著者
松盛 裕明 清水 敏久
出版者
一般社団法人 電気学会
雑誌
電気学会誌 (ISSN:13405551)
巻号頁・発行日
vol.141, no.10, pp.621-623, 2021-10-01 (Released:2021-10-01)
参考文献数
4

1.はじめに電気を所望の電力形態に効率よく変換するパワーコンバータは持続可能な開発目標(SDGs)の達成に必要不可欠であり,その性能指標である単位体積当たりの出力電力量(以下,電力密度)は主にSi半導体デバイスの進化によって向上してきた。その理由はSi半導体デバイスがパ
著者
川上 源太郎 加瀬 善洋 卜部 厚志 髙清水 康博 仁科 健二
出版者
一般社団法人 日本地質学会
雑誌
地質学雑誌 (ISSN:00167630)
巻号頁・発行日
vol.123, no.10, pp.857-877, 2017-10-15 (Released:2018-01-25)
参考文献数
90
被引用文献数
3 6

日本海東縁の沿岸域では,津波起源とされるイベント堆積物の報告が急増している.その時間-空間分布を整理し,地域間の対比と推定される波源を提示した.19~18世紀にはいくつかの歴史津波が知られ,地点数は多くないが対応するイベント堆積物が報告されている.18世紀以前は歴史記録に乏しいが,イベント堆積物から14~9世紀の間に次の4つの津波イベントの存在が示唆される-14世紀:青森~山形北部,12世紀:北海道南西部,11世紀(西暦1092年?):佐渡/新潟~山形南部,9世紀(西暦850年?):(佐渡~)山形~青森-.これらのイベントは日本海盆の地震性タービダイトにも記録されている.より古いイベント堆積物は,奥尻島や佐渡島などの離島で認められている.現時点では堆積物の起源の認定や正確な年代決定などに多くの問題が残っており,この総説が今後の問題点の解決と日本海東縁の古津波像解明の一助となることを期待する.
著者
清水 弘 遠藤 八十一 渡辺 興亜 山田 知充
出版者
北海道大学低温科学研究所
雑誌
低温科学 物理篇 (ISSN:04393538)
巻号頁・発行日
no.24, pp.221-238 図3p, 1966-03
被引用文献数
1
著者
清水 龍瑩
出版者
慶應義塾大学
雑誌
三田商学研究 (ISSN:0544571X)
巻号頁・発行日
vol.38, no.1, pp.39-78, 1995-04-25

