著者
田中伸二
雑誌
研究報告コンピュータと教育(CE)
巻号頁・発行日
vol.2012, no.6, pp.1-1, 2012-10-06

広島に原爆が投下されて67 年。広島の人々はこれをどのように乗り越え、新しい世代に引き継いでいるのであろうか。特別な体験を継承し、学ぶ意欲を体系化するための工夫を紹介することで、福島へのメッセージとしたい。
著者
田中 伸
出版者
日本教育方法学会
雑誌
教育方法学研究 : 日本教育方法学会紀要 (ISSN:03859746)
巻号頁・発行日
vol.36, pp.39-50, 2011-03-31

本論文は,シティズンシップ教育実践とその授業構成論の違いを市民性意識の関係から帰納的に明らかにすることで,学習環境を分析する方法論を検討するものである。本研究は,従来一般的に採られてきた諸外国で実施しているシティズンシップ教育に関わるカリキュラムや教材,授業分析から演繹的な方法で学習原理やその実効性を明らかにするという方法論ではなく,子どもの持つ市民性意識が教師による教育実践とどの程度接近しているかに焦点を当て,帰納的にシティズンシップ教育実践の違いとその論理を解明する。研究の手続きは,まず研究方法論を明確にする。次に同じ題材を扱った英国と日本の市民性教育実践を分析,最後に子どもへの市民性意識調査の分析結果をもとに両国の授業構成論の相違並びにその根拠を検討した。分析の結果,まず両国のシティズンシップ教育実践が大きく異なっており,そこには両国の市民性意識の違いがあることを明らかにした。具体的には,政治的市民育成を求める英国シティズンシップ教育は,社会で行われている行動を学校で再現し実際に議論・活動する必要から,実態的活動に基づく授業構成であること。日本のシティズンシップ教育は,子ども達の判断基準が儒教的道徳などの非論理的観点に操作されており,教育にて分析的思考へと修正・改善・発展させてゆく必要性から,論理的思考育成へ向けた分析的活動に基づく授業構成が組織されていることを明らかにした。
著者
山口 謠司 田中 良明
出版者
大東文化大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2010-04-01

さまざまな携帯端末が、「本」の形を大きく変えようとしている。紙に印刷された「本」は、いずれ失われる時が来るのであろう。第一次世界大戦が始まったちょうど百年前、「本」は、知識や技術を伝えるためにはなくてはならないものであった。そして、その「本」を巡って焚書が行われ、また「本」によって国の運命が左右されるということが起こったのである。第一次世界大戦は、有線、無線による通信網の発達を促し、それまでの時代と一線を画すグローバル化の契機となった。我が国は青島の攻撃を行うことでドイツ総領事に置かれた書籍を鹵獲した。そして、同時にドイツが攻撃したルヴァン大学の図書館の再興のために書籍が寄贈された。
著者
田中 秀磨 王 立華 市川 隆一 岩間 司 小山 泰弘
出版者
The Institute of Electronics, Information and Communication Engineers
雑誌
電子情報通信学会論文誌 D (ISSN:18804535)
巻号頁・発行日
vol.J96-D, no.8, pp.1913-1924, 2013-08-01

情報の発信源の特定や物流の経由地点など,位置情報の利用が普及拡大している.またクラウド環境においては,ユーザ認証やアクセス制御にこれまで以上の安全性が要求され,位置情報や時刻など物理的な情報を組み合わせる手法も検討されている.このように位置情報を利用する場面が多々出現している状況であるが,位置情報とは座標であり不変的な情報のため,発信者の主張を信用するのみで信頼性が乏しいという問題がある.更に位置を詐称していることをネットワークプロトコルで見破ることは難しい,という欠点もある.そこで位置情報そのものの正当性を示す認証方式が必要である.本論文では準天頂衛星及び地上放送の電磁波を利用して,準同型暗号による位置情報を認証するプロトコルを2種類提案する.
著者
田中 清 阿久津 明人 外村 佳伸 秦泉寺 浩史
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. PRMU, パターン認識・メディア理解 (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.100, no.134, pp.51-56, 2000-06-15
参考文献数
7
被引用文献数
11

次世代のディジタル放送やインターネット放送に向けて, 視聴者の要求に基づいた番組視聴方法の実現が求められている.本稿では, 映像配信に意味情報配信を加えることによって, イタラクティブなライブ中継を実現できるライブ中継システムLiveWatchを提案する.通常, ライブ中継では見たいシーンが来るまで映像を眺めていなければならないが, LiveWatchではシステムが意味情報を用いてシーンを判定しユーザに知らせるので, 見たいシーンを見逃さない.高校野球をターゲットとしたLiveWatchインターネットライブ中継実験を行い, LiveWatchの有効性を確認した.
著者
田中 崇恵
出版者
京都大学大学院教育学研究科
雑誌
京都大学大学院教育学研究科紀要 (ISSN:13452142)
巻号頁・発行日
vol.59, pp.347-359, 2013-03-28

