著者
渡邊 太 Watanabe Futoshi ワタナベ フトシ
出版者
大阪大学人間科学部社会学・人間学・人類学研究室
雑誌
年報人間科学 (ISSN:02865149)
巻号頁・発行日
no.21, pp.225-241, 2000

一九七〇年代から発展したカルト宗教は、外部社会とのあいだに高い緊張を生じた。とりわけ、信者の家族がカルトと激しく対立する。何人かの心理学者や精神科医は、洗脳やマインド・コントロールによって若者を騙して入信させているとしてカルトを批判する。子どもをカルトに奪われた家族は、騙されている子どもを助け出してやらなければならないと考える。カルト信者の救出には、ディプログラミングや救出カウンセリングといった方法がもちいられる。元信者たちは、脱会後に様ざまな心理的苦悩やコミュニケーションの困難に直面する。脱会者の苦悩は、自己の存在の根本的な安定性が失われることによる。本稿は、統一教会信者の救出活動を事例として、このポスト・カルト問題と救出カウンセリングのコミュニケーション・パターンとの関連をあきらかにする。救出カウンセリングでは、R ・D ・レインが指摘するような、人を「安住しえない境地」に置くコミュニケーション・パターンが繰り返される。その結果、脱会者は自己のアイデンティティについての確かな感覚を得ることができなくなるのである。カルト信者を救出する方法は、初期の強制的なやり方から、家族の愛による救出を強調する、より穏やかな方法へと移行してきた。だが、家族の密接な結びつきは、人を「安住しえない境地」に置くコミュニケーションを生み出しやすい。そのことが、ポスト・カルト問題の解決を困難にしている。
著者
鎌田 龍太 渡邊 亮
出版者
公益社団法人 計測自動制御学会
雑誌
計測自動制御学会論文集 (ISSN:04534654)
巻号頁・発行日
vol.55, no.2, pp.92-99, 2019 (Released:2019-02-19)
参考文献数
13

A railway crew scheduling problem is an assignment problem of crews for a given operational schedule under the constraint on labor regulations. In this paper, we discuss an automatic railway crew scheduling method based on numerical optimization for a large-scale and complex railway route with branch lines and multiple bases. The proposed method makes the crew schedule automatically using step by step optimization based on a partial pairing, an elastic embedded set partitioning problem and a graph partitioning.
著者
宮元 敬範 横尾 望 中田 浩一 小畠 健 内木 武虎 渡邊 学
出版者
公益社団法人 自動車技術会
雑誌
自動車技術会論文集 (ISSN:02878321)
巻号頁・発行日
vol.50, no.3, pp.755-760, 2019 (Released:2019-05-24)
参考文献数
11
被引用文献数
1

エンジン開発において熱効率向上は必須であり,希薄燃焼限界の拡大やノッキング改善が重要となっている.第一報では燃料の分子構造の違いが燃焼速度や燃焼限界に与える影響について論じた.第二報では,更に,燃料分子の探索を行い,燃焼促進を実現したので,その結果と燃料の化学反応特性と燃焼の関係を論じる.
著者
渡邊 趣衣 八巻 ゆみこ 富澤 早苗 増渕 珠子 上條 恭子 中島 崇行 吉川 聡一 山本 和興 髙田 朋美 小鍛治 好恵 大澤 佳浩 大塚 健治 橋本 常生
出版者
公益社団法人 日本食品衛生学会
雑誌
食品衛生学雑誌 (ISSN:00156426)
巻号頁・発行日
vol.61, no.6, pp.247-253, 2020-12-25 (Released:2020-12-25)
参考文献数
7

LC-MS/MSによる乾燥唐辛子中残留農薬分析法の開発を行い,その妥当性評価を実施した.分析法はマトリクス効果を抑制するため,LC条件,精製カラムおよび試験溶液の希釈倍率を検討した.精製カラムはENVI-CarbIITM/PSA (300/600 mg,6 mL)を使用した.さらにマトリクス効果を抑制するため試験溶液の検討では,マトリクス効果および一律基準値相当の測定感度の観点から,8倍希釈液を採用した.これらを元に107農薬について2濃度(0.01および0.1 μg/g)で2併行5日間の妥当性評価を実施した結果,96農薬で真度70.1~112.6%,併行精度11.5および3.4%以下,室内精度24.3および19.9%以下となり,ガイドラインの基準に適合した.また不適合であった主な原因はマトリクス効果と抽出での低回収であると示唆された.
著者
吉田 精作 渡邊 美咲 橋本 多美子
出版者
公益社団法人 日本食品衛生学会
雑誌
食品衛生学雑誌 (ISSN:00156426)
巻号頁・発行日
vol.61, no.6, pp.218-222, 2020-12-25 (Released:2020-12-25)
参考文献数
15
被引用文献数
1

