著者
城所 哲夫 片山 健介
出版者
公益社団法人 日本都市計画学会
雑誌
都市計画論文集 (ISSN:09160647)
巻号頁・発行日
vol.45.3, pp.667-672, 2010-10-25 (Released:2017-01-01)
参考文献数
7

持続可能な地域のあり方が鋭く問われる中で自律的な地域発展のあり方が模索されている。そのためには広域空間政策が重要であることがさまざまな場で指摘され、近年、自律的な広域的な都市圏空間の形成に関する議論が盛んになってきており、政策的にも、多核的でありつつも機能的な補完性・連携のもとにある広域的な都市圏の形成に向けての施策展開が欧州を中心に始まっている。本研究はこのような問題意識のもとで、以下の目的のもとで進めた。第一に、広域都市圏に関する近年の代表的議論をレビューし、そのとらえ方の新たな枠組みを提示するとともに、先行するEU諸国における取組を整理する。第二に、提示した広域都市圏の枠組みに基づいて日本における広域都市圏形成の特徴をとくに地域イノベーション力の観点から把握する。第三に、広域政策の萌芽のみられる地域イノベーション政策に着目してケーススタディを行い、具体的に広域ガバナンス生成の可能性について議論する。
著者
片山 智博 細川 昭雄 藤井 洋子
出版者
日本獣医循環器学会
雑誌
動物の循環器 (ISSN:09106537)
巻号頁・発行日
vol.52, no.1, pp.27-32, 2019 (Released:2019-09-05)
参考文献数
17

雄のペルシャネコ,13歳2カ月齢が,左眼が見えないとの主訴で来院した。眼底検査にて,眼底動脈の蛇行と網膜剥離が認められたことから,高血圧を疑い血圧を測定したところ,収縮期血圧は250 mmHgと重度の高血圧であった。心臓超音波検査では,バルサルバ洞から上行大動脈にかけて大動脈壁のフラップと偽腔が認められたことから,大動脈解離と診断した。高血圧症の治療としてエナラプリルマレイン酸塩およびアムロジピンベシル酸塩を併用したところ,収縮期血圧は150 mmHgに低下した。第275病日に食欲の低下と体重の減少が認められ,血液検査では,腎数値の上昇と貧血が認められた。慢性腎臓病の治療を行ったが,第284病日に自宅にて死亡した。ネコの大動脈解離は稀であり,病態や予後は不明である。ヒトにおいて,大動脈解離は短期死亡率が高く緊急疾患である。本症例は大動脈解離の診断後約9カ月生存し,過去の症例報告においても同様の傾向が認められることから,ネコではヒトとは異なる転帰をとる可能性があると考えられた。
著者
片山 才一郎
出版者
一般社団法人 人文地理学会
雑誌
人文地理 (ISSN:00187216)
巻号頁・発行日
vol.13, no.2, pp.138-144, 1961-04-30 (Released:2009-04-28)
参考文献数
6
著者
片山 均 三好 誠吾 片山 晋 都築 佐枝 片山 衣子 石井 美喜 山口 和子 水内 泰子 片山 純
出版者
一般社団法人 日本呼吸ケア・リハビリテーション学会
雑誌
日本呼吸ケア・リハビリテーション学会誌 (ISSN:18817319)
巻号頁・発行日
vol.28, no.1, pp.120-125, 2019-05-31 (Released:2019-06-28)
参考文献数
22

【背景】一般人の肺への健康意識を高めるために肺年齢の普及が進められているが,測定には最大努力呼気が必要である.【目的】安静換気中に測定可能な強制オシレーション法(Forced Oscillation Technique: FOT)を用いて肺年齢を推定する.【対象と方法】2017年4月から2018年5月までにFOTとスパイロメトリーを行った18歳以上の男女114例を後ろ向きに検討した.84症例で肺年齢と実年齢の差(実測肺年齢差)とFOT測定値との相関を求めてFOT測定値から肺年齢の推定式を作成し(開発研究),別の30症例で作成した肺年齢推定式を検証した(検証研究).【結果】開発研究において実測肺年齢差は呼吸リアクタンス,共振周波数および低周波数面積との間に有意な相関を認めた.開発・検証の両研究において,推定肺年齢と実測肺年齢に強い相関を認め,推定値と実測値の一致度も高かった.【結論】FOTを用いて肺年齢を推定出来ることが示唆された.
著者
片山 一道
出版者
京都大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2008

