著者
八木 聖太 梶並 知記
出版者
一般社団法人 日本デジタルゲーム学会
雑誌
日本デジタルゲーム学会 夏季研究発表大会 予稿集 2023夏季研究発表大会 (ISSN:27584801)
巻号頁・発行日
pp.131-135, 2023 (Released:2023-10-28)
参考文献数
4

本稿では,First Person Shooter(FPS)の試合観戦者を対象とした,実況解説の補足情報を検討する.スピード感のある戦闘が複数場所で展開される FPS において,典型的な実況解説では,相手を倒したシーンやキャラクタの位置を主な対象としている.本稿では,実際の実況解説の映像から,実況解説者の発話を抽出し,内容に基づく分類を行うほか,観戦者に対する聞き取り調査を行い,補足情報を検討する.
著者
花岡 輝彦 樋口 宗隆 梶本 貴紀 池田 卓 藤田 弘輝
出版者
マツダ株式会社
雑誌
マツダ技報 (ISSN:02880601)
巻号頁・発行日
vol.39, pp.235-240, 2022 (Released:2022-12-26)
参考文献数
3

近年,電気自動車に搭載されるリチウムイオン電池は高エネルギー密度化,高出力密度化が進んでおり,それに伴い異常時の電池の発火リスクが高まるなどの安全性低下が懸念されている。特にLiNi0.8Mn0.1Co0.1O2等のニッケル比率の高い層状岩塩型の活物質を正極に用いた電池セルは,エネルギー密度が高い一方で,内部短絡などの異常発生時において発熱量が大きいため安全性が低下することが報告されており,これら材料を含む車載用電池パックの安全性の確保が課題となっている。この課題に対して,電池の安全性をシミュレーションモデルで検証することで開発の手戻り削減などの効率化が期待できる。そこで本研究では活物質の組成の違いがセル異常時の発熱量に及ぼす影響を明らかにし,異常時の電池セル及びモジュールの温度挙動を素早く計算できる1次元シミュレーション技術を確立した。また,モジュールの安全性の向上を目的に,構築したモデルを用いてモジュール部材の材質変更による温度上昇抑制の効果検証を実施した。本稿ではその取り組みについて報告する。
著者
梅本 宗宏 森田 武 梶田 秀幸 平島 岳夫
出版者
公益社団法人 日本コンクリート工学会
雑誌
コンクリート工学 (ISSN:03871061)
巻号頁・発行日
vol.55, no.10, pp.869-873, 2017 (Released:2018-10-01)
参考文献数
2

日本建築学会では,各種構造材料の火災時を想定した高温性状に関する情報を体系的に整理・取りまとめた「構造材料の耐火性ガイドブック 2017」(第3版)を2017年2月に刊行した。本ガイドブックでは,建築で用いられる構造材料を,コンクリート材料・鋼材・木質系材料・アルミニウム合金および新材料(FRP,ガラス,膜材料等)の5つに大分類し,火災時および火災後を想定した材料の高温性状に関する文献調査ならびに系統的な整理を行っている。本稿は,本ガイドブックの概要を報告する。
著者
谷口 尚大郎 永濵 清子 岩切 美津代 平井 亜優美 梶原 睦美 長野 文子 有村 保次
出版者
一般社団法人 日本糖尿病学会
雑誌
糖尿病 (ISSN:0021437X)
巻号頁・発行日
vol.66, no.3, pp.199-207, 2023-03-30 (Released:2023-03-30)
参考文献数
24

糖質の過剰摂取は肥満や2型糖尿病を増加させ,糖尿病患者の血糖管理を悪化させる.本研究では,19人の健常成人を対象に,カロリー算出に係る糖質量が100 g当たり5 g未満を満たす低糖質ケーキ摂食後の糖・脂質代謝に及ぼす影響を通常ケーキ摂食後と比較するランダム化単盲検プラセボ対照群間比較試験を行った.主要評価項目の食後60分の血糖値に有意差はなかったが,副次評価項目の血糖およびインスリンの食後30分値,上昇曲線下面積および最大増加量は低糖質ケーキ群が有意に低かった.活性型GLP-1は,食後60分以後に低糖質ケーキ群で有意に高かった.遊離脂肪酸が食後90分以後に低糖質ケーキ群で高かったが,食前からの上昇はなかった.中性脂肪,RLP-C,ApoB-48に群間差はなかった.以上より,健常成人において低糖質ケーキは血糖上昇を抑え,活性型GLP-1濃度を上昇させた.長期摂食による健康影響は今後の課題である.
著者
竹内 康雄 田阪 茂樹 梶田 隆章
出版者
東京大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2000

