著者
伊藤 貴之 梶永 泰正 池端 裕子
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理学会研究報告グラフィクスとCAD(CG) (ISSN:09196072)
巻号頁・発行日
vol.2001, no.89, pp.65-70, 2001-09-13
被引用文献数
5

例えば、計算機のファイルシステム。例えば、大会社の人事組織。例えば、Yahoo に代表されるカテゴリ分類型のウェブサイト。身のまわりには、階層構造で整理されたデータは非常に多く存在する。これらの階層型データを対話的に表現するGUI の大半は、まず上位階層を表示し、ユーザーの選択操作によって徐々に局所的に下位階層を表示させるように構築されている。これらのGUI とは逆に、最初から階層型データ全体を一画面に展開して表示することで、データの分布を一目で理解するような視覚化手法はないものか、ちょうど宝石店のショーケースのようにデータ全体を見渡せる視覚化手法はないものか? という発想が本報告の動機である。本報告で提案する視覚化手法は、まず最下位階層を構成するデータのアイコンを長方形で囲み、その長方形の集合を囲む長方形を作成して上位階層を表現し ? という処理を最上位階層まで反復することで、データを画面空間に配置する。画面空間を有効活用するために、本手法では長方形をできるだけ隙間なく配置して占有空間の最小化を図る。画面空間中の隙間を高速に探し出すために、本手法では長方形の中心点群を連結する三角メッシュを生成し、面積の大きい三角形要素の内部に長方形を配置し、その長方形の中心点を追加することで三角メッシュを更新する・・・という処理を反復している。File systems of computers, company organizations, and category-based search websites such as Yahoo. We see many kinds of large-scale hierarchical data in our daily life. Most of GUI for these data first represent the higher-level of the data, and provide the interface so that users can select their interested portion of the data and locally explore the lower-levels. On the other hand, there are not so many visualization techniques that give the overview of the data by locating whole lower-level data onto a display space. How we can realize such technique that distributes the data like a showcase of jewel shops? … That is the motivation of this paper. The paper presents a visualization technique that locates whole lower-level portion of hierarchical data on a display space. It first generates rectangles that enclose icons of the lowest-level data. It then repeats the process of generating rectangles that enclose the lowest-level rectangles, until the highest-level rectangles are enclosed by the largest rectangle. To minimize the occupation of display spaces, our technique efficiently searches for gaps that rectangles can be located without overlaps with adjacent rectangles. We use Delaunay triangular meshes that connect centers of rectangles to quickly search the gaps.
著者
赤木 剛士 梶田 啓 木部 隆則 森村 春香 辻本 誠幸 西山 総一郎 河井 崇 山根 久代 田尾 龍太郎
出版者
園芸学会
雑誌
Journal of the Japanese Society for Horticultural Science (ISSN:18823351)
巻号頁・発行日
vol.83, no.3, pp.214-221, 2014 (Released:2014-07-31)
参考文献数
44
被引用文献数
4 28 2

雌雄性は作物の栽培そして育種の大きな制限要因となる.カキ(Diospyros kaki Thunb.)の雌雄性に関してこれまでに多くの形態学的な観察が行われ,カキは雌雄混株あるいは雌性両性異株とされている.しかしながら,カキにおける雌雄性の遺伝制御機構は明らかにされていない.本研究では,カキ(六倍体あるいは九倍体)の近縁野生種であり,雌雄異株であるマメガキ(D. lotus L.)(二倍体)を用い,交雑分離集団を作出し,雌雄分離の調査を行った.また同じ集団を用いて AFLP 解析によって雌雄性判別のための分子マーカーの開発を試みたところ,雄性と共分離を示す 2 種類の AFLP バンド(DlSx-AF4 および DlSx-AF7)が同定された.このため,マメガキの雌雄性は,他の多くの雌雄異株の植物種と同じく,単一の遺伝子座(ハプロブロック)によって支配される雄性異型接合型(XY 型)であることが明らかになった.しかし,DlSx-AF4 から作製した SCAR マーカー DlSx-AF4S および雌雄性形質の分離は,一遺伝子座支配における理論値である 1:1 から有意に雌性側に偏り,1:2 に近い分離を示した.DlSx-AF4S はカキにおいても雄花の着花性と相関を示し,カキの雌雄性もマメガキと同様の遺伝制御を受けていること,ならびにカキの育種における DlSx-AF4S を用いたマーカー選抜の可能性が示された.
著者
梶 克彦 平田 圭二 長尾 確
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理学会研究報告音楽情報科学(MUS) (ISSN:09196072)
巻号頁・発行日
vol.2004, no.127, pp.33-38, 2004-12-12
被引用文献数
7

