著者
国井 秀伸 瀬戸 浩二 野中 資博 森 也寸志 相崎 守弘 石賀 裕明 野村 律夫
出版者
島根大学
雑誌
基盤研究(A)
巻号頁・発行日
2007

高度汚水処理法・直接浄化法の開発と,底質処理法(無害化・資源化)の開発を行い,流域統合管理の視点を加えて,流域の管理の違いが水文循環過程に与える影響を評価した.さらに,科学的・普遍的な立場もふまえて,汽水域生態系モニタリングのシステムを研究・開発・構築し,さらに地域と一体となった汽水域の生態系保全活動を行うことを目的に,地域住民との連携による汽水域長期モニタリング法を検討した
著者
上田 至宏 黒岩 共一 善住 秀幸 片野 泰代 亀 節子 樫葉 均 武田 大輔 柳田 利雄 喜多村 祐里 大城 宣哲 時本 康紘 野村 保
出版者
国際生命情報科学会
雑誌
Journal of International Society of Life Information Science (ISSN:13419226)
巻号頁・発行日
vol.18, no.2, pp.407-412, 2000-09-01

イメージによる脳の機能を検討するため刺激強度を変えて合谷を圧迫した場合と、それらと同じ状態をイメージした場合とをfunctional MRI(f-MRI)で測定した。強い痛みをともなう圧迫刺激では両側の2次知覚野と頭頂葉、視床、島などが賦活され、人によっては視覚野も賦活された。その状態をイメージした場合には2次知覚野の信号強度は低くなり、視覚野や側頭葉の強度が増加した。合谷皮膚表面の強いピンチ刺激(激痛)では、圧迫刺激の場合に見られたほどの広範囲な賦活はなかった。左指先から右掌の労宮に気を送る実験では、右感覚野と右基底核の限定された部分が賦活した。瞑想、小周点法も行ったが賦活部位は検出できなかった。
著者
山元 直道 古賀 誠 野村 照幸
出版者
一般社団法人 日本作業療法士協会
雑誌
作業療法 (ISSN:02894920)
巻号頁・発行日
vol.42, no.5, pp.638-646, 2023-10-15 (Released:2023-10-15)
参考文献数
19

医療観察法の対象者の中には,精神疾患以外に知的障害や認知機能障害の併存が認められ,家事や調理の基本的技能の低さから生活が安定せず病状悪化につながる事例も多い.本事例にも知的障害と認知機能障害が認められ,健康や生活に無関心で不健康な生活を続けていた.作業療法や外泊訓練を通して,健康管理と家事や調理の技能獲得に向け,本事例が遂行できた内容に対して肯定的なフィードバックを用いて効率的な見本の提示や助言を行った結果,健康管理や生活技能の改善が図れた.医療観察法下における本事例への健康管理や生活技能への介入は,社会生活への価値を高めると共に再他害行為防止に作用し,社会復帰につながると考える.
著者
野村 英樹
出版者
一般社団法人 日本内科学会
雑誌
日本内科学会雑誌 (ISSN:00215384)
巻号頁・発行日
vol.99, no.5, pp.1116-1121, 2010 (Released:2013-04-10)
参考文献数
2
被引用文献数
5
著者
野村 有里 藤原 正史 山内 仁 大工谷 新一
出版者
関西理学療法学会
雑誌
関西理学療法 (ISSN:13469606)
巻号頁・発行日
vol.8, pp.63-67, 2008 (Released:2009-01-15)
参考文献数
11
被引用文献数
3

