著者
林 邦彦
出版者
中央大学人文科学研究所
雑誌
人文研紀要 (ISSN:02873877)
巻号頁・発行日
no.90, pp.261-288, 2018

フェロー諸島においてフェロー語で伝承されているバラッドの中に,アーサー王伝説等を題材にしたと考えられる作品Ívint Herintsson(『ヘリントの息子ウィヴィント』)がある。この作品の物語には,中世のアイスランドで著されたサガ(saga)と呼ばれる散文の書物の一つで,アーサー王伝説に題材を取った作品Ívens saga(『イーヴェンのサガ』)の物語の影響が色濃く見られるが,このバラッドの物語中,Ívens saga とは相違が見られる箇所の中に,グラスゴーの司教Kentigern(ケンティゲルン)を扱った聖人伝Vita Kentigerni(『聖ケンティゲルン伝』)のHerbert(ハーバート)版の内容と類似が見られる箇所が存在する。本稿ではフェロー語バラッドÍvint Herintsson の物語とHerbert 版Vita Kentigerniの内容の類似点と相違点,および関連他作品との関係のありよう等を手掛かりに,上記フェロー語作品の物語とHerbert 版Vita Kentigerni の内容との関連性の有無を明らかにすることを試みる。
著者
齋藤 款文 小林 稔彦 高島 俊
出版者
一般社団法人 日本機械学会
雑誌
ロボティクス・メカトロニクス講演会講演概要集 2015 (ISSN:24243124)
巻号頁・発行日
pp._1A1-M09_1-_1A1-M09_4, 2015-05-17 (Released:2017-06-19)

As one field of sports, there is a game of bike trial. Riders operate mountain bicycles with various advanced techniques. The purpose of this research is to create a bike trial robot that can operate a mountain bicycle and perform various maneuvers such as bike wheelie and etc. The bike-trial robot is able to clear level differences and ditches which other wheeled type robots cannot clear such obstacles and also cannot intrude into narrow spaces. Therefore, it is possible to use the bike-trial robot in the way of means of mobility for disaster sites. In this paper, in order to verify whether the robot can do Wheelie, it is studied that the robot model is created and simulated of wheelie in simulation soft. And, the prototype physical model of bike-trial robot for experiments is designed and constructed on a scale of two to five.
著者
林 品章
出版者
一般社団法人 日本デザイン学会
雑誌
デザイン学研究 (ISSN:09108173)
巻号頁・発行日
vol.48, no.5, pp.5_75-5_84, 2002-01-31 (Released:2017-11-08)
参考文献数
39

「台湾戦後の視覚伝達デザイン表現の発展」は、時期により二部に分けられる。前編は1945年から1970年まで、後編は1970年から1970年までである。本論文は前編である。本研究は、台湾の戦後の視覚伝達デザインに関連するさまざまなデザイン活動と表現の様相を系統的に歴史の骨組みとして整理することを目的とする。内容構成としては、台湾のデザイン学界と業界共通の認識に従い「ポスター」「挿画(イラスト)」「商標と標誌(ロゴ)」「パッケージデザイン」「広告デザイン」の五つの項目に分けた。 研究の結果は次のようにまとめられる。(1)台湾の戦後は政治的影響を受け、視覚伝達デザインの表現も保守的な傾向が見られる。(2) 1960年以降、政治経済が安定するに従い、また政府関係機関と民間企業の仲立ちもあって、日本や西欧から現代デザインの理念が大量に持ち込まれた。デザイナーらの積極的活動と相まって、デザイン表現も高度かつ専門的水準に達するようになった。
著者
林 昭次 佐藤 たまき 中島 保寿 サンダー マーティン フサイヤ アレクサンドラ ウィンリッチ タンニャ
出版者
大阪市立自然史博物館
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2014-04-01

首長竜類は中生代の海生爬虫類の中で最も多様化した仲間である。これまでは、他の海生脊椎動物のように首長竜類の骨組織が海綿化することで、高速遊泳に適応していたと考えられていた。しかし、系統進化に伴って首長竜類の骨組織を観察した本研究で、その進化はより複雑なものであることが明らかになった。また、四肢骨内部に見られる成長停止線を観察すると、生後一年で成体の70%ほどの大きさになり、成体まで4~6年で急成長することが明らかになった。このような急激な成長は内温動物でしか観察されないため、首長竜類も内温動物であった可能性が高く、内温性への進化は外洋域への適応と関連していた可能性が本研究によって指摘できた。
著者
小林 信一 加藤 毅
出版者
電気通信大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
1996