現在、プレイリスト(楽曲推薦リスト)の生成技術は、ユーザを楽曲配信サービスや楽曲の購入サイトに誘導することができるため音楽業界の活性化につながる有力な手段の一つと考えられている。本研究では、楽曲の類似度、ユーザ嗜好の類似度を判別するために、歌詞とアノテーションを利用し、視聴時のユーザの状況にあわせたプレイリストを生成する仕組みを提案する。またプレイリスト中の気に入った曲などをフィードバックすることにより、インタラクティブに好みのプレイリストを作成することができる。このようなプレイリスト作成のやり取りから、ユーザごとに嗜好、状況に関する特徴量を変化させ、個々のユーザの嗜好、かつそのユーザが置かれた状況に合った選曲ができるように適応していくことができる。Automatic playlist generation is one of the powerful intermediaries for music providing services. Many people can be promoted to music contents. In this paper, we propose a playlist generation scheme. Be using lyrics and annotation, musical similarity and user's similarity is found. Then it generates a plylist according to a user's preference and situation. Additionally, the user can provide a feedback such as a favorite music and whether the playlist is recommendable. The system transform the characteristic values concerning the user's preference and situation so that it adapts to each user.
著者
梶 幹男 澤田 晴雄 五十嵐 勇治 仁多見 俊夫
出版者
東京大学大学院農学生命科学研究科附属演習林
雑誌
東京大学農学部演習林報告 (ISSN:03716007)
巻号頁・発行日
no.106, pp.1-16, 2001-12
被引用文献数
4

