著者
橋本 道子 和 秀雄 阪口 雅弘 井上 栄 宮沢 博 渡辺 美香 三関 三乃 安枝 浩 新田 裕史
出版者
社団法人日本獣医学会
雑誌
The journal of veterinary medical science (ISSN:09167250)
巻号頁・発行日
vol.56, no.3, pp.597-598, 1994-06-15
被引用文献数
2

ネコを飼育している家庭の布団からのネコ主要アレルゲン(Fel d I)除去を家庭用洗濯機を用いて行った. 洗濯の前後に布団から綿の一部を集め, その綿からネコアレルゲンを抽出した. その抽出液中のFel d I量をサンドイチELISA法で測定することにより, 除去率を評価した. 洗濯後の布団のFel d I量は95%以上減少した. 布団洗いはネコアレルゲンを除去するのに効果的な方法であることがわかった.
著者
上田 修一 武田 節夫 山脇 一郎 山下 純一 安本 三治 橋本 貞夫
出版者
公益社団法人日本薬学会
雑誌
CHEMICAL & PHARMACEUTICAL BULLETIN (ISSN:00092363)
巻号頁・発行日
vol.30, no.1, pp.125-131, 1982
被引用文献数
8

A hydroxylated metabolite of 1-(tetrahydro-2-furanyl)-5-fluorouracil (FT), 1-(trans-3-hydroxytetrahydro-2-furanyl)-5-fluorouracil (trans-3'-OH-FT, VIII) and its isomer, 1-(cis-3-hydroxytetrahydro-2-furanyl)-5-fluorouracil (cis-3'-OH-FT, VI), were synthesized and isolated at high purity. As compounds related to FT metabolites, 2, 3'-anhydro-1-(cis-3-hydroxytetrahydro-2-furanyl)-5-fluorouracil (2, 3'-anhydro-FT, V), 1-(2, 5-dihydro-2-furanyl)-5-fluorouracil (3', 4'-dehydro-FT, XII) and 1-(5-acetoxytetrahydro-2-furanyl)-5-fluorouracil (5'-AcO-FT, XI) were also synthesized. The antitumor activities of these compounds against sarcoma 180 and L 1210 were examined. The activities of cis-3'-OH-FT (VI) and 2, 3'-anhydro-FT (V) were found to be lower than that of FT. The activity of 5'-AcO-FT (XI) was the same as that of FT. 3', 4'-Dehydro-FT (XII) showed much greater activity than FT.
著者
山下 純一 山脇 一郎 上田 修一 安本 三治 采見 憲男 橋本 貞夫
出版者
公益社団法人日本薬学会
雑誌
Chemical & pharmaceutical bulletin (ISSN:00092363)
巻号頁・発行日
vol.30, no.12, pp.4258-4267, 1982-12-25

Six types of 5-fluorouracil (5-FU) derivatives were synthesized ; namely, 2,4-di-O-substituted, 2-O-substituted, 4-O-substituted, 1,3-disubstituted, 1-substituted and 3-substituted compounds. After oral administration of these compounds to rats, the blood levels of 5-FU were determined. Among O-substituted derivatives, a 4-O-substituted derivative was most easily activated to 5-FU and 2-O-substituted derivatives were next most easily activated. Among N-substituted derivatives, acyl and sulfonyl derivatives showed the highest 5-FU releasing abilities and 1-alkoxymethyl substituted derivatives showed low ability. N-Alkyl substituted derivatives were not activated to 5-FU. Several compounds which gave higher blood levels of 5-FU than that obtained with 1-(tetrahydro-2-furyl)-5-fluorouracil (Thf-FU), as well as same related compounds, were selected and their antitumor activities were examined. The 2-O-substituted derivatives, 2-butoxy-5-fluoro-4 (1H)-pyrimidone (11) and 2-benzyloxy-5-fluoro-4 (1H)-pyrimidone (19), were as effective as Thf-FU. The activities of 2,4-di-O-substituted derivatives, 2,4-dibutoxy-5-fluoropyrimidine (1) and 2,4-dibenzyloxy-5-fluoropyrimidine (6), against Ehrlich carcinoma and against sarcoma 180,respectively, were the same as those of Thf-FU. The 1-substituted derivatives, 1-ethoxymethyl-5-fluorouracil (49) and 1-(1-ethoxy-1-phenylmethyl)-5-fluorouracil (50), were found to be as effective as Thf-FU.
著者
山下 純一 安本 三治 橋本 貞夫
出版者
公益社団法人日本薬学会
雑誌
Chemical & pharmaceutical bulletin (ISSN:00092363)
巻号頁・発行日
vol.31, no.11, pp.3872-3877, 1983-11-25