本研究は、平成7年6月に実施した大学教員の生活時間調査の再分析により大学教員の置かれている状況を時間資源の観点から多角的に明かにするとともに、研究活動の編成様式との関連の理論的検討を行うものである。1.生活時間分析大学教員の活動の実態をさまざまな属性別に分析し、中でも研究時間の不足感が強い国立有力大学について詳細に分析した。また、大学改革と生活時間の関係に関して分析を行い、会議時間に対する負担感が実態以上に大きいこと、時間の寸断など時間の質の低下などが発生していることを明かにした。さらに管理的職務の実態について分析を行った。これらの分析結果を、大学教員の仕事の質、大学教員の多忙と教育研究の支援体制、時間からみた大学教員の学術研究環境、管理的業務に関する分析の各項目についてとりまとめた。また、大学研究者に関する国際的統計の根本問題であるFTEをめぐる問題についても検討した。2.研究活動の編成様式の理論的検討科学技術のモード論を参照しつつ、科学技術論のレベルで大学教員の多忙の原因について検討を行った。知識生産の様式として、ピアレビュー・システム、インハウス・システム、オ-ディション・システムの3タイプが存在することを明かにした。とくにモード2の出現にともなうオ-ディション・システムの浸透、また多様な研究様式が並存することが、大学教員の多忙の原因になることを示した。3.とりまとめ以上の結果を内外の学会で口頭発表するとともに、論文などにまとめ、さらに報告書にとりまとめた。
著者
林 孝文 伊藤 寿介 中山 均 小林 富貴子 中村 太保 小宮 隆瑞 鈴木 誠 福島 祥紘 高木 律男 大橋 靖
出版者
特定非営利活動法人 日本歯科放射線学会
雑誌
歯科放射線 (ISSN:03899705)
巻号頁・発行日
vol.33, no.2, pp.74-80, 1993-06-30 (Released:2011-09-05)
参考文献数
20

Carcinomas arising in jaw cysts are a very rare lesion. There was only one case report which was thought to be of origin from an inscisive canal cyst.The authors present a case of squamous cell carcinoma probably arising from an incisive canal cyst.The patient was a 60-year-old female with complaints of swelling and tenderness of the hard palate. Overlying mucosa of the lesion was normal except for an opening of fistula.An occlusal X-ray film and bone images of X-ray computed tomography (X-CT) showed a radiolucent lesion on the midline of the palate with well-defined margin and they also revealed an irregular resorption of the alveolar process of the maxilla.Soft tissue images of post contrast X-CT showed a heterogenously enhanced area in the anterior part of the lesion extending to the left upper lip.Pathological examination revealed a squamous cell carcinoma and suggested that the tumor derived probably from an incisive canal cyst.
著者
田村 暢章 三宅 実 小川 尊明 大林 由美子 長畠 駿一郎 羽場 礼次
出版者
Japanese Society of Oral and Maxillofacial Surgeons
雑誌
日本口腔外科学会雑誌 (ISSN:00215163)
巻号頁・発行日
vol.51, no.7, pp.364-367, 2005-07-20 (Released:2011-04-22)
参考文献数
17
被引用文献数
2 3

Malignant tumors rarely arise from jaws cyst. We report a case of squamous cell carcinoma arising from a nasopalatine duct cyst. A 70-year-old man presented with a swelling in the palatal gingiva at the middle of the maxilla. Oral examination showed a 28×25mm swelling with a puncture mark, asmooth surface, and normal color. Radiographic examination revealed a round translucent image measuring 15×12mm in diameter in the middle of maxilla. The image was clearly demarcated. Under general anesthesia, extirpation of the cyst was performed for a diagnosis of nasopalatine canal cyst. Histopathological examination of the resected specimens showed transition of histologically normal cystic epithelium to squamous cell carcinoma. After the first operation, partial resection of the maxilla was performed. Three months after the partial resection, left jugular lymph node metastasis was detected. Partial neck dissection, chemotherapy, and irradiation were performed. Twelve months after partial resection of the maxilla, right jugular lymph node metastasis was found. Radical neck dissection was performed.For 2 years 4 months, there was no disease recurrence. However, the patient died due of pneumonia on April 13, 2002.
著者
関矢 信康 林 克美 檜山 幸孝 並木 隆雄 笠原 裕司 地野 充時 大野 賢二 喜多 敏明 平崎 能郎 寺澤 捷年
出版者
一般社団法人 日本東洋医学会
雑誌
日本東洋医学雑誌 (ISSN:02874857)
巻号頁・発行日
vol.58, no.4, pp.723-728, 2007-07-20 (Released:2008-09-12)
参考文献数
11
被引用文献数
1