秩父山地のイヌブナ-ブナ林における17年間の堅果落下状況の推移から,イヌブナ,ブナともに2年に1回程度結実(総堅果落下量≧20個/m2)することが明らかになった。最大総堅果落下量はブナで992.4個/m2(1993年),イヌブナで943.9個/m2(1988年)であった。ブナおよびイヌブナの豊作年(総堅果落下量≧100個/m2)には明瞭な周期性は認められなかった。両種の豊作年が重なるのは2.3~3回に1回程度であると推定された。ブナとイヌブナの豊作年における平均健全堅果率(健全堅果量/総堅果落下量)は,イヌブナの方がブナよりも有意に高かった。同じく豊作年における両種の平均虫害堅果率(虫害堅果量/堅果落下量)はイヌブナよりもブナが有意に高かった。豊作年における総堅果落下量に占める潜在健全堅果量(健全堅果量+虫害堅果量+鳥獣害堅果量)の割合は7割程度で,平均値は両種間で有意な差がなかった。また,潜在健全堅果量に占める虫害堅果量の割合,すなわち虫害堅果率の平均値はブナがイヌブナよりも有意に高かった。これらのことから,ブナの健全堅果率が低い原因は同種の虫害堅果率が高いことによるものといえる。両種の豊作が同調した1993年と2000年の虫害堅果の落下時期はブナの方が早い傾向にあった。その原因として,ブナ堅果がイヌブナ堅果に比べて,早く成熟時の堅果サイズに達することによるものと推察された。ブナの虫害堅果落下時期は6月初旬~8月初旬および10月中旬~10月下旬に二つのピークが認められた。ブナの虫害堅果落下時期が二山型を示す現象は,東北地方と栃木県高原山においても観察されており,少なくとも東北地方から関東地方に広くみられる現象である可能性が示唆された。ブナ,イヌブナ堅果に共通する主要食害者としてブナヒメシンクイが重要であることが示唆された。日本海側に比べて太平洋側のブナの虫害堅果率が高い原因として,後者は冬期寡雪であることおよびイヌブナとブナが混生しており,両種の豊作年が必ずしも重ならないことが重要であると推論された。In order to investigate the long-term fluctuation of the seed production of beech species, the amounts of fallen nuts of Japanese beech (Fagus japonica Maxim.) and Siebold's beech (F. crenata Blume) were surveyed in sample plots of a natural beech forest in the Chichibu Mountains, Central Japan, for 17 years (1984-2000). Both of the beech species bore fruit (nuts≧20/m2) about half of the years. The maximum total fallen nuts were 992.4 nuts/m2 in Siebold'beech (1993) and 943.9 nuts/m2 in Japanese beech (1988), respectively. The mast year (nuts≧100/m2) interval was irregular. The probability when mast year of both beech species synchronize was estimated about once in 2.3-3 times of the mast year. The average ratio of sound nuts (SN) to total fallen nuts (TFN) of Japanese beech in the mast year was significantly higher than that of Siebold's beech. The average ratio of insect-damaged nuts (IDN) to TFN of Japanese beech in the mast year was significantly smaller than that of Siebold's beech. There was no significant difference between the species in the average ratio of potential sound nuts (PSN=SN+IDN+Animal-damaged nuts) to TFN. The average ratio of IDN to PSN of Siebold's beech was significantly higher than that of Japanese beech. The low average ratio of SN in Siebold's beech was mainly caused by high average ratio of IDN. The falling time of IDN of Siebold's beech nuts tended to be earlier than that of Japanese beech, as the growth of the Siebold's beech nuts is about two month faster than that of Japanese beech. As to the falling time of IDN in the synchronized mast year of both species in 1993 and 2000, Siebold's beech showed two modes at early June-early Aug. and mid Oct.-late Oct. The bimodal pattern for the falling time of IDN in Siebold's beech was also observed at Kunimi, Obonai (northern Honshu) and Mt. Takahara (central Honshu). This fact suggests that the phenomenon of bimodal insect damage on Siebold's beech nuts might be common in Tohoku and Kanto district. Pseudopammene fagivora Komai is one of the most important nut predators, for both Siebold's and Japanese beech. Larger insect damage in Siebold's beech nuts in the Pacific Ocean side in comparison to the Sea of Japan side, might be caused by the two factors that there are much smaller snow in winter and that mast year of two beech species is not always synchronize each other.
著者
大橋 史武 梶原 逸朗
出版者
一般社団法人日本機械学会
雑誌
日本機械学会関東支部総会講演会講演論文集
巻号頁・発行日
vol.2004, no.10, pp.211-212, 2004-03-03

Vibration suppression is very important to boost the performance of advanced mechatronics devices. It has been expected that technology of smart structure will contribute to the development of small and light-weight mechatronics devices with the required performance. The smart structure is composed of the piezoelectric sensor and actuator in order to reduce the structural vibration. The placement of the piezoelectric actuator and H_2 control system are simultaneously optimized based on genetic algorithm to improve the effect on the vibration suppression. It has been verified by applications with an L-shaped beam and a plate-type smart structures that an enhanced performance for the vibration suppression can be achieved by the proposed optimal design method.
著者
梶原 志保子 徳永 隆治 松本 隆
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会論文誌. A, 基礎・境界 (ISSN:09135707)
巻号頁・発行日
vol.77, no.3, pp.408-419, 1994-03-25
被引用文献数
4

本論文は,「いかにして時系列データのみから未知力学系の分岐係数を推定し,その分岐図を再構成するか」というカオス的力学系のための新しい逆問題を設定し,非線形短期予測手法およびKarhunen-Loeve変換に基づく一つの解法を提案する.本手法は,推定対象となる力学係の情報は系数を含めすべて未知と仮定する.また,その有効性および可能性は2係数エノン写像族および3係数ロジスティック・ディレイドロジスティック写像族への適用結果で示される.最後に,この逆問題を基礎にしたいくつかのカオス応用を議論する.
著者
片岡 則之 梶谷 文彦
出版者
川崎医療福祉大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2011

