著者
吉田 光司 金澤 弓子 鈴木 貢次郎 根本 正之
出版者
日本雑草学会
雑誌
雑草研究 (ISSN:0372798X)
巻号頁・発行日
vol.54, no.2, pp.63-70, 2009 (Released:2009-07-08)
参考文献数
17

ナガミヒナゲシが国内で急速に帰化している原因を,実験によって求めた種子発芽特性から考察した。野外の播種実験の結果,6月の種子散布後,散布当年の秋季と翌春に多くの出芽をみた。次に室内で,異なる温度と水分条件に貯蔵した種子を定期的に取り出す発芽試験を行った。その結果,(1)種子を湿潤・暖温条件に2∼3ヶ月間貯蔵してから5°Cで発芽させた場合,(2)湿潤・暖温条件に3ヶ月間貯蔵した後に湿潤・冷温条件に半月∼1ヶ月間貯蔵してから10∼20°Cで発芽させた場合,(3)30°C/10°Cの変温条件で発芽させた場合に高い発芽率を示した。これらの野外と室内の発芽実験の結果から,自然環境条件では夏季の暖温湿潤条件を経て地温が低くなる秋季と,冬季の冷温を経て地温が上昇する春季に多く発芽することが確かめられた。また,高温や室温の乾燥条件に約3年間貯蔵した種子や,暗条件ではほとんど発芽しなかったことから,土中では埋土種子となって長期間残ることが予測された。試験から得られたナガミヒナゲシの発芽条件から国内の分布を説明できた。また,同種が多く分布している国内外の地域の年平均気温と年間降水量は一致した。
著者
金子 彩香 伊藤 貴之
出版者
人工知能学会
雑誌
人工知能学会全国大会論文集 (ISSN:13479881)
巻号頁・発行日
vol.25, 2011

薬と蛋白質の反応において,薬は蛋白質表面上の窪み(ポケット)に入り込みやすいとされている.我々は蛋白質の薬との反応性における評価値算出手法の確立を目指しており,その前段階として本報告では各ポケット形状の評価値を算出する手法を提案する.本手法では,蛋白質表面上から抽出された各ポケットに対して,形状特徴量を算出し,薬との反応性が高いサンプルポケットの形状特徴量との類似度比較により評価値を算出する.
著者
市瀬 孝道 玉利 真由美 嵐谷 奎一 吉田 安宏 野口 恵美子 岸川 禮子 吉田 誠 西川 雅高 吉田 成一 定金 香里 藤枝 重治
出版者
大分県立看護科学大学
雑誌
基盤研究(A)
巻号頁・発行日
2010

本研究では、黄砂がスギ花粉症、気管支喘息やアトピー性皮膚炎の病態を炎症性メディエータの発現を伴って増悪させることを動物実験で実証した。また黄砂が炎症誘導にあずかる転写因や遺伝子群の発現を変化させることを明らかにした。黄砂の継続的な曝露では、黄砂は一旦アレルギー気道炎症を悪化させるが、 曝露の長期化につれて TGF-β 誘導による免疫寛容が起こり、アレルギー気道炎症が減弱化することが分かった。調査研究では、黄砂飛来時に花粉症を持った人、あるいは持たない人の眼、鼻、咽頭等に影響が見られた。慢性閉塞性肺疾患(COPD)患者では黄砂日と呼吸機能や症状の変化との間に関連性が見られなかった。黄砂日における来院患者には鼻炎や花粉症患者が多く、続いて気管支喘息患者で、主訴は咳が最も多く半数を超えていた。以上の結果から、 黄砂はアレルギー疾患を増悪する環境要因であることが判明した。
著者
岡部 幸祐 金成 真由子
出版者
大学図書館研究編集委員会
雑誌
大学図書館研究 (ISSN:03860507)
巻号頁・発行日
no.85, pp.1-11, 2009-03

筑波大学附属図書館では,利用案内ビデオを改訂するにあたり,図書館利用促進ツールとして,図書館そのものに興味を抱かせるプロモーションビデオを制作した。学生志向に視点を転換し,必要な情報を提供するとともに新しい図書館利用を提案する内容とした。また,公開はWebで行い,利用案内情報とのリンクやプロモートを意図したコンテンツも合わせて掲載することで,図書館リテラシーの向上を期待し,学生との関係性構築及びコミュニケーション促進の可能性も考慮した。その企画,制作,公開の実際を報告する。
著者
細田 正洋 石川 徹夫 床次 眞司 金賀 愛子 伊藤 亮輔 内田 直希 荻原 俊輔 笠 喜洋 川内 隆行 石井 忠
出版者
日本保健物理学会
雑誌
保健物理 : hoken buturi (ISSN:03676110)
巻号頁・発行日
vol.42, no.3, pp.221-226, 2007-09

