著者
小林 道
出版者
公益社団法人 日本栄養士会
雑誌
日本栄養士会雑誌 (ISSN:00136492)
巻号頁・発行日
vol.61, no.9, pp.501-506, 2018 (Released:2018-08-28)
参考文献数
15

本研究は大学生を対象として、学童期に栄養教諭による授業を受けた経験が現在の食習慣に与える影響について明らかにすることを目的とした。平成29年11月に北海道のA大学の食品科学または管理栄養士養成課程を専攻する1学科の2・3年生335人を研究対象者とした。最終的な解析対象者は288人(有効回答率:86.0%)であった。質問内容は、性・年齢、居住形態等の基本属性、睡眠時間、運動、喫煙、飲酒等の生活習慣、食習慣に関する項目は朝食の欠食状況および簡易型自記式食事歴法質問票(Brief type self-administered Diet History Questionnaire;BDHQ)による食品群別摂取量とした。栄養教諭 による授業を受けた経験有り群と無し群の2群に分類して食品群別摂取量との関連を検討した。多変量ロジスティック回帰分析の結果、栄養教諭による授業を受けた経験有り群では授業経験無し群と比較して野菜類および卵類の摂取量の高摂取群の割合が有意に高かった。学童期に栄養教諭による授業を受けた経験は青年期の食習慣を良好にする可能性がある。
著者
鈴木 卓治 安達 文夫 小林 光夫
雑誌
じんもんこん2000論文集
巻号頁・発行日
vol.2000, no.17, pp.25-32, 2000-12-15

本稿では,博物館の視点から「デジタルアーカイブは構築できるか」を考察する.デジタルデータの記録・復元,蓄積・保存,活用の3つの段階に分けて議論する.はじめに,デジタルアーカイブに関する国内外の状況を述べる.つぎに,デジタルアーカイブの技術的問題について論じ,国立歴史民俗博物館における3つの事例を通じ,博物館におけるデジタルアーカイブ活用の方向性を示す.最後に今後の課題を述べ,提言を行なう.
著者
渡辺 大作 阿部 省吾 植松 正巳 阿部 榮 遠藤 祥子 後藤 浩人 小林 隆之 藤倉 尚士 小形 芳美 伴 顕 平野 貴 杉本 喜憲 斎藤 博水
出版者
日本家畜臨床学会 ・ 大動物臨床研究会
雑誌
日本家畜臨床学会誌 (ISSN:13468464)
巻号頁・発行日
vol.27, no.2, pp.41-45, 2004-11-10 (Released:2009-04-22)
参考文献数
9
被引用文献数
1 1

牛クローディン-16(CL-16)欠損症19頭およびそれ以外の腎不全黒毛和種牛2頭におけるビタミンA(VA)とレチノール結合蛋白質(RBP)の動態および過長蹄の発現について調査した。CL-16欠損症では、1-6ヶ月齢の子牛3頭を除き84%で過長蹄がみられた。CL-16欠損症を過長蹄群と正常蹄群にわけて正常黒毛和種子牛群36頭と比較したところ、過長蹄群ではRBP、VA、尿素窒素(UN)およびクレアチニン(Cre)の有意な増加がみられ、正常蹄群ではVAのみ有意な増加がみられた。RBPはVA、UN、およびCreと有意な正の相関を示し、VAはVA添加飼料が給与される5-13ヶ月齢で著しい高値を示した。腎不全牛2頭(腎盂腎炎、腎低形成症)でも過長蹄がみられ、VAおよびRBPは高値を示した。CL-16欠損症で正常蹄の牛は、若齢または軽度の腎障害であったことから、過長蹄はCL-16欠損症に特異な症状ではなく、重度の腎機能障害の持続により発現すると考えられた。
著者
小林 奈穂 村山 伸子 石田 裕美
出版者
特定非営利活動法人 日本栄養改善学会
雑誌
栄養学雑誌 (ISSN:00215147)
巻号頁・発行日
vol.73, no.2, pp.41-50, 2015 (Released:2015-07-11)
参考文献数
12
被引用文献数
1

