著者
宮崎 総一郎 小林 隆一 北村 拓朗
出版者
耳鼻咽喉科展望会
雑誌
耳鼻咽喉科展望 (ISSN:03869687)
巻号頁・発行日
vol.54, no.1, pp.10-18, 2011 (Released:2012-02-15)
参考文献数
26

睡眠は高度の生理機能に支えられた積極的な適応行動であり, 健康を支えるための重要な役割を担っている。睡眠障害初診患者のうち, 睡眠時無呼吸症候群を中心とした睡眠呼吸障害が半数以上を占める。睡眠時無呼吸症候群では, 睡眠中の呼吸努力により呼吸中枢を介して呼吸性覚醒が生じ, 結果として睡眠の分断化, 睡眠障害へとつながる。質の良い睡眠がとれないことで, 睡眠時無呼吸症候群は, 循環器疾患や脳卒中, 糖尿病の発症に関連し, 集中力・記憶力・学習能力や感情のコントロール, 作業能率などを障害し, 産業事故, 交通事故等の原因となる。多彩な症状で臨床各科を横断的に受診する可能性が高い睡眠時無呼吸症候群を診療する際に, 陥りやすいピットフォールについて, 著者が今までに経験した症例, 文献からの症例報告に睡眠学の知見をまじえて概説した。
著者
小林 大祥 小林 光男 後藤 芳樹
出版者
工学院大学
雑誌
工学院大学研究報告 (ISSN:03685098)
巻号頁・発行日
no.121, pp.1-7, 2016-10-30

In this paper, tension tests are performed with the dragline silk produced by Nephila Clavata. Tension testingmachine is developed and manufactured for micro-sized materials. The dragline silk is the difficult material toconduct the tension test because the dragline of spider is the fine and ductile line and also the test load is small.From the results of tests, following conclusions are obtained. 1) The continuous stress-strain behavior of spider silkis obtained in 1.0μm/sec constant test speed, and the failure stress of dragline is about 2000MPa. 2) The diameter ofdragline is found to vary among each thread, thus it is necessary to measure the diameter of all specimens. 3) It isunderstood that the failure stress is mostly constant because the failure force of dragline and the cross-sectional areaare proportional to the weight of the spider.
著者
星上 幸良 小林 昭男 宇多 高明 熊田 貴之 酒井 和也 三波 俊郎
出版者
Japan Society of Civil Engineers
雑誌
海洋開発論文集 (ISSN:09127348)
巻号頁・発行日
vol.19, pp.487-492, 2003 (Released:2011-06-27)
参考文献数
4

Relation between beach erosion and the development of coastal forest was investigated by comparing past aerial photographs, taking the Heisa-ura coast in Chiba Prefecture as the example. Sand dune has been well developed at this coast due to the strong wind-blown sand in winter in the past. In order to prevent the damage due to wind-blown sand, coastal forest has been extensively planted. However, excess development of coastal forest in recent years as well as the construction of earth dike along the coastal forest caused shoreline recession by the excavation of beach sand to supply the construction materials. Appropriate land management isrequired between the coastal forest area and the shore protection area in order to avoid devastation of natural sandy beach.
著者
杉本 公一 小林 純也 北條 智彦
出版者
一般社団法人 日本鉄鋼協会
雑誌
鉄と鋼 (ISSN:00211575)
巻号頁・発行日
vol.103, no.1, pp.1-11, 2017 (Released:2016-12-31)
参考文献数
132
被引用文献数
1 24

This paper introduces the microstructure, retained austenite characteristics, strain-induced transformation-deformation mechanism and mechanical properties of transformation-induced plasticity (TRIP)-aided martensitic (TM) steels for the automotive applications. Because the microstructure consists of a wide lath-martensite structured matrix and a mixture of narrow lath-martensite and metastable retained austenite (MA-like phase), the TM steel produced a good combination of tensile strength and cold formability. If Cr and/or Mo were added into 0.2%C-1.5%Si-1.5%Mn steel to enhance its hardenability, the resultant TM steel achieved superior notch fatigue strength and impact and fracture toughness to conventional structural steel such as SCM420. These enhanced mechanical properties were found to be mainly caused by: (1) plastic relaxation of the stress concentration, which results from expansion strain on the strain-induced transformation of the metastable retained austenite; and (2) the presence of a large quantity of finely dispersed MA-like phase, which suppresses crack or void initiation and subsequent connection.
著者
稲葉 佳之 厳 網林
出版者
公益社団法人 日本都市計画学会
雑誌
都市計画論文集 (ISSN:09160647)
巻号頁・発行日
vol.44.3, pp.55-60, 2009-10-25 (Released:2017-01-01)
参考文献数
10

