著者
長島 善次 内山 正昭 西岡 茂美
出版者
公益社団法人 日本農芸化学会
雑誌
日本農芸化学会誌 (ISSN:00021407)
巻号頁・発行日
vol.33, no.8, pp.723-727, 1959 (Released:2008-11-21)
参考文献数
10
被引用文献数
1

(1)粉わさびの貯蔵温度,水分含量,貯蔵期間と変質との相互の関係について検討した. (2)貯蔵中の変質の原因に二つ考えられる.一つは辛味の母体である辛子油配糖体の減少であり,一つは之に作用する酵素ミロシナーゼの不活性化である.変質は主として後者によることを明かにした. (3)一旦変質して,加水しても辛味を生じなくなった粉わさびでも,之をアスコルビン酸稀水溶液でといてやると著しく辛味を生ずることを見出した. (4)ミロシナーゼはPCMBの如き-SH基阻害剤で阻害され,この阻害はシステイン等で回復する事などを見出し,ミロシナーゼが一種のSH酵素であることを知った. (5)以上(3), (4)の結果より,変質の主原因であるミロシナーゼ不活性化の機構について考察した. (6)粉わさび貯蔵中の変質防止にアスコルビン酸,或いは之とクエン酸の併用等が著しい効果のあることを認めた. (7)粉わさびと黒からし粉との安定性を比べた.
著者
俵谷 好一 藤田 善正 西岡 毅 弘田 陽介
雑誌
大阪総合保育大学紀要 = Journal of Osaka University of Comprehensive Children Education (ISSN:18816916)
巻号頁・発行日
no.12, pp.1-18, 2018-03-20

2017 年に告示された学習指導要領によって、各学校の特色を生かしたカリキュラム・マネジメントが導入された。そして、学校教育の改善・充実および評価のサイクルの実質化が各学校に求められるようになった。本稿では、この新しい流れを受けて、具体的な単元計画を提出し、体育と道徳の合科的な学習による身体と心をつなぐ二事例を提案したい。一つ目の事例である集団でのボールゲームでは、チームワークや他者への配慮を学ぶような道徳教材を組み入れて、個々の児童の立場や個性に応じた思考と技術が学べる単元計画を私たちは考えた。また二つ目には、私たちは個人の体操技術の向上のために、他の児童との対話が必要になるような設定と読み物を用意する。実技を行う児童と運動観察者の児童は、それぞれの運動についての工夫を考えるが、その際にどのように伝えるかというコミュニケーションの問題も含まれている。この二つの事例を通して、私たちは教科としての体育と道徳をつなぎ、その二つの教科の特性から複眼的に考え、対話するような授業実践(対話的実践)を構想する。このように、今日のカリキュラム・マネジメントの議論の文脈から、この事例を捉えなおし、より深い子どもたちの学びを促進するような提案をし、対話による心身のつながる実践を生み出していくことを本稿の目的としたい。
著者
平田 孝治 岡嶋 一郎 福元 裕二 辻 裕一 和田 佳奈美 松田 佐智子 モハメッド ノル・ アンワー 尾道 香奈恵 津上 佳奈美 春原 淑雄 赤坂 久子 高元 宗一郎 溝田 今日子 小川 智子 立川 かおり 占部 尊士 西田 明史 川邊 浩史 吉村 浩美 馬場 由美子 武富 和美 田中 知恵 西岡 征子 野口 美乃里 牛丸 和人 米倉 慶子 桑原 雅臣
出版者
西九州大学短期大学部
雑誌
永原学園西九州大学短期大学部紀要 = Journal of Nisikyusyu university junior college (ISSN:24347833)
巻号頁・発行日
vol.49, pp.15-28, 2019-03-18

In the learning outcomes, the relationship between objective and subjective measures is an issue of educational measurement. In this paper, we clarified the correlation derived from the semester-linkage of academic achievements and self-evaluations based on the competency model in NUJC. In the principal component analysis, it was suggested that the self-evaluations include roughly two directions of general ability and professional ability, and that the academic achievements depend on the curriculum and the methods of learning and evaluation, basically. The interpenetration of academic achievements and self-evaluations depend on intermediate factors that rule their linkage. The factors are supposed to be formed by two components: the faculties’ factors such as curriculum, methods of learning and evaluation including cognitive learning and the environment of “learning- background” (e.g., Hidden curriculum and Student support); the student's factors such as acquired abilities including motivation, personality and self-consciousness.
著者
山口 栄一 西岡 孝
出版者
プラズマ・核融合学会
雑誌
プラズマ・核融合学会誌 (ISSN:09187928)
巻号頁・発行日
vol.69, no.7, pp.p743-751, 1993-07

