著者
若本 純子 増坪 玖美
出版者
公益社団法人 日本心理学会
雑誌
日本心理学会大会発表論文集 日本心理学会第85回大会 (ISSN:24337609)
巻号頁・発行日
pp.PC-080, 2021 (Released:2022-03-30)

若い世代のTwitter利用は自分の趣味や好きなものの情報交換のために活用されている(総務省,2017)。本研究では現実には会ったことのない相手とTwitterで交流する場面において,相手への好意や自己開示が何によって規定されるかを明らかにすることが目的である。現実場面における対人魅力の規定因である類似性と近接性を,推し対象の類似性,居住地の近接性として導入し,2(推し対象の類似性高・低)×2(居住地近接・遠方)を被験者間要因とするオンライン調査を実施した。2大学の学生と Twitter上で協力者を募集し,286名から同意を得た。2要因分散分析の結果,推し対象の類似性と居住地の近接性の主効果が有意であり,好意的なやりとりを前提としたTwitter交流は現実場面と類似すると推測された。さらにオタクジャンルをドルオタと二次元オタに分けて検討したところ,二次元オタのみで交互作用が有意であり,ドルオタは近くに住む相手と生活にかかわる開示をし推し活動に繋げると推測されたのに対し,二次元オタは推しが一致しない場合,現実にかかわる交流は低調であることが示唆された。
著者
大沼 俊博 渡邊 裕文 蔦谷 星子 三好 裕子 山口 剛司 藤本 将志 赤松 圭介 若林 志保子 鈴木 俊明
出版者
関西理学療法学会
雑誌
関西理学療法 (ISSN:13469606)
巻号頁・発行日
vol.3, pp.101-104, 2003 (Released:2005-04-12)
参考文献数
8
被引用文献数
2

During 45°-flexion of the hip joint, actions on the pelvis and integral values of abdominal muscle groups were measured by maintaining SLR at 3 different angles of hip joint abduction (0°, 15°, and 30°) to evaluate the relationship between the two. The results of this study suggest that rotating and anteverting actions occur on the pelvic side ipsilateral of SLR when the SLR is held at 30°-abduction of the hip joint in healthy volunteers. In addition, integral values of the abdominal scalenus ipsi- and contralateral of SLR and those of the rectus muscle of the abdomen ipsilateral of SLR obtained by maintaining SLR at 30°-abduction of the hip joint were significantly larger than those obtained at 0°-abduction of the hip joint (p<0.05). Integral values of the rectus muscle of the abdomen contralateral of SLR increase with the angle of hip joint abduction. These results suggest that attention should be focused on hip joint abduction angles during SLR exercise to increase the activity of the entire abdominal muscle groups.
著者
朝倉 俊成 神田 循吉 影山 美穂 影向 範昭 若林 広行 清野 弘明
出版者
一般社団法人 日本糖尿病学会
雑誌
糖尿病 (ISSN:0021437X)
巻号頁・発行日
vol.52, no.12, pp.977-981, 2009-12-30 (Released:2010-03-01)
参考文献数
10
被引用文献数
2

インスリン製剤(以下,製剤)中のインスリン結晶の存在,ならびに懸濁製剤におけるインスリン結晶の濁度変化を測定し,高温環境下でのインスリン製剤の性状変化について検討を行った.方法は,2種の非懸濁製剤と2種の懸濁製剤を,38, 50, 70°Cの恒温恒湿度器内に3, 6, 12時間放置したときの濁度を吸光度計にて測定し,その変化を求めた.また,生物顕微鏡を用いて,70°C·12時間環境下のインスリン結晶を観察した.結果は,非懸濁製剤はいずれも変化がなかったが,懸濁製剤ではいずれも,38°C以上の保管で濁度が有意に変化した.また,顕微鏡観察では,懸濁製剤で70°C·12時間保管結晶の形状に明らかな変化がみられた.結果から,懸濁製剤は室温以上の環境下に長時間放置しないことが求められ,患者の日常生活におけるインスリン製剤保管時の温度管理について,十分注意する必要があると思われる.
著者
小倉 渓 水谷 孝一 若槻 尚斗
出版者
一般社団法人 日本音響学会
雑誌
日本音響学会誌 (ISSN:03694232)
巻号頁・発行日
vol.77, no.11, pp.686-693, 2021-11-01 (Released:2021-12-01)
参考文献数
23

