著者
木村 五郎 赤木 博文 岡田 千春 平野 淳 天野 佳美 大村 悦子 中重 歓人 砂田 洋介 藤井 祐介 中村 昇二 宗田 良 高橋 清
出版者
一般社団法人 日本アレルギー学会
雑誌
アレルギー (ISSN:00214884)
巻号頁・発行日
vol.61, no.5, pp.628-641, 2012-05-30 (Released:2017-02-10)
参考文献数
25

【背景・目的】Lactobacillus acidophilus L-55 (L-55株)には,マウスアレルギーモデルに対する症状緩和効果が認められている.そこでL-55株含有ヨーグルト飲用による,スギ花粉症臨床指標への影響について検討した.【方法】スギ花粉症患者にL-55株含有ヨーグルト(L-55ヨーグルト群, n=26)あるいは非含有ヨーグルト(対照ヨーグルト群, n=26)を花粉飛散時期を含む13週間飲用してもらい,症状スコア,症状薬物スコア,IgE抗体について検討した.【結果】L-55ヨーグルト群の総症状スコアと症状薬物スコアは,対照ヨーグルト群より低い傾向が認められた.特に治療薬併用例(n=23)では, L-55ヨーグルト群の花粉飛散後第5週の総症状スコア,第4週の咽喉頭症状スコアおよび第1週の総IgEの変化比が有意に低値であった.【結語】L-55株はスギ花粉症に対する緩和効果を有し,治療薬の併用により効果的に症状を軽減,あるいは使用薬剤を減量することが期待された.
著者
秋定 直樹 石原 久司 藤澤 郁 竹内 彩子 赤木 成子 山口 麻里 妹尾 明美
出版者
一般社団法人 日本耳鼻咽喉科頭頸部外科学会
雑誌
日本耳鼻咽喉科学会会報 (ISSN:00306622)
巻号頁・発行日
vol.122, no.5, pp.770-776, 2019-05-20 (Released:2019-06-12)
参考文献数
16

梅毒は Treponema pallidum によって引き起こされる性感染症である. 口腔咽頭領域の梅毒病変は特徴的であり, 医療者側に知識があれば比較的容易に鑑別できるとされている. しかし, 中には典型的な所見を欠く症例も存在する. 特に, 抗菌薬が既に投与されている場合には診断に至らず無症候梅毒に移行し, 感染拡大の要因となることが懸念されている. 今回われわれは頸部腫瘤を主訴に受診した2例の梅毒を経験した. 2例とも典型的な粘膜病変を欠いていた. 本邦では2013年以降梅毒患者が急増しており, 梅毒は決して過去の疾患ではない. われわれ耳鼻咽喉科医は頸部腫瘤の鑑別に梅毒性リンパ節炎を挙げる必要がある.
著者
福石 信之 吉岡 美乃 赤木 正明
出版者
公益社団法人 日本薬理学会
雑誌
日本薬理学雑誌 (ISSN:00155691)
巻号頁・発行日
vol.125, no.5, pp.259-264, 2005 (Released:2005-07-01)
参考文献数
49
被引用文献数
1

肥満細胞は抗原抗体反応によりヒスタミンや脂質メディエーターのみならず,サイトカインやケモカインなどを放出することで,アレルギー・炎症を形成する主な細胞の一つである.近年,肥満細胞の持つ貪食機能がクローズアップされ,それに伴い自然免疫系の細胞としての一面に脚光が集まりつつある.我々は現在ヒト肥満細胞株を用いて,菌体成分暴露におけるToll-like receptorの発現変化,細菌貪食のメカニズム,菌体成分暴露による他の免疫系細胞との関わりの変化,および抗菌ペプチドの発現と肥満細胞への作用を検討している.これらの知見を通じて,肥満細胞は獲得免疫系がIgEを産生した後,そのIgEを表面に捕捉してアレルギー・炎症を引き起こす細胞であるという概念から,IgEなど獲得免疫系の関与なしに外界からの異物の侵入に対して,直接的に防御·排除を行う結果として炎症を惹起しているという別の姿が見えてきた.
著者
牧 勝弘 赤木 正人 廣田 薫
出版者
一般社団法人日本音響学会
雑誌
日本音響学会誌 (ISSN:03694232)
巻号頁・発行日
vol.60, no.6, pp.304-313, 2004-06-01
参考文献数
17
被引用文献数
1

