著者
田中 博晃 前田 啓朗
出版者
日本言語テスト学会
雑誌
日本言語テスト学会研究紀要
巻号頁・発行日
no.6, pp.128-139, 2004-08-30

The purpose of this study was to examine the construct of amotivation. When amotivation is measured, negative items in a questionnaire cause attenuation of correlation, and as a result, it would give bias to the construct of amotivation. A questionnaire was made on the basis on Noels, Pelletier, Clement, and Vallerand (2000), and it included both positive items (P-type) and negative items of amotivation (N-type). By analyzing the data from the questionnaire using Confirmatory Factor Analysis to correct attenuation, we examined a systematic error caused by negative items. The result showed that (1) an artificial factor was identified when positive and negative items of amotivation were analyzed by Exploratory Factor Analysis; (2) the construct of amotivation was supported when 7-factor model of motivation was examined by conducting Confirmatory Factor Analysis to P-type questionnaire; and (3) P-type questionnaire was more appropriate than N-type questionnaire as a measure of amotivation, because bipolarity between amotivation and self-determined forms of motivation was clearly identified in P-type questionnaire.
著者
望月 通子 阪上 辰也 船城 道雄 田中 雄一郎 田中 舞 牛尾 佳子 手塚 まゆ子 萩野 里香 アックシュ ダリヤ 芦 媛媛 アン ジュンミン
出版者
関西大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2010

(1) ICLEAJ(International Corpus of Learner Japanese「国際学習者日本語コーパス」)の構築・分析、(2)産出過程を分析対象に含めた認知的側面からの分析、(3)学習者コーパスに基づく作文技術教育のweb教材の開発について報告する。(1)はすでに構築してあった日本語作文コーパス「KCOLJ_NNS」「KCOLJ_NS」を大幅に拡充し「ICLEAJ」を構築、そのβ版をweb上で配布している。正式版を2013年8月に配布予定。モダリティ、「思う」、有対自他動詞、外来語などの研究に進展がみられた。(2)は、実験装置の事情で産出過程の記録採集は不可。 (3)教材開発の予備調査として作文の学習過程の質的研究・分析を行った。
著者
田中 宏明
出版者
宮崎公立大学
雑誌
宮崎公立大学人文学部紀要 (ISSN:13403613)
巻号頁・発行日
vol.12, no.1, pp.99-118, 2004

現代日本は愛国主義化している。その日本とはどのようなものであり、そしてそれがどのような問題をもたらすのか。こうしたことを考察するために、愛国主義への対抗軸とじてコスモポリタニズムを置き、それに「大きな政府とリベラル・デモクラシー」と「強い国家とネオリベラリズム」との対抗関係を交え、その中で特に、「強い国家とネオリベラリズム」と「民主的コスモポリタニズム」の対抗関係に注目したい。この対抗関係はグローバリゼーションの文脈における対抗関係でもある。これを軸に現代日本における争点となる問題を検討する。すなわち、憲法、教育基本法、そして歴史認識/戦争観について考えることにしたい。最後に、以上の議論を現代日本の課題としてまとめ結論とする。
著者
鯵坂 学 徳田 剛 中村 圭 加藤 泰子 田中 志敬
出版者
同志社大学
雑誌
評論・社会科学 (ISSN:02862840)
巻号頁・発行日
vol.92, pp.1-87, 2010-05

日本の大都市では2000年を画期として、長らく続いた人口の郊外化がおわり、人口が都心部に向かう都心回帰といわれる状況がみられる。その原因は、不況により都心地域の地価が下がり、オフィス需要が減少し、そこに大型のマンションが建てられ、新しい住民の居住が促進されたためである。本研究では、大阪市の都心区における新しい住民と古くから住んでいた住民との関係について、大阪市特有の地域住民組織である「地域振興会」(振興町会や連合振興町会)に焦点をあて、共同調査を行った。結果として、新住民のそれへの参加は少なく、旧住民中心に運営されてきた振興町会の側も新住民への対応に苦慮していること、新旧住民間の交流やコミュニティの形成が課題となっていることが判明した。
著者
田端 英雄 柴坂 三根夫 藤田 昇 田中 歩
出版者
京都大学
雑誌
一般研究(B)
巻号頁・発行日
1993

