著者
相馬 裕樹 細田 智弘 伊藤 守 永江 真也 古橋 和謙 坂本 光男 野﨑 博之 清水 英明 岡部 信彦
出版者
一般社団法人 日本感染症学会
雑誌
感染症学雑誌 (ISSN:03875911)
巻号頁・発行日
vol.94, no.4, pp.500-506, 2020

<p>新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の拡大によって,入院病床の確保が逼迫する問題となっている. 指定感染症であるCOVID-19 は,一定の基準に則って入退院の決定がなされており,入院期間は長期にわたる.大型クルーズ船によるCOVID-19 集団感染事例において,当院では軽症者を含む11 例のCOVID-19 感染症症例を経験したため,臨床経過から重症化因子と入院期間の延長に関わる因子を考察した.重症度は中国CDC の分類を用いて決定した.11 例の年齢中央値は62 歳,男性4 例・女性7 例で,軽症(mild)が 7 例,中等症(severe)が4 例,重症(critical)が0 例であった.発症から軽快の基準を満たすまでの日数の中央値は,中等症例13 日・軽症例7 日であった.発症からPCR の陰性化が確認できるまでの日数の中央値は,中等症例16 日・軽症例14 日であった.発症から退院までの日数は,中等症例22.5 日・軽症例16 日であった.COVID-19 症例は軽快した後も一部の症例でPCR 検査の陽性が継続し,入院期間の長期化の一因と考えられた.また,中等症例と軽症例を比較すると,中等症例は軽症例に比して入院時の血清フェリチンや血清アミロイドA 蛋白が高い傾向があった.COVID-19 症例の増加による病床数の確保が必要な状況においては,軽症例や入院後に軽快した症例の自宅・宿泊療養が検討される.また経過中に重症化する症例を適切に判別する方法を確立し,治療や二次感染防止のための入院・退院基準に反映することが必要であると考える.</p>
著者
王 敏真 清水 邦夫 上江洲 香実
出版者
応用統計学会
雑誌
応用統計学 (ISSN:02850370)
巻号頁・発行日
vol.42, no.2, pp.29-44, 2013-08-30
参考文献数
13
被引用文献数
1

東北地方太平洋沖地震およびそれ以前72時間の地震の緯度・経度・マグニチュードデータの解析を例に取り,方向統計学の利用について述べる.緯度・経度データから生成される角度データに対して,累積和プロット,累積平均方向プロット,ランク累積和プロットを用いて変化点の検出を試み,検定による変化点の検出と比較する.また,角度データについてJones-Pewsey の分布をフルモデルとし,ハート型,von Mises,巻き込みCauchyの各分布をサブモデルとしたときのモデル選択と分布の適合を議論する.マグニチュードデータについては指数分布を特別な場合として含む分布の利用を提案し,分布の適合を検討する.マグニチュードと角度の結合分布としてシリンダー上の分布について考察し,データへの分布の当てはめを行う.さらに,ディスク上の修正Möbius分布の適用可能性について議論する.
著者
清水 馨
出版者
千葉大学
雑誌
千葉大学経済研究 (ISSN:09127216)
巻号頁・発行日
vol.18, no.2, pp.439-471, 2003-09-24
著者
田井 政行 関屋 英彦 岡谷 貴之 中村 聖三 清水 隆史
出版者
公益社団法人 土木学会
雑誌
AI・データサイエンス論文集
巻号頁・発行日
vol.2, no.2, pp.378-385, 2021

<p>耐候性鋼橋梁の点検・診断は,防食機能の劣化状態の判定に基づき行われており,その判定には外観評点法が用いられる.しかしながら,外観評点法により的確な評価を行うためには,相応の経験を要するが,昨今の人材不足や点検費用の確保などの課題があり,簡易かつ精度が高い評価手法の確立が求められている.本研究では,耐候性鋼橋梁のさび近接画像と既存の CNNモデルを活用し,外観評点の識別精度について検討を行った.また,識別精度に及ぼす学習・検証用近接画像の画像サイズの影響についても検討を行った.その結果,VGG19及び SEnetの CNNモデルが高い識別精度を示した.また,入力画像サイズが大きいほど識別精度が向上することを明らかにした.さらに,学習と検証に用いた画像の解像度が異なる場合,識別精度が低下する傾向があることを示した. </p>
著者
斎藤 裕太 清水 浩 中嶋 洋 宮坂 寿郎 大土井 克明
出版者
日本植物工場学会
雑誌
植物環境工学 (ISSN:18802028)
巻号頁・発行日
vol.24, no.1, pp.25-30, 2012-03-01
参考文献数
20
被引用文献数
4

