著者
白石 建雄 新井 房夫 藤本 幸雄
出版者
Japan Association for Quaternary Research
雑誌
第四紀研究 (ISSN:04182642)
巻号頁・発行日
vol.31, no.1, pp.21-27, 1992-02-29 (Released:2009-08-21)
参考文献数
17
被引用文献数
9 10

秋田県男鹿半島の上部更新統潟西層から阿蘇4火砕流 (Aso-4pfl) および三瓶木次軽石 (SK) 由来の漂流軽石と阿蘇4火山灰 (Aso-4) が発見された. SK漂流軽石は模式地の潟西層最上部付近に含まれ, Aso-4pfl由来の漂流軽石はAso-4直上に存在する. このことにより, 潟西層は関東地方の下末吉層より新しく, ほぼ小原台期に対比されること, ならびにSKおよびAso-4が堆積した7~9万年前には日本海を北上する海流があったことが明らかになった. また, 男鹿半島で下末吉層相当層と下末吉段丘に対比される段丘を確定することがこれからの課題となった.
著者
鈴木 公啓 菅原 健介 西池 紀子 小松原 圭司 西口 天志 藤本 真穂
出版者
一般社団法人 日本繊維製品消費科学会
雑誌
繊維製品消費科学 (ISSN:00372072)
巻号頁・発行日
vol.55, no.9, pp.677-686, 2014-09-20 (Released:2017-11-28)
参考文献数
11

本論文では,男性における下着の着用や購入の関心の実態,および,下着へのこだわりの背景にある心理機序について明らかにすることを目的とした.その際,心理的機能がどのような場面,目的で期待されているのか,心理的機能は下着の何が作り出しているのか,心理的機能を期待する背景にどのような要因が関与しているのか,それらをまとめた下着のこだわりの心理モデルを構築し検討した.結果,男性において,下着にも心理的な機能があり,その機能への期待が,下着へのこだわりに結びついているということが明らかになった.中でも,気合いの効果が極めて重要であり,様々な場面でのベースとなっていることが確認された.幅広い年代の男性が,日常生活において直面する様々な場面において,課題を達成するための心理的資源を得るために,お気に入りの下着を着用していることが示された.ただし,そのプロセスについては,女性ほど分化していないことも併せて示された.
著者
二見 晋平 藤本 貴之
雑誌
研究報告情報システムと社会環境(IS)
巻号頁・発行日
vol.2010-IS-111, no.18, pp.1-7, 2010-03-10

近年,競技性を持ったコンピュータゲームが 「e-sports」 と呼ばれ,注目を集めている.特に欧米を中心に e-sports を新しいスポーツの一つとしてみるような動きも始まっており,商業的な成功を収めつつある.しかしながら,日本ではコンピュータゲームである 「e-sports」 は,未だまだ 「遊戯」 の域を出るものとは考えられておらず,その認知度も低い.また,コンピュータゲームそのものが 「内向的な遊び」 と捉えられているため,その競技性も認められていない.本論文では,e-Sports が持つ競技性について議論し,それが身体性を拡張に及びす影響について言及をする.そしてそのトレーニングを支援するための e-Sports Learning System を提案する.
著者
藤田 大誠 青井 哲人 畔上 直樹 遠藤 潤 菅 浩二 森 悟朗 藤本 頼生 佐藤 一伯 岸川 雅範 今泉 宜子 福島 幸宏 齊藤 智朗 昆野 伸幸 柏木 亨介 北浦 康孝 河村 忠伸 吉原 大志 吉岡 拓
出版者
國學院大學
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2010

本研究では、「公共空間」や「公共性」をキータームとして、神道史と都市史・都市計画史、地域社会史の分野などを接続することで、具体的な史料に基づく新たな「国家神道」研究を試みた。神社境内やその隣接空間を「公共空間」として捉え、新旧〈帝都〉である東京と京都との比較の観点を導入することによって、寺院とは異なる神社独自の「公共性」の歴史や、神社の造営と環境整備に係わる人的系譜やその相関関係について解明した。
著者
渡辺 実 野田 伸司 山田 不二造 藤本 進
出版者
一般社団法人 日本感染症学会
雑誌
感染症学雑誌 (ISSN:03875911)
巻号頁・発行日
vol.55, no.5, pp.367-372, 1981-05-20 (Released:2011-09-07)
参考文献数
9
被引用文献数
1

