著者
高橋 裕史 梶 光一 吉田 光男 釣賀 一二三 車田 利夫 鈴木 正嗣 大沼 学
出版者
日本哺乳類学会
雑誌
哺乳類科学 (ISSN:0385437X)
巻号頁・発行日
vol.42, no.1, pp.45-51, 2002 (Released:2008-07-23)
参考文献数
13
被引用文献数
8

洞爺湖中島において移動式シカ用囲いワナの一種であるアルパインキャプチャーシステム(Alpine Deer Group Ltd., Dunedin, New Zealand)を用いたエゾシカ Cervus nippon yesoensis の生体捕獲を行った.1992年3月から2000年2月までに,59日間,49回の捕獲試行において143頭を捕獲した.この間,アルパインキャプチャーの作動を,1ヶ所のトリガーに直接結びつけたワイヤーを操作者が引く方法から,電動式のトリガーを2ヶ所に増設して遠隔操作する方法に改造した.その結果,シカの警戒心の低減およびワナの作動時間の短縮によってシカの逃走を防止し,捕獲効率(捕獲数/試行数)を約1.1頭/回から3.5頭/回に向上させることができた.
著者
鈴木 正昭 テップンポン マリーワン モラクン ポンレック 五十嵐 孝典
出版者
Japanese Society for Tropical Agriculture
雑誌
熱帯農業 (ISSN:00215260)
巻号頁・発行日
vol.26, no.2, pp.55-62, 1982-06-01 (Released:2010-03-19)
参考文献数
7

タイ国の河川に繁茂するホテイアオイ (Eichhornia cyassipes, Solms) の実用的な堆肥化方法を検討した.すなわち, ホテイアオイ, 野草, 稲わら, 水牛糞などを主な材料とした各種の堆肥を製造し, その性状を経時的に調べて, 品質や熟度等を論じた.得られた結果は以下のように要約される.1.ホテイアオイだけを材料として堆肥を製造すると, 品温は42℃に達しただけであったが, 水牛糞や稲わらを混じて堆肥を製造すると容易に50℃以上の高温を得ることができた.2.ホテイアオイは窒素, リン酸, カリ等の養分に富むため, これを他の資材と混用することにより堆肥の品質が向上した.3.稲わらを堆肥化する場合にホテイアオイを混用すると, 水牛糞や石灰窒素を用いるのと同等の効果を発揮した.4.ホテイアオイは堆肥資材として良好であり, タイ国の農民に勧めうる.また, その適切な製造法について述べた.5. (付録) タイの中央平原と東北部で集めたホテイアオイを比較すると, 前者は後者よりも植物養分の含量が高い傾向を示した.茎葉部と根部について養分含量を比較すると, 茎葉部では窒素, リン酸, カリ, カルシウム, マグネシウム, 銅などが根部よりも高かったが, マンガンや亜鉛は根部の方が高かった.
著者
堤 きく江 土屋 千佳子 花輪 和己 鈴木 正彦 花輪 剛久 小口 敏夫
出版者
公益社団法人 日本薬学会
雑誌
YAKUGAKU ZASSHI (ISSN:00316903)
巻号頁・発行日
vol.128, no.6, pp.965-970, 2008-06-01 (Released:2008-06-01)
参考文献数
18
被引用文献数
1 1

Beraprost sodium (BPS) is often used for pediatric patients with pulmonary hypertension. The purpose of this study was to determine the expiration date of the powdered medicine prepared by grinding tablets. In the present study, the hygroscopicity and stability of the beraprost tablet (DORNER® tablet), ground Dorner tablet and powder formulation (Doener powder) consisting of the ground DORNER® tablet and lactose (EFC® lactose) were investigated after storage at various relative humidities (RHs) and light exposures. While the DORNER® tablets and ground DORNER® tablets were found to adsorb significant amounts of water vapor at an RHs of greater than 51.0%, Dorner powder scarcely adsorbed water. The stability of BPS in the Dorner powder decreased after storage under 3000 lux for 90 days. From these results, the expiration date and storage conditions of Dorner powder were determined to “90 days without exposure to light.” We also investigated the stability of BPS in solutions of various pH values on the assumption that Dorner powder may be given to pediatric patients after dissolving in soft drinks. Because BPS degraded significantly below pH 2, pharmacists should alert patients not to take Dorner powder with acidic soft drinks.
著者
鈴木 正文
出版者
文化学園大学
雑誌
研究紀要 (ISSN:02868059)
巻号頁・発行日
vol.21, pp.65-72, 1990-01

