著者
西村 顕正 森田 隆幸 村田 暁彦 馬場 俊明 池永 照史郎一期 木村 憲央 佐々木 睦男
出版者
The Japan Society of Coloproctology
雑誌
日本大腸肛門病学会雑誌 (ISSN:00471801)
巻号頁・発行日
vol.56, no.7, pp.346-350, 2003-07-01
被引用文献数
1

抗リン脂質抗体症候群(APS)に全身性エリテマトーデス(SLE)を合併し上腸間膜静脈血栓症を発症した1例を経験した.症例は63歳女性.平成7年APS,平成9年SLEと診断され当院内科で加療中であった.平成13年5月21日より腹部不快感を自覚した.5月26日より腹痛が増強したため救急外来を受診した.腹部造影CTで上腸間膜静脈血栓症を疑い,同日緊急手術を施行した.トライツ靱帯から約190cm肛門側の小腸に約50cmにわたり虚血性病変を認め,これを切除した.術後は抗凝固療法を行い,17日目に退院となった.上腸間膜静脈血栓症は稀な疾患であり,早期診断が困難なことが多い.凝固能亢進状態にある患者では同疾患も念頭に入れ,早期診断と治療にあたることが必要と考えられた.
著者
田岡 賢雄 尾関 恒雄 阿南 郷一郎 森田 翼 三浦 良史
出版者
産業医科大学学会
雑誌
産業医科大学雑誌 (ISSN:0387821X)
巻号頁・発行日
vol.3, no.4, pp.441-457, 1981-12-01

福岡県における肝硬変死亡率は人口10万当りおよそ20人で全国平均の約1.5倍である. 一方, 原発性肝癌はおよそ15人でこれも全国平均の約1.5倍である. アルコールの成人1人当り年間消費量は7.5-8.Olで全国的に第17-19位であり, 最高(10l)と最低(5l)の中間よりやや上位という所である. またHBs抗原については福岡県血液センターでの献血希望者からみたところ, その陽性率は2.6-3.1%で, これも全国平均1.9%のおよそ1.5倍である. 福岡県下の飲料水の原水となっている遠賀川流域ならびに筑後川流域の水質には総鉄量が多いことを除いては. とくに異常はみられなかった. 福岡県で肝硬変・肝癌死亡率がとくに高いのは筑豊の数か町村でありこの一帯は被生活保護率もとくに高い. 以上, 福岡県に肝硬変・肝癌患者が多くその死亡率も高いのは, 多因子に由来するものと思われ, 単一の因子でこれを説明することは困難である. 今後の問題としては福岡県下住民の免疫遺伝学的考察も必要であると考える.(1981年5月25日 受付)
著者
坪井 潤一 森田 健太郎 JUN-ICHI TSUBOI KENTARO MORITA 北海道大学大学院水産科学研究科:(現)山梨県水産技術センター 東京大学海洋研究所:(現)(独)水産総合研究センター北海道区水産研究所 Graduate School of Fisheries Sciences Hokkaido University:(Present address) Yamanashi Fisheries Technology Center Ocean Research Institute University of Tokyo:(Present address) Hokkaido National Fisheries Research Institute Fisheries Research Agency
出版者
日本水産學會
雑誌
日本水産学会誌 (ISSN:00215392)
巻号頁・発行日
vol.70, no.3, pp.365-367, 2004-05-15
参考文献数
17
被引用文献数
4

釣られやすさの種間差を明らかにすることは, 天然個体群保全や放流指針策定において重要である。本研究では, 野生化したニジマスと天然のイワナが生息する自然河川において餌釣りとフライフィッシングを行い, 釣られやすさの種間差を比較した。その結果, 餌釣りではイワナの方がニジマスよりも釣られやすかったが, 逆にフライフィッシングではニジマスの方がイワナよりも釣られやすかった。放流直後のニジマスは非常に釣られやすいと考えられてきたが, 自然水域に馴化した個体や再生産された個体では, 釣られにくくなることが示唆された。
著者
森田 果
出版者
商事法務
雑誌
エヌ・ビー・エル (ISSN:02879670)
巻号頁・発行日
no.849, pp.35-43, 2007-01-15
著者
佐藤 茂 森田 重人
出版者
京都府立大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2012-04-01