あらかじめ、アクチンフィラメントの重合を可逆的に阻害するサイトカラシンで処理した内皮細胞に単球を投与して浸潤挙動を観察したところ、浸潤した単球が増加した。いっぽう、ざくろに含まれるポリフェノールの代謝物であるエラグ酸はアレルギー等の抑制効果があることが知られている。そこで、培養内皮細胞をIL-1βで活性化、さらには酸化LDLを投与したさせた後にエラグ酸を同時に投与して単球挙動を観察したところ、浸潤した単球数が減少した。単球の内皮下浸潤は、アクチンの構造とともに、酸化ストレスが重要な因子であることが確認された。
著者
柴田 昇 神田 和重 久田 俊記 磯部 克明 佐藤 学 清水 有威 清水 孝洋 杉本 貴宏 小林 智浩 犬塚 和子 金川 直晃 梶谷 泰之 小川 武志 中井 潤 岩佐 清明 小島 正嗣 鈴木 俊宏 鈴木 裕也 境 新太郎 藤村 朋史 宇都宮 裕子 橋本 寿文 御明 誠 小林 直樹 稲垣 泉貴 松本 勇輝 井上 諭 鈴木 良尚 何 東 本多 泰彦 武者 淳二 中川 道雄 本間 充祥 安彦 尚文 小柳 勝 吉原 正浩 井納 和美 野口 充宏 亀井 輝彦 加藤 洋介 財津 真吾 那須 弘明 有木 卓弥 Chibvongodze Hardwell 渡邉 光恭 丁 虹 大熊 直樹 山下 竜二 Liang Guirong Hemink Gertjan Moogat Farookh Trinh Cuong 東谷 政昭 Pham Tuan 金澤 一久
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. ICD, 集積回路 (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.112, no.15, pp.1-5, 2012-04-16

世界最小の19nmのデザインルールを用いて64Gb多値(2bit/cell)NANDフラッシュメモリを開発した。片側All-bit-Line S/A構成、1plane構成によりチップサイズは112.8mm^2。ビット線バイアスアクセラレーション及び"BC"State-First書込みアルゴリズムにより、書き込みパフォーマンスは15MB/sを実現。プログラムサスペンド機能とイレーズサスペンド機能により、リードレイテンシー時間は大幅に短縮。400Mb/s/pin 1.8Vの高速Toggle mode InterfaceをNANDフラッシュメモリとしては初めて搭載した。
著者
梶本 修身 白市 幸茂 大塚 雅生 妹尾 敏弘 川添 尚子 杉野 友啓
出版者
日本補完代替医療学会
雑誌
日本補完代替医療学会誌 (ISSN:13487922)
巻号頁・発行日
vol.9, no.1, pp.31-41, 2012 (Released:2012-04-06)
参考文献数
20
被引用文献数
3

本試験では,新開発 LED 照明による室内環境制御による快適性について,睡眠改善効果および日中使用時の生体への作用により検証するため,成人男性を対象としたランダム化 2 試験区クロスオーバー試験を実施した.ピッツバーグ睡眠質問票 (PSQI) にて睡眠障害の基準である 5 点以上を示す 12 名において,新開発照明または従来照明の条件下で,睡眠 (22:00~7:00) および 4 時間の精神作業負荷を実施した. その結果,睡眠評価において,新開発照明(試験色 1)は眠り SCAN による睡眠状態の評価,セントマリー病院睡眠質問票による主観的評価により,顕著な睡眠改善効果が確認された.さらに,日中使用時の評価において,新開発照明(試験色 2)は,照度が低いにも関わらず,作業能率の低下をはじめ日中の作業時において悪影響となる作用は認められなかった. 新開発 LED 照明は就寝前の適切な照度および色温度の環境をつくり,室内環境の快適性を高める有用な機器であると考えられた.
著者
亀井 隆弘 広田 美江 梶原 秀明
出版者
公益社団法人日本理学療法士協会
雑誌
理学療法学 (ISSN:02893770)
巻号頁・発行日
vol.21, no.1, pp.19-23, 1994-01-31

