著者
若林 航輝 石井 文弥 棚橋 由佳 櫻井 敬市 大竹 弘哲
出版者
社団法人 日本理学療法士協会関東甲信越ブロック協議会
雑誌
関東甲信越ブロック理学療法士学会 第38回関東甲信越ブロック理学療法士学会 (ISSN:09169946)
巻号頁・発行日
pp.O-025, 2020 (Released:2020-01-01)

【はじめに】脳梗塞により右片麻痺,構音障害を呈した症例に対し,建築業への復職を目標に,片脚立位を中心とした立位バランス能力に着目して,腹斜筋群の活動を向上させる座位リーチ練習を実施した.その結果,立位バランス能力の改善に至ったので報告する.【倫理的配慮】ヘルシンキ宣言に基づいて十分に説明し,同意を得た.【症例紹介】60代男性.MRIにて左内包後脚から放線冠にかけて微小梗塞が認められ,右片麻痺,構音障害を呈した.病前ADLは自立.HOPEは復職したい,不安定な足場でも歩けるようになりたい.第2,3病日ではBrunnstrom Stage(以下Brs)は上肢Ⅴ,手指Ⅴ,下肢Ⅴ.感覚は右上下肢触覚軽度鈍麻,深部感覚左右差なし.立位バランスとして,片脚立位は右側3.0秒保持可能,左側保持困難.Berg Balance Scale(以下BBS)42点.Timed Up and Go(以下TUG)右回り10.8秒,左回り10.9秒.歩行は独歩見守り,ワイドベースであり,右足底全面接地.立脚中期に体幹・骨盤帯が右側へ過剰に偏位.【方法】第2 〜6病日では、低緊張筋群に対し,四肢の運動やROM練習を行った.BBS・TUGは改善傾向であったが,片脚立位は介入前後で変化は認められなかった.第7病日より,腹斜筋群に着目して座位リーチ練習を実施した.練習前後で片脚立位保持時間の延長を認めたため,プログラムに追加した.その他に,座位リーチ練習の際に股関節屈曲を追加することで課題難易度を調整し,練習を継続した.【結果】第13,14病日では片脚立位保持時間(R /L,秒)は19.0 /7.0まで改善し,BBS 54点,TUG 右回り7.1秒,左回り7.5秒となった.歩行は右踵接地みられ,右立脚中期での体幹右側偏位は軽減した.【考察】片脚立位は転倒に関連する指標として知られて いる.四肢の運動やROM練習では改善が認められなかったが,腹斜筋群に着目して座位リーチ練習を行うことで片脚立位保持時間の即時的・経時的変化を得られたためその有効性が示唆された.
著者
若林 崇雄 宮田 靖志 山上 実紀 山本 和利
出版者
一般社団法人 日本プライマリ・ケア連合学会
雑誌
日本プライマリ・ケア連合学会誌 = An official journal of the Japan Primary Care Association (ISSN:21852928)
巻号頁・発行日
vol.33, no.4, pp.360-367, 2010-12-15
参考文献数
23
被引用文献数
1 1

【目的】<br> 内科医撤退を経験した基幹病院を利用する患者・住民が, 医師・医療についてどのような想いを抱いているのかを明らかにする. <br>【方法】<br> 一時内科医が撤退し, 現在は診療を再開しているA市の基幹病院を利用する患者・住民を対象とした. <br>1. 質問紙作成<br>2回のフォーカス・グループ・インタビューをもとにテーマとサブテーマを抽出する質的な手法により質問項目を作成した. <br>2. 質問紙調査<br> A市基幹病院を利用する患者を対象とした. <br>【結果】<br> 有効回答は399名. 内科医師撤退の原因として, 81%の患者が大学, 79%が国の制度, また72%が病院と回答した. 内科医師が撤退したことは医師の身勝手かどうかについては50%ずつに意見が分かれた. また74%の患者は内科医師撤退が患者に不信感を与えたと回答した. 88%の患者は医師が患者に尽くしていると回答し, 88%が勤務条件で病院を移ることは仕方ないと回答したが, 96%の患者は医師に患者のために尽くすことを求めていた. 85%の患者は医師を信頼できると考えていた. <br>【結論】<br> 医師撤退を経験した患者は撤退により現実的に困っており, これは患者の利便性が損なわれるため当然と考えた. また撤退の原因として医療に関する組織に対し不信感を持っていることが示唆された一方で, 医師個人に対しての感情は複雑であった. 多数の患者は医師を聖職と考え, 医師撤退を経て尚, 医師の人間性やコミュニケーションへ期待し信頼していると考えられたが, 医師をサービス業と捉える患者も見られ, 信頼の構造に変化がある可能性も示唆された.