今回のサーベイは. 1991年を境にして,それまでの成長イソフレ期から成熟デフレ期に移った日本経済,そして世界の物価の2倍以上にもなる高物価に浸っている日本経済,のもとで行われた。成熟デフレ経済,内外価格差2倍という経験は,未だ日本人が経験しないものであり,企業経営者は,いま必死になってサーバイバルの方向を探っている。この必死の努力をより明確にするため,今回は特に,成長インフレ期にインタビューを行い,しかもそのときの社長がそのまま経営者の地位についている企業や,長期の不況でやや苦しくなっている企業を選んでインタビューを行った。長期不況期における経営者の考え方,行動を立体的にとらえるためである。この時点で共通している問題は,中間管理者の人件費増と,海外進出によるグローバルな相互依存関係の強化である。<食品・サービス関係>「石井食品」;内外価格差が拡大し,豚肉より安い牛肉があらわれ,従来の生産技術を変えなければならなくなった。単身世帯がふえたため,食品はつくったときより食べるときおいしいのがいい。人事評価としては,このような変化に対応できる人を高く評価する。「すかいら-く」;自分で努力していることに満足しているうちに,いつの間にか競争店と比べて価格が高くなってしまった。既存店の半数を「ガスト」に転換するのは相当不安であったが,品数の絞り込みによる技術生産性向上で好決算になった。お客の満足という条件の下で業績の向上をはかれる店長を高く評価する。「モスフードサービス」;会長自身の「人を仕合せにしたい」という思い入れが少くなったため,安易な出店がなされアメリカ進出は失敗した。円高で仕入価格が相対的に割高になる場合がおきても,そのまますぐ取引を中止することはない。いろいろアドバイスをする。日本人と中国人の考えの違いから中国へは試行錯誤で少しずつ進出する。信頼できる人が現れるまで待つ。ものごとの存在意義を理解し,すぐ行動する,挑戦意欲の高い人を評価する。<アパレル関係>「吉野藤」;問題点は,円高によって,品質のよい輸入品の単価が急落し,売上減になったこと。これに対処するためには,人件費の削減と納期短縮とがある。これからのアパレルは品質より納期が大切。個人で顧客をもっている呉服関係の人間は自分で判断して稼げ。課長には30歳までに,部長には50歳までになれなければ給料を下げる。「いなきや」;商品単価,客数,客1人あたり購買数の減少によって,3年連続の減収・減益。右上りの経済がなくなったので店舗数拡大による売上増は不可能。価格破壊はステープルグッズよりファッショングッズで大きい。小売よりメーカーのほうに情報がある。安易な賃金,人員カットは行わない。ただ複線型賃金体系の導入は考えている。「小杉産業」;3年連続の円高・デフレのため海外進出せざるをえない。空洞化に対して,形態安定技術などの技術革新,シーズン中に追加注文できるクィック・レスポンス・システムの構築が必要。安定したブランドでは,昨年売れたものの7割は今年も売れるし,ブランドごと色調,トーンは安定しているから,売れ筋の予測は大体できる。「しまむら」;買取り仕入れが不可欠。価格破壊という言葉は意味がない。国際相場が正しい価格である。全国展開する場合の品揃えには2つの考え方がある。その地域の需要の全部をとるつもりなら地域性を考えた品揃えが必要であるが,柱だけとるなら地域性は考えなくていい。現在はテレビの影響で東京発のファッションがすべて正しい。パートから上った中年女性は非常に優秀であり,これを店長にしている。<機械・電機関係>「マツダ」;部品メーカーは,前回の円高の時はコスト削減で切り抜けたが,今回は海外進出・グローバル化せざるをえなくなった。自動車メーカーにとっては,これら海外進出した部品メーカーからの調達はそのままコスト削減になる。また多くの車種に共通した部品や,新しい車種にそのまま使える部品を使うことによって,品質が良くて安い部品を調達できる。「TDK」;最大の問題は,3年連続の減収・減益の中での余剰人員。右上りの成長がとまれば主流からはずれる人は多くなる。この人達にどうやって意欲をもたせるかが問題。本社は20人くらいで十分。少数にすれば精鋭になる。中国人は商売の人,日本人は製造の人で肌が合わない。これからは進出先がダメなら屋台ごと設備を他国へ移してしまう"屋台製造業"でいい。「リコー」;現在のマクロ問題は,日本人が誰も経験したことのなかった成熟デフレ時代になったこと,日本のあらゆるものの価格が世界のそれの2倍になったことである。いま規制緩和・輸入拡大が言われているが,そのうちに輸出するものがなくなってしまう。日本は高度工業化社会にならなければならない。中間管理者の余剰人員は,企業グループ内にたえず受け皿をつくり,いつでも出向,出向戻しができるようにする。<金融関係>「秋田銀行」;問題点は,県内人口の減少,県民所得水準の低さ,県内金融機関同士の競争激化。堅実経営に徹し,新金融商品や,中国・ソ連への進出はやっていない。支店長の評価はその人材育成によってみる。部下にジョブローテイションを行い,その後研修センターに出席させ,その能力開発度によって,その上司の育成能力を評価する。「大垣共立銀行」;顧客の信頼をうることが最大の問題。銀行との取引を自慢し,次の子供の代の経営まで頼んでくる顧客がいい。そういう信頼関係から必要な情報が生れてくる。祖父の代から地銀頭取の家であり,地域に密着した地銀の体質が身についている。エブリディバンキングを日本ではじめて行った。ただ地域に密着しただけでは偏るので外部役員の導入が必要。
著者
清水 洋 松本 聡 酒井 慎一 岡田 知己 渡辺 俊樹 飯尾 能久 相澤 広記 松島 健 高橋 浩晃 中尾 茂 鈴木 康弘 後藤 秀昭 大倉 敬宏 山本 希 中道 治久 山中 浩明 神野 達夫 三宅 弘恵 纐纈 一起 浅野 公之 松島 信一 福岡 浩 若井 明彦 大井 昌弘 田村 圭子 木村 玲欧 井ノ口 宗成 前原 喜彦 赤星 朋比古 宇津木 充 上嶋 誠 王 功輝 ハザリカ ヘマンタ 矢田 俊文 高橋 和雄
出版者
九州大学
雑誌
特別研究促進費
巻号頁・発行日
2016-04-22