【目的】料理別と主食副食別の2種類の目測による摂取量把握を行い,これら2つの目測方法の妥当性の比較および料理区分別の目測値の特徴を明らかにすることを目的とした。【方法】サンプル献立として3日間の料理を作り,架空の喫食者モデル10名分の喫食状況を基に研究協力者が残菜トレーを作成した。管理栄養士養成課程4年生が判定者となり,判定者10名全員が全ての残菜を目測した。目測は料理別と主食副食別の2種類を実施し,実測として秤量を行った。目測方法は,提供前の料理と食事後の残菜を比較し,残菜量から摂取量を推定し10段階で評価した。【結果】目測値と実測値の相関は,ほとんどの料理区分で高い相関を示す判定者が多かったが,副食では他の料理区分と比べ低い相関結果となる判定者が多かった。目測値と実測値の差の検定では,主食や半固形状の主菜では目測値が有意に高い判定者が多く,乳製品や間食では目測値が有意に低い判定者が多かった。副食については,誤差の平均値は小さいものの,判定者によって誤差の有無や高低が違い,評価結果にばらつきがあった。また多くの料理区分で,食べ方が半分くらいあるいは少しの場合に目測誤差が大きかった。【結論】2つの目測方法の妥当性の比較結果およびその特徴が示された。主食副食別目測は,料理別目測と比べて実測との相関が小さく,判定者によって評価が異なることから,料理別目測よりも妥当性が低いことが示された。
著者
赤松 泰次 北原 桂 白川 晴章 市川 真也 長屋 匡信 須藤 貴森 武田 龍太郎 竹中 一弘 太田 浩良 宮林 秀晴 田中 榮司
出版者
医学書院
雑誌
胃と腸 (ISSN:05362180)
巻号頁・発行日
vol.44, no.5, pp.805-812, 2009-04-25

要旨 当科で診断した胃MALTリンパ腫98例の内視鏡所見を検討した.胃MALTリンパ腫の内視鏡所見は,早期胃癌(IIc)類似型,胃炎類似型,隆起型の3群に大別できた.早期胃癌類似型と早期胃癌の鑑別のポイントは① 正常粘膜との境界が不明瞭,② 蚕食像がないか,あってもごく一部,③ 陥凹内に粘膜模様が観察される,④ 病変が多発することが多い,の4点であった.胃炎類似型はさらに,びらん・潰瘍型,色調変化型,顆粒・結節型に細分類され,びらん性胃炎,急性胃粘膜病変,消化性潰瘍,萎縮性胃炎,鳥肌状胃炎などとの鑑別が必要である.一方,隆起型は,表面にびらんや潰瘍を伴い,形状も不整であることから間葉系腫瘍との鑑別は容易であるが,IIa型早期胃癌や形質細胞腫との鑑別が問題となる.早期胃癌類似型は胃炎類似型に比べて,壁深達度がSM以深の症例が多く(p<0.01),Helicobacter pylori感染を認めない症例の割合が高かった(p<0.01).
著者
竹林 枝美 鈴木 貢次郎 濱野 周泰
出版者
公益社団法人 日本造園学会
雑誌
ランドスケープ研究 (ISSN:13408984)
巻号頁・発行日
vol.79, no.5, pp.403-408, 2016 (Released:2017-03-17)
参考文献数
37

The species of plants painted on the outer garment as designs have been reflected the backgrounds such as the society, culture, or people’s interest. We studied species of plant pictures on the outer garments in different periods. At first they were found from Heian period. The total number of plants increased from Azuchi-momoyama period, especially in late Edo period. The plants with the largest number were Chrysanthemum, following Pinus, Prunus mume, Prunus sp. (Cherry blossoms), Phyllostachys sp., Acer, and Paeonia suffruticosa. The number of plants were little in Heian period, as Phyllostachys sp. and Paulownia tomentosa. In Kamakura period, the Chrysanthemum, Prunus sp., Salix babylonica, Dianthus superbus var. longicalycinus and Patrinia scabiosaefolia appeared for first time. In Muromachi periods, Acer, Paeonia suffruticosa, Lespedeza sp., Camellia japonica, Taraxacum platycarcum, Viola mandshurica, Equisetum arvense var. arvense, Eupatorium fortunei, and Gentiana scabra var. buergeri were begun to use. In general the species of plants used as designs tended to change at each periods. Especially, Camellia japonica much increased number of species in Azuchimomoyama period, but decreased the number from Edo period. We discussed the reason of the fact from the viewpoint of social background or other’s reasons.
著者
奈良林 祥
出版者
医学書院
雑誌
助産婦雑誌 (ISSN:00471836)
巻号頁・発行日
vol.52, no.8, pp.692-697, 1998-08-25