1 0 0 0 OA 廃硫酸処理

著者
若江 一男
出版者
一般社団法人 表面技術協会
雑誌
実務表面技術 (ISSN:03682358)
巻号頁・発行日
vol.18, no.9, pp.435-439, 1971-09-01 (Released:2009-10-30)

1 0 0 0 OA 印度の神々

著者
姑射若氷 訳
出版者
向陵社
巻号頁・発行日
1916
著者
若林 明雄
出版者
一般社団法人 日本教育心理学会
雑誌
教育心理学研究 (ISSN:00215015)
巻号頁・発行日
vol.48, no.2, pp.128-137, 2000-06-30 (Released:2013-02-19)
参考文献数
22
被引用文献数
3 2

本研究では, ストレスへの対処スタイルと対処方略選択の関係について, 現職教員を対象として検討を行った。研究1では, 288名の現職教員に対し, Marlowe-Crowneの社会的望ましさの尺度とMASを実施し, その結果から4つの対処スタイルに該当する被験者, Repressor24名, Sensitizer 24名, Lowanxious 14名, Defensive-anxious 12名を抽出した上で, この74名に対して日常生活でのストレス状況における対処方略選択を調べるTAC-24を実施した。その結果, 対処スタイルによって日常生活でのストレスに対する対処方略選択にはある程度の違いが認められた。特に, Repressorが問題解決に向けて積極的な対処方略を選択する傾向があるのに対して, Sensitizerは責任転嫁や放棄・諦めのような消極的な対処方略を選択する傾向があるというように, 対照的な傾向を示した。研究IIでは, 研究1で抽出された74名の被験者に対して, 学校での職務上のストレス状況を5つ設定し, それぞれの場面での対処方略選択について回答を求めた。その結果, 5つの場面を通じてみると, Repressorが計画, 情報収集, 努力などの積極的対処方略を選択する傾向があるのに対して, Sensitizerは, 思考回避や諦め, 正当化などの消極的対処方略を選択する傾向が認められた。また, 5つの場面ごとの対処方略選択の傾向を調べた結果, 場面によって対処方略選択に4つの対処スタイル間で違いがあることが認められた。
著者
若林 久嗣
出版者
東京大学
雑誌
一般研究(C)
巻号頁・発行日
1988

滑走細菌群のFlexibacter columnarisは、種々の淡水魚類の皮膚、鰭、鰓などの体表面に感染病巣を形成し、病害をもたらす。本研究では、環境水中あるいは魚体表面に存在する他種の細菌との水中あるいは体表での競合関係について検討した。1. F.columnarisの生存性のすぐれた「調合水」は、蒸留水にNaCl、KCl、CaCl_2・2H_2O、MgCl_2・6H_2Oをそれぞれ、0.03%、0.01%、0.002%、0.004%溶かしたものであった。2. 調合水にF.columnarisを約10^6CFU/mlとA.hydrophilaまたはC.freundiiを約10^6、10^7、10^8CFU/ml加え、この中にドジョウを入れて一定時間毎に実験魚の一部をとりあげ、体表粘液をサンプリングし、間接蛍光抗体法でF.columnarisの菌数を、またDAPIで総菌数を測定した。競合菌濃度が10^8CFU/ml、すなわちF.columnarisの100倍存在する場合には、F.columnaris菌数が増加せず発病しなかった。3.競合菌を混入する時期と感染妨害との関係について検討した。C.freundiiをF.columnarisと同時に加えた区と30分後に加えた区では発病も斃死も見られなかったが、1時間以後に加えた区では、発病・斃死が認められた。また、C.freundiiをF.columnarisと同時に加えた区と30分後に加えた区における体表粘液中のF.columnaris菌数は、前者で8時間後まで若干増加したほかは増加せず、やがて減少して行った。一方、1時間以後に加えた区での体表粘液中の菌数は、24時間後まではC.freundiiも増加したもののF.columnarisの増加に及ばず、48時間後にはF.columnarisがさらに増加したのに対し、C.freundiiは減少した。これらのことから、競合菌C.freundiiによるF.columnaris感染妨害は、ドジョウ体表面への付着時ないしは付着直後の増殖開始時に起こることが推察された。
著者
前澤 聡 二村 美也子 藤井 正純 松井 泰行 若林 俊彦
出版者
一般社団法人 日本高次脳機能障害学会
雑誌
高次脳機能研究 (旧 失語症研究) (ISSN:13484818)
巻号頁・発行日
vol.34, no.2, pp.226-233, 2014-06-30 (Released:2015-07-02)
参考文献数
20