本研究は、都市近郊地域における農地利用の粗放化、つまり耕作放棄や駐車場・置場等への転用の発生について、20年間・5時期の時系列的変遷とそこから生じる空間パターンを解明することを目的とする。対象地域は神奈川県藤沢市西北部の市街化調整区域およそ737haとし、1/2500スケールで粗放地6種類、農地2種類、都市的土地利用2種類の土地利用図をGISで作成し、土地利用政策、農業政策、空間条件指標との関連を考察した。結果、20年間で全転換面積中の粗放地のシェアが拡大していること、粗放地を経由した都市的土地利用への転換が大きく減少し、粗放地が土地利用転換過程の一時的な利用形態ではなくなっている可能性があること、また、農用地区域、圃場整備などの農業政策は一部を除いて粗放地の発生を十分に抑制しない可能性があることが明らかとなった。
著者
斎藤 豊 松田 尚久 中島 健 坂本 琢 山田 真善 斎藤 彰一 池松 弘朗 和田 祥城 岡 志郎 河野 弘志 佐野 寧 田中 信治 藤井 隆広 工藤 進英 浦岡 俊夫 小林 望 中村 尚志 堀田 欣一 堀松 高博 坂本 直人 傅 光義 鶴田 修 樫田 博史 竹内 洋司 町田 浩久 日下 利広 吉田 直久 平田 一郎 寺井 毅 山野 泰穂 金子 和弘 山口 裕一郎 玉井 尚人 中野(丸山) 尚子 林 奈那 岩館 峰雄 石川 秀樹 吉田 茂昭 The Japan NBI Expert Team (JNET)
出版者
一般社団法人 日本消化器内視鏡学会
雑誌
日本消化器内視鏡学会雑誌 (ISSN:03871207)
巻号頁・発行日
vol.58, no.11, pp.2314-2322, 2016 (Released:2016-11-20)
参考文献数
14

現時点で日本から提唱されている大腸NBI拡大分類(佐野分類,広島分類,昭和分類,慈恵分類)の臨床研究の結果から,大腸病変における質的・量的診断に対して,NBI拡大観察の有用性が数多く報告されている.また欧米と日本の共同グループから非拡大でも使用可能な分類としてNICE分類が提唱された.学会・研究会で討論を重ねるに従い,ⅰ)同一類似所見に対して複数の定義呼称が存在する,ⅱ)拡大内視鏡分類におけるSurface patternの必要性の有無,ⅲ)隆起型,表面型病変におけるNBI所見の相違などの問題点が議論されるようになった.2011年,この問題を解決するべく,大腸拡大NBI統一分類作成を目的とするThe Japan NBI Expert Team(JNET)が吉田茂昭先生の声かけのもと結成され,国立がん研究センターのがん研究開発費の班会議で検討が行われた.まずワーキンググループが結成され,JNET分類の元となるスケールが形成され,会議で了承を得た.このJNETスケールを元にWeb-baseでVessel pattern, Surface patternの診断精度を検討し,単変量・多変量解析の結果を基に議論を重ねたのち,2014年6月大腸拡大NBI統一分類がmodified Delphi methodによるコンセンサスを得て提唱されるに至った.JNET大腸拡大NBI分類はVessel pattern, Surface patternのカテゴリーからなるType 1,2A,2B,3の4分類に分類される.Type 1は過形成性ポリープ,Type 2Aは腺腫~低異型度癌(Tis),Type 2Bは高異型度癌(Tis/T1a),Type 3は高異型度癌(T1b~)の病理所見に相関する.所見の目合わせに関して現在班会議,日本消化器内視鏡学会附置研究会において議論を重ねている段階である.
著者
小林 快次
出版者
北海道大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2015-04-01

デイノケイルスの含気化は、生命史上最も巨大化した動物である竜脚類を超えるものであった.この含気化はデイノケイルスの祖先系の種に見られることから,初期の段階で確立しており,進化とともに含気化が進むことで巨大化を可能としたと考えられる.また,頭骨は,広いくちばし,深い下顎,長い吻部と言った特徴を持つ.これらは採餌と食べ物の細分化を可能とした構造を持っていた.さらに,体内の胃石は円磨度が高く,胃における物理的な消化活動の高さを持っていたと考えられる.脊椎の長い神経棘は,他の恐竜よりもかなり複雑な構造をしている.長い神経棘には複数の機能があり,必要に応じてその機能のウエイトを変えて進化したと考察した.
著者
比嘉 基紀 川西 基博 米林 仲 崎尾 均
出版者
日本緑化工学会
雑誌
日本緑化工学会誌 (ISSN:09167439)
巻号頁・発行日
vol.40, no.3, pp.451-456, 2015 (Released:2016-04-19)
参考文献数
25
被引用文献数
1

