著者
万倉 三正 野田 泰子 森 昭胤
出版者
岡山医学会
雑誌
岡山医学会雑誌 (ISSN:00301558)
巻号頁・発行日
vol.124, no.1, pp.15-26, 2012-04-02 (Released:2012-04-29)
参考文献数
61

Diabetes mellitus (DM) represents a global health and economical problem. Many patients with DM in Asia, South America, India and East Africa have traditionally used the water extract of unripe fruits of Momordica charantia (bitter melon) as some form of complementary and alternative medicine. Studies of laboratory animals have shown the beneficial blood-glucose lowering and anti-diabetic effects of this remedy. Some oral components that bring lower blood glucose level have been isolated : charantin (sterol glycosides), charantin (polypeptide) and cucurbine-type triterpenes. Part of their actions are related to AMP-activated kinase and repression of the oxidative stress that is increased in DM. Most clinical reports are not fully convincing due to the lack of randomized control studies. The present article reviews the pharmacological and clinical effects of bitter melon with special emphasis on the anti-diabetic effects, and some effects that would require caution in the context of human trials.
著者
尾森 仁美 細川 宗孝 芝 勇人 漆川 直希 村井 耕二 矢澤 進
出版者
一般社団法人 園芸学会
雑誌
Journal of the Japanese Society for Horticultural Science (ISSN:18823351)
巻号頁・発行日
vol.78, no.3, pp.350-355, 2009
被引用文献数
21

キク(<i>Dendranthema grandiflorum</i>)に感染するウイロイドとしてキクわい化ウイロイド(CSVd)が知られている.CSVd がキクに感染するとわい化などの症状がみられ,切花栽培において大きな問題となる.しかし,これまでに CSVd に強度の抵抗性を持つキクに関する報告はない.本研究では CSVd 濃度を定量し,キク 6 品種から CSVd の濃度上昇が緩慢な品種として'うたげ'を選抜した.次に,'うたげ'を自殖し,得られた後代 67 個体より RT-PCR 法,nested-PCR 法,micro-tissue(MT)direct RT-PCR 法および real-time RT-PCR 法を用いて CSVd 抵抗性を持つ植物体の探索を行った.67 個体のうち,RT-PCR 法で明確なバンドがみられない 9 個体を一次選抜した.この 9 個体のうち,接ぎ木後 5 か月目においても CSVd 濃度が'うたげ'の約 1/240,1/41000,1/125000 倍である 3 個体(C7,A30 および A27)を強い抵抗性を持つ植物体として選抜した.C7 では MT direct RT-PCR 法および <i>in situ</i> ハイブリダイゼーションにより最も若い完全展開葉において CSVd の局在がみられた.A27 および A30 では,植物体全体で CSVd はほとんど検出されなかった.これら 3 個体は CSVd 抵抗性機構の解明に寄与するものと考えられた.<br>
著者
矢内 純太 松原 倫子 李 忠根 森塚 直樹 真常 仁志 小崎 隆
出版者
一般社団法人日本土壌肥料学会
雑誌
日本土壌肥料學雜誌 (ISSN:00290610)
巻号頁・発行日
vol.79, no.1, pp.61-67, 2008-02-05
被引用文献数
3

