著者
佐藤 勢 早川 岳人 神田 秀幸 熊谷 智広 各務 竹康 辻 雅善 日高 友郎 遠藤 翔太 森 弥生 福島 哲仁
出版者
理学療法科学学会
雑誌
理学療法科学 (ISSN:13411667)
巻号頁・発行日
vol.32, no.1, pp.133-137, 2017 (Released:2017-02-28)
参考文献数
15
被引用文献数
2 1

〔目的〕老健施設入所者の転倒状況を調査し,時間帯別に分析を行い,転倒者の個人要因の特徴を明らかにすること.〔対象と方法〕福島市の老健施設で初回転倒した94名を対象者とし,性,年齢,身長,体重,要介護度,活動分類,認知症の分類,ADL評価,握力,長谷川式スケール,10 m歩行,BPSD,転倒場所について時間帯別に比較を行った.〔結果〕転倒者は9:01~17:00で39名,17:01~1:00は32名,1:01~9:00は23名の計94名であった.1:01~9:00の転倒者は低身長,BPSDの夜間不眠,廊下での転倒が有意に多かった.〔結語〕低身長,夜間不眠,廊下通行の特徴を持つ者は深夜から早朝にかけて転倒する可能性が高いため,注意が必要である.
著者
辻 成史 Shigebumi TSUJI
出版者
大手前大学・大手前短期大学
雑誌
大手前大学人文科学部論集 = Otemae journal of humanities (ISSN:13462105)
巻号頁・発行日
vol.5, pp.A1-A24, 2004

第二次大戦後欧米の美術史研究は、長期に亘って E. Panofsky の主導の下に展開されたイメージ解釈学-イコノロジー-の強い影響の下にあった。1980年頃を境に、いわゆる New Art History を始めとしてイコノロジーに対する批判が顕在化してくるが、それとてもイメージを記号と看做すという点においては、本質的に前者と決定的に袂を別つに至らなかった。両者に通底していたのは、イメージと言語、あるいはイメージと超越的客観の間に暗黙のうちに前提されていた同一性/同時性であり、その記号論的根拠を脱構築することなくしては、イコノロジーのみならず、十九世紀以来続いてきた近代主義的美術史学の限界突破の難しいことが次第に明らかとなってきた。欧米の美術史学には、1990年頃を境にこの方向に沿っての展開が著しい。本論の著者はこの数年、美術史学の根本をなす可視性/不可視性の問題をさまざまな方角から取り上げてきたが、今回はプラトンから8世紀初頭のダマスコスのヨハネに至る古代-初期ビザンティン思想における「質料/物質」概念の変遷を通覧し、プラトン自身その晩年に示唆するに至った作品の存在論の反イデア的根源-「コーラ」-に注意を向けてみたい。
著者
辻 英明
出版者
日本ペストロジー学会
雑誌
ペストロジー (ISSN:18803415)
巻号頁・発行日
vol.35, no.1, pp.15-17, 2020-03-25 (Released:2021-03-12)
参考文献数
4
被引用文献数
1

現場で粘着捕獲された幼虫など,頭幅測定の手間をかけることは困難で,大型,中型,小型,などの記載ですますケースが多い.なるべく齢期やその範囲を推定したいので,頭幅測定せずに判断することをクロゴキブリで試みた.体色や斑紋のパターンは若齢の判断に特に有効であった.前胸背板の幅は安定しており,不安定な体長による判断の補正に役立った.触角の根元に近い白色あるいは淡色部分の状況や有無の判断も有効であった.
著者
久志本 成樹 横田 裕行 宮内 雅人 川井 真 辻井 厚子 金 史英
出版者
一般社団法人 日本救急医学会
雑誌
日本救急医学会雑誌 (ISSN:0915924X)
巻号頁・発行日
vol.21, no.3, pp.101-117, 2010-03-15 (Released:2010-05-13)
参考文献数
105
被引用文献数
1 1