脳腫瘍摘出の際,作業記憶の局在を術前に知ることは高次機能温存の鍵となる。我々は新たな手法として数唱課題 (digit span) を用いたfMRI を考案し,その有用性を検討した。4 人の脳腫瘍患者に対し術前評価として3TMR によるfMRI を施行。作業記憶局在評価のための数唱課題を行った。ブロックデザインで課題A では4 桁の逆唱,課題B では4 桁の順唱を行い,課題A から課題B を引き算し解析した。 結果として,左側の背外側前頭前野皮質 (DLPFC) (4/4 例) ,前部帯状回 (3/4 例) ,左頭頂間溝付近 (3/4 例) に賦活が認められた。これらの部位は他の言語機能タスクとは一部を除き異なっていた。本結果は数唱課題によるfMRI が作業記憶に関与する脳内局在を示している可能性を示唆する。N-back やreading span のfMRI より簡便であり負担が少ないため,脳腫瘍患者の術前評価として有用である。
著者
多久和 良亮 岡田 恭司 若狭 正彦 齊藤 明 木元 稔 鎌田 哲彰
出版者
理学療法科学学会
雑誌
理学療法科学 (ISSN:13411667)
巻号頁・発行日
vol.32, no.1, pp.93-96, 2017 (Released:2017-02-28)
参考文献数
18
被引用文献数
1

〔目的〕頭頸部伸展位が片脚着地動作に及ぼす影響を明らかにすること.〔対象と方法〕対象は,健常成人女性31名(平均20.1歳)とした.高さ30 cm台からの片脚着地動作を,頭頸部屈曲伸展中間位と,頭頸部伸展位の2条件で行った.片脚着地時の最大の膝関節屈曲と外反角度,体幹前後屈,側屈角度,および着地位置を測定し,条件間で比較した.〔結果〕頭頸部伸展位での着地では頭頸部屈曲伸展中間位の着地に比べて最大膝関節外反角度が有意に大きかった.最大膝屈曲角度と体幹前後屈,側屈角度,着地位置には有意差はみられなかった.〔結語〕頭頸部伸展位での片脚着地動作は膝関節外反角度を増大させ,非接触型前十字靭帯損傷の一要因となると推察された.
著者
設楽 佳世 高井 洋平 太田 めぐみ 若原 卓 金久 博昭 福永 哲夫 川上 泰雄
出版者
一般社団法人日本体力医学会
雑誌
体力科学 (ISSN:0039906X)
巻号頁・発行日
vol.58, no.4, pp.463-474, 2009-08-01 (Released:2009-09-15)
参考文献数
34
被引用文献数
3 6

This study was conducted to examine the reliability of three-dimensional photonic image scanning (3DPS) for measuring body surface area (BSA), and formulate equations for predicting BSA based on 3DPS. The surface area (SA) of a cylinder with known SA and BSA of 7 males were repeatedly measured by 3DPS. BSA was determined by 3DPS for 122 subjects (25–76 yrs). BSA prediction equations for both genders were developed for the validation group (16 males and 45 females) using body height and mass as independent variables, and were cross-validated for the cross-validation group (16 males and 45 females). The standard error of measurement was 2.2cm2 (0.16%). The coefficients of variation (CV) for repeated measurements of SA were less than 0.2%. The BSA of subjects did not differ significantly on any given day nor between days, with a CV of less than 1%. The coefficient of determination and standard error of estimation of the prediction equations were 0.98 and 183cm2 (1.1%), respectively, for males and 0.98 and 204cm2 (1.3%), respectively, for females. There was no significant difference between the predicted and measured values. In the cross-validation group, there was no significant difference between the predicted and measured values without systematic errors. These findings indicate that 3DPS is reliable for measuring BSA, and the formulated equations are valid and applicable to individuals within a wide age-range.
著者
一棟 宏子 萩原 美智子 金 貞仁 崔 在順 中野 迪代 若井 希水子 イチムネ ヒロコ ハギワラ ミチコ KIM Jungin CHOI Jeasoon ナカノ ミチヨ ワカイ キミコ Hiroko ICHIMUNE Michiko HAGIWARA Jungin KIM Jeasoon CHOI Michiyo NAKANO WAKAI.Kimiko
雑誌
大阪樟蔭女子大学学芸学部論集
巻号頁・発行日
vol.44, pp.121-136, 2007-03-20