土壌特性値の評価は,農耕地における土壌の適切な管理のために不可欠である.そのためには通常土壌サンプリングが行われるが,圃場の土壌全体を常に調べることは不可能であり,時空間的に一部のみを調べて全体を予測することが必要となる.そこで本研究では,日本の主要な農地形態の一つである水田について,各種土壌特性値の空間的・時間的変動を評価するとともに,土壌診断のための合理的土壌サンプリング法の検討を行うことを目的とした.広さ50m×100mの水田圃場(灰色沖積土)において,春先の基肥前に5m×10mの区画ごとに深さ0〜15cmの表層土を1999年から2002年に毎年100点,合計400点採取した.採取した土壌は風乾および2mm篩別後,pH,EC,全炭素,全窒素,C/N比,可給態窒素,可溶性窒素,交換性塩基,可給態リン酸を測定した.得られたデータについて,空間的および時間的変動に関する評価を行った.その結果,以下のような知見が得られた.1)全400点の土壌特性値の変動係数は,pH,C/N比で10%以下,全炭素,全窒素,可給態リン酸,交換性Ca,Mg,Kで10〜20%,EC,可給態窒素,交換性Na,可溶性窒素で20%以上となり,土壌特性値によりその変動は様々であった.特に窒素関連特性値では,C/N比6%,全窒素13%,可給態窒素24%,可溶性窒素31%の順となり,可給度あるいは可動性が高いほど大きな変動を示した.2)同時期に採取した土壌の空間変動を評価すると,各特性値の変動係数は全変動の結果とほぼ同様の傾向を示した.データの推定誤差とサンプリング数の関係を解析すると,その関係は土壌特性値により大きく異なった.すなわち,推定誤差を5%以内に抑えるためには,pHで3点,交換性Caで20点,全窒素で29点,交換性Kで32点,可給態リン酸で34点,可給態窒素で78点,可溶性窒素で134点必要であり,逆に5点サンプリングの場合,推定誤差はpHで2.3%,交換性Caで14%,全窒素で16%,交換性Kで17%,可給態リン酸で18%,可給態窒素で27%,可溶性窒素で36%となることなどが明らかとなった(危険率5%).したがって,現実性を考えると,5点程度のサンプリングを行った上で,得られた平均値に10%以上の推定誤差を伴う可能性のあることを十分認識しておくのが望ましいと考えられた.3)同地点から採取した土壌の時間変動を評価したところ,全変動や空間変動と同様の傾向が見られた.また,年次間でデータの相関分析を行ったところ,ほとんどの特性値で有意な正の相関が見られるが,年数がひらくほど相関係数は低くなった.4)空間的および時間的なばらつきに由来する変動係数を比較した結果,pH,EC,C/N比,交換性Ca,Mg,Naは時空間変動がほぼ等しいのに対し,可給態窒素,可溶性窒素は空間変動の方がやや大きく,全炭素,全窒素,有効態リン酸,交換性Kは空間変動の方が顕著に大きかった.したがって,今回の時空間スケールでは,土壌サンプリングにおいて時間変動よりも空間変動を重視すべきであることが示された.以上の結果,対象とする土壌特性により,許容する誤差範囲,危険率に応じて,空間的および時間的なサンプリング頻度を決定することが重要であると結論された.
著者
古澤知英 福里司 岡田成美 平井辰典 森島繁生
雑誌
第76回全国大会講演論文集
巻号頁・発行日
vol.2014, no.1, pp.345-346, 2014-03-11

近年,2D 手描きアニメーションの需要は増え続けている.しかし,現状では中割り画像生成の行程において,特に多くの労力と作業時間が取られるため,アニメーション制作を容易に行うことは難しい.このような背景から,中割り画像の中でも作品中で重要なキャラクタの顔を含み,かつ多くの作業時間を要する顔回転シーンを自動生成する技術は,必要とされている.そこで,本研究では正面と横顔2枚の入力画像から0~90度までの顔回転シーンを生成する.入力画像の2D情報に基づく変換を行うことで,3Dアニメーションでは表現できない2D手描きアニメーションならではの表現を反映したキャラクタ顔回転シーン生成のための方法を提案する.
著者
堀内 健志 土田 正芳 大石 昇 岩本 雅史 樋口 巳希子 岡田 祐 原 芳久 増茂 智志 降旗 正忠 森岡 章次
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. SANE, 宇宙・航行エレクトロニクス (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.106, no.217, pp.29-34, 2006-08-18
被引用文献数
5