A difference of alignment of rear foot between lying down and standing in patients who have sports disorders is often observed. The purpose of this study was to clarify the relationship between the alignment of the rear foot and activities of ankle flexor muscles during the calf-raise. We identified an alteration of the alignment of the rear foot between the prone position to standing by measuring leg heel angle under each condition, and classified subjects into three groups (varus, neutral, valgus) according to angle alteration. In addition, we measured activities of the tibialis posterior muscle, soleus muscle, medial head of the gastrocnemius muscle and lateral head of the gastrocnemius muscle during the calf-raise with surface electromyography. The varus group showed significantly greater activation of the tibialis posterior muscle than the valgus group. Activation of the medial head of the gastrocnemius muscle displayed similar findings with an increase from the valgus group to the neutral and varus groups. These results suggest that if alignment of the rear foot in standing is more varus than in lying prone, sports disorders are potentially more likely in therapeutic calf-raise exercises and in running during training.
著者
木野村 樹里
出版者
総合人間学会
雑誌
総合人間学 (ISSN:21881243)
巻号頁・発行日
vol.17, pp.96-112, 2023 (Released:2023-09-06)
参考文献数
12

本稿では、児童虐待に関する新聞記事のフレーム分析を通して、これまで自明視されてきた親から子への「愛」、親の子に対する「責任」という観念がいまだに人々の間で信頼を置かれているのかについて検討した。 分析対象として収集した記事は、主に記事の見出しと記事中の経過的に重要なことが書かれている段落で加害者がどのような人物として描かれているのかを元に、 (1)親不適格フレーム、(2)煩悶フレーム、(3)精神疾患フレーム、(4)その他の非難フレームの4つのフレームに分類した。分析の結果、いずれかのフレームに該当する記事に占める「親不適格フレーム」の割合は2000年から2012年にかけて減少しており、2022年ではさらにその割合は減少していた。一方、加害者を描くいずれのフレームも持たない記事では、児童相談所に対する批判が多くを占めていた。非難される対象が親から児童相談所へと変化したことは、親の子に対する「愛」への信頼の失墜であるといえる。 親の子に対する「愛」や「責任」といったものは、近年になってようやく「自明ではないもの」として扱われるようになってきた。このような状況下においては、人々はより大きな枠組みである児童相談所などのシステムに頼らざるを得ないのである。
著者
鈴木 公啓 野村 竜也
出版者
Japan Society for Fuzzy Theory and Intelligent Informatics
雑誌
知能と情報 (ISSN:13477986)
巻号頁・発行日
vol.35, no.3, pp.706-711, 2023-08-15 (Released:2023-08-16)
参考文献数
23

本研究は,職種毎の対人コミュニケーション場面におけるジェンダーロボット選好について明らかにすることを目的としておこなった.また,ジェンダー選好において,性役割平等志向性が関連しているかについても検討をおこなった.成人男女1000名を対象に検討をおこなった.その結果,人間,アンドロイド型ロボット,そして機械型ロボットのいずれにおいても,そしてどの職種であっても,コミュニケーション相手として性別がどちらでもかまわないとする者が多いことが示された.ロボットを日常生活に導入する際には必ずしも性別を付与しないで良いことが示唆される.また,ロボットの側を特定のジェンダーに設定してもそれはステレオタイプの再生産とならない可能性が考えられた.
著者
澤田 和輝 野村 理朗
出版者
日本認知心理学会
雑誌
日本認知心理学会発表論文集 日本認知心理学会第18回大会
巻号頁・発行日
pp.101, 2021-03-15 (Released:2021-03-15)

