著者
安藤 沙耶 日野田 卓也 藤本 順平 山田 浩史 有薗 茂樹 菅 剛 金尾 昌太郎 石藏 礼一 小林 由典 鶴田 悟
出版者
日本小児放射線学会
雑誌
日本小児放射線学会雑誌 (ISSN:09188487)
巻号頁・発行日
vol.37, no.1, pp.106-112, 2021 (Released:2021-03-27)
参考文献数
17

ビガバトリンとはGABA(γ(gamma)-aminobutyric acid)アミノ基転移酵素を阻害し脳内GABA濃度を上昇させ抗てんかん作用を有する薬剤である.Vigabatrin-associated brain abnormalities on magnetic resonance imaging(VABAM)とは,ビガバトリン投与中に生じる頭部MRIでの異常を指し,淡蒼球や脳幹背側,歯状核,視床などにT2強調像・拡散強調像で高信号を認めるとされている.症例1は6か月女児.点頭てんかんに対しビガバトリンとACTH療法の併用にて治療中,フォローの頭部MRIにて両側歯状核,中脳被蓋,淡蒼球,中脳黒質にT2強調画像・拡散強調画像で高信号を認めた.症例2は6か月女児.結節性硬化症に伴う点頭てんかんの発症予防目的にビガバトリンを使用中,フォローの頭部MRIにて脳幹背側の中脳四丘体・前交連に拡散強調画像で高信号を認めた.症例1,2についていずれも関連すると思われる臨床症状については認めなかった.特徴的な画像所見を呈し,また薬剤減量や中止で改善することがVABAMの特徴であり文献的考察を交えて報告する.
著者
藤本 章
出版者
Japan Society of Sport Anthropology
雑誌
スポーツ人類學研究 (ISSN:13454358)
巻号頁・発行日
vol.2000, no.2, pp.55-73, 2001-01-31 (Released:2011-06-08)
参考文献数
59

The religious festival called Kami-sumo has been handed down by Hachimankohyou-jinjya at Yoshitomi town in Fukuoka prefecture. Kami-sumo is acted by using puppet called Kugutsu. It is carried out every forth year. In the day of the festival, Kami-sumo is played on the sea in the morning, and in the evening, it is played on Shinbuden located in Hachimankohyou-jinjya.The subject of this study is to describe the story of Kami-sumo and the expression that composes them today, from a viewpoint of historical description in anthropology. The myths, the data of hearing investigation and the image materials were used in this study to describe Kami-sumo.The myths to deal with this study were found in Hachimankohyou-jinjya and Usa-jinguu. And the data of hearing investigation were collected in Hachimankohyou-jinjya in June and July, 1999. And the image materials were taken pictures in 1988 and 1996.The following conclusions were derived;1) Hatimankohyou-jinjya was originally composed of Okinaga-datjinguu and Kohyou-daimyoujin, but soon these two Shinto shrine were put together. The ritual for repose of souls in the sea was the first form of Kugutsu-sinji, and the transfer of the place of Kugutsu-sinji caused a change of meaning of Kugutsu-sinji.2) The change of social system caused gradual increase of manipulators who do not have religious relationship with Hatimankohyou-jinjya. And these changes have caused the situation that it must particularly give sacredness to religious festival. For these reasons, the practice of Kami-sumo has been composed of the contents to touch God and to succeed to how to manipulate Kugutsu today.3) The story to deepen and reconfirm faith in God Sumiyoshi is unfolding by Kami-sumo. The absolute strength of Sumiyoshi is expressed through his various techniques, his quick motion and his physical toughness. In other words, the various techniques, quick motion and physical toughness show the very important elements that composed God's sacredness.At the end, Kami-sumo has been continued in Hatimankohyou-jinjya as a Sinto ritual that is decorated with myths. The structure that sumo is closely concerned with a story about strength of god is maintained on Kami-sumo even today, while the ritual aspect is agitated by change of manipulators.
著者
藤本 灯 韓 一 高田 智和 Akari FUJIMOTO Yi HAN Tomokazu TAKADA
出版者
国立国語研究所
雑誌
国立国語研究所論集 = NINJAL Research Papers (ISSN:21861358)
巻号頁・発行日
no.21, pp.85-94, 2021-07