京都市の伏見区、かつての伏見城城下の西部にあたる場所で江戸時代の廃寺の墓地(伏見城跡遺跡)が調査でされ、約630人分におよぶ古人骨資料(伏見人骨資料)が発掘された。この資料を骨人類学や骨考古学的の方法で分析して、江戸時代人京都町民の顔立ちや体形などの身体特徴、平均寿命や人口曲線などに関する人口学的特徴、歯疾患や骨梅毒疾患などの罹患率を明らかにするとともに、主要なタンパク質摂取源を推定する食性分析、人骨の鉛濃度分析などを実施した。成人の平均身長は男性が158cmで女性が144cmほどと短躯であったこと、丸顔の人が多かったこと、出生児の平均余命は男性が40歳弱で女性が30歳弱ほどと短命であったこと、虫歯と梅毒の罹患が著しく高率であったこと、淡水産や海産の魚介類をタンパク質源として利用していたことなど、すくなからずの特記すべき研究成果を達成できた。
著者
越智 沙織 寺前 彩子 進藤 翔子 田原 真由子 高橋 彩 深井 和吉 鶴田 大輔 片山 一朗
出版者
日本皮膚科学会大阪地方会・日本皮膚科学会京滋地方会
雑誌
皮膚の科学 (ISSN:13471813)
巻号頁・発行日
vol.16, no.4, pp.266-273, 2017 (Released:2018-01-06)
参考文献数
14

乾燥性皮膚疾患に対して,肌着が皮膚病変・自覚症状・生活の質に与える影響を主観・客観的に解析した。乾燥性皮膚疾患を有する20歳以上の患者33名を対象とし,被験試料はグンゼ株式会社が販売している完全無縫製の肌着(メディキュア®)を使用し,開始後14日後および28日後に評価した。紅斑・乾燥・掻破痕は14日および28日後共に有意な改善が認められた。結節・苔癬化は28日後に有意な改善が認められた。経表皮水分蒸散量は28日後に有意に減少した。そう痒による VAS score は14日および28日後に,疼痛による VAS score は28日後に有意に減少した。DLQI score は14日後・28日後に有意に減少した。研究終了まで明らかな有害事象は認められなかった。本研究品の肌着を着用後,各皮膚病変はいずれも有意に改善し,また,経表皮水分蒸散量・VAS・DLQI score も有意に低下した。以上の結果より,本研究品の肌着が,皮膚との摩擦を軽減することで,バリア機能を改善させ,その結果,乾燥によるそう痒や疼痛・皮膚病変も軽快し,患者の日常生活の満足度が高くなったと考える。よって,乾燥を有する皮膚には,日常のスキンケアに加え,縫い目や肌着の素材などを考慮し,刺激の少ない肌着を選ぶことが重要であることが示唆された。(皮膚の科学,16: 266-273, 2017)
著者
渡邊 圭祐 宮崎 貴志 片山 哲治 菊田 浩一 中村 夏樹 田中 秀幸 木村 龍範 矢埜 正実
出版者
一般社団法人 日本集中治療医学会
雑誌
日本集中治療医学会雑誌 (ISSN:13407988)
巻号頁・発行日
vol.19, no.3, pp.375-378, 2012-07-01 (Released:2013-01-16)
参考文献数
15