This paper discusses the differences in the character of "the Other" and "the Stranger." These concepts, especially "the Stranger," are meaningful for clinical psychology. "The Other" can clarify our identity naturally in the dichotomy of "you" and "I." However, "the Other" is as existence of the alterity which cannot contact forever for us. On the other hand, "the Stranger" seems to appear exceeding our control suddenly at the place where the boundary is ambiguous. It's shown as the Mebius suture type. In addition, an encounter with "the Stranger" seems to bring about the collapse of our old order, but also gives us a feeling of vitality. "The Stranger" appears as what supports our identity rather than appears as "the Other" who is not touched at all. There is greatly a meaning of treating about experiences of "the Stranger" in psychotherapy as well as about the topic of "the Other." In psychotherapy, it is important that psychotherapists listen to a client's narration of experience of "the Stranger" and help that a client makes experience of "the Strangers" internalize.
著者
片岡 弘明 田中 聡 宮崎 慎二郎 石川 淳 北山 奈緒美 村尾 敏
出版者
理学療法科学学会
雑誌
理学療法科学 (ISSN:13411667)
巻号頁・発行日
vol.27, no.3, pp.329-334, 2012 (Released:2012-08-01)
参考文献数
28
被引用文献数
2

〔目的〕本研究の目的は,男性2型糖尿病者の筋量と血糖コントロールの関係を明らかにし,運動処方の一助とすることである.〔対象〕骨関節疾患および運動器疾患のない男性2型糖尿病者58名とした.〔方法〕血糖コントロール別に良好群14名,可群20名,不可群24名の3群に分類し,生体電気インピーダンス方式体組成計を用い上下肢・体幹筋量を測定した.〔結果〕上下肢・体幹の全てにおいて,不可群は良好群よりも有意な筋量の減少を認めた.さらに上肢,体幹においては,不可群は可群よりも有意な筋量の減少を認めた.〔結語〕上下肢・体幹筋量は,血糖コントロール不良者ほど減少していたことが明らかとなったことから,運動プログラム立案時には有酸素運動とレジスタンス運動を併用した運動を考慮する必要性が認められた.
著者
蓬莱 博哉 灘本 明代 田中 克己
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理学会研究報告データベースシステム(DBS) (ISSN:09196072)
巻号頁・発行日
vol.2003, no.71, pp.265-272, 2003-07-16
参考文献数
13

これまで我々は,「容易に」「楽しく」「片手間に」Webコンテンツを取得するために,Webコンテンツを放送型コンテンツに変換してきた.本論文では,この放送型コンテンツをより親しみのあるコンテンツに変換することを目的とし,Webコンテンツを対話型番組に変換することを行う.本論文で提案する対話型番組とは漫才を用いた放送型コンテンツの事である.Webコンテンツを漫才に変換することにより,幅広い年齢のユーザ層にとって内容の理解を容易にするとともに,これまでWebコンテンツ取得時に必要であった能動的操作を軽減する事が可能となる.そこで,本論文ではまず漫才の形式化に取り組み,Webコンテンツから漫才形式に基づいた対話型番組に自動変換する機構を提案する.We propose a framework for transforming Web contents into humorous conversation that aims at exploring easy-to-understand and enjoyable ways to access Web contents. In this paper, we especially focus on transforming multiple Web pages into a Japanese traditional humorous talk show (Manzai). By watching and listening to a transformed Manzai content instead of reading original Web contents, users of all ages can understand the contents easily. Furthermore, since the transformed contents can be viewed in a less-clicking-more-watching style, it can reduce the positive operations (scrolling, clicking). In this paper, first, we present our framework to analyze and formulate Manzai contents. Next, we propose a way to automatically transform multiple Web pages collected under a theme into Manzai-type contents.
著者
天池 寿 栗岡 英明 秋岡 清一 藤野 光廣 谷向 茂厚 飴野 弘之 安田 達行 西本 知二 池田 栄人 武藤 文隆 橋本 京三 大内 孝雄 田中 貫一 原田 善弘 伊志嶺 玄公
出版者
一般社団法人日本消化器外科学会
雑誌
日本消化器外科学会雑誌 (ISSN:03869768)
巻号頁・発行日
vol.24, no.7, pp.2017-2021, 1991-07-01
被引用文献数
5

