著者
小木曽 義弘 尾崎 常祐 上田 悠太 脇田 斉 金澤 慈 石川 光映
出版者
The Institute of Electronics, Information and Communication Engineers
雑誌
電子情報通信学会論文誌 C (ISSN:13452827)
巻号頁・発行日
vol.J103-C, no.1, pp.61-68, 2020-01-01

通信容量の更なる増大に対応すべく,デジタルコヒーレント光通信においては更なる高ビットレート化が求められており,伝送距離の観点からデバイスの高ボーレート化技術に近年注目が集まっている.本研究では,IQ光変調器高速化のブレークスルー技術として,新たな半導体層構造と電極構造を組み合わせた超広帯域(〜80 GHz)且つ低電圧動作可能な(Vπ:〜1.5 V)光変調素子を提案し,その長期安定性含めた基本動作から100 GBdを超えるIQ光変調動作実証までを行った.更に,ドライバICとの一体集積により光等化処理を行わずに最大128 GBdまでのIQ光変調動作を世界で初めて成功させた.本論文では,その新規構造の特徴について述べるとともに,次世代100 GBd級光送信器に向けた課題等についても議論する.
著者
西口 麻奈 渡邊 有史 上中 智香子 古川 福実 小森 涼子 安井 昌彰 村田 顕也 伊東 秀文 立石 千晴 鶴田 大輔 石井 則久 金澤 伸雄
出版者
公益社団法人 日本皮膚科学会
雑誌
日本皮膚科学会雑誌 (ISSN:0021499X)
巻号頁・発行日
vol.126, no.13, pp.2433-2439, 2016-12-20 (Released:2016-12-20)
参考文献数
14
被引用文献数
1

大阪府出身の74歳男性.65歳時に四肢の異常感覚が出現し,67歳頃から歩行困難となった.70歳時に顔面と四肢に環状・不整形の浸潤性紅斑が出現し,73歳時に皮膚病理所見と血中ACE高値からサルコイドーシスと診断され,以前から腎障害に対して内服していたプレドニゾロンを継続した.74歳時に当院神経内科に入院し多発性単神経炎と診断され,皮疹について当科紹介となった.兎眼を呈し,皮膚スメア検査と病理組織のFite染色にて多数のらい菌を認め,多菌型ハンセン病と診断した.多剤併用療法にてスメア菌量は減少したが,血中ACE値上昇を伴って皮疹と神経症状が徐々に悪化したため,1型らい反応と診断しプレドニゾロンを増量した.
著者
金澤 裕之
出版者
日本語学会
雑誌
日本語の研究 (ISSN:13495119)
巻号頁・発行日
vol.3, no.2, pp.47-53, 2007-04-01 (Released:2017-07-28)

近年、主に話しことばで、例えば「多くの方が来ていただき…」というような、「○○(=相手)が△△していただく」という表現をよく耳にする。授受を表わす部分が「てくださる」ではないこの表現は、現在一般に「誤用」と考えられているが、使用場面の急速な広がりの背景には、これまでの言語ルールを超えた何らかの理由があるように感じられる。本稿では、話しことばの実際の用例において、「てくださる」と「ていただく」の両者が入り得る場面でも「ていただく」の方が遥かに高い割合で選択されていることを確認しつつ、そうした現象の背景にあるものとして、現代人の敬語意識における一つの心理的な傾向について考察し、併せて、複雑な体系を持つ日本語の授受表現における単純化の方向への一つの兆しが、こうした現象に現われているかもしれない可能性について言及する。
著者
小林 伸行 濱川 文彦 金澤 嘉昭 廣松 矩子 高野 正博
出版者
一般社団法人 日本心身医学会
雑誌
心身医学 (ISSN:03850307)
巻号頁・発行日
vol.55, no.12, pp.1380-1385, 2015-12-01 (Released:2017-08-01)
被引用文献数
3