Duchenne型筋ジストロフィーに対する治療の中で, 運動療法が有効であるかどうかを明らかにするため, 週5回を原則に運動療法を行っている入所中と, ほとんど運動療法を行っていない春休み・夏休み・冬休みの長期外泊中で, 運動機能の変化の仕方に差があるか比較検討した。当院に入所した, または入所中のDMD患者のうち, 10名に3m四ばい移動時間を, 11名に3mずりばい移動時間を, 32名に握力を1年間を通して測定した。1年間の変化としては四ばい移動時間が平均9.6秒, ずりばい移動時間が平均21.5秒増加し, 運動機能の低下がみられた。しかし, 握力に関してはほぼ変化がなかった。また, 1年間を長期外泊中と, 入所中の2つに分け, 各測定項目につき, 1ヶ月当り平均変化率を計算して比較した。その結果, 四ばい移動時間・ずりばい移動時間・握力とも, 長期外泊中に悪化傾向が強まることが明らかになり, 運動療法その他, 病院内の身体活動が運動機能の維持に役立っていることが示唆された。
著者
梶井 一暁
出版者
鳴門教育大学
雑誌
鳴門教育大学研究紀要. 教育科学編 (ISSN:13434403)
巻号頁・発行日
vol.18, pp.13-29, 2003-03-07

The present this writer started case studies on the development of elementary school education of rural Japan in the modern period making use of the record of GAKKOUENKAKUSHI. This paper taking up a case of Shimogurose-village is its first report. GAKKOUENKAKUSHI owned by Shimogurose elementary school in Kurose-town Kamo-district Hiroshima-prefecture is a file of about three hundred and fifty sheets of paper and written about laws and regulations regarding education and events in its school from 19^<th> century onwards in chronological form. Its GAKKOUENKAKUSHI consists of the following four parts. The first is history of organization, the second is history of staff, the third is history of government office director and administrator, the fourth is history of schoolhouse. This paper focuses on four problems concerned with the process of establishment of elementary school education in Shimogurose-village as a farm village: (l) the course of elementary school education in the early Meiji period, (2) the local finance and school management, (3) the elementary school attendance and epidemics, (4) the relationship between elementary school and villagers. Attempting to analize these problems, particularly such a case as Shimogurose-village that historical documents on educational administration was scattered and lost, we should regard GAKKOUENKAKUSHI of the same kind as important.

2 0 0 0 OA 空の思想

著者
梶山 雄一
出版者
駒澤大学
雑誌
駒澤大学佛教学部論集 (ISSN:0389990X)
巻号頁・発行日
vol.10, pp.15-32, 1979-11
著者
常田 邦彦 鳥居 敏男 宮木 雅美 岡田 秀明 小平 真佐夫 石川 幸男 佐藤 謙 梶 光一
出版者
日本生態学会
雑誌
保全生態学研究 = Japanese journal of conservation ecology (ISSN:13424327)
巻号頁・発行日
vol.9, no.2, pp.193-202, 2004-12-25
参考文献数
28
被引用文献数
14 5

最近数10年間におけるシカ個体群の増加は,農林業被害の激化をもたらしただけではなく,シカの摂食による自然植生および生態系の大きな変化を各地で引き起こしている.自然環境の保全を重要な目的とする自然公園や自然環境保全地域では,この問題に対してどのような考え方に基づいて対応するかが大きな課題となっている.知床半島のエゾシカは一時絶滅状態になったが1970年代に再分布し,1980年代半ばから急増して,森林と草原の自然植生に大きな影響を与え続けている.知床半島のシカは冬季の気象条件と餌によって個体数が制限されているとはいえ,メスの生存率は高く,かつ自然増加率が高いために高密度で維特されている.メスも大量に死亡するような豪雪でも来ない限り激減することはない.そのため,自然に放置した場合には,植生への影響は軽減されないだろう.知床におけるエゾシカの爆発的増加が,自熱生態的過程か人為的な影響による要因かを区分することは,現状ではできない.管理計画策定にあたって重要なのは,半島全体の土地利用と自然保全の状況に応じて地域ごとの管理目標を明確にし,総合的な計画を策定することである.また,モニタリング項目として絶滅リスク評価につなげられるような「植物群落の分布調査」が不可欠である.知床国立公園内や周辺地域での生息地復元や強度な個体数管理などを実施する場合は,生態系管理としての実験として位置づけ,シカと植生の双方について長期のモニタリングを伴う順応的な手法を採用していく必要がある.
著者
堀川 俊二 梶谷 真也 川上 恵子 只佐 宣子 伊東 明彦
出版者
公益社団法人 日本薬学会
雑誌
YAKUGAKU ZASSHI (ISSN:00316903)
巻号頁・発行日
vol.133, no.4, pp.473-478, 2013 (Released:2013-04-01)
参考文献数
7