Elementary processes of nuclear fusion reaction in solids have been studied by providing the sample in a vacuum system. The key factor of this study is heterostructures fabricated by depositing thin film oxides and Au on one and the other surface of deuteron-loaded palladium (Pd-D) plate. Using this method, we have detected ^4He production by the real time observation using high-resolution quadrupole mass (Q-mass) spectroscopy. It has been shown that the peak attributable to ^4He mass (4.0026 amu) appeared chaotically when the sample's temperature increased rapidly. The system of H-loaded (Pd-H) heterostructure, on the other hand, produced no peak at 4.0026 amu. We have also confirmed that the peak at 4.0026 amu in the Q-mass spectra is not due to the existence of contaminated ^4He in the air or in the D_2 cylinder used. This result indicates that a new class of nuclear fusion occurs in condensed matter.
著者
山口 栄一 西岡 孝
出版者
公益社団法人 応用物理学会
雑誌
応用物理 (ISSN:03698009)
巻号頁・発行日
vol.62, no.7, pp.712-714, 1993-07-10 (Released:2009-02-05)
参考文献数
8

重水素化パラジウム(Pd-D)の一表面にAuを蒸着し,もう片面に酸化膜MnO2を蒸着した試料を真空中に置いて,通電加熱することにより,4Heの生成をリアルタイムで観測した.測定は,高分解能(4amuにおいて0.001amu)四重極質量分析装置を用いて行った.4Heの質量(4.0026amu)に等しいピークは,重水素分子の質量(4.0282amu)に等しいピークと明確に分離し得,その出現は,通電加熱を始めて数時間後に突然起きる試料温度の急激な上昇と時間的な相関を有していた.一方,軽水素化パラジウム(Pd-H)を用いた同様の実験では,4Heの質量に等しいピークの出現は観測されなかった.以上の実験結果は,固体中で新しいメ力ニズムによる核反応が生じていることを示唆する.
著者
山内 昌和 江崎 雄治 西岡 八郎 小池 司朗 菅 桂太
出版者
公益社団法人 日本地理学会
雑誌
日本地理学会発表要旨集
巻号頁・発行日
vol.2009, pp.109, 2009