目的:排ガス(おなら)臭を主訴とする自己臭症の患者における腹部症状を質問紙を用いて調べた.対象と方法:当院心療内科を初診したおなら臭を主訴とした自己臭症患者47名(男性20名,女性27名,平均年齢27.7±12.4歳,以下,自己臭群)と健常者82名(男性48名,女性34名,平均年齢37.3±9.7歳,以下,対照群)を対象とした.当科初診時にRomeIII診断基準に基づいて作成した問診票を用い腹部症状を調査した.結果:過敏性腸症候群(IBS)の診断基準を満たしたのは,自己臭群25名(53%),対照群17名(21%)と自己臭群で有意に高頻度であった(p<0.001).自己臭症とIBSを併存するものは対照群のIBSと比較していきみ,排便困難感,残便感の頻度が高かった(すべてp<0.001).自己臭患者の中でIBS患者と非IBS患者を比べると排便困難感がIBSで高頻度であった(p<0.05).結論:おなら臭を主訴とする自己臭症には高頻度でIBSを併存していた.今後,下部消化管の機能異常の解明により自己臭症の病態理解を促進すると考えられる.
著者
植杉 通可 金澤 秀俊 蛭間 淳之 宮崎 浩 神戸 崇幸
出版者
The Institute of Electrical Engineers of Japan
雑誌
電気学会論文誌D(産業応用部門誌) (ISSN:09136339)
巻号頁・発行日
vol.119, no.5, pp.592-598, 1999-05-01 (Released:2008-12-19)
参考文献数
8
被引用文献数
8 10

The active-filter is one of the most efficient methods to improve power factor. However, this method has problems such as increasing switching loss and switching noise.This paper describes a new power factor correction (PFC) converter called “Partial-switching PFC”, which achieves power factor rate of 99% only by generating a single pulse in the power line cycle with high efficiency and low total harmonic distortion. Its application to our air-conditioners is described at the end.
著者
金澤 忠信
出版者
中央大学人文科学研究所
雑誌
人文研紀要 (ISSN:02873877)
巻号頁・発行日
vol.102, pp.263-289, 2022-09-30

ソシュールは1903年から1910年にかけて伝説・神話研究を行っていた。1904年には書物の出版を予定していたが未完に終わる。草稿では『ニーベルンゲンの歌』をはじめとするゲルマン伝説が5-6 世紀ブルグント王国での歴史的出来事にもとづいていることが示されている。叙事詩と年代記の様々な細部を照合してまず目につくのは,伝説にはフランク族が不在であり,フン族に置き換えられている点である。ソシュールはその理由として王権への配慮と呼称の問題をあげているが,前者は推論的考察,後者は社会学的考察と言える。ソシュールの伝説・神話研究の方法論は,ごく些細な手がかりによって深い現実を捉えようとする点ではギンズブルグの推論的範例に近いが,医学的症候学にもとづいておらず,徴候的読解とは言えない。ソシュールの関心はあくまで伝説の起源としての歴史的事実にあり,必ずしも隠されざるをえなかった重大事にあるのではない。
著者
金澤 良枝 城田 直子 中尾 俊之
出版者
一般社団法人 日本透析医学会
雑誌
日本透析医学会雑誌 (ISSN:13403451)
巻号頁・発行日
vol.53, no.3, pp.147-151, 2020 (Released:2020-03-28)
参考文献数
17

透析患者では高めの血清マグネシウム (Mg) 濃度が良好な予後と関連している. そこで血清Mg濃度が一定値以下の患者での食事からのMg補給に関し, 日常生活上でよく摂取される食品100品目のMg含有量と食品常用量当たりのMg量について検討した. また血液透析患者の標準的食事 (1,800kcal, たんぱく質60g) のモデル献立を動物性: 植物性たんぱく質比率別に合計30献立作成し検討したところ, たんぱく質の植物性比率60%の献立が同50%, 40%よりMg量が高く (358±47, 309±36, 254±28, p<0.001) かつリン量, カリウム量に有意差なく, アミノ酸スコアはいずれも100 (perfect) であった. したがって透析患者の食事管理においてMg摂取量を増加させるには, たんぱく質の動物性・植物性比率において植物性たんぱく質を60%にすることが有利であると考えられた.
著者
木村 龍太郎 竹本 正明 杉村 真美子 金澤 将史 今村 友典 中野 貴明 伊藤 敏孝
出版者
日本救急医学会関東地方会
雑誌
日本救急医学会関東地方会雑誌 (ISSN:0287301X)
巻号頁・発行日
vol.39, no.2, pp.262-264, 2018-12-31 (Released:2018-12-28)
参考文献数
1