精白米の調理過程における有機リン系難燃剤(PFRs)の消長を検討した.精白米にPFRsを添加(500 ng/g)した後,水洗および炊飯を行い,PFRsの減少を観察した.3回の水洗において,観察した7種類のPFRsでは添加量の68~86%が除去された.最初の水洗において,添加量の約50~70%のPFRsが除去されていた.水洗および炊飯後の飯中PFRsの除去率は,電気炊飯器では74~94%,電子レンジ炊飯器では78~96%であった.水洗なしの無洗米(500 ng/g)での除去率は水洗および加熱をした場合より低く,電気炊飯器では10~50%,電子レンジ炊飯器では10~70%であった.精白米からのPFRs摂取量の低減には,炊飯前の水洗が効果的である.
著者
髙栁 明子 三品 美夏 堀江 和香 渡邊 俊文
出版者
公益社団法人 日本獣医師会
雑誌
日本獣医師会雑誌 (ISSN:04466454)
巻号頁・発行日
vol.73, no.11, pp.657-664, 2020-11-20 (Released:2020-12-20)
参考文献数
26

麻布大学附属動物病院腎泌尿器科において,尿管結石による尿管閉塞と診断された猫117例(143尿管)に対して行われた外科手術における合併症について検討を行った.術後再手術を要する合併症が最も少なかったのは尿管切開術の4.0%であり,その他尿管膀胱吻術27.1%,尿管ステント設置術34.6%,SUB設置術37.5%であった.いずれの手技においても術後クレアチニン値は有意に低下した.周術期死亡率は1.8%であり,過去の報告と比較して低かった.術前に実施した腎瘻設置術は,高窒素血症が重度で長時間の麻酔リスクの高い症例の安定化や閉塞解除後の腎機能を推測するうえで有用であった.猫の尿管結石は個々の病態がさまざまであり,外科療法における明確な治療方針は確立していないことから,治療にはすべての手技を選択できる熟練した外科医による対応が望ましいと考えられた.
著者
井坂 惠太 只見 侃朗 藤原 杏実 渡邊 友貴 菅澤 誠 山田 泰之 吉田 弘 中村 太郎
出版者
一般社団法人 日本ロボット学会
雑誌
日本ロボット学会誌 (ISSN:02891824)
巻号頁・発行日
vol.37, no.4, pp.330-340, 2019 (Released:2019-05-23)
参考文献数
39
被引用文献数
1

Seabed mineral resources were found on the bottom of the ocean. To utilize these resources, it is necessary to collect and analyze samples. Therefore, we intend to develop a seafloor robotic explorer that can excavate and sample the seafloor soil. In a previous study, we developed a drilling robot and experimentally demonstrated the ability of this robot to produce curved boreholes with a turning radius of 1,670[mm], and a depth of 613[mm] in land environment. However, an underwater excavation has not been successful. It is necessary to improve the gripping torque and to reduce the drilling resistance for underwater excavation. In this paper, we present a propulsion unit with the setae that imitates an earthworm's setae. As a result, the drilling robot succeeded in drilling into the ground while underwater. In addition, we aim to reduce the drilling resistance. We adjusted the penetration speed and the rotational speed of the drilling robot based on the drilling properties of underwater ground. We also consider the shape of the earth auger to reduce the drilling resistance. As a result, we succeeded in reducing the drilling resistance, which both lowered the excavation energy by 39.2% and reduced the completion time.
著者
山本 泰大 渡邊 紘章 近藤 綾子 出口 裕子 平野 茂樹 櫻井 愛菜 公文 章子 村路 留美子 持山 めぐみ 奥村 佳美 浅井 泰行 小田切 拓也
出版者
日本緩和医療学会
雑誌
Palliative Care Research (ISSN:18805302)
巻号頁・発行日
vol.15, no.4, pp.303-308, 2020 (Released:2020-11-24)
参考文献数
12