敗血症における臓器不全の発現には,侵入病原微生物に対する過剰炎症反応が重要である。しかし,この理論的根拠は,高用量のエンドトキシン(ET)や細菌によるサイトカインストームモデルでの基礎研究結果であり,臨床病態を必ずしも反映しない。過剰炎症反応では説明できない臓器不全の遷延が予後を規定している。敗血症の病態は以下のような視点からの捉えることができる。(1)過剰炎症反応は,従来考えられていたほど長期間に及ばず,早期からの免疫抑制状態の存在が示唆される。剖検で共通してみられる細胞死は,リンパ球と腸上皮細胞のapoptosisであり,免疫担当細胞のapoptosisは急性期からの免疫抑制に関与しうる。(2)組織学的変化では説明のできない臓器機能障害には,ミトコンドリア機能障害が注目されている。細胞死がわずかであるにもかかわらず,臓器機能障害が認められることを支持するものであり,cytopathic hypoxiaとして捉えうる。ETは詳細に研究されている毒素であり,生理的状態の消化管内に約25gが貯蔵されるが,生体への少量の投与により敗血症病態が再現される。従来のETを標的とした抗体による臨床研究では転帰の改善を証明しえたものはない。EUPHAS trialは,腹腔内感染によるsevere sepsis/septic shockを対象として,ポリミキシンB固定化ファイバーによる血液吸着療法(PMX-DHP)による,(1)循環動態,(2)呼吸機能,SOFA(sequential organ failure assessment)score,28日死亡率などを検討したものである。PMX-DHPは循環動態の改善のみでなく,28日死亡率の改善を示し,中間解析にて中止基準を満たしたため64例にて中止された。本治験に関わる疑問点は,(1)ETレベルが測定されていないが,ET除去により効果が得られたものか? (2)治療対象として重要な白血球減少,血小板減少症例が含まれていない,(3)標準療法群では循環動態の改善がないのか? (4)標準療法群の28日死亡率 53%は高すぎないか? (5)ETの完全な除去が重要か? PMX-DHPは免疫抑制状態を改善するか? (6)64例エントリーでの中止は尚早,などが挙げられる。本治験結果は,わが国の診療を再認識するとともに,世界に影響を与える可能性がある。
著者
辻田 純三 伊藤 清臣 黛 誠 田中 信雄 堀 清記 小石 秀夫
出版者
The Japanese Society of Health and Human Ecology
雑誌
民族衛生 (ISSN:03689395)
巻号頁・発行日
vol.46, no.1, pp.2-11, 1980 (Released:2011-10-21)
参考文献数
19
被引用文献数
1

パプアニューギニア高地人の成人男子18名,日本人成人男子20名の身体計測およびパプアニューギニア現地での戸外および家屋内の環境温度の測定を行なって次の結果を得た。1)パプアニューギニア人の身長および体重の平均値は夫々,158.4cm,61.3kgで日本人の夫々の平均値,171.6cm,68.2kgより有意に小さかった。しかし,パプアニューギニア人のRohrer's indexおよびBrugsch's indexの平均値は逆に日本人の平均値より大きかった。2)パプアニューギニア人の胸囲,腹囲,上腕囲,大腿囲,下腿囲の平均値は,日本人の平均値よりやや小さいかその差はわずかであった。パプアニューギニア人の前腕囲の平均値は日本人の平均値より大きかった。パプアニューギニア人の上肢長の平均値は日本人の平均値よりわずかに小さかったが,手の長さ,下肢長,足の長さはパプアニューギニア人の方が日本人より長く,パプアニューギニア人の四肢長と身長との比は日本人の値より有意差をもって大きかった。3)パプアニューギニア人の皮下脂肪厚は日本人のそれより有意に薄かった。又,皮下脂肪厚より算出された体脂肪含有率は日本人のそれより有意に少なかった。4)パプアニューギニア人の足の形は,日本人と比べて足長に比し足巾が長く,足底面積が広く,親指と小指が長軸に対して扇形に開いており,山道の歩行に適応して変化していた。5)パプアニューギニア人のBushhouseは日本製木造家屋,スチール製建物に比べて日中の室内温が低く,環境温度の観点よりみると秀れた家である。6)パプアニューギニア人の身体的特徴は,彼等が日常生活において毎日山歩きの激運動を行なっていること,摂取カロリー量が少ないこと,および熱帯高山気候の影響によって形成されたものと思われる。
著者
辻本 裕一 谷 優 山道 岳 辻村 剛 中田 渡 任 幹夫 辻畑 正雄
出版者
日本泌尿器内視鏡・ロボティクス学会
雑誌
Japanese Journal of Endourology (ISSN:21861889)
巻号頁・発行日
vol.32, no.1, pp.116-119, 2019 (Released:2019-07-27)
参考文献数
6