<B>課題</B> 沖縄県の出生率は、少なくとも沖縄県が日本に復帰して以降、都道府県別にみればもっとも高い値を示す。2007年のTFRは全国の1.37に対し、沖縄県は1.78であった。<BR> 沖縄県の高い出生率の背景に夫婦の出生力の高さがあることは知られているが(例えば西岡・山内2005)、さらに踏み込んだ検討はほとんどなされていない。こうした中で、Nishioka(1994)は、1979年に沖縄県南部地域で行われた調査データをもとに、沖縄県の夫婦の出生力が高いのは家系継承者として父系の長男に固執するという家族形成規範があることを実証した。同研究は沖縄県にみられる出生行動とその要因を指摘した重要な研究といえる。しかし、近年の沖縄県の出生率が低下傾向にあることを踏まえるならば、現代の沖縄県の出生率の高さを沖縄県特有の家族形成規範で説明できるのかどうか慎重であるべきだろう。他方、Nishioka(1994)は言及していないが、沖縄県の高出生率は人口妊娠中絶率の低さとも関わっている。このため、妊娠が結婚・出産に結びつきやすいことも沖縄県の高出生率の一因となっている可能性がある。<BR> 以上を踏まえ、本研究ではNishioka(1994)で利用された調査データの対象地域を含む地域で改めて調査を実施し、近年の沖縄県における出生率の高さの要因について検討する。<BR><B>方法</B> 出生行動を把握するための独自のアンケート調査を実施し、その結果を分析する。アンケート調査は調査員の配布・回収による自計式とし、20~69歳の結婚経験のある女性を対象として2008年10月下旬から11月中旬にかけて実施した。対象地域は沖縄県南部のA町の複数の字であり、全ての世帯(調査時点で1,838)を対象とした。<BR><B>結果</B> 調査票は20~69歳の結婚経験のある女性1,127人<SUP>1)</SUP>に配布し、有効回収数は946(83.9%)であった。<BR> 分析対象とした調査票は、有効票のうち、Nishioka(1994)や全国の出生行動についての調査結果(国立社会保障・人口問題研究所2007)との比較可能性を考慮し、夫婦とも初婚であり、調査時点で有配偶であること、子どもの数とその性別構成が明らかであること、さらに複産・乳児死亡を含まないという条件を満たす706である。分析の結果、以下の点が明らかになった。<BR>(1)45~49歳時点の平均出生児数は2.9人で全国の2.3人(国立社会保障・人口問題研究所2007)よりも多かったが、1979年の4.7人(Nishioka1994)よりも減少した。<BR>(2)かつてみられた強固な男児選好は弱まっていたが、夫ないし妻が位牌を継承した(或いは予定のある)ケースでは男児選好が強く、多産の傾向がみられた。このため、沖縄県特有の家族形成規範と出生行動との関連は弱まっているものの、依然として一定の影響を与えていることがわかった。<BR>(3)第1子のうち婚前妊娠で生まれた割合が全体で4割を超え、明瞭な世代間の差もみられなかった。このため、妊娠が結婚・出産に結びつきやすい傾向は少なくとも数十年間は継続していると考えられる。<BR> 以上から、沖縄県の高出生率をもたらしている夫婦の出生力の高さの要因として、沖縄県特有の家族形成規範と妊娠が結婚・出産と結びついていることの2点を挙げることができる。ただし、沖縄県特有の家族形成規範と出生行動との結びつきは弱まっており、今後は沖縄県の出生率がさらに低下する可能性もあろう。<BR> なお、本研究の実施に当たって科学研究費補助金(基盤研究B)「地域別の将来人口推計の精度向上に関する研究(課題番号20300296)」(研究代表者 江崎雄治)を利用した。<BR><BR>1) 対象地域の1,838世帯の全てに調査を依頼し、協力を得られた1,615世帯(87.9%)に対して聞き取りを行い、対象者を特定した。<BR>
著者
西岡 里奈 阿部 睦子 金子 京子 倉持 清美 妹尾 理子 望月 一枝
出版者
日本家庭科教育学会
雑誌
日本家庭科教育学会大会・例会・セミナー研究発表要旨集
巻号頁・発行日
vol.61, 2018

<背景と目的><br> 学習指導要領の改訂により、平成29年3月に告示された小学校学習指導要領から、小学校家庭科でも「A 家族・家庭生活(3)家族や地域の人々との関わり」の中で幼児又は低学年の児童との関わりができるよう配慮することが求められている。中学校や高等学校では、幼児や小学校低学年児との関わりは行われている。しかし、小学校では特別活動などで異学年との交流は行われているものの、家庭科の授業では少ない。そこで、本研究では六年生と一年生でスイートポテトを作る交流調理実習を行うことで、新たに小学校低学年児との関わりを取り入れた授業を開発し、小学校家庭科で異なる世代の人々との関わりを学ぶことの効果を検討する。<br><br><br><br><方法><br><br>①対象: 東京都内国立小学校六年生全3クラスのうち、1クラス34名を対象とした。このクラスについて全7時間(一年生との交流は2時間)の授業を開発した。<br><br>②ナラティブ分析:交流調理実習後に六年生が交流を思い出してナラティブを作成した。書かせる際には「文章で書くこと。時間の流れに合わせて、始めから終わりまで書くこと。そのとき自分が思ったことや、相手の様子・思っていることを書くこと。」とした。 <br><br> 一クラス分のナラティブを6人で読みあい、児童によるナラティブの特徴と、授業の効果をカテゴリーのまとまりとして確認した。カテゴリーは、中学校で小学校低学年児と交流を行った論文(倉持ら,2009)を用い、他のカテゴリーが抽出できる場合は、その点について話し合った。<br><br><br><br><開発した授業><br><br> 六年生と一年生の交流を取り入れた学習として、以下のような授業を開発した。<br><br>第一次:一年生の特徴を考えると同時に、自分の成長を実感できる授業を設定した。一年生との縦割り班(特別活動の異学年交流)やお世話での経験をふまえて、自分たちと一年生の違いを考えると同時に、自分が一年生だった頃の写真を見て自分の成長を実感する場を設けた。<br><br>第二次:六年生だけで試し調理としてスイートポテト作りを行った。自分たちで試し調理を行うことで、一年生と一緒に行うときに気をつけることやどのように関わっていったらよいかを実際に調理を通して考えられるようにした。(2時間)<br><br>第三次:試し調理をふまえて、一年生を楽しませるために交流調理実習を行うときのポイントや関わり方を考える場を設定した。<br><br>第四次:一年生と一緒にスイートポテト作りを行った。(2時間)<br><br>第五次:ナラティブを記入し、一年生と交流調理実習をして、一年生の様子で気付いた点等や自分の関わり方についてまとめを行った。<br><br><br><br><授業の効果><br><br> 中学生のカテゴリーに当てはめて、六年生の記述を分類した結果、「問題解決」に関わる内容として、「接し方」「調理安全」「前次の学び」に細分化することができた。「接し方」とは、一年生との関わり方に言及したもので「待ち時間にあきてしまわないように、たくさん話しかけるようにした」などで、「調理安全」とは調理の際の安全に関わるもので、「前時の学び」とは「前回の授業で、一年生に楽しんでもらうために、調理器具の名前クイズをするとあったので、実際にやってみました」など既習事項を活用したものである。このことから、六年生が一年生との交流を通して様々な問題に直面したが、一年生に楽しんでもらうために自分達で課題に対して向き合い、解決していったことが分かった。
著者
小鷲 宏昭 西岡 大輔 山口 咲子 安達 恵利香 松岡 久美子 林 孝雄
出版者
公益社団法人 日本視能訓練士協会
雑誌
日本視能訓練士協会誌 (ISSN:03875172)
巻号頁・発行日
vol.46, pp.231-237, 2017