65歳,男性.左上腹部痛・腫瘤触知を主訴に来院.入院精査の結果胃平滑筋肉腫と診断され,1988年6月29日にリンパ節郭清を伴った胃全摘・膵尾部脾合併切除を施行した.同年10月左側腹壁に境界不明瞭な腫瘤を認め,再発治療目的でAdriamycin,Cisplatin,Etoposide併用療法(EAP療法)を2クール施行した.その治療効果は著明で,触診上および腹部computed tomography(CT)検査上complete response(CR)の状態となり,現在再発の兆候なく健在である.EAP療法は,切除不能の進行胃癌患者に対して高い奏効率を認めると報告された強力なcombination chemotherapyである.一般に胃平滑筋肉腫に化学療法が奏効したという報告は少ないので,われわれの経験した有効例を今後への展望を期待し報告した.副作用としては高度の骨髄抑制,悪心・嘔吐,脱毛が認められたが,いずれも回復可能であった.
著者
村田 幸枝 松田 康裕 田中 享 小松 久憲 佐野 英彦
出版者
特定非営利活動法人日本歯科保存学会
雑誌
日本歯科保存学雑誌 (ISSN:03872343)
巻号頁・発行日
vol.50, no.6, pp.799-807, 2007-12-31
参考文献数
25
被引用文献数
2

再石灰化効果をもつ数種類のガムが,特定保健用食品として認められている.本研究の目的は,特定保健用食品の指定を受けているガム3種(添加物としてFN-CP:フノリ抽出物と第二リン酸カルシウム,POs-Ca:リン酸化オリゴ糖カルシウムおよびCPP-ACP:カゼインホスホペプチド-非結晶性リン酸カルシウム複合体を配合)の再石灰化パターンを比較検討することである.ヒト健全第三大臼歯のエナメル質を0.01mol/l酢酸-酢酸ナトリウム緩衝液(pH 4.0)で50℃,2日間脱灰し,実験的に初期齲蝕を作製した.この脱灰エナメル質試料を,ガム群は再石灰化溶液を用いた各ガムの抽出液に,コントロール群は再石灰化溶液のみに,37℃,2週間浸漬し再石灰化処理を行った.再石灰化処理を行った試料から作製された研磨試料をTMR(transverse microradiography)撮影し,ミネラルプロファイルを作成した.その後,新たに開発されたプログラムを用いて9項目のパラメーターを算出し,再石灰化の促進効果について比較検討した.3種類のガムでΔΔZが有意に増加していたことから,すべてのガムで再石灰化を促進させる効果があることが認められた.FN-CPはΔLd,ΔLBd,ΔLB,ΔSZ,ΔOSZ,ΔSA,ΔILB,ΔΔZの8つのパラメーターで有意差を認め,初期齲蝕病変の深層を主体として病変全体の再石灰化を促進することが認められた.POs-CaではΔLB,ΔILB,ΔΔZの3つのパラメーターで有意差を認め,深層での再石灰化を促進することが認められた.CPP-ACPではΔLB,ΔSZ,ΔSA,ΔILB,ΔΔZの5つのパラメーターで有意差を認め,中間層と深層の再石灰化を促進することが認められた.以上のことからすべてのガムで再石灰化を促進する効果があるが,その再石灰化パターンには違いがあることが明らかとなった.さらに,FN-CPが初期齲蝕の再石灰化に最も有用であることが示唆された.
著者
田中 理恵 (市川 理恵)
出版者
東京大学
雑誌
特別研究員奨励費
巻号頁・発行日
2009

本研究は、正倉院文書を用いて「石山寺造営事業・二部大般若経写経事業・宝亀年間の一切経写経事業」の財政を解明することで、古代国家の銭貨政策の内容・意図を追究することを目的とした。本年度は、1石山寺造営事業と宝亀年間の一切経写経事業の財政構造をあきらかにし、論文にまとめ、さらに2古代国家の銭貨政策の内容と意図をあきらかにした。まず(1)正倉院文書による価格調査を行い、先行研究が指摘する宝亀元年の物価高騰が存在しなかったこと、天平宝字末年の物価上昇は二段階あり、第一段階は天平宝字六年の米価高騰、第二段階は天平宝字八年の全品目の物価高騰であったことを発見した。さらに(2)新銭の流通状況を調査し、特に天平宝字四年(七六〇)に発行された万年通宝は、和同開珠を基準とする価値体系のなかにその十倍の価値を持つ万年通宝が投入されたことを確認した。すなわち藤原仲麻呂が推進する事業を掌る中央官司に、新銭を下賜するという方法で、財政的に支援していたことをあきらかにした。これに対し、宝亀年間の一切経写経事業の帳簿を検討した結果、天平神護元年(七六五)の神功開宝発行時は、和同開琳と万年通宝の価値をそれぞれ十分の一にしたうえで、万年通宝と同価値の神功開宝を発行していたことを発見した。これまで古代国家は、下落した銭貨価値を取り戻すために次々と旧銭の十倍の価値をつけて新銭を発行してきたと考えられてきた。しかし神功開宝は、天平宝字八年以来の物価高騰を収束させるために発行されたと考える。今後、論文「奈良時代の銭貨政策-万年通宝・神功開宝を中心に-」としてまとめる予定である。
著者
田中 陽子
出版者
九州大学
雑誌
言語文化論究 (ISSN:13410032)
巻号頁・発行日
vol.16, pp.95-116, 2002