急激に増えたセックスレスの相談 「あれっ?」カウンセリングの途中で異変の芽のようなものを感じ,クライアント(相談依頼人)には気づかれないように心の内でドキリとさせられていたのは,もう12,3年も前のこと。わざわざ長野県から,“一昨年結婚致しました長男の嫁から,結婚して1年半になるのに,まだ一度も交わりがありません,と聞かされ,びっくり致しまして”とやって来た人品卑しからざる,その長男なる人物の母親を前にしてのことであった。そして,私を,「あれっ?」と思わせたのは,前日にも似たようなケースを扱ったばかりであり,そう言えば,当時は「性交回避」または「性愛嫌悪症」と言う病名で扱っていたこの種のクライアントが,このところ妙に増えて来ていることにフト思い当たったからである。今にして思えば,後に「Sexless(セックスレス)」と言う言葉がある種流行語のように通用してしまう事態を招くことになる「Sexless husband(セックスレスハズバンド)」と呼ばれる,性を病む亭主の急激な増加と言う現象の前触れに私はその時点で既に出会わされていた,と言うことであったのだ。 厳密に申せば,私が「性交回避」とカルテの病名欄に書き込むケースはかなり以前からなかった訳ではない。でも,あったと言ってもせいぜい年間2〜3例のものであって,世の中には変わった人間もいるものだ,で通り過ぎていたのであるが,それが,毎週のようにケースとして現れると言うことになると,これはおかしい,と言うことにもなる。当然のことであろう。私事めいて恐縮であるが,私のクリニックでは1日5人しか面接は受けないのであるが,一時期,その5人全部がセックスレスの相談と言うことがしばしばあったものである。やはり,異常事態である。
著者
真木 雅之 前坂 剛 岩波 越 三隅 良平 清水 慎吾 加藤 敦 鈴木 真一 木枝 香織 Lee Dong-In Kim Dong-Soon 山田 正 平野 廣和 加藤 拓磨 小林 文明 守屋 岳 鈴木 靖 益田 有俊 高堀 章
出版者
水文・水資源学会
雑誌
水文・水資源学会研究発表会要旨集
巻号頁・発行日
vol.21, pp.11, 2008

次世代の豪雨強風監視システムとして,防災科学技術研究所が複数の研究機関,大学と連携して進めているXバンドレーダネットワーク(X-NET)の概要について述べた.2007昨年度に準備を終了し,2008年と2009年の試験観測を通じて以下の項目に焦点を当てた研究をおこなう.•首都圏上空の雨と風の3次元分布(時間分解能6分,空間分解能は数100m~500m)の瞬時集約と配信.•上記の情報に基づく豪雨域,強風域の検出と監視.•外そう法による降水ナウキャスト,およびデータ同化した雲解像数値モデルによる降水短時間予測.•局地気象擾乱の構造,発生過程,発生機構の理解.•都市型災害の発生予測手法の高度化.•気象学,防災研究,気象教育,建築,都市,交通,電力,通信,情報,レジャー産業などの様々な分野における基礎的な気象データベース作成.
著者
青山 正治 横井 時秀 小林 俊郎
出版者
公益社団法人 日本鋳造工学会
雑誌
鋳物 (ISSN:00214396)
巻号頁・発行日
vol.60, no.4, pp.240-245, 1988-04-25 (Released:2011-09-08)
参考文献数
11
被引用文献数
1