2016年熊本地震について、地震活動や地殻変動、活断層、火山活動への影響、地震災害の特徴などを調査した。その結果、熊本地震は布田川・日奈久断層帯の右横ずれ運動によって発生したが、複数の断層面と複雑な断層形状を持つことを明らかにした。また、建物被害や土砂災害の地盤との関係、特に、地盤の過剰間隙水圧が地すべりの発生要因であることを明らかにした。さらに、災害情報や災害過程、被災救援、エコノミークラス症候群などについての調査から、広域複合災害の問題点と対応策を提示した。
著者
久米 正志 清水 雄二 南條 元 佐藤 英樹 佐藤 友彦
出版者
公益社団法人 日本理学療法士協会
雑誌
理学療法学Supplement
巻号頁・発行日
vol.2009, pp.E4P2269, 2010

【目的】厚岸町は北海道の東南部に位置し、総面積は739平方kmで、主な産業は水産業と酪農を中心とした農業である。厚岸町役場保健介護課健康づくり係では、一般高齢者を対象とした介護予防事業の一環として平成13年度から地域出前講座の転倒予防教室「ころばない講座」を始めた。高齢期における具体的な転倒予防のため、地区の自治会・老人クラブ等の開催要請に応える形で実施している。<BR>本研究では町内の各地域に明確な産業特性がある事から、ころばない講座受講者を居住地域毎に「漁村部」「農村部」「市街部」の3地域に分類し、産業特性の異なる各地域間にどのような違いがあるかを比較検討した。<BR>【方法】対象はころばない講座を受講した65歳以上の厚岸町民1598名(男性279名:平均年齢77.1±4.6歳、女性1319名:平均年齢75.1±5.4歳)である。ころばない講座は、検査・検査の見方・日常でころばないための講話・家庭でできる簡単な転倒予防体操で構成されている。検査項目は全身状態の検査として、血圧・体重・体脂肪・BMI・握力、転倒骨折評価として10m全力歩行・最大一歩幅・下肢長・40cm踏み台昇降である。転倒骨折評価は東京厚生年金病院転倒予防教室で行われている健脚度評価を利用した。<BR>本研究では各検査項目の中から転倒骨折評価に焦点を当て、10m全力歩行・最大一歩率(最大一歩幅/下肢長)・40cm踏み台昇降について、健脚度評価基準の転倒カットオフ値を基に3地域を比較検討した。統計処理には1要因の分散分析を用いて、有意水準を5%とした。<BR>【説明と同意】ころばない講座受講者に検査の目的を説明し、本人並びに厚岸町の健康づくりに活用する事の同意を得た。<BR>【結果】10m全力歩行<BR>男性:農村部5.22±1.18秒>市街部5.32±0.90秒>漁村部5.71±1.16秒<BR>女性:農村部5.95±1.70秒>市街部6.09±1.62秒>漁村部6.32±1.64秒<BR> 転倒カットオフ値は6.41秒であり、男女共にカットオフ値を下回る地域はなかった。男女共に各地域間で有意差が認められた。<BR>最大一歩率 <BR>男性:農村部1.32±0.16>漁村部1.31±0.17>市街部1.29±0.12<BR>女性:市街部1.32±0.19>農村部1.30±0.15>漁村部1.26±0.18<BR> 転倒カットオフ値は1.17であり、カットオフ値を下回る地域はなかった。男性は各地域間に有意差が認められなかったが、女性では有意差が認められた。<BR>40cm踏み台昇降(可能の割合を表示)<BR>男性:漁村部67%>市街部65%>農村部62%<BR>女性:農村部41%>市街部・漁村部34%<BR> 男女共に各地域間で有意差が認められた。 <BR>【考察】10m全力歩行・最大一歩率は、3地域男女共に転倒カットオフ値を上回った。3項目の転倒骨折評価を男女地域別に比較検討すると、最大一歩率の男性以外は各地域間に有意差が認められた。10m全力歩行での特徴は、同地域男女の序列が同じ事である。男女共に農村部が最も高く、市街部、漁村部と続く。共に肉体労働である農村部・漁村部で有意差が現れた事は印象的である。仕事の内容の相違や、酪農業は通年であるのに対し漁業は季節性である事も有意差の一因と考えられる。最大一歩率は男性では有意差が認められなかった。女性は有意差が認められ市街部、農村部、漁村部と続く。特に漁村部女性が低い値であった。40cm踏み台昇降は、漁村部では男性が最も高く女性が最も低い等、同地域男女の序列の相違が現れた。女性は農村部が特に高い割合であった。同地域男女の序列の相違は市街部で小さく漁村部・農村部で大きい事から、漁村部・農村部での男女の仕事内容の違いが影響している可能性が考えられる。漁業では主に男性が漁に出て船の乗り降り等で昇降動作を行うのに対し、女性の仕事は加工が主であるいう役割分担もみられる。<BR>各項目で各地域間に有意差が認められたが、それが現役世代の仕事内容からくるものか、引退後の活動歴が影響しているかを精査するためには今後更なる情報が必要である。本研究を基に、現役引退の度合い(家族経営が多いことから部分的な引退も考慮)・各業種における男女別の仕事量や内容の把握・引退年齢や引退後の運動・活動歴の情報も得ていきたい。そして本研究で明らかになった地域間の差や、同地域男女の序列の相違について、どのような因子が影響を与えているのかを明らかにし、各地域に合った予防的な健康づくりの方法を提案していく。<BR>【理学療法学研究としての意義】理学療法士が保健・福祉と共働・連携し町民の健康づくりを行っていく事の意義は大きく、本講座を通して町民が高齢期における健康づくりを主体的に行う町になるように働きかけていく事ができる。また、厚岸町独特の産業・地域特性に焦点を当て研究を行う事で、受講者のみではなく町全体、更には産業特性が同様な地域に結果を還元する事ができる。
著者
ボアソナード ボアソナード民法研究会 清水 元
出版者
日本比較法研究所
雑誌
比較法雑誌 (ISSN:00104116)
巻号頁・発行日
vol.47, no.1, pp.45-73, 2013