この研究は, 暈繝彩色が, 装飾位の豊かな桃山時代において新たな発展を見せた彫刻や絵画と, どのような係わりをもちながら受け継がれていったのかを, 建築装飾を主軸として調べた。鎌倉時代以前の建築装飾としての彩色は, 暈繝がその比重の多くを占めていたが, 室町時代の絵画的要素の混在した時期を経て桃山時代に至ると, 霊廟や神社の豊かな装飾彫刻は, モティーフの多様化と同時に絵画的要素を立体化させた。その彩色は纂股が示す様に, 金を多用した濃絵風の彩色が主体となり, 暈繝はこれらの彫刻の周囲を飾る額縁的な役割を果たす様になる。しかし, 立体化された様々なモティーフのうち, 雲は暈繝彩色され, 当時の金碧障壁画の金雲のように, 各モティーフを繋ぐ構成上重要な役割を果たしていることがわかる。一方, 西洋との交易により数多く描かれた南蛮屏風や, 漢画の影響を強く受けた障壁画のなかには,中華風の建物の瓦の表現に暈繝彩色を用いることにより異国情緒滋れるものに仕上げているものがある。当時の人々の異国的イメージと, 暈繝彩色の大陸的手法との結び付きに輿味がもたれる。

2 0 0 0 OA 因果物語

著者
鈴木正三 著
出版者
富山房
巻号頁・発行日
1911
著者
加藤 文三 茨木 智志 大木 匡尚 鈴木 正弘
出版者
歴史教育史研究会
雑誌
歴史教育史研究 = Journal for Historical studies in History Education (ISSN:13487973)
巻号頁・発行日
no.13, pp.69-98, 2015

日時:2015年7月25日・9月26日・12月1日 場所: 千葉県千葉市花見川区 聞き手: 茨木智志・大木匡尚・鈴木正弘
著者
鈴木 正敏
出版者
東北大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2016-04-01

高線量放射線被ばくでは、被ばく後の時間が経過した後に遅れて放射線影響が出現する遺伝的不安定性が知られている。福島原発事故による低線量・低線量率放射線被ばくによって、遺伝的不安定性が誘発される可能性を細胞生物学的に検討するシステムを構築した。放射性セシウムが最も多く蓄積する骨格筋から半永久的に細胞増殖を継続できる試料を作製した。作製した細胞を長期培養した期間の解析結果より、旧警戒区域で被ばくした筋肉由来細胞では遺伝的不安定性が誘発される可能性が極めて低いと予想された。生物影響の出現は臓器によって異なるため、本課題で確立したシステムを筋肉以外の臓器に適応して更に知見を蓄積することが必要である。
著者
前田 康成 後藤 文太朗 升井 洋志 桝井 文人 鈴木 正清 松嶋 敏泰
出版者
バイオメディカル・ファジィ・システム学会
雑誌
バイオメディカル・ファジィ・システム学会誌 (ISSN:13451537)
巻号頁・発行日
vol.15, no.1, pp.69-81, 2013-06-28 (Released:2017-09-04)
参考文献数
14

従来からマルコフ決定過程(MDP)を用いたロールプレイングゲーム(RPG)のモデル化が行われている.しかし,RPGの攻略法を能動的に学習する研究は行われていない.そこで,本研究では,真のパラメータが未知のMDPで表現されたRPGにおける期待総利得をベイズ基準のもとで最大にする攻略法を求める能動的な学習方法を提案する.シミュレーションをとおして,提案方法の有効性を確認する.
著者
前田 康成 後藤文太朗 升井 洋志 桝井 文人 鈴木 正清
雑誌
情報処理学会論文誌 (ISSN:18827764)
巻号頁・発行日
vol.53, no.6, pp.1608-1616, 2012-06-15