【緒言】小牧市民病院では2018年3月より外来がん患者を対象としたオピオイド導入支援を開始した.本活動前後の変化を比較検討したため,報告する.【方法】対象は2017年1月〜2019年3月に小牧市民病院で苦痛緩和に対して強オピオイドを導入したがん患者で,本活動前後のオピオイド導入時のレスキュー薬,制吐剤,下剤の処方割合,副作用の発現率について比較した.【結果】対象は122名(活動前/後:54/68).本活動の前後でオピオイド導入時のレスキュー薬の処方率は90.7から98.5%に,制吐剤の処方率は63.0から70.6%,緩下剤の処方率は61.1から70.6%と上昇した.STAS-J2以上の副作用は本活動の前後で22.2,13.2%であった.【考察】当院での本活動の実施により患者に合わせた薬物治療の提供,患者の相談機会の増加に寄与することができた.
著者
安藤 玲音 松野 崇 松田 知子 山下 典理男 横田 秀夫 後藤 健太 渡邊 育夢
出版者
一般社団法人 日本鉄鋼協会
雑誌
鉄と鋼 (ISSN:00211575)
巻号頁・発行日
vol.106, no.12, pp.944-952, 2020 (Released:2020-11-30)
参考文献数
21

Herein, we investigated the local preliminary hardening of ferrite near the ferrite–martensite interfaces in a dual-phase (DP) steel. Geometrically necessary dislocations (GNDs), generated due to interfacial misfit between different phases, may cause preliminary hardening of ferrite around such interfaces. However, for nano-hardness distribution, the hardened zone was not evidently detected by scattering measurement. Thus, we factorized nano-hardness scattering to estimate the actual ferrite hardness near ferrite–martensite interfaces.First, nano-hardness was measured around a martensite island using a conical nano-indenter in the DP steel containing 10% martensite by volume. Taking into account the scattering, the nano-hardness measurement converged to the hardness of ferrite, exceeding the distance corresponding to the nano-indenter radius. Thus, a preliminary hardening zone was not detected. Subsequently, the surface of the nano-indented microstructure was polished and observed using scanning electron microscopy (SEM) by analyzing electron back scattering diffraction (EBSD). This analysis confirmed the presence of the nano-indented microstructure under ferrite. Moreover, it established that the majority of the irregularly higher nano-hardness was caused by the buried martensite under ferrite. The value of the kernel average misorientation (KAM), which is proportional to the GND density for other irregularly higher nano-hardness points, was higher for the nano-indented microstructure as compared to that of the buried martensite. On the other hand, the ferrite was expanded under the nano-indented points for the majority of the irregularly lower nano-hardness, with some exceptions. Further, soft martensite was observed to induce irregularly lower nano-hardness locally around the interface.
著者
竹田 圭佑 竹島 英祐 小島 聖 渡邊 晶規 松﨑 太郎 細 正博
出版者
公益社団法人 日本理学療法士協会
雑誌
理学療法学Supplement Vol.44 Suppl. No.2 (第52回日本理学療法学術大会 抄録集)
巻号頁・発行日
pp.0726, 2017 (Released:2017-04-24)

