著者
藤本 修平 大高 洋平 高杉 潤 小向 佳奈子 中山 健夫
出版者
日本理学療法士学会
雑誌
理学療法学 (ISSN:02893770)
巻号頁・発行日
pp.11351, (Released:2017-11-10)
参考文献数
27

【目的】理学療法士(以下,PT)の診療ガイドラインの利用,重要度の認識とエビデンスに基づいた実践(以下,EBP)への態度,知識,行動との関連性を明らかにすることとした。【方法】対象は千葉県のPT1,000 名としEBP や診療ガイドラインの利用,重要性の認識の項目を含む無記名自記式質問紙を用いた郵送調査を行った。統計解析は診療ガイドラインの利用,重要性の認識に関連するEBP の関連項目を明らかにするために多重ロジスティック回帰分析を行った。【結果】診療ガイドラインの利用,診療ガイドラインの重要性の認識と関連が強いものは「EBP に関する必要な知識や技術を学びたいと思いますか」(OR = 10.32, 95%CI: 1.82–197.16) であった。【結論】千葉県のPT において診療ガイドラインの利用は十分ではなく診療ガイドラインの利用や重要性の認識に関連する要因は,EBP の必要性の認識とEBP を行ううえで必要な行動であった。
著者
藤本 武
出版者
日本文化人類学会
雑誌
文化人類学 (ISSN:13490648)
巻号頁・発行日
vol.72, no.1, pp.21-43, 2007

人類共有の財産とみなされてきた世界各地の多様な作物は、今日地域の文化資源や世界の遺伝資源と認識され、保護が模索されるとともに、そのアクセスと利益配分をめぐって国際的な議論がかわされつつある。ただ、そうした多様な作物がもっとも豊富にみられるのは周辺地域の諸社会であり、文化人類学からの貢献が期待される。本論が分析するのも、アフリカのなかで例外的に長い国家の歴史をもつエチオピアにあって、その西南部という十九世紀末に国家体制に編入され、今日数多くの民族集団が分布する周辺地域における一少数民族の事例である。従来の研究では、各民族集団における固有の生態条件や文化的慣習との関連でその多様性が考察されることが多かった。しかし時間・空間的な範囲を広げて検討した本論の分析からは、今日の民族集団の枠組み自体が自明なものでなく、国家体制に組み込まれる以前、人びとは境界をこえて活発に移動をくりかえしてきており、むしろそうした広範な移動・交流によって今日の多様な作物・品種の基礎が築かれていたことが示唆された。また自給自足的だった経済は国家編入を契機に変化し、二十世紀に外部供出用の余剰生産を企図した穀物栽培が拡大するなかでその品種への関心は低下し、一部の穀物品種はすでに失われ、あるいは現在消失の危機に直面している。その一方、果樹や香辛料、野菜などの副次的な作物が外部から次々ともたらされ、庭畑に積極的に植えられることで全体の作物の種類は増えてきている。つまり、近年の作物の多様性の動態は一様ではない。ただ、いずれも社会のあり方と密接にかかわって変化するものであることを示している。今後作物資源の保護を模索する際は、民族集団などの単位で閉じた静態的なモデルにもとづいて構想するのでなく、より広い範囲を対象に人びとどうしのつながりや交流を促していく動態的なモデルにしたがって構想していくことが望まれる。
著者
白鳥 義彦 岡山 茂 大前 敦巳 中村 征樹 藤本 一勇 隠岐 さや香 上垣 豊
出版者
神戸大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2011

研究課題として設定した、①「大衆化」と「卓越化」との二律背反の相克、②高等教育の「自由化」政策の影響、③リベラル・アーツと教養教育、という3つのテーマを軸に日仏両国の比較研究を進めた。日本およびフランスのいずれの国においても、さまざまな「改革」の動きの一方で、ともすれば見過ごされているようにも見受けられるのは、「改革」を通じてどのような高等教育を目指すのか、あるいはまた、その新たな高等教育を通じてどのような社会を目指すのか、といった本質的、理念的な問いである。研究代表者および研究分担者は、こうした根本的な問いを共有しながら、それぞれの具体的な研究テーマに取り組んで研究を進めた。
著者
嶋田 哲郎 藤本 泰文
出版者
特定非営利活動法人バードリサーチ
雑誌
Bird Research (ISSN:18801587)
巻号頁・発行日
vol.5, pp.S7-S9, 2009 (Released:2009-06-08)
参考文献数
9