本論文では,大型擦弦楽器において特定の音高を演奏した際に生じるウルフトーンを技術的に抑圧するための指針を示すため,擦弦条件(弓の速度や圧力の組み合わせ)と発生範囲の関係を数値計算により求めることを目的とする。まず楽器の等価モデルを用いてウルフトーンを再現した後,弓の速度や圧力を網羅的に変化させウルフトーン発生状態マップを作成し,これと実験結果を比較することでモデルの妥当性を検証した。その結果,弓の速度変化によるウルフトーンの周期変化の傾向や,圧力を維持したまま弓の速度を減速することで抑圧されるといった傾向が実験結果と定性的に一致し,本モデルの妥当性が示された。
著者
吉田 ゆり 若本 純子
雑誌
鹿児島純心女子大学大学院人間科学研究科紀要
巻号頁・発行日
vol.6, pp.15-24, 2011-03-31

発達障害への注目が高まる中、反応性愛着障害(ADあるいはRAD)との鑑別診断の難しさが指摘されている。本稿では,先行研究1事例をとりあげ,発達障害の可能性を除外する鑑別的見立てと積極的に愛着障害を認める鑑別的見立ての二つのプロセスより,支援における鑑別診断の重要性を明らかにした。
著者
田中 智之 若松 冬美 柏木 公一
出版者
一般社団法人 日本在宅医療連合学会
雑誌
日本在宅医療連合学会誌 (ISSN:24354007)
巻号頁・発行日
vol.3, no.1, pp.18-26, 2022 (Released:2022-02-17)
参考文献数
12

大規模訪問看護ステーションにおける緊急訪問に関する調査を行い,その特徴を分析した.2020 年 5 月 27 日~ 9 月 1 日にA訪問看護ステーションでの緊急訪問は 236 名 627 件あった.夜間・早朝帯は 181 件(28.9%),深夜帯は 140 件(22.3%)であり,依頼内容は身体症状(71.6%)が最も多かったが,主疾患が悪性新生物とその他では内容や時間帯が異なっていた.緊急訪問の転帰は,往診と救急搬送は各 4 件(0.6%)であった.大規模化により,緊急訪問体制の維持が可能な勤務体制を構築できることや,訪問看護の介入が在宅診療医の負担軽減,地域の救急医療の適正利用に繋がる可能性が示唆された.
著者
小岩 広平 若島 孔文 浅井 継悟 高木 源 吉井 初美
出版者
公益社団法人 日本心理学会
雑誌
心理学研究 (ISSN:00215236)
巻号頁・発行日
pp.92.20048, (Released:2021-08-30)
参考文献数
21
被引用文献数
1 4

The purpose of this study was to address the issue of the fear of COVID-19 among nurses and to determine the extent to which three factors affected their fear of COVID-19: (a) personal factors, (b) working conditions, and (c) coping behaviors. We conducted a web-based survey of 152 nurses working in the Tohoku region. A hierarchical multiple regression analysis showed that living with elderly people, working in the small hospital, and working long hours at night affected their fear of COVID-19. The results also revealed that “escape from anxiety” as a coping behavior led to a fear of COVID-19. These results suggested that the fear of becoming a source of infection may increase a nurse’s fear of COVID-19 and that the accumulation of physical fatigue may also lead to a fear of COVID-19. In addition, the results suggested that avoidant coping behaviors were related with infection fears, and that organizational support may be able to reduce nurses’ fear of COVID-19.
著者
山上 明子 岩佐 真弓 井上 賢治 若倉 雅登 龍井 苑子 石川 均 高橋 浩一
出版者
日本神経眼科学会
雑誌
神経眼科 (ISSN:02897024)
巻号頁・発行日
vol.38, no.2, pp.162-171, 2021-06-25 (Released:2021-06-22)
参考文献数
23
被引用文献数
2

脳脊髄液減少症と診断された28例(男性13例,女性15例)の自覚症状,眼所見,調節力を検討した.また視力・視野障害のない症例に輸液治療施行前後で近見時瞳孔反応と調節をTriIRISとARK-1を用い測定し比較検討した. 眼科的な自覚症状は眼痛71.4%,ピントが合わない60.7%,単眼複視42.9%,両眼複視35.7%,視力低下 28.5%,羞明25.0%,視野異常7.1%であった. 視力低下例では眼内に異常所見がなく,視野異常例では半数で求心性視野狭窄を呈した.調節力は75.0%で年齢に比し低下傾向を示した.輸液治療施行前のTriIRISを用いた検査では輻湊時の視標への追従が悪い,瞬目が多いなど近見視に伴う輻湊や縮瞳にノイズが多かったが,輸液治療後は全例見え方の改善を自覚し,一部の症例でTriIRISでの輻湊時視標への追従の改善,瞬目の減少がみられたが,ARK-1の結果では調節微動および瞳孔径に差がなかった.脳脊髄液減少症に対する輸液治療後の見え方の改善は輻湊系の機能の改善を示唆している可能性がある.
著者
宮崎 由樹 鎌谷 美希 須田 朋和 若杉 慶 松長 芳織 河原 純一郎
出版者
日本認知心理学会
雑誌
日本認知心理学会発表論文集 日本認知心理学会第20回大会
巻号頁・発行日
pp.50, 2022 (Released:2022-11-24)