【はじめに,目的】関節拘縮の予防,治療は理学療法士の責務であるといっても過言ではない。関節拘縮の病理組織学的観察を行った先行研究では,関節前方にある脂肪体の萎縮,線維増生,うっ血を認めている。関節における脂肪体は,その柔軟性による関節周辺組織の保護だけでなく,関節運動の緩衝材としての役割を担うとされ,関節可動域運動(以下,ROM-ex)では脂肪体の可動性が確認されている。関節拘縮予防や治療の目的で,脂肪体に対しマッサージやストレッチを行い柔軟性の維持・改善を図る手技が散見されるが,脂肪体に対する機械刺激の効果や組織学的変化は不明である。そこで今回,ギプス固定期間中の膝関節にROM-exを行い,関節拘縮(膝蓋下脂肪体の変化)の予防効果を組織学的に観察,検討を行うことを目的とした。【方法】対象は8週齢のWistar系雄ラット15匹(256~304g)を用いた。1週間の馴化期間を設けた後,無作為に通常飼育のみ行う群(以下,正常群)(n=5),不動化のみ行う群(以下,拘縮群)(n=5),不動期間中にROM-exを行う群(以下,予防群)(n=5),の3群に振り分けた。不動化は右後肢とし,擦傷予防のため,予め膝関節中心に後肢全体をガーゼで覆い,股関節最大伸展位,膝関節最大屈曲位,足関節最大底屈位の状態で骨盤帯から足関節遠位部まで固定した。固定肢の足関節遠位部から足趾までは浮腫の有無を確認するために露出させた。予防群へのROM-exは,期間中毎日ギプス固定を除去し,麻酔下で右後肢に10分間実施した。ROM-exは約1Nの力で右後肢を尾側へ牽引し,その後牽引力を緩める動作を10分間繰り返した。速度を一定に保つためメトロノームを用い,2秒間で伸展―屈曲が1セット(1秒伸展,1秒屈曲)となるようにした。実験期間はいずれの群も2週間とした。期間終了後,実験動物を安楽死させ,股関節を離断して右後肢膝関節を一塊として採取した。採取した膝関節を通常手技にてHE染色標本を作製した。標本は光学顕微鏡下で観察し,病理組織学的検討を行った。観察部位は,関節前方の膝蓋下脂肪体とし,取り込んだ画像から脂肪細胞の面積を計測した。各群の比較には,一元配置分散分析を適用し,有意差を認めた場合には多重比較検定にTukey-Kramer法を適用した。有意水準は5%とした。【結果】拘縮群,予防群では同様の組織変化がみられ,膝蓋下脂肪体における脂肪細胞の大小不同,線維増生が認められた。脂肪細胞の面積は正常群1356.3±275.1μm2,拘縮群954.6±287.7μm2,予防群1165.0±316.6μm2で全ての群間において有意差が認められた(p<0.05)。【結論】ギプス固定による2週間の関節不動によって膝蓋下脂肪体には脂肪細胞の大小不同,線維増生が認められた。不動化により脂肪体は萎縮するものの,予防介入することでその萎縮は軽減できることが示唆された。
著者
中村 文隆 藤井 正和 七里 圭子 西 智史 篠原 良仁 伊橋 卓文 横山 新一郎 武内 慎太郎 今村 清隆 渡邊 祐介 田本 英司 高田 実 加藤 健太郎 木ノ下 義宏 安保 義恭 成田 吉明 樫村 暢一
出版者
日本外科代謝栄養学会
雑誌
外科と代謝・栄養 (ISSN:03895564)
巻号頁・発行日
vol.52, no.2, pp.71-77, 2018 (Released:2018-08-23)
参考文献数
29

ERAS の手術侵襲軽減策は,多職種のスタッフによる介入が不可欠である.入院前の不安要素は患者個々に異なり,消化器外科では,術後の食事摂取,人工肛門に対する不安は多い.各医療スタッフの専門的立場の助言が治療意欲を向上させる.術後の腸管機能の回復促進対策としては,輸液量の適正化,胸部硬膜外鎮痛,早期経口摂取,早期離床などチームで取り込む事項が多い.早期離床では,プログラム内容や行動目標を定め施行することが望ましい.疼痛管理としては,急性痛サービスAPS を組織することが,安心な周術期環境を効率的に提供し,今後わが国でも普及することが望まれる.回復を実感する環境づくりは,重要であり,チームメンバーは,各専門的な知識や技術を生かし患者のセルフケアーを支援することで,早期回復の実感と不安の解消につながり,満足度の高い退院につながる.
著者
大鋸 智 渡邊 広範 樋口 孝之 植田 憲 宮崎 清
出版者
日本デザイン学会
雑誌
日本デザイン学会研究発表大会概要集
巻号頁・発行日
vol.53, pp.100, 2006

本研究は山形県飯豊町中津川地域をフィールドとして、草木活用の知恵を活かして自然と共生する山里の姿を現地調査および文献調査に基づき明らかにすることを目的とした。草木活用の知恵はいずれも草木を採取し、加工、利用、さらに転用、修理していくところに表れていた。利用した後は、自然に還元され、再度採取可能な一連の資源循環型の生活を表している。これは自然と共生するための一つの重要な要素である。調査より、草木を活用する知恵には、資源を上手に活用する知恵と自然に対するこころづかいを育む知恵があり、互いにしっかりと結びついたときに初めて自然との共生した生活が形成されたといえる。「こころ」や「活用の知恵」が代々、親から子へ伝わり受け継がれ、自然に対する一定の作法をつくりあげた。そして、草木活用の知恵を全て利用し、困難を乗り越え、ときには楽しみである行事が行われていた。現在、私たちの生活では簡単に見過ごされてしまっている「豊かさ」が、中津川地域ではっきりと確認することができた。今研究では、人と自然が一体となった草木活用文化を明らかにし、中津川地域の草木活用文化が生み出す「豊かさ」を提示ですることができた。
著者
田中 信治 樫田 博史 斎藤 豊 矢作 直久 山野 泰穂 斎藤 彰一 久部 高司 八尾 隆史 渡邊 昌彦 吉田 雅博 斉藤 裕輔 鶴田 修 五十嵐 正広 豊永 高史 味岡 洋一 杉原 建一 楠 正人 小池 和彦 藤本 一眞 田尻 久雄
出版者
一般社団法人 日本消化器内視鏡学会
雑誌
日本消化器内視鏡学会雑誌 (ISSN:03871207)
巻号頁・発行日
vol.61, no.6, pp.1321-1344, 2019 (Released:2019-06-20)
参考文献数
203
被引用文献数
2