2009年5月1日に内沼で捕獲されたオオクチバス(全長506mm,体重2.4kgのメス)の胃内容物から鳥類1羽,アメリカザリガニ3匹が発見された.未消化の羽毛の大きさや色彩パターン,上嘴や脚の色や形態,露出嘴峰長やふ蹠長などから,捕食された鳥類はオオジュリンと考えられた.
著者
藤本 光司 照田 昇 葛 崎偉 林 徳治
出版者
日本教育情報学会
雑誌
年会論文集
巻号頁・発行日
no.27, pp.274-275, 2011-08-20

京都市立洛陽工業高等学校(以下,R工業高)に新設された創造技術科の創造探求科目「創造基礎」の授業に,7名の教員チームを組織し取り組んでいる.本授業は,1年生5クラスを対象に週1回100分(2限)の設定で,設計製図や工具・工作機械の扱い方など,ものづくりの基礎学習を通じて製作実習に取り組む一方,これら一連の学習過程でコミュニケーション演習やチームビルディング演習を随時設定している.社会人基礎力の育成をめざした教育プログラム設定は,学習者の主体性を重視し能動的に活動できるアクティブラーニングの教育手法(授業のしかけ)が重要と考える.本稿では,この授業の取組を報告する.

4 0 0 0 東寺の研究

著者
藤本弘三郎編
出版者
洛東社
巻号頁・発行日
1934
著者
藤本 建夫 Tateo FUJIMOTO
出版者
甲南大学経済学会
雑誌
甲南経済学論集 = Konan economic papers (ISSN:04524187)
巻号頁・発行日
vol.61, no.3・4, pp.89-133, 2021-03-20

大正9年恐慌が終息するや,今度は関東大震災が日本を襲う。東京海上火災の平生釟三郎にとって巨資を投じての帝都復興よりも,当然のことながら火災保険をめぐる「法理か社会問題か」という問題がはるかに大きな意味を持っていた。大震火災などの災害は国際的にも保険適用外であったのに,余りに被害が大きかったために何らかの補償を保険会社あるいは国家がすべきであるという世論が強まり,社会問題化していった。後者に理解を示した東京海上火災を中心とする関東系と弱小で前者に固執した関西系の利害が衝突したが,政府には両者を調停して解決する力量はなかった。最終的には被保険者の大衆運動が法理を押し切ってこの問題は終結する。しかし大震災はこれで終わったのではなかった。震災手形法案がらみで金融恐慌が発生する。平生釟三郎が注目したのは,台湾銀行と鈴木商店,および第十五銀行と川崎造船所の癒着と破綻・休業で,これによって神戸の雄傑と言われた金子直吉と松方幸次郎の時代は終焉する。
著者
藤本 知臣
出版者
新潟医療福祉学会
雑誌
新潟医療福祉学会誌 (ISSN:13468774)
巻号頁・発行日
vol.23, no.2, pp.2-8, 2023 (Released:2023-12-25)
参考文献数
47

近年、マラソンやオープンウォータースイミング、登山や水中レジャー活動といった自然の中で行われるスポーツ・アクティビティの競技人口が増加している。これらのスポーツやレジャー活動が低気温下や冷水下といった寒冷環境下で行われる場合には、体温の低下を防ぐために皮膚血管収縮やふるえ熱産生といった体温調節反応が生じる。さらに、運動中には体温調節反応だけでなく、運動に伴い活動筋における熱産生が生じることから、体温の低下が起こりにくいと考えられる。しかしながら、実際に寒冷環境下でのレジャー活動や運動時には体温が過度に低下する「低体温症」が発症する場合がある。体温調節反応に加えて運動に伴う熱産生が起こるにもかかわらず低体温症が生じることから、運動時に発症する低体温症には通常の熱収支とは異なる「運動時特有の要因」があると考えられ、現在までいくつかの研究において検討されている。本稿では、ヒトが寒冷環境下でのスポーツ・アクティビティを安全に行い、ハイパフォーマンスを発揮するための一助になることを目指し、寒冷環境下で生じる体温調節反応や運動がそれらに及ぼす影響について概説し、運動時にも関わらず生じる低体温症の発症メカニズムやその予防法を考える。
著者
藤本 雅子
出版者
日本音声学会
雑誌
音声研究 (ISSN:13428675)
巻号頁・発行日
vol.16, no.3, pp.1-13, 2012-12-30 (Released:2017-08-31)

