著者
橋本 千代子 松本 安代
出版者
日本国際保健医療学会
雑誌
国際保健医療 (ISSN:09176543)
巻号頁・発行日
vol.27, no.1, pp.87-92, 2012-03-20 (Released:2012-04-10)
参考文献数
16

バングラデシュにおいて、看護・助産教育のカリキュラム作成や看護・助産師の認可はBangladesh Nursing Council (BNC)が行うと法的に定められている。BNCは看護・助産師教育カリキュラムの改訂を行い、2006年よりDiploma Nursing Courseとして新カリキュラムで教育を行っている。新カリキュラムでは、患者中心のケア、クリティカルシンキングのできる看護・助産人材の養成、コミュニティ中心の看護・助産のニーズに合わせて、看護・助産人材の能力強化を行うことを目標としている。しかしながら、Diploma Nursing Courseのみでは保健人材不足を補えず、民間の行う看護・助産教育もCertificate Nursing Courseとして存続している。看護・助産教育の移行期にあるバングラデシュでは、今後看護・助産の質向上のための教育の強化とともに、保健人材の量的不足へどのように対処していくかが課題である。
著者
橋本 亮太 安田 由華 大井 一高 福本 素由己 山森 英長 新谷 紀人 橋本 均 馬場 明道 武田 雅俊
出版者
公益社団法人 日本薬理学会
雑誌
日本薬理學雜誌 = Folia pharmacologica Japonica (ISSN:00155691)
巻号頁・発行日
vol.137, no.2, pp.79-82, 2011-02-01
被引用文献数
1

精神疾患によって失われる普通の健康な生活は,他のすべての疾患と比較して最も大きいことが知られており,社会的経済的な影響は重大である.精神疾患の代表である統合失調症の治療薬である抗精神病薬はその効果が偶然見出された薬剤の発展型であるが,これらを用いると20~30%の患者さんが普通の生活を送ることができるものの,40~60%が生活全体に重篤な障害をきたし,10%が最終的に自殺に至る.そこで統合失調症の病態に基づいた新たな治療薬の開発が望まれており,分子遺伝学と中間表現型を用いて,統合失調症のリスク遺伝子群を見出す研究が進められている.これらのリスク遺伝子群に基づいた治療薬の開発研究が始まっており,今後の成果が期待される.
著者
橋本 力 黒橋 禎夫 河原 大輔 新里 圭司 永田 昌明
出版者
一般社団法人 言語処理学会
雑誌
自然言語処理 (ISSN:13407619)
巻号頁・発行日
vol.18, no.2, pp.175-201, 2011 (Released:2011-09-28)
参考文献数
22
被引用文献数
5 7

近年,ブログを対象とした情報アクセス・情報分析技術が盛んに研究されている.我々は,この種の研究の基礎データの提供を目的とし,249 記事,4,186 文からなる,解析済みブログコーパスを構築した.主な特長は次の 4 点である.i) 文境界のアノテーション.ii) 京大コーパス互換の,形態素,係り受け,格・省略・照応,固有表現のアノテーション.iii) 評価表現のアノテーション.iv) アノテーションを可視化した HTML ファイルの提供.記事は,大学生 81 名に「京都観光」「携帯電話」「スポーツ」「グルメ」のいずれかのテーマで執筆してもらうことで収集した.解析済みブログコーパスを構築する際,不明瞭な文境界,括弧表現,誤字,方言,顔文字等,多様な形態素への対応が課題になる.本稿では,本コーパスの全容とともに,いかに上記の課題に対応しつつコーパスを構築したかについて述べる.
著者
青木 輝夫 本山 秀明 竹内 望 的場 澄人 堀 雅裕 八久保 晶弘 山口 悟 田中 泰宙 岩田 幸良 杉浦 幸之助 兒玉 裕二 藤田 耕史 朽木 勝幸 庭野 匡思 保坂 征宏 橋本 明弘 谷川 朋範 田中 泰宙 植竹 淳 永塚 尚子 杉山 慎 本吉 弘岐 下田 星児 本谷 研
出版者
気象庁気象研究所
雑誌
基盤研究(S)
巻号頁・発行日
2011-04-01