大自然や偉大な人物などの,既存の認知的枠組みの更新を必要とする広大な刺激に対し生じる感情反応を畏敬の念と呼ぶ.先行研究より,畏敬の念は認知的制約からの解放を促し,拡散的創造性を高めることが示されているが,その詳細な心理学的機序については不明な点が多い.とりわけ,いくつかの快感情が拡散的思考を促進することを考慮すると,未検討である他の快感情との比較検討を行う必要がある.したがって,本研究では,学生21名を対象に,VR動画による感情導入(畏敬/楽しさ/中性)と,日用品の創造的な用途を生成する代替用途課題を用いて,先行研究であるChirico et al. (2017)の概念的追試を行い,畏敬の念が拡散的思考に及ぼす影響について検討した.その結果,畏敬条件において,統制条件よりも,創造性得点(e.g., 流暢性)が高かった.この結果は,先行研究の結果を再現するだけでなく,他の快感情に見られない畏敬特有の効果を示唆している.Awe is an emotional response to a vast stimulus that requires an update to the current schema, such as beauty of nature and people of power. Although previous study has suggested that awe promotes liberation from the cognitive restriction and enhances divergent creativity, its psychological mechanism remains unclear. Especially, given that several positive emotions enhance divergent thinking, the upcoming research should examine the comparison between effects of awe and other positive emotions. Therefore, we conducted the conceptual replication of Chirico and colleague (2017) and investigated the influence of awe on divergent thinking, by using 360°VR clips (awe/amusement/neutral) and the Alternative Uses Test that requires participants to report original uses of presented household items (N = 21). The results revealed that induction of awe enhances scores on creativity (e.g., fluency) than that of control. These results reproduce the results of the previous study and may indicate the awe specific effect.
著者
岡本 宜高 柳原 伸洋 橋口 豊 山口 育人 小長谷 大介 堀内 隆行 野村 真理 河村 豊
出版者
金沢大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2021-04-01

日本やドイツなどの第二次世界大戦の敗戦国の「戦後」に関しては、戦争責任や「過去の克服」に関する研究が国内外で進展してきた。一方で戦勝国の「戦後」については、大戦中の戦略爆撃による非戦闘員の大量殺戮、大戦後の統治領域での植民地主義や人種主義の継続など、数々の問題が指摘されているものの十分な研究がなされてこなかった。こうした状況を踏まえ、本研究は戦勝国の中からイギリスに焦点を当て、大戦から受けた複合的、重層的な影響を、外交史、西洋史、文化史、科学史の知見を融合して学際的かつ包括的に検証し、「戦後」をめぐる研究に戦勝国と敗戦国という境界線を越えた形での新たな視座を提示することを目指す。
著者
野村 周平
出版者
一般社団法人 日本昆虫学会
雑誌
昆蟲.ニューシリーズ (ISSN:13438794)
巻号頁・発行日
vol.21, no.1, pp.14-26, 2018-03-05 (Released:2019-10-08)
参考文献数
5

我が国における昆虫学の状況の中で,昆虫形態学は体系学または系統学の中での存在感を失ってきたように見える.しかし一方で,昆虫形態を詳細に観察し,記録し,検討することのできるツールは着実に進化している.マイクロフォーカスX線CT(通称マイクロCT)は,昆虫の微細な内部形態を非破壊的に観察し,記録することのできる革新的な技術である.例えば,カブトムシの飛翔筋,セミの♂の発音器や♀の卵巣,また虫入りコハク中の昆虫化石までも,その形態を詳細に観察,記録することができる.昆虫の表面微細構造を観察する方法としては,走査型電子顕微鏡(Scanning Electron Microscope: SEM)がすでに普及している.しかし近年,乾燥試料ではなく,新鮮な(水分を多く含んだ),あるいは生きている試料さえSEM観察することのできるナノスーツ法®や,100,000倍以上のSEM観察を可能にする電界放出型SEM(FE-SEM)が登場してきた.これらはこれまで十分に研究されていない昆虫のサブセルラー(細胞未満の)構造をより自然な状態で観察することのできる強力なツールである.このような方法によって記録された昆虫内部の,または表面の微細構造の画像は,昆虫研究者ばかりでなく,昆虫の構造をヒントに新たな工学技術を開発しようとするバイオミメティクス(生物模倣技術または生物規範工学)の研究者にとっても極めて有益である.科学分野間の言葉の壁を超えて,このような昆虫の微細形態画像をきわめて簡便に比較解析するツールとして,「画像検索システム」が開発されつつある.これらの新しい技術を開発し,活用することによって昆虫形態学は,昆虫の進化をさらに研究し,よりよく理解する新たな時代の,大きな潮流となる可能性がある.
著者
山崎 幸子 藺牟田 洋美 橋本 美芽 野村 忍 安村 誠司
出版者
日本公衆衛生学会
雑誌
日本公衆衛生雑誌 (ISSN:05461766)
巻号頁・発行日
vol.57, no.6, pp.439-447, 2010 (Released:2014-06-12)
参考文献数
28
被引用文献数
7