症例は62歳,男性。下肢静脈瘤に関連した蜂窩織炎にて過去8回の入院歴があり,今回も蜂窩織炎で入院した。入院後まもなく看護師の目の前で突然意識消失するも短時間で意識が回復し,その後1時間あまりの間に6回の心室細動が出現した。ICUに入室し鎮静薬投与および気管挿管後からは心室細動の出現がなく,第2病日に抜管した。ICU入室時の体温は41℃であり,V1,V2誘導で特徴的なcoved型ST上昇を認めた。その後ST上昇は改善するも,Brugada症候群と診断し,埋め込み型除細動器埋め込み術を行った。平常時の心電図はBrugada型の所見は認めず,過去の発熱時の心電図においても軽度ST上昇が認められたが,Brugada症候群と診断するのは不可能であった。発熱を契機に診断されるBrugada症候群の報告は散見され,発熱患者を診る機会の多い集中治療医も銘記しておくべき病態である。
著者
片山 剛 千里金蘭大学 教養教育センター
出版者
千里金蘭大学
雑誌
千里金蘭大学紀要 (ISSN:13496859)
巻号頁・発行日
pp.113-125, 2018

鎌倉時代の説話集、室町時代の謡曲、物語を中心に「うはなり」と「こなみ」の嫉妬や「うはなり打ち」がどのように文学作品に描かれているかを探る。「うはなり打ち」は先妻による後妻への暴力という意味を超えて用いられることや嫉妬の苦しみを救済する仏教の力などに注目する。また、江戸時代になると「うはなり打ち」はおこなわれなくなったようだが、過去のものとして「うはなり打ち」をどのように見ていたかを考えてみる。
著者
片山 徹
出版者
公益社団法人 計測自動制御学会
雑誌
計測と制御 (ISSN:04534662)
巻号頁・発行日
vol.56, no.9, pp.638-643, 2017-09-10 (Released:2017-09-20)
参考文献数
27
著者
丸茂 喜高 鈴木 宏典 片山 硬
出版者
The Society of Instrument and Control Engineers
雑誌
計測自動制御学会論文集 (ISSN:04534654)
巻号頁・発行日
vol.48, no.10, pp.614-621, 2012 (Released:2012-11-29)
参考文献数
13
被引用文献数
2 3

This study proposes an idea that encourages driver's motivation to drive altruistically. We focus on an existing intersection that disturbs the throughput of upstream vehicles by right-turn vehicles waiting a gap acceptance to turn right. We investigated some scenarios that oncoming thru traffic mandatorily give a right-of-way to the right-turn vehicles to make enough time-gap for right turning. Here, it is assumed that the effects of giving a right-of-way to the right-turn vehicles are provided to a driver of approaching thru vehicle via onboard indicator. A verified traffic simulator examines the effects of prioritizing behavior on traffic flow. Numerical analysis showed that the traffic throughout in congested states was gradually improved when prioritized right-turn vehicles increases. Also, penetration of the prior right-turn vehicles is effective to mitigate not only the collision risk at the intersection but also the total CO2 emission over the arterial road.
著者
片山 直樹 村山 恒也 益子 美由希
出版者
日本鳥学会
雑誌
日本鳥学会誌 (ISSN:0913400X)
巻号頁・発行日
vol.64, no.2, pp.183-193, 2015 (Released:2015-12-13)
参考文献数
49
被引用文献数
2 6

水田の有機農法がサギ類(ダイサギArdea alba,チュウサギEgretta intermedia,アオサギA. cinerea)にもたらす効果を検証するため,2013-2014年の5-7月に茨城県と栃木県の有機および慣行水田で野外調査を行った.採食行動調査の結果,ドジョウなどの魚類とカエル類が主食だったが,その割合は種ごとに異なっていた;ダイサギ,チュウサギ,アオサギの順に魚類の割合が高かった.また,いずれの種でも有機水田では慣行水田よりも魚類の割合が高くなっていた.一般化線形モデルを用いて解析した結果,有機農法は採食効率(g/min)に正の影響をもっていたが,その傾向はダイサギでのみ明瞭であるようだった.また有機農法は,ダイサギとアオサギの採食個体数に正の影響をもっていた.以上を踏まえ,本研究では有機農法の正の効果はダイサギでは一貫して認められたが,チュウサギとアオサギでは不明瞭であると結論づけた.この理由としては,食物種(魚類やカエル類)ごとの水田農薬の影響の違いや,有機農法の実施面積割合の少なさ(日本全国では総水田面積の約0.28%,本研究の鳥類センサス地点から周囲200 m以内では18-68%)などが考えられた.
著者
片山 雅之 外本 伸治 麻生 茂 平山 寛
出版者
一般社団法人 日本航空宇宙学会
雑誌
航空宇宙技術 (ISSN:18840477)
巻号頁・発行日
vol.19, pp.47-55, 2020 (Released:2020-03-14)
参考文献数
16

