著者
田野村 忠温 Tadaharu TANOMURA
出版者
国書刊行会
雑誌
日本語科学
巻号頁・発行日
vol.25, pp.91-103, 2009-04
被引用文献数
1

大阪大学この数年来,コーパスに基づく日本語研究を取り巻く環境は急速な進展を見せている。利用可能な電子資料の面で言えば,広義コーパス・狭義コーパスともに選択の幅が広がりつつある。この小論では,最近利用可能になった2種類の大規模な電子資料-国会会議録のデータと,筆者の試作した巨大なWebコーパス-を用いて一字漢語複合サ変動詞の活用のゆれの問題の主要部分を調査・分析する。この問題については過去の拙論で朝日新聞6年分の記事データに基づく分析を行ったことがあるが,そのときには確かめようのなかった活用のゆれの通時変化の様相を観察することができるとともに,筆者が「属する」類と呼んだ一群の動詞については五段活用化の進行の程度に基づく下位分類をさらに精密化することができることを示す。
著者
寺本 万里子 松岡 彩子 野村 麗子 Teramoto Mariko Matsuoka Ayako Nomura Reiko
出版者
宇宙航空研究開発機構(JAXA)
雑誌
宇宙航空研究開発機構研究開発資料 = JAXA Research and Development Memorandum (ISSN:13491121)
巻号頁・発行日
vol.JAXA-RM-16-003, pp.1-22, 2017-02-20

ジオスペース探査(ERG)衛星に搭載される磁場観測器(MGF)のセンサ部(MGF-S)の地上較正試験を行い、感度とアライメントを決定した。MGF-Sに磁場を印加し出力値を測定することにより、誤差0.06%以内の高い精度でMGF-Sの感度を決定することができた。また、MGF-Sの軸間角度は直交から0.95度以内のずれを持ちその推定誤差は0.07度以内であった。MGF-Sのオフセットと感度の温度依存性を調べたところ、室温に対する相対感度は-20度Cから30度Cの間で、温度の差に対してほぼ直線的に変化することがわかった。一方、オフセットは温度に対し直線的な変化は見られなかったものの、再現性があることがわかった。以上の地上較正試験によって得られた感度とアライメント及びオフセットの決定精度はERGの観測期間の大部分で観測要求を十分に満たすことがわかった。
著者
野村 和孝 山本 哲也 林 響子 津村 秀樹 嶋田 洋徳
出版者
一般社団法人 日本認知・行動療法学会
雑誌
行動療法研究 (ISSN:09106529)
巻号頁・発行日
vol.37, no.3, pp.143-155, 2011-09-30 (Released:2019-04-06)
被引用文献数
1

本研究の目的は、性加害行為経験者を対象とした認知行動療法的治療プログラムを構成する心理社会的要因が、性加害行為抑止効果に及ぼす影響についてメタ分析を用いた検討を行うことであった。性加害行為抑止を目的とした認知行動療法的治療プログラムを心理社会的要因の構成に基づき分類したところ、セルフ・マネジメントの有無に基づく分類がなされた。セルフ・マネジメントの有無が性加害行為抑止に及ぼす影響についてメタ分析を行った結果、性的嗜好、歪んだ態度、社会感情的機能、リラプス・プリベンションから構成される治療プログラムの性加害行為抑止効果が確認された一方で、ストレスマネジメントなどのセルフ・マネジメントの向上を目的としたアプローチの手続き上の工夫の必要性が示唆された。

3 0 0 0 OA 株式年鑑

著者
野村商店調査部 編
出版者
野村商店調査部
巻号頁・発行日
vol.大正8年度, 1919
著者
太田 智子 松崎 浩之 児玉 浩子 寺田 宙 野村 恭子 太田 裕二 王 暁水 飯田 素代 日比野 有希
出版者
公益財団法人日本分析センター
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2017-04-01

東京電力福島第一原子力発電所事故後、国民の間に放射性物質への不安が広がった。中でも放射性ヨウ素については甲状腺がんとの因果関係が心配され、特に感受性の高い乳児についての影響が懸念されている。本研究では乳児の主たる栄養源の母乳を対象に、数種類存在する放射性ヨウ素のうち半減期が最も長いヨウ素129(1570万年)の分析を実施した。母乳は脂肪分が多いため分析することが難しく、母乳中のヨウ素129を分析した例はない。今回、母乳中のヨウ素を分析する手法を確立し、健康な母親から採取した母乳中のヨウ素129を分析しバックグラウンドを把握すると共に、データを基に乳児の母乳摂取による内部被ばく線量評価を試みた。
著者
野村 竜也
出版者
数理社会学会
雑誌
理論と方法 (ISSN:09131442)
巻号頁・発行日
vol.17, no.2, pp.211-226, 2002-10-31 (Released:2009-02-10)
参考文献数
31