ボアソナードによる旧民法典が現行法に大きな影響を与え,また,現行法の構造的の理解は旧民法の理解なくしてはありえないことが,現在の学説の共通の認識であることはいまさら強調するまでもないことであろう。ボアソナードは旧民法の準備草案を起草するにあたり,詳細な注解書(Boissonade, Projet de Code Civi; pour lʼempire du Japon accompagné dʼun commentaire, tome 1~4)を残しており,同書は今なお参照する機会が多い重要な資料である。 ところが,同書の翻訳についてはボアソナード滞朝中に作られたと見られる「再閲修正民法草案注釈」(刊行年不詳)があるのみであり,しかも,法律用語または法概念が定着していない時代思潮を反映して,日本語としても分かりやすいものとは言いがたい。同書が現在かならずしも入手可能な図書とは言いがたい現状で,あえてボアソナードの同書を現代文に翻訳することも,それなりの意義があるのではないかと愚考し,ここに訳出することにした。
著者
清水 誠
出版者
日本独文学会
雑誌
ドイツ文学 (ISSN:24331511)
巻号頁・発行日
vol.150, pp.1-11, 2015-03-25 (Released:2018-03-31)
著者
清水 誠
雑誌
消化と吸収 (ISSN:03893626)
巻号頁・発行日
vol.31, no.1, pp.6-12, 2009-03-19
参考文献数
21
著者
小久保 秀之 蛭川 立 清水 武 根本 泰行
出版者
国際生命情報科学会
雑誌
国際生命情報科学会誌 (ISSN:13419226)
巻号頁・発行日
vol.29, no.2, 2011

意識が微小スケールの確率現象に特異な影響を与えるといわれており、その作用を研究する装置として乱数発生器(RNG)がよく使われている。しかし、乱数発生器がどのようにして特異な作用を検出しているのか、どのように実験すれば効率的なのかなど、不明な点も多い。このワークショップでは、次の3点を中心に、乱数発生器を用いた測定系の問題を討論する。1) これまで波動関数は直接測定できないとされていたが、2011年、カナダのグループの実験によって波動関数の直接測定が可能であることが実証された。これは従来の波動関数の解釈に変更をもたらすだろうか? また、RNGの実験結果を意識の量子的な作用で解釈しようとする試みに、どのような影響があるだろうか?2) RNGの装置本体、あるいはデータ処理の最初期において、XOR処理が行われることが多い。この処理を行うと乱数が「なまった状態」になるため、検出器としてのRNGの性能が低まることが懸念されている。XOR処理は本当に必要なのだろうか? XOR処理をせずとも実験が可能だろうか?3) 近年、実験における距離や方向の重要性が認識されつつある。たとえば、地球意識計画(GCP)は第1期の研究として、地球規模のスケールの現象の研究を行っていたが、第2期では、やや到達距離の短い、地域的な影響を研究している。また、生体センサを使った非接触ヒーリングの研究では、ヒーリング時の人体の近傍(2m程度の範囲)に波型のポテンシャル分布が生じることがわかっている。では、10~数100m規模のスケールで実施されるフィールドRNG実験は、距離や方向の問題をどう考えればよいだろうか?
著者
西村 圭一 山口 武志 久保 良宏 長尾 篤志 長崎 栄三 清野 辰彦 青山 和裕 松嵜 昭雄 清水 宏幸
出版者
東京学芸大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2010