生体試料中のウイルスに対するエタノールの不活化作用について研究を行つた.エタノールの反応に十分な水分が含まれている限り, 液相および固相, いずれの生体試料中においても, エタノールのウイルス不活化作用は, エタノールの濃度に比例して上昇する. 血清原液およびPBS中のポリオウイルスは, いずれも90%エタノールによつて10秒で不活化を受けるが, 70%エタノールによつては, 前者は1分, 後者は10分, 即ち10倍の感作時間を必要とし, 血清による阻害効果が著明であつた: また凝固家兎血液およびHeLa細胞に感染したポリオウイルスは, いずれも90~99.5%エタノールにより速やかに感染価の低下が示されるが, 80%以下の濃度では不活化の進行は緩やかであつた.これに対し乾燥血清中のウイルスには, 高濃度のエタノールによる不活化効果は低く, 99.5%エタノールには殆どウイルス不活化作用は認められなかつた. しかしこの条件下においても70-80%エタノールのウイルス不活化効果は最強ではなく, 乾燥血清中のNDVおよびワクチニアウイルスは40~60%エタノールによつて最も高い不活化効果が示された.最も効果的な消毒が要求される場合には, 被消毒物件の水分およびウイルスの種類に応じたエタノール濃度の選択が必要と思われる.
著者
藤本 博生
出版者
史学研究会 (京都大学文学部内)
雑誌
史林 (ISSN:03869369)
巻号頁・発行日
vol.59, no.6, pp.p902-929, 1976-11

個人情報保護のため削除部分ありパリ講和会議を控えて、日本と中国の進歩的知識人は、ウィルソン主義と自らの民主主義的運動とをオーバーラップさせ、これを賛美した。だが、日本の外務省は、中国に対する帝国主義的野心を満たすため、一方で外交部に対する圧迫を続けるとともに、他方で人種差別撤廃に名を借りて欧米先進帝国主義列強を牽制した。民本主義者は、このような「人種案」を批判したけれども、国家主義者やブルジョア新聞は、それぞれの立場からこれを「支持」した。国際聯盟規約から人種差別撤廃条項が除外された時、日本の世論における国際協調的傾向は影をひそめ、東亜モンロー主義が高らかに唱えられた。中国では、ウィルソン主義への期待から一時は楽観的な雰囲気が人々の心を覆っていたけれど、「五大国」のひとつである日本の相変らぬ外交姿勢、とくに小幡公使の恫喝に、戦後世界もまた権力政治の支配する場であることが認識された。この認識を通じて、中国の進歩的知識人は共産主義へより一層接近した。こうして日本と中国は、その歩む道を決定的に異にすることとなったのである。
著者
中村 達也 北 洋輔 藤本 淳平 甲斐 智子 稲田 穣 鮎澤 浩一 小沢 浩
出版者
一般社団法人 日本摂食嚥下リハビリテーション学会
雑誌
日本摂食嚥下リハビリテーション学会雑誌 (ISSN:13438441)
巻号頁・発行日
vol.22, no.3, pp.205-213, 2018-12-31 (Released:2019-04-30)
参考文献数
32

【目的】本研究では,重症心身障害児者の咽頭期嚥下の特徴を,嚥下時舌骨運動を健常成人と比較することで明らかにすることを目的とした.【対象と方法】健常成人24名(健常群)と重症心身障害児者24名(障害群)について,嚥下造影検査(VF)を用いてペースト食品3~5 mLの嚥下を撮影し,30フレーム /秒で動画記録した.第二および第四頸椎を基準線とした座標面を設定し,VF動画をフレームごとに解析することで,舌骨の挙上開始時から最大挙上時までの前方・上方・総移動距離,移動軌跡,下顎 ―舌骨間距離を測定した.さらに,舌骨移動時間を各対象者について共通の時間単位に線形変換後,舌骨運動を挙上相と前進相の段階に分けた.そして,健常群の平均値95%信頼区間下限値を基準値とし,挙上相で基準値を下回った者を挙上相後退群,前進相で下回った者を前進相停滞群と群分けし,評価結果を一元配置分散分析で群間比較した.【結果および考察】挙上相後退群は12名,前進相停滞群は7名であった.分散分析および多重比較の結果,舌骨の前方移動距離は,健常群が挙上相後退群(p<0.01)および前進相停滞群(p<0.01)に比較して有意に大きかった.舌骨の上方移動距離は,挙上相後退群が健常群に比較して有意に大きかった(p<0.01).下顎 ―舌骨間距離は,挙上相後退群が健常群(p<0.01),前進相停滞群(p<0.05)に比較して有意に大きかった.この要因として,挙上相後退群は腹側舌骨上筋群の筋の延長による筋出力低下,前進相停滞群は舌骨下筋群の伸張性低下または低緊張による筋出力低下が考えられた.【結論】重症心身障害児者には,舌骨が主に上方に移動すべき時期に後方に牽引される群と,主に前方に移動すべき時期に移動距離が不足する群が存在した.
著者
藤本 浩之輔
雑誌
人文研究 (ISSN:04913329)
巻号頁・発行日
vol.20, no.4, pp.315-330, 1968
著者
竹内 比呂也 川本 一彦 白川 優治 國本 千裕 岡本 一志 姉川 雄大 藤本 茂雄
出版者
千葉大学
雑誌
挑戦的萌芽研究
巻号頁・発行日
2012-04-01