漢方治療が奏効した蕁麻疹の4症例を経験した。内容はコリン性蕁麻疹2例, 慢性特発性蕁麻疹1例, 寒冷蕁麻疹1例であった。悪化要因として, 第1例は義父の介護と子宮摘出術のストレス, 第2例は家庭内の問題での精神的ストレス, 第3例はパニック障害樣のエピソード, 第4例は家族に対する心配・不安を指摘できた。皮膚症状を改善する上での有効方剤は, それぞれ桂枝茯苓丸, 半夏厚朴湯, 抑肝散加陳皮半夏, 加味逍遙散であった。これらの処方の選択を行う際に, 皮膚症状に関与する心理的背景を聞きだし得たことが大いに役立った。心理的背景について繰り返し丁寧に問診を行うことは, 蕁麻疹難治例の治療において有用であると考えられた。
著者
瀬戸 佑香里 林 豊洋 榎田 修一 江島 俊朗
出版者
電気・情報関係学会九州支部連合大会委員会
雑誌
電気関係学会九州支部連合大会講演論文集 平成21年度電気関係学会九州支部連合大会(第62回連合大会)講演論文集
巻号頁・発行日
pp.416, 2009 (Released:2011-01-20)

近年,交通事故の記録装置としてドライブレコーダが注目されている.記録動画像における走行可能領域認識は,収集される膨大な事故動画像の効率的な解析を実現する上で重要な技術である.一般的な車線検出にはHough 変換が用いられるが路面標示や破線の影響を受けるため,ノイズを十分に除去し直線の情報量を増やす必要がある.本研究では動画像でのHough 変換線抽出の前処理として,Harrisオペレータによるエッジ抽出法と時系列情報により作成した時間平均画像を用いて路面標示の影響を除去し破線を補うことで,車線境界線を検出し自車両の走行道路領域を推定する手法を提案する.
著者
小林 哲
出版者
日本マーケティング学会
雑誌
マーケティングジャーナル (ISSN:03897265)
巻号頁・発行日
vol.39, no.1, pp.43-60, 2019-06-28 (Released:2019-06-28)
参考文献数
22

日本の農林漁業は,就労者の減少や高齢化により,深刻な状況に直面している。こうした状況の中,政府は,農林漁業再生手段のひとつとして6次産業化をあげ,それを推進するため,さまざまな支援を行っている。しかしながら,6次産業化の研究は,政府の支援策に関する考察や事例の紹介にとどまり,6次産業化の成果規定要因に関する定量的分析はほとんどなされていない。そこで,本稿は,政府が作成した「6次産業化の取組事例集」を用いて,その定量的分析を試みる。分析の結果,加工と直販の両方を行う方が6次産業化の成果が高まることや,同じ6次産業化でも直販とレストランで成果に与える影響が異なることが明らかになった。また,地域への関与が高い6次産業化の方が,成果が高まることも示された。
著者
中宿 伸哉 林 典雄 赤羽根 良和 山崎 雅美 吉田 徹
出版者
公益社団法人 日本理学療法士協会
雑誌
理学療法学Supplement
巻号頁・発行日
vol.2004, pp.C0982, 2005