グリーンランド氷床上での現地観測から、涵養域ではアルベド低下に対するブラックカーボン(BC)等積雪不純物の寄与は小さく、積雪粒径増加効果の方が大きいことが分かった。また2012年7月の顕著な表面融解には下層雲からの長波放射が効いていた。消耗域では表面の不純物中に微生物が大量に含まれ、アルベド低下へ大きく寄与していた。衛星観測から2000年以降の氷床表面アルベドの低下原因を解析した結果、涵養域では積雪粒径の経年増加が主要因で、消耗域では裸氷域と微生物を含む暗色域の拡大が原因であった。内陸域で深さ223mの氷床コアを掘削し、その解析からBC濃度は1920-30年に現在の数倍程度高いことが分かった。
著者
高橋 伸子 橋本 和法 佐々木 かりん 橋本 誠司 上田 英梨子 松井 英雄
出版者
東京女子医科大学学会
雑誌
東京女子医科大学雑誌 (ISSN:00409022)
巻号頁・発行日
vol.81, no.3, pp.221-221, 2011-06-25

第40回新都市血栓止血研究会 平成23年3月4日(金) 東京女子医科大学 臨床講堂2
著者
橋本 周司 松島 俊明
出版者
早稲田大学
雑誌
重点領域研究
巻号頁・発行日
1994

過去2年間の研究により、右手による指揮棒の動きおよびデータグローブにより入力される右手の動きによって、音楽演奏を制御するシステムはほぼ完成している。また、発生する音響の音色をジェスチャーのよって実時間で制御する基礎実験を終了している。本年度の主な成果は以下のとおりである。1.これまでに開発した音響制御システムを改良し、基本周波数、振幅、倍音の振幅、スペクトル分布などを任意に実時間で指定できる音響発生システムを作成し、ジェスチャーによりこれを制御するシステムを感性させた。2.FM音源のパラメーターを遺伝的アルゴリズムで最適化する対話型の音色生成システムを作製し、喜び、悲しみ、怒り、嫌悪などを表す音色の音源パラメータの主成分分析を行い、2次元感性空間での関係を調べた。3.画像処理でのジェスチャー解析を行うと共に、新たに加速度センサーを用いた手振りの自動解析を試み、指揮の動作および音楽演奏における感情表現の自動認識についての知見を得た。4.ニューラルネットを用いて、ジェスチャーと音響の対応付けを行い、接続係数によってジェスチャーと音響の感性的な意味での変換関係の定式化を試みた。5.作製したシステムの演奏家および作曲家による評価については、現在予備的な実験を終了し、本格的な実験を計画中である。
著者
橋本 修 平地 康剛 佐薙 稔 西野 有 下田 秀昭 天野 義久 川上 英一郎 花澤 理宏
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. ED, 電子デバイス (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.100, no.548, pp.49-60, 2001-01-11

2000年の欧州マイクロ波会議の概要を報告する。本会議は30回目となり10月3日から5日までフランスのパリで開催された。今回もEuropean Microwave Week(10月2日から6日)、European Microwave Conferenceを核としGAASとEuropean Wirelessとの合計3つの会議を合体させて開催する方式で行われた。本論文は招待および一般論文の合計は328件であった。本報告では欧州マイクロ波会議での発表を(1)会議の概要、(2)アクティブ関係、(3)アンテナ関連、(4)CAD・解析、(5)ミリ波・光・センシング、(6)パッシブ関係、(7)通信・システム、(8)散乱・放射・環境電磁・人体影響に分けて紹介する。
著者
橋本 高志良 堀場 匠一朗 江藤 正通 津邑 公暁 松尾 啓志
雑誌
情報処理学会論文誌コンピューティングシステム(ACS) (ISSN:18827829)
巻号頁・発行日
vol.6, no.4, pp.58-71, 2013-10-30

マルチコア環境では,一般的にロックを用いて共有変数へのアクセスを調停する.しかし,ロックには並列性の低下やデッドロックの発生などの問題があるため,これに代わる並行性制御機構としてトランザクショナル・メモリが提案されている.この機構においては,アクセス競合が発生しない限りトランザクションが投機的に実行されるため,一般にロックよりも並列性が向上する.しかし,Read-after-Readアクセスが発生した際に投機実行を継続した場合,その後に発生するストールが完全に無駄となる場合がある.本稿では,このような問題を引き起こすRead-after-Readアクセスを検出し,それに関与するトランザクションをあえて逐次実行することで,全体性能を向上させる手法を提案する.シミュレーションによる評価の結果,提案手法により16スレッド並列実行時において最大53.6%,平均15.6%の高速化が得られることを確認した.
著者
橋本 由紀子 米良 重徳 中川 香代
出版者
吉備国際大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2011-04-01