中脳に位置する下丘中心核(Icc)において観察される複雑かつ多様な時間応答パターンの模擬が可能な計算モデルを提案する。Iccに関する生理学的,解剖学的実験報告に基づき,下位の神経核細胞(蝸牛神経核腹側核,又は外側毛帯核腹側核)からIcc細胞への興奮性入力とそれよりも時間的に遅れた抑制性入力という単純な神経回路により,計算モデルを構成する。モデルを用いたシミュレーションの結果,本計算モデルは,生理学的応答特性に基づいて詳細に分類されたIcc細胞の時間応答パターン,すなわち,chopper,pauser, sustained,onset,on-sustained型,及びそのサブタイプ全10種類を再現できることが分かった。この結果は,Iccにおいて観察される時間応答パターンは複雑かつ多様であっても,それを生じさせる神経回路は単純であるという可能性を示している。
著者
赤木 妙子
出版者
慶應義塾大学
雑誌
史学 (ISSN:03869334)
巻号頁・発行日
vol.60, no.1, pp.127-140, 1991

論文はじめに一 尾張国津嶋と織田信長 (1) 戦国時代の津嶋と織田氏 (2) 織田信長と津嶋牛頭天王二 織田信長の自己神格化と摠見寺 (1) 摠見寺への理解と神格化 (2) 摠見寺と提灯祭 (3) 摠見寺の開山 (4) 摠見寺への参拝方法 (5) 自己神格化の終焉結びにかえて
著者
赤木 祐貴 荒井 碧 下村 斉 山本 康次郎 青山 隆夫
出版者
一般社団法人日本医療薬学会
雑誌
医療薬学 (ISSN:1346342X)
巻号頁・発行日
vol.41, no.6, pp.404-414, 2015-06-10 (Released:2016-06-10)
参考文献数
37
被引用文献数
1 1

Low-dose aspirin inhibits cyclooxygenase-1 (COX-1) on platelets irreversibly, suppressing platelet aggregation.Nonsteroidal anti-inflammatory drugs (NSAIDs) also inhibit COX-1 reversibly by forming a salt bridge. However, there is little information on the antiplatelet effects of the chronic use of NSAIDs (other than aspirin). We performed pharmacokinetics/pharmacodynamics (PK/PD) analysis using in vitro experimental data obtained when NSAIDs were added to human blank blood, and estimated the antiplatelet effects of continuous NSAID administration.Ibuprofen, diclofenac, indomethacin and loxoprofen were studied in a one-compartment model, and etodolac was studied in a two-compartment model. Platelet aggregation was measured after adding NSAIDs to platelet-rich plasma at a range of concentrations containing the maximum plasma concentrations of one clinical dose. We calculated the platelet-aggregation threshold index (PATI) as an index of aggregation activity, which was defined as the putative stimulus concentration giving 50% aggregation, and performed PD analysis according to the sigmoidal Emax model. Simulated time-PATI curves of NSAIDs were compared to that of low-dose aspirin.Simulated values of increase in PATI for the maximum plasma concentration of each NSAID were lower than 3.9 µg/mL, which is the same as that of low-dose aspirin. Increases in PATI around the trough concentration were nearly zero for all NSAIDs except ibuprofen, thus suggesting that the antiplatelet effects of continuous NSAID administration are weaker and less persistent than those of low-dose aspirin. The simulation results indicate that continuous NSAID administration is less effective at preventing thrombosis and embolism than low-dose aspirin, and postoperative NSAID treatment needs to be careful of the occurrence of bleeding.
著者
赤木 完爾 滝田 遼介
出版者
慶應義塾大学法学研究会
雑誌
法学研究 = Journal of law, politics and sociology (ISSN:03890538)
巻号頁・発行日
vol.89, no.9, pp.1-43, 2016-09

論説一 はじめに二 降伏決定の主因をめぐって (一) 《原爆投下》・《ソ連参戦》論争 (二) 国内要因三 「終戦」の諸相をめぐって四 おわりに
著者
赤木 佳寿子
出版者
日本保健医療社会学会
雑誌
保健医療社会学論集 (ISSN:13430203)
巻号頁・発行日
vol.29, no.1, pp.33-39, 2018-07-31 (Released:2019-08-08)
参考文献数
7

