著者
森本 司
出版者
桜花学園大学
雑誌
桜花学園大学研究紀要 (ISSN:13447459)
巻号頁・発行日
vol.4, pp.93-103, 2002-03-31

この小論では,個別の言語活動のうち,対話をもとに考えられた理解モデルを,理解の「対話モデル」と呼ぶ。また,テキストにおける理解から考えられた理解モデルを,理解の「テキストモデル」ということにする。そして,両者がP.リクールにおいてどのような関わりを持つかを考察する。リクールの理解モデルが解決しようとしたことは少なくとも二つある。一つは,理解の「テキストモデル」を「対話モデル」から切り離したことであり,もう一つは解釈の対象(テキストの世界)を作者から解放したことである。一つ目の分離によって,作者からのテキストの解放が可能になった。この小論の目的は,リクールが理解の「対話モデル」と「テキストモデル」を理論的に切り離し,分断しすぎた点を問題にしたいということである。基本路線ではこのリクールの主張に従いつつ,細部に疑問が残ることを示した。
著者
佃 和明 村上 充幸 森中 秀夫 続木 建治 一前 宣王 近内 誠登 竹松 哲夫
出版者
日本雑草学会
雑誌
雑草研究 (ISSN:0372798X)
巻号頁・発行日
vol.38, no.3, pp.175-181, 1993-10-22
被引用文献数
2

新規水田用除草剤ピリブチガルブの主要水田雑草に対する殺草特性および稚苗イネに対する作用について検討した結果、以下のことが明らかになった。 1) ピリブチガルブは発芽期湛水土壌処理において、タイヌビエ、コナギ、タマガヤツリなどの水田一年生雑草に対して優れた殺草効果を示した。 2) タイヌビエに対しては、発芽期〜2葉期処理において高い殺草効果を示した。イヌホタルイに対しては、発芽直後においてのみ殺草効果を示した。 3)土壌表面から0〜2 cmの、いずれの発生深度のタイヌビエに対しても高い殺草効果を示した。イヌホタルイには土壌の表面から発芽する個体にのみ殺草効果を示した。 4)稚苗イネの植え付け深度を変えて薬害を検討した結果、置き苗の様な極端な状態では薬害を生じたが、深度1 cmの浅植え状態でも薬害を示さなかった。通常の移植条件の稚苗イネには、薬害を生じる可能性が低いと考えられた。 5) ピリブチガルブの土壌中の移動性は極めて小さく、土壌表層に吸着して強固な薬剤処理層を形成しているものと考えられた。
著者
宇野 昌明 里見 淳一郎 鈴江 淳彦 中嶌 教夫 佐藤 浩一 永廣 信治 米田 和英 森田 奈緒美 原田 雅史
出版者
日本脳卒中の外科学会
雑誌
脳卒中の外科 (ISSN:09145508)
巻号頁・発行日
vol.32, no.4, pp.262-266, 2004-07-31
被引用文献数
1 1

米国では脳卒中は心臓発作と同様にbrain attackとして認識され, 発症からできるだけ早く脳卒中専門の施設に搬送することを国民に啓蒙し, かつ国をあげてのキャンペーンを展開している. 本邦では必ずしも脳卒中の診断から治療までがスムーズに施行されているとはいえず, 急性期治療の遅れが指摘されてきた. われわれは脳卒中急性期の診断と治療を迅速かつ正確に行うために1999年11月よりstroke care unit(SCU)を開設した. 今回SCUに入院した急性期脳卒中患者に対して, 24時間体制でstroke MRIを施行し, 脳卒中, 特に脳梗塞の診断と治療成績について分析したので報告する. 対象と方法 1999年11月より2002年9月までに当院のSCUに入院した急性期脳卒中患者295例のうち, 脳虚血と診断した175例(59.3%)を対象とした. 175例の脳梗塞の病態別症例数はアテローム血栓性脳梗塞44例(25.1%), 心原性脳梗塞70例(40%), ラクナ梗塞57例(32.6%), その他4例(2.3%)であった.
著者
森山 剛 坂内 正夫
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会論文誌. D-II, 情報・システム, II-パターン処理 (ISSN:09151923)
巻号頁・発行日
vol.84, no.6, pp.1122-1131, 2001-06-01
被引用文献数
29