本研究では近年の企業の社会貢献(CSR)の国際的新動向を鑑み、CSRの質的向上が急務であることから、有用なCSR評価指標の開発を試みた。そのためにRavi Kirloskar Quality Performance Model(RKQP MODEL)指標を使用し、インド、プネ市の産業地区における多国籍企業を含む合計10社のCSR担当者計14名、住民計200名、地域リーダー計20名に面接聞き取り調査を実施し、結果を経年度比較と因子分析を行い、評価に重要な6因子を抽出した。また、質的調査により、住民参加型、専門部署による運営等、高評価の要件を導き出し、今後のCSRの動向を整理し、課題を提起した。
著者
前田 直大 伊佐治 麻里子 直江 可奈子 四藤 理佳 尾崎 裕之 橋本 哲郎 入山 美知 松原 浩司 下沢 みづえ 小田 貴実子 作田 典夫 新岡 正法 小林 道也
出版者
一般社団法人日本医薬品情報学会
雑誌
医薬品情報学 (ISSN:13451464)
巻号頁・発行日
vol.14, no.4, pp.179-183, 2013-02-28 (Released:2013-03-06)
参考文献数
11

Objective: Doping is strongly prohibited in sports.  Sports pharmacist was born in 2010 in Japan, and the anti-doping activity is expected.  On the other hand, doping by arising from a lack of knowledge about prohibited substances in athletes, so-called “unwilling doping” is developing into a social issue.  In this study, we investigated the percentage of prohibited substances in all drugs and prescriptions in a general hospital, to collect information to prevent an unwilling doping.Methods: We constructed system to extract the drugs corresponding to prohibited substances in the prescription order entry system in Otaru Municipal Hospital, and we analyzed 3,306 prescriptions of 10 to 59 years old patients, from July to September 2010.Results: Thirteen point five percent of our hospital drugs met definition of the prohibited substance.  The number of prescriptions including prohibited substance(s) was 350 (10.6%), and its category was different from each age-group and clinical department.Consideration: Because prohibited substances are included in approximately 10% of prescriptions, athletes are exposed to danger of becoming an unwilling doping.  Pharmacist should be well informed about prohibited substances to prevent athletes from unwilling doping.  And they should provide information promptly and adequately for athletes.
著者
天池 寿 栗岡 英明 秋岡 清一 藤野 光廣 谷向 茂厚 飴野 弘之 安田 達行 西本 知二 池田 栄人 武藤 文隆 橋本 京三 大内 孝雄 田中 貫一 原田 善弘 伊志嶺 玄公
出版者
一般社団法人日本消化器外科学会
雑誌
日本消化器外科学会雑誌 (ISSN:03869768)
巻号頁・発行日
vol.24, no.7, pp.2017-2021, 1991-07-01
被引用文献数
5

65歳,男性.左上腹部痛・腫瘤触知を主訴に来院.入院精査の結果胃平滑筋肉腫と診断され,1988年6月29日にリンパ節郭清を伴った胃全摘・膵尾部脾合併切除を施行した.同年10月左側腹壁に境界不明瞭な腫瘤を認め,再発治療目的でAdriamycin,Cisplatin,Etoposide併用療法(EAP療法)を2クール施行した.その治療効果は著明で,触診上および腹部computed tomography(CT)検査上complete response(CR)の状態となり,現在再発の兆候なく健在である.EAP療法は,切除不能の進行胃癌患者に対して高い奏効率を認めると報告された強力なcombination chemotherapyである.一般に胃平滑筋肉腫に化学療法が奏効したという報告は少ないので,われわれの経験した有効例を今後への展望を期待し報告した.副作用としては高度の骨髄抑制,悪心・嘔吐,脱毛が認められたが,いずれも回復可能であった.
著者
橋本 政晴
出版者
信州大学
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2004