植物工場での栽培に適した光質の評価を行うため, 供試植物に&lsquo;チマサンチュ&rsquo;を用いて赤色光をベースとし青色光, 緑色光を加えた数種の光質条件下で栽培を行った. 赤単色光および赤緑混合光は生体重の増加に有効であり, 赤青混合光は茎長抑制に有効であることが明らかになった. 本研究の供試植物では青色光による草姿改善の必要性は無く, 節電の観点からも赤単色光のみで十分栽培可能であることが明らかになった.
著者
清水 あずさ GOH Wei Huang 橋本 道尚 三浦 重徳 尾上 弘晃
出版者
公益社団法人 日本生体医工学会
雑誌
生体医工学 (ISSN:1347443X)
巻号頁・発行日
vol.Annual57, no.Abstract, pp.S104_1, 2019 (Released:2019-12-27)

血管の内壁に単層の組織を構成する血管内皮細胞は,血流によるせん断刺激や筋の拡張収縮による伸展刺激など複数の力学刺激を受容して,カルシウム応答などの細胞応答や形態変化を呈することが知られているが,その詳細なメカニズムはいまだ解明されていない.このメカニズム解明のために、これまで細胞外マトリクス(ECM)で構成されたマイクロ流体デバイスに内皮細胞を播種することで血管の生体内環境を模したin vitro実験系が報告されてきた.しかしながら,従来の実験系では流体せん断刺激に対する細胞応答は報告されてきたが,伸展刺激を加味した細胞応答は明らかになっていない.そこで本研究では,複数の力学刺激を再現することにより,生体内環境をより模倣したin vitro血管モデルの構築を目的とする.具体的には,コラーゲンを用いたマイクロ流体デバイスにより,流れによるせん断刺激と伸展刺激の両方を印加可能な3次元培養系を提案する.本研究では,3Dプリンタで作製した水溶性モールドを犠牲層として用いてコラーゲンで構成されたマイクロ流路を構築した.また,外部より伸展刺激を負荷することで,コラーゲン流路内に培養した細胞が伸展している様子を確認した.
著者
清水 太郎
出版者
関西大学大学院東アジア文化研究科
雑誌
東アジア文化交渉研究 = Journal of East Asian cultural interaction studies (ISSN:18827748)
巻号頁・発行日
no.7, pp.477-490, 2014-03

In the 15th century, the Vietnames and Korean tribute missions began exchanges in Beijing (北京), Tongzhou (通州), and other places in China, peaking in the 18th century, in which (probably) fictitious exchanges were created as the author have previously discussed. Vietnamese and Korean scholars also studied those missions; however, they have often overlooked some exchange activities and incorrectly introduced basic facts, such as period of contact, composition of missions. The author has reexamined materials from the 15th century through 18th century and the 19th century in both countries. In 2013, the Center for Korean Studies at lnha University published "한국과베트남사신、북경에서만니디-창화시연구" ("Korean and Vietnamese Envoys who Met Each Other in Peking:Reseach on Chorus Poems") which completed primary researches on the subject.Nevertheless, other aspects of the exchanges have become known by the recently published work,"연행녹속집"("燕行録続集") which are diaries of Korean Envoys from 한성(漢城)where was capital of Joseon dynasty to Beijing where was Qing dynasty. Furthermore, progress has been made in researches in Korea and Vietnam, providing new knowledge. The main purpose of this paper is to reveal new reality of the exchanges hitherto unknown. The paper consists of two parts, intending to present broader image of the exchanges; First, it is to provide additional inforrmation through the recent studies on the exchanges of the two missions, which is not fully clear yet. Second, it is to discuss on indirect impact in a longer time span.文部科学省グローバルCOEプログラム 関西大学文化交渉学教育研究拠点東アジアの歴史と動態
著者
清水 徳朗 北島 宣 野中 圭介 吉岡 照高 太田 智 後藤 新悟 豊田 敦 藤山 秋佐夫 望月 孝子 長崎 秀樹 神沼 英里 中村 保一
出版者
Public Library of Science
雑誌
PLOS ONE (ISSN:19326203)
巻号頁・発行日
vol.11, no.11, 2016-11-30

ミカンの親はどの品種? : 遺伝解析により60種以上のカンキツ類の親子関係が明らかに. 京都大学プレスリリース. 2017-01-13.
著者
森地 茂 清水 哲夫
出版者
公益社団法人 土木学会
雑誌
土木計画学研究・論文集 (ISSN:09134034)
巻号頁・発行日
no.13, pp.915-922, 1996
被引用文献数
1