本論文では, テレビドラマ映像の心理的内容に基づいた要約映像の生成手法を提案する.従来の映像要約の研究では, カットなどの映像の構造を利用する方法やビデオ中のオブジェクトに基づく方法などがほとんどであった.一方テレビドラマに対しては, 映像コンテンツの心理的な展開(盛り上がりなど)を視聴者は重要視していると考えられるが, 映像の心理面に基づいた方法はまだ提案されていない.テレビドラマは, 物理的構成要素としてトラック構造(カッティング、登場人物のセリフ, BGM, 効果音)を有しているが, 演出家などは特定の心理的な印象を表現するために経験的知識に基づいてその時間的構造を巧みに操作していると考えられる.そこで本研究では, この経験的知識に基づき, 心理的に重要な箇所をそれに対応するトラック構造の時系列パターンとして検出し, 要約映像を生成する手法を提案する.実験において本手法をテレビドラマ映像に適用した結果, 約14分の1の時間長に圧縮でき, 更に主観評価実験の結果, 本編内容の保存性能及び切出しの自然性に関しても本手法の有効性が示唆された.
著者
森 敏彦 大矢場 充
出版者
一般社団法人日本機械学会
雑誌
生産加工・工作機械部門講演会 : 生産と加工に関する学術講演会
巻号頁・発行日
vol.2004, no.5, pp.309-310, 2004-11-19

In order to manufacture highly economical and competitive, not only development of high technology but also logistic system are required. In this research a delivery system which forms a part of a logistic system is optimized by multi-agent system. The main parts of this system are a depot agents group, a delivery truck agents group and a rule agents group. The depot agent grasps the situation of goods to be delivered and requests all truck agents to bring it. The latter agents reply the possibility of practicing the task to the former agent. Finally the depot agent decides the delivery method by using appropriate rules in the rule agents group. This sequence of processes are carried out autonomously.
著者
南高 純一 猪野 真弓 佐藤 邦雄 森川 重則
雑誌
全国大会講演論文集
巻号頁・発行日
vol.38, pp.1865-1866, 1989-03-15

よく経験するように、曲のなかには、(A)モチーフ(動機、2小節程度のメロディー)が、そのままあるいは非常によく似た形で何度も現れるものもあれば、(B)モチーフが変形され、展開され、成長、発展する曲もあれば、(C)あるモチーフは一時的にしか存在せず、別のモチーフが現れ、さらに別のモチーフに移っていくといった曲もある。最初に挙げたクラスに属する曲(A)は、「一貫性」の度合が高く、2番目に挙げたクラスに属する曲(B)は「一貫性」を残しながらも「多様性」にも富む。3番目に挙げたクラスに属する曲(C)は「一貫性」は希薄になっているがより「自由」な「多様性」をもっているといえよう。我々は現在、自動作曲システム-MAGIC(Music system for ArranGement and Intelligent Composition)を作成中である。生成されるメロディーは音楽性に富むようなシステムであること、使用者の参加意欲を高める能力があることを主たる目的とし、これまでに文献で主にリズム、和声、調性に関して自然なメロディーを生成するための方法について述べた。本研究では、さらに、曲の構造、楽式などを考慮してよくコントロールされたメロディーの流れをもつ曲を作曲可能な手段をシステムに組み込み、一応の成果を得たので報告する。
著者
宮森 恒
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. IE, 画像工学 (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.103, no.205, pp.35-40, 2003-07-17
被引用文献数
1

本稿では,映像中のストーリー全体の流れと個々の顕著なイベントに基づき,オリジナル映像の意味内容を表現したナレーション付きダイジェストを,利用者の嗜好に応じて適応的に自動生成する手法を提案する.応用例としてテニスのダイジェスト生成システムを実装した.本手法では,着目選手・内容構成・要約時間という3つの利用者パラメータの人力によって,自動生成されるダイジェストの内容が変化する.今回,同様のパラメータが与えられた場合に作成されるべきダイジェストの正解データを,スポーツなどの番組制作経験者に作成してもらい,これと提案手法の比較することで提案法の有効性について考察した.
著者
森 傑 舟橋 國男
出版者
日本建築学会
雑誌
日本建築学会計画系論文集 (ISSN:13404210)
巻号頁・発行日
vol.572, pp.217-218, 2003-10-30

