著者
清水 孝一 下岡 聡行
出版者
北海道大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
1999

本研究では,市販の低周波電界治療器レベルの高電界を想定したELF高電界刺激による免疫調節の可能性を探ることを目的とし,基礎検討としてマクロファージの貪食能に対して及ぼすELF電気刺激の効果をin vitro実験で検討した.その結果,以下の成果が得られた.1.in vitro直接通電実験による実験パラメータの検討マウス腹腔マクロファージに通電したときの貪食能の変化を調べた.貪食の対象は蛍光ラテックスビーズとした.通電条件として,通電電流密度を10-100μA/cm^2,周波数を10-100Hz,通電時間を10sec-1hの間で変化させ,通電していないsham群の結果と比較した.何れの場合も通電した場合は明らかに貪食量は減少していたが,通電条件の差による明らかな違いはみられかった.2.in vitro変位電流実験系の開発体外からの電界刺激を想定し,変位電流によりマクロファージを刺激するための実験用セルを設計,製作した.電圧源として市販の低周波電界治療器のものを流用し,数10μA/cm^2の電流密度で刺激可能であった.3.in vitro変位電流通電実験による検討上記の実験系で,マウス腹腔マクロファージに変位電流刺激を印加したときの貪食能の変化を調べた.通電条件として,周波数を50Hz,通電電流密度を35μA/cm^2,通電時間を30分または1時間とした.フローサイトメトリーで貪食量を計測,評価した結果.通電によって貪食陽注のマクロファージの割合が減少すること,特に多量に貪食したマクロファージの割合が減少することが示された.本研究により,市販の低周波電界治療器レベルのELF電界がマクロファージの貪食能を抑制するの可能性が示された.マクロファージの貪食能の変化は,抗原提示を通じて免疫応答全体に影響を与える可能があると考えられ,高電界による免疫応答抑制の可能性があることが示唆された.
著者
清水 肇
出版者
日本建築学会
雑誌
日本建築学会計画系論文集 (ISSN:13404210)
巻号頁・発行日
vol.86, no.790, pp.2587-2597, 2021

<p> This paper presents an idea to explain the relationship between children's behavior and characteristics of places in after childcare facilities though observation researches. </p><p> Surveyed 2 facilities, W and M have outside open spaces and are considered to have various places inside and outside for diversity of acts. Observation survey to record all children's act of each scene was done. 1354 acts for 65 scenes in 12 days were recorded in facility W and 1148 acts for 56 scenes in 9 days were recorded in facility M. </p><p> Typology for investigation of children's act was proposed. Acts are categorized as "solo act", "play with form" or "spontaneous act" from a point of view of forms to be involved with others. And acts are categorized as "active", "sitting" or "with surroundings" from a point of view of way to use places. </p><p> Rates of acts were similar in W and M, about 15% for "solo act", about 43% for "play with form" and 43% for "spontaneous act" </p><p> Most of "play with a form, active" were found in open spaces in W and M. Most of "play with a form, sitting" were found in areas with desks in rooms </p><p> "Spontaneous play, sitting" and "contacting act, sitting" were found in the "area under trees" in W. "Spontaneous play, active" and "contacting act, active" were found in the "area under and around eaves" in M. "Spontaneous play with surroundings" are plays using situations given by features of places. They were mainly found in the "area under trees" in W and the "area under and around eaves" in M as plays with conditions of ground, animal, insects, plants or materials. </p><p> Many "solo acts" were found in rooms or corners for reading and rest of them were found in various places in or around group acts. </p><p> Moving acts are understood as "space using". Sitting acts are understood as "base using". These two and "surroundings using" are basic types of place using. </p><p> "Space using" is to act in a place with a void and a plain where moving acts are allowed. </p><p> "Base using" is to act in a place where it is allowed to remain at ease such as a place with furniture, wall surrounded place or a higher place. </p><p> "Surroundings using" is to act with specific feature of a place such as natural environment, natural material or unique equipment. </p><p> Open spaces for "space using" and indoor spaces for "base using" are secured in W and M. Places in particular state for "spontaneous act" were found in addition. These situations are considered to show a possibility that "spontaneous act" are done in condition where "space using", "base using" and "surroundings using" are related each other. Following study in detail is necessary about "spontaneous act". Difference of rates of acts of individuals were found according to individuals, activity analysis. Some children spend most of time with "play with a form" or with "spontaneous act" and a few children tend to spend more time with "solo act" than others. </p><p> In conclusion acquirement of places for "space using", "base using" and "surroundings using" were found to be important as a living facility for children with various ways of behaviors. </p>
著者
清水 龍瑩
出版者
慶應義塾大学
雑誌
三田商学研究 (ISSN:0544571X)
巻号頁・発行日
vol.39, no.1, pp.141-180, 1996-04-25