京都府立大学韓国国立釜慶大学 大学院生国立国語研究所 研究系 言語変化研究領域古代の日本の辞書には,様々な構造を持つものがあり,各辞書の構成や仕様を理解していなければ解読が困難な面があった。また注文から必要な情報を抽出するためには,隈なく目視で捜索する必要があった。順不同に入り組んだ注文の情報から,効率的に目的の情報に到達するためには,注文に存在する要素の属性が,それぞれ可能な限り定義づけられているべきである。本稿では,平安時代の代表的な漢和辞書である『和名類聚抄』を例として,いかにその構造を記述することが可能か,検討し,『和名類聚抄』の内容に適したタグを設計した。There were many kinds of dictionaries in ancient Japan. Therefore, without highly specialized knowledge, it is quite difficult for users to interpret their contents. Furthermore, users have been compelled to seek the necessary information based on visual observation of the dictionaries. To effectively find the required information within a complex description, a strict definition of the contents is required.This paper thus proposes a model for such a structured description and discloses the tagged data by using Wamyō-Ruijushō, a representative dictionary of the Heian Era in Japan.
著者
玉置 理沙 藤本 まなと 諏訪 博彦 安本 慶一
雑誌
第28回マルチメディア通信と分散処理ワークショップ論文集
巻号頁・発行日
pp.98-105, 2020-11-04

近年,糖尿病患者のための血糖値コントロール支援が盛んに行われている.しかし,糖尿病患者ではない成人を支援する手法はほとんど存在しない.血糖値の高すぎるピークや長時間に及ぶ食後高血糖は,2 型糖尿病をはじめとする生活習慣病を引き起こす原因となり,糖尿病患者と診断される前の未病の段階で予防することが重要である.そのためには,血糖値コントロールが必要であり,リアルタイムで血糖値を把握しながら血糖値を予測できることが望ましい.本研究では,摂取予定の食事を撮影すると,事前に予測血糖値を提示し,また,血糖値の高いピークが生じる可能性が高い場合には摂取して良い食べ物と摂取すべきでない食べ物を提示することで,血糖値をコントロールするシステムを提案する.本研究では,血糖値コントロールシステムへの実現に向けた第一段階として,血糖値推定モデルの作成と検証を目的としたデータ分析を行った.具体的には,4 名の被験者から血糖値推定を目的とし,食事中の GI 値や前回の食事時間からの経過時間,睡眠時間のデータを収集・特徴量を抽出し,各被験者に対する血糖値推定モデルをランダムフォレストを使って構築した.その結果,最も精度の高い被験者の RMSE(二乗平均平方根誤差)は 10.09,R^2(決定関数)は 0.82,MAE(平均絶対誤差)は 6.00 であった.この結果から,提案システムの実現可能性が示された.
著者
藤本 誉博
出版者
国立歴史民俗博物館
雑誌
国立歴史民俗博物館研究報告 = Bulletin of the National Museum of Japanese History (ISSN:02867400)
巻号頁・発行日
vol.204, pp.11-30, 2017-02

本稿は、室町後期(一五世紀後期)から織田権力期(一六世紀後期)までを対象として、堺における自治および支配の構造とその変容過程を検討したものである。当該期は中近世移行期として「荘園制から村町制へ」というシェーマが示されているように社会構造が大きく変容する時期である。堺においても堺南北荘の存在や、近世都市の基礎単位になる町共同体の成立が確認されており、これらの総体としての都市構造の変容の追究が必要であった。検討の結果、堺南北荘を枠組みとする荘園制的社会構造から町共同体を基盤とした地縁的自治構造が主体となる社会構造への移行が確認され、その分水嶺は地縁的自治構造が都市全体に展開した一六世紀中期であった。そしてこの時期に、そのような社会構造の変容と連動して支配権力の交代、有力商人層(会合衆)の交代といった大きな変化が生じ、イエズス会宣教師が記した堺の「平和領域性」や自治の象徴とされる環濠の形成は、当該期の地縁的自治構造(都市共同体)の展開が生み出したものであると考えられた。そして、様々な部位で変化を遂げながら形成された一六世紀中期の都市構造が、近世的都市構造として一六世紀後期以降に継承されていくと見通した。This paper examines the feudal and autonomous regimes and their shifts in Sakai from the late Muromachi period (the late 15th century) to the period of the ascendancy of Oda Nobunaga (the late 16th century). This century was a transitional period from medieval to early modern, when the social regime changed drastically, as represented by the shift from the manorial system to the township system. Likewise, in Sakai, it has been observed that after Sakaikita-shō and Sakaiminami-shō (Northern and Southern Sakai Manors) were established, township communities emerged as the basis of the early modern city. Thus, it is important to inquire into the process of changes in the municipal regime to reveal how these basic units were integrated and developed into a new municipal regime.The results of the analysis indicate a shift from a feudal regime based on the manorial system developed under the framework of Sakaikita-shō and Sakaiminami-shō to a society characterized by territorial autonomy based on township. The watershed in this shift was the spread of the autonomous territorial regime around the city in the mid-16th century. This shift in the social regime was accompanied by major changes, such as the change of authorities and the replacement of dominant merchants (egōshū). The development of the autonomous territorial units (town authorities) at that time also seems to have contributed to the construction of moats as a symbol of autonomy as well as the development of Sakai into a "place of peace," as a missionary of the Society of Jesus described it. Moreover, this analysis suggests that the municipal regime which had been established and changed in different ways in the mid-16th century formed the basis of the early modern municipal regime in the late 16th century and thereafter.
著者
宮澤 陽夫 藤本 健四郎
出版者
東北大学
雑誌
一般研究(C)
巻号頁・発行日
1987