日本の主要河川では,侵略的外来種ハリエンジュの分布拡大が問題となっている。本研究では,埼玉県荒川河川敷のハリエンジュ若齢林の伐採跡地で刈り取り試験を行い,本種の刈り取りによる管理について検討した。2007年 1月に伐採跡地に刈り取り頻度 (年 1~3回) の異なる調査区を 10個設置した。5年間試験を行い,処理間で萌芽再生量の経年変化を比較した。年 1回処理区では開始翌年にすべての調査区で萌芽再生量が増大した。3年目以降は,萌芽再生量は減少傾向にあったが,初年度と大きな差は認められなかった。一方,年 2,3回処理区では,開始翌年から萌芽再生量の減少が認められたことから,刈り取りを継続することで萌芽再生量は抑制できると考えられる。萌芽再生量の減少率をもとに萌芽再生量が 0.1 kg/100 m2となるまでの年数を推定した結果,年 2回以上の刈り取り区では 6~8年間であった。しかし,調査地周辺は明るく開けており,刈り取りを停止すると萌芽が再生する可能性がある。このため,実際にハリエンジュを枯死させるためには作業をさらに数年程度継続する必要があると推察される。
著者
小牟田 清 五十嵐 敢 舛谷 仁丸 前田 恵治 元村 卓嗣 小林 知加子
出版者
特定非営利活動法人 日本肺癌学会
雑誌
肺癌 (ISSN:03869628)
巻号頁・発行日
vol.32, no.1, pp.69-74, 1992-02-20 (Released:2011-08-10)
参考文献数
14

CDDPを中心とする化学療法を施行後腎機能障害を来した肺癌症例に対し, 腎機能障害の指標としてBUN. Cr. Ccrを測定しPGE1の治療効果を検討した. 化学療法には, CDDP, VDS, MMCまたはCDDP, VP-16が用いられた.PGE1は60μgを一日2回10日ないし14日間点滴投与した. その結果, 7症例中6症例に於て腎機能の改善が認められた. PGE1の治療効果を明らかにするため動物実験を行った. CDDPが投与されたICR系マウスは血清BUN, Crの高値が認められ, 組織学的に尿細管障害も明らかであった.しかし, PGE1投与はこれらの障害を防止または軽減した.以上より, CDDP投与後の腎障害に対しPGE1が治療効果を示すことが明らかとなった.今後, CDDPの投与量の改善を含めた投与方法の改良の可能性が示唆された.
著者
瀬古 俊一 青木 良輔 井原 雅行 小林 透
雑誌
研究報告グループウェアとネットワークサービス(GN)
巻号頁・発行日
vol.2013-GN-86, no.15, pp.1-8, 2013-01-09

本研究では, Web 上の欲しい情報を簡易かつ容易に取得可能なユーザインタフェース, InfoSkin を提案する.手軽な情報取得を実現するために実世界でのウィンドウショッピングの行動メタファに着目した.本研究では,そのメタファに基づいて情報の取捨選択を容易に行えるユーザインタフェースを設計・実装し,検証実験を行った.その結果,提案方式が既存のユーザインタフェースと比較して情報に対する興味・認識を向上させる効果があるとともに,ユーザビリティに優れていることを示した.
著者
下村 智子 若林 一郎
出版者
公益社団法人 日本産業衛生学会
雑誌
産業衛生学雑誌 (ISSN:13410725)
巻号頁・発行日
vol.52, no.1, pp.21-21, 2010 (Released:2010-02-05)
参考文献数
10
被引用文献数
1 3

事業所での定期健康診断における貧血有所見率の地域差:下村智子ほか.兵庫医科大学環境予防医学―貧血項目は労働安全衛生法により定期健康診断の法定項目に含まれている.本研究では事業所定期健康診断における貧血有所見率の地域差について調査し,その要因について検討した.平成14年度の全国都道府県別の定期健康診断の有所見率について,生活習慣と関連する主な7項目中で特に貧血有所見率に注目し,都道府県別の諸因子との関連性についてSpearman順位相関係数を用いて検討した.貧血有所見率には地域差(5.2-11.7%)が見られ,岩手県,秋田県,山形県などの東北地方と,福井県,島根県,長崎県などで高い傾向を示した.都道府県別の貧血有所見率は血圧,血中脂質,肝機能,心電図,血糖,尿糖のすべての項目の有所見率と有意な相関を示した.都道府県別の貧血有所見率は貧血の受療率と有意な相関を示したが,子宮筋腫患者数や子宮悪性新生物粗死亡率とは有意な相関を示さず,鉄欠乏性貧血患者数や鉄摂取量との間にも有意な相関は見られなかった.都道府県別の貧血有所見率は,女性人口比率,女性就業者比率および就業者平均年齢と有意な相関を示し,一方,大規模事業所(300人以上の従業員数)の割合(50人以上の従業員数の全事業所数に対する)とは有意な負の相関を示した.事業所定期健康診断の貧血有所見率には大きな地域差が見られるが,その要因としての性器出血を伴う婦人科疾患の頻度や食事性鉄摂取量の関与は少なく,事業所での衛生管理状態や女性就業者比率を反映する可能性が示唆された. (産衛誌2010; 52: 21-27)
著者
小林 桂子 渡辺 勇士
雑誌
情報処理
巻号頁・発行日
vol.56, no.3, pp.278-281, 2015-02-15