ミズゴケ湿原の水質とミズゴケの消長の関係を調べるために、京都市深泥池浮島高層湿原に生育するハリミズゴケとオオミズゴケの成長実験をpH緩衝液と深泥池の水とで行った。緩衝液で培養すると両種ともに水のpHが5.9を越えると枯死した。カルシウムイオンは従来言われているようなpHの中性化と相乗したミズゴケ類への阻害作用はなく、逆にpH上昇による枯死作用を緩和した。pHの上昇以外にリン酸イオンがミズゴケに有害であった。深泥池集水域っからの降水時の様々な流入水で培養した場合はpHが6前後でも電気伝導度が50(μS/cm,25C)より小さいとミズゴケは健全に生育し、大きいと枯死した。ミズゴケ自体は周りの水を酸性にする働きをもっているので、同じpH6の水でも電気伝導度が大きくて緩衝能が高い水だと枯死し、電気伝導度が小さくて緩衝能が低い水だと生育が可能になる。ただ水質の安定した静水と違って流入水の場合は採水後に可溶化してイオンになる物質が多く含まれており、流入後に電気伝導度とpHが高くなることに注意する必要がある。都市域にある深泥池でも降水はもちろん降水が二次林林床からの地表水やチャート基岩からの湧水として集水域の低山から流入する水はpHが5台で、電気伝導度が30より小さく、ミズゴケの生育に十分な水質であった。一方、開発された集水域や自動車道路からの流入水はpHが6以上、電気伝導度が50以上でミズゴケを枯死させる水質であった。以上のことから、ミズゴケ湿原は直接の降水および自然度の高い集水域からの降水によって涵養されている限り健全に発達するが、火開発された集水域からの汚染水や地下水、河川水などpHと電気伝導度が高い富栄養化した水が集水域から流入すると衰退し、消滅していくことが明らかになった。
著者
田中 守 末丸 克矢 荒木 博陽
出版者
一般社団法人日本医療薬学会
雑誌
医療薬学 (ISSN:1346342X)
巻号頁・発行日
vol.33, no.4, pp.318-323, 2007 (Released:2008-06-30)
参考文献数
11
被引用文献数
3 4 2

Evidence-based medicine (EBM) is considered to be an important approach in making clinical decisions regarding the care of individual patients. We conducted a drug information training program applying EBM principles (EBM practice) as part of the hospital practical training curriculum for fourth-year undergraduates at Ehime University Medical School, and describe the EBM practice and its evaluation by students in the present report. In the EBM practice, students received two lectures and training on providing drug information using the EBM approach. We gave students a specific question, which required them to read clinical research articles (meta-analysis or randomized controlled study) in order to answer it.The training program consisted of 5 steps : STEP 1 Defining the specific question that needs to be answered ; STEP 2 Finding the best evidence to answer the question ; STEP 3 Critically evaluating the evidence to assess its validity and usefulness ; STEP 4 Applying the results of the critical evaluation in practice ; STEP 5 Presentation of drug information and discussion.After the training, we asked participating students to complete a questionnaire regarding their opinions of the training program and lectures. Almost all of the students felt satisfied with the EBM practice because it enabled them to enhance their understanding of the EBM process. Our findings suggested that the EBM practice was a useful training program for students.
著者
平尾 一之 田中 勝久
出版者
京都大学
雑誌
重点領域研究
巻号頁・発行日
1990