本研究は,わが国の子どもに,「数学的論拠に基づいて,事象を分析,解釈し,意志決定する能力」である「数学的判断力」の育成することを目的としたものである。数学的判断プロセスを規定し,数学的判断力に関する実態調査を実施するとともに,数学的判断におけるプロセス能力の水準化や,そのプロセス能力と数学の内容・選択支援・社会的価値観・他者との相互作用の五つの軸によって構成される授業の枠組みを作成した。そして,小・中・高校で実験授業を実施し,その有効性について実証的に検討した。
著者
春日 飛鳥 清水 惠子
出版者
日本精神保健看護学会
雑誌
日本精神保健看護学会誌 (ISSN:09180621)
巻号頁・発行日
vol.27, no.1, pp.63-74, 2018-06-30 (Released:2019-06-30)
参考文献数
21

研究目的は地域で生活する統合失調症患者の生活の見通しを立てる体験を明らかにすることで,デイケア通所者8名に対し,半構成的面接法を用いて質的記述的に分析を行った.地域で生活する統合失調症患者の生活の見通しの立て方には,〈生活の目標やイメージ〉に向かって,“志向の段階”“試行の段階”“行動の段階”があり,それらの各段階には〈生活の見通しに影響していることがら〉が存在していた.すなわち【精神障害に対する前向きさ】【家族や仲間の支え】【社会資源の活用】が生活の見通しを明るくし,【病気とつきあう困難さ】【厳しい現実の壁】【周囲の人との折り合いの悪さ】【日々の生活における自信のなさ】が見通しを遮り,【一日の充実感の有無】が明るくも暗くもしていた.生活の見通しを立てる支援として,支援者自身がリカバリー志向をもって当事者とともに目標達成の可能性を探り,〈生活の見通しに影響していることがら〉に介入した支援が求められた.
著者
西内 崇将 奥谷 雄一 山岸 善文 藤田 俊和 清水 輝記 清水 寛
出版者
一般社団法人 日本東洋医学会
雑誌
日本東洋医学雑誌 (ISSN:02874857)
巻号頁・発行日
vol.63, no.6, pp.369-377, 2012 (Released:2013-07-19)
参考文献数
32

症例は84歳の女性で,横行結腸と肝臓へ直接浸潤した切除不能進行胆道癌である。本例はgemcitabine(GEM)単剤による化学療法を施行した。同時に東洋医学的所見として気血両虚の状態であったため,十全大補湯を化学療法開始の段階から併用した。その結果,3コース後の腹部造影CT/腹部エコーでは完全寛解(CR)と言える著明な腫瘍縮小効果を認めた。切除不能胆道癌に対する化学療法として腫瘍の消失にまで至ることは極めて稀であり,これまでに同様の報告はない。ここに文献的考察を加えて報告する。
著者
張 明軍 包 薩日娜 星野 敏 鬼塚 健一郎 清水 夏樹
出版者
農村計画学会
雑誌
農村計画学会誌 (ISSN:09129731)
巻号頁・発行日
vol.38, no.Special_Issue, pp.187-194, 2019-11-20 (Released:2020-11-20)
参考文献数
13
被引用文献数
2

In recent years, foreign tourists have increased in Japan. This research carried out a questionnaire survey for residents in Ine-town, Kyoto Prefecture, with focuses on the local resident's awareness, to determine factors affecting acceptance of foreign visitors and the potential impact of ‘over-tourism’. As a result, "positive evaluation for inbound tourism" and "inter-cultural acceptance" directly had a positive impact on acceptance of foreign visitors. The higher the evaluation on the economic and social effects of inbound tourism is, the more foreign tourists are accepted. The more the local residents accept the foreign culture, the more favorable it is for foreign tourists and the more they are welcomed. The evaluation on ‘over-tourism’ has indirectly and negatively influenced the "acceptance of visitors" through "positive effects of inbound tourism" and "inter-cultural acceptance". It is necessary to consider the attributes of local residents when planning and implementing efforts to improve the local residents' acceptance of visitors and lower the negative evaluation for ‘over-tourism’. This study has a significant contribution to establishment of the social system for inbound tourism in rural areas, from the viewpoint of understanding of local residents' awareness. Sustainable inbound tourism can be expected by clarifying the factors contributing to acceptance of visiting guests and potential impacts of ‘over-tourism’.