【目的】大阪労災病院で入院加療を行った結石性腎盂腎炎に対して臨床的検討を行った. 【対象・方法】2007年~2018年の73例をステント留置の有無に分けて比較検討を行った. 【結果】ステント留置無し (27例) のほうが有り (46例) より有意に結石最大径が小さく (7 vs 10 mm, p=0.0393), WBC (12000 vs 15900, p=0.0428) と好中球数 (9354 vs 11882, p=0.0199) が少なかった. 全身状態が悪い4例はステント交換のみ, 残り69例は自然排石14例, ESWL32例 (5例がTUL追加), TULのみ22例, 腎摘1例であった. 73例中61例 (84%) がstone free, 69例 (95%) がstent freeとなった. 【結論】従来からの治療方針は有用であると思われた.
著者
笠井 利則 守山 和道 辻 雅士 上間 健造 桜井 紀嗣
出版者
一般社団法人 日本泌尿器科学会
雑誌
日本泌尿器科学会雑誌 (ISSN:00215287)
巻号頁・発行日
vol.92, no.4, pp.538-541, 2001-05-20 (Released:2010-07-23)
参考文献数
14
被引用文献数
1 2

症例は82歳, 女性. 無症候性肉眼的血尿を認め1997年6月3日, 当科を受診した. 膀胱, 後部尿道に多発性乳頭状腫瘍を認め膀胱生検を施行し, 病理所見は移行上皮癌, Grade 2 (TCC, G2) であった. CTで壁外浸潤, 遠隔転移を認めず adriamycin (ADM) 膀胱内注入, 低用量の cisplatin (CDDP) 点滴静注, 膀胱への放射線照射 (計50Gy) を施行した. 腫瘍は著明に縮小し, TUR-Bt. を施行した. 病理所見で膀胱筋層への浸潤は認めなかった. 1998年4月, 不正性器出血が出現し膣壁に多発性乳頭状腫瘍を認めた. 同時に膀胱内にも再発を認めTUR-Bt. を施行した. 膣粘膜生検の結果は, TCC, G2であった. MRI・全層針生検では膀胱から膣への浸潤は認めず膀胱移行上皮癌の膣内播種と診断し, 膣・子宮腔内照射を施行した. 膀胱内再発に対してはBCG膀胱内注入療法を施行している.
著者
野上 晃子 赤松 啓一郎 小島 光恵 中井 知美 辻田 愛 西野 由貴 神藤 洋次 柳瀬 安芸 南方 良章
出版者
一般社団法人 日本環境感染学会
雑誌
日本環境感染学会誌 (ISSN:1882532X)
巻号頁・発行日
vol.29, no.5, pp.345-349, 2014 (Released:2014-12-05)
参考文献数
7
被引用文献数
2 1

医療関連感染は医療従事者が媒介者となることがあり,手や鼻腔,ユニフォームなどに病原微生物が付着していることが知られている.標準予防策では手指の汚染は防げるが,ユニフォームの汚染は防ぎきれない.そこで,ユニフォームの細菌汚染状況について,職種別,部位別に,付着菌量,菌種の調査を行った.和歌山県立医科大学附属病院に勤務する看護師,医師,理学療法士各6名,計18名に対し,洗濯直後のユニフォームを3日間着用して通常業務を行った後,拭き取り培養法により,ユニフォーム付着菌の菌量と菌種を調査した.調査部位は,ユニフォームの13ヶ所,各々100 cm2とした.職種間では,理学療法士が5.95 CFUと検出菌量が最も多く,医師3.24 CFU,看護師1.83 CFUと続いたが,統計学的には有意差は認めなかった(p=0.165).部位別では,両袖,後面の裾で,他の部位に比べ有意に菌量が多かった(p=0.0010).付着菌種では,コアグラーゼ陰性ブドウ球菌が最も多かったが,黄色ブドウ球菌も多く認められた.医療従事者の感染予防策として,手洗いの励行とともに,ユニフォームの両袖や後面の裾などに対する注意も必要であり,なかでも理学療法士のユニフォームが汚染源になる可能性を考慮すべきである.
著者
石部 裕一 有光 正史 宇野 洋史 辻村 謙二 福喜多 邦夫 塩川 泰啓 末包 慶太
出版者
THE JAPAN SOCIETY FOR CLINICAL ANESTHESIA
雑誌
日本臨床麻酔学会誌 (ISSN:02854945)
巻号頁・発行日
vol.13, no.2, pp.142-146, 1993-03-15 (Released:2008-12-11)
参考文献数
4

