上位を占める一方,紙では読書時の疲労が少ないことや集中しやすさが上位となった.第二に,文字情報のみからなるコンテンツの場合,読み速度や逐語的記憶では,説明的文章において表示媒体による有意差が認められた.また,文章理解ではタブレット端末よりも紙媒体に優位性があることが明らかになった.The aim of this paper is to understand the learning effect by difference of display media and text contents. Thirty six subjects read two types of short texts that are literary text and descriptive one about scientific topic by using tablet computer (iPad) and paper. We compared subjective evaluation about each type of displays, reading speed per characters, score of memory test and comprehension test after reading texts. At first, the result of subjective impressions showed that iPad's readability has already achieved the equivalent to papers'. Subjects recognized that iPad was superior to paper in terms of display sharpness and easiness of turning pages. On the other hand, subjects felt less fatigue and higher concentration while reading texts on paper. Secondly, significant difference by ANOVA was observed between two types of media on reading speed and word memory test score only using descriptive text. Finally, it is concluded that paper is still higher usability media than tablet computer for understanding sentence.
著者
林 織部 西村 邦裕 阿部 浩二 谷川 智洋 廣瀬 通孝
出版者
一般社団法人映像情報メディア学会
雑誌
映像情報メディア学会技術報告 (ISSN:13426893)
巻号頁・発行日
vol.33, no.21, pp.85-90, 2009-06-08
被引用文献数
2

現在,インターネット上の動画共有サイトなどに大量の動画情報が存在する.この中から興味のある動画や面白い動画を効率的に見ることができることが望ましい.現在の視聴スタイルは一度に一つの動画を見るというもので,大量の情報を短時間で見ることには適していない.そこで本研究では,大量の動画を見るためには大画面ディスプレイを用い,複数の動画を同時視聴することが良いのでは,と考え実装し検証を行った.この際,ただ同時視聴するのみでなく,どの部分に注目するべきかといったガイドが必要である.このため大画面における視覚刺激を用いた対象への注意喚起の検証を合わせて行った.また,注目すべき部分の抽出のために実際の動画共有サイトの視聴ログを解析し,注目すべき部分の抽出を行った.
著者
室山 勝彦 大口 宗範 林 卓也 林 順一
出版者
社団法人 環境科学会
雑誌
環境科学会誌 (ISSN:09150048)
巻号頁・発行日
vol.14, no.2, pp.189-197, 2001-03-30 (Released:2010-06-28)
参考文献数
17
被引用文献数
1

本研究では,ビール工場において原料から製品に至る一連の工程に対して投入される電力ガス水道水等のユーティリティ,排出される有機廃水,ビールかす等の固形副産物などのエミッションに関して,ライフサイクルアセスメント・インベントリー解析に基づき,累積CO2排出原単位を指標として環境影響を評価した。すなわち,ビール工場で排出される有機廃液をメタン発酵処理し,バイオガスを回収しこれより燃料電池により電力を得て工程に還元するとき,また,副産物であるビール粕を,焼却,メタン発酵,乾燥などの処理を行った場合の,製品ビールにかかる累積CO2排出原単位への影響を検討し,より好ましい廃棄物処理法採用のための指針を得ることを目的とし,LCAインベントリー解析を行った。 あるビール工場において,廃液のメタン発酵によって回収されるメタンを燃料電池によって電力に変換して工程に還元する場合,全工程に投入される電力の9.74%が節減されることが分かった。また製品ビールへの累積CO2排出原単位の48.3%が水道,電力,ガス,灯油などの工程ユーティリティに由来することが明らかになった。これらから,廃液および廃棄物からエネルギーを回収して外部からのエネルギーの投入を低減することがCO2排出の削減に重要であるとわかる。しかし,製品ビールへの累積CO2排出原単位への節減は2.30%にとどまった。これは,製品ビールの相当の割合がアルミ缶でパッケージングされているため製品ビールへの累積CO2排出原単位を押し上げていることにも原因がある。もしアルミ缶の代わりにガラス瓶がパッケージングに使用されれば,さらなる累積CO2排出原単位の削減になることがわかった。またビール粕の乾燥を伴わない飼料化,コンポスト化,および焼却は実質的なCO2の排出につながらないと判断された。さらに,ビール粕をメタン発酵してバイオガスを回収し,排水処理のバイオガスも含めて燃料電池によって電力を得ることができれば,電力の59.8%が還元されることが分かった。