今回のサーベイは,世界が急速に単一市場化し,しかも日本人の賃金は,欧米の2〜3倍,アジアの10倍という状況のもとで,どうしたら日本企業がブレークスルーを見出し,日本経済全体が世界の中で生き残っていくかという,危機的な問題意識から行われた。まずいま世界中が注目している中国の経済成長についてその実態をみるべく8月下旬から9月上旬にかけて上海の企業経営者のインタビューを行った。社会主義市場経済の実態を知るべく,合弁企業3社,郷鎮企業2社,国有企業1社をみた。またその中国を中心にして急変するアジア市場に,いままでとは全く違った新しい,柔軟な発想で進出する野村グループに焦点を合わせて,3社のインタビューを行った。さらにこの激変する市場に対応する日本企業のオピニオンリーダーたる同友会幹事や現実にむずかしい経営を迫られている典型産業たる機械製造業社長や,企業と異なった経営理念をもつ農協理事長にインタビューした。これらいろいろ方面の異なったリーダーにインタビューすることによって,日本経済の生き残りの道が少し見えてきた。アジアの国々の企業と比べて平均して,技術力が1.2倍,組織力が1.2倍,賃金調達力が1.2倍,勤勉さが1.2倍……にすれば(1.2)^n = 10以上という力を発揮することができ,世界の単一市場の中でも競争できるのではないかということである。巷間言われているように,単に日本企業のハイテク化では生き残れないということがよく分かった。上海市は, 1993年現在,人口約1289万,GNP1510億元,外国からの投資額7千万米ドル,経済成長率14.9%と急成長している中国最大の経済都市である。その地区は,13の市街地区,6つの準市街地区と,新たな工場誘致をすすめる浦東地区の3つに分かれており,10年後は香港をしのぐ,中国一の貿易,金融,情報センターになることを目ざしている。中国政府の改革開放政策の中心原則たる社会主義市場経済の成果が,現在最も顕著に現われている地域である。3年前筆者が天津に経営者インタビュー・サーベイに行ったときは,社会主義市場経済は単なるスローガンだった。今回は,それが実践・実行され,社会主義という統制の下で,経済取引は自由に行われ,経済効率の向上という面からは非常に成功しているのに驚いた。たとえば上海市の高速環状道路は5年計画で建設がはじまったが,実際は2年で完成したという。日本のように土地買収,日照権,騒音公害などの問題がないからである。土地が国有だから住民を国家権力でどこへでも移住させられる。建設工事も24時間作業の突貫工事で行われている。労働者も四川省などの内陸部の農民籍の出稼者であり,4年たてばまた故郷へ帰らされる。上海で働いている間は,比較的高い賃金をもらい,技術もある程度習得できるので勤労意欲も高い。これらは社会主義の計画経済の原則から定められた規制である。しかしこの工事を請負う建設会社は外資合弁企業でもよく,賃金,資材の調達は全く自由であり,また多くの免税特典が与えられ,経済効率は高い。しかしこの経済自由の原則は,ときどき,社会主義の原則を破ることもある。外資合弁の私企業が工場を拡大するために,予定敷地内にある公立の中学校を別の土地に移すこともある。日本では全く考えられないことである。環状道路内側の国有企業は,その土地の利用権を高く売って,郊外の安い土地に移り,その差額を賃金源にすることもできる。一方,逆に社会主義の原則が経済自由の原則を破ることがある。国有企業は経営が苦しくなると借入金返済免除という「徳政令」をうけることができる。こんなことは日本では考えられない。また若い技術者は地方へ移籍してもまた上海へ戻ることができるが,50歳以上の人は外部へ移籍すると戻ってこられない。社会主義の原則が自由経済の底にある居住の自由という基本的原則までおかしている。このように社会主義の原則も市場経済の原則も,経済効率の向上という大目的の前には,その都度都合よく変形され運用されている。このことによって上海は,われわれ日本人の考えられないような速さで成長している。ついこの間まで,日本人はせっかちで,中国人はのんびりだというのは,上海に関する限り当てはまらないようである。このままの政治体制が10年つづけば,上海は香港を技いて中国最大の貿易,金融,情報都市になることは間違いないようである。〈中国関係〉[上海新晃空調設備];合弁企業の日本人の責任者の賃金は,中国人の責任者のそれの50倍にもなる。日本人は二重生活で住居費も高いから理くつでは理解できるが,中国人には不満である。[上海尼賽拉傅感器];償却費を計算しても,自動機械のほうが手作業より3倍効率がよい。[上海三菱電梯];日中の経営者の賃金格差は頭では理解できても気持の上では納得できない。中国の従業員の賃金決定要因は年齢,貢献度,職場,学歴で,そのウェイトは1:3:2:4。日本からの鋼材,図面は米国型で,欧州型の中国人にはなじめない。[上海無綫電一廠];資金不足が深刻である。環状線の外側の安い土地に出ていって差額を得る。従来100%だった退職金,年金の負担を25%に減らしてもらった。あとは政府がもつ。国営銀行からの借入金の返済を免除してもらう「徳政令」を求める。その代り国営銀行に相当額の株式をわたす。[昆山市周庄鎮農工商總公司];賃金は都市労働者の半分くらい。しかし仕事のあるときは働き,ないときは農業をやる。それでパートではない。賃金,技術,人材が少ないので大企業,外資企業と提携したい。[〓昆光電技術];幹部技術者が不足する。しかし上海から50歳以上の人に来てもらって戸籍を移すと,再び上海へ帰れないという規則がある。投下資本利益率30%,株式の80%は農民所有。利益の60%を配当にまわしているが,農民は配当より,その再投資による経営のさらなる発展を望んでいる。〈野村関係〉[野村證券];日本の豊かになった金融資産をベースにして,インベストメントバンク,銀行,証券の業務を統合した新証券業を考える。ベンチャー企業への投資,ベトナムの電力スキームの建設援助,工場団地の建設に参加する。株式売買手数料にだけ依存していてはジリ貧になる。[日本合同ファイナンス];ベンチャーキャピタルを経営していくには,いままで日本人にはなかった不平等主義,金儲け賛成の新しい考え方がまず必要。次に将来有望な投資先をたえず見つけ続けるには,技術を通じて人脈をつくれる人を集めることが最も重要。[野村不動産];不動産業も使い手が国際化すると新しい国際基準で動く。不動産業者は土地やビルを所有せず,開発・建設だけを行う。投資家が金を出す。不動産業者がショッピングモールを建設し,同時に不動産投資信託会社をつくり,これがその不動産を小口証券化し,それを年金基金など金融機関に売る。[篠山町農協]:農家はすべて兼業農家であり,農民は農産物ばかりでなく,工業製品やサービスを生産して生活している。[ウシオ電機];中国の経済発展に刺激されたアセアンの急速な自由化に日本は戸惑っている。日本の硬直化した企業内ピラミッド組織,業界型・ミニマムルーザー型の産業構造では対応できない。[JUKI];コスト削減のためにはベトナム進出が最も期待できる。ベトナム人は器用で,勤労意欲が高く,日本人と波長が合う。ミシン以外に表面実装装置などのエレクトロニクス応用新製品開発に力を入れている。
著者
星野 洪郎 清水 宣明 大上 厚志 藤木 博太 田中 淳
出版者
群馬大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2004