小児に対する前投薬として,ミダゾラム注腸投与の効果を,1~6歳の小児109例を対象とし,投与時間(導入30分前と60分前),投与量(0.2mg/kgと0.4mg/kg)および年齢(1~3歳と4~6歳)に分けて検討した.鎮静スコア1(導入時にマスクを嫌がるもの)を無効,スコア2~4を有効,スコア5を過剰鎮静として評価すると,30分前投与群で,投与量に関係なく,年長児の有効率(92~100%)は年少児(54~58%)に比較して有意に高く,この傾向は投与時間を導入60分前にしても同様であった.以上の結果からミダゾラム0.2~0.4mg/kgの30~60分前注腸投与法は,年少児での有効性は十分でないが,4~6歳の就学前児童の前投薬としては有用な方法と思われた.
著者
辻 雄一郎
出版者
日本法政学会
雑誌
法政論叢 (ISSN:03865266)
巻号頁・発行日
vol.51, no.2, pp.111-130, 2015-08-15 (Released:2017-11-01)

The Fourth Amendment was added to the U.S. Constitution in 1791. In no place in the Fourth Amendment does the term "warrant" appear. In interpretation of the Fourth Amendment by the U.S. Supreme Court, the police require warrants to perform searches. A warrantless search is deemed reasonable only if it falls within a specific exception to the Fourth Amendment's warrant requirement. The ninety percent of American adults who own cellphones todays carry with them digital records of nearly every aspect of their lives. Two hundred and twenty-three years have passed since the Fourth Amendment was added. In Riley v. California, the Supreme Court held that the police generally have no authorization to search digital information on cellphones seized from arrested individuals without warrants. While the Riley case is certain to be a subject further study, the American scholars who have studied the case so far have found several lessons for the interpretation of constitutional law. In this article, I would like to discuss this issue with a focus on the interpretation methods of the originalist Justice Scalia and the intra-textualist Akhil Amar, and the battle between Congress and the judicial approach. Justice Breyer provided six factors to overturn precedents. Daniel Farber shows a pragmatic approach.
著者
志茂 大輔 皆本 洋 福田 大介 岩田 陽明 松本 大典 旗生 篤宏 岡澤 寿史 辻 幸治 森永 真一
出版者
マツダ株式会社
雑誌
マツダ技報 (ISSN:02880601)
巻号頁・発行日
vol.39, pp.21-27, 2022 (Released:2022-12-26)
参考文献数
7

カーボンニュートラルに向けた再生可能エネルギー発電への移行期において,将来的な再生可能燃料の選択肢も考慮し,現実的なCO2削減のためには電動化とともに内燃機関の効率改善によるマルチソリューションが有効であると考えられる。その一つの答えとして新世代クリーンディーゼルエンジンSKYACTIV-D 3.3を開発した。排気量を従来の2.2Lから3.3Lに拡大することで高トルク・高出力化は元より,理想を追求したリーン予混合燃焼の拡大の手段としても大排気量化を用いることで,乗用車量産エンジン世界トップの実用域で広い熱効率,及び排気クリーン化を達成した。また低Pmax(最大燃焼圧)対応の構造系を進化させて摩擦抵抗を抑制し,更に直列6気筒による低振動と心地よいエンジン音を創り込んだ。これらの技術によって運転者が愉しく元気になる「走る歓び」,及び抜群の燃費とクリーン排気による「優れた環境性能」の両方をこれまでにない次元にまで高めた。
著者
寺田 勝彦 藤田 修平 田端 洋貴 脇野 昌司 松本 美里 中前 あぐり 辻本 晴俊 菊池 啓
出版者
日本理学療法士協会(現 一般社団法人日本理学療法学会連合)
雑誌
理学療法学Supplement Vol.35 Suppl. No.2 (第43回日本理学療法学術大会 抄録集)
巻号頁・発行日
pp.B1573, 2008 (Released:2008-05-13)