本研究では、まず脱気された純水中からの極微量ラドン分離方法に関して研究を進めた。脱気水中のラドンを安定して効率よく分離するために、中空糸膜モジュールを採用した。市販されている中空糸膜モジュールを本研究用に特注で加工をし、アクリル製の円筒容器に収めてラドン検出器下部に連結した。他の水中ラドン分離手段として、異なる中空糸モジュールのマウント方法や、空気用ポンプを用いる方法も試みたが、いずれも効果的ではなかった。次に、本研究で試作された700L脱気水用ラドン検出器を用いて各種特性試験を行った。700L脱気水用ラドン検出器の水中ラドンに対する校正定数は、14.6±2.1(count/day)/(mBq/m^3)が得られた。これまでスーパーカミオカンデで使用されていた70Lラドン検出器の脱気水に対する校正定数は0.3(count/day)/(mBq/m^3)程度であったので、約40倍程度感度が向上したことになる。また、バックグラウンドレベルを考慮すると、700L脱気水用ラドン検出器の水中ラドンに対する検出限界は0.7mBq/m^3に相当する。これらの成果は論文にまとめてNIM A誌に投稿し、受理された。(2002年10月現在)一連の成果を論文にまとめた後、700L脱気水用ラドン検出器の性能をさらに向上させるため、ウラン238の含有量を約1/50に削減した新しい低バックグラウンドのPINフォトダイオードを試作した。また、検出容器内の電場を最適化することにより、空気中ラドンに対する検出効率を約2倍向上させた。今後は、電場の最適化をした容器と新低バックグラウンドフォトダイオードを用いたラドン検出器を構築し、特性および検出限界について研究を進めていく予定である。
著者
梶原 都香紗 松岡 弘道 小山 敦子
出版者
一般社団法人 日本心身医学会
雑誌
心身医学 (ISSN:03850307)
巻号頁・発行日
vol.61, no.5, pp.460-466, 2021 (Released:2021-07-01)
参考文献数
13

はじめに : パニック症に対するEMDR (眼球運動による脱感作と再処理法) が報告されているが, 今回EMDRを実施することなく, EMDR導入前に用いる安定化技法のみでパニック症の軽快と自己コントロール感への影響が認められた症例を経験したので報告する.  症例 : 20代女性. パニック症. 抑うつ状態. 受診時の胸のざわつき, 電車乗車時のパニック症状出現に対する不安に対し, それぞれ安定化技法の 「拡張版コンテイナー・テクニック」 を実施し, SUDs (主観的障害単位) の減少が認められた. 本人も効果を実感し, 自己にて練習することとなった. 「安全な場所」 を実施し, 新幹線にも乗ることが可能となった. 本人も自信がついたと語り, その後の心理面接では過剰適応に対する気づきが認められた.  考察 : 安定化技法は, パニック症状の軽減, 自己コントロール感の向上を促し, 過剰適応な対人関係のパターンにも影響を与える可能性がある.
著者
吉川 義之 福林 秀幸 高尾 篤 竹内 真 松田 一浩 安川 達哉 梶田 博之 杉元 雅晴
出版者
一般社団法人日本理学療法学会連合
雑誌
理学療法学 (ISSN:02893770)
巻号頁・発行日
vol.37, no.7, pp.470-476, 2010-12-20 (Released:2018-08-25)
参考文献数
19
被引用文献数
6