目的 近年,地域で介護予防を進めていくための強化分野の 1 つとして,「閉じこもり予防•支援」が展開されており,その効果を評価する心理的側面を含めた指標が求められている。行動変容の視点によれば,閉じこもりの改善には,外出に特化した自己効力感が潜在的に影響していると想定されるが,評価尺度は未だ存在しない。そこで本研究では,地域高齢者の外出に対する自己効力感を測定する尺度(self-efficacy scale on going out among community-dwelling elderly:以下,SEGE と略す)を開発し,その信頼性と妥当性を検証することを目的とした。方法 都内 A 区在住の地域高齢者18人から項目収集を行い,得られた項目をもとに,某県 O 市の地域高齢者258人に対する予備調査によって,13項目から成る尺度原案を作成した。本調査は,都内 A 区在住の地域高齢者8,000人を無作為抽出し,郵送法による調査を実施した。調査内容は,尺度原案,年齢,性別などの基本属性および妥当性を検討するための評価尺度であった。結果 分析対象者は2,627人(男性1,145人,女性1,482人),平均年齢73.8±6.6歳であった。週 1 回以上,外出していたのは全体の86.1%であった。予備調査で作成した尺度原案について主成分分析を行った結果,1 因子構造が確認された。ステップワイズ因子分析による項目精選を行った結果,6 項目から成る尺度が開発された。これら 6 項目の内的整合性は,α=.96であり,高い信頼性が確認された。外出頻度が低いほど,SEGE 得点も低かった。SEGE と,動作に対する自己効力感,健康度自己評価および健康関連 QOL は有意な相関関係にあり,基準関連妥当性および構成概念妥当性が確認された。さらに,高い相関関係にあった SEGE と動作に対する自己効力感における確証的因子分析を行ったところ,両尺度は相関が高いものの,別々の概念を測定していることを確認した。結論 本研究の結果,高い信頼性および妥当性が確認された 6 項目 1 因子から成る SEGE が開発された。本尺度により,「閉じこもり予防•支援」の心理的側面を測定する新たな効果指標を提案できたと考える。今後,地域で広く活用していくことが求められる。
著者
柴田 寛子 野村 祐介 河上 強志 山本 栄一 安藤 大介 内山 奈穂子 徳本 廣子 小出 達夫 迫田 秀行 吉田 寛幸 阿部 康弘 袴塚 高志 五十嵐 良明 蓜島 由二 石井 明子 伊豆津 健一 本間 正充 合田 幸広
出版者
公益社団法人 日本薬学会
雑誌
YAKUGAKU ZASSHI (ISSN:00316903)
巻号頁・発行日
vol.142, no.8, pp.867-874, 2022-08-01 (Released:2022-08-01)
参考文献数
5
被引用文献数
1

Particular batches of Moderna mRNA Coronavirus Disease 2019 (COVID-19) vaccine were recalled after foreign particles were found in some vaccine vials at the vaccination site in Japan in August 2021. We investigated the foreign particles at the request of the Ministry of Health, Labour and Welfare. Energy dispersive X-ray spectroscopy analysis suggested that the foreign particles found in the vials recalled from the vaccination sites were from stainless steel SUS 316L, which was in line with the findings of the root cause investigation by the manufacturer. The sizes of the observed particles ranged from <50 μm to 548 μm in the major axis. Similar foreign particles were also detected in 2 of the 5 vaccine vials of the same lot stored by the manufacturer, indicating that the foreign particles have already been administered to some people via vaccine. Observation of the vials of the same lot by digital microscope found smaller particles those were not detected by visual inspection, suggesting that more vials were affected. Contrarily, visual inspection and subvisible particulate matter test indicated no foreign particles in the vials of normal lots. Possible root cause and strategies to prevent such a deviation were discussed from technical and regulatory aspects.