The mechanism of the condensation of 5-fluorouracil and 2-acetoxytetrahydrofuran (3), giving 1-(tetrahydro-2-furyl)-5-fluorouracil, was studied. An equilibrium between 2-acetoxytetrahydrofuran (3) and 2,3-dihydrofuran (4) was observed at 120-170℃ in dimethylformamide. It was found by the use of 1,3-dideuterio-5-fluorouracil that the condensation of 5-fluorouracil with 3 occurred both by direct substitution and by the formation of 4 from 3 followed by addition of the uracil to it. The contribution of the latter path increased with increase of the reaction temperature.
著者
浅野 博文 橋本 陽介 間瀬 憲一
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. RCS, 無線通信システム (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.103, no.12, pp.37-42, 2003-04-11

本論文では,ブルートゥースマルチホップ無線ネットワークの実験システムを構築し,データ配信に関して実験的な検討を行う.ネットワーク構築方法として,3通りの方法を考える.PAN(Personal Area Networking)プロファイルを用いて各端末をデータリンクレベルのブリッジとして動作させる場合,PAN Profileを用いて各端末をルータとして動作させる場合,LAN Access Profileを用いる場合である.実験のネットワーク構成は,マスター/スレーブブリッジを介する4ホップのストリング型ネットワークである.各端末をルータとして動作させる場合において,AODV(Ad hoc On Demand Distance Vector)のルーティングプロトコルを実装した.それぞれのネットワーク構成において,1〜4ホップのPingによるRTT測定,品質測定ツールNetperfによるスループット測定によって性能評価を行った.これにより,安定した通信を行うためのマルチホップ無線ネットワーク実現条件を明らかにした.
著者
天渕 律子 橋本 修左
出版者
日本健康医学会
雑誌
日本健康医学会雑誌 (ISSN:13430025)
巻号頁・発行日
vol.11, no.1, pp.40-46, 2002-08-10
参考文献数
5
被引用文献数
1

持別養護老人ホームで生活する高齢者の夏季の室温環境に対する温冷感やその調整への要望を把握するため高齢者45人に対して個別の面接調査を実施した。また,居室の温度,湿度などの実測値とその時点での高齢者の温冷感の申告との関係を観察した。その結果,朝方に寒いとの申告が昼や夜よりも多く,また,暑いと答えた割合は,夜間に多く見られた。高齢者は冷房による冷えと体調との関係に敏感な者が多く,特に下肢の冷えや痛みを庇って上半身の暑さを我慢する場合も見られた。高齢者の温冷感には,個々の心身の状況によって個人差が大きいことが分かった。また,冷房の送風に対して敏感である場合が多かった。
著者
高須 俊明 WAGUR M.A. YASMEEN Akba SHAHANA U.Ka AKRAM D.S. AHKTAR Ahmed 五十嵐 章 上村 清 土井 陸雄 石井 慶蔵 磯村 思无 吉川 泰弘 山内 一也 近藤 喜代太郎 SHAHANA Kazmi U. AKHANI Yasmeen AHMED Akhtar M.A.WAQUR SHAHANA U Ka D.S.AKRAM 橋本 信夫 高島 郁夫 WAQUR Anwar AKBANI Yasme AHMED Akhtar
出版者
日本大学
雑誌
国際学術研究
巻号頁・発行日
1991