マスク着用は感染症拡大防止に有効だが,その着用で表情が読みとりづらくなる。こうしたマイナス面の報告は,成人被験者を対象とした実証研究の知見に依拠しており,学童期の子どもを対象とした知見は極めて少ない。本研究では,マスクなし,不織布マスク,あるいは透明マスクを着用した顔表情画像を小学生に提示し表情弁別を求めた。そして成人の既データと比較した。実験の結果,成人では,マスクなし顔に比べて,不織布マスク着用顔において「喜び」「無表情」「悲しみ」の弁別パフォーマンスの低下が認められた。対して小学生では,「嫌悪」「恐怖」「喜び」「無表情」「悲しみ」「驚き」とより多くの表情でその低下が認められた。なお,このような低下は,透明マスク着用顔では総じて認められなかった。本研究の結果は,不織布マスク着用による顔表情認知の妨害は小学生でより大きい可能性,その対処として透明マスクの活用可能性を示している。
著者
吉田 優英 植野 若菜 都築 繁幸
出版者
愛知教育大学障害児教育講座
雑誌
障害者教育・福祉学研究
巻号頁・発行日
vol.7, pp.45-58, 2011-02

漢字に苦手意識がある子どもに,書き写すだけの学習は苦痛であり,子どもが「やりたい。」,「できた。」と思えるような教材を考える必要がある。子どもの弱い能力を取り上げ,できないことをできるようにするのではなく,強い能力や好きなことを学習につなげる方が身につきやすい。そこで長所活用型指導方略とMI理論をマッチングさせて指導した。能動的に学習したことで,漢字の細部まで注意が向き,バランスの良い字がかけるようになった。様々な感覚を剌激して,自分で作るので,記憶に残りやすかった。家庭では,宿題の漢字練習を一人でできるようになった。このプログラムでは,間違いに焦点を当てずに,できるようになったこと,書けるようになったことを本人に実感させた。それが自信へとつながり,漢字への苦手意識は以前よりは少なくなった。週に2回行ったことにより,前回の記憶が残りやすかった。通級指導教室等で学習障害児に継続的にこのようなプログラムを実施すれば,漢字への苦手意識は改善されるのではないかと思われる。
著者
根本 賢 若井 正一
出版者
日本インテリア学会
雑誌
日本インテリア学会 論文報告集 (ISSN:18824471)
巻号頁・発行日
vol.20, pp.15-20, 2010 (Released:2022-06-01)

本研究は,1999年に改訂された学校用家具の新 JIS 規格に基づく教室用の机といすが,順次導入されることを想定して,当該 JIS 規格の教室用机といすを対象に学校の普通教室において児童・生徒の座席周囲に必要な動作スペースに関する人間工学的な実験を行ったものである。 本実験の内容は,以下の通りである。 1)前後の机間でいすに立つ座る動作に必要なスペースに関する計測実験 2)左右の机間で構成される通路幅の通り抜け動作に必要なスペースに関する計測実験 3)机と壁の間に構成される通路幅の通り抜け動作に必要なスペースに関する計測実験 本実験の結果から,学校教室における児童・生徒の座席周囲に必要なスペースに関する計測値を得ることができた。当該計測値は,児童・生徒が日常使用する教室用机・いすの座席数と教室の規模の関係を定量的に把握する基礎資料となることが予期される。
著者
若森 晋之介
出版者
公益社団法人 日本薬学会
雑誌
ファルマシア (ISSN:00148601)
巻号頁・発行日
vol.59, no.6, pp.558, 2023 (Released:2023-06-01)
参考文献数
3

近年,酵素工学やゲノム解析・バイオインフォマティクスが大きく進展し,学術界や産業界では,目的に応じた酵素を開発できるようになっている.酵素は高い基質特異性を示し,温和な条件下で化学・立体選択的反応を促進するため,グリーンケミストリーの観点から望ましい触媒である.その一例としてシトクロムP450が注目されており,化学合成とシトクロムP450改変体を組み合わせた複雑な天然有機化合物の全合成も報告されている.最近,アリロマイシン類のコア骨格を構築可能なP450改変体の開発がMolinaroらによって報告されたので紹介する.なお,本稿は下記の文献に基づいて,その研究成果を紹介するものである.1) Heckmann C. M., Paradisi F., ChemCatChem, 12, 6082–6102(2020).2) Zhang X. et al., Science, 369, 799–806(2020).3) Molinaro C. et al., J. Am. Chem. Soc., 144, 14838–14845(2022).