著者
根來 寛 矢野 良一 谷 大輔 渡辺 享平 塚本 仁 五十嵐 敏明 中村 敏明 脇屋 義文 後藤 伸之 横山 照由 政田 幹夫
出版者
一般社団法人日本医療薬学会
雑誌
医療薬学 (ISSN:1346342X)
巻号頁・発行日
vol.34, no.4, pp.320-327, 2008 (Released:2009-09-04)
参考文献数
23
被引用文献数
2 1

During cancer chemotherapy,myelosuppression is a frequently observed toxicity manifestation which may sometimes cause severe infections.In this regard,though leukopenia-induced infections are more closely related to neutrophil counts than leukocyte counts,it is important to evaluate both leukocyte counts and neutrophil counts as markers of myelosuppression.Neutrophil counts,however,are sometimes estimated to be half leukocyte counts without conducting differential leukocyte counts.In the present study,the authors evaluated the necessity of differential leukocyte counts during cancer chemotherapy using pooled laboratory data at the University of Fukui Hospital.Variation in the percentage of neutrophils in leukocytes was observed in each leukocyte range,with the neutrophil count decreasing in pace with decreases in the leukocyte count.As an alternative index to the neutrophil count,the utility of the leukocyte count is thus considered to be low in cancer chemotherapy.There was also a divergence between adverse event grade between neutrophil and leukocyte numbers.In addition,neutrophil counts in 14.8% of the patients (26)were less than 1000/μL in spite of the fact that their leukocyte counts were higher than 3000/μL,and it was noted that 23 of them had undergone a paclitaxel-containing regimen.These results suggested that leukocyte differential counts should be measured during cancer chemotherapy,especially during the nadir period and when receiving chemotherapy containing paclitaxel.
著者
吉﨑 貴大 横山 友里 大上 安奈 川口 英夫
出版者
特定非営利活動法人 日本栄養改善学会
雑誌
栄養学雑誌 (ISSN:00215147)
巻号頁・発行日
vol.77, no.1, pp.19-28, 2019-02-01 (Released:2019-03-05)
参考文献数
48
被引用文献数
10

【目的】日常の食生活では,複数の食品の組み合わせで食事が構成されている。しかし,多様な食品の摂取とフレイルとの関連は十分に検討されていない。そこで,本研究は地域在住高齢者を対象に食品摂取の多様性とフレイルとの関連を検討することを目的とした。【方法】対象は群馬県邑楽郡で実施された官学連携の健康教室で,ベースライン調査に参加した218名(65~95歳)とした。研究デザインは横断研究とし,自記式質問票を用いた調査を実施した。参加者には基本属性,食品摂取の多様性,フレイルに関する質問を含んだ自記式質問票への回答を依頼した。食品摂取の多様性は,10項目の食品や食品群について1週間当たりの摂取頻度から評価した(以下,多様性得点(0~10点))。フレイルの判定には介護予防チェックリストを用いた。全15項目の各質問につきネガティブな回答に1点を付与し,4点以上の者をフレイルと判定した。解析にはフレイルの有無を従属変数,多様性得点を独立変数とした多変量ロジスティック回帰分析を用いた。【結果】解析対象者の平均年齢,BMIおよび多様性得点はそれぞれ75.5歳, 22.9 kg/m2,3.6点であった。フレイルの者の割合は15.6%であった。多変量ロジスティック回帰分析において,多様性得点とフレイルとの間に有意な関連が得られ,多様性得点が低値群に対する中間群,高値群のオッズ比はそれぞれ0.70(0.21~2.27),0.10(0.02~0.54)であった。【結論】多様性得点が高い者ほどフレイルのリスクが低かった。
著者
杉田 由加里 水野 智子 横山 徹爾
出版者
千葉大学大学院看護学研究科
雑誌
千葉大学大学院看護学研究科紀要 (ISSN:21859698)
巻号頁・発行日
no.38, pp.39-46, 2016-03