アジア地域でのHIV-1感染症の特殊性をタイのチェンマイ大学を共同研究の拠点として解析を行なった。タイには既に60万人の感染者がおり、その内2万人は子供である。HIV感染児では、大人より病気の進行が早く、治療効果の判定や薬剤の副作用の判定が早くできることがある。チェンマイ近郊には、HIVに感染した孤児を世話している国営の施設があり、経過観察や治療は、もっぱら国立病院やチェンマイ大学で行っている。文橡者の定期的な検査とその病態の関連をウイルス学的に解析してきた。このようにHIV感染小児の病態を解析しやすい体制を整えることができた。抗酸化物質にヒトのがんの発症を抑制する働きがあることが、多くの疫学的論文で報告されている。一方酸化ストレスやTNFαが、HIV-1感染症などの慢性感染症でウイルスを活性化させ、病気の進行を促進すると考えられている。抗酸化作用を持ち、TNFαを阻害する緑茶抽出物やアスタキサンチンなどの抗酸化剤は、HIV-1感染症の進行を抑える可能性が考えられる。これらについて介入的疫学研究を行う準備をしている。我々は、HIV-1感染の新しいコレセプターとして新しいコレセプターを同定し解析した。日本人感染者、タイの感染児の抹消血を用い、経時的に解析し、新しいコレセプターの臨床的、疫学的の意義を明らかにした。すなわち、HIV-1感染の新しいコレセプターとして、D6,CCR9b, XCR1およびFML1を同定し、解析を始めた。D6は、日本人血友病患者由来のsubtypeBのdual-tropic HIV-1、FML1はタイ、ベトナム由来のsubtypeAEおよびCのウイルスで利用した。これまでの研究期間の間に、タイの規則が厳しくなり、タイ人の試料は,許可なしには持ち出せず、国外持ち出しの手続きに長時間かかるようになった。緑茶抽出物をHIV感染者に投与するには、チェンマイ大学の倫理委員会に書類を提出しなければならないが、審査を受けるのに非常に時間がかかることが明らかとなった。現在手続きを進めている。
著者
須田 将吉 清水 逸平 南野 徹
出版者
一般社団法人 日本血栓止血学会
雑誌
日本血栓止血学会誌 (ISSN:09157441)
巻号頁・発行日
vol.30, no.3, pp.521-528, 2019