【はじめに】梨状筋症候群とは、梨状筋をはじめとする股関節外旋筋と坐骨神経との間で生じる絞扼性神経障害である。殿部痛と共に坐骨神経症状を呈するため、腰部椎間板ヘルニアと混同されやすい。一部には仙腸関節炎や椎間関節障害を基盤に発症するとの報告はあるものの、その発症機転を含めてまとまった報告はない。我々は、当院で扱った梨状筋症候群の初診時理学所見を検討し、その発症機転についてタイプ分類を試みたので報告する。<BR>【対象】平成14年4月から平成16年9月まで当院を受診し、最後までfollow upが可能であった86例87肢、右側40肢、左側47肢、男性34名、女性52名、平均年齢55.6±15.1歳を対象とした。なお、来院までの期間は平均10.7週であり、明らかな股関節疾患、梨状筋ブロックにて疼痛の消失が得られた症例は除外した。<BR>【理学所見】殿部痛があるものは86肢、下肢痛があるものは60肢、腰痛があるものは30肢であった。平均SLRは、68.6°、内旋SLRに伴う疼痛の増強は56肢に認められた。圧痛は梨状筋に83肢、双子筋に30肢、大腿方形筋に20肢、多裂筋に41肢、仙腸関節に68肢認められた。Freiberg testは75肢に陽性で、骨盤固定下では14肢に疼痛の軽減を認めた。Patric testは27肢に陽性で、骨盤固定下では全例に疼痛の軽減ないし消失を認めた。<BR>【考察】我々は梨状筋症候群の発症機転について、大きく3つに分類した。1つ目は仙腸関節由来の梨状筋症候群である。仙腸関節における圧痛を約8割に認めた。仲川らによると、仙腸関節の前方はL4・L5・S1神経前枝が支配し、後方はL5・S1・S2神経後枝外側枝が支配すると述べている。仙腸関節に生じた何らかの侵害刺激は、L5・S1・S2に支配される梨状筋、双子筋、大腿方形筋に反射性攣縮を生じさせたと推察した。また、同時に同神経により支配される仙腸関節を支持する多裂筋の反射性攣縮の増強は、仙腸関節自体の感受性を高め、一層梨状筋の反射サイクルを助長していると考えられた。梨状筋症候群の大部分はこのタイプに区分されると考えられる。2つ目は椎間関節由来の梨状筋症候群である。椎間関節は脊髄神経後枝内側枝に支配される。内側枝の第1枝は、隣接する椎間関節包の下部を支配する。第2枝は多裂筋を支配し、第3枝は、1つ下位の椎間関節包上部を支配する。L5・S1の椎間関節に生じた何らかの侵害刺激はL5内側枝を介して、外旋筋群に反射性攣縮を生じさせたと推察した。また、同神経に支配される多裂筋にも反射性攣縮が生じたと思われた。腰椎の合併例で、かつ仙腸関節の圧痛がないものは、このタイプが多いと推察した。<BR> 3つ目は梨状筋単独の梨状筋症候群である。この場合、ブロック注射もしくは梨状筋のリラクゼーションのみで疼痛が消失すると考える。
著者
吾郷 美奈恵 高橋 恵美子 岡安 誠子 小田 美紀子 小林 洋貴 山下 一也 Minae AGO Emiko TAKAHASHI Masako OKAYASU Mikiko ODA Hiroki KOBAYASHI Kazuya YAMASHITA
雑誌
島根県立大学出雲キャンパス紀要 (ISSN:2187199X)
巻号頁・発行日
vol.15, pp.35-43, 2019-12-25

A大学では,大学IRコンソーシアムの正会員となり,ベンチマーク可能な標準調査として位置づけられた学生生活調査を全学生に行い,教学IR(Institutional Research)の取組を推進している。今回の目的は、学生の授業経験・学習態度や能力・知識の獲得状況からA大学における看護教育の現状を明らかにすることを目的とした。また,その結果をIRコンソーシアムの基礎集計結果と比較し,A大学の特徴について検討する。回答のあった307票(協力率91.4%)について分析した結果,A大学看護学科の現状や大学IRコンソーシアム結果の比較から,次のことが特徴と考えられた。■全ての学年で主体的に学び,看護に役立つ知識やスキルを学ぶ授業を経験している。■ TAやSAの活用は難しい現状にあるが,教員が添削やコメントなど丁寧な授業運営を行っている。■授業態度は悪くはないが,各学年に一定程度の欠席,遅刻,居眠りはある。■能力・知識の多くを学年進行に伴って獲得しているが,外国語や数理的な能力・知識は増えていない。■授業態度が良く,能力・知識が増えた者は成績順位上位者である。我が国においては,看護教育の質評価・質保証に必要な資源(人・設備・費用)等,これから体制整備がされていく状況にあるが,IR機能に着目し,教育の質を客観的に保証するとともに,更なる教育改善の方策を見出すことが重要である。
著者
若林 明雄
出版者
一般社団法人 日本教育心理学会
雑誌
教育心理学研究 (ISSN:00215015)
巻号頁・発行日
vol.48, no.2, pp.128-137, 2000-06-30 (Released:2013-02-19)
参考文献数
22
被引用文献数
3 2