カーネーションでは,雌ずいで生成するエチレンが花の老化の「スターターエチレン」として働いている.本研究では,雌ずいのエチレン生成誘導因子がアブシシン酸(ABA)であることを,切り花の寿命の異なる3品種のカーネーションを用いてABA含量の変動,及びABA生合成と作用の鍵遺伝子の発現を調べて実証した.また,開花と老化を制御する薬剤の作用の解析を行い,ピリジンジカルボン酸が,スプレーカーネーションの老化を抑制すると共に蕾の開花を速めること,および本来開花せずに寿命を終わる蕾の開花を誘導することを発見し,この薬剤を「夢の薬剤」として提案した.
著者
森田 孝夫
出版者
京都工芸繊維大学
雑誌
挑戦的萌芽研究
巻号頁・発行日
2011

被害地域から離島、中間・山間農業地域を選び、水害記録・現地調査、郵送アンケート調査を実施し、地勢と避難行動と避難所形成の相互関係および計画課題を分析した。豪雨状況のリアルタイムの双方向情報伝達の不通と、避難路の寸断も想定する避難計画が必要であり、豪雨の場合は、小学校区よりも小さな部落単位やコミュニティ単位で避難所整備が必要であり、防災無線による避難勧告よりも地元消防団の避難誘導が有効であった。
著者
武藤 貞嗣 森田 繁 舟場 久芳
出版者
核融合科学研究所
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2011

X線スペクトルイメージ測定用試作器を製作して較正実験を行なった。本測定法は、光源の輝度が大きいほどエネルギー分解能と時間分解能が両立して向上する。よって、高エネルギー加速器研究機構・放射光科学研究施設・ビームライン14Cに於いて放射光を用いた実験を行なった。二結晶分光器から射出される幅0.3 mmの二次光を単色光として直径1 mmのタングステンピンホールに通し、ダイナミックレンジが16 bitのX線CCDカメラを用いて画像測定を行なった。その結果、試作器の動作が設計通りであることを確認できた。また、スペクトルを求めるために必要な数値を得ることができた。
著者
森田 慎一郎
出版者
一般社団法人日本発達心理学会
雑誌
発達心理学研究 (ISSN:09159029)
巻号頁・発行日
vol.17, no.3, pp.252-262, 2006-12

日本では,今後,「専門性」を有する職業への就職を希望する学生の割合の増加が見込まれる。このような状況をふまえ,研究1では,学生における職業への志向を,「専門性」を特徴づける諸概念に基づき測定する尺度の作成を試みた。まず,社会学のプロフェッション研究の知見に基づき,「専門性」を特徴づける5つの概念(「利他主義」「自律性」「知識・技術の習得と発展」「資格等による権威づけ」「仕事仲間との連携」)を想定した。次に,大学2年生207名を対象とした質問紙調査を行い,因子分析の結果,5つの概念それぞれへの志向を測定する「職業専門性志向尺度」が完成した。研究2では,医師を志望する学生に焦点をあて,「職業専門性志向」のなかで,彼らの「職業決定」に影響を与えるものの探索を行った。先行研究の知見から,「人間関係」と関連の強い志向が影響を与えることが予想された。医学部進学予定の大学2年生96名を対象とした質問紙調査を行い,重回帰分析の結果,「人間関係」と関連の強い「仕事仲間との連携志向」のみならず,「人間関係」と関連の弱い「知識・技術の習得と発展志向」も「職業決定」に影響を与えることが示された。
著者
森田 憲一 ALHAZOV Artiom
出版者
広島大学
雑誌
特別研究員奨励費
巻号頁・発行日
2008

細胞膜計算システム(Pシステム)は、細胞内の物質の結合・解離や細胞間の物質の移動などを抽象化した計算モデルであり、自然計算(Natural computing)の一分野である。昨年度に続きこのシステムの諸性質、特に計算万能性に関する性質を明らかにするとともに、やはり自然計算の分野に属する可逆コンピューティングや保存的コンピューティングとの接点についての研究も行い、以下の結果を得た。1.Pシステム、特に多重集合書換システムと、それに対する可逆性の導入細胞膜が1つであるようなPシステムは、多重集合書換システムとして定式化できる。このようなシステムを計算万能性を保持したままどのように単純化できるかをいくつかの視点から明らかにした。一方、そのようなシステムに対して物理的な可逆性に相当する制約や決定性制約を加えた場合に計算万能となるための十分条件を与えた。2.可逆論理素子の計算万能性昨年度に示した、14種類の2状態3記号可逆論理素子がすべて計算万能になるという成果を大幅に拡張し、k>2の場合にはあらゆる2状態k記号可逆論理素子がすべて計算万能になるという結果を導いた。3.保存的セルオートマトンの近傍半径の縮小物質やエネルギーの保存則に相当する性質を持つセルオートマトンの近傍半径を1/2にまで縮小できることを証明した。これにより、この種のセルオートマトンも計算万能性を有することが結論できる。
著者
森田 憲一
雑誌
情報処理
巻号頁・発行日
vol.53, no.5, pp.496-502, 2012-04-15