<p><b>要約:</b>老化は様々な疾患のリスク因子である.動脈硬化巣に老化細胞が蓄積していることがわかり,血管細胞の老化がこれらの疾患に関与していることが示された.血管内皮細胞特異的に老化を抑制すると血管機能が保たれ,反対に老化を促進すると血管機能が悪化することも報告されている.さらに血管内皮細胞の老化抑制は,脳血管・心血管疾患だけでなく,肥満や糖尿病も改善させることが明らかとなり,血管内皮細胞の老化抑制は加齢関連疾患の包括的治療につながる可能性が示唆されている.さらに近年では,老化細胞除去(senolytic)治療という新しいストラテジーに注目が集まっている.老化した血管内皮細胞を選択的に除去する薬剤を投与したマウスでは,認知症や加齢による筋力低下などの老化の表現型が改善し,さらには寿命が延長するという結果も出てきている.血管内皮細胞老化は,血管疾患だけでなく様々な疾患の発症や個体老化にも重要であり,新しい治療標的となりつつある.</p>
著者
水野 章子 泉 朋子 後藤 健 奥田 日実子 栗山 廉二郎 神谷 康司 有村 義宏 後藤 淳郎 荒井 香代子 清水 阿里 下村 有希子 高野 真理 鈴木 日和 木村 里緒 幸地 優子
出版者
一般社団法人 日本透析医学会
雑誌
日本透析医学会雑誌 (ISSN:13403451)
巻号頁・発行日
vol.54, no.5, pp.219-228, 2021

<p>【目的】血液透析(HD)患者の赤血球容積分布幅(RDW),平均赤血球ヘモグロビン量(MCH)と腎性貧血治療との関連性を明らかにする.【対象】赤血球造血刺激因子製剤(ESA)投与中のHD患者926例.【方法】①RDWの中央値で分け比較.RDWを目的変数とした重回帰分析を施行.②赤血球数(RBC),MCHで分けESA量などを比較.③フェリチン,トランスフェリン飽和度で鉄欠乏・充足群に分けESA量などを比較.④鉄剤投与経路の差を比較.【結果】RDW高値群はMCH低値でESA量が多かった.RDWの規定因子はESA量,MCHなどであった.MCH 30 pg未満群はRDWが高くESA量が多かった.経口鉄剤群はRDWが低くESA量が少なかった.【結語】RDW高値,MCH低値のHD患者は赤血球の鉄利用低下が併存しESA量が多かった.MCHを指標に鉄剤を投与すればESAを減量できる可能性がある.</p>
著者
柴田 徹 清水 正喜 都司 尚
出版者
京都大学防災研究所
雑誌
京都大学防災研究所年報 (ISSN:0386412X)
巻号頁・発行日
no.25, pp.p113-129, 1982-04
被引用文献数
1