The bio-kinetics of radon ingested from drinking water was investigated for eight Japanese subjects. A whole-body counter at National Institute of Radiological Sciences (NIRS) was used for the measurement of the ^<214>Bi transfer half-life from the stomach to the small intestine. The transfer half-life seemed to be affected by water quality (chemical/physical properties) as well as the meal ingested before the experiments. The shortest transfer half-life among the subjects was about 50 minutes. During the whole-body counting, the air expired by the subjects was sampled and its radon concentration was measured using two ionization chambers. The changes in radon concentration in the expired air could be classified into three patterns. (1) It decreased with time after ingestion. (2) A peak appeared at the 15 minutes after ingestion. (3) A peak appeared at the 25 minutes after ingestion. These patterns seemed to be related to the ^<214>Bi transfer half-life and the amount of ingested water.
著者
矢澤 美香子 金築 優 根建 金男
出版者
一般社団法人 日本女性心身医学会
雑誌
女性心身医学 (ISSN:13452894)
巻号頁・発行日
vol.15, no.1, pp.154-161, 2010

本研究は,青年女子における完全主義認知とダイエット行動および摂食障害傾向にみられる食行動異常との関連性を検討することを目的とする.Body Mass Indexが24以下の「痩せ」「普通」体型である女子大学生・大学院生183名に対して,1)自己志向的完全主義下位尺度,2)Multidimentional Perfectonism Cognitive Inventry(MPCI),3)ダイエット行動尺度,4)Eating Attitude Test-26,5)Eating Disorder Inventryの過食下位尺度を用いた質問紙調査を実施した.相関分析の結果,MPCIの下位尺度である高目標設置,完全性追求,ミスへのとらわれすべてにおいて,ダイエット行動,食行動異常との関連性が認められた.また,重回帰分析の結果,完全性追求は非構造的ダイエット行動に,ミスへのとらわれは食行動異常に影響を与えることがわかった.さらに,ダイエット行動尺度の得点についてクラスター分析を行ったところ,4つのクラスターが抽出され,高目標設置と完全性追求の得点は,ダイエット非実践群,平均的ダイエット実践群よりも構造的ダイエット実践群,構造・非構造的ダイエット実践群で高いことがわかった.以上の結果から,ダイエット行動のパターンや食行動異常の程度の違いを考慮して,異なる完全主義認知に対する介入を行うことが,摂食障害の予防に有益であると考えられる.
著者
礒崎 初仁 田口 一博 金井 利之 田口 一博 阿部 昌樹 礒崎 初仁 伊藤 正次 亀井 源太郎 阿部 昌樹 伊藤 正次 亀井 源太郎
出版者
中央大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2007

自治体の不祥事は多様であるが、(1)組織的不正行為、(2)組織的失敗行為、(3)職務上の個人的不正行為、(4)職務外の個人的不祥事に分けられる。その原因としては、(1)職務の複雑さと責任の拡大、(2)人材育成不足と職務環境の劣化、(3)社会からの要求の厳格化等がある。そこで対策としては、(1)事務執行の手続整備、(2)検査・監査体制の実質化、(3)関係者通報の促進、(4)人事政策・組織改革が必要である。今後の法令遵守には、(1)地方分権による決定権の拡大、(2)政策法務の発想の浸透、(3)情報公開・説明責任の仕組みが重要である。法令遵守は、自治体の自己改革と住民自治を促進する意味をもつのである。
著者
金崎 雅之
出版者
九州産業大学
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2006