Effects of consonantal environment and speech rate on vowel devoicing are examined from glottal opening patterns of an Osaka subject. Results demonstrated that for the initial consonant of /CVC/, the glottis widely opened both for stops and fricatives, which presumably facilitates devoicing. For the second consonant, the glottis widely opened for fricatives but not for stops. However, vocal fold vibration of the preceding vowel continued into the consonants only for fricatives. Thus, fricatives are likely to suppress devoicing in intervocalic position. For the consonant /h/, continuation of vocal fold vibration lasts until the end of the consonant, which will strongly suppress devoicing. A sequence of fricatives suppresses devoicing presumably due to faster glottal adduction for fricatives than stops. The distance of glottal openings between preceding and following consonants becomes shorter in fast speech, which may facilitate devoicing.
著者
北野 信之介 藤本 賢司 須賀 涼太郎 小玉 響平 原田 諭 中澤 真弓 鈴木 健介 小川 理郎
出版者
一般社団法人 日本救急救命学会
雑誌
救急救命士ジャーナル (ISSN:2436228X)
巻号頁・発行日
vol.2, no.4, pp.180-184, 2022-12-20 (Released:2023-06-07)
参考文献数
18

【背景】病院前救護での緊急度と重症度の判断に必要な収縮期血圧測定に際して,聴診法と触診法の正確性を把握することは重要であるが,その詳細は不明である。【方法】正確な血圧設定が可能なシミュレーターを使用し,聴診法と触診法で実測した収縮期血圧と設定値の差(ΔSBP)をシミュレーターが仰臥位と坐位の場合で評価した。【結果】測定者は救急救命士学生で,仰臥位の測定者186名,坐位の測定者130名,計316名とした。仰臥位ΔSBPは,聴診法−7±16mmHg,触診法−11±16mmHg,坐位では各々−4±13mmHg,−12±12mmHgで,いずれも設定値より低値であった。【考察】情報量がより多い聴覚系機能に依存している聴診法が,触診法よりも設定値に近く,病院前救護での緊急度,重症度の判断には一定の留意が必要である。【結語】聴診法や触診法による血圧測定では設定値よりも低くなる傾向にあった。
著者
藤本 宏明 宮井 一郎
出版者
公益社団法人 日本リハビリテーション医学会
雑誌
The Japanese Journal of Rehabilitation Medicine (ISSN:18813526)
巻号頁・発行日
vol.55, no.9, pp.724-729, 2018-09-18 (Released:2018-10-29)
参考文献数
33
被引用文献数
1

ヒトの二足歩行では,大脳皮質や基底核,脳幹,小脳,脊髄などの複数の中枢神経領域が階層的に制御している.障害物などの外部環境への応対を要する随意的な歩行運動には大脳皮質や基底核などの上位中枢の関与が大きく,繰り返すリズミカルで自動的な歩行運動の生成には,脳幹や脊髄などの下位中枢が重要と考えられている.中枢神経損傷後の歩行やバランス機能の回復に伴って神経活動の変化がみられるが,逆に標的とする神経活動を調整すること(neuromodulation)によって機能回復が促進される可能性が検証されている.双方向での検証の蓄積が,歩行や姿勢制御障害の回復と神経活動変化との因果関係の解明へとつながることが期待される.
著者
藤本 眞克
出版者
公益社団法人 応用物理学会
雑誌
応用物理 (ISSN:03698009)
巻号頁・発行日
vol.61, no.6, pp.592-595, 1992-06-10 (Released:2009-02-05)
参考文献数
7
被引用文献数
1

われわれが日常使っている時刻の基準となるのは,世界各地の原子時計の統計的平均として作られた国際原子時である.基準時刻は相対性理論によって座標時として定義され,セシウム原子時計を主とする原子詩計群,およびこれらを高精度で相互比較するためのGPSを利用した時刻比較法によって,国際的な時刻決定が行われている.関連した話題をいくつか紹介する.