【目的】本研究の目的は,音叉を用いた振動覚検査で転倒予測が可能であるかを検討することである。【対象】認知症および中枢神経疾患を除外した,歩行が可能な当院外来患者,通所リハビリテーション利用者で6ヵ月間追跡調査が可能であった62名である。【方法】音叉を用いた振動覚検査とTimed “Up & Go” Test,10m自由歩行時間,Modified-Functional Reach Testの4項目を実施した。転倒は測定日より6ヵ月間追跡し有無を確認した。統計処理は,転倒の有無により転倒群と非転倒群に分け比較を行った。また,各検査についてはROC曲線からカットオフ値を求め,精度を確認した。【結果】測定後6ヵ月間に転倒した対象者は22名(転倒率:35.5%)であった。転倒群と非転倒群の比較では,すべての検査において非転倒群の成績が有意に優れていた。ROC曲線の曲線下面積では,振動覚検査が0.83で,他の検査と同等であった。振動覚検査のカットオフ値については5.5秒であり,感度は77%,特異度は68%,正答率は71%であった。【結語】音叉を用いた振動覚検査は,転倒予測の検査として有用であった。
著者
古川 貴大 松井 尚子 田中 恵子 和泉 唯信 梶 龍兒
出版者
日本神経学会
雑誌
臨床神経学 (ISSN:0009918X)
巻号頁・発行日
pp.cn-000924, (Released:2017-01-28)
参考文献数
14
被引用文献数
4 3

症例は33歳女性.耳下腺炎後に情動失禁や運動性失語,両側の側方注視麻痺,痙縮がみられ,MRIで中脳大脳脚から内包後脚,中小脳脚,前頭葉皮質下の白質に異常信号を認めた.以前から眼や口腔の乾燥感があり,入院後にシェーグレン症候群(Sjögren’s syndrome; SjS)の合併が判明し,抗アクアポリン4抗体が陽性であった.ステロイドパルス後の単純血漿交換療法が著効した.ステロイド減量中に大脳に再発を来したが,免疫抑制剤導入後は再発なく経過した.本症例は耳下腺炎を契機に発症しており,唾液腺炎が視神経脊髄炎関連疾患の病態に関与している可能性が示された.
著者
梶川 萌
出版者
一般社団法人 日本教育学会
雑誌
教育学研究 (ISSN:03873161)
巻号頁・発行日
vol.90, no.1, pp.1-12, 2023 (Released:2023-06-20)
参考文献数
21

本稿の目的は、測定の技術をめぐるジョン・デューイの洞察を手がかりに、そこで個性概念がどのようにとらえられているのかを明らかにすることである。デューイにおいて、個性と測定の技術とのかかわりは、知能テスト批判を契機として1920年代に問われ、産業化社会や物理学の発展等の社会状況を背景に1930年代を通じて考察が深められた。その際、個性概念の内実が多元性を有するものから予測されえなさの源へと変化したことが明らかとなった。
著者
竹渕 瑛一 梶並 知記 徳弘 一路 速水 治夫
雑誌
マルチメディア,分散協調とモバイルシンポジウム2016論文集
巻号頁・発行日
vol.2016, pp.1840-1847, 2016-07-06

本論文では,ベース音を用いることで,Chroma-Vector 法で得られる音階情報を音程情報に変換することで,和音認識のパターンマッチを簡略化するための手法を提案する.本研究では,和音と倍音の調波構造に着目することで,音程情報をビットフラグと見立て,演奏情報と和音とのパターンマッチングを行った.評価実験では,著者の一人が試作システムとエレキギターを用いてコードを繰り返し弾弦することで実施した.評価実験の結果,完全一致では F 値が 19.1%,部分一致では F 値が 30.8% となったが,実験中の目視によってどのコードが弾弦されたのか理解できる結果となった.従って,提案手法と機械学習の組み合わせで認識率を向上させることが可能と考えられる.今後の課題として,演奏者がうまく弾けない状況やエレキギターの調波構造を考慮することである.先行研究のように音響信号から和音を認識するアプローチから,押弦位置を認識するアプローチで課題を解決できると考えられる.
著者
甲嶋 秀平 梶井 憲弘 細井 厚志 川田 宏之
出版者
一般社団法人 日本機械学会
雑誌
日本機械学会論文集 (ISSN:21879761)
巻号頁・発行日
vol.85, no.871, pp.18-00435, 2019 (Released:2019-03-25)
参考文献数
25