Spheroidal graphite cast irons containing four levels of Ni 0 to 3.5wt% and ones containing five levels of Mo 0 to 0.6wt% were prepared by the use of an induction furnace and cast. The iron into which Ni has been separately added has improved tensile strength and hardness because of solution hardening in the matrix. The impact transition temperature rises with condensation of Ni, while the upper shelf absorbed energy reduces. Separate addition of Mo has little effect on tensile strength and impact properties. Mechanical properties of spheroidal graphite cast iron can be improved by combined addition of Ni and Mo. The irons containing 1% Ni-0.1%Mo and 2.5%Ni-0.4%Mo show the lower impact transition temperature and have high toughness.
著者
中林 史朗 大兼 健寬 田中 良明
出版者
大東文化大学漢学会
雑誌
大東文化大学漢学会誌 (ISSN:04149572)
巻号頁・発行日
no.53, pp.199-213, 2014-03

『陔餘叢考』訓訳巻十一、第五節「新唐書多周旋」の訓読・語注・現代語訳を行ったもの。
著者
久城 圭 林 紀男 西廣 淳
出版者
応用生態工学会
雑誌
応用生態工学 = Ecology and civil engineering (ISSN:13443755)
巻号頁・発行日
vol.12, no.2, pp.141-147, 2009-12-30
参考文献数
22
被引用文献数
1 2

印旛沼の湖岸には,1960年代に湖底から浚渫された土砂を用いて造成された「高水敷」が存在する.この高水敷の土砂中に,現在の印旛沼の地上植生からは消失した沈水・浮葉植物の散布体バンクが存在している可能性について検証するとともに,散布体バンクからの個体を定着・成長させ種子生産させることでこれらの植物の保全に寄与することを目的として,高水敷に浅い池を造成する事業が千葉県により実施された.造成された6つの池のうち2つでは,絶滅危惧種であるガシャモク,シャジクモ,オトメフラスコモを含む8種の沈水・浮葉植物が確認された.沈水植物が出現した池では多数の種子が新たに生産されていることも確認され,この事業が散布体バンクの保全にも寄与したことが示された.しかし,4つの池では水生植物は確認されず,散布体バンクの分布には空間的な偏りがあることが示唆された.
著者
林 成多
出版者
The Association for the Geological Collaboration in Japan
雑誌
地球科学 (ISSN:03666611)
巻号頁・発行日
vol.53, no.1, pp.38-52, 1999-01-25 (Released:2017-07-14)

埼玉県南西部の加治丘陵および入間川流域に分布する鮮新-更新統の上総層群から産出したネタイハムシの化石について再検討を行った.その結果,仏子層(前期更新世)からはオオミズクサハムシPlateumaris constricticollis,ブシミズクサハムシPlateumaris dorsata,フトネクイハムシ近似種Donacia cf. clavareaui,フトネクイハムシ亜属の1種Donacia(Donaciomima)sp.,コウホネネクイハムシ近似種Donacia(Donacia)cf. ozensis,イネネクイハムシ亜属の1種Donacia(Cyphogaster)sp.の6種を確認した.また,仏子層の下位層である飯能礫下部層(後期鮮新世)からもオオミズクサハムシとフトネクイハムシ近似種が産出した.仏子層および飯能礫層から産出したネクイハムシの化石には,後期鮮新世から前期更新世のネクイハムシ相には現生種と絶滅種の両方が含まれていることを示している.さらに,関東地方の各地から報告された中期更新世と後期更新世のネクイハムシの化石には現生種のみが含まれており,より古い時代の後期鮮新世から前期更新世のネクイハムシ相とは種構成が異なっている.絶滅種とされるブシミズクサハムシは仏子層から記載されたミズクサハムシ属の1種である.原記載以降,本種の系統関係を推定する上で重要ないくつかの形質が観察された.本種は近縁種のヒラシマミズクサハムシPlateumaris weiseiとの共通祖先から前期更新世以前に旧北区東部で分化し,北米に分布する姉妹種のP. germariは本種から派生した種であることが,これら3種の新たに得られた系統関係,化石記録,地理的分布から推定される.