"Ethnomethodology" in the above paper was discussed as a sociological method, and "Ethno" was explained as a critical sociology. However, "Ethnomethodology" is not a method, but a theoretical position or an intellectual attitude. It's research program is to analyze and explain "ethnomethod", that is, the various methods being used to carry out the various matters which the people attain in the daily life.
著者
森住 大樹 小宮 常康 八杉 昌宏 湯淺 太一
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理学会論文誌プログラミング(PRO) (ISSN:18827802)
巻号頁・発行日
vol.45, no.12, pp.94-94, 2004-11-15

実時間処理を妨げる要因の1 つとしてごみ集めがあげられる.ごみ集めが一括して行われる場合には,その間プログラムの実行は一時的に停止することとなり,実時間処理の妨げとなる.この問題に対処するため,実時間処理に対応したごみ集めも考慮されているが,Real-Time Specification forJava(RTSJ)では,ごみ集めの方式自体には制限を加えることなく,実時間処理を可能としている.Lisp もごみ集めの機能を持つプログラミング言語の1 つである.本発表では,RTSJ の方法を取り入れることによって実時間処理にも利用できるように設計,実装したLisp を紹介する.具体的には,従来のヒープとは別にスコープメモリと呼ばれる実時間処理用のメモリ領域を導入する.スコープメモリはごみ集めにより使用済みのメモリ領域を回収するのではなく,ある程度の大きさでまとめて確保し,必要がなくなったら一度に破棄する.細かいメモリ管理の手間が必要なく,使用中のデータの破棄やメモリリークの恐れもない設計となっており,ごみ集めの利便性を損なうこともない.実装にあたっては,Java により記述されたScheme 処理系であるJAKLD とRTSJ を満たすJava 処理系を組み合わせることにより,効率良く実装を行うことを可能とした.Lisp に新たに追加する機能はRTSJ のJava 処理系にも含まれるものであり,実装ではJAKLD を改良しJava の機能を有効利用した.また,JAKLD を基に作成されたL 処理系に対しても,設計と実装を行った.実装されたLisp 処理系は,それ自身十分に動作するものであり,また,より高性能の本格的な処理系を作成する際に参考となりうるものでもある.Design and Implementation of Lisp System with Memory Management suitable for Real-Time Processing. Garbage collection (GC) is one of the factors obstruct real-time processing. In case that GC is executed at a time, it stops temporarily execution of program and obstructs real-time processing. For the purpose of dealing with this problem, GC corresponding to realtime processing are devised, but Real-Time Specification for Java (RTSJ) realizes real-time processing without adding restrictions to a method of GC itself. Lisp is one of programming languages with GC. At this presentation, we introduce Lisp which is designed and implemented for real-time processing by taking in the method of RTSJ. Specifically, the memory area called scope memory for real-time processing is introduced apart from the conventional heap. At a scope memory area, GC does not collects used memory, but a certain size memory is secured at a time and deleted at a time if it is not necessary. Because it is designed not to need complicated work for memory management and not to concern about deletion of necessary data and memory leak, the convenience of GC is not spoiled. It made the implementation efficient to combine JAKLD which is a Scheme system described by Java and a Java system of RTSJ. The function newly added to Lisp is included also in a Java system of RTSJ, and the function of Java was available at the implementation by improving JAKLD. We also designed and implemented to L system created from JAKLD. The implemented Lisp system works enough in it self, and it may also be referred when a more highly efficient system is created.
著者
森 傑 舟橋 國男
出版者
日本建築学会
雑誌
日本建築学会計画系論文集 (ISSN:13404210)
巻号頁・発行日
vol.68, no.572, pp.217-218, 2003

"Ethnomethodology" in the above paper was discussed as a sociological method, and "Ethno" was explained as a critical sociology. However, "Ethnomethodology" is not a method, but a theoretical position or an intellectual attitude. It's research program is to analyze and explain "ethnomethod", that is, the various methods being used to carry out the various matters which the people attain in the daily life.
著者
金井 遵 森 拓郎 荒木 健志 田邊 昇 中條拓伯 並木 美太郎
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理学会研究報告数理モデル化と問題解決(MPS) (ISSN:09196072)
巻号頁・発行日
vol.2006, no.68, pp.59-62, 2006-06-26
被引用文献数
1