【症例】14歳, 女性【主訴】左示指刺創【現病歴】家庭科の授業中にミシンを用いて裁縫中に誤って左示指の末節にミシン針が刺さり救急要請となった。救急隊はミシンを破壊し本体の一部をつけたまま搬送した。【来院後経過】救急外来にて針に付着した布押さえの部分を工事用ペンチで破壊した。針と糸が共に指を手背側から手掌側へ貫通している状態であった。左示指に局所麻酔し, 針の末端部分の一部を切断し, 手掌側の針の先端をペンチで把持して引き抜くように糸と共に除去した。除去後, 止血を確認し, 帰宅とした。【考察】ミシンの縫い目は2本の糸が絡み合うことによって作られる。その構造上ミシン針の糸通しは針の先端についているためミシン作業中の刺創では針と共に糸が必ず体内を通過する。その構造を把握しないで針だけを抜去すると糸が皮膚の中に残存することがある。ミシン針の貫通創の処置では抜去時にミシンの仕組みを知る必要があると考えた。
著者
金澤 潤一郎 榎本 恭介 鈴木 郁弥 荒井 弘和
出版者
一般社団法人 日本心身医学会
雑誌
心身医学 (ISSN:03850307)
巻号頁・発行日
vol.59, no.1, pp.47-51, 2019 (Released:2019-01-01)
参考文献数
9

大学生アスリートを対象としてADHD症状と海外で最も研究が進んでいる脳震盪経験との関連について検討した. その結果, 第一にADHD症状が陽性となった大学生アスリートは27.9%であった. 第二にADHD症状がスクリーニング調査によって陽性となった場合, 脳震盪経験が高まることが示された (β=0.25, p<0.05). これらの結果から, スポーツ領域においても脳震盪の予防や対応の観点からコーチやアスリート支援をしている心理士などに対してADHDについての知識の普及が必要となる. さらに大学生アスリートは学生であることから, 脳震盪からの復帰の際には, 競技面と学業面の両側面からの段階的復帰を考慮する必要がある.
著者
金澤 裕之
出版者
日本語学会
雑誌
日本語の研究 (ISSN:13495119)
巻号頁・発行日
vol.3, no.2, pp.47-53, 2007

近年、主に話しことばで、例えば「多くの方が来ていただき…」というような、「○○(=相手)が△△していただく」という表現をよく耳にする。授受を表わす部分が「てくださる」ではないこの表現は、現在一般に「誤用」と考えられているが、使用場面の急速な広がりの背景には、これまでの言語ルールを超えた何らかの理由があるように感じられる。本稿では、話しことばの実際の用例において、「てくださる」と「ていただく」の両者が入り得る場面でも「ていただく」の方が遥かに高い割合で選択されていることを確認しつつ、そうした現象の背景にあるものとして、現代人の敬語意識における一つの心理的な傾向について考察し、併せて、複雑な体系を持つ日本語の授受表現における単純化の方向への一つの兆しが、こうした現象に現われているかもしれない可能性について言及する。
著者
川本 諒 五條堀 眞由美 柴崎 翔 松吉 佐季 鈴木 総史 平井 一孝 植田 浩章 金澤 智恵 高見澤 俊樹 宮崎 真至
出版者
特定非営利活動法人 日本歯科保存学会
雑誌
日本歯科保存学雑誌 (ISSN:03872343)
巻号頁・発行日
vol.59, no.5, pp.402-409, 2016 (Released:2016-10-31)
参考文献数
24