<p><b>【目的】</b>色覚検査において正常と診断されても色弁別能が弱いものは、Low normal color visionと呼ばれる。今回我々は、色覚検査では正常色覚と診断できるが、アノマロスコープにて混色等色域の拡大がみられる、Low normal color visionと考えられた父娘例を経験したので報告する。</p><p><b>【症例】</b>17歳、女子。母親に色覚異常を指摘され来院した。今まで色覚検査を受けたことはなく、私生活においても不便さを感じていなかった。石原色覚検査表Ⅱで誤読3表、Panel D-15はminor errorsであった。アノマロスコープでは正常Rayleighにて混色30-40へ等色範囲の広がりがみられたが、1型・2型Rayleighでは等色は起こらなかった。日常生活では赤と茶、青と緑を誤認することがあった。後日、両親に色覚検査を施行し、母親は全検査において正常であった。父親は石原色覚検査表Ⅱにて誤読1表、Panel D-15はno errors、アノマロスコープにて混色35-40へ等色範囲の軽度な広がりがみられたが、色誤認の経験はなかった。</p><p><b>【結論】</b>父娘ともアノマロスコープにて等色域の拡大がみられたことから、Low normal color vision と考えられた。石原色覚検査表やPanel D-15においておおむね正常と判定されても、僅かな誤りがある場合はアノマロスコープで精査することが重要である。</p>
著者
涌井 徹也 米杉 政則 西岡 拓哉
出版者
大阪府立大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2015-04-01

風力発電の普及促進を図るために二重反転型垂直軸タービンを用いた浮体式洋上風力発電システムの開発を念頭に置いた空力-弾性-制御連成解析モデルの開発を行った.開発の第1段階として直線翼垂直軸型風力タービンを用いた陸上設置式システムの乱流変動風況下での連成挙動の解明を行った.これより,二重反転垂直軸型タービンを設計する際の有益な知見を得ることを目的とした.数値解析を通して,高風速下では回転周波数の翼枚数倍の変動がタービントルクに大きく現れ,弾性振動や荷重変動に大きな影響を及ぼすことを明らかにした.
著者
道券 一浩 桧垣 恵 東海林 洋子 嶋田 甚五郎 西岡 久寿樹 水島 裕
出版者
日本DDS学会
雑誌
Drug Delivery System (ISSN:09135006)
巻号頁・発行日
vol.8, no.4, pp.257-261, 1993-07-10 (Released:2009-02-23)
参考文献数
14
被引用文献数
1 1