本稿では、二重拘束が思弁的概念定義に留まっていることを省察し、改めて社会心理学的・社会学的モデルの観点から再構築することにより、その源であるサイバネティクスに立ち返って曖昧性を低減したシステムモデルを提供し、家族システム論において新たな含意を得ることを目的とする。そのために、二重拘束を関係システムにおけるポジティブ・ネガティブのフィードバックの安定状態として捉える長谷のアプローチ、およびHochschildの感情規則論を基に二重拘束を感情のギャップとして捉える山田の示唆を、社会心理学の三者関係における認知的斉合性の理論を用いて形式的に表現する。
著者
野村 雅昭 伊藤 菊子
出版者
計量国語学会
雑誌
計量国語学 (ISSN:04534611)
巻号頁・発行日
vol.11, no.7, pp.p306-311, 1978
被引用文献数
1
著者
瀨山 一正 野村 希代子 下岡 里英 高川(神原) 彩 箱田 雅之
出版者
一般社団法人 日本痛風・核酸代謝学会
雑誌
痛風と核酸代謝 (ISSN:13449796)
巻号頁・発行日
vol.40, no.2, pp.115-122, 2016-12-20 (Released:2016-12-20)

進化医学によると,190万年前に始まったヒト種としての進化の過程で,約1万年前の農業導入前までほとんど99%の時間を,ヒトは運動量の多い狩猟採集生活をしていたと考えられる.食は,自生している植物性食品を主体に動物性食品も加えた雑食性で,この間の身体活動も含めた生活環境に適応していたと考えられる.従って,ヒトの遺伝子にこの時代までの生活環境の情報が分子的記憶として書き込まれていると言える.旧石器時代までの植物性食を主体とした食物の代謝後には体内でアルカリ成分が酸性成分より多く生成され生理的代謝性アルカローシスが生じていたと推測される.これに対して,現代食は構成食品の特色から必ず酸生成量がアルカリ生成量を超えるので,生理的代謝性アシドーシスを惹起する.この総説では,酸‐塩基平衡に関する遺伝子上の適応条件と現代食の代謝後の生理的条件が合致しない事が高尿酸血症・痛風発症の一要因になりうることを議論する.これを基に,従来からのこの疾患に対する食の介入に新たに酸-塩基平衡の視点から下記の条件を提案する.1 )食の代謝により生成される酸負荷を70 mEq/day以下とする.2 )食材の準備段階で,たんぱく質含量(P)(g表示)とK+含量(K+)(mEq表示)から求めたP/K+比を1.5 以下とする.3 )尿pHは6.0以上にする.
著者
野村 泰之 濱田 敬永 斎藤 雄一郎 吉田 晋也 遠藤 壮平 鴫原 俊太郎 木田 亮紀
出版者
Japan Society for Equilibrium Research
雑誌
Equilibrium Research (ISSN:03855716)
巻号頁・発行日
vol.57, no.6, pp.608-614, 1998 (Released:2009-10-13)
参考文献数
17
被引用文献数
2 2

Recently, because of the development of MRI, it is becoming apparent that there are some cases of cerebellar vascular disorder in the posterior cranial fossa among cases of sudden onset of rotatory vertigo. We reported two cases of sudden onset of rotatory vertigo caused by cerebellar infarction in the territory of the posterior inferior cerebellar artery (PICA) due to cervical occlusive injuries.Case 1. A 48-year-old male sustained a slight whip lash injury and after ten hours, experienced rotatory vertigo and hoarseness. When he came to our hospital, we could only detect hoarseness. However, vascular disorder in the posterior cranial fossa was suggested by the interview. MRI revealed left cerebellar and medulla oblongata infarction.Case 2. A 29-year-old male felt rotatory vertigo and vomited after clicking his neck. Upon closer examination, pure rotatory spontaneous nystagmus, sensory disorder accompanied by sensory dissociation in his face and disability in standing and walking were found, suggesting vascular disorder in the posterior cranial fossa. MRI showed infarction in the left inferior cerebellar region, vermis and left lateral-dorsal medulla oblongata. A dissecting aneurysm in the vertebral artery was found on subsequent angiography.In the Japanese literature, we could find only nine reported cases of cerebellar vascular disorder in the posterior cranial fossa due to the cervical occlusive injuries, in addition to our two cases.The severity of injuries and the period until onset of diagnostic symptoms varied. Therefore, tracing cerebellar vascular disorders due to cervical occlusive injury required not only neurological and neuro-otological findings, but also attention to the history of the original injury and the development of subsequent symptoms. Without a careful interview, it is very difficult to correctly establish the cause of the disorder.
著者
渋谷 健司 Rahman Mizanur 野村 周平 田淵 貴大 山本 依志子 坂元 晴香 齋藤 英子 米岡 大輔 井上 真奈美 永田 知映 西浦 博
出版者
東京大学
雑誌
基盤研究(A)
巻号頁・発行日
2019-04-01

死亡・障害を含む包括的かつ比較可能な保健アウトカム(Burden of Disease:疾病負荷)の分析は、保健政策立案や研究開発の優先順位決定に必須の情報であるが、我が国では政策への活用は未だ限定的である。本研究は、研究代表者らによるこれまでの日本における全国及び都道府県レベルの疾病負荷に関する研究成果をさらに発展させ、最新の疾病負荷推計を用いて、現在懸案事項となっている主な施策(地域医療構想、医療費、健康格差、医療の質、医師の働き方改革、イノベーション戦略)に直接資する分析を行う。さらに、分析結果をより多くの政策立案者や研究者、一般の方が利用できるように分析データのビジュアル化を推進する。