本研究では, ストレスへの対処スタイルと対処方略選択の関係について, 現職教員を対象として検討を行った。研究1では, 288名の現職教員に対し, Marlowe-Crowneの社会的望ましさの尺度とMASを実施し, その結果から4つの対処スタイルに該当する被験者, Repressor24名, Sensitizer 24名, Lowanxious 14名, Defensive-anxious 12名を抽出した上で, この74名に対して日常生活でのストレス状況における対処方略選択を調べるTAC-24を実施した。その結果, 対処スタイルによって日常生活でのストレスに対する対処方略選択にはある程度の違いが認められた。特に, Repressorが問題解決に向けて積極的な対処方略を選択する傾向があるのに対して, Sensitizerは責任転嫁や放棄・諦めのような消極的な対処方略を選択する傾向があるというように, 対照的な傾向を示した。研究IIでは, 研究1で抽出された74名の被験者に対して, 学校での職務上のストレス状況を5つ設定し, それぞれの場面での対処方略選択について回答を求めた。その結果, 5つの場面を通じてみると, Repressorが計画, 情報収集, 努力などの積極的対処方略を選択する傾向があるのに対して, Sensitizerは, 思考回避や諦め, 正当化などの消極的対処方略を選択する傾向が認められた。また, 5つの場面ごとの対処方略選択の傾向を調べた結果, 場面によって対処方略選択に4つの対処スタイル間で違いがあることが認められた。
著者
佐々木 隆宏 田原 正一 坂牧 成恵 貞升 友紀 牛山 慶子 門間 公夫 小林 千種
出版者
公益社団法人 日本食品衛生学会
雑誌
食品衛生学雑誌 (ISSN:00156426)
巻号頁・発行日
vol.60, no.6, pp.176-182, 2019-12-25 (Released:2020-01-23)
参考文献数
9
被引用文献数
1

既存の透析法および直接抽出法を用いてチューインガム中の3種甘味料の定量値を比較したところ,透析法では直接抽出法に比べ,一部の製品でアスパルテームの定量値が顕著に低値であった.一方,直接抽出法はガムベースが器具に付着する点で操作が煩雑であった.そこで,ガムベースを透析チューブ内にとどめたまま抽出が完了可能な透析法の条件を変更し,定量値が改善可能か試みた.その結果,透析液に60%メタノールを用いて室温で24時間,または恒温振とう水槽中(50℃)で2時間透析する方法を開発した.本法は,3種甘味料のいずれも直接抽出法と同程度の良好な値を得ることが可能であった.
著者
小林 盾 大﨑 裕子 川端 健嗣 渡邉 大輔
出版者
成蹊大学アジア太平洋研究センター
雑誌
アジア太平洋研究 = Review of Asian and Pacific studies (ISSN:09138439)
巻号頁・発行日
no.42, pp.115-126, 2017

This paper scrutinizes on transformation of the romantic love ideology in Japan. The ideology has characterized the modern family by uniting love, marriage, and sex (and therefore birth). The paper decomposes the ideology into two sub norms: the "love and marriage combination" norm and the "marriage and birth combination" norm. Still, these norms are yet to be quantitatively examined. So, data are collected in the 2015 Japanese National Survey on Social Stratification and Life Course (SSL-2015) with 12,007 respondents. They are asked whether they agree that love is indispensable for marriage and that marriage is so for birth. Results are shown as follows. (1) By distributions, about 80 percent agree with the both norms. (2) By comparing proportions, most young males and females relax the norms. However, young females tighten the "marriage and birth combination" norm. (3) As a result, by odds ratios, young males present consistent patterns on the two norms, while young females not. Therefore, mostly the romantic love ideology has been relaxed, but the "marriage and birth combination" norm survives and even revitalizes. This means that the ideology has been transformed and diversified, which may affect future forms of the family. These findings are obtained only in quantitative analyses.