Antisense oligonucleotide hold great promise as potential therapeutic agents for inhibiting the expression of undesirable genes specifically. Whereas, interleukin-1β(IL-1β) play a key role in the inflammation and the developing of rheumatoid arthritis(RA). To block the IL-1β production by antisense DNA method, we synthesized antisense oligonucleot ides (20mers)with ph osphoroth ioate linkages targeting the human IL-1β mRNA. These antisense oligonucleotides were tested for inhibition of IL-1β production in LPS-stimulated human peripheral blood mononuclear cells from healthy volunteer and primary synobiocytes from patients with RA. These cells were cultured with each oligonucleotide and total IL-1β contents were measured by using ELISA system. Antisense oligonucleotides inhibited the production of IL-1β in both cells in a dose-dependent manner.
著者
井城 泰一 田村 明 西岡 直樹 阿部 正信
出版者
The Japan Wood Research Society
雑誌
木材学会誌 (ISSN:00214795)
巻号頁・発行日
vol.52, no.6, pp.344-351, 2006-11-25
被引用文献数
6 9

トドマツ精英樹や育種母材を用いて樹高方向の丸太の動的ヤング率の変動を調べ,樹幹全体の平均値を推定するのに最適な地上高部位を検討した。また,立木の応力波伝播速度と丸太の動的ヤング率の関係を調べ,トドマツにおける応力波伝播速度測定法の有用性を検討した。丸太の動的ヤング率の樹高方向の変動は,各クローンにおける個体間では,ほぼ同様の変動傾向を示した。また地際から地上高 3 mまでの部位において樹幹全体を代表する値として用いることが可能であり,胸高部位を含むこの地上高部位においてクローン間の遺伝的な違いを比較できると考えられた。立木の応力波伝播速度と丸太の動的ヤング率には,個体値,クローン平均値とも有意な正の相関関係が認められた。特にクローンにおいて相関関係が高かった。これより,胸高部位付近でトドマツの立木の応力波伝播速度を測定することにより,非破壊的に動的ヤング率の推定が可能であり,クローン評価に有効な材質指標になることが示唆された。
著者
高橋 裕平 宮崎 一博 西岡 芳晴
出版者
一般社団法人 日本地質学会
雑誌
地質学雑誌 (ISSN:00167630)
巻号頁・発行日
vol.117, no.Supplement, pp.S21-S31, 2011-09-01 (Released:2013-02-20)
参考文献数
20
被引用文献数
4

筑波山及びその周辺地域の山塊には深成岩類と変成岩類が分布している.深成岩類からは古第三紀初期の放射年代が得られ,また,その岩石学的性質や関連鉱床との関係から西南日本内帯の領家帯及び山陽帯の深成岩類の延長と考えられている.変成岩類は,その原岩がジュラ紀末-前期白亜紀堆積物と考えられ,白亜紀末から古第三紀初期に高温低圧型の変成作用を受けたものである.筑波山塊北の花崗岩類は良質な石材として国会議事堂をはじめ日本の多くの建物で利用されている.
著者
三浦 健人 北舘 健太郎 西岡 浩
出版者
日本補完代替医療学会
雑誌
日本補完代替医療学会誌 (ISSN:13487922)
巻号頁・発行日
vol.6, no.1, pp.1-7, 2009 (Released:2009-03-12)
参考文献数
28
被引用文献数
1 1

AHCC は Active Hexose Correlated Compound の頭文字をとってつけられた名称で,シイタケ (Lentinula edodes) 属に属する担子菌の菌糸体を大型タンクで液体培養したものから抽出される物質である.現在ではがん患者による利用頻度の高い健康食品として医療現場でも用いられている他,最近の研究で感染症や炎症性疾患にも有効であることが明らかとなってきている.各種安全性試験によって食品としての安全性が確認されている他,薬物との相互作用についても基礎の研究がなされている.健常人を対象とした第一相安全性試験も実施されており,臨床現場で使用される食品として安全であると結論されている. 本報では AHCC の抗癌剤の副作用軽減効果,免疫調節作用,感染防御作用,抗炎症作用など最近の研究成果について概説する.
著者
西岡 千文
出版者
日本伝統鍼灸学会
雑誌
伝統鍼灸 (ISSN:21875588)
巻号頁・発行日
vol.45, no.1, pp.36-42, 2018-07-20