Ces dernieres annees, au Japon, on insiste sur l'importance de l'enseignement de l'anglais devenu l'outil le plus utile dans la communication internationale. Il en resulte que l'enseignement des autres langues etrangeres est en baisse tres nette par rapport aux annees precedentes dans les universites qui s'en chargeaient depuis la fin de la derniere guerre mondiale. En effet, bien que le nombre des langues proposees dans les universites ait augrniente, le nombre d'unites de valeurs obligatoires consacre a l'enseigfflement de ces langues a dimimue fortement. Vient s'ajouter a ce phenomene, le fait qu'un certain nombre d'universites ont supprime le caractere obligatoire de la seconde langue etrangere. Parallelement, on assiste ces derniere annees a une aupentation tres marquee du nombre de lycees qui lancent des progammes d'enseignement de ces langues. Cependant au niveau national, le pourcentage reste faible. De plus, comme il n'y a ni obligation ni perception d'aides institutionnelles, on peut difficilement envisager la generalisation de telles pratiques. Nous devons en conclure qu 'au Japon l'enseignement des autres langues est en regression. Ce phenomene peut etre attribue a plusieurs causes, mais la plus importante, nous semble-t-il, est la manque de consideration profonde du sens et du but de l'enseignement des langues etrangeres. Dans cet article, apres avoir brosse un aperqu de l'etat actuel de l'enseigfflement des langeaes etrangeres excepte l'anglais au Japon, nous aborderons le plurilinguisme dans l'enseignement des langues recommande par l'UE, les idees qui le soutiennent et les actions en vue de sa concretisation et pour finir, l'etat actuel de l'enseignement des langues étrangères en milieu scolaire dans les pays membres de l'UE. Cela ne signifie pas que nous considerons comme ideal ce qui se fait dans I'UE et ses pays membres. Ils connaissent des limites et des problemes, mais leurs prises de consciences respectives en matière d'enseipement de langues étrangères devraient être une source d'inspiration en ce qui concerne nos futures actions au Japon. Cette prise de conscience est vitale dans une perspective future, les frontières devenant floues et le nombre d'étrangers coexistant a l'intérieur du Japon ne cessant d'augmenter.
著者
平野 恒夫 生田 茂 山下 晃一 長村 吉洋 田中 皓 長嶋 雲兵 岩田 末廣 村上 明徳
出版者
お茶の水女子大学
雑誌
重点領域研究
巻号頁・発行日
1994

平成5年度に引き続き、星間分子の構造と化学反応に関して以下の研究を行った。1.我々が見い出したMgを含む星間分子としては最初の例であるMgNCに対して、さらに精度をあげたACPF/TZ2P+f法による電子状態の計算を行い、回転定数B_0の実測値5966.90MHzに対して、計算値5969.3MHzを得た。異性体のMgNCに対しても同様な計算を行い、実験値5094.80MHzに対して5089.3MHzの値を得た。また、星間分子候補として有力なFeCOの基底状態の分子構造をMRSDCI法で計算し、分光学定数を予測した。(平野)2.新たに見い出されたCOの赤外領域での発光スペクトルをリドベルグ状態間の遷移として同定した。(平野、長嶋)3.FeH,FeCOに関してf関数をも含む基底関数を用い、大規模なMRCIの計算を行った。また、MgC_2の構造と分光学定数をSDCIレベルで計算した。(田中)4.解離性再結合反応HCNH^++e^-→の反応機構を検討し、炭素星周辺でHNC/HCN比が1に近いことを量子化学的に説明した。(平野、長嶋)5.アセチレンシアニドHC_3Nの生成機構に関して、種々の中間体のエネルギーを計算して、C_2H_2またはC_2HとCNからの生成が可能であることを示した。(長村)6.星間反応C(^3P)+C_2H_2→C_3H_2のポテンシャル面をCASSCF/DZPとMP4/6-31G^<**>法で求めた。また、cyclic-C_3H_2からlinear-C_3H_2への異性化反応過程と、cyclic-C_3H+Hへの解離過程がほぼ障壁なしに起こることを明らかにした。(山下)