政策決定過程の応用ミクロ経済分析として、政治献金と情報が政策決定、ひいては住民の厚生に与える影響を明らかにした。さらにこの観点から地域間の統合の可能性を明らかにした。また、官僚の将来利得獲得の誘因と政治家の再選の誘因が両者の政策にまつわる業務を行う上での努力水準の決定に与える影響を明らかにし、さらに政策決定に関する権限の配分の決定権の所在の在り方を制度の違いとして捉え、それら制度の違いが政治家や官僚の政策業務上の権限分割と投入する努力に与える影響について分析を加えた。
著者
金井 喜一郎
出版者
日本図書館情報学会
雑誌
日本図書館情報学会誌 (ISSN:13448668)
巻号頁・発行日
vol.56, no.4, pp.190-208, 2010-12-30

音楽資料の検索に関しては,典拠コントロール,シソーラス,OPACシステムなどの研究があるが,利用者が求める書誌情報を効果的かつ効率的に提供する研究は限られている。本研究では音楽図書館のOPACの検索機能について,利用者の検索要求に基づきその機能要件の導出を試みる。まず利用者の検索要求を把握するためにレファレンス記録の分析を行う。調査対象は国立国会図書館および昭和音楽大学附属図書館(2種類)の記録である。各記録の内容分析により音楽資料に関する利用者ニーズを類型化し,そのニーズを表現する典型的な検索課題を作成する。次にその検索課題を用いて国内の音楽図書館5館のOPAC検索機能を評価する。調査の結果,音楽資料に関するOPAC検索機能要件として12の機能が導き出された。このうち「音高や歌詞の検索」や「収録曲ごとの詳細検索」は現在のOPACでは実行が難しく,これらを可能にする機能は今後の課題である。
著者
山本 壮則 池田 聡 永田 忍 金森 裕治
出版者
大阪教育大学教育学部障害教育講座
雑誌
障害児教育研究紀要 (ISSN:03877671)
巻号頁・発行日
no.30, pp.33-44, 2007

本論文の一つめの目的は、障害理解学習とその背景となる交流教育(交流及び共同学習)や障害観を概観することである。二つめの目的は、小学校6年生を対象として行った障害理解学習での感想を質的研究法であるKJ法を用いて分析し考察することである。その障害理解学習は、アイマスクやシュミレーションレンズを用いて視覚障害者を模擬体験する授業であった。模擬体験により、児童は障害に対してマイナスのイメージやステレオタイプのイメージを抱いた。これらは、ICDIHの構造的理解といえる。スティグマ的な感想もあり、今回の模擬体験による障害理解学習は転換が必要である。一方で、スティグマを障害理解の段階の初期ととらえることもできた。今後、模擬体験を含めたうえで、系統的な障害理解学習の構築が必要であると指摘することができる。The primary purpose of this thesis is to take general views of The Disability Understanding Study and exchange education, and to challenge the individual's outlook on disabilities. The secondary purpose is to analyze, by using the KJ Method (that is, the qualitative research method) and to consider the general impressions from the practical use of the Disability Understanding Method targeting elementary school sixth graders for this study. For the Disability Understanding study, eye masks and simulation lenses were used to mimic the experience of a visual handicap. The sixth grade student had the opportunity to deal with both the visual challenge and the stereotypes associated with this particular impediment through the mock experience of sightlessness. It can be said that this lays the basis for a structural understanding of ICDIH. There are also issues of stigmas associated with handicaps therefore making it necessary to increase awareness of the disabled experience through mock practice. In the case of the sixth graders using the Disability Understanding Study, stigma was caught and identified with the promise of a deeper understanding of visually handicapped people. It can be pointed out that systematic constructions of Disability Understanding Studies incluging mock experiences of physical disabilities are valid and necessary in the future.
著者
金子 由芳 松永 宣明 駿河 輝和 太田 博史 藤田 誠一 香川 孝三 三重野 文晴 川畑 康治
出版者
神戸大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2006

アセアン諸国の従来の制度構築は、欧米モデルの端的な移植、あるいは多国籍企業の便宜に応える設計に重きが置かれてきた。本研究は、中小企業の利益に根ざした制度構築の課題を、グローバリゼーションにおける中小企業政策、コーポレート・ガバナンス、金融促進、労働者の保護育成、などの多角的視点から、経済学と法学の融合的アプローチを通じて分析することをめざした。成果として、中小企業の技術効率の総合的な評価手法、中小企業の効率の特殊要因を反映した中小企業政策、企業経営判断と企業規模分布の関係性の複合要因、輸出志向型産業への労働移動の貧困削減効果、輸出牽引型産業における金融部門の貢献の限定性、中小企業促進に立った教育政策・労働法制の見直し、閉鎖会社・無限責任会社に重点を置いた企業法制の見直し、といった諸点が明らかにされた。
著者
原 實 川崎 信定 木村 清孝 デレアヌ フロリン ユベール デュルト 落合 俊典 岡田 真美子 今西 順吉 木村 清孝 末木 文美士 岡田 真美子 ユベール デュルト 田辺 和子 落合 俊典 デレアヌ フロリン 松村 淳子 今西 順吉 津田 眞一 北田 信 清水 洋平 金子 奈央
出版者
(財)東洋文庫
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2006