The effect of aerodynamic drag on loss of the velocity of a microsatellite on LEO is investigated and compared with the on-orbit data of two microsatellites, Hodoyoshi-1 of the University of Tokyo and QSAT-EOS of Kyushu University, which were launched in 2014. A new model, which includes the influence of the solar activities on atmospheric density, is introduced in this paper. The results obtained from the model suggest that the effect of solar activity on the atmospheric density has to be considered with the deviation of F10.7 parameter due to the number of sunspots. The model is applied to a microsatellite composed of a cubic main body and a deorbit sail to estimate its altitude change due to aerodynamic drag. The rotation of the satellite is taken into consideration.
著者
木村 祐哉 川畑 秀伸 大島 寿美子 片山 泰章 前沢 政次
出版者
ヒトと動物の関係学会
雑誌
ヒトと動物の関係学会誌 (ISSN:13418874)
巻号頁・発行日
vol.24, pp.63-70, 2009-12

ペットを失ったことで悲しむ飼主に対し、日本では「ペットロス症候群」という名称が一部で用いられる。この表現には肯定的な立場をとる者もいれば否定的な立場をとる者もおり、それが受け容れうるものであるかどうか、想定される影響について判断する必要が生じている。本研究では、異なる3大学でそれぞれ医学、獣医学、文学を専攻する学生99名を対象とした自由記述式の質問紙調査を実施した。内容分析の手続きにより全13,475字の記述内容から142個の最小分析単位を抽出、4グループから成る18個のコードが生成された。このコードを基本的発想データ群としたKJ法の手続きにより、【命名の是非】は【病名の妥当性】と【病名の影響】から判断されるという構造が想定された。また、ペットの喪失に伴う【悲嘆への認識】は個々人で異なることがあり、それが【病名の妥当性】と【病名の影響】の双方に影響を及ぼす可能性が示唆された。
著者
清水 優子 牛島 廣治 北島 正章 片山 浩之 遠矢 幸伸
出版者
一般社団法人 日本環境感染学会
雑誌
日本環境感染学会誌 (ISSN:1882532X)
巻号頁・発行日
vol.24, no.6, pp.388-394, 2009 (Released:2010-02-10)
参考文献数
17
被引用文献数
3 3

ヒトノロウイルス(HuNoV)は,未だ細胞培養系が確立されていないため,各種消毒薬のHuNoVに対する有効性について十分な知見が得られていない.そこで,HuNoVに形態学的にも遺伝学的にも類似し細胞培養可能なマウスノロウイルス(MNV)を用い,塩素系およびエタノール系消毒薬の不活化効果をTissue Culture Infectious Dose 50% (TCID50)法を指標に評価した.次亜塩素酸ナトリウムおよびジクロルイソシアヌル酸ナトリウム(塩素系消毒薬)は,200 ppm, 30秒間の接触でMNVは99.998% (4.8 log10)以上不活化して検出限界以下となり,125 ppmの場合でも30秒間で99.99% (4 log10)以上の不活化が認められた.70 v/v%エタノール,0.18 w/v%クロルヘキシジングルコン酸塩含有72 v/v%エタノールおよび0.18 w/v%ベンザルコニウム塩化物含有75 v/v%エタノールは,30秒間の接触で検出限界以下までウイルス感染価を低下させた.   本研究で対象とした2種類の塩素系消毒薬は,いずれも終濃度125 ppmで高いMNV不活化効果を示した.また,3種類のエタノール系消毒薬については,エタノール濃度70 v/v%以上で使用すれば,いずれも短時間でMNVの不活化が達成できることが分かった.以上の結果から,これらの市販の消毒薬はHuNoVに対しても高い不活化効果を有することが期待され,ノロウイルス感染症の発生制御および拡大防止の感染対策を目的とした環境用消毒薬として有用であると考えられる.
著者
片山孤村 著
出版者
文献書院
巻号頁・発行日
1922