1 亜急性硬化性全脳炎(SSPE)多発の動向と原因(1)多発の動向:(i)パキスタンのカラチではなお(1991〜93年)SSPEの多発が続いており、カラチ市民病院では3年間に総計36例(毎年9〜16例)が登録された(人口100万対年間1.3)。そのうち36%は2歳未満罹患麻疹(early measles)から、64%は2歳以上罹患麻疹(late measles)からの発生であった(高須)。麻疹罹患者のSSPEの罹患率は10万対22、early measles 罹患者からは10万対22、late measles罹患者からは10万対21となり、late measles罹患者からの発生が多い傾向が続いている(高須)。(ii)麻疹の発生は減少傾向にあり、1978年には15歳未満人口10万対2888であったのが、1987年には15歳未満人口10対380であった。カラチにおける地域調査では麻疹流行期には麻疹罹患年齢が高年齢側に広がり、非流行期の麻疹では比較的低年齢層に罹患年齢が集中する傾向がみられた(磯村)。麻疹ワクチンの普及は進みつつありカラチの調査地域では15歳未満児で66%、5歳未満児では82%に達しているが、臨床的有効率は比較的低く(76%)、ワクチン接種者で麻疹未罹患である児の中和抗体保有率は75%に留まっていた(磯村)。以上のように多発はなお続いているが、麻疹ワクチンの普及、麻疹発生の減少に伴なってSSPEが果して、いつごろから減少し始めるかに強い関心が持たれる。(2)多発の原因:(i)ケースコントロールスタディでは妊娠母体の異常および分娩時の合併症、新生児期の異常、early measlesおよびSSPE発病前の疾患罹患がリスクファクターと考えられた(近藤)。(ii)カラチの小児の免疫能の検査によって、麻疹ウイルスと他の病原微生物の混合感染の頻度が高く、免疫系の初期発達に対する過度の負担のため麻疹合併症や麻疹ウイルスの持続感染が成立する可能性の高い低生活環境レベルの小児が多く存在すること、および種々の病原微生物との接触機会が少なく、免疫系の発達が不十分なままlate measlesに罹患した場合ある種の接続感染が成立する可能性が考えられる高生活環境レベルの小児が存在することの両方がカラチにおけるSSPE多発の要因である可能性が示唆された(吉川、寺尾)。(iii)麻疹ウイルスの遺伝子変異が持続感染の可能性を高めたり持続感染後のSSPE発病を促進したりする可能性が考えられるが、これらは今後実証されるべき課題として残っている。このように多発の原因には生活環境のレベルが関与している可能性が強くなってきたと考えられるが、なお今後SSPE多発とのつながりを解明して行く必要があり、麻疹ウイルスの遺伝子変異と共に大いに興味が持たれる。(3)その他:(i)インド亜大陸のいくつかの地域(ボンベイ、バンガロール、ベロール、マドラス)では一つの病院で毎年5〜36名のSSPE患者の新患があり、多発を推測させる(高須)。(ii)タイの疾患サーベイランス制度はそれなりに機能しており、特に下のレベルほど統計が生きており、事務的な保健統計よりもはるかによく活用されていることがわかった。パキスタンのシンド州の調査により、疾患サ-ベラインス制度を樹立する可能性について肯定的な結果が得られた(近藤)。2 日本脳炎(JE)様脳炎の病原(i)1992年に採取した急性脳炎髄液からPCR法により24検体中それぞれ8検体、1検体に西ナイルウイルス、JEウイルスの核酸塩基配列を検出した。IgM-ELISAでも1989〜92年に集めた39髄液検体のうち7検体で両ウイルスに対する抗体が陽性であり、9検体は西ナイルウイルスにのみ陽性であった。これらの結果から、カラチでは1989年以後の急性脳炎の病原として西ナイルウイルスが重要な役割を果しているが、JEウイルスも急性脳炎の病原の小部分となっていることが示唆された(五十嵐)。(ii)1990〜92年にカラチとカラチから87kmの所にあるハレジ湖岸の野外で採集したコダタイエカ118、756匹(779プール)からの西ナイルウイルス、JEウイルス分離は陰性であった。このことは急性脳炎の病原となるウイルスがカラチおよび周辺地域に常在はしないことを意味するものと考えられた(上村)。以上のようにカラチのJE様脳炎の病原の本態がようやく明らかになってきたが、今後ウイルス分離によって知見をより確実なものにする必要がある。
著者
井上 仁 橋本 敦史 中村 和晃 舩冨 卓哉 山肩 洋子 上田 真由美 美濃 導彦
出版者
The Institute of Electronics, Information and Communication Engineers
雑誌
電子情報通信学会論文誌 D (ISSN:18804535)
巻号頁・発行日
vol.J97-D, no.9, pp.1490-1502, 2014-09-01