社内開発した航空機搭載Kuバンド合成開口レーダについて,概要を述べる.また,飛行試験を実施してフィールドデータを取得し,インタフェロメトリSAR(Synthetic Aperture Radar)により生成した高精度3次元データ(DSM: Digital Surface Model)の解析結果について報告する.DSMの高度精度を検証し,平坦部で0.25m程度の高さ誤差となっていることを確認した.これらの結果により,航空機搭載Kuバンド合成開口レーダが,国土保全用の3次元データ取得センサとして有効であることを示す.
著者
平野 敏行 章 超樺 森下 昭寿 鈴木 健 白井 隆明
出版者
日本水産學會
雑誌
日本水産学会誌 (ISSN:00215392)
巻号頁・発行日
vol.58, no.3, pp.547-557, 1992
被引用文献数
6 35

The volatile compounds collected on a porous polymer Tenax TA from wild and cultured ayu fish were evaluated by GC-sniffing and identified by GC-MS. GC-pattern and odor quality of wild ayu were similar to that of cultured ayu. The main compounds responsible for a cucumber-like and/or watermelon-like aroma were identified as (E, Z)-2, 6-nonadienal, (E)-2-nonenal, and 3, 6-nonadien-1-ol; (E, Z)-2, 6-nonadienal play a significant role in the characteristic aroma of ayu. However, by the same analytical experiment, it was shown that carbon-9 carbonyls and alcohol were not detectable in river algae eaten by wild ayu and in artificial diets for ayu culture.
著者
森田 哲明
出版者
公益社団法人日本オペレーションズ・リサーチ学会
雑誌
オペレーションズ・リサーチ : 経営の科学 (ISSN:00303674)
巻号頁・発行日
vol.57, no.12, pp.673-682, 2012-12-01

「ビッグデータ」の処理・分析技術の進化により,顧客のID^1に基づいたPOS(販売時点管理)システムのデータ分析(ID-POS分析)が一般的になってきた.ID-POS分析のみならず,IDが紐づく情報(ソーシャルメディアや乗車履歴などのデータ)の分析(ID情報分析)は,幅広く行われ始め,RFM,LTVなどの分析の結果,8割以上が売上拡大,7割以上が顧客数増加につながっている.ID情報分析により,変化の兆しを把握するKPIを設定することで,新たな事業機会を創出でき,ユーザーに魅力的な商品・サービスを開発することも視野に入れることができる.
著者
野村 美明 福澤 一吉 奥村 哲史 久保山 力也 D・H Foote 蓮 行 太田 勝造 大澤 恒夫 江口 勇治 金 美善 竹内 俊隆 新田 克己 平井 啓 仁木 恒夫 森下 哲朗 加賀 有津子 小野木 尚
出版者
大阪大学
雑誌
基盤研究(A)
巻号頁・発行日
2013-04-01

国内でも国際的にも交渉の必要性は増大しているが、一般市民にはその教育と学習の機会は少ない。本研究の課題は、交渉の非専門家や一般市民に交渉教育・学習へのアクセスを広げることである。本研究は、交渉の要素を説明する理論とこれらを解説する実例を組み合わせた要素理論表と「要素・理論・ケースサイクル」法によって、以上の課題の解決を図った。本研究によるよりよい交渉実践の普及が、秩序形成と価値創造を促進することが期待される。
著者
森光 義昭 関 聡
出版者
久留米信愛女学院短期大学
雑誌
久留米信愛女学院短期大学研究紀要 (ISSN:13487310)
巻号頁・発行日
no.37, pp.59-68, 2014-07

A young man in today is grown in the becoming information-oriented and the industrialization society. Therefore, the basic living habit and the prototypical experience are lacking. The child-care worker who is engaged in the education in today from the thing, too, seems not to be the limit. The state of the teacher education about the higher education was reviewed from such a situation and a school-teaching practice was devised to the teacher-training course subject in the university. Each university is the place to tackle the improvement of the class as the state of the teacher education. It is the place to be practicing while making the state of the class to form the practicing capability of the child-care worker effectively in the science, too, a problem. The this paper is the one which finds a problem to the class from the inside to practice a class and states the viewpoint of future class.
著者
森光 義昭
出版者
近畿大学九州短期大学
雑誌
近畿大学九州短期大学研究紀要 (ISSN:09164383)
巻号頁・発行日
no.34, pp.45-56, 2004