大学図書館による学習コンテンツの提供,ラーニングコモンズおよび学習支援サービスの有機的結合によって形成される新しい学習環境が学生の学習行動,情報探索行動にどのように影響を与えるかを明らかにし今後の学習環境整備の方向性を示すことを目的として,千葉大学アカデミック・リンクを対象に学際的なアプローチの下,定量的,定性的調査分析を実施した。その結果,新しい学習環境が学生の多様なニーズを満たしていること,また,間接的ながら,学習成果に影響を与えていることが示唆された。
著者
前川 喜久雄 斎藤 純男 藤本 雅子 竹本 浩典 北村 達也 菊池 英明 籠宮 隆之
出版者
大学共同利用機関法人人間文化研究機構国立国語研究所
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2017-04-01

東京方言16名分、近畿方言5名分、モンゴル語3名の調音運動を記録したリアルタイムMRI動画を1名あたり約1時間収集した。データのブラウジング環境を構築し、音声器官(舌、唇、口蓋、咽頭壁など)の輪郭を自動抽出する技術を開発した。このデータを利用して、①モンゴル語母音調和に関する舌根位置の関与を示した論文、②日本語発話末に生じる撥音の調音位置が直前母音によって決まっていることを示した論文、③日本語ワ行子音の調音が定説となっている二重調音ではなく、主に両唇の接近によって行われていることを示した論文を発表した。さらに日本語のラ行子音に関する分析も発表した。
著者
藤本 泰文 久保田 龍二 進東 健太郎 高橋 清孝
出版者
応用生態工学会
雑誌
応用生態工学 (ISSN:13443755)
巻号頁・発行日
vol.15, no.2, pp.213-219, 2012 (Released:2013-04-24)
参考文献数
27
被引用文献数
7 3

オオクチバスとブルーギルは,日本各地に移殖された外来魚で,ため池はその主要な生息場所となっている.本研究では,オオクチバスおよびブルーギルのため池からの用排水路を通じた移出状況を調査した.私たちは宮城県北部に位置する照越ため池の用水路と排水路に,ため池から流出した魚類を捕獲するトラップを設置した.4 月下旬から 7 月下旬の調査期間中,これらの外来魚は用水路と排水路の両方から何回も流出しており,その流出のタイミングは,それぞれの水路の通水期間に限られていた.体長 125 mm の成魚のブルーギルも流出していた.ため池の魚類生息数を池干しによって調査した結果,ため池に生息する外来魚のうち,オオクチバスは 4. 0%,ブルーギルは 7. 1%が流出していたことが示された.外来魚の流出は繰り返し生じ,生息個体数の数%が流出していたことから,外来魚の流出は稀な現象ではなく一般的な現象である可能性が高い.この結果は,ため池が下流域への外来魚供給源となっていることを示す.周辺地域への被害拡大を防ぐためにも,ため池の外来魚の駆除は重要だと言える.
著者
段 智久 大石 直己 千田 二郎 藤本 元
出版者
一般社団法人 日本機械学会
雑誌
日本機械学会論文集 B編 (ISSN:03875016)
巻号頁・発行日
vol.60, no.577, pp.3192-3197, 1994-09-25 (Released:2008-03-28)
参考文献数
4
被引用文献数
1 6

In the experiments presented, a single diesel spray of n-tridecane was injected for a certain duration through a hole-type nozzle into a quiescent atmosphere at room temperature at high pressure. The experimental variables were nozzle hole dimensions such as the hole diameter dn, the hole length ln and the hole offset between the nozzle axis and the hole axis, and the nozzle needle lift, in order to assess the turbulent flow field inside the nozzle, and the other was the back pressure, in order to examine the effect of the ambient gas properties, especially its kinematic viscosity. The macroscopic spray structures were observed by using instantaneous photography and a high-speed video camera system. Furthermore, the microscopic structure was observed by meant of scattering photography of fuel droplets taken by the laser light sheet of a pulsed ruby laser, and the quantitative 2-D image of fuel concentration in the cross section of the spray containing its central axis was obtained by the image processing. From the experiments, the variation in the spray cone angle with the needle lift is promoted by the turbulence in the sac volume, and spray angle is closely related to the ambient kinematic vincosity.