本論文では,調理中に起きる食材切断行動を利用した食材認識手法を提案する.一般的な物体認識手法の多くは,画像だけを用いている.しかし食材は異種であっても色が似通っていたり,同一種でも形状が大きく異なるために,画像のみでは認識が困難である.本論文では,食材を切断する際に観測できる荷重と切断音を新たな特徴として統合的に利用する.食材切断時にまな板にかかる荷重は,食材の硬さを反映した特徴であり,切断時に発生する振動音は食材内部の構造を反映している.ゆえに,これらの特徴は画像と併せて用いることで,食材の認識精度を向上させることが期待される.三つの特徴を統合した際の認識精度について,23種の食材を用いて検証し,大幅な認識精度の向上を確認した.
著者
橋本 望
出版者
東京大学大学院教育学研究科
雑誌
東京大学大学院教育学研究科紀要 (ISSN:13421050)
巻号頁・発行日
vol.48, pp.213-219, 2009-03-10

Bereavement is one of the biggest and most important issues in our life. Researchers, theorists and practitioners in psychiatry and clinical psychology have been trying to describe how we experience loss of the beloved ones. This paper aims to review how the concept of “grief” has been formed and transformed in recent years, giving a particular attention to cultural differences.
著者
片渕 悦久 鴨川 啓信 橋本 安央 飯田 未希 小久保 潤子 武田 雅史
出版者
大阪大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2011

本研究課題は、さまざまなメディアやジャンルを横断しながら物語が作り直されていく過程を検証するため具体的翻案作品を収集し分析を行った。とりわけ物語が別のメディアに変換される、あるいは同一メディアでリメイクされるケースを派生的かつ独創的な創造行為であると考え、各メディアやジャンルに対応した物語変換の原理や法則性を扱うアダプテーション理論の発展可能性を検討した。さらにそこから、主流文化からサブカルチャーまでを射程に収めた「物語更新理論」の構築をめざし、理論モデルを提案し、その体系化と具体的分析方法論を確立した。
著者
柴田 昇 神田 和重 久田 俊記 磯部 克明 佐藤 学 清水 有威 清水 孝洋 杉本 貴宏 小林 智浩 犬塚 和子 金川 直晃 梶谷 泰之 小川 武志 中井 潤 岩佐 清明 小島 正嗣 鈴木 俊宏 鈴木 裕也 境 新太郎 藤村 朋史 宇都宮 裕子 橋本 寿文 御明 誠 小林 直樹 稲垣 泉貴 松本 勇輝 井上 諭 鈴木 良尚 何 東 本多 泰彦 武者 淳二 中川 道雄 本間 充祥 安彦 尚文 小柳 勝 吉原 正浩 井納 和美 野口 充宏 亀井 輝彦 加藤 洋介 財津 真吾 那須 弘明 有木 卓弥 Chibvongodze Hardwell 渡邉 光恭 丁 虹 大熊 直樹 山下 竜二 Liang Guirong Hemink Gertjan Moogat Farookh Trinh Cuong 東谷 政昭 Pham Tuan 金澤 一久
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. ICD, 集積回路 (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.112, no.15, pp.1-5, 2012-04-16