目的 : 歯科疾患の予防という概念の普及に伴って, 機械的歯面清掃 (PMTC) を行う機会が増加している. その際に用いられるPMTCペーストは, さまざまな製品が市販されているものの, プラーク除去効果あるいは歯質に対する影響については不明な点が多い. そこで, PMTCペーストの使用がエナメル質および歯冠修復物の表面性状とプラーク除去効果に及ぼす影響について検討した. 材料と方法 : 疑似エナメル質としてステンレス板 (SUS304), コンポジットレジン試片としてFiltek Supreme Ultra (3M ESPE), 金銀パラジウム合金試片としてキャストウェルM. C. 金12% (ジーシー) を用い, それぞれ通法に従って10×10×1mmの平板に調整したものをPMTC用試片とした. これらの試片に対し, 等速コントラアングルに歯面清掃ブラシを装着し, PMTCペースト0.1gを用い, 回転数2,000rpm, 荷重250 gfの条件で, 15秒間PMTCを行った. なお, 供試したPMTCペーストは, クリンプロクリーニングペーストPMTC用 (CP, 3M ESPE), コンクールクリーニングジェル (CJ, ウェルテック), メルサージュレギュラー (MR, 松風), メルサージュファイン (MF, 松風) およびメルサージュプラス (MP, 松風) の合計5製品とした. PMTC終了後の試片について, その表面をレーザー走査顕微鏡を用いて観察するとともに付属のソフトウェアによって表面粗さRa (μm) を求めた. また, 表面に塗布した人工プラークの残存面積 (mm2) を計測することによって, 人工プラーク除去率を算出した. 成績 : PMTC後のステンレス, コンポジットレジンおよび金銀パラジウム合金試片の表面粗さは, 用いたPMTCペーストによって異なる傾向を示した. 特に, CJ, MRおよびMFはBaselineと比較してPMTC後の表面粗さが増加し, MRはほかの製品と比較して有意に高いRa値を示した. 一方, CPにおいては, コンポジットレジンおよび金銀パラジウム合金でPMTC後の表面粗さが増加したが, ステンレス板においては変化が認められなかった. また, プラーク除去率についても使用した製品によって異なる傾向を示した. 結論 : エナメル質, コンポジットレジンおよび金銀パラジウム合金のPMTC後の表面粗さの変化ならびにプラーク除去率は, 用いたPMTCペーストによって異なるものであり, 配合されている研磨粒子の成分や粒径によるものであったことが示された.
著者
唐沢 重考 金澤 泰人 久保田 耕平
出版者
The Japanese Society of Soil Zoology
雑誌
Edaphologia (ISSN:03891445)
巻号頁・発行日
vol.93, pp.11-27, 2014 (Released:2017-07-20)

シンタイプおよび東京大学本郷キャンパスの広葉樹林内で得られた標本に基づきSpherillo obscurus (Budde-Lund, 1885)の再定義を行った.また,横浜国立大学の広葉樹林内で得られた標本に基づきS. dorsalis (Iwamoto, 1943)についての再定義も行った.さらに,種同定用のDNAマーカーを開発するため,ミトコンドリアDNAのCOI, 12S rRNA, 16S rRNA領域,および,核DNAの18S rRNA, 28S rRNA領域の一部の塩基配列を決定した.
著者
遊間 義一 金澤 雄一郎
出版者
兵庫教育大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2014-04-01

本研究は,日本全国の刑事施設に収容された性犯罪受刑者598名を出所後3-5年間追跡したデータを基に,性犯罪者処遇プログラム(以下プログラムという)の再犯抑止効果を,傾向スコアを用いて交絡因子の影響を除いたうえで,パラメトリックな生存分析により評価したものである。その結果,(1)再犯の経過は,痴漢で受刑した者(痴漢群)とそれ以外の者(非痴漢群)では異なっていること,(2)痴漢群では,プログラムは有意な再犯抑止効果を持たないこと,(3)非痴漢群では,プログラムの効果は出所後500日程度まで存在すること,(4)痴漢群では,非痴漢群より,プログラム受講の有無に関わらず再犯率が高いこと,が分かった。