大腸腫瘍の内視鏡治療の適応病変としては,早期大腸癌のみでなく前癌病変としての腺腫性病変も多く存在し,大腸EMRとESDの棲み分け,そのための術前診断,実際の内視鏡治療の有効性と安全性を第一線の臨床現場で確保するための指針が重要である.そこで,日本消化器内視鏡学会では,大腸癌研究会,日本大腸肛門病学会,日本消化器病学会の協力を得て,新たに科学的な手法で作成した基本的な指針として「大腸ESD/EMRガイドライン」を2014年に作成した.本ガイドラインでは,手技の具体的な手順や機器,デバイス,薬剤の種類や使用法など実臨床的な部分については,すでに日本消化器内視鏡学会卒後教育委員会編「消化器内視鏡ハンドブック」が2012年5月に刊行(2017年5月に改訂)されているので,技術的内容に関しては可能な限り重複を避けた.大腸ESDは2012年4月に保険適用となったが,2018年4月には保険適用範囲と診療報酬点数が改訂された.「大腸ESD/EMRガイドライン」発刊後,SSA/Pの病態解明やESD症例のさらなる集積もなされており,ガイドライン初版発刊から5年目の2019年に最新情報を盛り込んだ改訂版を発刊するに至った.
著者
佐々木 優太 南野 謙一 後藤 裕介 渡邊 慶和
雑誌
第80回全国大会講演論文集
巻号頁・発行日
vol.2018, no.1, pp.857-858, 2018-03-13

近年の温暖化の影響による農作物の品質低下に適応するために,研究機関では品種や栽培方法に合わせて地域毎に,生育予測や高温障害被害予測等の農業技術の研究が行われている.しかし,日本各地の地域でこれをすぐに普及出来るようにはなっていない. そこで本研究では,農業技術の普及を目的として,農業モデルと警戒基準,警戒情報フォーマットから農業技術を定義し,その普及方式を提案する.具体的には,農業モデルの登録・計算機能,警戒基準の登録・分析機能,警戒情報のフォーマット・通知機能を開発した.評価実験では新潟県でシステムを運用し,農業技術の利用までに要する時間の計測とアンケート調査を実施し,有効性を確認した.
著者
湖山 昌男 石山 直欣 渡邊 郁馬 佐藤 亨 腰原 好 牧野 正義
出版者
Japanese Society of Gerodontology
雑誌
老年歯科医学 (ISSN:09143866)
巻号頁・発行日
vol.6, no.2, pp.126-131, 1992

従来咀嚼能力の測定には様々なものが考案されている。しかしこれらは日常の食生活を考慮した測定方法とは必ずしもいえない。老年者に対する歯科医療の現場では「食べたいものが噛めない」という患者の声は切実であり, 日常の食事における食品と対応した咀嚼能力の判定が必要であると考えられる。そこで今回われわれは, 義歯に対して付着性が低く, 安心して食べることができ, 診療室内で簡単に咀嚼能力を判定できるものとしてゼリーを用い, 日常食品の物性に対応した試料の作製を試みた (G-1ゼリー) 。<BR>試料のゲル化剤には寒天とゼラチンを使用した。外形は13mm角の立方体であり, 一口では飲み込めない大きさを考慮した。物性については柳沢らの「咀嚼筋活動量による食物分類」を用いた。10のランクに分けられた食品群のうち, 実用的な最低ランク2と最高ランク10, そして中間の3つのランクを選び, 5段階の試料を作製した。味については, 一般的に好き嫌いが少ないと思われる柑橘系にした。この試料に対して健常成人10人による官能試験と当科外来患者24人に臨床試験を行った。その結果今回の試料が食品と対応し, 臨床的に簡便で有効な試料であることが確認された。