自治体にて生活習慣病予防の保健事業を展開する上で,特定健康診査・特定保健指導等のデータ及びレセプト等を分析し課題を抽出し,保健事業を立案,実施,評価し,次年度の事業計画に役立てるといった,PDCAサイクルを確実に回すことが求められている. 本研究の目的は保健事業を展開する上で,データを分析・活用している取組みの基盤となっている体制づくりに関する条件を明らかにすることである. 研究参加者は7市にて,保健事業の実施に1年以上直接関わっており,保健事業の実施に関する体制づくりについて語れる職員(保健師,管理栄養士)1名以上とし,調査は自治体ごとの半構成的インタビューとした. 筆頭著者の所属大学院研究科の倫理審査委員会の承認を受け,文書と口頭により研究の趣旨,匿名性の保持と途中棄権も可能であること等を説明し同意を得た.体制づくりにおける所属内外の条件として以下の点が重要と考えられた.1. 予算の獲得において関係者からの合意を得やすくするために,分析したデータを説明用の資料に活用する.2. データを分析することと,分析したデータを事業へ活用できる体制となるよう,担当部署の連携を意識して体制を構築していく.3. 医療機関との継続的な体制を維持していけるよう,制度開始時だけでなく毎年,医療機関の医師および事務職にも説明し合意形成を図っていく.4. 業務を委託している場合,委託機関の従事者のオーナーシップを引き出せるように,分析したデータの提示により情報の共有を図る. When developing, in districts, health services that are designed to prevent lifestyle-related diseases, it is essential to analyze data and receipts related to specific health checkups and specific health guidance as well as identify problems. It is also necessary to ensure the continuous operation of the plan-do-check-act. This study aimed to clarify the requirements for developing a system that can serve as a foundation for data analysis/utilization initiatives when operating health services PDCA cycle in districts. This study was conducted in seven cities that are implementing the system. In each of these cities, we surveyed 17 different public health nurses and registered dieticians. Semi-structured interviews were carried out in each cities. The study was approved by the ethics board of the institution to which the first author belongs to. The results suggested that the following are important internal and external requirements forsystem building.1 Using the analyzed data when preparing briefing documents to make it easier to gain budget approval from the government2 Building the system in cooperation with relevant sections/departments, so that it enables analysis of the data and their utilization in health services3 Maintaining a sustainable system of collaboration with medical institutions, obtaining agreement by providing explanations to administrative staff and doctors from the relevant institutions not only when the system is launched but every year4 In the case that administrative work is outsourced, we should share information by presenting the analyzed data in order to encourage a sense of ownership among staff working for the outsourcing organizations
著者
戸泉 文江 月川 健士 横山 祥子 といずみ ふみえ Fumie TOIZUMI
雑誌
九州保健福祉大学研究紀要 = Journal of Kyushu University of Health and Welfare
巻号頁・発行日
no.18, pp.63-66, 2017-03-25

The distribution of benzyl caffeate (BC), phenethyl caffeate (PC) and cinnamyl caffeate (CC) inganglioside GM3 (GM3) monolayer as a model of a tumor membrane, and the effects of the caffeic acidesters on the GM3 membrane were observed by atomic force microscopy (AFM). BC and PC distributedin the GM3 monolayer formed holes in the GM3 matrix. The effects of BC and PC on the GM3 membranewere similar to those of known antitumor compounds, suggesting that BC and PC may possess antitumoractivitiy. The activity of CC seems to be weaker than that of BC and PC. The effects of caffeic acid esterson the GM3 membrane were different from those on the GD3 membranes.
著者
横山 和 堀川 宗之
出版者
東海大学
雑誌
東海大学紀要. 開発工学部 (ISSN:09177612)
巻号頁・発行日
vol.15, pp.71-77, 2006-03-31

最近,VDT(visual display terminal)作業や長時間の単一作業が原因で,肩凝りや肩腕痛を訴える人が増加している.これらの頸部や肩腕部の頸肩腕障害に対する治療方法の一つとして,入浴や入湯によって患部を温める温浴療法がある.温浴の心・血管系に及ぼす影響についての研究はこれまでにも行われているが,温浴が筋硬度や筋疲労度に与える効果についての研究は見当たらない.そこで,僧帽筋に対する温浴の効果を,筋硬度計で測定した筋硬度と,表面筋電図から得られるmean power frequency (Fm) を指標に用い,13 人の大学生を対象に検討した.湯温を40℃に設定した浴槽に,肩部が全て浸かるように10 分間入浴し,入浴前を対照に,出浴後60 分間にわたって15 分毎に筋硬度と表面筋電図を測定し解析した.全被験者を対象にすると,入浴前の筋硬度とFm の間に相関は認められなかったが,被験者のうちで筋硬度が平均値より高い群では負の相関が認められ,筋の硬さが増すほどFm は低周波化した.Fm は筋疲労に伴って低周波領域にshift(slowing)するので,筋硬度の高い群では筋疲労が相対的に強く起こっていると考えられる.温浴は筋硬度を入浴前に比べて25%も減少させて筋を軟らかくし,出浴後60 分においてもなお6%低値を示した.入浴前後でFm の有意な変化は全被験者対象では認められなかったが,入浴前のFm が平均値より低い群では出浴直後にFm が3%上昇し,出浴後60 分まで高値を維持した. Fm が低い群では温浴により血液循環が促進され蓄積された代謝産物が除去されたことによって筋疲労が改善されたものと推測された.
著者
吉岡 誠記 横山 真太郎 小口 智
出版者
公益社団法人 空気調和・衛生工学会
雑誌
空気調和・衛生工学会 論文集 (ISSN:0385275X)
巻号頁・発行日
vol.34, no.146, pp.13-21, 2009
参考文献数
24
被引用文献数
2