【はじめに】抗パーキンソン病薬などの服用に伴って生じるジスキネジアは,精神的・身体的苦痛を伴うにも関わらず,その理学療法的な介入法は報告されていない.今回,理学療法の介入により,ジスキネジアの症状が改善した一症例を経験したので報告する.【症例】59歳,女性.39歳時に若年性パーキンソン病と診断され,抗パーキンソン病薬を投与.15年前よりジスキネジアを呈する.Hoehn-Yahrの分類;stage3,On-Off徴候(+).ジスキネジアのAbnormal Involuntary Movement Scale(AIMS)の四肢と体幹の動きの3項目の合計は11/12.Unified Parkinson’s Disease Rating Scale(UPDRS)のジスキネジアの項目は 8/13.出現時,発汗異常(+),歩行不可. なお学会発表の承諾は得られている.【ジスキネジアの観察】仰臥位では左右の胸鎖乳突筋の交互収縮が,頸の屈曲・伸展・左右回旋を呈し,それと連動して四肢の不随意運動が見受けられた.また体幹は左回旋・屈曲とその戻りであった.また頚部・上部体幹は常に空間に挙上していた.座位でも,頸部の不随意運動が大きく,体幹前屈・回旋し,連動して四肢の不随意運動が見受けられた.【理学療法的介入】ジスキネジアの観察から,頸部の関節角度を検知する自己受容系の感覚器としての胸鎖乳突筋により頭頸部の動きが生じ,頚部からの体性感覚入力が活発となり,変動する姿勢反射により異常姿勢を伴う不随意運動を呈する.そして,過剰な共同収縮筋群の支配神経の緊張が亢進する.神経緊張があったのは,副神経以外に長胸神経・肋間神経・尺骨神経であった.それらの神経の緊張は,Martinの報告による脳炎後パーキンソニズムのサルのpallidal postureに似た頭部,躯幹の姿勢異常が見られたことを考慮すれば,胸鎖乳突筋の律動的な動きの見られるブラキエーション時のインパルスを伝導する神経群と一致しており,これらの神経緊張の軽減にて,胸鎖乳突筋のコントロールが可能であることを確信した.手技は解剖的考察により,各神経の伸張を行った.また触知し易い尺骨神経は愛護的に圧も加えた.治療時間は,10分程度であった.【結果】介入後のAIMSは2/12,UPDRSは1/13と著明に改善し,ジスキネジアは消失し,自立歩行は可能となる.ジスキネジアの抑制時間は12時間程度であった.【考察】今回のジスキネジアの改善は,Langworthyの提唱するように,無目的と考えられた不随意運動が感覚刺激に対する反応の異常であること,またSteinの振戦の神経機構模式図より,過剰な筋収縮と感覚性フィードバックの遠心性・求心性インパルスの伝導路である末梢神経系と胸鎖乳突筋の運動神経である副神経の緊張を改善することで,胸鎖乳突筋の運動細胞の周期的興奮性の抑制が得られたためと考えられる.最後に,ジスキネジアの完治は理学療法的介入では困難であるが,継続した介入により,出現時間の短縮や症状の緩和は可能であると思われる.
著者
辻野 亮
出版者
奈良教育大学自然環境教育センター
雑誌
奈良教育大学自然環境教育センター紀要 (ISSN:21887187)
巻号頁・発行日
vol.16, pp.45-50, 2015-03-20

現地踏査と航空写真解析によって、奈良公園平坦部と若草山における地表植生図を作成した。公園地の平坦部と近接する緑地におけるニホンジカの採食場所として有効と考えられる草地の面積は32.2 haであり、若草山の草地面積は28.2 haであった。