平成18年度より3年間、「古代インドの環境論」と題し、同学の士を誘って我々の専攻する学問が現代の緊急課題とどの様に関連するかの問題を、真剣に討究する機会を持ち得た事は極めて貴重な体験であった。外国人学者を交えて討論を重ねる間に、我々の問題意識はインド思想や佛教の自然観、地球観にまで拡がって行ったが、それらは現代の環境破壊や無原則な地域開発に警告する所、多大なるものがあった。「温故知新」と言われる所以である
著者
鵜林尚靖 金川 太俊 瀬戸 敏喜 中島 震 平山 雅之
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理学会論文誌 (ISSN:18827764)
巻号頁・発行日
vol.48, no.8, pp.2492-2507, 2007-08-15

本論文では,コンテキストを考慮した組み込みシステム向けプロダクトライン開発手法を提案する.現状では主にシステム構成をどうするかという立場からプロダクトラインが定義されるため,システムとコンテキストの組合せによっては想定外の欠陥が生じる場合がある.本論文では,このような問題を解決するため,システムラインとコンテキストラインの2 つからプロダクト仕様を構成する方法を提案する.また,プロダクトラインの仕様をVDM++により記述する方法,およびそれらの妥当性確認方法を示す.We propose a new product line development method that takes into account the contexts of embedded systems. Most of the current approaches focus on the system configuration only. Unexpected defects might be found in a system due to conflicting combinations of the system and its contexts. In order to deal with this issue, we propose a method for constructing product specifications composed of both system and context lines. Additionally we show how to describe and validate the product line specifications using VDM++.
著者
金田 みず子
出版者
フレーベル會
雑誌
婦人と子ども
巻号頁・発行日
vol.3, no.2, pp.40-45, 1903-02
著者
金子 昌生 岡和田 健敏 高井 通勝 佐藤 一雄 田中 博 高橋 元一郎 宮崎 洋二郎 深谷 哲昭 小山 照夫 内藤 真明
出版者
浜松医科大学
雑誌
一般研究(A)
巻号頁・発行日
1986

本研究は、デジタル画像の圧縮・蓄積・転送など、画像の持つ情報管理の一面があり、アナログ情報をデジタル化して保管する方法を模索する研究も含まれている。4年間の研究期間中に、この分野の電子工学的発展はめざましく、研究のカバ-すべき範囲が広いため、X線撮影時からデジタル化される Computed Radiography(CR)は紹介するだけに留めた。従来から取り組んできたフィルムのアナログ的な保管方法であるマイクロ化システムを、いかにして効率よくデジタル化して活用するかについて新知見を得た。すなわち、テレビ・カメラのレンズ系をズ-ミングによりマイクロ・フィルム情報を直接拡大して電気信号に変換し、A/Dコンバ-タ-によりデジタル化する方法を開発した。CCD方式とレ-ザ-・スキャン方式のデジタル化も基礎的臨床的に比較検討した。デジタル画像の読影、報告書作製に関する適合性を評価するため、読影結果のレポ-ト作製の方法を比較検討するとともに、音声入力の方法の有用性を実際にテストした。Radiology Information System(RIS)の一環として放射線オ-ダリングやリファリングを実現させる反面で、その見返りとしてのレポ-ティングはやはりデジタル情報としてコミュニケ-ションされるべきであろう。しかし、有用なレポ-ト作製には臨床医から充分な臨床情報を得ることが必須条件である。このためのRISの臨床情報伝達ソフトウェア開発を行っているところである。画像管理・保管と読影業務すべてを包含するTotal Information System(TIS)をより高度化するために、実現可能性の高いMini-PACSやCase Information System(CIS)を実現させ、理想的なImage Management and Communication Systems(IMACS)を完成させるべきバック・グラウンドを研究した。