従来からマルコフ決定過程(MDP)を用いたロールプレイングゲーム(RPG)のモデル化が行われている.従来研究ではRPGが部分的にモデル化されている.本研究では,MDPを用いてより一般的なRPGのモデル化を行う.最初にMDPの真のパラメータ既知の場合に相当するRPGについて,報酬の期待値を最大にするアルゴリズムを提案する.次にMDPの真のパラメータ未知の場合に相当するRPGについて,ベイズ基準のもとで報酬を最大にするアルゴリズムを提案する.次にMDPの真のパラメータ未知の場合に相当するRPGについて,学習データを用いて報酬を近似的に最大にするアルゴリズムを提案する.
著者
島村 咲衣 安藤 正規 鶴田 燃海 永田 純子 淺野 玄 大橋 正孝 鈴木 正嗣 小泉 透
出版者
日本哺乳類学会
雑誌
哺乳類科学 (ISSN:0385437X)
巻号頁・発行日
vol.60, no.1, pp.55-65, 2020 (Released:2020-02-14)
参考文献数
47

近年,日本各地でニホンジカ(Cervus nippon)による林業被害や森林生態系への影響が報告されている.狩猟者の減少や高齢化によって捕獲努力量が伸び悩む中でも森林への被害を軽減させるために,例えば北米において考案されている,オジロジカ(Odocoileus virginianus)母系集団の強い定住性を利用したLocalized Management法のような,被害防除に効果的な個体数調整手法の適用を検討していく必要がある.しかし,ニホンジカ地域集団内の母系集団の規模がオジロジカと同様であるかは不明であり,本手法の適用の可否は不明である.さらに,既存のマイクロサテライトマーカーによってニホンジカの母系集団を検出できるか否かも明らかになっていない.そこで本研究では,ニホンジカ母系集団の検出を目指してマイクロサテライトマーカーの解析能力を検討し,空間的な遺伝構造の検出可能スケールについて検討した.国内4地域(北海道,静岡,岐阜,宮崎)で捕獲された計251個体(胎子63個体を含む)を解析に用い,マイクロサテライトマーカー17座の遺伝子型を決定した.遺伝子座ごとの対立遺伝子数(Na)は3~18となり,オジロジカの値と比較して少ない傾向にあった.個体識別能力の指標PID-siblingを算出した結果,本研究では多型性の高い上位4座を用いて個体識別が可能であった.地域集団間および地域集団内の遺伝的多様性を評価するため,全集団平均の遺伝子分化係数(G’ST),各集団のNa,対立遺伝子数の期待値およびヘテロ接合度の期待値を算出した.地域集団間および地域集団内の遺伝的多様性はどちらも低い傾向がみられた.地域集団間および地域集団内において,STRUCTUREを用いた遺伝構造解析では,北海道および宮崎の集団は明瞭にそれぞれ独立のクラスターが構成されるものの,中部(静岡・岐阜間)の遺伝構造は不明瞭になるケースが確認された.一方で,地域集団内の遺伝構造(母系集団)は検出されなかった.胎子63個体を使っておこなった母性解析では,胎子を妊娠していた真の母親を推定できた確率は約20%にとどまった.本研究では,北海道,中部および宮崎の地域集団間の遺伝構造を明瞭に検出できたが,地域集団内の母系集団は検出できなかった.そのため,サンプル数のもっとも多かった静岡集団においても,Localized Managementの適用が可能な個体群であるとは断定できなかった.それは,各マイクロサテライトマーカーの多型が少ないことが原因であり,日本国内のニホンジカが過去に経験した個体数の減少によるボトルネック効果を反映していると考えられた.
著者
寺尾 愛也 日野 貴文 鈴木 正嗣 近藤 誠司 吉田 剛司
出版者
Association of Wildlife and Human Society
雑誌
野生生物と社会 (ISSN:24240877)
巻号頁・発行日
vol.3, no.2, pp.41-50, 2016 (Released:2017-06-17)
参考文献数
24

In Japan, the use of firearms to culling in areas surrounding the main road would be an effective option to control overabundant deer. This culling practice is linked to the laws and regulations regarding road and traffic; however, wildlife managers lack knowledge of these laws and regulations. We have identified Japanese regulations and conditions, and have focused on problems and prospects of the existing laws on sharpshooting, which was practiced at the National Route 453 in Shikotsu, Hokkaido, as a model case. Under these laws and regulations, strict safety control by blocking traffic and attending to public interests for culling is required in order to engage in culling around the road. However, the Road Law and Road Traffic Law do not specifically support road usage for culling intended for wildlife population control. Consequently, those laws require a viewpoint of wildlife management to solve conflicts that occur in and around the road.