酸化油脂を経口摂取したときの生体毒性の発現機構を知るため, リノール酸メチルヒドロペルオキシドおよびその二次酸化分解生成物(主にカルボニル化合物)を経口投与したときのマウス免疫系組織への影響を調べた.C67BL/6系雄マウス(体重20〜30g)に精製リノール酸メチルヒドロペルオキシド(過酸化物価=6100meq/kg)を90, 190, 270, 310mgずつ経口投与した. また別にヒドロペルオキシドの分解物(カルボニル化合物)を経口投与した. 投与24時間後に, 臓器重量正測定するとともに, 各種臓器組織をHE, PASおよびズダンIII法で染色し, 組織像(肝臓, 胸腺, 脾臓, パイエル板など)を光学顕微鏡で調べた. また, 血清GOTとGPTの活性を測定した. リノール酸メチルヒドロペルオキシドなどの脂質過酸化物を投与したときの胸腺細胞をフローサイトメトリーによるドットプロット分析に供し, 胸腺細胞の変化を調査した.リノール酸メチルヒドロペルオキシドなどの脂質過酸化物を経口摂取したマウスの免疫系組織(胸腺, 脾臓)の重量は顕著な低下を示した. とくに胸腺上皮組織では, 浸潤しているリンパ球の著しい壊死が観察できた. この時胸腺ホモジネートからの自発的な極微弱化学発光量は顕著な増加を示した. また脂質過酸化物を摂取したマウスの脾臓においてはヘモグロビンの変性を示すヘモジゼリンの蓄積が認められ, 一方, 小腸パイエル板においてはリンパ球の壊死が顕著に認められた. ヒドロペルオキシド投与マウス胸腺のリンパ球をフローサイトメトリーで分析すると, 免疫応答能の欠落した容積の小さいリンパ球群の出現が新たに認められた. これらの結果から, 脂質加酸化物を摂取した場合に生体の免疫系組織に大きな障害のあらわれることが明らかになった.
著者
長谷川 政智 森 晃 藤本 泰文
出版者
公益財団法人 宮城県伊豆沼・内沼環境保全財団
雑誌
伊豆沼・内沼研究報告 (ISSN:18819559)
巻号頁・発行日
vol.10, pp.59-66, 2016 (Released:2017-04-07)
参考文献数
10
被引用文献数
4

宮城県北部の河川・水路ならびにため池で2014~2015年に淡水エビ類の分布調査を実施した.調査の結果,在来種のスジエビPalaemon paucidens に酷似したエビを確認し,同定したところ,その形態的特徴から,外来種のPalaemonetes sinensis であることを確認した.今回,2箇所の調査地でP.sinensis の生息を確認し,再生産して定着していることも確認した.宮城県においてP.sinensis の発見とその定着を確認した報告は初めてである.
著者
藤本 隆宏
出版者
特定非営利活動法人 グローバルビジネスリサーチセンター
雑誌
赤門マネジメント・レビュー (ISSN:13485504)
巻号頁・発行日
pp.0190416a, (Released:2019-08-08)
参考文献数
42

本稿では、工場、開発拠点、店舗、サービス拠点など、付加価値が流れる場所及びその組織を広義のものづくり現場 (以下「現場」) と規定し、ひとつの現場、たとえばある地域に立地した工場の生成・発展・持続・衰退・消滅などの動態を長期的に分析する「現場史」の可能性を探索的に論じる。まず歴史的分析としての現場史の特徴 (空間的・時間的限定性、多面性、創発性、学際性) を指摘し、それが、必ずしも産業史や企業史 (特に大企業の社史) には還元できない独自の学術的価値を持つ可能性を指摘する。次に、地域に根差す社会的存在でもある現場が、資本主義的な利益最大化企業とは異なる目的関数系を持つ経済主体である可能性を論じ、特に冷戦後のグローバル競争時代において、高賃金先進国である日本の貿易財系の生産子会社や中小企業の多くが、「現場指向企業」として、現場自体の存続と雇用維持を目的とした生産性向上や需要創造の継続的努力を行ってきた歴史的事実を確認する。これは、この時期に一部の大企業が低賃金国への生産シフトを加速化しようとしたのとは対照的な産業行動であった。それを踏まえ、新興国との極端な国際賃金差が存在したポスト冷戦期が終わりつつある2010年代に、冷戦終結後の日本の国内現場あるいは「現場指向企業」を対象とした「現場史」を研究することの意義を強調する。また、現場史の前提となる「現場」の多面性、主体性、能力構築努力、需要開拓努力など、現場の諸特性を論じ、最後に、ポスト冷戦期を含む現場指向企業に関する具体的な略史の事例をいくつか手短かに紹介する。
著者
引網 宏彰 柴原 直利 村井 政史 永田 豊 井上 博喜 八木 清貴 藤本 誠 後藤 博三 嶋田 豊
出版者
一般社団法人 日本東洋医学会
雑誌
日本東洋医学雑誌 (ISSN:02874857)
巻号頁・発行日
vol.61, no.5, pp.699-707, 2010 (Released:2010-10-30)
参考文献数
6