現代社会を表現する言葉の一つとして情報社会と称しているが、目まぐるしく変化する社会に対応するためには学校教育の場においても、従来から行われてきた教育に対しての変革が求められている。その中でもIT産業に伴う情報の発展はコンピューターやその周辺機器の開発が進み、人々はそれらの操作の仕方を学習することに追われている状態である。次から次に商品の開発が進められていくと、青少年たちは情報についての正しい知識や理解を得ることに追いついていくことができずに、ただ目新しい商品へと関心が寄せられることになっている。 本研究ではその方法として、大学1年生男女(教職課程科目履修者)に対して質問紙によるアンケート調査を行う。現代の若者の携帯電話を中心に据えてそれらの関連性の実態を把握することによって、現代の青少年の情報に関わる課題を分析し、情報化社会をどの様に捉え、展望や課題性をどの様な認識をもってスタンスを取っているか、また、携帯電話に対する理解や認識、携帯電話が日常の生活にどの様な影響を与えているか、さらに、今後の教育の在り方等について研究する。 調査結果から見えてくるものは、携帯電話はほとんどが高校生までに保護者から買ってもらって持っている。携帯電話を持った動機としては友人が持っているのでという何となくという状況である。1ヶ月間の携帯電話の使用料は5,000円以上~10,000円未満がもっとも多い。また、使用している回数も3回から5回辺りに集中しており、中には11回以上というのもあり、時間的にも1時間程度使っているという状況である。したがって、経費もかなりの高額になっている。最近の若者の活字文化離れが指摘されているが、手紙を書くという生活経験も少なく、手紙を書く形式や手紙に用いられる用語等の理解も十分ではない。また、新聞、小説(本)、雑誌などを読む習慣も身に付いていない。 情報社会における情報機器(マス・メディア)に対する認識としては、その機器に対する生産性や目的の正の効果と負の効果の両側面を十分に捉えることができないでいる。特に、情報機器(携帯E-メール)の利点として、人と直接会わないで連絡が取れるから便利であると認識していることに対しては多くの課題があるように思われる。したがって、情報や情報機器についての学習の在り方として、パソコンの使い方(操作の仕方)の学習や実際に学習課題の解決のためのソフトを使った学習や教科の学習は行っているが、これからは、「情報機器が産業社会や日常生活にどの様な豊かさや危機をもたらしているか」という観点での「情報」に関する学習のカリキュラム編成が重要な課題となってくる。機器の取り扱い方の習得は言うまでもないが、新しい学力観に立った情報教育の在り方が幅広く求められることになる。
著者
森岡 清志 中尾 啓子 玉野 和志 和田 清美 金子 勇 安河内 恵子 高木 恒一 浅川 達人 久保田 滋 伊藤 泰郎 林 拓也 江上 渉
出版者
首都大学東京
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2007

本研究の課題は、パーソナルネットワークとソーシャル・キャピタルの相互関連、および都市特性・地域特性との関連を明らかにすることにある。統計的調査ではソーシャル・キャピタルを「住民力」と表現し、平成20年11月と平成21年9月に世田谷区住民を対象者として「住民力」に関する標本調査を実施した。20年調査では、45歳以上75歳未満の住民から8,000名を無作為抽出し(回収率65.3%)、21年調査では20歳以上75歳未満の住民を10,000名抽出した(回収率54.5%)。分析結果から、住民力とコミュニティ・モラール、投票行動の間に高い相関が見られること、また、居住年数、戸建率などの地域特性と関連することが明らかになった。