可逆的な計算システムというのは,そのシステムのどの状態も,直前の時刻にとり得る状態を高々1つしか持たないようなシステムのことをいう.一見すると些細でつまらない性質のように見えるこの制約が物理的可逆性(時間の逆方向にも同じ法則が成立つという性質)と密接に関わっており,また計算におけるエネルギー消費の問題を考えるときに重要な役割を果たすのだ,ということをLandauer~(1961)が指摘して以後,この計算のパラダイムが注目されるようになった.本解説では,可逆的な計算機構が可逆的な論理素子によって,さらにはそれが可逆的な物理的システムによってどのように構成できるのかという問題を,理論的な可逆計算モデルに基づいて論じる.特に,可逆コンピューティングの世界にどのような新しい設計のアイディアがあり得るのかを例を用いて説明する.
著者
金山 尚裕 シャイナロン リンバラパス 成瀬 寛夫 山本 信博 藤城 卓 前原 佳代子 森田 泰嗣 寺尾 俊彦
出版者
社団法人日本産科婦人科学会
雑誌
日本産科婦人科學會雜誌 (ISSN:03009165)
巻号頁・発行日
vol.44, no.4, pp.477-482, 1992-04-01
被引用文献数
4

切迫早産において頚管に浸潤した顆粒球から放出される顆粒球エラスターゼ (エラスターゼ) が頚管の熟化, 開大に密接に関係することが知られている。エラスターゼのインヒビターであるウリナスタチン (UTI) の腟剤が切迫早産の治療に有効であるかを検討した。43例の切迫早産を4群に分類し次の治療法を行った。A群 (N=12): Ritodorine点滴, B群 (N=9): UTI (1,000U) 頚管内投与, C群 (N=14): Ritodorine点滴+UTI頚管内投与, D群 (N=8): Ritodorine点滴+UTI頚管内投与+全身抗生物質療法。これら4群のエラスターゼ値は治療前A群0.76±0.40μg/ml (Mean±SD), B群0.93±0.43μg/ml, C群0.85±0.40μg/ml, D群0.90±0.41μg/mlで各群間で有意差を認めなかった。治療開始後 (3日目から7日目) のエラスターゼ値はA群0.75±0.47μg/ml, B 群0.27±0.35μg/ml, C群0.27±0.33μg/ml, D群0.30±0.19μg/mlとなりB, C, D群は著明に下降した。子宮収縮の改善度を検討すると, 子宮収縮が30分に1回以下になるまでの時間は, A群65±66分, B群375±336分, C群70±64分, D群58±53分で, B群が有意 (p<0.05) に時間を要した。4日以上子宮収縮抑制が得られた時点で上記治療を中止した。その後の子宮収縮の再発率はA群58%, B群11%, C群14%, D群13%でA群の再発率が高かった。以上よりUTI腟剤の頚管内投与は頚管内エラスターゼ量を低下させ子宮収縮抑制の補助療法として極めて有用であることが判明した。
著者
森田 達也 野末 よし子 花田 芙蓉子 宮下 光令 鈴木 聡 木下 寛也 白髭 豊 江口 研二
出版者
日本緩和医療学会
雑誌
Palliative Care Research (ISSN:18805302)
巻号頁・発行日
vol.7, no.1, pp.121-135, 2012 (Released:2012-02-22)
参考文献数
19
被引用文献数
5

本研究の目的は, 地域緩和ケアプログラムが行われた地域の医師・看護師の体験した変化を収集することである. OPTIMプロジェクト介入後の医師1,763名, 看護師3,156名に対する質問紙調査の回答706件, 2,236件を対象とした. 自由記述の内容分析を行い, それぞれ327, 737の意味単位を同定した. 好ましい変化として, 【チーム医療と連携が進んだ】 ([相談しやすくなった][名前と顔, 役割, 考え方が分かるようになった]など), 【在宅療養が普及した】 ([在宅移行がスムースになってきた]など), 【緩和ケアを意識するようになり知識や技術が増えた】が挙げられた. 意見が分かれた体験として, 【病院医師・看護師の在宅の視点】【活動の広がり】【患者・家族・市民の認識】が挙げられた. 地域緩和ケアプログラムによるおもな変化は, チーム医療と連携, 緩和ケアの意識と知識や技術の向上, 在宅療養の普及であると考えられた.
著者
平井 邦彦 後藤 哲男 森田 守 渡邉 誠介 澤田 雅浩
出版者
長岡造形大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2001