わが国では人口構成の高齢化が進んでおり、今後、社会福祉施設を利用する数の増加が予想される。一方、近年では室内環境における微生物汚染が着目されており、例えば一般に易感染者とされる高齢者を中心とする社会福祉施設においては、重症かつ大規模な被害の可能性も考えられる。そこで、我々は札幌市東区にある老人保健施設を対象に、ビル管法で室内における濃度基準が定められている項目に加え、一般に室内空気汚染の指標として取り上げられることが多いと思われる室内浮遊微生物や自然放射性物質などを加えた項目を主要室内空気質として、その測定調査を実施し、その実態の調査を行った。この結果、冬期では非常に低湿度傾向にあることが確認された。続いて、このような低湿環境においては細菌やウィルスに対する抵抗力が低下すること多くなることが考えられるため、施設内感染対策に関連した室内空気環境における微生物制御を念頭に、加湿・滅菌複合システムの開発を行った。そして本システムの有効性の考察およびその活用法の具体的手順の提示を目的とし、同施設での導入実験を行い、湿度レベルの保持とともに浮遊微生物数の減少に効果がみられることを確認した。
著者
吉田 拓海 横山 想一郎 山下 倫央 川村 秀憲
出版者
一般社団法人 人工知能学会
雑誌
人工知能学会全国大会論文集 第32回全国大会(2018)
巻号頁・発行日
pp.4F1OS11c01, 2018 (Released:2018-07-30)

競輪の予想記事の作成にかかるコストは大きい。 よって本研究では、競輪の予想記事を自動生成することを目的とする。 新規ユーザーの獲得という競輪業界の課題や既存記事が新規ユーザーには理解が難しいということを踏まえ、本研究では新規ユーザー向けの予想記事の自動生成を行う。 機械学習によるレース結果の予測と、予測に基づく予想記事の生成を行う。 予測に関しては、レース情報と選手情報を用いて着順の上位3名を予測する。 記事生成に関しては、既存記事を参考に生成する記事が満たすべき条件を設定し、その条件を満たす記事生成手法としてテンプレートによる記事生成を用いた。
著者
大谷 吉秀 桜井 嘉彦 五十嵐 直喜 横山 剛義 木全 大 亀山 香織 久保田 哲朗 熊井 浩一郎 北島 政樹
出版者
一般社団法人 日本消化器外科学会
雑誌
日本消化器外科学会雑誌 (ISSN:03869768)
巻号頁・発行日
vol.31, no.4, pp.990-994, 1998 (Released:2011-08-23)
参考文献数
26

消化器癌の進展過程でのマトリックス分解酵素 (matrix metalloproteinase: MMP) による細胞外マトリックス (extracellular matrix: ECM) 破壊における間葉系細胞の役割について検討した.1型, III型コラーゲンを分解するMMP-1は癌先進部組織で高い酵素活性を示した.MMP-1産生細胞の同定を目的にin situ hybridizationを行った結果, 癌巣周囲の線維芽細胞や顆粒球にMMP-1mRNAの発現を認めた.ヒト胃粘膜由来線維芽細胞の培養液にヒト胃癌細胞株MKN-74の培養上清を添加すると, 単独培養に比べ高いMMP-1産生を認めた (p<0.05).また, ヒト胃癌細胞株TMK-1の腹腔内投与によるヌードマウス腹膜播種モデルでは, 癌細胞を線維芽細胞の培養上清とともに投与することで結節数の有意な増加を認めた (p<0.01).以上より, 消化器癌によるECM破壌に間葉系細胞が重要な役割を演じていることが確認された.
著者
横山 美江 杉本 昌子
出版者
Japan Academy of Nursing Science
雑誌
日本看護科学会誌 (ISSN:02875330)
巻号頁・発行日
vol.34, no.1, pp.189-197, 2014-08-20 (Released:2014-10-03)
参考文献数
17
被引用文献数
1

研究目的:本研究では,4か月児健康診査のデータベースの分析から,母親の喫煙が児の出生時の身体計測値(体重,身長,頭囲,胸囲)ならびに出生後の発育にどのように影響するかを明らかにすることを目的とした.方法:本研究で用いたデータベースは,4か月児健康診査を受診した児の健診データのうち,個人情報を全て除外し,連結不可能匿名化したデータファイルを用いた.統計解析には,母親の喫煙と児の身体計測値を重回帰分析等を用いて分析した.結果:3494人の単胎児のデータを分析対象とした.妊娠中に喫煙をしていた母親は全体の2.9%であった.妊娠中の母親の喫煙は,他の要因の影響を調整しても,出生体重,出生身長,出生頭囲と有意な関連が認められた.さらに,4か月児健康診査時の身長および頭囲においても関連が認められ,喫煙していた母親から出生した児は,喫煙していなかった母親から出生した児よりも有意に身長および頭囲が小さく,他の要因を調整しても有意であった.結論:妊娠中の母親の喫煙は,出生時の身体計測値のみならず,4か月児健康診査時の身長や頭囲にも影響していることが明らかとなり,禁煙支援のための対策をさらに強化する必要性が示された.