本研究の目的と方法 韓国ソウル市内の分譲アパート5団地を訪問し、管理方式の実情把握と問題点を考察するために、2005年9月、2006年3月、2006年8月、アパート管理に携わる団地の住宅管理所長(住宅管理士)、住宅代表役員、住宅管理会社社長にインタビュー調査を実施した。結果と考察 韓国では70年代以降、共同住宅が短期間に大量建設された結果、伝統的な住宅様式である戸建住宅数を大幅に上回り、今では住宅ストックの6割以上を占めている。住戸の国民住宅規模は85m~2で日本と比べて広い。供給は分譲アパートが中心で、高層化した大規模団地が多く、多様な住戸規模と平面型が混在している。韓国の管理方式の特徴は、(1)管理に携わる職員の人数が多く、その役割分担は所長、管理事務職、設備系技術職、清掃員、警備員で、警備員の多さが目立つ。(2)建物のメンテナンスは従来20年程度で建替えてきた経緯があり、住民の管理に対する意識は低い。住宅法施工以来、住民の関心は建替えからリモデリングへと移っている。(3)管理を推進する住民の代表役員は立候補や推薦で決められる。全区分所有者による総会開催義務はなく、役員以外は管理に携わる義務もないため役員のなり手不足で、 代表役員の定員に欠員があるまま運営される団地がみられた。(4)韓国の管理方式は、設備中心で日常管理の質は一定程度確保でき、問題解決に機動性が発揮される反面、住民全体の合意形成の手続きが省かれたために、長期計画の展望を持ちにくく、住民自身の管理に対する役割意識が醸成されにくい状況がみられる。
著者
菅家 智史 森 冬人 坪井 聡 若山 隆 葛西 龍樹
出版者
一般社団法人 日本プライマリ・ケア連合学会
雑誌
日本プライマリ・ケア連合学会誌 (ISSN:21852928)
巻号頁・発行日
vol.42, no.4, pp.191-197, 2019-12-20 (Released:2019-12-27)
参考文献数
21

目的:時間外受診の適正化は医療システムにおける大きな問題である.全年齢層を対象に時間外受診の目安を示したハンドブックを自治体全戸へ配布したことが住民の時間外受診件数に与えた影響を検討する.方法:2011年7月福島県只見町は住民全戸へ時間外受診の目安を記載したハンドブックを作成し配布した.町唯一の医療機関である国民健康保険朝日診療所の2010年1月から2012年12月における1ヶ月あたり時間外受診件数を中断時系列分析を用いて解析した.結果:ハンドブック配布前の傾きは0.0071 (95%信頼区間 -0.011,0.025)であったが,ハンドブック配布に伴う傾きの変化は -0.0061 (-0.034,0.022)であった.結論:医療機関受診の目安を解説したハンドブックを住民全年齢層を対象に配布した施策では,時間外受診件数の有意な変化は認めなかった.
著者
加藤 雅久 若木 和雄 中村 亜弥子 志岐 祐一
出版者
一般財団法人 住総研
雑誌
住宅総合研究財団研究論文集 (ISSN:18802702)
巻号頁・発行日
vol.33, pp.381-392, 2007 (Released:2018-01-31)

国家総動員体制となった昭和13年から,戦後の本格的な住宅建設体制が整う24年までの約12年間は,軍や工場,輸出などに資源が振り向けられ,住宅をはじめとした一般需要は,代用品から新興建設材料に至る新興建材で補おうとしていた。本研究は,これら代用建材の供給とその品質確保の変遷を,建材行政の視点から検証し,戦後復興期を支えた新興建設材料の歴史的経緯を解明した。戦後の新建材につながる新興建材の品質確保と普及活動,およびそれらを担い行政と建材産業とを結びつける仕組みは,戦中期にその骨格が形成され,戦後は戦中期の体制を継承しつつ復興をすすめていったことがわかった。