本年度はこれまで新潟県南魚沼郡で行ってきたさまざまな調査研究の集大成として、より広範な施設に関するバリアフリー状況調査を実施するとともに、その簡便な改善策の実証的研究を当該地域において実施した。具体的には、バリアフリー状況調査で抽出した観光・レジャー施設を複数抽出し、その施設のより詳細な調査を実施するとともに、簡便な設備で状況が改善可能な場合にはそのような対策を施した。また実際に障害者や高齢者が訪問した場合の障害に対してのシミュレーションを実施した上で、南魚沼郡全域にわたる一日観光ルートを設定し、そのルートを利用した実地調査を行った。調査に際しては、抽出した施設からの協力を受けるとともに、塩沢町社会福祉協議会の支援を受け、実際に車椅子を利用されている方をモニターとして4名の方にご参加いただき、利用時の問題点や対策の有効性についてユーザー側からの情報を提供してもらうことができた。ハートビル法が成立したものの、一定規模以下の施設ではバリアフリー改修が不必要なことも多く、またそれらの施設はそのような設備改修の余裕を有していない場合が多いが、今回の調査で事前に行った対策は費用、手間両面からも大変扱いやすいレベルのものであり、その効果を実際に施設管理者が目にすることで、障害者受け入れの精神的障壁を取り除くことができるようになることも調査の中で明らかとなった。手近なところの工夫によって今後国内で増加する高齢者・障害者を積極的に受け入れることができるようになることが実証的に明らかにされるとともに、この知見を地域内で共有することでより広範かつ綿密な「もてなし」が実現する可能性が示唆されたといえる。
著者
澁谷 知子 森田 弘彦
出版者
日本雑草学会
雑誌
雑草研究 (ISSN:0372798X)
巻号頁・発行日
vol.50, no.1, pp.30-41, 2005-03-18
参考文献数
113
著者
田島 充士 森田 和良
出版者
日本教育心理学会
雑誌
教育心理学研究 (ISSN:00215015)
巻号頁・発行日
vol.57, no.4, pp.478-490, 2009-12-30
被引用文献数
2

本研究では,日常経験知の意味を取り込まないまま概念を暗記する生徒達の,「分かったつもり」と呼ばれる学習傾向を改善するための教育実践である「説明活動(森田,2004)」の効果について検討した。本実践では,生徒達が教師役を担い,課題概念について発表会で説明を行うことになっていた。また残りの生徒達は聞き手役として,日常経験知しか知らない「他者」の立場を想定して,教師役に質問するよう求められた。この手続きを通し,日常経験知の観点を取り入れた概念解釈の促進が目指されていた。小学5年生を対象に実施された説明活動に基づく授業を分析した結果,以下のことが明らかになった。1)本授業の1回目に実施された発表会よりも,2回目に実施された発表会において,教師役の生徒達は,日常経験知を取り入れた概念解釈を行うようになった。2)聞き手役からの質問に対し,1回目の発表会では拒否的な応答を行っていた生徒達が,2回目の発表会では,相手の意見を取り入れた応答を行うようになった。これらの結果に基づき,本実践における,日常経験知との関係を考慮に入れながら概念の意味を解釈しようとする,バフチン理論のいう概念理解へ向かう対話傾向を促進する効果について考察がなされた。
著者
森岡 俊夫 森田 恵美子 神宮 純江 南部 由美子 新谷 早苗
出版者
一般社団法人 口腔衛生学会
雑誌
口腔衛生学会雑誌 (ISSN:00232831)
巻号頁・発行日
vol.31, no.3, pp.197-202, 1981
被引用文献数
2

福岡市博多保健所において昭和50年度から同54年度までの間に実施された3歳児歯科健診時の各種資料を基に, 同期間における3歳児健診受診状況ならびにう蝕罹患状況の推移, さらには, 保育環境および保健所の実施した母子保健活動とう蝕罹患状況との関連を検討した。健診受診率およびf歯率ほこの期間毎年有意に増加し, う蝕罹患者率および一人平均df歯数は有意に減少した。なお, う蝕罹患型別罹患者率については有意な増減は認められなかった。<BR>昭和54年度においては, 被健診児が第1子である方が第2子以下よりう蝕罹患者率が有意に低率であり, また, f歯串は保育園非就園児が就園児より, そして祖父母と同居している方が核家族より有意に高率であった。<BR>また, 同保健所管内で保健所が行なう母子保健活動の度合は異なった地区別のう蝕罹患状況の変化を昭和50年と54年について比較すると, う蝕罹患者率および一人平均df歯数はそれぞれ母子保健が推進された地区においてより高い改善傾向がみられた。