かかりつけ薬局・薬剤師や健康サポート薬局など近年は薬剤師の役割についての議論が活発である。特に地域包括ケアシステムの中での薬剤師は従来からの仕事である医薬品の販売や調剤とは異なる在宅業務などの仕事も期待されている。本稿では従来の薬剤師を「正しい薬の供給者」と定義し、それに対して地域包括ケアの中での薬剤師を「患者のQOLの向上を目指す薬物療法に責任を持つ医療者」と再定義した。再定義される薬剤師はその立場を「供給者」から「医療者」に、その業務は対物から対人に、その目的は正しい薬の規格管理から患者のQOLの向上という規格やマニュアルでは決められないものに変化している。
著者
赤木 博文 小坂 道也 福島 邦博 土井 彰 笹木 牧 小川 晃弘 西崎 和則 増田 游 松田 充浩 四方 賢一 槇野 博史 清水 順子 杉山 信義
出版者
日本口腔・咽頭科学会
雑誌
口腔・咽頭科 (ISSN:09175105)
巻号頁・発行日
vol.9, no.2, pp.253-260, 1997-02-28 (Released:2010-06-28)
参考文献数
26
被引用文献数
3

口蓋扁桃摘出術を施行し, 6ヵ月以上経過観察できたIgA腎症47例を対象に, 治療成績と予後予測因子を検討し, 次の結果をえた.1. 扁摘後の最終観察時点での寛解率は, 尿蛋白61.7%, 尿潜血44.7%で, 尿蛋白・尿潜血ともに, 観察期間が長いほど低下傾向にあった.2. 腎病理組織所見の軽症例は, 重症例よりも尿蛋白の寛解率が高かった.3. 扁桃誘発試験陽1生例は, 陰性例よりも尿蛋白の寛解率が低かった.4. IgA腎症の発症年齢, IgA腎症発症から扁摘までの期間, Ccrは, 尿蛋白寛解例と非寛解例の間で有意差を認めなかった.
著者
吉田 稔 赤木 洋勝
出版者
社団法人 環境科学会
雑誌
環境科学会誌 (ISSN:09150048)
巻号頁・発行日
vol.17, no.3, pp.181-189, 2004-05-31 (Released:2011-10-21)
参考文献数
21

発展途上国での金採掘は小規模で,金の抽出に大量の水銀が使用される。この金属水銀が環境中に放出され大気や河川を汚染し,さらに水中で無機水銀からメチル水銀へ転換され食物連鎖を通じて魚介類への蓄積が生じる。金採掘に携わる作業者だけでなく,このメチル水銀による汚染が食糧源を魚介類に依存する住民に対し健康被害をもたらすと懸念されている地域もある。本稿では世界各地で行われているこのような金採掘とそれに伴う環境汚染や環境破壊の実態と問題点を明らかにする。
著者
鹿村 恵明 大山 明子 高橋 淳一 赤木 祐貴 根岸 健一 伊集院 一成 上村 直樹 青山 隆夫
出版者
公益社団法人 日本薬学会
雑誌
YAKUGAKU ZASSHI (ISSN:00316903)
巻号頁・発行日
vol.132, no.6, pp.753-761, 2012-06-01 (Released:2012-06-01)
参考文献数
18
被引用文献数
13 8

This study examined the impact of pharmaceutical inquiries regarding prescriptions on drug costs by surveying the actual condition of inquiries at 13 pharmacies. The study also investigated the significance of inquiries from a medical economics perspective by calculating the medical cost savings realized by preventing adverse drug reactions (ADRs). As a result, the total change in drug costs for the 13 pharmacies after pharmaceutical inquiries represented an increase of ¥9,018/month. However, upon recalculating the cost of drugs by assuming that those with an “Incomplete entry in the prescription (compared with previous prescription, etc.)” should in fact have been prescribed, and excluding them, the total drug costs for the 13 pharmacies is decreased to ¥154,743/month, translating to a cost-savings of ¥7.2/prescription. The study then undertook a comprehensive assessment based on the Diagnosis Procedure Combination (DPC) system to determine the total medical cost-savings for 5 patients in whom ADRs could have occurred if the prescriptions had not been modified as a result of pharmaceutical inquiries. The obtained figure of ¥1,188,830 suggests that pharmaceutical inquiries contribute to reduced medical costs. The findings of this study indicate that pharmaceutical inquiries regarding prescriptions by staff pharmacists not only ensure the proper delivery of drug therapy to patients, but are also effective from a medical economics perspective.
著者
須見 洋行 赤木 玲子 H P Klocking 中島 伸佳 浜田 博喜 KLOCKING H P KLOKING H.P.
出版者
岡山県立短期大学
雑誌
試験研究(B)
巻号頁・発行日
1990