セラミックスの破壊強度は雰囲気の影響を大きく受ける。特にアパタイト-ウォラストナイトガラスーセラミックス組成の人工骨では、ガラス相を粒界相に存在するので、その影響は顕著である。本研究では、この人工骨を用いて、凝似体液を始めとする種々の環境下で、破壊特性がどのように変化するかについて調べるとともに、破壊じん性が大きく、応力腐食や疲労を受けにくくするには、組成をどのように改善すれば良いかなどについて検討を行った。得られた結果は以下の通りである。(1)アパタイトーウォラストナイト人工骨セラミックス(以下AW)の安定破壊試験を行ない、破壊じん性値が1.12MPa・m^<1/2>であることがわかった。また、その有効破壊エネルギ-は、ケロシン中で3.88Jm^<ー2>となったが、水中では1.99、凝似体液中では1.84と大きく減少し、応力腐食反応を人工骨が受けやすいことがわかった。また、破断面のSEM観察の結果、破壊は粒界ガラス相で生じていることがわかった。以上より、水や凝似体液は、粒界のガラス相と腐食反応をおこし、破壊エネルギ-、つまり破壊じん性値を下げることがわかった。実際に、使用条件下では、応力を受けているので、この反応を抑えることが肝要である。そこで、ガラス組成をケイ酸塩、リン酸塩、ホウ酸塩ガラスを変化させ、ガラス自体の安定破壊をおこさせ、その挙動を観察したところ、ケイ酸塩ガラスでは胞性破壊しやすいのに対し、リン酸塩やホウ酸塩ガラスでは塑性変形をおこしやすいことがわかった。そこで、出発原料として、リン酸塩組成を多く含ませることにより、人工骨セラミックスの破壊特性を改良できることがわかった。(2)分子動力学コンピュ-タシミュレ-ションにより、原子レベルでの破壊実験を行なったところ、ホウ酸塩ガラスではその構造にボロキソルリングなど中距離表面構造があるので塑性変形しやすい事がわかった。
著者
田中 岩男
出版者
弘前大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2010

本研究により以下の諸点が明らかにされた。(1) 歴史と神話を同時にはらむ『ファウスト』の特有の「歴史性」(2) 時間的にかけ離れた事象を重ね合わせ、類型化・典型化して考える方法論的原理 (3)『ファウスト』全体をつうじゲーテの思考における本質的なパラメーターとしての〈自然〉(4)〈人工〉による〈自然〉の支配に顕著に表れた近代の暴力的な性格 (5) 近代に対するゲーテのアンビヴァレントな立場、等。
著者
横山 知子 鶴川 俊洋 川平 和美 田中 信行
出版者
社団法人日本リハビリテーション医学会
雑誌
リハビリテーション医学 : 日本リハビリテーション医学会誌 (ISSN:0034351X)
巻号頁・発行日
vol.36, no.6, pp.399-404, 1999-06-18
被引用文献数
5 5

脳卒中を中心とした神経系疾患患者25例を対象として,8週間の運動訓練のみを行った群(通常のリハ訓練+サイベックスを使用した膝の屈伸運動)と,4〜8週目に蛋白同化ホルモン(オキシメトロン10あるいは20mg/日を内服)を併用した群の2群に無作為に分けて,非麻痺側下肢の筋力及び筋肥大に対する蛋白同化ホルモンの効果を検討した.下肢の運動訓練は両群ともサイベックス6000を用いて,座位で等速性(60°あるいは180°/秒)の膝屈伸運動を,適宜休憩を入れながら,1日100〜200回,週5日,8週間行わせた.蛋白同化ホルモン併用群では,非投与時に比べて等速性筋力は低速度・高速度ともに,また伸筋,屈筋とも筋力の増加は有意に大きかった.等尺性筋力も伸筋,屈筋ともに増加し,またCT上での大腿筋断面積も有意に増加していた.一方,筋力トレーニング単独群では,全般的に筋力の増加傾向は認められたが,ほとんどの場合で有意ではなく,大腿断面積も明らかな増加を認めなかった.副作用として,AST,ALTの上昇がAS併用した13例中5例,Kの上昇を2例に認めたが,全例で薬剤中止後,正常に戻った.
著者
甲斐 義浩 村田 伸 田中 真一
出版者
理学療法科学学会
雑誌
理学療法科学 (ISSN:13411667)
巻号頁・発行日
vol.22, no.3, pp.365-368, 2007 (Released:2007-08-18)
参考文献数
24
被引用文献数
8 6 10

本研究は,健常成人男性15名(平均年齢22.4±5.7歳,平均身長170.2±5.4 cm,平均体重62.3±8.7 kg)の左右30肢を対象に,利き足と非利き足における足把持力と大腿四頭筋筋力およびそれらの最大値到達時間について比較検討した。利き足の判定については,ボールを蹴る足を機能脚,走り幅跳びで踏み切る足を支持脚とした。機能脚と非機能脚,支持脚と非支持脚の比較において,双方ともに足把持力と大腿四頭筋筋力および最大値到達時間に有意差は認められなかった。本研究では,利き足と非利き足の足把持機能ならびに大腿四頭筋機能の優位性を示すに至らなかった。今後,別の変数を用いた検討が必要と考えられる。
著者
熊谷 明子 塚越 剛史 田中 友理 蔵治 光一郎
出版者
東京大学大学院農学生命科学研究科附属演習林
雑誌
東京大学農学部演習林報告 (ISSN:03716007)
巻号頁・発行日
no.103, pp.1-20, 2000-06
被引用文献数
2