世界最小の19nmのデザインルールを用いて64Gb多値(2bit/cell)NANDフラッシュメモリを開発した。片側All-bit-Line S/A構成、1plane構成によりチップサイズは112.8mm^2。ビット線バイアスアクセラレーション及び"BC"State-First書込みアルゴリズムにより、書き込みパフォーマンスは15MB/sを実現。プログラムサスペンド機能とイレーズサスペンド機能により、リードレイテンシー時間は大幅に短縮。400Mb/s/pin 1.8Vの高速Toggle mode InterfaceをNANDフラッシュメモリとしては初めて搭載した。
著者
橋本 公雄 丸野 俊一 徳永 幹雄 西村 秀樹 山本 教人 中島 俊介 杉山 佳生 藤永 博
出版者
九州大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2004

本研究は、運動・スポーツで経験されるドラマチックな体験が、青少年の生きる力にどのような影響を及ぼしているのかについて、質的および量的側面から検討することを目的とした。ここでは、ドラマチック体験を「練習や試合を通して体験した心に残るよい出来事や悪い出来事を含むエピソード」と定義し、試合場面における、たとえば逆転勝利などの劇的な瞬間だけでなく、普段の練習の過程でもみられる様々なエピソードも含めて捉えることとした。また、生きる力は、ライフスキルの概念と類似しているため、量的側面の分析では、スポーツドラマチック体験の学校生活におけるライフスキルに及ぼす影響を分析した。質的研究は、大学生(一般学生と体育部学生)を対象に、自由記述およびインタビューによって、どのような場面でドラマチックな体験が生じているのか、またその体験が心理、社会、身体、および生活上にどのような影響をもたらしたかを分析した。その結果、ドラマチック体験として、成功体験、失敗体験、試合体験、出会い体験、克服体験、課題遂行体験、役割遂行体験などが抽出され、心理的(自信や意欲)、身体的(技能向上)、社会的(協力や他者への思い)、人生・生活観(将来の見通しや人生観)にポジティブな影響を及ぼし、ドラマチック体験が生きる力に寄与していることが明らかにされた。また、ドラマチック体験尺度(Inventory of Dramatic Experience for Sport : IDES)の開発を試み、「努力の積み重ねへの気づき」「技術向上への気づき」「対人トラブルによる自己反省」の3因子、13項目からなる尺度を作成した。ドラマチック体験(独立変数)と学校生活スキル(従属変数)との関連では、時間的展望、QOL,自己効力感を媒介変数とする共分散構造分析を行い、モデルの検証をした。さらに、本研究では運動・スポーツ活動ばかりではなく、自然体験なども生きる力には関連するものと思われ、グリーンツーリズムや野外キャンプにおけるコミュニケーションに関しての考察を行った。
著者
橋本 剛
出版者
北陸先端科学技術大学院大学
雑誌
若手研究(スタートアップ)
巻号頁・発行日
2006

名人に勝つコンピュータ将棋の実現に向けて,動的なマージンを用いるFutility Pruningの提案,部分局面n-gram法の改良,詰め将棋探索で問題となる二重カウント問題の有効な対処法としてWeak Proof Number Searchの開発などを行った。マージンを用いるFutility Pruningの研究について,これまでfutility pruningは,チェスでは有効であるが将棋では探索空間の広大さと選択的探索が主流な事もあり,有効ではないと考えられていた枝刈り技術であった。しかし近年futility pruningを将棋に用いたBonanzaが好成績を収めて以降将棋でもfutility pruningが注目されることになった。futility pruningは大雑把な評価値にマージンを持たせαβのWINDOWから十分外れている場合に枝刈りをする技術である。これまでfutility pruningで用いるマージンには定数が用いられていたが,局面状況によって適切なマージンが変化すべきである場合に対応できないという問題があった。そこで,まずfutility pruningのマージンを定数で扱っている事による問題点を解析し,その改良案として,探索毎に動的なマージンを決定するアルゴリズムを提案,実装し評価を行った。その結果,動的なマージンを用いたfutility pruningが従来のものに比べて175勝138敗1分で統計的に有意に勝ち越し,その優秀性を証明することができた。部分局面n-gram法の改良では,プロ棋士の棋譜から頻度の高い指し手列を抽出し低ノイズで探索に組み込むことに成功した。また,指し手列の出現頻度をカウントし実現確率探索の遷移確率として扱うことでより人間らしい手筋を効率的に読ませることで探索の強化に成功した。詰み探索では従来のdf-pnに代わる二重カウント問題に影響されない新たな探索法Weak Proof Number Searchを提案し,ベンチマークテストでは611手詰みの「寿」をわずか数秒で解くなど従来手法に比べて圧倒的な性能を示した。
著者
柳澤 一男 橋本 達也
出版者
宮崎大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2003