現在, 都市高速道路では渋滞緩和対策の1つとして流入制御が行われているが, 一般街路への負荷が大きいこと, 事故発生時及び渋滞発生時のような非定常な交通状態に対処できない等の問題を抱えている。本研究は, ランプの待ちスペースに車両を滞留させながらリアルタイムに車両を流入させる手法の開発可能性を検討することが目的である。その際制御オプションの1つとしてピークロードプライシングを導入するが, これにより流入禁止時間を減らす工夫を試みる。このような制御には, 急速な求解が可能な最適化アルゴリズムが必要であるが, 本研究では遺伝的アルゴリズム (GA) の適用により, この問題の解決を試みる。
著者
伊藤 怜子 清水 恵 佐藤 一樹 加藤 雅志 藤澤 大介 内藤 明美 森田 達也 宮下 光令
出版者
日本緩和医療学会
雑誌
Palliative Care Research
巻号頁・発行日
vol.15, no.2, pp.135-146, 2020

<p>厚生労働省の受療行動調査におけるQuality of life (QOL)を評価する項目について,全国から無作為抽出した20〜79歳の一般市民2400名に対して郵送法による自記式質問紙調査を実施することにより,その国民標準値を作成することを目的とした.さらに,SF-8<sup>TM</sup>, Patient Health Questionnaire-9(PHQ-9), Eastern Cooperative Oncology Group Performance Status(ECOG-PS), Memorial Symptom Assessment Scale(MSAS)などとの関連も検討した.分析対象は978部(41.1%)で,性年齢階級別人口統計によって重み付けした40歳以上のQOL指標の標準値は,「体の苦痛がある」33%,「痛みがある」33%,「気持ちがつらい」23%,「歩くのが大変」15%,「介助が必要」3%であった.本研究結果は,今後,受療行動調査を用いて全国的かつ継続的に患者の療養生活の質を評価し解釈していくにあたり,重要な基礎データとなる.</p>
著者
飯沼 壽孝 加瀬 康弘 塩野 博己 北原 伸郎 広田 佳治 清水 弥生 福田 正弘
出版者
一般社団法人 日本耳鼻咽喉科学会
雑誌
日本耳鼻咽喉科学会会報 (ISSN:00306622)
巻号頁・発行日
vol.91, no.9, pp.1358-1365, 1988
被引用文献数
2

1. 小児副鼻腔炎179症例のウォータース法によるX線写真を対象として,画像上の撮影角度,上顎洞の病変,上顎洞骨壁の所見を分析した.<br>2. 撮影実施時の撮影角度が成人に準じて適正であっても画像上の撮影角度は過半数において過剰であり,その傾向は幼少児に強い.<br>3. 画像上での撮影角度の過剰は軽度病変において見掛け上での陰影増強を来しうるが中等度以上の病変の陰影には影響を来さない.<br>4. 小児副鼻腔炎の画像上での病変は約70%で左右対称的であり,その傾向は幼小児に強い.<br>5. 上顎洞壁の不鮮明な所見の出現率は,上顎洞上壁内方で18.4%,同外方で17.3%,頬骨陥凹部で24.6%,頬骨歯槽突起線で1.1%である.<br>6. いずれかの部位で洞壁が不鮮明となる率は軽度病変で16.2%,中等度で47.8%,高度で72.0%となり,画像上での病変が高度になるに従って洞壁の所見は不鮮明となる.<br>7. 小児におけるウォータース法では,成人における撮影角度(耳眼面に対して45度)を修正し,3-4歳では20-25度とし,以降は年齢と小児の個体としての発育に合わせて,10歳以降ではじめて成人なみとする.<br>8. 小児副鼻腔炎のX線診断では,合併症や悪性腫瘍の疑いがない場合は,4-6歳まではウォータース法のみでもよく,7-9歳以降は症例に応じてコールドウェル法を併用する.<br>9. 他の画像診断として,上顎洞内の貯留液の有無に関してはAモード超音波検査法が有用である.<br>10. 小児副鼻腔炎の画像診断にはX線診断法に超音波診断法を組み合わせることで経過観察と治療効果の判定がより簡単となろう.
著者
塚田 哲也 清水 将
出版者
岩手大学大学院教育学研究科
雑誌
岩手大学大学院教育学研究科研究年報 = Research Journal of the Iwate University Professional School for Teacher Education (ISSN:2432924X)
巻号頁・発行日
vol.5, pp.139-147, 2021-03-31