リウマチ性多発筋痛症(PMR)に対して,漢方治療が奏効した5症例について報告する。さらに,これら5症例を含む当科でのPMR治療例10例について検討した。その結果,有効症例は6症例であった。そのうち,1例はステロイド剤の投与を拒否した症例であったが,他の5症例は筋痛症状や炎症反応の出現により,ステロイド剤の減量が困難な症例であった。また,1例を除いて,CRPは3.0 mg/dl以下であった。一方,無効症例では高度の炎症反応を示しており,ステロイド剤の投与が必要であった。有効症例には駆瘀血剤(疎経活血湯,桃核承気湯,桂枝茯苓丸,腸癰湯加芍薬,薏苡附子敗醤散,当帰芍薬散)が投与されていた。以上より,PMRでステロイド剤の減量が困難な症例や炎症反応が軽度である症例には,漢方薬は治療の選択肢の一つとなりうると考えられた。さらに駆瘀血剤の積極的な使用がPMRの治療に有用である可能性が示唆された。
著者
佐藤 一樹 橋本 孝太郎 内海 純子 出水 明 藤本 肇 森井 正智 長沢 譲 宮下 光令 鈴木 雅夫
出版者
日本緩和医療学会
雑誌
Palliative Care Research (ISSN:18805302)
巻号頁・発行日
vol.10, no.2, pp.116-123, 2015 (Released:2015-04-17)
参考文献数
16
被引用文献数
3

【目的】在宅緩和ケアを受けた終末期がん患者の在宅診療中止の関連要因を明らかにする.【方法】年間看取り数20名以上の在宅療養支援診療所6施設から在宅緩和ケアを受けた終末期がん患者352名の診療録調査を行い,自宅死亡/在宅診療中止の関連要因を分析した.【結果】自宅死亡が289名(82%),在宅診療中止が63名(18%)であった.多変量解析の結果,患者や家族の看取り場所の希望が自宅以外(オッズ比〈OR〉=10[95%信頼区間2.5~41],52[12~227]),不明・明確な希望なし(OR=5.0[1.3~19],11[2.3~51]),家族に不安・抑うつがある(OR=4.1[1.2~14]),主介護者の介護頻度が少ない(OR=6.8[2.0~23]),在宅診療中の入院歴あり(OR=12[4.0~34])が,在宅診療中止に関連した.【結論】在宅緩和ケアを受けた終末期がん患者の在宅診療中止の関連要因が明らかとなった.
著者
藤本 亘
出版者
医学書院
雑誌
臨床皮膚科 (ISSN:00214973)
巻号頁・発行日
vol.66, no.5, pp.92-96, 2012-04-10

要約 酒皶は顔面にほてり,潮紅を繰り返すことを特徴とする慢性疾患であり,患者のQOL低下に対し皮膚科医が責任をもって治療すべき疾患である.コクランシステマティックレビューで酒皶に有効と判定されているのはメトニダゾール外用,アゼライン酸外用,および低容量ドキシサイクリン(40mg)内服である.本邦では酒皶の治療に有効な外用薬が保険適用薬として処方できないため,酒皶に対し適切な治療が行いにくい状況にある.酒皶様皮膚炎の発症を減らすためには,皮膚科医が酒皶に対しエビデンスに基づいた治療を行えるようにこの状況を変えることが急務である.
著者
藤本 徹
出版者
社団法人情報科学技術協会
雑誌
情報の科学と技術 (ISSN:09133801)
巻号頁・発行日
vol.62, no.12, pp.502-507, 2012-12-01

本稿では,「サービスとしてのゲーム」を一つの切り口として,ゲームの要素や枠組み,そしてその社会的利用における考え方を論した。ゲームの社会的利用に関連する概念を検討し,「サービスとしてのゲーム」の観点から,ゲーム産業におけるゲームのサービス化や情報サービス産業におけるサービスのゲーム化といった異なる角度から考察した。その上で,情報サービスにおいてゲームの要素を取り入れるアプローチを3つのレベルに整理して,それぞれの特徴について図書館におけるサービス開発の文脈で例示しながら,今後このような取り組みに向かう際に考慮すべき課題を検討した。