3 0 0 0 OA 株式年鑑

著者
野村商店調査部 編
出版者
野村商店調査部
巻号頁・発行日
vol.大正12年度, 1926
著者
野村 千枝 昌山 敦 山口 瑞香 佐久間 大輔 梶村 計志
出版者
公益社団法人 日本食品衛生学会
雑誌
食品衛生学雑誌 (ISSN:00156426)
巻号頁・発行日
vol.58, no.3, pp.132-142, 2017-06-25 (Released:2017-07-07)
参考文献数
34
被引用文献数
12

日本では毎年,有毒キノコの誤食による食中毒が数十件発生している.食中毒の原因究明のために行われるキノコの肉眼・顕微鏡観察による形態学的鑑別法は,高度な菌類学の専門知識を要するうえ,キノコが原形をとどめていない食中毒検体(喫食残品や患者吐物)には適用が困難である.そこで,種の同定に有用とされるDNAバーコーディング法(塩基配列解析による種同定)を応用した種特異的プライマーの設計によるキノコのスクリーニング法について検討した.日本で食中毒事例のあるキノコのうち,5種類のキノコ(オオワライタケ,オオシロカラカサタケ,ニガクリタケ,スギヒラタケ,カキシメジ)について種特異的なプライマーを作製した.本法は調理および人工胃液による処理の影響を受けず,湿試料100 mgのキノコ(DNA 10 ng)を,約2時間半で検出可能であった.キノコによる食中毒疑いが発生したとき,本法によるスクリーニング検査と同時に,ITS1領域の塩基配列解析による確認検査を行う.塩基配列解析には約9時間以上要することから,本法と塩基配列解析を併用することにより,検査精度を担保するとともに,保健所や衛生研究所等において,より迅速な食中毒対応が可能になると考える.
著者
長谷川 功 北西 滋 宮本 幸太 玉手 剛 野村 幸司 高木 優也
出版者
公益社団法人 日本水産学会
雑誌
日本水産学会誌 (ISSN:00215392)
巻号頁・発行日
pp.19-00028, (Released:2019-12-10)
参考文献数
77
被引用文献数
7

サクラマスとヤマメは,降海するか河川に留まるかというように生活史は異なるが,同種Oncorhynchus masou masouである。ただし,それぞれが利用される水域や目的はサクラマスは主に沿岸漁業,ヤマメは内水面の遊漁と異なる。また,現在の資源管理体制は両者の生物学的な共通・相違点は十分に考慮していない。そのため,一方の放流種苗が他方と交雑し,生活史の変化すなわちサクラマスとヤマメの資源組成が変化し得る等という懸念もある。本総説では,サクラマスとヤマメに関する先行研究から両者の性質を整理し,野生魚主体の包括的な資源管理を提言する。
著者
野村 幸子 物部 真奈美 松尾 喜義
出版者
日本茶業学会
雑誌
茶業研究報告 (ISSN:03666190)
巻号頁・発行日
vol.2016, no.121, pp.23-35, 2016-06-30 (Released:2018-07-01)
参考文献数
15

「日本食品標準成分表」等のデータベースを用いて,茶と野菜の成分値を比較した結果,抹茶や玉露,煎茶を丸ごと食べることによって,ビタミンAやビタミンEの不足を補うことができる可能性が示唆された。しかし,茶を食す場合でも過剰に摂取することは禁物で,1人前1食分の上限を数グラムとし,香りや味,色合いなどを楽しむことに重点を置いて使用量を設定することが重要であると思われる。
著者
野村 浩子 川﨑 昌 Hiroko Nomura Sho Kawasaki
出版者
淑徳大学人文学部紀要委員会
雑誌
研究論集 (ISSN:21895791)
巻号頁・発行日
no.4, pp.13-24, 2019

我が国では、女性管理職登用において先進国のなかで大きな後れをとっている。先進諸国の多くが3割を超えるのに対し、日本の女性管理職比率は2017年度時点で11.5%にとどまる。女性管理職育成を進める企業がぶつかる壁として、ジェンダー・バイアスが指摘されている。そこで、本研究では、組織リーダーに望まれるものと、成人男性・女性に望まれるものの関係を探ることで、ジェンダー・バイアスが女性管理職登用に与える影響を探る。大手企業25社に勤める2527名から得たアンケート回答を分析した結果、組織リーダーは望ましさの程度が似ている男性向きで、女性にはふさわしくないというジェンダー・バイアスが存在することが示唆された。さらに、ジェンダー・バイアスは、男性に比べ女性回答者により強い傾向がみられた。こうしたジェンダー・バイアスにより、女性が管理職になることをためらう、また組織内でも女性は登用にふさわしくないとみなされる可能性がある。