Carbon fiber reinforced plastics (CFRPs) are widely used as components of marine structures. Thus, it is important to understand the degradation of the mechanical properties and its mechanism under seawater immersion. The object of this study is the influence of seawater immersion on the mechanical properties of plain woven CFRP laminates. Static tensile test and tensile fatigue test were carried out on the CFRP immersed different time under seawater for 300, 2500 and 5400 hours. The mechanical properties immersed for 300 hours was almost the same value compared with those of no immersion. However, the tensile strength immersed for both 2500 and 5400 hours reduced by 22.5% compared with that of no immersion. Then, from the fatigue results, in the low-cycle fatigue region, the fatigue strengths decreased as immersion time was longer, on the other hand, in the high-cycle fatigue region, the fatigue strength did not change significantly regardless of immersion time. As a result, the inclination of S-N curves became gentle as immersion time was longer. From observation of fracture surfaces by scanning electron microscopy (SEM), it was shown that the fiber/matrix interface deteriorated remarkably after seawater immersion. Moreover, the difference of damage growth behaviors due to immersed in seawater under fatigue loading was investigated using soft X-ray photography. On specimen immersed in seawater, the accumulation of damage expanded more widely due to interface degradation compared with that of no immersion. Considering these results, it was suggested that the static tensile strength depended on load transmission efficiency between fiber and matrix, on the other hand, the fatigue strength in high cycle fatigue region depended on the strength of fiber along 0° that had small influences by seawater immersion.
著者
梶原 太一
出版者
日本会計教育学会
雑誌
会計教育研究 (ISSN:21885575)
巻号頁・発行日
vol.11, no.1, pp.11_7-11_16, 2023-06-01 (Released:2023-07-12)
参考文献数
8

本稿は,遠隔授業時代の大学会計教育の担当者がどのような課題や変化に直面しているのかを解明するために,質問票調査を実施し,回答結果に見られる傾向を考察する。特に,会計教育の内容・方法・目標の変化,遠隔授業への対応と評価,遠隔授業と学習者中心の教育パラダイムの関係等を検証する。会計教育の内容・方法・目標に関する先行調査との比較では,遠隔以前と同様の傾向が観察され,遠隔授業時代にあっても不変の会計教育の本質の一端が示された。教授法の違いに注目すると,学習者同士の協調的な学習を志向する場合ほど,教員の感じる遠隔授業のつらさが高まり,対面授業を希求する兆候が示された。遠隔の弱点には,学生間や教員との交流の制限,教員による学生の反応や理解度の把握の困難,とする回答が多く寄せられた。遠隔でのフィードバック機能を兼ね備えた新しいテクノロジー等でこの弱みを克服できれば,遠隔授業の可能性は拡大する。
著者
森 正樹 川田 裕一 湖山 信篤 今村 洋 昆野 博臣 熊沢 健一 芳賀 陽子 矢川 裕一 芳賀 駿介 梶原 哲郎 榊原 宣 市岡 四象
出版者
The Japan Society of Coloproctology
雑誌
日本大腸肛門病学会雑誌 (ISSN:00471801)
巻号頁・発行日
vol.38, no.3, pp.265-270, 1985 (Released:2009-06-05)
参考文献数
23
被引用文献数
1 1

潰瘍性大腸炎に慢性関節リウマチ様の末梢型関節炎がみられることはよく知られているが,真の慢性関節リウマチと潰瘍性大腸炎の合併はまれである.われわれは慢性関節リウマチの治療中に発症した潰瘍性大腸炎の1例を経験した.症例は37歳の女性で,昭和51年7月頃より関節症状出現,53年7月典型的慢性関節リウマチと診断された.非ステロイド性抗炎症剤の内服,ステロイド剤の関節内注入により治療されていたが,58年2月頃より消化器症状が出現した.同年8月当科入院,潰瘍性大腸炎(左側大腸炎型,活動期,重症,初回発作型)と診断された.潰瘍性大腸炎は絶食とサラゾスルファピリジン,プレドニゾロンなどの全身投与により寛解した.慢性関節リウマチにみられる潰瘍性大腸炎以外の病変についても文献的に考察した.