ビジュアル言語「Viscuit」を利用したプログラミングワークショップを数多く実施した経験から,技術や知識だけでなく「創造性」を育むことを目的に,小学生を対象にしたコンピュータ上でクリエイティビティを発揮する能力を育てるレッスンとそのカリキュラムを制作し実施した.子供達がプログラミングを楽しく理解するための「設計図」,制作に集中し,自分に自信をつける「発表会」など,授業課題やレッスン方法を工夫した.
著者
友松 雄一郎 芳野 純治 乾 和郎 若林 貴夫 奥嶋 一武 小林 隆 三好 広尚 中村 雄太 神谷 直樹 三浦 正剛
出版者
一般社団法人 日本消化器内視鏡学会
雑誌
日本消化器内視鏡学会雑誌 (ISSN:03871207)
巻号頁・発行日
vol.49, no.2, pp.178-184, 2007-02-20 (Released:2011-05-09)
参考文献数
39
被引用文献数
4

大腸憩室出血の特徴を,特に抗血栓薬に着目して検討した.2002年7月~2005年11月までに下部消化管出血にて大腸内視鏡検査を実施した332例のうち,大腸憩室出血と診断されたのは32例(9.6%)であった.大腸憩室出血は65歳以上の高齢者が90.6%と大部分を占めた.出血部位は左側結腸78.1%,右側結腸21.9%,出血形態は凝血塊付着81.3%,湧出性出血15.6%,噴出性出血3.1%であった.憩室は多発93.8%,単発6.2%であった.輸血を必要としない軽症は81.3%,内視鏡治療の必要がなかったものが81.3%と大部分を占めた.抗血栓薬の内服率は50%(16/32)と他の下部消化管出血をきたした疾患に比べて高値であった.大腸憩室出血例の半数は抗血栓薬を内服しており,高齢者が大部分を占めることから,大腸憩室を有する高齢者への抗血栓薬投与は出血の主な誘因の一つと考えられた.
著者
東海林 慶一 鈴木 潤一郎 田邊 正宏 篠永 充良
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. A・P, アンテナ・伝播 (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.109, no.454, pp.19-24, 2010-03-01
参考文献数
8

レーダ性能の向上を図る技術として,近年,研究が行われているMIMOレーダでは,送信信号波形同士の相関性を低く抑えて,各送信源からの送信に対する目標反射信号を独立に処理することが必要となる.本報告では,MIMOレーダの送信波形として同一中心周波数の位相符号変調信号の適用を想定し,各送信源から送信される信号同士の相関性を除去することにより,独立処理を可能とするパルス圧縮処理方式について提案する.シミュレーションにより提案方式によるパルス圧縮性能評価を行った結果,相互相関処理におけるピークレベル,及び自己相関関数の出力サイドローブを0にし,かつ比較的少ないS/N損失で符号チップ幅と同等の圧縮パルス幅が実現できることを確認した.
著者
林 紀乃 原田 一樹 福永 龍繁
出版者
一般社団法人 日本てんかん学会
雑誌
てんかん研究
巻号頁・発行日
vol.34, no.3, pp.628-636, 2017

<p>東京都監察医務院(東監医)は、東京23区内の異状死を検案し、死因がわからない場合は行政解剖を施行する。過去20年間(1995年から2015年)、東監医で異状死として取り扱われたてんかん関連の死亡について、その状況と死因に関して調査、検討した。死因に関与する疾患として、てんかんがあったものは364例(全検案数の0.15%)で、201例(55.2%)は行政解剖を施行されていた。直接死因は、いわゆるSUDEPに相当するようなてんかん発作に起因した急死が最も多く191例(52.5%)と全体の半数以上を占めた。男性135人、女性56人と男性が女性の2.5倍であり、半数以上が就寝中に急死していた。2番目には溺死が多く、106例(男性52例、女性54例)で、男女差は殆どなかった。特にてんかん症例では通常の浴槽内死亡に比して、上半身が浴槽内、足が浴槽外で沈んでいる姿が多いことがわかった。</p><p>(本稿は第50回日本てんかん学会学術集会、企画セッション11 SUDEPを探るの講演内容を元に作成した)</p>