本論文では,分散ファイルシステム(DFS)およびメモリマップトファイル機能を利用してOSに手を加えることなく分散共有メモリ(DSM)を実装し,カーネルに手を加えることができないコモディティOS上でクラスタシステムを実現する方法を提案する.大容量バッファを持った高速なネットワークインターフェースであるDIMMnetF2を用い,Windows上で複数のDIMMnet-2の大容量バッファをまとめて-つのDFSおよび,DSMとして利用するドライバとライブラリを設計,実装した.評価では実際に,DSMを用いていくつかの分散処理実験を行った.特に行列乗算による評価では,2ノードの分散処理において1.99倍の性能向上が予測できた.This paper describes implemention of Distributed Shared Memory(DSM)by using Distributed File System(DFS) and Memory Mapped File without changing souce code of OS in order to implement PC Cluster System for a non-open source commodity OS. We have designed and implemented a DFS device driver and a DSM library by plural high-speed network interface cards named DIMMnet-2 with mass buffer for Microsoft Windows. As a result of matrix multiplication evaluation,up to 1.99 times higher performance has been gained by 2-nodes distributed parallel execution.
著者
福井 義和 北 研二 永田 昌明 森元 逞
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理学会研究報告自然言語処理(NL)
巻号頁・発行日
vol.1996, no.27, pp.111-118, 1996-03-14
参考文献数
7
被引用文献数
2

確率・統計的手法に基づいた対話のモデル化について研究し、このような対話モデルを大規模言語データベースであるコーパスから自動的に生成するための実験を行なった。実験に用いたコーパスは、ATR対話コーパスであり、各発話には話者ラベルおよび発話行為タイプ(FT; Illocutionary Force Typ)が付与されている。Ergodic HMMおよびALERIGIAアルゴリズムを用いて、話者ラベルおよびIFTの系列をモデル化することにより、話者の交替や質問・応答・確認といった会話の基本的な構造を確率・統計的にモデル化することができた。In the work described here, we automatically deduce dialogue structures from a corpus with probabilistic methods. Each utterance in the corpus is annotated with a speaker label and an utterance type called IFT (Illocutionary Force Type). We use an Ergodic HMM(Hidden Markov Model) and the ALERGIA algorithm, an algorithm for learning probabilistic automata by means of state merging, to model the speaker-IFT sequences. Our experiments successfully extract typical dialogue structures such as turn-taking and speech act sequencing.
著者
森永 剛
出版者
鹿児島国際大学
雑誌
鹿兒島経大論集 (ISSN:02880741)
巻号頁・発行日
vol.5, no.4, pp.三五九-三六九, 1965-02-20
著者
島川 はる奈 山田 亮太 森谷 俊洋 乾 和志
出版者
日本知能情報ファジィ学会
雑誌
知能と情報 : 日本知能情報ファジィ学会誌 : journal of Japan Society for Fuzzy Theory and Intelligent Informatics (ISSN:13477986)
巻号頁・発行日
vol.20, no.4, pp.591-600, 2008-08-15

近年,日本ではマザー工場制を採用している企業が増えている.マザー工場制とは,メーカーが海外生産子会社に対して技術支援を展開する際,そのモデル工場となる本国工場が窓口ないしは担当工場となり,現地にあるサテライト工場に適した技術者や管理者を派遣し,現場指導を展開する人材派遣を中心とした技術支援方法である.サテライト工場で生産した製品に不具合が発生し,その原因が現場担当者では判断できない場合,本国にいるマザー工場の熟練者に出張を依頼した上で不具合を解消してもらう必要がある.このため,マザー工場の熟練者の出張費かかさみ,莫大なコストが必要となる.また,熟練者がサテライト工場に到着するまで不具合が放置されてしまう.更に,熟練者を長時間拘束することで,生産性の低下にもつながってしまう.そこで我々は,オンラインノウハウ伝承システムを開発した.これは,遠隔コミュニケーションの基盤技術であるSOBAフレームワークと,暗黙知を形式知化することができる知識管理システムを利用したものである.本稿では,オンラインノウハウ伝承システムの導入によって,どれくらいの効果が得られるかを検証する.