本稿では、2017年12月1日に正式公開された京都大学貴重資料デジタルアーカイブについて紹介する。京都大学では、近年、京都大学オープンアクセス推進事業等により、人文社会学系研究基盤の強化を目指して、資料の電子化・公開に積極的に取り組んでいる。資料の画像データの効果的な発信を目的として、デジタルアーカイブは開発された。デジタルアーカイブは国際的な画像データの相互利用の促進を目的とした枠組みであるIIIF (International Image Interoperability Framework) に準拠している。また、本稿は、デジタルアーカイブで公開されている代表的なコレクションの一つである富士川文庫についても紹介する。富士川文庫は、富士川游博士が『日本醫學史』編纂にあたり収集した約5,000点の古医書のコレクションである。これらの画像データをデジタルアーカイブで公開することで、資料に関する研究が推進されることを願っている。
著者
西岡 智哉 池脇 義弘 秋山 諭 山本 圭吾 田中 咲絵 宮原 一隆 原田 和弘 山下 泰司 濱﨑 正明 長谷川 尋士 本田 恵二
出版者
日本プランクトン学会
雑誌
日本プランクトン学会報 (ISSN:03878961)
巻号頁・発行日
vol.65, no.2, pp.36-43, 2018-08-25 (Released:2018-10-26)
参考文献数
19

A widespread bloom of the harmful raphidophyte Chattonella ovata Y. Hara & Chihara occurred for the first time in the east Seto Inland Sea in the summer of 2016. From July 11 to 17, cell densities in Hiuchi-Nada and Bisan-Seto reached 10 cells mL-1. From July 19 to 24, the highly dense distribution area expanded to Harima-Nada, and cell densities reached their peak (max. 222 cells mL-1) in all areas affected from July 25 to 31. In Harima-Nada, the species decreased rapidly, whereas the level at Hiuchi-Nada and Bisan-Seto was maintained until August. From July 11 to 18, a westerly wind had prevailed in the Takamatsu area facing Bisan-Seto while the wind was weak during other periods. That caused eastward wind-induced passage flow, and expansion of the cell distribution from Bisan-Seto to Harima-Nada. In addition, the sunlight hours were long (average 8.6 h) and the water temperature was high (approximately 25 to 29˚C).Furthermore, salinity remained at around optimum for C. ovata (approximately 28 to 31) in the east Seto Inland Sea while the species bloomed. This indicates that these environmental conditions were suitable for growth of this species, which is adapted to strong irradiance, high water temperature and high salinity. In Bisan-Seto and Hiuchi-Nada, Chattonella marina and Chattonella antiqua appeared at high cell densities in mid-July when the distribution of C. ovata expanded. However, in Harima-Nada, C. marina and C. antiqua maintained low cell densities consistently. In Harima-Nada, DIN (dissolved inorganic nitrogen) and DIP (dissolved inorganic phosphorus) remained at 0.51–1.17 µM and 0.08–0.25 µM, respectively, from July 4 to August 15. The minimum cell quotas of nitrogen for C. ovata are lower than for C. antiqua. We presumed this gave a competitive advantage to C. ovata for growth. In Harima-Nada, cell density of diatoms decreased temporarily in late-July, but the density remained above 100 cells mL-1 after August. However, in Hiuchi-Nada and Bisan-Seto, cell densities of diatoms were kept below 100 cells mL-1 through the observation period. We inferred that a low concentration of nutrients, less westerly wind, and a high density of diatoms were factors that led to the regulation of the low level of C. ovata after August in Harima-Nada. We considered that the low diatom density was one of the causes of the C. ovata bloom being prolonged in Hiuchi-Nada and Bisan-Seto.
著者
鳥海 不二夫 西岡 寛兼 梅岡 利光 石井 健一郎
出版者
一般社団法人 人工知能学会
雑誌
人工知能学会論文誌 (ISSN:13460714)
巻号頁・発行日
vol.27, no.3, pp.143-150, 2012 (Released:2012-03-27)
参考文献数
14
被引用文献数
1 2

The financial markets are fluctuating consistently. Therefore, it is difficult to analyze the financial market based on the same theory, without depending on the state of the market. So we use the concept ofmarket condition change. To estimate the points when the market change occurred in a real market is effective for market analysis. Thus, in this paper, we propose a method to detect the changes in market conditions. In the proposed method, we focuse on the stock board instead of the price data. From the stock board data, we classify short time series data to clusters by using k-means clustering method. Then, we generate Hidden Markov Model(HMM) from the transition probability of each clusters. By using the likelihood of HMM, we analyze the similarities of each time series data. We performed an experiment to evaluate the effectiveness of the method by discriminant analysis of time series data which created from opening session and continuous session. As a result, two time series data are discriminated with high accuracy. Finally, we compared the discriminate performance of proposed method with another discriminant analysis methods. We used three types of time series data of stock board and price data, before the Lehman's fall financial crisis. From the result, the proposed method shows the best performance in discriminating each financial data.