日本の伝統食品納豆より分離された新規の線溶酵素ナットウキナーゼは分子量約2万,等電点8.6で,血栓(フィブリン)に対する強力な分解活性の他,プラスミン基質であるH-D-Val-Leu-Lys-pNAへの反応性を示した。しかし,プラスミンのタイトレーターp-nitrophenyl-guanidinobenzoate(NPGB)には働かず,N-trans-cinnamoylimidazoleによるタイトレーションで53.0%activeであった。NKをLys-peptidase処理して得られた9個のペプチドを分析し、NKはN末端にAlaを持ち,S-S結合のない27個のアミノ酸からなるセリン酵素であること,従ってこれまでのいかなる線溶酵素とも異なり,分子内に“kringle"を持たない一本鎖ポリペプチド構造であることを明らかにした。納豆から得たPoly-Gluを含むNK-rich蛋白をウイスター系ラットに3ケ月間わたり経口投与した(4.8万単位/kg)。その結果,血漿ELTの著しい短縮(p<0.01),pyro-Glu-Gly-Arg-pNA及びH-D-Val-Leu-Lys-pNAでみた血漿アミダーゼ活性の増加(p<0.01)に加えて腎及び肺の組織プラスミノーゲンアクチベーター活性(t-PA)の亢進(p<0.1)を確認したが,血液凝固系であるAPTT及びRe-Ca^<++>Tの変化はなかった。また,純化したNKの腸溶カプセルをボランティアーヘ投与をした結果,血漿EFAの増加と共に血中での血栓溶解を示すFDP抗原量の著しい増加(p<0.001),さらにはendogenous酵素の産生を示すt-PA抗原量の増加(p<0.005)を確認した。今後さらに例数を増やし検討する必要があるが,以上の結果よりNK(あるいはNK-rich納豆)は血栓症の治療剤として,あるいは予防目的の機能性食品素材としてその応用開発が大いに期待できる。
著者
伊藤 聡 小西 真治 村上 哲哉 新田 裕樹 阿南 健一 中川 貴之 本田 中 赤木 寛一
出版者
公益社団法人 土木学会
雑誌
土木学会論文集F2(地下空間研究)
巻号頁・発行日
vol.76, no.1, pp.14-31, 2020

<p> 地下鉄開削トンネルの縦断方向の一部に大きな沈下や沈下に伴うひび割れが多く見られ,その使用にあたって耐荷性能を精度よく評価することが課題となっていた.そこで,鉄筋ひずみの調査を行ったところ,トンネルの中立軸位置が設計計算の値と大きく異なることがわかった.この要因として,トンネルにひび割れが生じることでトンネル縦断方向に伸長する挙動が,両端の変状が起こっていない部分により拘束されることにより見かけの軸力が発生するといったメカニズムを想定し,軸力の算定方法を検討した.さらに,この軸力を用いて構造計算を行った結果,見かけの軸力を与え,トンネル形状を再現した疑似3次元モデルを用いることで,トンネルのひび割れ状況などの変状を精度よく再現できることがわかり,軸力の発生メカニズムの妥当性が確認できた.</p>
著者
赤木 正人 羽二生 篤
出版者
日本音響学会
雑誌
日本音響学会論文集 (ISSN:18807658)
巻号頁・発行日
vol.2011, pp.1725-1728, 2011-03-02

機械による音声認識について,この数十年来数多くの手法が提案されてきた.しかし,まだ十分な性能は得られていない.本講演では,現状の音声認識装置ではこんなこと(もちろん人にとっては簡単なこと)は出来ないだろう,というものをならべたて,改めて人による音声知覚と機械による音声認識を対比してみることで,今後期待される音声認識のメカニズムを探る.