古墳分布南端域における古墳の出現過程の解明を目指した本研究では、(1)宮崎市檍1号墳、(2)西都市西都原81号墳の2基の前方後円墳の発掘調査を実施した。調査内容とその成果は次のとおりである。(1)宮崎市檍1号墳は調査の結果、墳長52m、後円部直径35〜38m、同高4.5m、前方部長約17m、同高1.7〜2m、前方部前面幅約20mの規模が確定し、規格性の低い墳形が想定された。後円部から確認された埋葬施設は国内最大級の木槨と判明した。木槨は長方形のプランで、長さ6.8〜7.2m、幅4.0〜4.2m、高さは約1.5m程度と推測される。木槨内には短小型の刳抜式木棺の埋置を確認した。また前方部平坦面から長さ17mにわたる開削墓道の一部を検出した。檍1号墳の築造時期は後円部墳頂から出土した土器から4世紀前葉と推測される。(2)西都原81号墳は調査の結果、墳長53.7m、後円部経37.5m、同高3.7〜6.9m、方部長20m、同高1.2〜1.6m、前方部前面幅約20mの規模と、奈良県纒向石塚とほぼ等しい比率をもつ墳形を確認した。墳丘は後円部のみ2段築成、鍵穴形平面形の周堀は前方部隅角で収束する形態と判明した。後円部背面側に接続する突出部は、後円部墳丘下段と同時に形成され、上部平坦面外周に石組みが全周することが確認された。また突出部上面、くびれ部、後円部上段墳丘斜面から4基の小型陪葬遺構を確認した。本墳の築造時期は3世紀後葉と推測される。以上の調査により、(1)南九州における前方後円墳の出現が3世紀にさかのぼること、(2)前方後円墳の墳形と墳丘構築法の多様性、(3)埋葬施設の独自性と多様性(木槨・短小型刳抜式木棺)が明確となった。なかでも檍1号墳の木槨構造と西都原81号墳の調査成果は、畿内中枢部の前方後円墳形成過程と、前方後円墳の列島的規模の拡散研究に寄与するものである。
著者
渕 祐一 野口 玉雄 斉藤 俊郎 森崎 澄江 仲摩 聡 嶋崎 晃次 林 薫 大友 信也 橋本 周久
出版者
公益社団法人 日本食品衛生学会
雑誌
食品衛生学雑誌 (ISSN:00156426)
巻号頁・発行日
vol.29, no.5, pp.320-324_1, 1988-10-05 (Released:2009-12-11)
参考文献数
9
被引用文献数
2 1

大分県地方のフグ料理専門店に伝えられていた, フグ肝臓の独特な調理方法による減毒機構について検討した. マウス試験及びHPLC, TLC, 電気泳動の結果から, 調理方法による減毒は, 手揉み工程ではフグ毒の溶出除去によること, また煮沸工程では加熱によって有毒肝臓中のテトロドトキシンがアンヒドロテトロドトキシン, さらにテトロドン酸へと順次構造変化を起こし, これに伴い毒性が弱毒性, 無毒性へと転換変化する現象に基づくことが明らかにされた. さらに, この煮沸工程での減毒には溶出による除去機構も関与していることが示唆された.