It is said that about 13% of the area of our country is covered with granite rock masses ordecomposed granite soils. Granite has played a very important role as a foundation rock mass oras a construction material. The importance has increased and will increase more and more withincreasing large scale construction works.In order to investigate fundamental mechanical characteristics of decomposed granite soil, drained or undrained triaxial tests were performed on undisturbed samples. Some basic physicalproperties were also examined to identify the samples used.A few of main results obtained are as follows:I) Heavily weathered clayey sample behaves mechanically like a sedimentary clay;ii) As to less weathered gravel or sand like samples, mechanical characteristics depend stronglyon the degree of weathering, I.e., weathering reflects on the scatter of the results, on the increase ininitial void ratio, consequently on the decrease in shear strength and the increase in compressibility;iii) Compressibility due to change in isotropic component of stress can be represented by the linearrelation between e and logp;iv) Volumetric strain due to dilatancy which can be evaluated by subtracting the volumetric straindue to isotropic stress component from the measured total volumetric strain correlates well to theconfining stress; andv) Shear modulus increases with increasing confining stress but does not continue to increase forhigh values of confining stress.
著者
青木 義彦 岩清水 隆 山田 佳博 永野 浩一
出版者
公益社団法人 日本コンクリート工学会
雑誌
コンクリート工学 (ISSN:03871061)
巻号頁・発行日
vol.50, no.8, pp.683-688, 2012 (Released:2012-09-01)
参考文献数
6
被引用文献数
9 8

高さ300mと日本で最も高いビルとなる「あべのハルカス」では,設計基準強度(Fc)が150 N/mm2の高強度コンクートと降伏応力度が440N/mm2の高強度鋼材を組合せた超高強度CFT柱を採用している。地上22階,高さ112 mまでの圧入が必要であったFc=150 N/mm2の超高強度コンクリートについては,圧送性向上のためにセメントとして低熱ポルトランドセメントをベースにシリカフュームをプレミックスしたセメント(SFCS)1)を使用した。本稿では先立って実施した実大施工実験と実施工の結果について報告する。
著者
清水 宏樹 伊藤 将希 岡野 圭吾 谷口 守
出版者
公益社団法人 日本都市計画学会
雑誌
都市計画論文集 (ISSN:09160647)
巻号頁・発行日
vol.55, no.3, pp.553-560, 2020-10-25 (Released:2020-10-25)
参考文献数
37
被引用文献数
1

近年,我が国では人口減少・少子高齢化社会の進行に伴って空き家問題や財政悪化などの新たな都市問題が進行している.このような都市問題は実際,各自治体の枠を超えた広域的な問題であるが,問題進行の程度には地域差があり,広域的な連携による問題対応の足並みは揃わない.本研究ではこうした問題進行の地域差を明らかにするため,大都市雇用圏に着目して人口減少・少子高齢化社会の都市問題の進行実態と近年の傾向を把握した.その結果,対象とした都市問題の進行はどの自治体も順次悪化が進むカスケード化の様相を呈しており,圏域内で特定の小自治体が一人勝ちとなる傾向も明らかとなった.
著者
清水 健司 川邊 浩史 海塚 敏郎
出版者
日本パーソナリティ心理学会
雑誌
パーソナリティ研究 (ISSN:13488406)
巻号頁・発行日
vol.15, no.1, pp.67-70, 2006 (Released:2006-10-07)
参考文献数
9
被引用文献数
2 2

The purpose of this study was to construct a short form for young adults that measured their social phobic tendency and narcissistic personality in the two dimensional model. The scale consisted of ten items each for the two dimensions, which made it easy to classify them into personality subtypes. Analyses of the data from 305 students showed that the factor structure of the scale was sound, and that the two subscales had sufficiently high internal consistency. We would need next to study correlational data with other psychological scales.
著者
清水 玄彦
出版者
神戸大学経済経営学会
雑誌
国民経済雑誌 = Journal of economics & business administration (ISSN:03873129)
巻号頁・発行日
vol.220, no.5, pp.63-71, 2019-11

ケインズはマクロ経済学を創始し, ポパーは科学と非科学との境界設定の基準として反証可能性を提唱したことは知られている。しかし, 彼らが通常とは異なる確率概念をそれぞれ提唱したことはあまり知られていない。確率については通常, 古典的確率, 相対頻度(統計的) 確率, 主観的確率の三種類が紹介され, これらいずれの確率とも整合的である公理的確率を用いるのが一般的である。これに対してケインズは論理的確率を, ポパーは傾向的解釈を創案した。果たしてこれらの確率概念はどういう特徴を有しており, またどういう役割を果たすことができるかについて検討する。