本研究の目的は、1991年から鹿島アントラーズのホームタウンとなり、2002年のW杯開催の受け皿となった茨城県鹿嶋市を事例として、これらプロスポーツチームやスポーツイベントに対して地域住民たちは、どのような「働きかけ」をおこなったのかを明らかにすることである。さらには、その働きかけを駆動させた背後には、どのような「生活の倫理」が内在しているのかについても明らかにするため、サポーター活動に奔走し、その後市議会議員をつとめている地元出身のT氏と、彼をとりまく同市佐田地区の地域住民たちを対象とした。プロスポーツチームやスポーツイベントに対するT氏とその地域社会の対応の諸相から、次のことが明らかになった。第一に、住民たちにとってサッカーは、決してい身近なスポーツではなく、言説によって凝り固められたメディアスポーツであり、メディアイベントであった。T氏はそうした住民よりも近くでサッカーを経験してはいるが、「熱い」サッカーを諦観する住民たちの暮らしぶりにも寄り添っている。ここから、メディアスポーツ/メディアイベントにおける受け手の能動性/受動性について語ろうとすることは、彼らの経験をあまりにも単純化・抽象化してしまうことにならないだろうか。第二に、住民たちがサッカーに対して諦観の姿勢を固持していたのは、自らの暮しをつつがなく送っていきたいがためのものだった。加えて、そうした地域の生活に配慮しつつ、「もの静か」な暮らしぶりに近づこうとするT氏の姿は、他方のサポーターとしての「過激な」振る舞いとは対照的であった。サポーターの代表としてのT氏は、地域の生活者でもある。両者が繋がりがないままに癒合している彼の身体性。それは、「地域」の歴史的な暮らしぶりが、かろうじてつなぎとめているのかもしれない。第三に、T氏はスタジアムに足を踏み入れると過激になり、ゴール裏を纏め上げることが求められる。鹿島に興味を注ぐマスコミや研究者に対しても、「地元サポーターの代表」としての役割が期待される。ところが共に地域生活を営んでいく人物としてのT氏に求められているのは、「つつがなく暮らしていく」ために地域に貢献することだった。だからこそスタジアムでは「ガラ悪く」しているのだが、地域生活者としての彼は、自身のこれまでの活動に苦悩し、「地域」に対して控え目に振る舞うのである。それだけ彼にとって「地域」の共同生活とは揺るぎのないものなのだ。鹿島においては地域生活とは無関係なままにサッカーが展開してきた。しかしそこで生活するT氏は「地域」とかかわらざるを得ない。スポーツ社会学の問いは、こうした生活の事実から出発することが求められている。

2 0 0 0 IR 幸福について

著者
橋本 博
出版者
上武大学
雑誌
上武大学ビジネス情報学部紀要 (ISSN:13476653)
巻号頁・発行日
vol.11, no.2, pp.103-130, 2012-12-28

幸福(仕合せ)の本質の問題は、誰もが納得する答えの出る問題ではないだろうこの小論は幸福に関する五つのアプローチを含んでいるが、それらを通じて幸福概念をできるだけ広い視野で明らかにしたい。第一のアプローチは古代ギリシャとローマの哲学・倫理学における幸福論を扱う。ここではストア派、ソクラテス、ソロンの幸福理解がテーマである。第二のアプローチは現代日本の知識人たちの幸福理解の多様性を浮き彫りにする。第三番目に、個人的「体験」としての幸福を問題にする。ここではヘッセの幸福体験を取り上げる。また第四のアプローチではショーペンハウアーの幸福論を特徴づける。幸福そのものを理解することは困難ではあるが、これらのアプローチによって幸福を理解するための枠組みができるのではないかと思われる。そして最後に幸福に対する「基本的態度」について述べたいと思う。
著者
浜島 良吉 勝山 邦久 橋本 学 金折 祐司 長尾 年恭 早川 正士 勝山 国久 呉 智深 鈴木 隆次 古宇田 亮一 竹村 友之 西村 進
出版者
埼玉大学
雑誌
基盤研究(A)
巻号頁・発行日
1994

不連続体場での弾性、弾塑性、粘弾性の進行性破棄に応用できる解析法が浜島により開発された。本解析手法は熱・流体・応力の連成解析にも適用された。本解析手法は結晶構造のような多角形要素にも適用可能である。変位関数として3角形要素の定ひずみ要素を用いているため、そのままでは結晶構造モデルに対しては変形を十分表現することができない。ハイブリット仮想仕事の原理は、弱形式のつり合い式と弱形式の変形の連続条件となるが、本研究では、変形の連続条件に関して、要素内と要素間の剛性にそれぞれα、βをかけ、これらの値がつり合い式を満足し、かつ変形の誤差が最小となるように定められた。ただし、α、βの間にはα=β/(β-1)の関係がある。1995年1月17日に兵庫県南部地震が発生し、多くの人名が失われた。地殻変動解析の重要性が再認識されたが、本研究では、日本列島をブロック構造に分割し、本研究で開発された不連続体解析手法を用いて解析が行われた。その結果、本解析手法により、日本列島内陸の断層の動きを比較的良く表現できることを明らかにした。本解析ではせん断破壊と引張り破壊を同時に考慮しているが、引張り破壊時には断層面上の応力を全て解放している。引張り破壊領域は危険断層とされている部分に良く対応していることが明らかとなった。本研究では、種々の方法により地殻変動解析がなされたが、目的によりそれらを使い分けて利用することが必要である。今後はこれらの解析手法をうまく融合して、地球規模の地殻変動解析まで適用可能とするようにしたい。