千葉県南部に位置する東京大学千葉演習林内の山地小集水域において渓流水の水質を降雨イベント時に観測し,流量の変動に伴う水質の変動を検討した。渓流水の流量と濃度の関係を整理した結果,分析対象とした主要溶存イオンは次のような4つのグループに分けられた。NO-3は,流量と正の相関をもつ。平水時の渓流水濃度,林内雨濃度が低いことから土壌に多く存在していると考えられる。Na+,Mg2+,Ca2+は,流量と負の相関をもつ。主に基岩の風化を起源にするために,土壌水中より渓流水中で濃度が高く,流量の増大に伴い濃度が減少したと考えられる。K+は,やや負の相関をもつが,ばらつきが大きい。林内雨,土壌水,渓流水中の濃度差が少ないために流量に対する渓流水中の濃度変動は現れなかった。Cl-,SO2-4は,降雨イベントによって異なる挙動を示す。Cl-は10月の降雨イベントにおいて,台風によって輸送された海塩の影響が現れていた。SO2-4は流量と負の相関をもつが,7月降雨イベント前のみ低い値であった。このように渓流水質の各イオン変動特性の違いは各イオンの流出経路やその特性を反映していると考えられる。In order to examine the relation between the stream discharge and water quality of small mountainous watershed, we intensively sampled the forest stream water during and after several rain events. This study was conducted in the University Forest in Chiba, the University of Tokyo in the south of Chiba prefecture. The effects of rapid stream discharge increase on the ion concentrations was devided into four groups. NO-3 increases in concentration. Na+, Mg2+ and Ca2+ were diluted. K+ showed no much significant correlation with discharge. Cl- and SO2-4 showed different responses depend on rain events. This results suggest that the differences between groups reflect the different distribution of sources and generation processes of the ions.
著者
竹内 孝治 古川 修 田中 宏典 西脇 秀幸 岡部 進
出版者
公益社団法人 日本薬理学会
雑誌
日本薬理学雑誌 (ISSN:00155691)
巻号頁・発行日
vol.87, no.2, pp.123-133, 1986
被引用文献数
3

elcatoninのラットの急性胃・十二指腸損傷の発生,胃液分泌,十二指腸alkali分泌,胃運動に対する効果を検討した.elcatoninは以下の実験で全て皮下投与した.elcatonin 30 unit/kgの投与により塩酸・aspirin,塩酸・ethanol胃損傷の発生を各々81.6%,49.7%(P<0.05)抑制した.水浸ストレス,indomethacin胃損傷の発生もelcatoninは用量依存的に抑制し,前者の損傷は30 unit/kgで77.6%,後者の損傷は10 unit/kgで98.7%(P<0.05)抑制された.elcatonin 30 unit/kgの2回投与はmepirizole十二指腸損傷の発生に対して抑制の傾向(32.7%)を示したが,胃損傷の発生は著明に抑制した.indomethacin·histamine十二指腸損傷の発生に対してはelcatonin 30 unit/kgは59.5%(P<0.05)の抑制を示した.胃損傷もまた抑制した.対照薬として使用した16, 16-dimethylprostaglandin E<SUB>2</SUB>(16-dmPGE<SUB>2</SUB>)は各種胃・十二指腸損傷モデルを3~30 μg/kgの経口投与で強力に抑制した.elcatonin 10および30 unit/kgは幽門結紮ラット(4時間法)での胃液量,酸およびpepsin排出量を有意に抑制した.16-dmPGE<SUB>2</SUB> 3,10,30 μg/kgの十二指腸内投与で胃液には影響を与えなかった.elcatonin 30 unit/kgは十二指腸のアルカリ分泌に影響はなかったが,16-dmPGE<SUB>2</SUB> 30 μg/kgはアルカリ分泌を亢進した.elcatoninおよび16-dmPGE<SUB>2</SUB>は胃運動を2時間有意に抑制した.以上の結果よりelcatoninは抗胃および十二指腸損傷作用を有し,その機序の一部は胃液分泌および胃運動に対する抑制作用に基くことが示された.