首はね跳びは,平成29年告示の学習指導要領改訂に伴い高学年から中学年へと内容が下りてきたため,本研究は,小学校における体育授業で指導やその習得が難しいと言われる跳び箱授業の首はね跳びに着目し,第一空中局面を意識したはね動作習得のための単元開発に取り組んだ.その単元の成果と課題の検証をおこなった結果,教具を用いた学習と下位運動を組み合わせることで首はねとびの習得が有意に向上することが明らかになった.教具を用いることが,児童に疑似的にはね動作を体感させ,腰角の拡大に寄与することになり,その有効性が明らかになった.また,首はねとびの習熟度を高めるためには,はね動作のほかに第一空中局面に着目する必要があり,「ため」を作ることで,より雄大な首はねとびの習得につながることが示唆された.
著者
鹿島 長次 原田 和雄 加藤 明良 清水 政男 表 美守
出版者
公益社団法人 日本化学会
雑誌
日本化学会誌(化学と工業化学) (ISSN:03694577)
巻号頁・発行日
vol.1987, no.7, pp.1194-1198, 1987-07-10 (Released:2011-05-30)
参考文献数
10
被引用文献数
2

オルトおよびパラ位にヒドロキシ勉基,メトキシル基,メチル基を有するN-フェニルピリミジン-2(1H)-チオン類の金属水素錯化合物(水素化アルミニウムリチウム,水素化ホウ素リチウム,水素化ホウ素ナトリウム)による還元について検討した。2種のジヒドロピリミジンおよびテトラヒドロピリミジンの生成比が大きく置換基と金属水素錯化合物に依存することがわかった。とくにオルト置換基がヒドロキシル基とメトキシル基の場合,水素化アルミニウムリチウムおよび水素化ホウ素リチウムを用いたところ,3,6-ジヒドロ体が位置選択的に得られた。この高い3,6-ジヒドロ体への選択性は,まず,オルト置換基が金属ヒドリドと反応してフェノキシドあるいは配位結合を生成したのちに,ピリミジンチオンの6-位に分子内からヒドリドが優先して攻撃しているためだと思われる。
著者
山田 広幸 伊藤 耕介 坪木 和久 篠田 太郎 大東 忠保 山口 宗彦 中澤 哲夫 長浜 則夫 清水 健作
出版者
公益社団法人 日本気象学会
雑誌
気象集誌. 第2輯 (ISSN:00261165)
巻号頁・発行日
vol.99, no.5, pp.1297-1327, 2021
被引用文献数
11

<p> 2017年台風第21号(ラン)対する上部対流圏の航空機観測を、新たに開発したドロップゾンデシステムを備えた民間ジェット機を用いて行った。これは、日本の研究グループがドロップゾンデを用いて非常に強い台風の内部コアを観測した初めての事例である。本論文では、目の暖気核構造と、それに関連するアイウォールの熱力学的および運動学的特徴について記述する。この台風は観測の2日間において、鉛直シアーが強まる環境で最大の強度を維持した。ドロップゾンデにより、この期間に対流圏中層と上層に温位偏差の極大をもつ二重暖気核構造が維持されたことが捉えられた。この2つの暖気核は相当温位が10 K以上異なり、起源が異なることが示唆された。飽和点分析により、上部暖気核の空気はアイウォールから流入したことが示唆された。鉛直シアーベクトルの左半円側におけるアイウォール上昇気流は、台風の中心側で相当温位が高く絶対角運動量が低い2層の構造を持っていた。飽和点とパーセル法の分析から、この中心側の上昇気流で相当温位が370Kを超える暖かい空気が目の境界層から流入し、最終的に上部暖気核に輸送されることが示唆された。これらの結果から、目の境界層を起源とする高い相当温位の空気の鉛直輸送が、鉛直シアーによる台風強度への負の影響に対抗して、上部対流圏の目の継続的な昇温に寄与するという仮説が導かれた。この研究は、相当温位の計算に必要な温度と湿度の測定が、ドロップゾンデのような消耗型の機器でしか行えない現状において、アイウォール貫通型の上部対流圏航空機観測が暖気核構造の監視に重要であることを示している。</p>
著者
原 匠一郎 渡邊 裕司 清水 昭信
雑誌
第82回全国大会講演論文集
巻号頁・発行日
vol.2020, no.1, pp.255-256, 2020-02-20

本研究では、組み合わせ最適化問題の1つである巡回セールスマン問題(TSP)を、物理的な現象を用いて解く方法を提案する。物理的な現象そのものを用いることで計算量を減らし、より短時間で解を得られると期待できる。本手法では、各2都市間を抵抗のある導線ですべて繋げたモデルを考える。このモデルに対して垂直に一様な交番磁界をかけると、各導線に渦電流が流れる。この渦電流の値を測定し、測定した値を用いてTSPの解を得ようとするのが、本研究の狙いである。本研究では、TSPで与えられている移動コストに加えて、提案する物理モデルによって測定された渦電流の値を用いることで、Greedy法の改良を図り、提案手法が有効に働くことを示す。