In recent years there has been a rise in the number of diabetic patients in Japan, with the increase in elderly diabetic patients becoming a serious problem. This study looked at 488 elderly type 2 diabetes patients who were admitted as emergency cases to the Department of Internal Medicine, JA Yoshida General Hospital, Akitakada City, Japan. All patients were classified by age into three groups: <70, 70-80 and >80. The most common cause of emergency hospitalization in each of the three age groups was infection. This was significantly higher in the >80 group in comparison with<70 (p<0.05). The most common infection among the three groups was respiratory infection, followed by urinary tract infection. The number of emergency hospitalization cases due to hypoglycemia was much higher in the over 80 group, particularly in comparison with<70-80 (p<0.05). The incidence of hypoglycemia in our patients could be explained mainly by reduced energy intake. Most cases were treated with oral administration of hypoglycemic drugs. As elderly diabetic patients have a number of underlying illnesses that are prone to aggravation and may lead to unfavorable prognosis, early medical examination and disease detection are considered to be important. Pharmacists are required to educate patients, home-visit nursing care personnel on sick-day rule, and provide diabetes care.
著者
梶野 洸 坪井 祐太 佐藤 一誠 鹿島 久嗣
出版者
一般社団法人 人工知能学会
雑誌
人工知能学会論文誌 (ISSN:13460714)
巻号頁・発行日
vol.28, no.3, pp.243-248, 2013 (Released:2013-03-13)
参考文献数
9
被引用文献数
2

Crowdsourcing services are often used to collect a large amount of labeled data for machine learning. Although they provide us an easy way to get labels at very low cost in a short period, they have serious limitations. One of them is the variable quality of the crowd-generated data. There have been many attempts to increase the reliability of crowd-generated data and the quality of classifiers obtained from such data. However, in these problem settings, relatively few researchers have tried using expert-generated data to achieve further improvements. In this paper, we apply three models that deal with the problem of learning from crowds to this problem: a latent class model, a personal classifier model, and a data-dependent error model. We evaluate these methods against two baseline methods on a real data set to demonstrate the effectiveness of combining crowd-generated data and expert-generated data.
著者
梶川 恒雄 野沢 立 尾張 幸久 藤澤 宏光 金子 卓司 野呂 一夫 高田 耕
出版者
社団法人日本泌尿器科学会
雑誌
日本泌尿器科學會雜誌 (ISSN:00215287)
巻号頁・発行日
vol.92, no.5, pp.586-588, 2001-07-20
被引用文献数
2 2

左尿管結石に対するESWLにより,腸管穿孔を起こした症例を経験したので報告する.症例は69歳,男性で,1996年3月に両側総腸骨動脈瘤に対してグラフト置換術を受けていた.1999年2月,左側腹部痛が出現,レントゲン検査で左尿管結石の診断となった(lt.U1,14×8mm).結石は骨盤部まで下降後,下降しなくなったため,入院の上,3月30日,腹臥位でESWLを施行した.終了直後より左下腹部痛を訴え,鎮痛剤で治まらないため,3月31日,CTを施行した.明らかな異常所見を認めなかったが,その後も痛みが続き,4月2日には,筋性防御も認めるようになった.再度CTを施行したところ,free air,イレウス所見を認めたため,緊急手術を施行した.トライツ靭帯から130cmの空腸に,2mm大の穿孔を2カ所認め,ESWLによる腸管穿孔と診断した.術後経過は良好で,4月23日,退院となった.ESWLによる腸管穿孔は,極めて稀な合併症であるが,腸管の癒着の可能性のある既往歴,腹臥位でのESWLは,リスクファクターと考えられた.